JP4675471B2 - N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法および得られたn−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の用途 - Google Patents
N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法および得られたn−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含有する水溶性で、かつ高分子量のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の乾燥時における該共重合体の不溶化を防止する製造方法、およびこの製造方法によって得られた共重合体の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶性の高分子量重合体を製造する方法は、古くから数多く提案されている。
これらの方法は、主にアクリルアミド系、アクリル酸(塩)系、(メタ)アクリル酸アルキルアミノエステル系、およびこれらの共重合体についてが殆どであった。
アクリルアミド系に関しては、特開昭47−87号公報、特開平3−2205号公報、特開昭53−3444号公報、特開昭56−67312号公報等に、さまざまな化合物や乾燥方法が提案されている。アクリル酸(塩)系に関しては、特開昭51−37979号公報等が報告されている。(メタ)アクリル酸アルキルアミノエステル系に関しては、特開昭57−12009号公報、特開昭57−121007号公報等が報告されている。
【0003】
また、近年、N−ビニルカルボン酸アミド系(共)重合体の製造方法が、特開平11−322849号公報、分子量の調節された重合体を得る方法として特開平11−292908号公報、光重合開始剤を用いた特開平9−59309号公報、微粒子状の架橋重合体を提案した特開平10−226715号公報等に多数提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含んだ水溶性の共重合体を、水溶液重合、逆相乳化重合等の重合方法を用いて製造する場合、重合系においてN−ビニルカルボン酸アミド単量体は水溶液として存在させる場合が多い。通常、N−ビニルカルボン酸アミド単量体は、加水分解によりアミド基含有化合物とアルデヒド基含有化合物に分解することが知られていることから、重合系中にはN−ビニルカルボン酸アミド単量体の加水分解物として少なからずアルデヒド基含有化合物が存在している。
【0005】
ここで、重合系に存在するアルデヒド基含有化合物、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の化合物は、重合阻害物質として作用することが知られている。また、アルデヒド基含有化合物は、ポリアクリルアミド等のアクリルアミド単量体単位を含有した重合体のアミド基と反応して分子内、分子間架橋構造を形成することが知られている。
【0006】
従来の製造方法で得られるN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体は、増粘剤や紙力増強剤等の比較的分子量の低い製品としての使用を対象としていたり、架橋構造を持たせた製品としての使用を対象としていた。そのため、比較的分子量の低い製品や架橋構造を持たせた製品、およびそれらの製造工程においては、重合系に存在するアルデヒド基含有化合物による重合阻害や、アルデヒド基含有化合物とアミド基との分子内、分子間架橋による不溶化などはあまり問題とはならなかった。
【0007】
しかしながら、高分子凝集剤、抄紙用粘剤などの分野で要求される、水溶性で、かつ高分子量のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法においては、ごく少量の重合開始剤で単量体の重合を行うことが多い。この場合、重合系に存在するアルデヒド基含有化合物による重合阻害によって、重合が開始するまでの誘導期が長くなったり、重合時間が不規則になったりするという問題が生じていた。また、高温でN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の乾燥を行うと、アルデヒド基含有化合物とアミド基との分子内、分子間架橋によって、得られる重合体が水に溶解しなくなってしまうという問題がしばしば生じていた。
【0008】
特に、抄紙用粘剤として重合体を使用する場合、水に溶解しない重合体を取り除かなければ、抄紙した紙に穴が空いてしまうため、水不溶分を極力低減した製品が望まれている。乾燥による重合体の不溶化を少なくするために低温で乾燥する方法があるが、生産性が低下してしまう場合が多く、好ましくない。
【0009】
よって、本発明の目的は、乾燥工程において含水状態の共重合体を高温で乾燥しても、水不溶分の生成を抑制でき、生産性が向上したN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法、およびこの製造方法によって得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の用途を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため種々検討した結果、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含む共重合体を製造する際に、特定の構造を持つ化合物を共存させることで、高温で乾燥しても水不溶分を生成させないことを発見し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法は、−CO−CH2−CO−で示される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含むN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を製造することを特徴とする。
【0012】
また、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位は、N−ビニルアセトアミド単量体単位であることが望ましい。
また、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物は、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、またはその互変異性体の5,5−ジメチル−テトラヒドロ−m−レゾルシノールであることが望ましい。
【0013】
また、本発明の高分子凝集剤は、本発明の製造方法により得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体からなるものであることを特徴とする。
また、本発明の抄紙用粘剤は、本発明の製造方法により得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体からなるものであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法は、−CO−CH2−CO−で示される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含むN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を製造することを特徴とする方法である。
