JP2003300967A - メルカプトカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

メルカプトカルボン酸エステルの製造方法

Info

Publication number
JP2003300967A
JP2003300967A JP2002110284A JP2002110284A JP2003300967A JP 2003300967 A JP2003300967 A JP 2003300967A JP 2002110284 A JP2002110284 A JP 2002110284A JP 2002110284 A JP2002110284 A JP 2002110284A JP 2003300967 A JP2003300967 A JP 2003300967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid ester
mercaptocarboxylic acid
producing
mercaptocarboxylic
phosphate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002110284A
Other languages
English (en)
Inventor
Motohiko Hidaka
基彦 日高
Hisao Ikeda
久男 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Chemical Corp filed Critical Nissan Chemical Corp
Priority to JP2002110284A priority Critical patent/JP2003300967A/ja
Publication of JP2003300967A publication Critical patent/JP2003300967A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂原料、樹脂安定剤、プラスチックレンズ
などの材料に使用することができるポリオールのメルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法を提供する。 【解決手段】 メルカプトカルボン酸エステルと、塩基
性の燐酸塩水溶液とを接触させることによる精製された
メルカプトカルボン酸エステルの製造方法である。更に
は、1分子中に水酸基を2つ以上有するポリオール化合
物と、メルカプトカルボン酸とを反応しメルカプトカル
ボン酸エステルを製造する工程、及び得られたメルカプ
トカルボン酸エステルを、塩基性の燐酸塩水溶液で水洗
する工程からなる精製されたメルカプトカルボン酸エス
テルの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオールのメルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法に関する。ポリオー
ルのメルカプトカルボン酸エステルは樹脂原料、樹脂安
定剤、プラスチックレンズなどの材料に使用することが
できる。
【0002】
【従来の技術】ポリオールのメルカプトカルボン酸エス
テルの製造方法としては、一般にポリオール化合物とメ
ルカプトカルボン酸を原料として用いるエステル化反応
が挙げられる。
【0003】エステル化反応では、一般的に縮合剤とし
てトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、ラウリルスルホン酸などの有機スルホン酸な
どを酸触媒として使用する。このような酸触媒が残留す
るメルカプトカルボン酸エステルを原料として製品を製
造した場合、製品に濁りが発生しやすくプラスチックレ
ンズ材料等の透明材料として使用できない場合がある。
そのため原料となるメルカプトカルボン酸エステルは、
水洗などによって触媒等の不純物を除去する精製工程が
非常に重要となる。
【0004】一方、ポリチオール類のエステル化反応に
使用された酸触媒を除去するためには、一般的に以下に
例示するような中和剤が使用される。
【0005】例えば特開昭59−172459号では反
応液を炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの水溶液な
どで洗浄を行っている。また特開昭59−199669
号では多価チオールを合成後の反応液を硫酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの水溶液などで
洗浄を行っている。特開昭64−90170号ではポリ
チオールの合成後の反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液
などで洗浄を行っている。
【0006】しかしこれらの中和剤で洗浄した場合は、
メルカプトカルボン酸エステルが乳濁する場合がしばし
ば見られ、また水洗後の有機相と水相の分液性が良いと
はいい難く、精製が充分に行えない。
【0007】また、米国特許第2879259号明細書
にはポリフェノールのグリシジルエステルを製造する上
で、洗浄時の分液助剤としてイオウ化合物やリン化合物
を使用することが開示されている。その実施例では25
