JP2008099659A - 微生物の環境ストレス保護剤、並びに発酵食品及びその製造方法 - Google Patents

微生物の環境ストレス保護剤、並びに発酵食品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊な微生物を添加する必要はなく、また環境耐性遺伝子の導入など複雑な処理を行わなくても、簡易に環境ストレスに対応して、環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤を提供することである。
【解決手段】環境ストレスから微生物の能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤であって、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン、大豆多糖類、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類のうち少なくとも1以上が含まれていることを特徴とする微生物の環境ストレス保護剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温、低温、高糖度、高塩濃度、低pH及び乾燥等の環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤、並びに発酵食品及びその製造方法に関する。
従来から、微生物は、発酵食品をはじめ、酵素の生産、調味料や糖質、酸味料の生産、抗生物質等の医薬品の生産、遺伝子工学の媒体、排水処理やバイオレメディエーションによる土壌の改良、微生物センサーなど様々な技術分野で使用されている。
ところで、微生物は、その種類によって、温度、栄養状況、pH、糖度、塩濃度、水分や酸素量などの生育環境が異なっており、異なる種類の生育環境では、増殖能や発酵能などが十分に発揮されない。このため、通常より高い温度条件で微生物を育成させるには好温菌を添加したり、低いpH環境で微生物を育成させるには好酸菌を添加したり、高塩濃度で微生物を育成させるためには好塩菌を添加するなど、微生物を通常と異なった生育環境で育成させる場合には、特殊な微生物を添加することが行なわれているが、環境ストレスの種類に応じて異なる特殊な微生物を添加しなければならないという問題がある。
また、ある微生物を生育環境の異なる生育環境で育成させる技術としては、その微生物に環境耐性遺伝子を導入する方法(特許文献1)、通常の微生物の菌株と環境耐性のある微生物の菌株を細胞融合させる方法(特許文献2)、環境耐性があり目的とする機能を有する微生物を新たにスクリーニングする方法(特許文献3)、及び突然変異を利用して環境耐性を持つ菌株をスクリーニングする方法(特許文献4)等が知られている。
WO96/26289 特願平5−49471号公報 特開2001−178449号公報 特表2003−506037号公報
しかしながら、環境耐性遺伝子を導入する方法は、微生物の目的の機能を維持したまま環境耐性を得ることができるが、食品産業の分野ではGMO(遺伝子組み換え作物)を嫌う傾向があり、また、継代培養を続けることで導入した環境耐性遺伝子が抜け落ちることがある。土壌等から環境耐性があり目的とする機能を有する微生物を新たにスクリーニングする方法や突然変異を利用して環境耐性を持つ菌株をスクリーニングする方法は、微生物の検索や育種に非常に多くの時間がかかり、場合によっては目的とする微生物が得られない可能性もある。
そこで、本発明は、特殊な微生物を添加する必要はなく、また環境耐性遺伝子の導入など複雑な処理を行わなくても、簡易に環境ストレスに対応して、環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤、並びに発酵食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン、大豆多糖類、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類のうち少なくとも1以上を添加することによって、環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することができることを見出した。すなわち、本発明は、環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤であって、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン、大豆多糖類、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類のうち少なくとも1以上が含まれていることを特徴とする。
また、本発明は、前記微生物の環境ストレス保護剤が添加された状態で微生物の発酵処理された発酵食品であり、さらに、前記微生物の環境ストレス保護剤が発酵処理された後に添加されていることを特徴とする発酵食品である。
またさらに、本発明は、前記微生物の環境ストレス保護剤が添加された状態で微生物の発酵処理を行い、発酵食品を製造することを特徴とする発酵食品の製造方法である。
以上のように、本発明によれば、特殊な微生物を添加する必要はなく、また環境耐性遺伝子の導入など複雑な処理を行わなくても、簡易に環境ストレスに対応して、環境ストレスから微生物の増殖能や発酵能などの能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤を提供することができる。
本発明において、微生物の環境ストレス保護剤とは、高温、低温、高糖度、高塩濃度、低pH、乾燥等の環境ストレスが負荷された環境下においても、微生物の増殖能や発酵能などの能力の低下を抑制することを可能にするものをいう。本発明に係る環境ストレス保護剤は、発酵食品の発酵前に添加され、添加された状態で発酵処理が行われる。一方、本発明に係る環境ストレス保護剤は、発酵された発酵処理に添加することにより、その後の乾燥、加熱、冷凍などの後処理や胃液又は腸の胆汁酸などによって菌が死滅又は減少することを防止できる。
本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤において、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類とは、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン及び大豆多糖類それぞれを酸処理、加熱処理又は酵素処理などによって加水分解されて低分子化されたものである。具体的には、低分子アラビアガムの分子量は、5,000〜200,000であり、低分子トラガントガムの分子量は、5,000〜300,000であり、低分子カラヤガムの分子量は、5,000〜400,000であり、低分子アラビノガラクタンの分子量は、5,000〜50,000であり、低分子大豆多糖類の分子量は、5,000〜50,000である。
また、本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤によって、環境ストレスから増殖能などが保護される微生物としては、麹菌、ペニシリウム及びきのこ等のカビ、酵母、乳酸菌及び納豆菌等の細菌、ビフィズス菌等の嫌気性菌、ストレプトミセス等の放射菌、クロレラ等の藻類、粘菌類、並びに地衣類などがある。
