JP2003289797A - ヨーグルト及びその製造方法 - Google Patents

ヨーグルト及びその製造方法

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Hideyuki Sumiyoshi
秀幸 住吉
Manami Oishi
真奈美 大石
Yoshinori Fujimoto
佳則 藤本
Sumi Watanabe
純未 渡邉
Takehiro Unno
剛裕 海野
Mikio Yamamoto
幹男 山本
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Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイルドな酸味を有し、ミルク風味が豊か
で、長期保存しても変性カゼインと乳清成分とが分離し
難いヨーグルト及びその製造方法を提供する 【解決手段】 原料乳に、内分岐環状構造部分と外分岐
構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンを
添加して、乳酸醗酵させることにより、ヨーグルトを製
造する。原料乳に、前記グルカンの他に、大豆多糖質及
び/又はシクロデキストリンを添加して、乳酸醗酵させ
ることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳清が分離し難
く、マイルドな酸味と豊な牛乳の風味を持つヨーグルト
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヨーグルトは牛や山羊の乳を長期間保存
するために生まれた食品で、これら乳を乳酸醗酵させた
食品であり、発酵の過程で生成する乳酸などの有機酸や
種々の成分の分解物によって、カゼインなどの乳タンパ
ク質が凝集し独特の酸味と風味を持つ。近年では、老化
抑制や整腸作用などの効果が注目され、健康食品として
最もポピュラーなものとなっている。
【0003】ヨーグルトは、一般的には、低温加熱やフ
ィルターろ過等の無菌処理した牛乳に、Lactobacillus
属、Bifidobacterium 属、Streptococcus 属などの、最
終製品の形状や効果に応じた乳酸菌を添加し、発酵させ
ることにより、工業的に製造されている。
【0004】ヨーグルトは、原料に用いる乳の種類、乳
酸菌の種類、発酵条件や工程に用いる装置等によって、
その酸味や風味の強さや品質が異なり、商品の差別化を
生み出している。しかしながら、ヨーグルトは、独特の
酸味や風味を持つため、一部の消費者にとっては、強い
酸味や発酵臭を嫌う場合があった。
【0005】ヨーグルトの酸味を緩和する方法として
は、砂糖や異性化糖、オリゴ糖、人工甘味料などを加
え、甘味を付与する方法が一般的であった。また、ヨー
グルトの風味を改善し、より食しやすい形に加工する方
法として、ヨーグルトに種々の果汁や果肉、或いは香
料を添加する方法、寒天を加えて食品あたりのヨーグ
ルト配合比率を下げ、風味を整える方法、氷冷しシャ
ーベット様に固め風味を整える方法、希釈し飲料とし
て調整し風味を整える方法などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の酸味を緩和する方法では、ヨーグルトに必要以上の
カロリーを与えたり、後味を悪くしたり、コストアップ
の原因となっていた。
【0007】また、従来のヨーグルトは、長期保存した
際に、変性カゼインが沈殿し、乳清成分と分離しやすい
という問題点があった。
【0008】したがって、本発明の目的は、マイルドな
酸味を有し、ミルク風味が豊かで、更に、発酵過程で生
成する乳酸により凝集する変性カゼインの比重や凝集状
態を変化させることによって、長期保存しても変性カゼ
インと乳清成分とが分離し難いヨーグルト及びその製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、内分岐環状構
造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上
であるグルカンを適量含有させることによって、発酵時
に生成される乳酸などの有機酸の酸味が抑制され、マイ
ルドな呈味が付与されると共に、ミルク風味の豊かなヨ
ーグルトが得られることを見出した。
【0010】更に、得られたヨーグルトは、含まれる変
性カゼイン凝集物が、比重の軽いスポンジ様の均一な構
造を持ち、保存中に乳清が分離し難い特性を有している
ことを見出し、これらの事実に基づいて、本発明を完成
させるに至った。
【0011】すなわち、本発明の1つは、内分岐環状構
造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上で
あるグルカンを含有することを特徴とするヨーグルトを
