JP5387850B2 - タンパク安定化剤およびその製造方法、タンパク安定化剤の使用方法、ならびにタンパク安定化方法 - Google Patents

タンパク安定化剤およびその製造方法、タンパク安定化剤の使用方法、ならびにタンパク安定化方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、臨床診断薬、臨床診断装置、バイオチップなどに用いられる各種タンパクの安定化剤およびその製造方法、タンパク安定化剤の使用方法、ならびにタンパク安定化方法に関する。
臨床診断薬として使用される標識抗体、標識抗原、酵素、一次抗体、一次抗原などのタンパクは、溶液状態でその活性を維持するために、ウシ血清アルブミン(BSA)を添加することが一般に行われる。しかしながら、BSAを添加しても、なお、タンパクの活性低下が生じ、さらに、生体由来の安定化剤を用いる場合、BSEに代表される生物汚染の問題があることなどから、化学合成による高性能のタンパク安定化剤の開発が望まれている。
化学合成によるタンパク安定化剤としては、特開平10−45794号公報にホスホリルコリンを有する重合体が、特開平10−279594号公報にトリアシルグリセリンに代表される脂肪酸エステル膜が、特開平11−69973号公報にグリセロールに代表されるポリオールが、特開平7−255477号公報にグリコシド誘導体をモノマー単位として含む重合体がそれぞれ提案されているが、これらの安定化剤のタンパク活性維持効果は十分でなかった。
本発明は、臨床診断薬として使用される標識抗体などの活性を維持するために有用な化学合成による高性能のタンパク安定化剤およびその製造方法、タンパク安定化剤の使用方法、ならびにタンパク安定化方法を提供する。
本発明者らは、この課題を解決するために、特定組成の共重合体が高いタンパク安定化効果を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明の一態様にかかるタンパク安定化剤は、単独重合した場合に、0℃以上80℃以下に下限臨界溶解温度を有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(A)と、
単独重合した場合に、下限臨界溶解温度を有さない非イオン性水溶性ホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(B)と、
を含有するモノマー混合物を重合することにより形成された水溶性ポリマーを含む。
上記タンパク安定化剤において、前記モノマー(A)は、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メトキシプロピルアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシプロピルアクリルアミド、N−イソプロポキシエチルアクリルアミド、N−イソプロポキシプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メトキシプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−エトキシプロピルメタクリルアミド、N−イソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−イソプロポキシプロピルメタクリルアミド、およびビニルメチルエーテルから選ばれるものであることができる。
上記タンパク安定化剤において、前記モノマー(A)は、N,N−ジエチルアクリルアミドであることができる。
上記タンパク安定化剤において、前記モノマー(B)は、N,N−ジメチルアクリルアミドであることができる。
上記タンパク安定化剤において、前記水溶性ポリマーの数平均分子量は、1,000〜100,000であることができる。
本発明の他の一態様にかかるタンパク安定化剤の製造方法は、
単独重合した場合に、0℃以上80℃以下に下限臨界溶解温度を有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(A)と、単独重合した場合に、下限臨界溶解温度を有さない非イオン性水溶性ホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(B)とを含有するモノマー混合物を重合することを含む。
本発明の他の一態様にかかるタンパク安定化剤の使用方法は、上記タンパク安定化剤をタンパクと共存させることを含む。
本発明の他の一態様にかかるタンパク安定化方法は、上記タンパク安定化剤をタンパクと共存させることを含む。
上記タンパク安定化剤は、上記モノマー(A)と、上記モノマー(B)とを含むモノマー混合物を重合することにより得られる水溶性ポリマーを有するものである。上記タンパク安定化剤は、該水溶性ポリマーを有することにより、広範な温度領域で固化することなく、高いタンパク安定化効果を発揮することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るタンパク安定化剤およびその製造方法、タンパク安定化剤の使用方法、ならびにタンパク安定化方法について、具体的に説明する。
1.タンパク安定化剤
1.1 タンパク安定化剤の構成および製造
本発明の一実施形態に係るタンパク安定化剤は、単独重合した場合に、0℃以上80℃以下に下限臨界溶解温度を有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(A)と、
単独重合した場合に、非イオン性下限臨界溶解温度を有さない水溶性ホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(B)と、
を含有するモノマー混合物を重合することにより形成された水溶性ポリマーを含む。
