JP2003289861A - 蛋白分解酵素を安定化させるための修飾担体、当該修飾担体により化学修飾された蛋白分解酵素および当該蛋白分解酵素の製造方法 - Google Patents
蛋白分解酵素を安定化させるための修飾担体、当該修飾担体により化学修飾された蛋白分解酵素および当該蛋白分解酵素の製造方法Info
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Abstract
担体、並びに当該修飾担体により化学修飾された蛋白分
解酵素及び当該酵素の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の修飾担体は、下記の一般式
(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マ
レイン酸を単量体成分とした共重合体: 【化1】 であり、蛋白分解活性を有する本発明の修飾酵素を製造
する際には、上記の修飾担体を、蛋白分解酵素を含む水
溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml当たり
1.25mg以上を秤量し、蛋白分解酵素を含む水溶液
に修飾担体を添加して反応させる。かかる製法により得
られた修飾酵素は、透析処理や加熱による酵素活性低下
の影響が小さく、安定性に優れたものである。
Description
コール、糖類、ホウ素含有化合物などが共存していなく
ても、蛋白分解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も
良く、さらに透析処理後も高い活性を保持するための修
飾担体、及びこのような修飾担体を用いて化学修飾され
た繰り返し使用可能な蛋白分解酵素(以下、修飾酵素と
いう)に関する。又、本発明は、このような修飾酵素の
製造方法に関するものでもある。
医療、食品、化粧品、洗浄剤などに用いられ、優れた効
果をあげている。蛋白分解酵素は、加熱などの物理的条
件の負荷や界面活性剤などの共存成分の影響などで、変
性したり自己消化などを起こし失活しやすい。乾燥粉末
状態では比較的安定ではあるが、特に水溶液中では、安
定性が著しく低下する。このような安定性の低下を防ぐ
目的で、ホウ素含有化合物などの無機塩やグリセリンな
どの多価アルコール、セルロース誘導体などの糖類およ
びポリエチレングリコールなどの合成高分子などを添加
して安定性を保つ工夫がなされている。しかし、水など
の溶媒により希釈を繰り返したり透析したりすると、安
定化のために添加した物質の濃度が減少して良好な安定
性を維持できなくなる。このため、酵素を繰り返し使用
することは不可能である。
蛋白分解酵素を化学修飾することにより、安定性を増加
させる方法がいくつか報告されている。例えば、特開平
7−155182号公報には、トリアジン環を介して多
糖類とプロテアーゼが結合した化学修飾プロテアーゼに
カルシウムが含有されると安定性が増強することが記載
されている。また、特開平6−240297号公報に
は、蛋白分解酵素存在下でリパーゼあるいはアミラーゼ
をメチルビニルエーテルと無水マレイン酸共重合体で化
学修飾するとリパーゼ、アミラーゼの安定性が向上する
方法が提案されている。しかしながら、単独酵素をメチ
ルビニルエーテルと無水マレイン酸共重合体で化学修飾
してもその効果が低く、特開平6−240297号公報
記載の方法の場合には、各種酵素の存在下、化学修飾さ
れた蛋白分解酵素の安定性について改良すべき点があ
る。その上、リン酸緩衝液中では、メチルビニルエーテ
ル−無水マレイン酸共重合体の溶解形態は、直線状であ
るためメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体
はランダムに蛋白分解酵素と反応する確率が高いため、
蛋白分解酵素の活性部位あるいはその近傍で反応し、活
性部位の作用を失わせたり、活性部位の近傍に反応した
メチルビニールエーテル−無水マレイン酸共重合の立体
障害のため基質との反応性の低下を招き易い。さらに溶
解している修飾酵素が直線状の高分子であることから、
糸まり状に溶解した高分子より分子間距離が近くなるた
め、分子間の絡み合いによる高分子の凝集が生じ易い。
このような化学修飾酵素の凝集は、修飾酵素を用いた製
品を製造する場合、澱や濁りの発生、また酵素安定性お
よび活性の低下、などの大きな問題点を生じる可能性が
ある。このため蛋白分解酵素を化学修飾して、液状酵素
の安定性および酵素活性を長期に維持するには、従来の
方法では充分ではない。
は、無水マレイン酸とポリエチレングリコールモノアリ
ルエーテルとの共重合体で化学修飾された酵素が高い安
定性を有し、バイオリアクター等に使用できることが記
載されており、また、特開平8−146363号公報に
は、α−アリルポリオキシアルキレンと無水マレイン酸
共重合体で酵素を化学修飾しているが、この様な無水マ
レイン酸共重合体で修飾した酵素でも、その安定性は十
分とは言えず実用性が低い。この他、特開昭63−15