【0015】
具体的には、N−ビニルカルボン酸アミド単量体とアクリルアミド単量体とを共重合する共重合工程と、得られた含水状態の共重合体を乾燥する乾燥工程とを有するN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法において、少なくとも乾燥工程を1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に行う製造方法であり、好ましくは、共重合工程および乾燥工程を1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に行う製造方法である。
【0016】
本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法は、前記共重合工程と乾燥工程とを有し、少なくとも乾燥工程を1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に行う製造方法であれば、特に限定はされない。中でも、本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法は、共重合工程において水溶液重合を行い、得られたゲル(含水状態の共重合体)を乾燥工程において細断し、高温で乾燥する場合に、大きな効果を発揮できる。共重合工程において逆相乳化重合や懸濁重合を行う場合でも、その後に乾燥工程を有する製造方法であれば、本発明の製造方法に含まれる。
【0017】
本発明で使用される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物はアルデヒド基もった化合物の検出試薬として知られている。したがって、本発明で使用される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物は、N−ビニルカルボン酸アミド単量体の加水分解によって生成するアルデヒド基含有化合物と反応し、アルデヒド基含有化合物を無害化するものである。
【0018】
本発明で使用される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物としては、例えば、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,3−シクロヘプタンジオン、1,3−シクロオクタンジオン、1,3,5−シクロヘキサントリオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸等が挙げられるが、本発明で使用される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物はこれらに限定されるものではない。また、−CO−CH2−CO−の構造を含む環状構造を崩さない範囲で、これらの化合物の置換誘導体も含まれる。
【0019】
さらに、上記化合物中の−CO−CH2−CO−基が−CO−CH=C(OH)−基に変わった互変異性体も本発明における1,3−ジオンの意味に含まれる。さらに、カルバルコキシジメドンナトリウムエノレートのような金属エノレートの形態でも良い。
これら1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の中でも、アルデヒド基含有化合物との反応性に優れ、入手が容易な5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンが最も好適に用いられる。
【0020】
なお、共重合工程において、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物を単量体混合物中に存在させる場合は、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物は重合禁止作用の少ないものが好ましい。
また、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物を共重合工程では存在させないが、乾燥工程では存在させる場合は、ゲル(含水状態の共重合体)に1,3−ジオン残基を含有する環状化合物を混合する等して存在させることができる。この場合、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物は重合禁止作用を有していても差し支えない。
【0021】
本発明で用いる1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の量は、重合系中に含まれているアルデヒド基含有化合物の量、必要とされる乾燥温度、共重合体の分子量等、さまざまな要因に依存するため一概にはその量を規定することはできない。例えば、重量平均分子量1500万程度のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を水溶液重合にて製造する場合、単量体に対して1,3−ジオン残基を含有する環状化合物を0.05〜0.5重量%程度加えれば、得られるゲルを100℃で乾燥しても水不溶分は殆ど生じない。
【0022】
本発明におけるN−ビニルカルボン酸アミド単量体とは、一般式CH2=CHNR1COR2(式中、R1、R2は、それぞれ水素原子または炭化水素基)で表される化合物である。このようなN−ビニルカルボン酸アミド単量体としては、例えば、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミドなどが挙げられるが、本発明におけるN−ビニルカルボン酸アミド単量体はこれらに限定されるものではない。これらは単独でも2種類以上同時に用いることもできる。中でも、得られるN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の水への溶解速度が速く、入手が容易なN−ビニルアセトアミドが最も好適に用いられる。
【0023】
また、本発明におけるN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体には、さらに水溶性の共重合体を生成しうる範囲で、その他のエチレン性不飽和単量体単位を導入することもできる。
このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メクリルアミド;(メタ)アクリル酸またはその塩類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルまたはその強酸塩等の(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−N−プロピルトリメチルアンモニウムまたはその強酸塩等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アリルアルコール等が挙げられるが、本発明で使用されるエチレン性不飽和単量体はこれらに限定されるものではない。基本的に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体およびアクリルアミド単量体と共重合可能で、重合系に溶解するものを使用できる。これらは単独であるいは2種以上同時に用いることもできる。
【0024】
