JP2003290767A - 機能水、その製造方法及び製造装置 - Google Patents
機能水、その製造方法及び製造装置Info
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Abstract
解液を電解して洗浄効率の優れた機能水を提供する。 【解決手段】 フッ化物イオンを含む水溶液を導電性ダ
イヤモンドを有する電極を用いて電解して得られる含フ
ッ素成分を含有することを特徴とする機能水。フッ化物
イオンを導電性ダイヤモンド電極を使用して電解生成さ
れる含フッ素成分)は、電解前のフッ化物イオン自体や
フッ化物イオンを他の電極を使用して電解することによ
り得られる含フッ素成分よりも強力な洗浄効果を有し、
フッ酸の使用量を大幅に節減できる。
Description
性な機能水及びこれを製造するための方法及び装置に関
するものである。
着した金属や有機物、微粒子など汚染物を除去するため
に従来から数多くの洗浄水が考案されてきた[W.Kern,
et al.RCA Review p.187 (1970)]。例えば濃厚かつ高
温に保たれた過酸化水素と塩酸、硫酸を混合した溶液は
シリコンウェハ表面の重金属、有機物を除去するのに用
いられ、また過酸化水素とアンモニアの混合溶液は微粒
子の除去に主に利用される。
フッ化水素酸(いわゆるフッ酸、HF)、或いはフッ化ア
ンモニウム(NH4F)は、好ましい薬剤で、特に半導体工業
では、シリコンをエッチングしうるため、不可欠な薬剤
である。しかしながら、銅のような貴の酸化還元電位を
有する金属を電子部品の表面から除去する場合には、シ
リコンのエッチング反応の際に銅イオンの再付着を防止
するためにフッ酸と過酸化水素、或いはオゾンを混合す
ることが提案されている。デバイスのデザインルールの
微細化に伴い、シリコンウェハ表面の清浄度に対する要
求も年々厳しくなってきており、従来の洗浄薬液では目
標の洗浄度を達成できなくなることが予想される。従っ
て洗浄能力の高い洗浄液の開発は重要な課題である。こ
れらの多くは洗浄効果を高めるために高濃度で利用され
ているが、反応に必要な濃度や量は実際の使用量よりは
るかに少量で十分であり、残留する薬剤を含む廃水の処
理に掛かる費用、及び環境保護の立場から、前記薬剤の
使用量を下げるための検討を進めることが急務となって
いる。さまざまな努力により使用される薬剤量、とくに
硫酸や塩酸量は年々減少している。
の使用量は濃度として0.1-0.5%まで減少しているが、フ
ッ酸の後処理工程では、CaF2などの化合物としての回収
するしかないため、フッ酸の使用量を更に低減させるこ
とが要請され、そのために新規な洗浄用水、洗浄方法の
開発が必要となっている。最近になって水を電気分解す
ることにより生成する酸化性あるいは還元性を有するい
わゆる電解機能水(以下機能水と呼ぶ)が、医療、食品
など様々な分野で利用できることが報告され、通常は塩
酸や塩化アンモニウム、あるいは純水を原料として、電
解する場合が多い。前述した電子部品の洗浄工程におい
ても、前記従来からの薬剤添加に比較してオンサイト型
であるため保存や輸送に伴う危険が少なく、また廃水処
理コストの低減が可能であるため、前記機能水が注目さ
れている。
はクリーンな電気エネルギーを利用して、電極表面で化
学反応を制御することにより、水素、酸素、オゾン、過
酸化水素などを発生させ、被処理物質を間接的に分解す
るか、該物質を電極に吸着し、直接的に電気分解するこ
とが可能である。陽極での酸化反応では、水処理に有効
な酸化剤(有効塩素、オゾンなど)が生成し、一部OHラ
ジカルなどの活性種も発生することが知られており、活
性水、機能水、イオン水、殺菌水などの名称で汎用され
ている(「強酸性電解水の基礎知識」、オーム社参
照)。また一方オゾンガスの溶解したオゾン水や水素ガ
スの溶解した水素水などは、強い酸化力、還元力を有
し、分解生成物も安全な水や酸素であるため、広く利用
されている。
反応が進行する陽極としてフェライト、酸化鉛、酸化
錫、白金、DSA、黒鉛、アモルファスカーボン(glassy
carbon: GC)などが使用され、還元を行う陰極として、
鉄、白金、チタン、カーボンなどが使用される。電子部
品の洗浄水製造を目的とする場合、電極として使用しう
る材料は、長寿命の観点と処理表面への汚染が起きない
ように耐食性を有することが望ましく、特に陽極給電体
としてはチタンなどの弁金属、その合金に実質的に限定
