JP4222771B2 - 蛋白分解酵素を安定化させるための修飾担体、当該修飾担体により化学修飾された蛋白分解酵素および当該蛋白分解酵素の製造方法 - Google Patents

蛋白分解酵素を安定化させるための修飾担体、当該修飾担体により化学修飾された蛋白分解酵素および当該蛋白分解酵素の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中に多価アルコール、糖類、ホウ素含有化合物などが共存していなくても、蛋白分解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も良く、さらに透析処理後も高い活性を保持するための修飾担体、及びこのような修飾担体を用いて化学修飾された繰り返し使用可能な蛋白分解酵素(以下、修飾酵素という)に関する。又、本発明は、このような修飾酵素の製造方法に関するものでもある。
【0002】
【従来の技術】
蛋白分解酵素は脂質分解酵素などと共に医療、食品、化粧品、洗浄剤などに用いられ、優れた効果をあげている。蛋白分解酵素は、加熱などの物理的条件の負荷や界面活性剤などの共存成分の影響などで、変性したり自己消化などを起こし失活しやすい。乾燥粉末状態では比較的安定ではあるが、特に水溶液中では、安定性が著しく低下する。このような安定性の低下を防ぐ目的で、ホウ素含有化合物などの無機塩やグリセリンなどの多価アルコール、セルロース誘導体などの糖類およびポリエチレングリコールなどの合成高分子などを添加して安定性を保つ工夫がなされている。しかし、水などの溶媒により希釈を繰り返したり透析したりすると、安定化のために添加した物質の濃度が減少して良好な安定性を維持できなくなる。このため、酵素を繰り返し使用することは不可能である。
【0003】
そこで、これらの問題を克服するために、蛋白分解酵素を化学修飾することにより、安定性を増加させる方法がいくつか報告されている。例えば、特開平7−155182号公報には、トリアジン環を介して多糖類とプロテアーゼが結合した化学修飾プロテアーゼにカルシウムが含有されると安定性が増強することが記載されている。また、特開平6−240297号公報には、蛋白分解酵素存在下でリパーゼあるいはアミラーゼをメチルビニルエーテルと無水マレイン酸共重合体で化学修飾するとリパーゼ、アミラーゼの安定性が向上する方法が提案されている。しかしながら、単独酵素をメチルビニルエーテルと無水マレイン酸共重合体で化学修飾してもその効果が低く、特開平6−240297号公報記載の方法の場合には、各種酵素の存在下、化学修飾された蛋白分解酵素の安定性について改良すべき点がある。
その上、リン酸緩衝液中では、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の溶解形態は、直線状であるためメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体はランダムに蛋白分解酵素と反応する確率が高いため、蛋白分解酵素の活性部位あるいはその近傍で反応し、活性部位の作用を失わせたり、活性部位の近傍に反応したメチルビニールエーテル−無水マレイン酸共重合の立体障害のため基質との反応性の低下を招き易い。さらに溶解している修飾酵素が直線状の高分子であることから、糸まり状に溶解した高分子より分子間距離が近くなるため、分子間の絡み合いによる高分子の凝集が生じ易い。このような化学修飾酵素の凝集は、修飾酵素を用いた製品を製造する場合、澱や濁りの発生、また酵素安定性および活性の低下、などの大きな問題点を生じる可能性がある。このため蛋白分解酵素を化学修飾して、液状酵素の安定性および酵素活性を長期に維持するには、従来の方法では充分ではない。
【0004】
さらに、特開平1−153088号公報には、無水マレイン酸とポリエチレングリコールモノアリルエーテルとの共重合体で化学修飾された酵素が高い安定性を有し、バイオリアクター等に使用できることが記載されており、また、特開平8−146363号公報には、α−アリルポリオキシアルキレンと無水マレイン酸共重合体で酵素を化学修飾しているが、この様な無水マレイン酸共重合体で修飾した酵素でも、その安定性は十分とは言えず実用性が低い。この他、特開昭63−159822号公報や特開平1−180515号公報にも、蛋白分解酵素を安定化させる方法として、水に混和性の多価アルコールを含有する方法が提案されているが、このままでは蛋白分解酵素の活性が低く、水で希釈すれば活性は高まるものの安定性は低下するという欠点がある。また、透析処理を施すと多価アルコールが除去されるため、安定性は低下し、繰り返し使用はできない。
さらに特開平6−102474号公報には、蛋白分解酵素、脂質分解酵素、多糖類分解酵素をタブレット状に賦形した洗浄剤が記載されているが、この洗浄剤はタブレットの為、溶解させる容器、手間が必要となり、簡便に使用する点で劣るという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の従来における問題点を解決し、溶液中に多価アルコール、糖類、ホウ素含有化合物などが共存していなくても蛋白分解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も良く、さらに透析処理後も高い活性を保持するための共重合体である修飾担体と、この修飾担体によって化学修飾された蛋白分解活性を有する繰り返し使用可能な修飾酵素を提供することを課題とするものである。又、本発明は、このような修飾酵素の製造方法を提供することを課題とするものでもある。本発明者らは、上述の課題を鋭意検討した結果、下記の一般式(1)で表されるN−アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体を、蛋白分解酵素水溶液に添加して化学修飾することにより、蛋白分解酵素の安定化を図ることができることを見い出して本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の蛋白分解酵素安定化用修飾担体は、蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安定化させるための修飾担体であって、当該修飾担体が、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体:
【0007】
【化4】
Figure 0004222771
【0008】
であることを特徴とするものである。
【0009】
又、本発明の修飾酵素は、蛋白分解活性を有した酵素が修飾担体によって化学的に修飾されたものであって、前記修飾担体が、上記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体であることを特徴とするものである。
【0010】
更に、本発明の修飾酵素の製造方法は、化学修飾によって透析処理や加熱による酵素活性低下の影響が小さく、安定性に優れた蛋白分解酵素を製造するための方法であって、当該製造方法が、下記の工程a及びb:蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安定化させるための修飾担体として、上記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体を準備する工程a、前記共重合体を、蛋白分解酵素を含む水溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml当たり1.25mg〜62.5mg秤量し、蛋白分解酵素を含む水溶液に前記修飾担体を添加して反応させることにより、前記蛋白分解酵素を前記修飾担体で化学的に修飾する工程bを含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の修飾担体及び修飾酵素に係わる各成分、並びに本発明の製造方法について説明する。
(1)修飾担体
本発明の修飾担体は、前記の一般式(1)で表されるN−アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体からなる高分子である。
前記の一般式(1)のN−アルキルアクリルアミドとしては、例えばR1 およびR2 が炭素数1〜8のアルキル基については,N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、およびN−sec−ブチルアクリルアミドおよびN−t−ブチルアクリルアミドなどの構造異性体、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ペンチルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−N−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性体、N−エチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−エチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−N−n−ペンチルアクリルアミドとその構造異性体、N−エチル−N−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性体、N、N−n−ジプロピルアクリルアミドとその構造異性体、N−n−ヘプチルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−N−n−ヘキシルアクリルアミドとその構造異性体、N−エチル−N−n−ペンチルアクリルアミドとその構造異性体、N−n−プロピル−N−n−ブチルアクリルアミドとその構造異性体、N−n−オクチルアクリルアミドおよびその構造異性体、N−メチル−N−n−ヘプチルアクリルアミドとその構造異性体、N−エチル−N−n−ヘキシルアクリルアミドとその構造異性体、N−n−プロピル−N−n−ペンチルアクリルアミドとその構造異性体、N、N−n−ジブチルアクリルアミドとその構造異性体などがある。
【0012】
また、R1 およびR2 が炭素数3〜7のシクロアルキル基の場合は、例えば、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロブチルアクリルアミド、N−シクロペンチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘプチルアクリルアミド、などがある。
また、R1 およびR2 が炭素数3〜7のアミノアルキル基として、N−ジメチルアミノメチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、などがある。
また、R1 およびR2 が炭素数3〜5のアルコキシアルキル基の場合は、例えば、N−メトキシエチルアクリルアミド、N−メトキシプロピルアクリルアミド、N−エトキシプロピルアクリルアミド、N−プロポキシプロピルアクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルアクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、などがある。
また、R1 およびR2 が複素環を形成する場合は、例えば、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、アクリルピロリジン、アクリルピペリジン、などがある。
尚、本発明では、R1 とR2 が同時に水素原子であっても良い。
本発明の修飾担体の構成成分であるN−アルキルアクリルアミドとして特に好ましいものは、前記一般式(1)におけるR1 とR2 の一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜7のシクロアルキル基であるものである。