本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤は、培地や発酵食品の基材に0.1〜10%濃度になるように添加し、発酵させることによって、用いることができる。
本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤の存在下で微生物の発酵処理を行うことによって、発酵食品を製造することができる。また、微生物の発酵処理を行った発酵食品に、本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加することもできる。その発酵食品としては、例えば、ヨーグルト、チーズ、パン、ビール、ワイン及び清酒などの酒類、漬け物、塩辛、醤油、味噌、酢、発酵調味料、ナタデココ、乳酸飲料、納豆、並びに発酵茶などがある。
次に、本発明に係る微生物の環境ストレス保護剤の実施例について説明する。先ず、実施例1乃至5に係る微生物の環境ストレス保護剤として、表1に示すようにアラビアガム(CNI社製)、トラガントガム(五協産業社製)、カラヤガム(ソマール社製)、アラビノガラクタン(LAREX社製)及び大豆多糖類(三栄源FFI社製)を用意した。また、これら実施例1乃至5に係る微生物の環境ストレス保護剤それぞれ50重量部を95%のエタノール100重量部に分散させ、85%のリン酸1重量部を添加後、90℃で還流しながら1時間酸分解を行い、分解終了後、分散液をろ過し、70%エタノールでろ過残渣を洗浄し、70%のエタノール100重量部に分散させ、5N水酸化ナトリウム溶液でpH6.0まで中和し、その後、再びろ過を行い、70%エタノールで洗浄し熱風乾燥することによって、実施例6乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤として、表1に示すように、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類を得た。
Figure 2008099659
実験例1
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高糖度耐性に対する乳酸菌の増殖能について、実験を行なった。先ず、前提として、環境ストレスである高糖度でない環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合の乳酸菌の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤それぞれを3%濃度になるように、MRS培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してから前培養液を0.5%濃度で添加した。前培養液は、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスをMRS培地で一晩、37℃で培養して作製した。発酵は、37℃で48時間行い、吸光光度計を用いてラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスの増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2008099659
次に、環境ストレスである高糖度を与えた環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合の乳酸菌の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ3%濃度になるように、高糖度の20%シュクロース含有MRS培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してから前培養液を0.5%濃度で添加した。前培養液は乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスをMRS培地で一晩、37℃で培養して作製した。発酵は37℃で7日間行い、吸光光度計を用いてラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスの増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表3に示す。
Figure 2008099659
表2に示すように、環境ストレスを与えない環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加の有無によって微生物の増殖に変化が見られなかったが、表3に示すように、高糖度という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例2
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高糖度耐性に対する乳酸菌の増殖能について、実験を行なった。すなわち、実施例1に係る環境ストレス保護剤をそれぞれ1%、3%、5%濃度になるように、高糖度の20%シュクロース含有MRS培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してから前培養液を0.5%濃度で添加した。前培養液は乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスをMRS培地で一晩、37℃で培養して作製した。発酵は37℃で7日間行い、吸光光度計を用いてラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスの増殖をOD660nmの吸光度で測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これら結果を表4に示す。
Figure 2008099659
表4に示すように、高糖度という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加量が多い方が、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例3
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高糖度耐性に対するビール酵母によるエタノール生産能について、実験を行なった。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤それぞれを3%濃度になるように、高糖度の40%グルコース添加麦汁培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、ビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養後、8%シュクロース添加麦汁培地で24時間好気培養して作製した。発酵は、25℃で、最初の10時間を好気的に培養後、通気を止め、10日間アルコール発酵を行った。酵母の発酵により産生されたアルコール量をガストロマトグラフで定量した。比較例として無添加のもので同様にアルコール量を定量した。これらの結果を表5に示す。
Figure 2008099659
表5に示すように、高糖度という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合、環境ストレスによる発酵能の劣化を抑えることができることが分かる。