提供するものである。
【0012】本発明のヨーグルトにおいては、大豆多糖
質及び/又はシクロデキストリンを含有することが好ま
しい。
【0013】また、本発明のもう1つは、原料乳に、内
分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が
50以上であるグルカンを添加して、乳酸醗酵させるこ
とを特徴とするヨーグルトの製造方法を提供するもので
ある。
【0014】本発明のヨーグルトの製造方法において
は、原料乳に、前記グルカンの他に、大豆多糖質及び/
又はシクロデキストリンを添加して、乳酸醗酵させるこ
とが好ましい。
【0015】本発明によれば、内分岐環状構造部分と外
分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカ
ンを含有させることによって、酸味や発酵臭が抑制され
ると共に、ミルク風味が豊かで、かつクリーミーな食感
のヨーグルトが得られる。
【0016】また、本発明によれば、比重の軽いスポン
ジ様の均一な構造を持つ変性カゼイン凝集物が生成され
るため、保存中に乳清が分離し難いという優れた特性が
得られる。
【0017】本発明において、前記グルカンの他に、大
豆多糖質及び/又はシクロデキストリンを添加した場合
には、酸味を抑制する効果や、乳清分離を起こさせない
効果を更に高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について好ましい態
様を挙げて、更に詳細に説明する。
【0019】本発明で用いられるグルカンは、内分岐環
状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以
上であるものである(以下、このようなグルカンを高度
分岐環状デキストリンという。)。なお、上記内分岐環
状構造部分とは、複数個のグルコースがα−1,4−グ
ルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで連結さ
れた環状構造部分を意味し、上記外分岐構造部分とは、
この内分岐環状構造部分に結合した複数個のグルコース
からなる非環状構造部分を意味する。
【0020】すなわち、本発明で用いられる高度分岐環
状デキストリンとは、少なくとも一つのα−1,6−グ
ルコシド結合を有する環状グルカン(内分岐環状構造部
分)に、枝状のグルカン(外分岐構造部分)が、α−
1,4−又はα−1,6−グルコシド結合を介して連結
したものであって、全体の重合度が50以上のものを意
味する。このようなグルカンは、α−1,4−グルコシ
ド結合及びα−1,6−グルコシド結合を有する糖質
に、糖転移酵素を作用させることで得ることができる
(特開平8−134104号公報参照)。
【0021】高度分岐環状デキストリンは、従来からあ
るデキストリンと異なり、還元末端をほとんど持たない
ので冷蔵・保存中に老化するようなことがほとんどな
い。そのため、ヨーグルトに添加しても冷蔵・保存中に
老化して沈殿することや浮遊物を生じることがないとい
う利点を有している。
【0022】本発明において、乳原料としては、哺乳動
物の乳が用いられ、例えば牛乳やヤギなどの乳、及び脱
脂粉乳などで強化した乳類を用いることができる。ま
た、乳酸発酵菌としては、Lactobacillus 属、Bifidoba
cterium 属、Streptococcus 属など、ヨーグルトを作る
際に一般的に用いられている任意の乳酸発酵菌を一種以
上用いることができる。
【0023】乳原料を乳酸発酵させてヨーグルトを製造
する際に、上記高度分岐環状デキストリンを添加するタ
イミングは、ヨーグルト又はその加工品中に高度分岐環
状デキストリンが共存する条件下であれば特に限定され
るものではなく、ヨーグルト製造工程の任意の過程で添
加することができる。
【0024】即ち、原料乳に予め高度分岐環状デキスト
リンを添加、溶解させた後、乳酸発酵を経てヨーグルト
を製造してもよいし、乳酸発酵の過程で高度分岐環状デ
キストリンを添加したり、発酵が終了しパッケージする
直前にヨーグルトに混合溶解してもよく、更には、予め
製造したヨーグルトを用いて、飲料や氷菓などに二次加
工する際に高度分岐環状デキストリンを混合溶解しても
よい。
【0025】ヨーグルトの酸味抑制を主な目的とする場
合は、上記のように高度分岐環状デキストリンを添加す
る時期はいずれの工程でもよいが、呈味や、風味がよ
く、かつ保存時の乳清分離が起こらない特性を有するヨ
ーグルトを得る場合には、原料乳に予め高度分岐環状デ
キストリンを添加するか、又は乳酸発酵の過程で高度分
岐環状デキストリンを添加する方法が望ましい。
【0026】高度分岐環状デキストリンは、添加する量
が多いほど高い効果が得られる。しかしながら多く添加
すると、得られるヨーグルトの呈味に余計なボディ感を