%濃度のリン酸二水素ナトリウムの水溶液が使用されて
いるが、そのpHは2〜4である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】メルカプトカルボン酸
エステルは、エステル化反応時に縮合剤として使用する
酸触媒が製品に残留すると製品に濁りが発生しやすく、
それらを用いて製品を製造した場合、プラスチックレン
ズのような透明な材料には好ましくない。
【0009】また、原料として使用するメルカプトカル
ボン酸やその分解物などが製品中に残留すると製品にメ
ルカプトカルボン酸や低分子チオール特有の強く不快な
悪臭が残り作業上好ましくない。
【0010】このような理由でメルカプトカルボン酸エ
ステルの製造では、エステル化反応後に酸触媒や未反応
メルカプトカルボン酸やその変質物などを徹底的に取り
除かねばならない。そのためにアルカリ性の水溶液、例
えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム
などのアルカリ水溶液で洗浄する方法があるが、これら
アルカリ性物質を用いる洗浄ではメルカプトカルボン酸
エステルがしばしば乳濁現象を生じ易く、有機層と水層
の分液が困難になリ易い。特に炭酸カリウムなどのよう
な比較的強い塩基を使用するとメルカプト化合物特有の
反応が起こり、製品が黄色く着色しやすい。
【0011】水洗時の乳濁現象の原因としては様々な要
因が考えられる。例えば未反応のメルカプトカルボン
酸、その中和塩またはその重合物や分解物が界面活性作
用を有する可能性も考えられる。また活性の高いSH基
が反応して微細な不溶性重合物が副生することで、乳濁
時の微少泡を安定化させ乳濁しやすくなっていることも
考えられる。
【0012】特にプラスチックレンズ用途に使用する場
合、無色透明性がきわめて重視されるため水洗などの精
製工程は非常に重要であり、この水洗を効率的に行う精
製法が望まれている。
【0013】本願発明は、中和剤として塩基性リン酸塩
を使用する事により乳濁することなく酸触媒や原料のメ
ルカプトカルボン酸が効率よく除去でき、製品の濁りや
メルカプトカルボン酸特有の強く不快な悪臭、さらには
着色を防止できることを見出した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明は第1観点とし
て、メルカプトカルボン酸エステルと、塩基性の燐酸塩
水溶液とを接触させることによる精製されたメルカプト
カルボン酸エステルの製造方法、第2観点として、1分
子中に水酸基を2つ以上有するポリオール化合物と、メ
ルカプトカルボン酸とを反応しメルカプトカルボン酸エ
ステルを製造する工程、及び得られたメルカプトカルボ
ン酸エステルを、塩基性の燐酸塩水溶液で水洗する工程
からなる精製されたメルカプトカルボン酸エステルの製
造方法、第3観点として、ポリオールがトリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート、又はトリス(2−
ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートである第2観点
に記載のメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、第
4観点として、メルカプトカルボン酸がメルカプト酢
酸、又はメルカプトプロピオン酸である第2観点又は第
3観点に記載のメルカプトカルボン酸エステルの製造方
法、第5観点として、塩基性の燐酸塩水溶液のpHが
7.5〜10である第1観点乃至第4観点のいずれか一
つに記載のメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、
及び第6観点として、塩基性の燐酸塩が燐酸一水素二ナ
トリウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸三ナトリウム、
燐酸三カリウム、ピロ燐酸ナトリウム、及び三燐酸五ナ
トリウムからなる群より選ばれるものである第1観点乃
至第5観点のいずれか一つに記載のメルカプトカルボン
酸エステルの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明はメルカプトカルボン酸
エステルと、塩基性の燐酸塩水溶液とを接触させること
による精製されたメルカプトカルボン酸エステルの製造
方法である。
【0016】上記の精製に適するメルカプトカルボン酸
エステルは、1分子中に水酸基を2つ以上有するポリオ
ール化合物と、1分子中にチオール基とカルボキシル基
を有するメルカプトカルボン酸とを反応して製造するこ
とができる。
【0017】即ち、1分子中に水酸基を2つ以上有する
ポリオール化合物と、メルカプトカルボン酸とを反応し
メルカプトカルボン酸エステルを製造する工程、及び得
られたメルカプトカルボン酸エステルを、塩基性の燐酸
塩水溶液で水洗する工程からなる精製されたメルカプト
カルボン酸エステルの製造方法である。
【0018】ポリオールとしては例えばトリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒド
ロキシプロピル)イソシアヌレート、ペンタエリスリト
ール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトー
ルなどが挙げられる。この中でもとりわけトリス(2−
ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒ
ドロキシプロピル)イソシアヌレートをポリオールとし
て用いてメルカプトカルボン酸エステルを合成した際
に、水洗時に乳濁しやすく、本願発明の精製方法を有効
に適用することができる。
【0019】また、メルカプトカルボン酸は、例えば2
−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などが
挙げられる。
【0020】エステル化触媒としてトルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ラウリル
スルオン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無
機塩、塩化第ニ錫等の有機錫化合物、アンバーリスト等
の強酸性イオン交換樹脂などを使用することができる。
これら触媒はポリオールとメルカプトカルボン酸の合計
重量の0.01〜10重量%の割合で使用される。
【0021】反応溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン
などが挙げられるが有機溶媒を使用せずに反応させるこ
とも出来る。
【0022】上記エステル化反応における温度は50〜
160℃の範囲が好ましいがこれに限定されるものでは
ない。
【0023】例えばトリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレートと、3−メルカプトプロピオン酸とを反
応させて得られるメルカプトカルボン酸エステルは、以
下の方法で製造することができる。
【0024】
【化1】
【0025】このような方法で製造されたメルカプトカ
ルボン酸エステルを、塩基性の燐酸塩水溶液と接触させ
ることによりメルカプトカルボン酸エステルを精製する
ことができる。この接触はメルカプトカルボン酸エステ
ルを、塩基性の燐酸塩水溶液で水洗する方法で実施する
ことができる。
【0026】水洗時の温度は高温ほど分液性が向上する
が設備的・作業的な見地から室温〜50℃付近の範囲が
選ばれるが、あまり高温すぎるとアルカリ成分による着
色の恐れがある。
【0027】酸触媒の中和に使用するアルカリは塩基性
の燐酸塩であり、例えば燐酸一水素二ナトリウム、燐酸
一水素二カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三カリウ
ム、ピロ燐酸ナトリウム、三燐酸五ナトリウム塩などが
挙げられ、好ましくは燐酸一水素二ナトリウム、燐酸一
水素二カリウムである。塩基の強度にもよるが塩基性燐
酸塩の水溶液に調整した際に、pH7.5〜10の範囲
を示すものであれば塩基性燐酸塩のアルカリ金属の種類
は限定されるものではない。これらの塩基性燐酸塩は水
への溶解度が室温で0.3%以上である。
【0028】この中でも水溶液の塩基性度がpH7.5
未満の場合は中和が不充分で製品に白濁や異臭が生じ易
く、pH10をこえると製品の着色原因となり易い。上
記の燐酸塩は結晶水を含むものも、含まないものも本願
発明に使用することができる。
【0029】pH7.5〜10の水溶液は塩基性の燐酸
塩を使用することによって本願発明が達成され、他の塩
基性物質を使用してpH7.5〜10の水溶液を作成
し、メルカプトカルボン酸エステルの精製に適用しても
十分に効果を発揮しない。
【0030】通常、メルカプトカルボン酸エステルの製
造の際に、未反応のメルカプトカルボン酸やその変質物
の含量は反応条件にもよるが、通常の条件でメルカプト
カルボン酸エステルに対して0.1〜30重量%の割合
で含有されている。また触媒は添加量に相当する量が含
有されている。本願発明ではこれらの不純物を塩基性の
燐酸塩で除去し、精製することによりメルカプトカルボ
ン酸エステルに対して0.001〜0.1重量%の割合
までこれら酸不純物を低減させることが可能である。従
来、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
のメルカプトカルボン酸エステルの精製に際して、炭酸
塩等の水溶液を使用した場合には、着色や濁りが発生
し、そして有機相と水相との分液時間も12時間以上必
要であった。
【0031】本願発明で得られたメルカプトカルボン酸
エステルは着色や濁りもない。また、水洗の際に、有機
相と水相との分液時間は水洗条件によっても変動するが
通常30 分以内である。
【0032】本願発明で得られたメルカプトカルボン酸
エステルは着色や濁りがないだけでなく、水洗作業にお
いても有機相と水相の分液が極めて短時間で行われる
為、効率的に精製することが可能である。
【0033】
【実施例】実施例1 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸350g
(3.3モル)、p−トルエンスルホン酸3.0g、ト
ルエン330gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還
流温度にて脱水還流しながら6時間反応した。その際の
脱水量は約55mlであり理論値に近く反応はほぼ完結
していた。反応液を冷却後、トルエンを500g追加し
て5%燐酸一水素二ナトリウムの水溶液(pHは8.