され、電極触媒としても白金、イリジウムなどの貴金属
及びそれらの酸化物に実質的に限定される。しかしなが
らこれらの高価な材料を用いても、電流を流すと電流密
度、時間に応じて触媒や基体が消耗することが避けられ
ずに溶液中に流出することが知られており、より耐食性
の優れた電極が望まれている。
合、耐性のある電極材料が少なく安定な電解作動が困難
であり、また目的反応の電流効率では不十分であるなど
の問題があり、フッ素化合物やフッ化物イオンを含有す
る電解液を電解して機能水を製造することは実用化され
ていない。他方、ダイヤモンドは熱伝導性、光学的透過
性、高温かつ酸化に対しての耐久性に優れており、特に
ドーピングにより電気伝導性の制御も可能であることか
ら、半導体デバイス、エネルギー変換素子として有望視
されている。電気化学用電極としてSwain [Journal of
Electrochemical Society Vol.141, 3382- 、(199
4)]らは導電性ダイヤモンドの酸性電解液中での安定
性を報告し、他のカーボン材料に比較してはるかに優れ
ていることを示唆した。又4.5eVものバンドギャップの
大きさに注目してNOxのアンモニアへの還元が可能であ
ることが報告されている[Journal of Electroanalytic
al Chemistry, Vol.396, 233-, (1995)及び電気化学、
60巻、第7号、659-、(1992)]。米国特許第539924
7号明細書では導電性ダイヤモンドを陽極材料に用いて
有機廃水が分解できることが示唆されている。
工業的な利用の報告は未だ十分になされていないが、最
近になってダイヤモンド電極は水の分解反応に対しては
不活性であり、酸化反応では酸素以外にオゾンあるいは
過酸化水素の生成が報告されている(特開平9-268395、
特開平11-269686)。過酸化水素やオゾンはより酸化力
のあるOHラジカルなどの発生原料であり、それらの共存
下ではラジカルが容易に生成することが知られている。
又特開2001-192874ではダイヤモンド電極を用いた過硫
酸の製造方法が開示されている。
導体洗浄水を初めとする各種洗浄水のうち、フッ素含有
洗浄水の実用化を意図し、特殊な電極を用いることによ
り、フッ化物イオンを主原料とする洗浄能力に優れた機
能水、及び該機能水の製造方法及び製造装置を提供する
ことを目的とする。
ンを含む水溶液を導電性ダイヤモンドを有する電極を用
いて電解して得られる含フッ素成分を含有することを特
徴とする機能水、隔膜により少なくとも導電性ダイヤモ
ンドを有する陽極を収容する陽極室と陰極室に区画され
た電解槽の前記陽極室に、フッ化物イオンを含む水溶液
を供給し、両極間に通電して前記陽極室で含フッ素成分
を含有する機能水を製造することを特徴とする機能水の
製造方法、及び隔膜により少なくとも導電性ダイヤモン
ドを有する陽極を収容する陽極室と陰極室に区画され、
前記陽極室にフッ化物イオンを含む水溶液を供給し両極
間に通電して前記陽極室で含フッ素成分を含有する機能
水を生成する電解槽を用いたことを特徴とする機能水の
製造装置である。
って少なくともフッ化物イオンを電解質として含む電解
液を導電性ダイヤモンド電極を使用して電解を行うと、
高活性の含フッ素成分を含有する機能水が生成し、この
機能水は他の機能水と比較してかなり高い洗浄能力を有
している。
液であるために、次のようになる。
化過電圧の存在により、オゾン、過酸化水素の生成が可
能となる。ここでフッ化物イオンが存在すると酸素フッ
化化合物が生成すると推定され、酸素フッ化化合物とは
F2O(二フッ化酸素、Oxygen difluoride)、F2O2(二フ
ッ化二酸化物、Dioxygen difluoride)を総称する。例
えば次のようにして二フッ化酸素が生成する。
るため(HF + F-= HF2 -)、以下の経路で酸素フッ化化
合物の生成も予想される。 HF2 - + H2O = F2O +3H+ + 2e (2.21V)
くる可能性がある。 2F- = F2+ 2e (2.87V)
る。 2SO4 2- = S2O8 2- + 2e (2.01V)
ることで、活性な機能水が生成すると考えられ、詳細な
機序は不明であるが、次のように推定できる。ダイヤモ
ンド表面ではまず水が酸化されて酸素化学種が電極表面
に形成した後、酸素やオゾンが生成すると考えられる
が、ダイヤモンドの化学的安定性のためにこの水分子の
酸化は実際には起こりにくいと考えられる。一方フッ化