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物;過硫酸塩、過硫酸塩やt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物と、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、ブドウ糖等との組合せによるレドックス開始剤;ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤等や、これらアゾ系開始剤やレドックス開始剤、光重合開始剤等の組合せが用いられる。
【0025】
重合時の溶媒としては、水溶液重合、逆相乳化重合、懸濁重合等において従来より各々使用されてきた溶媒を適宜選択して用いることができる。
前記乾燥工程は、例えば水溶液重合の場合、得られたゲル状の共重合体を細断し、熱風乾燥機等により乾燥することによって行われる。さらに、乾燥された共重合体を粉砕機等で粉砕して、粉末状共重合体を得ることもできる。
【0026】
本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法にあっては、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含むN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を製造しているので、乾燥工程において含水状態の共重合体を高温で乾燥しても、水不溶分の生成を抑制することができる。そのため、高温による共重合体の乾燥を行うことができ、生産性が向上する。また、共重合工程において1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体とアクリルアミド単量体とを共重合させれば、重合阻害を抑制することもできる。
【0027】
また、このようにして得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体は、その中に含まれている水不溶分が極めて少なく、かつ高分子量であるため、水溶性で、かつ高分子量の共重合体が要求される高分子凝集剤および抄紙用粘剤の用途に好適に用いることができる。特に、水不溶分を極力低減した共重合体が望まれている抄紙用粘剤の用途に好適である。
【0028】
【実施例】
以下に本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法について実施例を示すが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
本実施例で得られた共重合体の物性評価は次の方法によって行った。
〔水不溶分〕
得られた粉状の共重合体3gをイオン交換水2997gに加え、3時間撹拌して水溶液を得た。得られた0.1重量%の水溶液3000gを、JIS Z 8801で指定された直径200mm、目開き180μmの標準篩に注ぎ、15分後に篩の重量を測定した。この時の篩の重量から水溶液を注ぐ前の篩の重量を差し引き、水不溶分の重量とした。
〔粘度〕
粉状の共重合体をイオン交換水に1重量%の濃度で溶解した水溶液を調整し、25℃において、B型粘度計により測定した。使用ローターはNo.2、回転数6rpmである。
【0029】
[実施例1]
5リットルジュワー瓶に、N−ビニルアセトアミド7.2重量%、アクリルアミド16.8重量%および5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを単量体の総和に対して0.25重量%含有した水溶液3000gを入れ、窒素ガスで置換し、0℃に調温した。重合開始剤として2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを水溶液全量に対して150ppm、t−ブチルハイドロパーオキサイドを水溶液全量に対して2.5ppm、亜硫酸水素ナトリウムを水溶液全量に対して2.0ppm、硫酸第一鉄を水溶液全量に対して0.2ppmとなるように加えて断熱重合を3時間行った。
【0030】
得られたゲルを肉挽き機にてペレット状に細断し、5つのサンプルに分け、それぞれを60、90、100、110および120℃に設定された5台の熱風乾燥機に入れ、6時間乾燥した。さらに、乾燥されたペレットを粉砕機で粉砕して、N−ビニルアセトアミド単量体単位30重量%、アクリルアミド単量体単位70重量%からなる粉状の共重合体を得た。
【0031】
得られた粉状の共重合体3gをイオン交換水2997gに加え3時間撹拌した。得られた0.1重量%の水溶液を篩に注ぎ、水不溶分の重量を測定した。
また、別途、上記で得られた粉状の共重合体をイオン交換水に1重量%の濃度で溶解した水溶液を調整し、粘度を測定した。その結果を水不溶分と共に表1に示す。
【0032】
[実施例2〜4および比較例1〜4]
N−ビニルアセトアミド単量体、アクリルアミド単量体および5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンの使用量を表1に示す割合とした以外は実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(表中の略号は、次の通りである。NVA:N−ビニルアセトアミド、AAm:アクリルアミド、1,3−ジオン:5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン。また、水不溶分の欄の温度は、共重合ゲルの乾燥温度を示す。)
表1に示すように、N−ビニルカルボン酸アミド単量体とアクリルアミド単量体とを共重合する際に、1,3−ジオン残基を有する環状化合物を共存させることにより、高温で乾燥しても水不溶性のゲルが発生し難いことが示された。
【0035】
[実施例5〜8]
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンの添加量を表2に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を併せて表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
単量体混合物に、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを単量体の総和に対して0.25重量%より少なく添加すると、添加量に応じて水不溶分が増加した。5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン0.25重量%以上添加しても差し支えないが、水不溶分は減少しなかった。
【0038】
[実施例9]
その他のエチレン性不飽和単量体単位を含んだ例として、N−ビニルアセトアミド単量体7.2重量%、アクリルアミド単量体14.4重量%、アクリル酸ナトリウム単量体2.4重量%、これらの単量体に対して0.25重量%の5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを含んだ水溶液を用いて、実施例1と同様に重合を行った。結果を表3にまとめた。
【0039】
[実施例10]
その他のエチレン性不飽和単量体単位を含んだ例として、N−ビニルアセトアミド単量体7.2重量%、アクリルアミド単量体15.6重量%、アクリル酸メチル単量体1.2重量%、これらの単量体に対して0.25重量%の5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを含んだ水溶液を用い、これに2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを水溶液全量に対して300ppm、t−ブチルハイドロパーオキサイドを水溶液全量に対して5.0ppm、亜硫酸水素ナトリウムを水溶液全量に対して3.5ppm、硫酸第一鉄を水溶液全量に対して1.0ppmで添加した以外は実施例1と同様に重合を行った。結果を表3にまとめた。
