JP3864822B2 - 発酵豆乳およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵豆乳およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヨーグルトは古来より世界各地で食されている長寿食で、近年ではその健康に対する効果から、非常に注目されている。ヨーグルトは厳密に表現すると、厚生労働省の乳等省令において「乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの、またはこれらを凍結したもの」という規定があり、これに含まれるものを「はっ酵乳」、すなわちヨーグルトとしている。ヨーグルトは製法により、「ハードヨーグルト」と「ソフトヨーグルト」の2種類に大きく分類される。「ハードヨーグルト」とは、乳原料を容器内に充填し、そのまま発酵して固めた(セットさせた)プリン状組織の容器内発酵のヨーグルトをいう。これは容器内でヨーグルトがきれいにセットしているもので、プレーンヨーグルトと呼ばれる製品にこのタイプが多い。一方「ソフトヨーグルト」とは、乳原料を一旦タンク等で発酵した後、得られたカードを撹拌・均質化し、必要により果肉入りソース等を混合して容器に充填して得られる容器外発酵のヨーグルトをいう。これは容器内でヨーグルトがペースト状になっているか、あるいは緩くセットしているものが多く、フルーツ果肉等を加えたフルーツヨーグルトと呼ばれる製品にはこのタイプが多い。
【0003】
一方、近年の健康志向の高まりから、植物性である大豆食品が非常に注目されている。中でも豆乳は良質な蛋白質源であり、手軽に摂取できることから、生産量もここ数年伸びている。しかしながら、2−ヘキサナールや数種のサポニンなど微量成分による青臭味、えぐ味などの不快な風味が問題となっている。そこで、豆乳の風味改善のために乳酸菌で乳酸菌発酵し、発酵豆乳を得る技術が幾つか報告されている。例えば、果汁入り豆乳飲料の製造法(特開昭61−141840号公報)、ケフィール様食品の製造法(特開昭62−205735号公報)、ヨーグルト風豆乳の製造法(特開昭63−7743号公報)、凝固剤を使用しない豆腐の製造法(特開平2−167044号公報)、豆乳の風味、色調の改善法(特開平6−276979号公報)、レンネットを使用した豆乳乳酸菌発酵食品の製造法(特開平8−66161号公報)等が挙げられる。しかしながら、これらの方法では発酵により豆乳特有の臭いを軽減、除去することができるものの、乳酸菌発酵によって生じる凝固物のテクスチャーがなめらかでないという問題があったり、食感が重く後口が良くないという問題がある。
ヨーグルトの場合は食感は硬くても十分滑らかで口溶けが良く、このような問題は生じず、発酵豆乳はヨーグルトとは全く異なる特有の問題を有している。
これを解決するため、発酵豆乳の発酵後の組織を一旦均質化等の手段により破壊し、食感を滑らかにしてソフトヨーグルトタイプにする試みや、豆乳に凝固剤を添加後、乳酸菌発酵する技術(特開平12−93083号公報)が知られている。これらの方法により風味や食感の重さ、後口の悪さはかなり改善されたが、依然として、ヨーグルトに匹敵する滑らかな食感と後口のすっきり感がより一層求められている。
また、ヨーグルトに関しては、近年の食の多様化により、繊細でよりソフトな食感が要求されており、そのため保形剤として低強度寒天を使用することが記載されている(特開平6−38691号公報)が、これはハードヨーグルトの物性を維持しつつ、食感をよりソフトにするために使用しているものであり、発酵豆乳の有する食感の重さや後口の悪さの改善については全く示唆も教示もされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は滑らかな食感と後口のすっきり感を有する発酵豆乳およびその製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、低強度寒天を添加した豆乳を乳酸菌発酵して均質化することにより、目的とする滑らかな食感と後口のすっきり感が良好なヨーグルト様のテクスチャーを有する乳酸菌発酵豆乳が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)低強度寒天を含有することを特徴とする発酵豆乳、
(2)低強度寒天を大豆固形分に対して0.5〜2.2重量%含む上記(1)記載の発酵豆乳、
(3)豆腐用凝固剤をさらに含有する上記(1)または(2)記載の発酵豆乳、
(4)低強度寒天を添加した豆乳を乳酸菌発酵に付し、均質化することを特徴とする発酵豆乳の製造法、
(5)豆乳に低強度寒天と、さらに豆腐用凝固剤を添加する上記(4)記載の発酵豆乳の製造法などを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、発酵豆乳とは、豆乳および必要により添加した副原料を調合した発酵前調製液を乳酸菌で発酵させ、必要により均質化して得られるヨーグルト状の豆乳発酵物であり、豆乳ヨーグルトとも呼ぶことができる。
【0008】
(豆乳)
本発明の発酵豆乳の原料として用いる豆乳は、どのような方法により得たものでもよいが、大豆や脱脂大豆から常法により得られる豆乳を用いることができる。脱皮および脱胚軸した大豆や酵素失活のために加熱した大豆を用いる方が、風味の良い豆乳が得られ好ましい。例えば、丸大豆や脱皮大豆を水浸漬するか、またはせずに含水状態にて磨砕して「ご」とし、これを濾過等して不溶性画分を除去して得ることができる。好適には、丸大豆、脱皮大豆または脱皮・脱胚軸大豆を50℃〜100℃の温水または熱水に接触させて、温水または熱水に溶出する可溶性成分を除いた後、磨砕し不溶性画分を除去した豆乳が適当である。この豆乳のpHは7〜8とすることが好ましい。
【0009】
(低強度寒天)
本発明の発酵豆乳は、低強度寒天を含有すること、詳しくは豆乳に低強度寒天を必須成分として添加したものを乳酸菌発酵させ、その後均質化することに特徴がある。