本実施形態に係るタンパク安定化剤は、その一部に上記水溶性ポリマーを含んでいてもよく、あるいは上記水溶性ポリマーのみから構成されていてもよい。
まず、上記水溶性ポリマーを製造するために用いられるモノマーの組成について説明する。
1.1.1 モノマー(A)
上記モノマー(A)は、単独重合した場合に、0℃以上80℃以下に下限臨界溶解温度(Lower Critical Solution Temperature:以下、「LCST」ともいう。)を有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマーである。
下限臨界溶解温度(LCST)は、低温では親水性で水によく溶けるが、ある温度以上になると疎水性となり水に溶けなくなるという性質を有する、いわゆる温度応答性高分子に現れる物性である。この温度応答性高分子が親水性から疎水性へと変化する温度を下限臨界溶解温度という。
保存下のタンパクが変性を生じると分子内コンフォメーションが変化し、本来の親水性の状態から疎水性の状態へと変化し、その疎水性部分を起点として、さらに他のタンパクの変性を誘発させる。単独重合した場合に、0℃以上80℃以下にLCSTを有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(A)は、その親水性/疎水性バランスにより、変性タンパクの凝集を阻止して分散状態を保つ働きを有すると考えられる。
これに対して、単独重合した場合に、80℃を超えるLCSTを有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマーでは、その親水性/疎水性バランスにおいて親水性が強いため、変性タンパクの凝集を阻止して分散状態を保つ働きに乏しい。一方、単独重合した場合に、0℃未満のLCSTを有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマーでは、その親水性/疎水性バランスにおいて疎水性が強いため、かかるモノマーをモノマー(B)と共重合させても水溶性ポリマーを得ることができない。
すなわち、単独重合した場合に、0℃以上80℃以下にLCSTを有するホモポリマーを形成する性質を有するモノマー(A)は、タンパク安定化効果を発現するための必須成分である。
モノマー(A)としては、例えば、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド;N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メトキシプロピルアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシプロピルアクリルアミド、N−イソプロポキシエチルアクリルアミド、N−イソプロポキシプロピルアクリルアミド;N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メトキシプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−エトキシプロピルメタクリルアミド、N−イソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−イソプロポキシプロピルメタクリルアミド、およびビニルメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
モノマー(A)として、置換アクリルアミド類を用いることがより好ましい。置換アクリルアミド類は、良好な共重合性を有するからである。また、モノマー(A)として、N,N−ジエチルアクリルアミドであることがさらに好ましい。N,N−ジエチルアクリルアミドを単独重合した場合に得られるホモポリマーは、室温では親水性であるため水に溶解するが、32℃(LCST)より高くなると疎水性となり水に溶解しなくなる温度応答性高分子である。これにより、モノマー(A)としてN,N−ジエチルアクリルアミドを用いることにより、特に優れたタンパク安定化効果を得ることができる。
モノマー(A)は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
1.1.2 モノマー(B)
上述したように、モノマー(B)は、単独重合した場合に、下限臨界溶解温度を有さない非イオン性水溶性ホモポリマーを形成する性質を有するモノマーである。
モノマー(B)は、タンパク安定化効果を保持または強化しつつ、広範な温度領域、とりわけ高温域でタンパク安定化剤の析出・固化を防止するための必須成分である。
モノマー(B)としては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどの置換または非置換のアクリルアミド類;ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなど重合後に加水分解することにより水溶性ポリマーとなるモノマー;N−ビニルアセトアミド、N―ビニルピロリドン、アリルアルコールなどその他のモノマーを挙げることができる。モノマー(B)としては、より好ましくは、置換または非置換のアクリルアミド類であり、さらに好ましくは、N,N−ジメチルアクリルアミドである。
モノマー(B)は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
1.1.3 モノマー混合物の組成および重合
