JP3677129B2 - 電解イオン水による洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解イオン水による洗浄方法に係り、とくに電解質溶液を電気分解して生成された電解イオン水を用いて半導体ウェーハなどを洗浄する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から電解イオン水生成装置により生成された電解イオン水は、各分野に利用され、とくに半導体装置の製造や液晶の製造などに多く用いられている。半導体装置の製造においては、純水や超純水を電気分解して得られた電解イオン水でシリコンなどの半導体基板を洗浄したり、ポリッシング等に利用している。これまで半導体装置の製造において半導体基板の洗浄などにはフロンなどの弗素系溶剤が用いられていたが、生活環境に悪影響を及ぼすので敬遠され始め、代わりに純水や超純水などの水が最も安全な溶剤として利用されるようになった。純水は、イオン、微粒子、微生物、有機物などの不純物をほとんど除去した抵抗率が5〜18MΩcm程度の高純度の水である。超純水は、超純水製造装置により水中の懸濁物質、溶解物質及び高効率に取り除いた純水よりさらに純度の高い極めて高純度の水である。これらの水を電気分解することによって酸化性の強い陽極イオン水(酸性水)や還元性の強い陰極イオン水(アルカリ性水)などの電解イオン水が生成される。
【0003】
半導体装置や液晶などの製造においては、これら陽極イオン水や陰極イオン水などの純水や超純水を用いて基板の表面を洗浄することが検討されている。
従来の電解イオン水を生成する電解イオン水生成装置を図11に示す。電解槽50は、陰極室52と陽極室53とを備え、陰極室52には陰極541が配置され、陽極室53には陽極542が配置されている。そして、これら電極54(陰極541、陽極542)は共に白金又はチタンなどから構成されている。陰極室52で形成される陰極イオン水58及び陽極室53で形成される陽極イオン水59とを効率よく分離するために陰極室と陽極室とはセラミックや高分子などの多孔質の隔膜56で仕切られている。電解槽50の陰極541は、直流電源66の負極67に接続され、陽極542は、その正極68に接続されている。電解槽50では電源66からの電源電圧を印加して電解槽50の超純水供給パイプ61から供給された純水に、例えば、塩化アンモニウムなどの支持電解質を添加した希釈電解質溶液51を電気分解する。この電気分解の結果陰極541側で生成される陰極イオン水はアルカリ性水であり、陽極542側で生成される陽極イオン水は酸性水である。
【0004】
陰極室52で生成された陰極イオン水58は、陰極イオン水供給パイプ62から外部に供給され、陽極室53で生成された陽極イオン水59は、陽極イオン水供給パイプ63から外部に供給される。通常は陰極室52でアルカリ性水が生成されるので、例えば、半導体装置の製造に用いられるポリッシング装置を使用する場合、アルカリ性水を用いてポリッシングを行うには、電解槽50に接続された陰極イオン水供給パイプ62をイオン水供給パイプとしてアルカリ性水をポリッシング装置の研磨布に供給する。この場合、陽極室53で生成される酸性水は不要なので廃棄される。したがって、陽極イオン水供給パイプ63はイオン水を排出するイオン水排出パイプに接続される。また、酸性水を用いてポリッシングを行うには、電解槽50に接続された陽極イオン水供給パイプ63がイオン水供給パイプとなって酸性水を研磨布に供給する。この場合、陰極室52で生成されるアルカリ性水は不要なので廃棄される。従って陰極イオン水供給パイプ62がイオン水を排出するイオン水排出パイプに接続される。
以上のように、電解槽50は、隔膜56により2槽に分離され、各電極は分離されたそれぞれの槽に配置されるので、それぞれの槽からアルカリ性水又は酸性水を目的に応じて取り出すことができる。
【0005】
前述のように電解イオン水には、アルカリ性水と酸性水があり、電解槽内で希釈された、例えば、HCl、HNO3 、NH4 Cl、NH4 Fなどの電解質溶液を電解することによって任意のpHの電解イオン水が生成される。