3)1000gで水洗した。有機層、水層とも乳濁せず
10分以内に分液できた。更に500gの純水で水洗を
2回繰り返した後、外温130℃で徐々に真空度を高め
最終的に5mmHg以下になった状態で1時間保持し、
トルエンなどの低沸分を留去した。515g(収率98
%)のガードナー色数(JIS規格、K0071−2)
が1より明るい無色透明で濁りのない粘性液体が得られ
た。MASS:M=525、H−NMR(CDC
):4.4ppm(CH、2H)、4.2ppm
(CH、2H)、2.7ppm(CH、2H)、
2.6ppm(CH、2H)、1.7ppm(SH、
1H)でありトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レートのメルカプトプロピオン酸エステルが得られたこ
とが判明した。
【0034】実施例2 実施例1の水洗時に、5%燐酸一水素二ナトリウムの水
溶液1000gの代わりに5%燐酸一水素二カリウムの
水溶液(pHは8.6)1000gを用いた以外は、実施
例1と同じ方法を行い、トリス(2−ヒドロキシエチル)
イソシアヌレートのメルカプトプロピオン酸エステルが
516g得られた。ガードナー色数が1より明るい無色
透明で濁りのない粘性液体であった。
【0035】実施例3 実施例1の水洗時に、5%燐酸一水素二ナトリウムの水
溶液1000gの代わりに3%ピロリン酸カリウム塩の
水溶液(pHは9.5)1000gを用いた以外は、実
施例1と同じ方法を行い、トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)イソシアヌレートのメルカプトプロピオン酸エステ
ルが513g得られた。ガードナー色数が1より明るい
無色透明で濁りのない粘性液体であった。
【0036】実施例4 実施例1の水洗時に、5%燐酸一水素二ナトリウムの水
溶液1000gの代わりに3%トリポリ燐酸ナトリウム
塩の水溶液(pHは8.5)1000gを用いた以外
は、実施例1と同じ方法を行い、トリス(2−ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートのメルカプトプロピオン酸
エステルが514g得られた。ガードナー色数が1より
明るい無色透明で濁りのない粘性液体であった。
【0037】比較例1 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸350g
(3.3モル)、p−トルエンスルホン酸3.0g、ト
ルエン330gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還
流温度にて脱水還流しながら6時間反応した。その際の
脱水量は約55mlであり理論値に近く反応はほぼ完結
していた。反応液を冷却後、トルエンを500g追加し
て5%炭酸カリウムの水溶液(pHは11.2)100
0gで水洗した。静置1時間でも有機層、水層とも乳濁
が見られたので一晩放置後に分液した。更に500gの
純水で水洗を2回繰り返した後、外温130℃で徐々に
真空度を高め最終的に5mmHg以下になった状態で1
時間保持し、トルエンなどの低沸分を留去した。トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが505g得
られた。ガードナー色数が2より暗い僅かな着色と濁り
のある粘性液体であった。
【0038】比較例2 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸307.4g
(2.9モル)、トルエンスルホン酸3g、トルエン5
60gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還流温度に
て脱水還流しながら9時間反応した。反応液中のメルカ
プトプロピオン酸をアルカリ滴定で測定したところメル
カプトプロピオン酸の反応率は99%であった。冷後ト
ルエンを1600g追加して5%の炭酸カリウム水溶液
(pHは11.2)1000gで洗浄したが、静置1時
間でも有機層、水層とも乳濁が見られたので一晩放置後
に分液した。有機層を更に純水500gで2回水洗後減
圧留去して、495gのトリス(2−ヒドロキシエチル)
イソシアヌレートのメルカプトプロピオン酸エステルが
得られた。ガードナー色数が2より暗い僅かな着色と濁
りのある粘性液体であった。
【0039】比較例3 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸350g
(3.3モル)、p−トルエンスルホン酸3.0g、ト
ルエン330gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還
流温度にて脱水還流しながら6時間反応した。その際の
脱水量は約55mlであり理論値に近く反応はほぼ完結
していた。反応液を冷却後、トルエンを500g追加し
て重炭酸ソーダの飽和水溶液(pHは7.9)1000g
で水洗した。静置1時間でも有機層、水層とも乳濁が見
られたので一晩放置後に分液した。有機層、水層とも若
干黄色く着色していた。更に500gの純水で水洗を2
回繰り返した後、外温130℃で徐々に真空度を高め最
終的に5mmHg以下になった状態で1時間保持し、ト
ルエンなどの低沸分を留去した。トリス(2−ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートが501g得られた。ガー
ドナー色数は1より明るいが濁りのある粘性液体であっ
た。
【0040】比較例4 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸350g
(3.3モル)、p−トルエンスルホン酸3.0g、ト
ルエン330gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還