その他のモノマー(C)として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基を有するアニオン性モノマー;スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン基を有するアニオン性モノマー;アリルアミン、アミノスチレン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド4級塩などの1級〜4級アミノ基を有するカチオン性モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンなどの疎水性モノマーを挙げることができる。モノマー(C)は、モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合させて水溶性ポリマーを製造することができる。
また、その他のモノマー(C)として、メタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルと、モノマー(A)およびモノマー(B)とを共重合させて得られた水溶性ポリマーは、より高度なタンパク安定化効果を発揮することがある。
本実施形態に係るタンパク安定化剤に含まれる水溶性ポリマーを製造するためのモノマー混合物の組成は、全モノマーを100重量%として、好ましくは、モノマー(A)10〜99重量%、モノマー(B)1〜90重量%、およびその他のモノマー(C)0〜49重量%であり、より好ましくは、モノマー(A)15〜95重量%、モノマー(B)5〜80重量%、およびその他のモノマー(C)0〜20重量%である。
モノマー(A)が10重量%未満であると、タンパク安定化効果が不十分である場合があり、モノマー(B)が1重量%未満であると、高温域でタンパク安定化剤が析出・固化する場合がある。
上記モノマーは、工業用原料として入手することができるものを精製して、あるいは、未精製のまま、共重合に使用することができる。
上記モノマー混合物の重合は、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合など公知の重合法で行うことができ、製造が容易であることから、好ましくはラジカル重合である。
また、モノマー混合物の重合は、公知の溶媒、開始剤、連鎖移動剤などと共に撹拌・加熱することにより実施される。重合時間は、通常30分〜24時間、重合温度は、0〜120℃程度である。
なお、開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド(和光純薬工業社製「V−50」)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)ジハイドロクロライド(和光純薬工業社製「VA−067」)などのカチオン性開始剤を使用することにより、タンパク安定化効果を高めることが可能である。このような開始剤の使用量は、モノマーの総量100質量部に対して好ましくは0.2〜5質量部である。また、連鎖移動剤として、2−メルカプトエチルアミン(システアミン)、3−メルカプトプロピルアミン、2−メルカプトプロピルアミンなどのカチオン性分子量調節剤を使用することにより、上記のカチオン性開始剤と同様にタンパク安定化を高めることが可能である。このような分子量調節剤の使用量は、モノマーの総量100質量部に対して好ましくは0.1〜10質量部である。
1.2 タンパク安定化剤の物性および用途
本実施形態に係るタンパク安定化剤(水溶性ポリマー)の数平均分子量は、通常1,000〜100,000であり、好ましくは2,000〜80,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。数平均分子量が1,000よりも小さいと、タンパクを安定化させる効果を発揮することができない場合がある。一方、数平均分子量が100,000よりも大きいと、タンパク水溶液が増粘またはゲル化する場合がある。
本実施形態に係るタンパク安定化剤(水溶性ポリマー)の分子量分布は、典型的には、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3である。
本実施形態に係るタンパク安定化剤に含まれるポリマーは水溶性である。本発明において、「水溶性である」とは、25℃で1%のポリマー固形分となるように水に共重合ポリマーを添加・混合したときに、目視で透明または半透明に溶解することをいう。
本実施形態に係るタンパク安定化剤をタンパクと共存させることにより、タンパクの安定化を図ることができる。
本実施形態に係るタンパク安定化剤は、タンパク溶液中でタンパクの安定化を行うものであってもよい。この場合、本実施形態に係るタンパク安定化剤は例えば、臨床診断薬で使用されるタンパク(例えば、標識抗体、標識抗原、酵素、一次抗体、一次抗原)、血漿製剤に含まれるタンパク、コンタクトレンズの洗浄に使用されるタンパク(例えば酵素)の安定化剤などとして機能し、本実施形態に係るタンパク安定化剤をタンパク溶液中に添加することにより、タンパクの活性を長期間にわたり維持させることができる。あるいは、本実施形態に係るタンパク安定化剤を例えば免疫診断薬の希釈液として用いることにより、特異検体のシグナルを増強する効果および非特異検体のシグナルを抑制する効果を得ることができる。
あるいは、本実施形態に係るタンパク安定化剤を部材の表面にコーティングすることにより、タンパクの安定化を行うものであってもよい。この場合、本実施形態に係るタンパク安定化剤を例えば容器・器具等の表面にコーティングすることにより、タンパクの非特異吸着を抑制する効果を得ることができる。
2.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
2.1 実施例1
モノマー(A)としてジエチルアクリルアミド30g、モノマー(B)としてジメチルアクリルアミド60g、モノマー(C)としてメタクリル酸メチル10g、連鎖移動剤としてシステアミン塩酸塩1gを水900gに混合して撹拌機付きセパラブルフラスコに入れた。これに窒素を吹き込みながら、70℃まで昇温し、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド2gを添加した後、2時間重合を続け、さらに80℃に昇温して3時間エージングした後、室温まで冷却した。得られた共重合体溶液をダイアライザーにより精製し、さらに凍結乾燥することにより、本実施例のタンパク安定化剤(S−1)89gを得た。