9822号公報や特開平1−180515号公報にも、
蛋白分解酵素を安定化させる方法として、水に混和性の
多価アルコールを含有する方法が提案されているが、こ
のままでは蛋白分解酵素の活性が低く、水で希釈すれば
活性は高まるものの安定性は低下するという欠点があ
る。また、透析処理を施すと多価アルコールが除去され
るため、安定性は低下し、繰り返し使用はできない。さ
らに特開平6−102474号公報には、蛋白分解酵
素、脂質分解酵素、多糖類分解酵素をタブレット状に賦
形した洗浄剤が記載されているが、この洗浄剤はタブレ
ットの為、溶解させる容器、手間が必要となり、簡便に
使用する点で劣るという問題点がある。
における問題点を解決し、溶液中に多価アルコール、糖
類、ホウ素含有化合物などが共存していなくても蛋白分
解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も良く、さらに
透析処理後も高い活性を保持するための共重合体である
修飾担体と、この修飾担体によって化学修飾された蛋白
分解活性を有する繰り返し使用可能な修飾酵素を提供す
ることを課題とするものである。又、本発明は、このよ
うな修飾酵素の製造方法を提供することを課題とするも
のでもある。本発明者らは、上述の課題を鋭意検討した
結果、下記の一般式(1)で表されるN−アルキルアク
リルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合
体を、蛋白分解酵素水溶液に添加して化学修飾すること
により、蛋白分解酵素の安定化を図ることができること
を見い出して本発明を完成した。
酵素安定化用修飾担体は、蛋白分解酵素の活性を十分に
維持して安定化させるための修飾担体であって、当該修
飾担体が、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキル
アクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共
重合体:
有した酵素が修飾担体によって化学的に修飾されたもの
であって、前記修飾担体が、上記の一般式(1)で表さ
れるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単
量体成分とした共重合体であることを特徴とするもので
ある。
学修飾によって透析処理や加熱による酵素活性低下の影
響が小さく、安定性に優れた蛋白分解酵素を製造するた
めの方法であって、当該製造方法が、下記の工程a及び
b:蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安定化させる
ための修飾担体として、上記の一般式(1)で表される
N‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体
成分とした共重合体を準備する工程a、前記共重合体
を、蛋白分解酵素を含む水溶液1mlにおける酵素活性
値1000U/ml当たり1.25mg以上を秤量し、
蛋白分解酵素を含む水溶液に前記修飾担体を添加して反
応させることにより、前記蛋白分解酵素を前記修飾担体
で化学的に修飾する工程bを含むことを特徴とするもの
である。
酵素に係わる各成分、並びに本発明の製造方法について
説明する。 (1)修飾担体 本発明の修飾担体は、前記の一般式(1)で表されるN
−アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成
分とした共重合体からなる高分子である。前記の一般式
(1)のN−アルキルアクリルアミドとしては、例えば
R1 およびR2 が炭素数1〜8のアルキル基について
は,N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアク
リルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−メチル−
N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリル
アミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N、N−ジ
エチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミ
ド、およびN−sec−ブチルアクリルアミドおよびN
−t−ブチルアクリルアミドなどの構造異性体、N−メ
チル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−
N−n−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ペンチ
ルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−
N−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性体、N−
エチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−エチル
−N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ヘキシル
アクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−N
−n−ペンチルアクリルアミドとその構造異性体、N−
エチル−N−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性
体、N、N−n−ジプロピルアクリルアミドとその構造
異性体、N−n−ヘプチルアクリルアミドおよびその構
造異性体、N−メチル−N−n−ヘキシルアクリルアミ
ドとその構造異性体、N−エチル−N−n−ペンチルア
クリルアミドとその構造異性体、N−n−プロピル−N
−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性体、N−n
−オクチルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−
メチル−N−n−ヘプチルアクリルアミドとその構造異
性体、N−エチル−N−n−ヘキシルアクリルアミドと
その構造異性体、N−n−プロピル−N−n−ペンチル
アクリルアミドとその構造異性体、N、N−n−ジブチ
ルアクリルアミドとその構造異性体などがある。
クロアルキル基の場合は、例えば、N−シクロプロピル
アクリルアミド、N−シクロブチルアクリルアミド、N
−シクロペンチルアクリルアミド、N−シクロヘキシル
アクリルアミド、N−シクロヘプチルアクリルアミド、
などがある。また、R1 およびR2 が炭素数3〜7のア
ミノアルキル基として、N−ジメチルアミノメチルアク
リルアミド、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミ
ド、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−
ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、などがある。
また、R1 およびR2 が炭素数3〜5のアルコキシアル
キル基の場合は、例えば、N−メトキシエチルアクリル
アミド、N−メトキシプロピルアクリルアミド、N−エ
トキシプロピルアクリルアミド、N−プロポキシプロピ
ルアクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)−N−
エチルアクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチ
ル)−N−メチルアクリルアミド、などがある。また、
R1 およびR2 が複素環を形成する場合は、例えば、N
−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、アクリルピ
ロリジン、アクリルピペリジン、などがある。尚、本発
明では、R1 とR2 が同時に水素原子であっても良い。
本発明の修飾担体の構成成分であるN−アルキルアクリ
ルアミドとして特に好ましいものは、前記一般式(1)
におけるR1 とR2 の一方が水素原子であり、他方が炭
素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜7のシクロアル
キル基であるものである。
整数であり、4〜100の整数であることが好ましく、
mが1000を極端に越えて分子量が大きすぎる場合に
は、酵素溶液中で溶解性が悪くなり、白濁や沈殿を起こ
すことがある。
リルアミドと無水マレイン酸との共重合体は、ラジカル
重合触媒を用いて所定の割合で共重合させることにより
容易に得ることができるが、共重合体製造時(共重合
時)における無水マレイン酸のモル比が大き過ぎる場合
には、ラジカル重合性が悪くなりほとんど共重合体を生
成しなくなる。さらに、過剰の無水マレイン酸が存在す
ると、共重合体の精製時に未反応の単量体を十分に除去
することが出来ずに、精製後の共重合体に混入して蛋白
分解酵素と反応し、目的とする修飾酵素の生成率を低下
させてしまう。一方、共重合体製造時における無水マレ
イン酸のモル比が小さ過ぎる場合は、蛋白分解酵素との
反応が起こりにくくなるばかりではなく、N−アルキル
アクリルアミドの含有率が高くなり単独重合物の特性が
強く現れ、温度に依存して水などの溶媒への溶解性が変
化し、修飾酵素の安定性が低下する。
来、動物由来から選ばれたものがいずれも使用でき、特
に微生物由来の中性又はアルカリ性のものが好適であ
る。代表的なものとして、Bacillus属(B.subtilis, amy
loloquefaciens, cereus, licheniformis, pumilis, na
tto, mesentericus, sphaericus)、Aspergillus 属 (A.