実施例4
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高糖度耐性に対するザイモモナス(細菌)によるエタノール生産能について、実験を行なった。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ3%濃度になるように、35%グルコース添加酵母エキス培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータはエタノール生産細菌ザイモモナス・モビリスを0.5%酵母エキス培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、25℃で、10日間アルコール発酵を行った。ザイモモナス・モビリスにより産生されたアルコール量をガストロマトグラフで定量した。比較例として無添加のもので同様にアルコール量を定量した。これらの結果を表6に示す。
Figure 2008099659
表6に示すように、高糖度という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合、環境ストレスによる発酵能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例5
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関するアルコール耐性に対するビール酵母の増殖能について、実験を行なった。先ず、前提として、環境ストレスであるアルコールがない環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のビール酵母の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤それぞれを3%濃度になるように、麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、ビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養後、8%シュクロース添加麦汁培地で24時間好気培養して作製した。発酵は、25℃で、3日間好気的に培養を行った。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表7に示す。
Figure 2008099659
次に、環境ストレスであるアルコールを与えた環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のビール酵母の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤それぞれを3%濃度になるように、20%グルコース添加麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからエタノールを15.0%濃度になるように培地に加え混合後、スタータを2%濃度で添加した。スタータは、ビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養後、8%シュクロース添加麦汁培地で24時間好気培養して作製した。発酵は、25℃で、10日間好気的に培養して行った。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表8に示す。
Figure 2008099659
表7に示すように、環境ストレスを与えない環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加の有無によって微生物の増殖に変化が見られなかったが、表8に示すように、アルコールという環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例6
次に、実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する低温耐性に対するビール酵母によるエタノール生産能について、実験を行なった。先ず、前提として、環境ストレスである低温でない環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のビール酵母によるエタノール生産を測定した。すなわち、実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤を3%濃度になるように、20%グルコース添加麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、ビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養後、8%シュクロース添加麦汁培地で24時間好気培養して作製した。発酵は25℃で、最初の10時間を好気的に培養後、通気を止め、5日間アルコール発酵を行った。酵母の発酵により産生されたアルコール量をガスクロマトグラフで定量した。比較例として無添加のもので同様にアルコール量を定量した。これらの結果を表9に示す。
Figure 2008099659
次に、環境ストレスである低温環境下で実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のビール酵母によるエタノール生産を測定した。すなわち、実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ1%、3%、5%濃度になるように、20%グルコース添加麦汁培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、ビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養後、8%シュクロース添加麦汁培地で24時間好気培養して作製した。発酵は、5℃で、最初の10時間を好気的に培養後、通気を止め、10日間アルコール発酵を行った。酵母の発酵により産生されたアルコール量をガスロトマトグラフで定量した。比較例として無添加のもので同様にアルコール量を定量した。これらの結果を表10に示す。
Figure 2008099659
表9に示すように、環境ストレスを与えない環境下においては、本実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加の有無によってアルコール産生に変化が見られなかったが、表10に示すように、低温という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1及び2に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加量が多い方が、環境ストレスによる発酵能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例7