物イオンはアニオンであるため、陽極表面に低い電位に
おいても吸着しやすいと推定される。
ンの添加によりオゾンの発生効率が増大することが報告
されているが、これも水分子の電解酸化吸着種(原子状
酸素)と原子状フッ素との相互作用により、酸素ガスと
しての離脱が抑制されるためであると推定される。以上
の考察は、導電性ダイヤモンド電極では吸着したフッ素
原子と水との反応による酸素フッ化化合物の生成が、酸
素、オゾン、過酸化水素と競争的に起こることも示唆
し、生成すると推定できる酸素フッ化化合物が機能水の
洗浄能力を向上させていると考えられる。
物としては、NH4F(フッ化アンモニウム)、HF(フッ
酸)、H2SiF6(フッ化珪素酸)などがある。フッ化物イ
オンの濃度は0.0001M以上が好ましく、反応の選択性の
観点からは高濃度が好ましいが、経済性と電極材料の安
定性からは低濃度が好ましいため、0.01が好ましく、上
限は特になく、飽和までの任意濃度を使用できる。
うる材料は、長寿命の観点と処理表面への汚染が起きな
いように耐食性を有することが必要である。特にフッ化
物イオンが存在する場合には触媒成分や電極基体を容易
に溶解することが知られており、より耐食性の優れた電
極が望まれている。本発明の陽極は酸素フッ化化合物理
論生成電位において水の酸化反応が進行しにくい材料で
あることが重要である。導電性ダイヤモンド電極では水
の酸化反応に対して大きい過電圧を示すために、酸素フ
ッ化化合物などの生成反応が電位的に進行しうる範囲で
あるため高機能水が生成すると推定される。
極の基体は導電性材料ならば問題ないが、後述のダイヤ
モンド合成条件において安定なチタン、ニオブ、タンタ
ル、ジルコニウム、シリコン、シリコンカーバイド、カ
ーボン、タングステンカーバイドなどの板、打ち抜き
板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体が好ましい。密
着性と基体の保護を目的として中間層を形成することも
好ましい。中間層としては前記金属等の炭化物、酸化物
などがある。表面を研磨することは密着性と反応面積の
増大に寄与するため用いる方が好ましい。このときダイ
ヤモンド粉末を核として用い、基体に付着させると均一
なダイヤ層の成長に効果がある。ダイアモンドの形成方
法としては熱フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCV
D、プラズマアークジェット法、PVD法などが開発されて
いる。従来からの超高圧による合成ダイヤモンド粉末も
樹脂などの結合材を用いると使用可能である。特に電極
表面にフッ素樹脂などの疎水性成分を用いると被処理物
質をトラップしやすくなるため反応効率を向上させるこ
とができる。
フィラメントCVD法について説明する。炭素源となるア
ルコールなどの有機物を水素ガスなどの還元雰囲気に保
ち、炭素ラジカルが生成する温度1800-2400℃にする。
このときダイヤモンドが析出する温度(750-950℃)領
域に電極基体を設置する。水素に対する有機化合物ガス
濃度は0.1-10vol%、供給速度は反応容器の寸法にもよ
るが、0.01-10 l/minであり、圧力は0.001MPa〜0.1MPa
である。ダイヤモンドの微細な粒子は0.01〜10μmの粒
径を有しているので、導電性ダイヤモンドの被覆厚は基
体への液の侵入を防ぐ目的上0.1〜50μmが好ましく、
特に1〜10μmが好ましい。良好な導電性を得るために
は原子価の異なる元素を微量添加することが不可欠であ
る。ホウ素やリンの好ましい含有率は1〜100000ppmであ
り、更に好ましくは100〜10000ppmである。原料化合物
には毒性の少ない酸化ホウ素、五酸化二燐などが好まし
く使用できる。
くとも陽極室及び陰極室の2室を有することが望まし
い。隔膜を用いると陽極で生成した活性物質が陰極で還
元し分解することがなくなり、副生物の影響を小さく出
来るので隔膜を利用することが好ましい。特に導電性が
小さい溶液では導電性向上のためイオン交換膜を用いる
ことが好ましい。イオン交換膜はフッ素樹脂系、炭化水
素樹脂系のいずれでも良いが、耐食性の面で前者が好ま
しい。市販の膜としてはナフィオン(Nafion)、アシプ
レクス(Aciplex)及びフレミオン(Flemion)などが入
手できる。
前もってそれらを機械的に結合させておくか、或いは電
解時に圧力を与えておけば十分である。圧力としては0.