流温度にて脱水還流しながら6時間反応した。その際の
脱水量は約55mlであり理論値に近く反応はほぼ完結
していた。反応液を冷却後、トルエンを500g追加し
て重炭酸ソーダの飽和水溶液(pHは7.9)1000g
で2度水洗した。静置1時間でも有機層、水層とも乳濁
が見られたので一晩放置後に分液した。更に500gの
純水で水洗を2回繰り返した後、外温130℃で徐々に
真空度を高め最終的に5mmHg以下になった状態で1
時間保持し、トルエンなどの低沸分を留去した。トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが498g得
られた。ガードナー色数は1より明るいが濁りのある粘
性液体であった。
【0041】比較例5 温度計、攪拌器、還流脱水装置のついたフラスコにトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261g
(1.0モル)、メルカプトプロピオン酸350g
(3.3モル)、p−トルエンスルホン酸3.0g、ト
ルエン330gを仕込み、窒素気流下、攪拌を行い、還
流温度にて脱水還流しながら6時間反応した。その際の
脱水量は約55mlであり理論値に近く反応はほぼ完結
していた。反応液を冷却後、MIBK(メチルイソブチ
ルケトン)を500g追加して重炭酸ソーダの飽和水溶
液(pHは7.9)1000gで水洗した。静置1時間で
も有機層、水層とも乳濁が見られたので一晩放置後に分
液した。有機層と水層は若干黄色く着色していた。更に
500gの純水で水洗を2回繰り返した後、外温130
℃で徐々に真空度を高め最終的に5mmHg以下になっ
た状態で1時間保持し、トルエンなどの低沸分を留去し
た。トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが
496g得られた。ガードナー色数が3の黄色く着色し
た濁りのある粘性液体であった。
【0042】
【発明の効果】メルカプトカルボン酸エステルを精製す
る際に、未反応のメルカプトカルボン酸や酸触媒を炭酸
アルカリや金属水酸化物の水溶液を使用して除去する従
来の方法では乳濁現象が発生しやすく、また炭酸アルカ
リがメルカプト化合物との間で反応し黄変する問題があ
り、しかも有機相と水相との分液に長時間必要であっ
た。
【0043】本願発明ではメルカプト化合物が抱える特
有の問題に対し、メルカプトカルボン酸エステルの精製
を塩基性の燐酸塩水溶液を用いる方法により上記問題を
解決することができた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルカプトカルボン酸エステルと、塩基
    性の燐酸塩水溶液とを接触させることによる精製された
    メルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 1分子中に水酸基を2つ以上有するポリ
    オール化合物と、メルカプトカルボン酸とを反応しメル
    カプトカルボン酸エステルを製造する工程、及び得られ
    たメルカプトカルボン酸エステルを、塩基性の燐酸塩水
    溶液で水洗する工程からなる精製されたメルカプトカル
    ボン酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリオールがトリス(2−ヒドロキシエ
    チル)イソシアヌレート、又はトリス(2−ヒドロキシ
    プロピル)イソシアヌレートである請求項2に記載のメ
    ルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 メルカプトカルボン酸がメルカプト酢
    酸、又はメルカプトプロピオン酸である請求項2又は請
    求項3に記載のメルカプトカルボン酸エステルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 塩基性の燐酸塩水溶液のpHが7.5〜
    10である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載
    のメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基性の燐酸塩が燐酸一水素二ナトリウ
    ム、燐酸一水素二カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三
    カリウム、ピロ燐酸ナトリウム、及び三燐酸五ナトリウ
    ムからなる群より選ばれるものである請求項1乃至請求
    項5のいずれか1項に記載のメルカプトカルボン酸エス
    テルの製造方法。
JP2002110284A 2002-04-12 2002-04-12 メルカプトカルボン酸エステルの製造方法 Pending JP2003300967A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002110284A JP2003300967A (ja) 2002-04-12 2002-04-12 メルカプトカルボン酸エステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002110284A JP2003300967A (ja) 2002-04-12 2002-04-12 メルカプトカルボン酸エステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003300967A true JP2003300967A (ja) 2003-10-21

Family

ID=29393473