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高温耐性に対するパン酵母の増殖能について、実験を行なった。先ず、前提として、環境ストレスである高温でない環境下で実施例1乃至9に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のパン酵母の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至9をそれぞれ5%濃度になるように、麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、パン酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、25℃で、3日間好気的に培養した。比較例には無添加のものを使用した。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表11に示す。
Figure 2008099659
次に、環境ストレスである高温の環境下で実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤を添加した場合のパン酵母の増殖を測定した。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ5%濃度になるように、麦汁培地に添加し、120℃15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、パン酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、45℃で、7日間好気的に培養した。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表12に示す。
Figure 2008099659
表11に示すように、環境ストレスを与えない環境下においては、本実施例1乃至9に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加の有無によって微生物の増殖に変化が見られなかったが、表12に示すように、高温という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例8
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する高塩耐性に対するパン酵母の増殖能について、実験を行なった。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ5%濃度になるように、高塩濃度の8.5%食塩添加麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、パン酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、25℃で、10日間好気的に培養した。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表13に示す。
Figure 2008099659
表13に示すように、高塩という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、表12に示す添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例9
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する乾燥耐性に対するパン酵母の増殖能について、実験を行なった。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ5%濃度になるように、水分活性Aw0.9のグリセリン添加麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してからスタータを2%濃度で添加した。スタータは、パン酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、25℃で、10日間好気的に培養した。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表14に示す。
Figure 2008099659
表14に示すように、乾燥という環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、表12に示す添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
実験例10
次に、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤に関する低pH耐性に対するパン酵母の増殖能について、実験を行なった。すなわち、実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤をそれぞれ5%濃度になるように、麦汁培地に添加し、120℃で15分間オートクレーブをかけ、冷却してから酢酸でpH3.2にpH調整し、スタータを2%濃度で添加した。スタータは、パン酵母(サッカロミセス・セレビジエ)を麦汁培地で一晩好気培養して作製した。発酵は、25℃で、10日間好気的に培養した。吸光光度計を用いて酵母の増殖をOD660nmの吸光度を測定した。比較例として無添加のもので同様に増殖を行い吸光度を測定した。これらの結果を表15に示す。
Figure 2008099659
表15に示すように、低pHという環境ストレスを与えた環境下においては、本実施例1乃至10に係る微生物の環境ストレス保護剤の添加した場合の方が、表12に示す添加しなかった場合に比して、環境ストレスによる増殖能の劣化を抑えることができることが分かる。
次に、実施例3に係る微生物の環境ストレス保護剤を使用した味噌を作製した。蒸した米28kgにアスパルギルス・オリゼの胞子を均一に付着させ、品温30〜35℃、湿度75から95%RHで45時間作用させて米麹を作製した。次に蒸した大豆60kgをミンチ機で処理した後、食塩13kg、実施例3に係る微生物の環境ストレス保護剤3kg、種水9L、サッカロミセス・セレビジエを1×10個、ラクトバチルス・ブレビスを1×10個添加して混合後、35℃で3ヶ月発酵させた。発酵終了後、サッカロミセス・セレビジエは1g当たり4.4×10個、ラクトバチルス・ブレビスは1g当たり2.8×10個に増殖していた。
次に、実施例2に係る微生物の環境ストレス保護剤を使用したイチゴミルクジャムを作製した。生乳50重量部と脱脂粉乳20重量部、砂糖100重量部、実施例2に係る微生物の環境ストレス保護剤4重量部、水30重量部を混合し、90℃30秒の殺菌後、イチゴピューレ30重量部を混ぜ、乳酸菌スタータ40重量部を添加し40℃で12時間発酵された。発酵終了後のpHは4.0で、乳酸菌数は1.8×10個であった。
実験例11
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する低pHに対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の酸耐性について、実験を行った。まず、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サルバリウス・サブスピーシス・サーモフィラスからなるスタータを2%濃度で、10%濃度の脱脂粉乳溶液に添加し、42℃、6時間発酵させヨーグルトを作製した。このヨーグルト100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部づつ加え攪拌し、その全量をそれぞれ2000重量部の局方1液(pH1.3)に入れ、0分、30分、60分、120分で、クリーンベンチ内で無菌的に一定量(1ml〜10ml)を量り取ることによってサンプリングを行い、水酸化ナトリウム溶液と局方2液で中和後、任意に希釈してBCP加プレートカウントアガール培地に撒き、生存したコロニーを数えることによって乳酸菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に局方1液に浸漬し、同様にサンプリング、中和したものを使用した。これらの結果を表16に示す。