【0040】
[比較例5,6]
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを添加しない以外は実施例9、10と同様に試験した。結果を表3にまとめた。
【0041】
【表3】
【0042】
本発明の製造方法によって得られたN−ビニルカルボン酸アミド単量体単位とアクリルアミド単量体単位の共重合体に、その他のエチレン性不飽和単量体単位が含まれていても水不溶分を低減する効果が損なわれないことが示された。
【0043】
[実施例11]
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンに替えて、1,3−ジオンとして2−チオバルビツール酸を使用した以外は実施例1と同様に試験した。結果を表4にまとめた。
【0044】
[比較例7]
−CO−CH2−CO−構造を持つ直鎖状化合物であるアセチルアセトンを5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに使用した以外は実施例1と同様に試験した。結果を表4にまとめた。
【0045】
【表4】
【0046】
[実施例12]
5リットルジュワー瓶にN−ビニルアセトアミド7.2重量%、アクリルアミド16.8重量%を含有した水溶液3000gを入れ、窒素ガスで置換し、0℃に調温した。重合開始剤として2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを水溶液全量に対して150ppm、t−ブチルハイドロパーオキサイドを水溶液全量に対して2.5ppm、亜硫酸水素ナトリウムを水溶液全量に対して2.0ppm、硫酸第一鉄を水溶液全量に対して0.2ppmとなるように加えて断熱重合を3時間行った。
【0047】
得られたゲルを肉挽き機にてペレット状に細断した。得られたゲル状含水共重合体に、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンが10重量%の濃度で分散された懸濁液を単量体の総和に対して0.5重量%ふりかけ、十分に混合した。このゲルを5つのサンプルに分け、それぞれを60、90、100、110および120℃に設定された5台の熱風乾燥機に入れ、6時間乾燥した。さらに、得られたペレットを粉砕機で粉砕して粉状重合体とし、N−ビニルアセトアミド単量体単位30重量%、アクリルアミド単量体単位70重量%からなる共重合体を得た。実施例1と同様に試験した結果を表5に示した。
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法は、−CO−CH2−CO−で示される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含むN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を製造する方法であるので、乾燥工程において含水状態の共重合体を高温で乾燥しても、水不溶分の生成を抑制できる。これにより、高温による含水状態の共重合体の乾燥を行うことが可能となり、乾燥時間が短縮され、生産性が向上する。
【0050】
また、共重合工程において1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体とアクリルアミド単量体とを共重合させれば、重合阻害を抑制することもできる。これにより、重量平均分子量が1500万以上の高分子量であり、かつ水溶性であるN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を安定して得ることが可能となる。
【0051】
また、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位が、N−ビニルアセトアミド単量体単位であれば、水への溶解速度が速いN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を得ることが可能となる。
また、1,3−ジオン残基を含有する環状化合物が、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、またはその互変異性体の5,5−ジメチル−テトラヒドロ−m−レゾルシノールであれば、アルデヒド基含有化合物との反応性が優れ少量の添加で効果を得ることが可能となる。
【0052】
また、本発明のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体は、その中に含まれている水不溶分が極めて少なく、かつ高分子量であるため、水溶性で、かつ高分子量の共重合体が要求される高分子凝集剤および抄紙用粘剤の用途に好適に用いることができる。特に、水不溶分を極力低減した共重合体が望まれている抄紙用粘剤の用途に好適である。
Claims (5)
- −CO−CH2−CO−で示される1,3−ジオン残基を含有する環状化合物の存在下に、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位およびアクリルアミド単量体単位を含むN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体を製造することを特徴とするN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法。
- N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位が、N−ビニルアセトアミド単量体単位であることを特徴とする請求項1に記載のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法。
- 1,3−ジオン残基を含有する環状化合物が、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、またはその互変異性体の5,5−ジメチル−テトラヒドロ−m−レゾルシノールであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法により得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体からなる高分子凝集剤。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法により得られたN−ビニルカルボン酸アミド系共重合体からなる抄紙用粘剤。
Priority Applications (1)
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JP2000341728A JP4675471B2 (ja) | 2000-11-09 | 2000-11-09 | N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の製造方法および得られたn−ビニルカルボン酸アミド系共重合体の用途 |
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