与えることになるので、好ましくは0.05〜20質量
%、更に好ましくは0.1〜10質量%の添加量とする
のがよい。
【0027】更に本発明では、高度分岐環状デキストリ
ンの効果を補佐し、より優れた特性を有するヨーグルト
を得るために、種々の食品及び/又は食品添加物を用い
ることができる。
【0028】高度分岐環状デキストリンの効果を補佐す
る食品及び/又は食品添加物としては、デンプンやプル
ランを酸や酵素にて加水分解したマルトオリゴ糖及び/
又はマルトデキストリン、酵素の逆転移や異性化作用を
利用して製造したカップリングシュガー、トレハロー
ス、ニゲロース及び/又はニゲロオリゴ糖、ゲンチオオ
リゴ糖などのβ-グルコオリゴ糖類、α-シクロデキスト
リン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン
などのシクロデキストリン類、これらのシクロデキスト
リン類に、グルコースやマルトース又はそれら以外の単
糖類や複数種の糖オリゴマーからなる糖分岐鎖を持つ分
岐シクロデキストリン類、ソルビトールやマルチトール
などの糖アルコール、カラギーナン又はその加水分解
物、セルロースやヘミセルロース、デンプンやデキスト
リン類、及びこれらの水溶性を高めるために、又は老化
しにくくするために、これらを修飾した誘導体類、植物
由来の増粘多糖質及びその分解物、アラビノキシランな
どが挙げられ、これらは1種又は2種類以上を適宜選択
して用いることができる。
【0029】なお、本発明で用いる糖質は、粉末でもよ
いし、又はこれらを1種以上含む溶液やシラップであっ
てもかまわない。
【0030】以上の高度分岐環状デキストリン以外に添
加できる食品素材の内、特にシクロデキストリン類、ニ
ゲロース及び/又はニゲロオリゴ糖、ゲンチオビオース
及び/又はゲンチオオリゴ糖などの苦味を有するβ-グ
ルコシド結合を有する糖質などは、食品素材のえぐ味や
雑味を打ち消したり、不快な渋味や苦味を包接により取
り除くことで、風味の輪郭を引き立たせる機能を持つの
で、高度分岐環状デキストリンと同時に添加する素材と
しては非常に好ましい。これらの糖質の機能は添加する
量に依存し、添加量を増加するほど効果は大きくなる。
しかしながら多く入れすぎると、ヨーグルトに不要な甘
味や苦味、ボディ感を与えるので、上記から選ばれた少
なくとも1種以上の糖質の合計の添加量は、0.001
〜20質量%が好ましく、0.01〜5質量がより好ま
しい。
【0031】高度分岐環状デキストリンの効果を補佐す
る最も好ましい食品及び/又は食品添加物として、酸味
抑制が主目的であるならば、β-シクロデキストリン、
γ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン類、
変性カゼインの特性やテクスチャーを改善し、乳清分離
を起こさせないことが主目的であるならば、デンプンや
デキストリン、大豆由来の増粘多糖質、アガロースなど
の高分子多糖質を併用することが望ましい。
【0032】本発明に添加できるその他の材料として
は、果実や果汁、キャベツ、人参、ほうれん草などの緑
黄色野菜及び/又はこれらの粉砕物や抽出物、ウコン、
高麗人参や霊芝などの漢方薬原料からの抽出エキス、タ
ンニンやカテキンなどのポリフェノール類及び/又はこ
れらを成分とする緑茶や甜茶などの抽出物、リモニンな
どの果実や花の香気成分類及び/又はこれらを成分とす
る柑橘系果実や果皮からの抽出物などが挙げられ、これ
らは必要とする任意の量を用いることができる。
【0033】また、これら高度分岐環状デキストリンの
効果を補佐する食品及び/又は食品添加物類は、ヨーグ
ルト製造工程の任意の過程で添加することができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は、以下の実施例により限定される
ものではない。なお、以下の例において、高度分岐環状
デキストリンとして、日本食品化工株式会社製の「クラ
スター デキストリン」(商品名)を用いた。
【0035】試験例1 0.5、1.0、1.5、2.0質量%の異なる濃度を持つL-乳酸水
溶液を調整し、それぞれに高度分岐環状デキストリン、
デキストリン(DE=2)、β-シクロデキストリンを1g
添加し、混合溶解した後、別途用意した0.1質量%ず
つ濃度を変えた0.1〜2.0質量%のL-乳酸水溶液を
基準にして、官能検査にて酸味の相対強度を比較評価し
た。なお、官能検査の評価は、試験液と同等あるいは最
も近い酸味を持つと感じられる無添加L−乳酸水溶液を
二点識別法で選び、その選ばれた無添加L−乳酸水溶液
濃度の繰り返し3回の平均値を用い、グラフ化するとい
う方法で行った。このとき、相対酸味度は、標準となる
無添加L−乳酸水溶液濃度とした。この結果を図1に示
す。
【0036】なお、図1中のAは無添加区、Bは高度分
岐環状デキストリン添加区、Cはデキストリン添加区、