しかしこの方法では、電解質溶液に含まれる金属イオンや電極から発生する金属イオンも電極で発生する電界に引かれ、電解槽、特にアルカリ槽(陰極室)内に多く入り込み、電解イオン水の純度を低下させていた。
最近電解イオン水を半導体装置の製造におけるウェーハの洗浄用などとして使用する要求が強くなってきた。このような現状において半導体装置では微量な金属不純物がデバイス特性に大きな影響を与えるために電解イオン水の高純度化が必要となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
半導体基板の洗浄に電解イオン水を使用する際、パーティクル、金属汚染などのないことが不可欠である。金属電極を用いた場合、電極は通常一般室で製造されており、様々な金属元素が電極中に含有されている。耐酸化性の高いPt等の貴金属でコーティングされているような電極を使用しても、陽極側では微量ながらPtを含めて多種の金属元素が溶出してきて、生成される電解イオン水中に含まれてしまう。このような現象は、金属酸化物から構成された電極を用いても同様である。また、電極に炭素を用いることも知られているが、炭素電極を電解槽に用いると、水の電気分解によって酸素が発生し、とくに陽極側では次式(1)示すように炭素が発生した酸素と反応して電極が著しく消耗する。
C+O2 →CO2 ↑ ・・・(1)
その結果電極表面が侵されて炭素片が電極からこぼれ落ちる。この炭素片がパーティクルの原因となってしまう。
高濃度で塩酸添加し電気分解した場合、コストメリットはなくなり、また環境に悪影響を及ぼす。
本発明は、洗浄工程におけるランニングコストの削減及び排水の無公害化、作業環境安全性の向上を可能にする電解イオン水生成装置から生成した電解イオン水を用いたウェーハなどの洗浄方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、結晶性の炭素成型体の表面にアモルファスの炭素層で被覆した炭素電極を有する電解イオン水生成装置を使用し、この中で高濃度の塩酸からなる支持電解質を有する電解質溶液を電気分解して金属汚染のない電解イオン水を生成し、この電解イオン水を超純水で希釈し、この希釈した電解イオン水を用いてウェーハなどを洗浄することを特徴としている。即ち、請求項1の発明は、純水又は超純水に支持電解質を加えて高濃度の電解質溶液を形成する工程と、陽極が収容されている陽極室及び陰極が収容されている陰極室からなる電気分解用電解槽に前記電解質溶液を供給する工程と、前記電解槽内において前記電解質溶液を電気分解して電解イオン水を生成する工程と、前記生成された電解イオン水を前記純水又は超純水で希釈する工程と、前記希釈された電解イオン水を洗浄水として基板を洗浄する工程とを備え、濃度を1000〜100000ppmとする塩酸を支持電解質とする電解質溶液を前記陽極室に供給し、アンモニアを支持電解質とする電解質溶液を陰極室に供給し、前記アンモニアを支持電解質とする電解質溶液のアンモニアの濃度は、前記塩酸を支持電解質とする電解質溶液の塩酸濃度より薄い10〜500ppmであり、前記陽極及び陰極からなる電極は、結晶性炭素の成形体及びその表面に形成されたアモルファス炭素層から構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記電極が少なくとも一部が所定の間隔をおいてフィルタに覆われている請求項1又は請求項2に記載の電解イオン水による洗浄方法を特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、前記アンモニアを支持電解質とする電解質溶液にこのアンモニア濃度と同程度の塩酸を添加する請求項1又は請求項2に記載の電解イオン水による洗浄方法を特徴とする。