Figure 2008099659
表16に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、低pHという環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例12
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する低pHに対する発酵処理後の発酵食品の納豆菌の酸耐性について、実験を行った。まず、蒸し煮した大豆100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部ずつ加え攪拌し、納豆菌バチラス・サチルス・ver.ナットーからなるスタータを1%濃度でそれぞれ添加し、35℃で1晩発酵させ納豆を作製した。その全量をそれぞれ2000重量部の局方1液(pH1.3)に入れ、0分、30分、60分、120分で、クリーンベンチ内で無菌的に一定量(1ml〜10ml)を量り取ることによってサンプリングを行い、水酸化ナトリウム溶液と局方2液で中和後、任意に希釈して標準寒天培地に撒き、生存したコロニーを数えることによって納豆菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に局方1液に浸漬し、同様にサンプリング、中和したものを使用した。これらの結果を表17に示す。
Figure 2008099659
表17に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、低pHという環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例13
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する乾燥に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の乾燥耐性について、実験を行った。まず、乾燥耐性の低い乳酸菌、ラクトバチルス・デルブルッキーAA株のスタータを2%濃度で、10%濃度の脱脂粉乳溶液に添加し、37℃、10時間発酵させ発酵溶液を作製した。このヨーグルト100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部ずつ加え攪拌し、その半量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、−20℃で冷凍後、凍結乾燥機で乾燥させ乳酸菌粉末を得た。冷凍前の発酵溶液と凍結乾燥後の乳酸菌粉末を任意に希釈し、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を求めた。比較例として無添加のものを同様に凍結乾燥したものを使用した。これらの結果を表18に示す。
Figure 2008099659
表18に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、乾燥という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例14
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する乾燥に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の乾燥耐性について、実験を行った。まず、MRS培地にそれぞれ、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤をそれぞれ2%濃度になるように加え滅菌し、乾燥耐性の低い乳酸菌、ラクトバチルス・デルブルッキーAA株のスタータを1%濃度でそれぞれ添加し、35℃で1晩培養した培養液を作製した。その半量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、−20℃で冷凍後、凍結乾燥機で乾燥させ乳酸菌粉末を得た。冷凍前の発酵溶液と凍結乾燥後の乳酸菌粉末を任意に希釈し、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を求めた。比較例として無添加のものを同様に凍結乾燥したものを使用した。これらの結果を表19に示す。
Figure 2008099659
表19に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、乾燥という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例15
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する高温に対する発酵処理後の発酵食品の酵母菌の高温耐性について、実験を行った。まず、パン酵母サッカロミセス・セレビジエのスタータを2%濃度で、麦汁培地に添加し、25℃、30時間発酵させ発酵溶液を作製した。この麦汁培地100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部ずつ加え攪拌し、その全量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、55℃で保持し、0分、10分、30分、60分でサンプリングを行い、任意に希釈後、ポテトデキストロース培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に55℃で保持したものを使用した。これらの結果を表20に示す。
Figure 2008099659
表20に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、高温という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例16
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する高温に対する発酵処理後の発酵食品の酵母菌の高温耐性について、実験を行った。まず、麦汁培地にそれぞれ、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤をそれぞれ2%濃度になるように加え滅菌し、パン酵母サッカロミセス・セレビジエのスタータを2%濃度で、培地に添加し、25℃、30時間発酵させ発酵溶液を作製した。その全量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、55℃で保持し、0分、10分、30分、60分でサンプリングを行い、任意に希釈後、ポテトデキストロース培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に55℃で保持したものを使用した。これらの結果を表21に示す。
Figure 2008099659