Dはβ-シクロデキストリン添加区を意味する。
【0037】図1に示されるように、高度分岐環状デキ
ストリンによるL-乳酸水溶液の酸味抑制効果は、β-シ
クロデキストリンにはやや劣るものの、通常のデキスト
リンよりも高いことがわかる。
【0038】実施例1(高度分岐環状デキストリン添加
区) 市販の無調整牛乳98質量部に、高度分岐環状デキスト
リン2質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレーンヨ
ーグルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発
酵させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0039】比較例1(β-シクロデキストリン添加
区) 市販の無調整牛乳98質量部に、β-シクロデキストリ
ン2質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレーンヨー
グルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発酵
させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0040】比較例2(対照区) 市販の無調整牛乳100質量部に、市販のプレーンヨー
グルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発酵
させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0041】試験例2 上記実施例1、比較例1,2で得られたプレーンヨーグ
ルトについて、6人のパネルにて官能検査を行い、酸
味、甘味、牛乳フレーバー、発酵臭に関する相対評価を
行った。なお、それぞれの評価は、パネル6名に酸味、
甘味、牛乳フレーバー、発酵臭の強い順位を選ばせ、最
も強いものを2点、2番目を1点、最も弱いものを0点
として加算した結果をグラフ化するという方法で行っ
た。
【0042】この結果を図2に示す。なお、図2中のco
ntrolは対照区(比較例2)、CCDは高度分岐環状デキス
トリン添加区(実施例1)、β-CDはβ-シクロデキスト
リン添加区(比較例1)を意味する。
【0043】対照区(比較例2)は、酸味及び発酵臭が
強いものであった。これに対して、高度分岐環状デキス
トリン添加区(実施例1)及びβ-シクロデキストリン
添加区(比較例1)は、対照区と比較し、酸味が抑制さ
れた。ミルク感を連想させる牛乳フレーバーは、高度分
岐環状デキストリン添加区及びβ-シクロデキストリン
添加区で強く感じた。特に高度分岐環状デキストリン添
加区は、β-シクロデキストリン添加区より強く感じら
れた。発酵臭は、高度分岐環状デキストリン添加区及び
β-シクロデキストリン添加区ともに、対照区より低く
感じられた。
【0044】総合評価では、パネル6名中5名が、高度
分岐環状デキストリン添加区にヨーグルトの呈味改善効
果があり、好ましいと評価した。
【0045】実施例2(高度分岐環状デキストリン添加
区) 市販の無調整牛乳99質量部に、高度分岐環状デキスト
リン1質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレーンヨ
ーグルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発
酵させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0046】比較例3(β-シクロデキストリン添加
区) 市販の無調整牛乳99質量部に、β-シクロデキストリ
ン1質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレーンヨー
グルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発酵
させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0047】比較例4(分岐デキストリン添加区) 市販の無調整牛乳99質量部に、分岐デキストリン(DE
=8)1質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレーンヨ
ーグルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発
酵させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0048】比較例5(酵素分解デキストリン添加区) 市販の無調整牛乳99質量部に、酵素分解デキストリン
(DE=5)1質量部を加えて溶解し、そこに市販のプレー
ンヨーグルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳
酸発酵させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0049】比較例6(対照区) 市販の無調整牛乳100質量部に、市販のプレーンヨー
グルト5質量部を加え、37℃にて72時間、乳酸発酵
させ、プレーンヨーグルトを得た。
【0050】試験例3 実施例2、比較例3〜6で得られたそれぞれのプレーン
ヨーグルトを、遠心管に30g取り、遠心分離機にて3,
000rpm、10分間遠心分離し、分離した乳清部の質量を計
量し、分取したプレーンヨーグルト質量あたりの百分率
で比較した。この結果を図3に示す。
【0051】なお、図3中のControlは対照区(比較例
6)、BCDはβ-シクロデキストリン添加区(比較例
3)、BLDは分岐デキストリン添加区(比較例4)、FSV
は酵素分解デキストリン添加区(比較例5)、CCDは高
度分岐環状デキストリン添加区(実施例2)を意味す
る。
【0052】高度分岐環状デキストリン添加区の分離す
る乳清は、対照区より10質量%も少なく、酵素分解デキ
ストリンと同等なプレーンヨーグルトの安定化を実現で
きた。
【0053】実施例3(高度分岐環状デキストリン添加
区)、比較例7(対照区) 表1の組成を持つ、2種類のヨーグルトを調整し、パネ
ル10名による官能評価を実施した。
【0054】
【表1】
【0055】その結果、パネル10名中、9名が高度分
岐環状デキストリン添加区(実施例3)の酸味低減効果
を認め、8名が高度分岐環状デキストリン添加区に添加
したストロベリーの風味が引き立っていると評価した。
【0056】実施例4 市販のプレーンヨーグルト100質量部に、高度分岐環
状デキストリンを2質量部、「テイストオリゴ」(商品
名、日本食品化工株式会社製、ニゲロオリゴ糖40%(固
形分あたり)を含む)を1質量部、果糖ぶどう糖液糖7
質量部、オレンジピール4質量部を加え、撹拌棒にて5
分間撹拌し、オレンジ風味豊かで、程よい酸味を有した
フルーツヨーグルトを調製した。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高度分岐環状デキストリンを含有させることによって、
酸味や発酵臭が抑制されると共に、ミルク風味の豊かな
ヨーグルトが得られる。また、高度分岐環状デキストリ
ンを添加することによって、比重の軽いスポンジ様の均
一な構造を持つ変性カゼイン凝集物が生成されるため、
保存中に乳清が分離し難いという優れた特性が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 L-乳酸水溶液を調整し、それぞれに高度分岐
環状デキストリン、デキストリン、β-シクロデキスト
リンを添加し、混合溶解した後、無添加のL-乳酸水溶液
を基準にして官能検査にて酸味の相対強度を比較評価し
た結果を示す図表である。
【図2】 対照区、高度分岐環状デキストリン添加区、
及びβ-シクロデキストリン添加区の酸味、甘味、牛乳
フレーバー、発酵臭について官能評価した結果を示す図
表である。
【図3】 高度分岐環状デキストリン添加区、β-シク
ロデキストリン添加区、酵素分解デキストリン添加区、
分岐デキストリン添加区、及び対照区について、分離す
る乳清量を測定した結果を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邉 純未 静岡県駿東郡長泉町上土狩659番地の10 (72)発明者 海野 剛裕 静岡県富士市中丸703−25 (72)発明者 山本 幹男 静岡県富士市宮下110−23 Fターム(参考) 4B001 AC03 AC31 EC01 EC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内分岐環状構造部分と外分岐構造部分と
    を有し、重合度が50以上であるグルカンを含有するこ
    とを特徴とするヨーグルト。
  2. 【請求項2】 更に、大豆多糖質及び/又はシクロデキ
    ストリンを含有する請求項1記載のヨーグルト。
  3. 【請求項3】 原料乳に、内分岐環状構造部分と外分岐
    構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンを
    添加して、乳酸醗酵させることを特徴とするヨーグルト
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 原料乳に、前記グルカンの他に、大豆多
    糖質及び/又はシクロデキストリンを添加して、乳酸醗
    酵させる請求項3記載のヨーグルトの製造方法。
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