焼成などにより成形したグラファイトなどの結晶性炭素電極は、多くの細孔があり、表面には凹凸面が形成されている。炭素電極は、表面積が広いため電解効率が上がる点でも望ましい材料である。そこで電極の成形体を形成後にアモルファスなどの炭素層を表面に形成する。成形体表面の細孔内部にまで炭素層が堆積するので炭素元素同志の結合を強めて炭素片を欠落し難くしている。また、電極表面などにフィルタで覆うことにより炭素片が欠落した場合でも、これをフィルタで捕獲して電解イオン水中へのパーティクル混入を防ぐようにすることもできる。支持電解質である塩酸を高濃度で添加することにより、電極反応において前記(1)式の反応が著しく少なくなり、酸素発生主体の反応から塩素発生主体の反応となるのでとくに陽極側で問題となる炭素欠落を十分抑制できる。
【0010】
また陽極では、酸素が発生する((2)式)他に支持電解質である塩酸中の塩素イオンが陽極で反応して塩素が発生する((3)式)。
2H2 O→4H++O2 ↑+2e− ・・・(2)
2Cl−→Cl2 ↑+2e− ・・・(3)
上記表面に炭素層を形成した本願発明の炭素電極を用い、0.1〜10wt%の高濃度塩酸を含む電解質溶液を電気分解すると前記のように塩素発生が支配的になり酸素発生が少なくなって酸素による悪影響が著しく少なくなる。その結果電極から欠落してくるパ−ティクルが含まれない高純度の電解イオン水を生成することができる。
このような電解イオン水生成装置により生成された電解イオン水は、電位に影響のない範囲で希釈して洗浄水とし、この洗浄水を用いて半導体ウェーハなどを洗浄する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を実施するために用いられる電解イオン水の生成方法に用いる電解イオン水生成装置の電解槽の概略断面図である。電解槽1は、陽極室2と陰極室3とに分かれており、両者は、その境界に配置されたイオン交換膜6で分離されている。電解槽1には、本発明の特徴である炭素電極が設置されている。炭素電極は、陽極4と陰極5とからなり、陽極4は陽極室2、陰極5は陰極室3に配置されている。陽極4及び陰極5の一端はいずれも電解槽1の上蓋に固定されている。図示はしないが、陽極4は、直流電源の正極に接続され、陰極5は、電源の負極に接続されている。電解槽1の下部から支持電解質の添加された超純水もしくは純水が電解質添加超純水供給ライン8、9を介して供給される。陽極室2には第1の電解質添加超純水供給ライン8が接続されており、陰極室3には第2の電解質添加超純水供給ライン9が接続されている。電極4、5間に通電して供給ライン8、9から供給される支持電解質の添加された超純水、すなわち、電解質溶液を電気分解することによって電解イオン水を生成する。
【0012】
陽極4のある陽極室2では酸性水が生成され、陰極5のある陰極室3ではアルカリ性水が生成される。陽極室2及び陰極室3には、それぞれ電解イオン水排水ライン10、11(すなわち、酸性水排水ライン10及びアルカリ性水排水ライン11)が形成され、そこから電解イオン水が排出される。電解質溶液の電解質濃度は、陽極室側の電解質溶液が塩酸1000〜100000ppm(0.1〜10wt%)程度、陰極室側の電解質溶液がアンモニア10〜500ppm程度にするのが適当である。導電性を上げるには陰極室側へ供給される電解質溶液にさらに塩酸を10〜500ppm程度アンモニアの量に合わせて添加すると良い。電解質溶液のpHは、8〜9程度になるようにする。電解イオン水排水ライン10、11は、ウェーハ洗浄装置へ電解イオン水を供給する電解イオン水供給ラインでもある。電気分解を行っている間は、電解イオン水排出ライン10、11の開閉バルブ18、19は開き、電解イオン水排出ライン10、11の分岐ラインである酸性水分岐ライン27及びアルカリ性水分岐ライン28の開閉バルブ20、21は閉じておく。
【0013】