sojae, oryzae, flavus, sulphureus, candidus, terri
cola, melleus,nidulans, sydowi)、Streptmyces 属
(S.fradiae, griseus, moderatus, rectus)、Cephalosp
orium sp., C.acremonium, Fusarium, Gliocladium, Ma
lbrancheapulchella, penicillium cyano-fulvum, P.no
tatum, Scopulariopsis, Tritirachium album, Achromo
bacter, Arthrobacter, E.coli, Pseudomonas aerugino
sa, P.maltophilia, Candida lipolytica, Torula など
から得られるものが挙げられ、市販の蛋白分解酵素とし
ては、例えば、ナガセ生化学社製のビオプラーゼ、ノボ
インダストリー社製サビナーゼやエスペラーゼ、GENENK
OR INTERNATIONAL,INC. 製のAlkaline Protease 等が使
用できる。
化学修飾されてなる本発明の修飾酵素を製造する場合、
蛋白分解酵素の水溶液に直接、共重合体を添加する方法
が最も好ましいが、共重合体が水に溶解しにくい場合
は、予め水と相溶性のある少量のN,N−ジメチルホル
ムアミドあるいはアセトンなどの有機溶媒に溶解した
後、蛋白分解酵素水溶液に少しづつ添加するのが、簡便
で好ましい方法である。また、このような添加の際の反
応温度は4〜60℃、好ましくは4〜20℃で、反応時
間は1〜72時間、好ましくは反応温度によるが24時
間以内である。反応pHについては特に限定されるもの
ではないが、好ましくは4〜9、特に好ましくは6〜8
である。
に対する共重合体の好ましい添加量は、蛋白分解酵素を
含む水溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml
当たり1.25mg以上であり、より好ましくは100
0U/ml当たり1.25〜62.5mgの範囲であ
る。この際、酵素活性値1000U/ml当たりの共重
合体添加量が1.25mgよりも極端に少なくなると化
学修飾による酵素安定性の向上が充分に達成されず、逆
に、共重合体添加量が62.5mgよりも極端に多くな
ると、溶液の粘度が上がり過ぎて取り扱い難くなり、生
産性の低下や製造コストの上昇につながり、好ましくな
い。
画用ゲルや分画用フィルターなどを用いた分子量分画を
おこなっても、あるいは、分画をおこなわなくても良
い。更に、本発明での化学修飾された修飾酵素は、分子
量を分画された修飾酵素および分画されていない修飾酵
素の双方で、蛋白分解酵素の活性の維持や安定性の低下
を防ぐことが可能である。
により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。尚、下記の調整例に従って得られた修飾
酵素溶液の安定性評価については、蛋白分解酵素活性を
カゼイン消化を用いる公知の方法(例えば、Journal of
GeneralPhysiology 、第30巻(1947年)第 291頁参
照)に準じて測定し、以下の式を用いて活性残存率を計
算した。
率の数値も、上式を利用して以下のように計算した。
各組成液中に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル0.25重量%を溶解し、50℃で3時間、及び
70℃で5時間加熱して窒素雰囲気中で重合を行った。
反応終了後、溶液を200mlのジエチルエーテル中に
入れて生成物を沈殿させ、さらに同量で同様の操作を2
回行い、未反応物を除去した。さらに、沈殿物を濾別し
た後に、減圧乾燥機で40℃加温条件にて1日乾燥し、
秤量して共重合体を得た。共重合体の分子量はGPC
(gel permeation chromatography)によりポリスチレン
換算値として求めた。
用して、以下の方法にて蛋白分解酵素を化学修飾した。
蛋白分解酵素としては、Bacillus属起源のアルカリ性プ
ロテアーゼ(商品名:ビオプラーゼNYS、ナガセ生化
学社製)を使い、精製水で7%濃度に調整した。次い
で、以下の表2に記載される濃度の前記共重合体を徐々
にビオプラーゼNYS溶液に溶解して20時間攪拌して
反応させた。以上の操作は、いずれも4℃にて実施し
た。このようにして、本発明の共重合体により修飾され
た修飾酵素を含む水溶液を得ることができた。
響を調べるために、蛋白分解酵素に添加されているであ
ろう主に無機塩等の低分子物質を除去する目的で、精製