【0013】
前記一般式(1)中のmは4〜100の整数であり、mが1000を極端に越えて分子量が大きすぎる場合には、酵素溶液中で溶解性が悪くなり、白濁や沈殿を起こすことがある。
【0014】
一般式(1)で表されるN−アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸との共重合体は、ラジカル重合触媒を用いて所定の割合で共重合させることにより容易に得ることができるが、共重合体製造時(共重合時)における無水マレイン酸のモル比が大き過ぎる場合には、ラジカル重合性が悪くなりほとんど共重合体を生成しなくなる。さらに、過剰の無水マレイン酸が存在すると、共重合体の精製時に未反応の単量体を十分に除去することが出来ずに、精製後の共重合体に混入して蛋白分解酵素と反応し、目的とする修飾酵素の生成率を低下させてしまう。一方、共重合体製造時における無水マレイン酸のモル比が小さ過ぎる場合は、蛋白分解酵素との反応が起こりにくくなるばかりではなく、N−アルキルアクリルアミドの含有率が高くなり単独重合物の特性が強く現れ、温度に依存して水などの溶媒への溶解性が変化し、修飾酵素の安定性が低下する。
【0015】
(2)蛋白分解酵素
本発明に適する蛋白分解酵素は、微生物由来、植物由来、動物由来から選ばれたものがいずれも使用でき、特に微生物由来の中性又はアルカリ性のものが好適である。代表的なものとして、Bacillus属(B.subtilis, amyloloquefaciens, cereus, licheniformis, pumilis, natto, mesentericus, sphaericus)、Aspergillus 属 (A.sojae, oryzae, flavus, sulphureus, candidus, terricola, melleus, nidulans, sydowi)、Streptmyces 属 (S.fradiae, griseus, moderatus, rectus)、Cephalosporium sp., C.acremonium, Fusarium, Gliocladium, Malbranchea pulchella, penicillium cyano-fulvum, P.notatum, Scopulariopsis, Tritirachium album, Achromobacter, Arthrobacter, E.coli, Pseudomonas aeruginosa, P.maltophilia, Candida lipolytica, Torula などから得られるものが挙げられ、市販の蛋白分解酵素としては、例えば、ナガセ生化学社製のビオプラーゼ、ノボインダストリー社製サビナーゼやエスペラーゼ、GENENKOR INTERNATIONAL,INC. 製のAlkaline Protease 等が使用できる。
【0016】
上記の蛋白分解酵素が前記共重合体により化学修飾されてなる本発明の修飾酵素を製造する場合、蛋白分解酵素の水溶液に直接、共重合体を添加する方法が最も好ましいが、共重合体が水に溶解しにくい場合は、予め水と相溶性のある少量のN,N−ジメチルホルムアミドあるいはアセトンなどの有機溶媒に溶解した後、蛋白分解酵素水溶液に少しづつ添加するのが、簡便で好ましい方法である。
また、このような添加の際の反応温度は4〜60℃、好ましくは4〜20℃で、反応時間は1〜72時間、好ましくは反応温度によるが24時間以内である。反応pHについては特に限定されるものではないが、好ましくは4〜9、特に好ましくは6〜8である。
【0017】
本発明での化学修飾における蛋白分解酵素に対する共重合体の好ましい添加量は、蛋白分解酵素を含む水溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml当たり1.25mg以上であり、より好ましくは1000U/ml当たり1.25〜62.5mgの範囲である。この際、酵素活性値1000U/ml当たりの共重合体添加量が1.25mgよりも極端に少なくなると化学修飾による酵素安定性の向上が充分に達成されず、逆に、共重合体添加量が62.5mgよりも極端に多くなると、溶液の粘度が上がり過ぎて取り扱い難くなり、生産性の低下や製造コストの上昇につながり、好ましくない。
【0018】
本発明での化学修飾された修飾酵素は、分画用ゲルや分画用フィルターなどを用いた分子量分画をおこなっても、あるいは、分画をおこなわなくても良い。更に、本発明での化学修飾された修飾酵素は、分子量を分画された修飾酵素および分画されていない修飾酵素の双方で、蛋白分解酵素の活性の維持や安定性の低下を防ぐことが可能である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例および参考例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、下記の調整例に従って得られた修飾酵素溶液の安定性評価については、蛋白分解酵素活性をカゼイン消化を用いる公知の方法(例えば、Journal of General Physiology 、第30巻(1947年)第 291頁参照)に準じて測定し、以下の式を用いて活性残存率を計算した。
【0020】
【数1】
Figure 0004222771
【0021】
また、透析処理による影響を示す活性残存率の数値も、上式を利用して以下のように計算した。
【0022】
【数2】
Figure 0004222771
【0023】
(実施例1〜5)
下記の表1に記載される各組成液中に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.25重量%を溶解し、50℃で3時間、及び70℃で5時間加熱して窒素雰囲気中で重合を行った。