01〜3MPaが好ましい。隔膜としては耐食性の高いフッ素
樹脂系多孔性の親水化材料(ポアフロン、住友電工)な
ども利用できる。電極-電極或いは膜間距離(隔膜電解
槽の場合)は小さい方がセル電圧は減少するため好まし
いが、原料であるフッ化物イオンは電解面に十分な速度
で与える必要があり、適切な間隔が必要である。距離と
しては0.1mmから10mmが好ましい。このために電極間の
溶液を攪拌、循環することは好ましい。電流密度は0.00
1〜100A/dm2が好ましい。陰極としては水素発生極、
酸素ガス電極の場合があるが、耐食性を有するものであ
れば特に限定されない。前者の場合、導電性ダイヤモン
ドを用いることはその観点から有意義である。後者の場
合、ガス電極としてカーボン、金触媒を使用すると酸素
還元による過酸化水素発生を陰極で同時に生成させるこ
とも可能である。
論量の1.2倍〜10倍で良い。電解液温度5℃から40℃が
好ましいが、フッ化水素の沸点は約20℃であることか
ら、電解に利用する効率を上げるためには室温程度でセ
ルを運転することが好ましい。低濃度であれば、イオン
解離しており、またHFで気化する量はわずかであるが、
濃度が高い範囲では気化する分を無視できない。圧力を
高くすると、気化した分を有効に再溶解することがで
き、機能水の生成効率を向上させるので有利である。こ
のときの圧力は0.1MPaから1MPaが好ましい。
ることも可能であり、目的に応じてフッ化物イオン以外
に塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などを添加してもよい。これ
はフッ化物イオンの濃度が小さい場合に電解セル電圧の
増大を防止することができ、また他の電解質の電解合成
酸化性物質の効果を併用するという効果が期待できる。
電解槽材料としては耐久性の観点から、石英、及び石英
ライニング材料、カーボン、チタン、ステンレス、PTFE
樹脂が好ましい。
として酸素が発生する。気泡が洗浄工程において洗浄液
に残留していると、処理表面に付着し、表面の清浄化を
妨げる。従って洗浄プロセスに利用する前に脱気するこ
とが好ましい。脱気は、生成した機能水をいったんタン
クに受けて流速を緩和し一定時間放置すれば、比重差に
よる分離を行うことができ、簡便である。本発明の機能
水は数日保管しておいても洗浄能力が維持されるので、
使用時以外に電解セルを作動させ、保管しておくことも
可能である。洗浄方法は特に限定されず、例えば対象部
品を本発明の電解機能水に浸漬し、又は対象部品に前記
機能水を噴霧する等により前記対象部品の洗浄を行うこ
とができる。但し洗浄時の温度は高温にすることも洗浄
効率を高めるため有効である。また、ポンプを使って電
解セルと機能水貯蔵タンクの間で機能水を循環させてか
ら洗浄に使用することも可能である。本発明の機能水
は、電子部品の洗浄の他に、例えば飲料用、化粧用、衣
類洗浄用、消毒用又は殺菌用にも使用できる。
て本発明に係る機能水製造用電解槽を説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
解槽を例示する概略図である。この電解槽Aは、両側の
1対の陽極用セルプレス1aと陰極用セルプレス1b間
に、前記陽極用セルプレス1aから陰極用セルプレス1
bに向けて、順に陽極用絶縁板2a−陽極用給電板3a
−導電性ダイヤモンド陽極4a−陽極用ガスケット5a
−陽極用スペーサー兼排液口6a−隔膜7−陰極用スペ
ーサー兼排液口6b−陰極用ガスケット5b−陰極4b
−陰極用給電板3b−陰極用絶縁板2bを積層して構成
されている。この電解槽の陽極室にフッ化物イオンを有
する電解液を供給しながら両極間に通電すると酸素フッ
化化合物が生成すると推測され、これにより洗浄力に優
れた機能水が得られる。
イプの機能水製造フローを示す概略図、図3は図1の電