図3は、電極(陽極)の斜視図及び部分側面図である。この発明の実施の形態における陽極4は、図示のように板状である。本発明で用いられる形状は様々であり、板状はもとより、丸棒状、多角柱などを用いることができる。陽極は、グラファイトなどの結晶性炭素を成型し、1000℃〜1200℃程度の熱で数時間から数100時間焼成して得られる。焼成した成型体41は、多孔性であり、その表面には凹凸が生じている。成型体41は、アモルファス炭素材料に浸漬され焼成されて、細孔の中にまで炭素層42が形成されている。炭素層42は、成型体41表面の凹凸に沿って密着しているので、炭素元素同志の結合を強め、炭素片を欠落し難くしている。炭素層42を形成する手段としては、この他に減圧CVD法や真空蒸着法などが用いられる。
電解槽1内の電極(陽極4及び陰極5)は、例えば、シリカ性の清浄度の高いフィルタ7で覆われている。覆われている度合いは、一部でも全体でも構わない。図では、一部覆われているものを示す。電極とフィルタの間には3〜10mm程度の間隔が開いている。フィルタ7と電解槽1本体とは、例えば、間にパッキン24、25を挟み、ネジ26で止めることによって接合されている。電気分解により陽極4や陰極5から炭素片の欠落が予想されるが、欠落した炭素片は、フィルタ7に捕獲され、電解イオン水中には含まれない。
【0014】
フィルタ7の材料としては、例えば、ドライフィルタに用いられる石英を焼き固めたセラミックフィルタがある。セラミックフィルタは、例えば、粒径の異なる3層の成型体からなり、不純物を十分取り除くことができる。図4は、フィルタ7の斜視図である。
本発明による電極構造の改良により電極からの炭素片の欠落は著しく減少するが、電気分解を長時間続けるとフィルタ7内の炭素片は多少とも残っている。これを排除するため、電解槽1に洗浄用超純水供給ライン及び排水ラインを取り付ける。陽極室4上部には、第1の洗浄用超純水供給ライン12を接続し、下部には第1の洗浄用超純水排水ライン14を接続する。陰極室5上部には、第2の洗浄用超純水供給ライン13を接続し、下部には第2の洗浄用超純水排水ライン15を接続する。フィルタ内を洗浄する時には電気分解処理を止め、電解イオン水排出ライン10、11の開閉バルブ18、19を閉める。そして洗浄用超純水供給ライン12、13の開閉バルブ16、17を開き、酸性水分岐ライン27及びアルカリ性水分岐ライン28の開閉バルブ20、21及び洗浄用超純水供給ライン14、15の開閉バルブ22、23を開く。フィルター内の炭素片を洗い流した後は、前記開閉バルブ16、17及び20〜23を閉め、前記電解イオン水排出ライン10、11の開閉バルブ18、19を開いて電気分解を行う。
【0015】
さらに万一のために電解イオン水排水ライン10、11にパーティクルフィルタ29、30を設置する。
図5は、図1のA−A′線に沿う部分の断面図である。図に示す様に陽極4及び陰極5からなる電極は、複数個の成型体から構成されている。フィルタ7は、各電極の各成型体の周囲を囲んでいる。図6は、フィルタに関する他の実施例である。電極から生じる不純物を取り除くのは、この不純物が生成された電解イオン水に入り込まないようにするためである。したがって、電解イオン水を外部に供給する電解イオン水排水ラインに取り付ければ、とくに電極に囲むように配置する必要はない。したがって、ここでは、高純度セラミックからなるフィルタ7は、電解イオン水排水ラインに取り付けられている。図7は、図5及び図6のいずれの場合とも異なり、電解槽1の内部表面に固定してある。炭素片の電解イオン水への混入は少ない。
図2は、図1に示した電解イオン水生成装置を半導体ウェーハの洗浄に適用した半導体製造装置のシステム図である。このシステムは、基本的には、超純水もしくは純水を収容している超純水タンク45、電解槽1を含む電解イオン水生成装置及び半導体ウェーハ洗浄槽39から構成されている。
【0016】
電解槽1に接続されている図1に示された洗浄用超純水供給ライン及び排水ラインは、半導体ウェーハの洗浄に直接関わっていないのでこの図2では記載を省略する。超純水タンク45からは、第1の超純水ライン31及び第2の超純水ライン32が導出されている。第1の超純水ライン31は、電解質添加超純水供給ライン(電解質溶液供給ライン)8を分岐し、酸性水排水ライン10と合流して洗浄槽39に接続されている。第2の超純水ライン32は、電解質添加超純水供給ライン(電解質溶液供給ライン)9を分岐し、アルカリ性水排水ライン11と合流して洗浄槽39に接続されている。電解質溶液供給ライン8は、電解質タンク48から供給された塩酸(HCl)と超純水とをミキサー46でミキシングされて形成された電解質溶液を電解槽1に供給する。電解質溶液供給ライン9は、電解質タンク43から供給された塩酸(HCl)と電解質タンク49から供給されたアンモニア(NH3 )と超純水とをミキサー47でミキシングして形成された電解質溶液を電解槽1に供給する。