反応終了後、溶液を200mlのジエチルエーテル中に入れて生成物を沈殿させ、さらに同量で同様の操作を2回行い、未反応物を除去した。さらに、沈殿物を濾別した後に、減圧乾燥機で40℃加温条件にて1日乾燥し、秤量して共重合体を得た。共重合体の分子量はGPC(gel permeation chromatography)によりポリスチレン換算値として求めた。
【0024】
【表1】
Figure 0004222771
【0025】
そして、このようにして得た共重合体を使用して、以下の方法にて蛋白分解酵素を化学修飾した。
蛋白分解酵素としては、Bacillus属起源のアルカリ性プロテアーゼ(商品名:ビオプラーゼNYS、ナガセ生化学社製)を使い、精製水で7%濃度に調整した。次いで、以下の表2に記載される濃度の前記共重合体を徐々にビオプラーゼNYS溶液に溶解して20時間攪拌して反応させた。以上の操作は、いずれも4℃にて実施した。このようにして、本発明の共重合体により修飾された修飾酵素を含む水溶液を得ることができた。
【0026】
【表2】
Figure 0004222771
【0027】
続いて、透析処理による酵素活性値への影響を調べるために、蛋白分解酵素に添加されているであろう主に無機塩等の低分子物質を除去する目的で、精製水による透析(セルロースアセテート膜、穴径24Å、ヴィスキング社製)を温度4℃で24時間実施した。
この修飾酵素溶液の透析処理前後の蛋白分解酵素活性をそれぞれ測定した後、透析処理後の修飾酵素溶液を密封容器の中に入れ、60℃の恒温容器中で3時間加熱した後の蛋白分解酵素活性の測定をおこなった。得られた結果を表3および表4に示した。
【0028】
(比較例1及び2)
メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体(GANTREZ AN : G.A.F社製)を使用して、上記の実施例と同様の方法にて蛋白分解酵素と反応させた。さらに同様に修飾酵素の透析処理前後の活性を測定した後に、透析処理後の修飾酵素溶液を密封容器の中に入れ、60℃の恒温容器中で3時間加熱して蛋白分解酵素活性の測定をおこなった。
得られた結果を表3および表4に示した。
【0029】
(参考例1)
化学修飾する共重合体を使用せずに、蛋白分解酵素のみで上記実施例と同様の透析処理前後および透析後修飾酵素溶液の60℃3時間加熱後の蛋白分解酵素活性を測定した。得られた結果を表3および表4に示した。
【0030】
【表3】
Figure 0004222771
【0031】
【表4】
Figure 0004222771
【0032】
上記表3に示された実験結果より明らかなように、実施例1〜5の共重合体の種類および濃度において、透析処理前後の活性残存率はいずれも80%以上の数値を示しており、透析処理することによる酵素活性値への影響が非常に少ないものと判断できる。
又、表3の結果より、比較例1及び2については、透析処理後の酵素活性残存率は各実施例の共重合体での化学修飾と比較して小さく、透析が安定性に悪影響を及ぼしていることが示唆される。また、透析処理前の酵素活性値も低いため、この共重合体による蛋白分解酵素の化学修飾は適切ではないことが伺える。
【0033】
更に、上記表4に示された実験結果より、実施例1〜5の場合、透析後の修飾酵素溶液でもN−イソプロピルアクリルアミドを使用した共重合体においては、濃度により30〜50%程度の加熱による活性残存率を示すことが明らかになった。実施例4および5では、活性残存率の数値としては低めではあるが、比較例よりも高い加熱による安定性が認められた。
又、表4の結果より、比較例1及び2の場合には、活性残存率はほぼゼロに等しく、加熱処理による安定性はほとんど無いことが判り、参考例1については、表3及び表4の結果から、蛋白分解酵素単独では透析処理や加熱による活性低下の影響が大きく、安定性が悪いことが判る。
【0034】
【発明の効果】
本発明の修飾担体は、溶液中に多価アルコール、糖類、ホウ素含有化合物などが共存していなくても、蛋白分解酵素の活性を十分に維持して熱安定性も良く、さらに透析処理後においても高い活性を有するため繰り返し使用が可能である。又、本発明の製造方法を用いることで、蛋白分解酵素活性が十分に維持され、熱安定性が良く、透析処理後も高い活性を有した修飾酵素が簡単に製造できる。

Claims (3)

  1. 蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安定化させるための修飾担体であって、当該修飾担体が、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体:
    Figure 0004222771
    であることを特徴とする蛋白分解酵素安定化用修飾担体。
  2. 蛋白分解活性を有した酵素であって、当該酵素が、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体:
    Figure 0004222771
    である修飾担体によって化学的に修飾されたものであることを特徴とする蛋白分解酵素。
  3. 化学修飾によって透析処理や加熱による酵素活性低下の影響が小さく、安定性に優れた蛋白分解酵素を製造するための方法であって、当該製造方法が、下記の工程a及びb:
    蛋白分解酵素の活性を十分に維持して安定化させるための修飾担体として、下記の一般式(1)で表されるN‐アルキルアクリルアミドと無水マレイン酸を単量体成分とした共重合体:
    Figure 0004222771
    を準備する工程a、
    前記共重合体を、蛋白分解酵素を含む水溶液1mlにおける酵素活性値1000U/ml当たり1.25mg〜62.5mg秤量し、蛋白分解酵素を含む水溶液に前記修飾担体を添加して反応させることにより、前記蛋白分解酵素を前記修飾担体で化学的に修飾する工程b
    を含むことを特徴とする蛋白分解酵素の製造方法。
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