解槽を使用する循環タイプの機能水製造フローを示す概
略図、図4は図1の電解槽を使用するバッチタイプの機
能水製造フローを示す概略図である。図2及び3におい
て、11は直流電源であり、スィッチング、サイリスタ型
いずれでも良い。原料水溶液タンク12内のフッ化物イオ
ン含有水は原料薬液ポンプ15を介して電解槽Aに供給さ
れる。
ンパス型では、機能水中の気泡を気液分離器14で除去し
た後、機能水供給ポンプ16で機能水を使用するポイント
まで送水する。一方図3の循環型では、電解槽Aで製造
された機能水は、機能水中の気泡を気液分離器14で除去
した後、機能水貯留タンク17に貯留され、その一部が図
2の場合と同様に機能水供給ポンプ16で機能水を使用す
るポイントまで送水され、残部が機能水循環ポンプ18に
より前記電解槽Aに循環し、再度電解される。他方図4
のバッチ型では、電解槽Aで製造された機能水が直接浸
漬型洗浄槽19に供給され被洗浄装置の洗浄を行う。
管はの接液部分はフッ化物イオンに安定な配管、タンク
で構成されることが望ましく、例えばPP、PE、PFA、PTF
Eなどの不純物が少なく化学的に安定な樹脂が好まし
い。供給ポンプはマグネット、電磁定量、チューブ、ベ
ローズ方式などがあり、接液部がフッ化物イオンに対し
て化学的に安定な樹脂で形成されることが好ましい。原
料薬液は純水供給ラインに注入するか、直接電解槽に供
給してもよいが、この場合には十分な循環、攪拌をする
必要がある。生成した機能水は石英、PTFE製タンクに保
管し、使用直前まで空気に接触しない方が好ましい。洗
浄槽も同様な材料で構成する。洗浄ノズルを用いて対象
物を洗浄する場合にはPTFE製、石英製のものを用いる。
対象物は搬送装置を用いて機能水の洗浄容器に挿入す
る。
機能水を使用してシリコンウェハ表面の汚染金属除去能
力を評価した実施例を記載する。これらの実施例は本発
明を限定するものではない。
ヤモンド(ホウ素ドープ濃度1500ppm)を10μm厚で形成
したシリコン板(3mm厚さ)を2枚用い、その間に陽イオ
ン交換膜ナフィオン350(デュポン製)を配置し、電
極膜間距離をそれぞれ5mmとし、電解有効面積が80cm2で
ある図1のような電解セルを構成した。
の所定組成の原料溶液を、陰極室及び陽極室にそれぞれ
100〜200ml/minの流量で通水循環しながら、所定の電
流密度で30分電解し、これにより目的とする機能水を製
造した。
アンモニア水、濃度31%の過酸化水素水、及び純水を容
量比が1:1:5になるように調整したAPM洗浄液
(機能水)に、更に不純物としてAl、Fe及びCuを
混合した後、清浄なシリコンウェハを80℃で5分間浸漬
した。次いでこのシリコンウェハを純水中で5分間リン
スし、表面の親水性を確認した後、スピンドライヤーで
乾燥させた。以後、この方法をIAP汚染と称する。I
AP汚染により、ウェハ表面には洗浄液中の不純物重金
属が付着し、表面が汚染された。
ームレス原子吸光分析法を用いた。フッ酸と硝酸の混酸
によりウエハ表面の汚染金属を回収し、その回収液中の
金属濃度をフレームレス原子吸光分析により定量して、
表面汚染濃度に換算した。IAP汚染処理によりウエハ
表面に付着した金属濃度は、Alが1×1012atoms/c
m2、Feが1×1011atoms/cm2、Niが5×1011atoms
/cm2、Znが3×101 1atoms/cm2、Cuが3×1011ato
ms/cm2レベルであった。このようにして作製したIA
P汚染ウエハを各種機能水で5分間洗浄したあと、純水
中で5分間リンスし、スピンドライヤーで乾燥させた。
洗浄処理後のウエハは上述の方法によりウエハ表面の汚
染金属を回収し、その回収液中の金属濃度をフレームレ
ス原子吸光分析により定量した。
(実施例2)、0.01M(実施例3)、0.1M(実施例