【0017】
陽極室側で生成された酸性水は、希釈後の溶存塩素濃度が2〜20ppm程度になるように超純水ライン31で希釈され、ミキサー37でミキシングされて半導体ウェーハ40の洗浄に用いられる。陰極室側で生成されるアルカリ性水も超純水ライン32において希釈され、ミキサー38でミキシングされる。その希釈の度合いは、10〜100倍程度とする。洗浄については、パーティクルや金属コンタミの除去効果を上げるため、弗酸、硝酸、塩酸等の他の薬液と組み合わせて使用する。アルカリ性水も界面活性剤などの薬液と組み合わせて使用する。薬液の濃度は、0.1〜5%程度が適当である。これらは薬液タンク33、34からポンプ35、36により吸い上げられ混合される。ミキサー37、38により均一に混合された電解イオン水は、洗浄槽39へ供給され、半導体基板40の洗浄を行う。
電解イオン水を半導体ウェーハの洗浄に用いる場合、金属系電極を用いればパーティクルは抑えられるものの、金属がイオンとなって陽極から溶出してくる。炭素電極単体では、陽極が酸化すること(CO2 発生)により表面が浸食され、炭素片が欠落し多量のパーティクルが発生してしまう。
【0018】
次に、図8のプロセス図を参照して超純水から電解イオン水生成を生成し、この電解イオン水を用いてウェーハを洗浄するまでのプロセスを説明する。
支持電解質(2)は、超純水もしくは純水(1)に添加されて電解質溶液(3)が形成される。電解槽の陽極室には塩酸(HCl)の電解質溶液を供給し、陰極室にはアンモニア(NH3 )と必要に応じて塩酸(HCl)とを添加した電解質溶液を供給する。電解質溶液は、電解槽で電気分解(4)され、陽極室で酸性イオン水が生成され、陰極室でアルカリ性イオン水が生成される。生成された電解イオン水は、超純水(1)と混合され、希釈されてウェーハの洗浄処理(6)に利用される。超純水(1)には必要に応じて薬液(5)が添加されてパーティクルが除去される。すなわち、酸性イオン水には界面活性剤などが添加され、アルカリ性イオン水には硝酸、塩酸もしくは弗酸が供給される。
【0019】
図9は、本発明の洗浄方法に用いる酸性イオン水の酸化還元電位(ORP)とpHを示す特性図である。縦軸は、酸化還元電位(mV)を表し、横軸は、pHを表す。この酸性イオン水は、塩酸(HCl)濃度が1000ppmの電解質溶液を電気分解し、これを超純水で10倍に希釈して得られたものである。黒丸 (a)は、超純水で希釈しない酸性イオン水、白い三角(b)は、超純水で10倍に希釈した酸性イオン水、白い四角(c)は、超純水で100倍に希釈した酸性イオン水である。なお、二重丸は、純水を表している。これら酸性イオン水は、図に示すような特性を有している。これら電解イオン水のORP値及びpH値共に長時間変化しない。従来は、電気分解に必要な濃度1000ppm以下で電解質溶液を電気分解していたが、本発明では、1000ppmを越える高濃度で電気分解を行うので、電極反応が前述のように塩素発生主体になり、炭素欠落が著しく減少する。
【0020】
図10は、生成された電解イオン水の酸化還元電位(ORP)とpHの経時変化を説明する特性図である。縦軸の左側は、この酸化還元電位(mV)を表し、右側は、電解イオン水のpHを表す。横軸は、本発明で行われる電気分解の電解時間(h)を表す。電気分解を500時間連続して行っても生成される電解イオン水のORPやpHなどの特性には殆ど変化は認められなかった。