水による透析(セルロースアセテート膜、穴径24Å、
ヴィスキング社製)を温度4℃で24時間実施した。こ
の修飾酵素溶液の透析処理前後の蛋白分解酵素活性をそ
れぞれ測定した後、透析処理後の修飾酵素溶液を密封容
器の中に入れ、60℃の恒温容器中で3時間加熱した後
の蛋白分解酵素活性の測定をおこなった。得られた結果
を表3および表4に示した。
と無水マレイン酸との共重合体(GANTREZ AN : G.A.F社
製)を使用して、上記の実施例と同様の方法にて蛋白分
解酵素と反応させた。さらに同様に修飾酵素の透析処理
前後の活性を測定した後に、透析処理後の修飾酵素溶液
を密封容器の中に入れ、60℃の恒温容器中で3時間加
熱して蛋白分解酵素活性の測定をおこなった。得られた
結果を表3および表4に示した。
せずに、蛋白分解酵素のみで上記実施例と同様の透析処
理前後および透析後修飾酵素溶液の60℃3時間加熱後
の蛋白分解酵素活性を測定した。得られた結果を表3お
よび表4に示した。
ように、実施例1〜5の共重合体の種類および濃度にお
いて、透析処理前後の活性残存率はいずれも80%以上
の数値を示しており、透析処理することによる酵素活性
値への影響が非常に少ないものと判断できる。又、表3
の結果より、比較例1及び2については、透析処理後の
酵素活性残存率は各実施例の共重合体での化学修飾と比
較して小さく、透析が安定性に悪影響を及ぼしているこ
とが示唆される。また、透析処理前の酵素活性値も低い
ため、この共重合体による蛋白分解酵素の化学修飾は適
切ではないことが伺える。
実施例1〜5の場合、透析後の修飾酵素溶液でもN−イ
ソプロピルアクリルアミドを使用した共重合体において
は、濃度により30〜50%程度の加熱による活性残存
率を示すことが明らかになった。実施例4および5で
は、活性残存率の数値としては低めではあるが、比較例
よりも高い加熱による安定性が認められた。又、表4の
結果より、比較例1及び2の場合には、活性残存率はほ
ぼゼロに等しく、加熱処理による安定性はほとんど無い
ことが判り、参考例1については、表3及び表4の結果
から、蛋白分解酵素単独では透析処理や加熱による活性
低下の影響が大きく、安定性が悪いことが判る。
コール、糖類、ホウ素含有化合物などが共存していなく
ても、蛋白分解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も
良く、さらに透析処理後においても高い活性を有するた
め繰り返し使用が可能である。又、本発明の製造方法を
用いることで、蛋白分解酵素活性が十分に維持され、熱
安定性が良く、透析処理後も高い活性を有した修飾酵素
が簡単に製造できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安
定化させるための修飾担体であって、当該修飾担体が、
下記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルア
ミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体: 【化1】 であることを特徴とする蛋白分解酵素安定化用修飾担
体。 - 【請求項2】 蛋白分解活性を有した酵素であって、当
該酵素が、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキル
アクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共
重合体: 【化2】 である修飾担体によって化学的に修飾されたものである
ことを特徴とする蛋白分解酵素。 - 【請求項3】 化学修飾によって透析処理や加熱による
酵素活性低下の影響が小さく、安定性に優れた蛋白分解
酵素を製造するための方法であって、当該製造方法が、
下記の工程a及びb:蛋白分解酵素の活性を十分に維持
して安定化させるための修飾担体として、下記の一般式
(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マ
レイン酸を単量体成分とした共重合体: 【化3】 を準備する工程a、前記共重合体を、蛋白分解酵素を含
む水溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml当
たり1.25mg以上を秤量し、蛋白分解酵素を含む水
溶液に前記修飾担体を添加して反応させることにより、
前記蛋白分解酵素を前記修飾担体で化学的に修飾する工
程bを含むことを特徴とする蛋白分解酵素の製造方法。
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