4)及び1M(実施例5及び6)である6水準で電解を
行い、洗浄試験を行った。実施例5では電流密度を10A
/dm2、実施例6では電流密度を20A/dm2とした。実施
例1〜3(フッ酸濃度が0.01M以下)では電流密度を10
A/dm2まで高めようと試みたが、溶液の電気抵抗が低
いため、電流密度は実施例1では0.15A/dm2、実施例
2では1A/dm2、実施例3では2A/dm2までしか上げ
られず、それぞれの電流密度で電解を行った。
であり電流密度10A/dm2以上で電解ができた実施例4
〜6では、表1に示すようにAl、Fe、Ni、Zn及
びCuの全ての金属に関して検出限界未満まで除去でき
た。他方原料の希フッ酸濃度が0.0001〜0.01Mであり電
流密度を2A/dm2までしか上げられなかった実施例1
〜3では、表1に示すように各金属が完全には除去でき
ず実施例4〜6より僅かに除去能力が劣るものの、十分
な電流密度が得られなかった割には優れた除去効果が得
られたことが分かる。より出力の大きい電源を使用した
り、フッ酸以外の電解質を添加することで電流密度を上
げることができれば希フッ酸濃度が0.0001〜0.01Mでも
更に高度な除去能力が得られると推測できる。
電解を行っていない希フッ酸(比較例1:0.01M、比較
例2:0.1M)を使用して同様の洗浄試験を実施したと
ころ、表1に示すように、Al、Fe、Ni、Zn及び
Cuの全ての金属に関して実施例1〜6の場合より除去
能力が大幅に劣ることが分かった。
(実施例8)、0.01M(実施例9)、0.1M(実施例1
0)及び1M(実施例11)である5種類の実施例1〜6
と同様の水溶液を準備し、それぞれの水溶液に硫酸を1
Mとなるように添加して電解し機能水とし、5水準で洗
浄試験を行った。硫酸が添加されているため溶液の電気
伝導度は十分に高く、全て20A/dm2の電流密度での電
解が可能であった。その結果、表1に示す通り、希フッ
酸濃度が最も薄い実施例7(0.0001M−HF)でAlと
Cuが僅かに残留したほかは全て検出限界未満まで除去
できた。実施例7に関しても十分に高度な除去レベルで
あるといえる。
にして洗浄試験を実施したところ、表1に示すように、
Al、Fe、Ni、Zn及びCuの全ての金属に関して
実施例1〜11の場合より除去能力が大幅に劣ることが分
かる。
溶液(実施例9の電解前の原料と同じ)を使用して比較
例1と同様にして洗浄試験を実施したところ、表1に示
すように、硫酸だけの場合(比較例3)と比較してAl
の除去能力は向上したが、Cuの除去能力は比較例3と
同様に悪く、全体的にみても除去能力は劣っていた。
用して比較例1と同様にして洗浄試験を実施したとこ
ろ、表1に示すように、全体的に残留金属濃度が高く、
特にAl及びCuの除去能力が劣っていることが分か
る。
は実施例9と同様にして洗浄試験を行った。つまり電解
を行った1M硫酸水溶液に未電解フッ酸を添加した溶液
を使用して比較例1と同様にして洗浄試験を実施したと
ころ、表1に示すように、全体的に残留金属濃度は低い
が、全ての金属濃度が検出限界未満まで低下した実施例
9よりは高く、除去能力が劣っていることが分かる。こ
のことは、フッ酸を電解することによりフッ素活性種が
生成し、金属の除去能力が高められていることを示唆し
ている。
硫酸−過酸化水素混合液(SPM)を使用して約100℃
でシリコンウエハの洗浄を行った。SPMは金属除去能
力の高い洗浄液として知られているが、表1に示すよう
に実施例1〜12の機能水(洗浄液)の方が金属除去能力
が高いことが分かる。
間放置してから洗浄試験を行った。その結果を表1に示
す。僅少量のFe及びZnが検出されたが、実施例10の
機能水の金属除去能力と比較して殆ど差がなく、これに
よりフッ酸と硫酸の混合溶液を電解して得られる機能水