このように、本発明では、電気分解するための電解槽の電極にアモルファス炭素層で被覆された結晶性の炭素成形体を用い、電解槽で電気分解される電解質溶液中の塩素濃度を0.1〜10wt%の高濃度にすることにより電極の炭素欠落を抑制することができる。また、電極周りにフィルターを設置し、発生するパーティクルを捕集することもできる。
電気分解後に電解イオン水を希釈すればこの電解イオン水をウェーハ洗浄などに実用化できる。希釈後の電解イオン水は、稀薄濃度で電解し生成した電解イオン水と特性は変わらない。
【0021】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、超純水を電気分解する際に生じるパーティクル発生、金属汚染を抑え、半導体ウェーハの洗浄への使用に耐え得る高清浄な電解イオン水を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解イオン水生成装置における電解槽の概略断面図。
【図2】本発明の電解イオン水生成装置及び洗浄装置の概略システム図。
【図3】本発明の陽極の斜視図及び断面図。
【図4】本発明に用いる高純度フィルタの斜視図。
【図5】図1のA−A′線に沿う部分の断面図。
【図6】本発明の電解槽の断面図。
【図7】本発明の電解槽の断面図。
【図8】本発明の電解イオン水生成方法を説明するフローチャート図。
【図9】本発明の特性を説明する電解イオン水中のパーティクル数の電解質溶液中のHCl濃度依存性を示す特性図。
【図10】本発明の特性を説明する電解イオン水の酸化還元電位とpHの経時変化を説明する特性図。
【図11】従来の電解槽の断面図。
【符号の説明】
1・・・電解槽、 2・・・陽極室、 3・・・陰極室、
4・・・陽極、 5・・・陰極、 6・・・イオン交換膜、
7・・・高純度フィルタ、 8、9・・・電解質添加超純水供給ライン、
10・・・酸性水排水ライン、 11・・・アルカリ性水排水ライン、
12、13・・・洗浄用超純水供給ライン、
14、15・・・洗浄用超純水排水ライン、
16、17、18、19、20、21、22、23・・・開閉バルブ、
24、25・・・パッキン、 26・・固定ネジ、
27・・・酸性水分岐ライン、 28・・・アルカリ性水分岐ライン、
29、30・・・パーティクルフイルタ、
31、32・・・超純水ライン、 33、34・・・薬液タンク、
35、36、49、44、70・・・ポンプ、
37、38、46、47・・・ミキサー、
39・・・洗浄槽、 40・・・半導体ウェーハ、
41・・・成型体、 42・・・炭素層、 45・・・超純水タンク、
48、43、49・・・支持電解質タンク。
Claims (3)
- 純水又は超純水に支持電解質を加えて高濃度の電解質溶液を形成する工程と、
陽極が収容されている陽極室及び陰極が収容されている陰極室からなる電気分解用電解槽に前記電解質溶液を供給する工程と、
前記電解槽内において前記電解質溶液を電気分解して電解イオン水を生成する工程と、
前記生成された電解イオン水を前記純水又は超純水で希釈する工程と、
前記希釈された電解イオン水を洗浄水として基板を洗浄する工程とを備え、
濃度を1000〜100000ppmとする塩酸を支持電解質とする電解質溶液を前記陽極室に供給し、アンモニアを支持電解質とする電解質溶液を陰極室に供給し、前記アンモニアを支持電解質とする電解質溶液のアンモニアの濃度は、前記塩酸を支持電解質とする電解質溶液の塩酸濃度より薄い10〜500ppmであり、前記陽極及び陰極からなる電極は、結晶性炭素の成形体及びその表面に形成されたアモルファス炭素層から構成されていることを特徴とする電解イオン水による洗浄方法。 - 前記電極は、少なくとも一部が所定の間隔をおいてフィルタに覆われていることを特徴とする請求項1に記載の電解イオン水による洗浄方法。
- 前記アンモニアを支持電解質とする電解質溶液にこのアンモニア濃度と同程度の塩酸を添加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電解イオン水による洗浄方法。
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