表21に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、高温という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例17
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する低温に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の冷凍耐性について、実験を行った。まず、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サルバリウス・サブスピーシス・サーモフィラスからなるスタータを2%濃度で、MRS培地に添加し、37℃、12時間培養して培養液を作製した。この培養液100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部ずつ加え攪拌し、その半量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、−20℃で3日間凍結し、解凍して任意に希釈後、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に凍結、解凍したものを使用した。これらの結果を表22に示す。
Figure 2008099659
表22に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、低温という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例18
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する低温に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の冷凍耐性について、実験を行った。まず、MRS培地にそれぞれ、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤をそれぞれ2%濃度になるように加え滅菌し、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サルバリウス・サブスピーシス・サーモフィラスからなるスタータを2%濃度でそれぞれ添加し、37℃で12時間培養した培養液を作製した。その半量をそれぞれ滅菌したバイアル瓶に入れ、−20℃で冷凍後、凍結乾燥機で乾燥させ乳酸菌粉末を得た。冷凍前の発酵溶液と凍結乾燥後の乳酸菌粉末を任意に希釈し、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を求め、生存率を算出した。比較例として無添加のものを同様に凍結乾燥したものを使用した。これらの結果を表23に示す。
Figure 2008099659
表23に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、低温という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例19
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する胆汁に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の胆汁耐性について、実験を行った。まず、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サルバリウス・サブスピーシス・サーモフィラスからなるスタータを2%濃度で、10%濃度の脱脂粉乳培地に添加し、37℃、12時間培養して培養液を作製した。この培養液100重量部に、あらかじめ溶解して殺菌した実施例1に係るアラビアガムの20%溶液を10重量部、実施例2に係るトラガントガムの10%溶液を20重量部、実施例3に係るカラヤガムの5%溶液を4重量部、実施例4に係るアラビノガラクタンの20%溶液を10重量部、実施例5に係る大豆多糖類の10%溶液を20重量部、実施例6乃至10に係る低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン、低分子大豆多糖類の20%溶液をそれぞれ20重量部ずつ加え攪拌し、その全量をそれぞれ2000重量部の0.2%胆汁含有局方第2液に入れ、37℃で24時間静置後、任意に希釈し、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を測定した。比較例として無添加のものを同様に2000重量部の0.2%胆汁含有局方第2液に入れたものを使用した。これらの結果を表24に示す。
Figure 2008099659
表24に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、胆汁という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。
実験例20
次に、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤に関する胆汁に対する発酵処理後の発酵食品の乳酸菌の胆汁耐性について、実験を行った。まず、0.2%胆汁含有MRS培地にそれぞれ、実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤をそれぞれ2%濃度になるように加え滅菌し、乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サルバリウス・サブスピーシス・サーモフィラスからなるスタータを2%濃度でそれぞれ添加し、37℃で24時間培養した培養液を作製した。その培養液を任意に希釈し、BCP加プレートカウントアガール培地に撒き、コロニーを数えることによって生菌数を求めた。比較例として無添加のものを同様に0.2%胆汁含有MRS培地で培養したものを使用した。さらに実施例1乃至10および比較例について胆汁を添加しないMRS培地で培養したものを元とした。これらの結果を表25に示す。
Figure 2008099659
表25に示すように、発酵処理後の発酵食品に実施例1乃至10に係る環境ストレス保護剤を添加することによって、胆汁という環境ストレス下での生存性が向上したことが分かる。

Claims (4)

  1. 環境ストレスから微生物の能力を保護することが可能な微生物の環境ストレス保護剤であって、
    アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン、大豆多糖類、低分子アラビアガム、低分子トラガントガム、低分子カラヤガム、低分子アラビノガラクタン及び低分子大豆多糖類のうち少なくとも1以上が含まれていることを特徴とする微生物の環境ストレス保護剤。
  2. 請求項1記載の微生物の環境ストレス保護剤が添加された状態で微生物の発酵処理された発酵食品。
  3. 請求項1記載の微生物の環境ストレス保護剤が発酵処理された後に添加されていることを特徴とする発酵食品。
  4. 請求項1記載の微生物の環境ストレス保護剤が添加された状態で微生物の発酵処理を行い、発酵食品を製造することを特徴とする発酵食品の製造方法。
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