は、洗浄能力の寿命がかなり長いことが分かった。
たこと以外は実施例4と同じ条件で機能水を製造した。
この方法では陽極液と陰極液が混合した機能水が製造さ
れ、表1に示す通り残留する金属の濃度は実施例4より
僅かに高い程度(FeとCuが検出可能になった)で十
分な金属除去能力を有することが分かった。
を導電性ダイヤモンドを有する電極を用いて電解して得
られる含フッ素成分を含有することを特徴とする機能水
である。フッ化物イオンを導電性ダイヤモンド電極を使
用して電解生成される含フッ素成分(二フッ化酸素や二
フッ化二酸素と推定される)は、電解前のフッ化物イオ
ン自体やフッ化物イオンを他の電極を使用して電解する
ことにより得られる含フッ素成分よりも強力な洗浄効果
を有し、その効果はフッ化物イオンの濃度が0.0001M以
上であるときに特に著しい。又フッ酸の使用量を大幅に
節減できる。これは、通常の高濃度薬液方法では除去し
にくい金属付着物が、低濃度の薬液原料と電気分解エネ
ルギーにより簡便に除去できるからであると推測でき、
これにより次のような工業的、経済的効果が期待でき
る。
る。 薬品使用による環境負荷を低減できる。 高濃度薬品の使用あるいは貯蔵のために利用せざる
を得なかった耐食性に優れた高価な配管、装置材料を使
用しなくて済む、あるいは節減できる。 使用後の廃水処理費用を軽減できる。 作業者に対する安全性を向上できる。 高濃度の薬液では大量に必要であった洗浄用超純水
の使用量も大幅に低減できる。 電極が使用時及び停止時において非常に安定である
ため、触媒劣化防止のための保護電流回路、電源、電池
などを省略でき、電解機能水生成装置としても製造コス
トを軽減できる。
ンを含んでいると、更に洗浄効果が増大する。フッ化物
イオンを導電性ダイヤモンド電極で電解して機能水を製
造する際に、隔膜式電解槽を使用すると、陽極で生成す
る含フッ素成分が陰極に接触して分解することが防止で
きる。脱気により、機能水中の気泡を除去すると、気泡
が洗浄工程において機能水(洗浄液)に残留することが
なくなり、処理表面に気泡が付着し、表面の清浄化を妨
げることがなくなる。
る概略図。
水製造フローを示す概略図。
造フローを示す概略図。
製造フローを示す概略図。
Claims (7)
- 【請求項1】 フッ化物イオンを含む水溶液を導電性ダ
イヤモンドを有する電極を用いて電解して得られる含フ
ッ素成分を含有することを特徴とする機能水。 - 【請求項2】 フッ化物イオン及び硫酸イオンを含む水
溶液を導電性ダイヤモンドを有する電極を用いて電解し
て得られる含フッ素及び含硫黄成分を含有することを特
徴とする機能水。 - 【請求項3】 フッ化物イオンを含む化合物が、フッ
酸、フッ化アンモニウム及びフッ化珪素酸から成る群か
ら選択される1又は2以上の化合物である請求項1又は
2に記載の機能水。 - 【請求項4】 フッ化物イオンの濃度が0.0001M以上で
ある請求項1から3までのいずれかに記載の機能水。 - 【請求項5】 隔膜により少なくとも導電性ダイヤモン
ドを有する陽極を収容する陽極室と陰極室に区画された
電解槽の前記陽極室に、フッ化物イオンを含む水溶液を
供給し、両極間に通電して前記陽極室で含フッ素成分を
含有する機能水を製造することを特徴とする機能水の製
造方法。 - 【請求項6】 隔膜により少なくとも導電性ダイヤモン
ドを有する陽極を収容する陽極室と陰極室に区画され、
前記陽極室にフッ化物イオンを含む水溶液を供給し両極
間に通電して前記陽極室で含フッ素成分を含有する機能
水を生成する電解槽を用いたことを特徴とする機能水の
製造装置。 - 【請求項7】 電解槽に、該電解槽中で生成する機能水
中の気泡の分離手段を付属せしめた請求項6に記載の機
能水の製造装置。
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