タンパク安定化剤(S−1)のGPCによる数平均分子量は8,000であり、重量平均分子量は16,000であった。
西洋ワサビパーオキシダーゼ標識マウスIgG抗体(ミリポア社製AP124P)を1%のタンパク安定化剤(S−1)水溶液で10万倍に希釈し、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジデン)/過酸化水素水/硫酸で発色させて450nmの吸光度を測定した(保存前の吸光度の測定)。また、西洋ワサビパーオキシダーゼ標識マウスIgG抗体(ミリポア社製「AP124P」)を1%のタンパク安定化剤(S−1)水溶液で10万倍に希釈した後、4℃で10日間保存した後、同様の方法にて吸光度を測定した(保存後の吸光度の測定)。その結果、タンパク安定化剤(S−1)の保存前の吸光度を100%としたとき、タンパクの活性維持率の指標となる保存後の吸光度は95%であった。
2.2 実施例2
実施例1において、モノマー(A)としてジエチルアクリルアミド30g、モノマー(B)としてジメチルアクリルアミド60g、モノマー(C)としてメタクリル酸メチル10gを用いる代わりに、モノマー(A)としてジエチルアクリルアミド70g、モノマー(B)としてジメチルアクリルアミド30gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、共重合ポリマー(S−2)を得た。
共重合ポリマー(S−2)のGPCによる数平均分子量は4,800であり、重量平均分子量は9,800であった。
また、実施例1と同様の方法にて、共重合体(S−2)の保存前の吸光度および保存後の吸光度をそれぞれ測定した結果、保存前の吸光度(100%)に対する保存後の吸光度は84%であった。
2.3 比較例1
実施例1において、モノマー(A)としてジエチルアクリルアミド30g、モノマー(B)としてジメチルアクリルアミド60g、モノマー(C)としてメタクリル酸メチル10gを用いた代わりに、モノマーとしてジエチルアクリルアミド100gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、共重合ポリマー(X−1)を得た。
共重合ポリマー(X−1)のGPCによる数平均分子量は5,200であり、重量平均分子量は13,000であった。
また、実施例1と同様の方法にて、共重合体(X−1)の保存前の吸光度および保存後の吸光度をそれぞれ測定した結果、保存前の吸光度(100%)に対する保存後の吸光度は36%であった。
2.4 比較例2
実施例1において、モノマー(A)としてジエチルアクリルアミド30g、モノマー(B)としてジメチルアクリルアミド60g、モノマー(C)としてメタクリル酸メチル10gを用いた代わりに、モノマーとしてジメチルアクリルアミド100gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、共重合体(X−2)を得た。
共重合体(X−2)のGPCによる数平均分子量は9,800であり、重量平均分子量は20,000であった。
また、実施例1と同様の方法にて、共重合体(X−2)の保存前の吸光度および保存後の吸光度をそれぞれ測定した結果、保存前の吸光度(100%)に対する保存後の吸光度は19%であった。
2.5 比較例3
タンパク安定化剤(S−1)の代わりにBSAを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、BSAの保存前の吸光度および保存後の吸光度をそれぞれ測定した結果、保存前の吸光度(100%)に対する保存後の吸光度は71%であった。
本実施形態に係る説明は以上である。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらなる種々の変形が可能である。また本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (7)

  1. N,N−ジエチルアクリルアミドと、N,N−ジメチルアクリルアミド、を含有するモノマー混合物を重合することにより形成された水溶性ポリマーを含む、タンパク安定化剤。
  2. 請求項において、
    前記水溶性ポリマーの数平均分子量は、1,000〜100,000である、タンパク安定化剤。
  3. 請求項1または2において、
    前記モノマー混合物は、N,N−ジエチルアクリルアミドを、全量100重量%に対して10〜99重量%、およびN,N−ジメチルアクリルアミドを、全量100重量%に対して、1〜90重量%含有する、タンパク安定化剤。
  4. N,N−ジエチルアクリルアミドと、N,N−ジメチルアクリルアミドと
    を含有するモノマー混合物を重合することを含む、タンパク安定化剤の製造方法。
  5. 請求項において、
    前記モノマー混合物は、N,N−ジエチルアクリルアミドを、全量100重量%に対して10〜99重量%、およびN,N−ジメチルアクリルアミドを、全量100重量%に対して、1〜90重量%含有する、タンパク安定化剤の製造方法。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載のタンパク安定化剤をタンパクと共存させることを含む、インビトロにおける、タンパク安定化剤の使用方法。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載のタンパク安定化剤をタンパクと共存させることを含む、インビトロにおける、タンパク安定化方法。
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