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002110284A Pending JP2003300967A (ja) 2002-04-12 2002-04-12 メルカプトカルボン酸エステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003300967A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007070417A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Sakai Chem Ind Co Ltd チオール系光硬化性モノマーおよび光硬化型樹脂組成物
CN103168064A (zh) * 2010-10-18 2013-06-19 巴斯夫欧洲公司 未交联的高官能度聚醚醇及其制备和应用
EP2011784B1 (en) 2006-04-21 2016-04-06 Mitsui Chemicals, Inc. Process for producing a pentaerythritol ester of 3-mercaptocarboxylic acid

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007070417A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Sakai Chem Ind Co Ltd チオール系光硬化性モノマーおよび光硬化型樹脂組成物
JP4677863B2 (ja) * 2005-09-05 2011-04-27 堺化学工業株式会社 チオール系光硬化性モノマーおよび光硬化型樹脂組成物
EP2011784B1 (en) 2006-04-21 2016-04-06 Mitsui Chemicals, Inc. Process for producing a pentaerythritol ester of 3-mercaptocarboxylic acid
CN103168064A (zh) * 2010-10-18 2013-06-19 巴斯夫欧洲公司 未交联的高官能度聚醚醇及其制备和应用
JP2013544913A (ja) * 2010-10-18 2013-12-19 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 非架橋高機能性ポリエーテルオール並びにその調製及び使用
KR101834594B1 (ko) 2010-10-18 2018-03-05 바스프 에스이 비가교, 고-관능성 폴리에테롤 및 이의 제조 및 용도

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW201841881A (zh) 純化烷烴磺酸酐的方法及使用純化的烷烴磺酸酐製造烷烴磺酸的方法
CN101193856A (zh) 氢氟烷烃磺酸的制备
JPS63255273A (ja) アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルの精製方法
JP2003300967A (ja) メルカプトカルボン酸エステルの製造方法
JPS60258156A (ja) アシルオキシベンゾールスルホン酸、そのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の製法
EP3030546B1 (fr) Procede de preparation de peroxydes organiques
US6603036B2 (en) Process for the manufacture of 2-ethylhexyl acrylate
EP1330449B1 (en) Process for the production of racemic thioctic acid
CA2687600A1 (en) Process for making tricyclodecenyl esters
JPWO2005040246A1 (ja) アシロキシ酢酸重合体およびその製造方法
US3285954A (en) Thiomethylenephosphinic acids
CN102906069B (zh) 二环己基二硫化物的制造方法
JP3836518B2 (ja) 3−メルカプトプロピオニトリルおよび3−メルカプトプロピオン酸の製造方法
JPS60231647A (ja) パラフインのスルホ酸化で生じた反応混合物から残留硫酸を除く方法
JPH04305563A (ja) β−メルカプトカルボン酸類の製造方法
JP3910232B2 (ja) メルカプト化合物、トリオール化合物、およびそれらの製造方法
JPH09249657A (ja) (メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法
JPS59172459A (ja) β−メルカプトプロピオン酸多価アルコ−ルエステルの製造法
JPH03106860A (ja) スルホフェニル炭酸エステルの製法
JP3945833B2 (ja) N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの製造方法
KR920004603B1 (ko) 2,2-디메톡시-2-페닐아세토페논의 제조방법
JPH051019A (ja) N−アルキルアミノエタンスルホン酸ナトリウムの製法
JP3945834B2 (ja) 高純度n−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの製造方法
JP6524454B2 (ja) ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法
JP2003192630A (ja) 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の製造法