用いる低強度寒天は寒天成分の分子を短く切断し、ゼリー強度を通常の寒天よりも弱めたものであり、好ましくはゼリー強度が1.5重量%寒天濃度で250g/cm2以下の範囲に調整されたもののことである(特開平6−38691号公報)。低強度寒天を発酵豆乳に添加することにより、食感や風味に影響することなく、ヨーグルトと同等の保形性、離水防止等の必要な物性を得ることができる。ゼリー強度が250g/cm2を超える寒天を用いた場合、ヨーグルト様の滑らかな食感を得難い。
ゼリー強度とは、寒天の性質を示す1つのパラメーターであり、その測定には日寒水式の方法が広く採用されている。この方法は、「寒天の1.5%溶液を調製し、20℃で15時間放置凝固せしめたゲルについて、その表面1cm2当たり20秒間耐え得る最大重量(g数)をもってゼリー強度とする」というものである。
低強度寒天の豆乳への添加量は寒天分子の分子量の違いにもよるが、通常は大豆固形分あたり0.5〜2.2重量%が適当であり、0.9〜1.8重量%がより好ましい。大豆固形分中の粗蛋白質含量が50重量%の場合は、この添加量は豆乳の粗蛋白質含量あたり1.6〜4重量%に相当する。大豆固形分あたり0.5重量%未満では、乳酸菌発酵し、均質化した後の発酵豆乳の粘度が低い場合、液状に近い物性であるために充填、配送時の保形性が悪くなり、またフルーツプレパレーション等の固形物を含む場合、容器の底に沈降しやすくなる。一方、4重量%を超えると発酵後の発酵豆乳の粘度が高めになるために食感がやや重く、後口のすっきり感が減少していく傾向となる。また、発酵豆乳のセット後の硬度が高くなるために、ソフトヨーグルトタイプを製造する場合は発酵タンクでセットしてしまうと発酵豆乳の抜き出しが難しく、作業性が低下する。
【0010】
(発酵前副原料)
本発明の発酵豆乳は、低強度寒天を必須とする他、発酵前に必要に応じた副原料を豆乳に調合することができる。例えばヨーグルトに一般的に使用されている甘味料(砂糖、グルコース、マルトース、乳糖、トレハロース、パラチノース等の糖類、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、還元水飴、ソルビトール等の糖アルコール、ソーマチン、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料等)、ゼラチンや増粘多糖類(寒天、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、ペクチン等)等の安定剤、リンゴやレモン等の果汁、ポリデキストロース、セルロース、イヌリン、水溶性大豆多糖類等の食物繊維類、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖等のオリゴ糖類、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄等のミネラル類、香料等を使用することができる。
【0011】
(乳酸菌発酵)
このようにして得られた発酵前調製液を乳酸菌発酵するときに、乳酸菌資化性糖類(例えば砂糖やオリゴ糖類等)は必ずしも添加する必要はないが、添加することにより発酵を促進し風味の優れた発酵豆乳を得ることができる。発酵方法については、バルクスターターを作って添加することも、凍結濃縮菌や凍結乾燥濃縮菌で直接、豆乳に添加することもできる。添加量は、発酵温度、発酵時間に応じて調整することができる。発酵温度は20〜50℃で、3〜48時間、好ましくは25〜45℃で、4〜24時間が適当である。得られた発酵豆乳のpHは3.5〜5.0、好ましくは4.0〜4.5が適当である。
【0012】
(乳酸菌)
乳酸菌発酵に使用する乳酸菌は、通常のヨーグルトに使用されるものであれば特に限定しない。例えばラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・サリバリウス・サリバリウス、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス・ブレビス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・デルブルッキィ等のラクトバチルス属、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス等のストレプトコッカス属、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス、ラクトコッカス・ラクチス・クレモリス等のラクトコッカス属、ロイコノストック・メセンテロイデス・クレモリス、ロイコノストック・ラクチス等のロイコノストック属、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム等のビフィドバクテリウム属等の公知の乳酸菌株を用いることができる。またこれらの乳酸菌は単独または2種類以上の組み合わせでも任意に使用することできる。
【0013】
(発酵後処理)
発酵は製品用容器の中で直接発酵させ、そのままセットさせることを妨げないが、発酵豆乳はヨーグルトと異なる独特の食感の重さと後口の悪さがあるため、ヨーグルト様の滑らかな食感と後口のすっきり感を得るためには、低強度寒天を添加した豆乳を乳酸菌発酵させて得られた発酵豆乳を均質化することが好ましい。すなわち、製造用タンク等の製品用容器外で一旦発酵させ、得られた発酵豆乳を撹拌やホモゲナイザー等により均質化を行った後、必要により冷却したものを製品用容器(紙容器、合成樹脂容器、酸素バリヤー性の高い容器等)に充填してソフトヨーグルト様の発酵豆乳とするのが好ましい。
また、充填時に必要に応じ、油脂、各種香料、色素、安定剤、甘味料等を添加したり、フルーツプレパレーション等を添加して、各種フルーツタイプの製品を作ることもできる。
【0014】
(凝固剤の添加)
上記した本発明の発酵豆乳には、低強度寒天とさらに凝固剤を豆乳に添加し、必要により加熱処理を行ったものを発酵させると極めてヨーグルト様の軽い食感および後口のすっきり感が促進され、かつ豆乳由来の青臭味、苦味、渋味の低減効果も認められ、さらに好ましい。凝固剤の種類としては、例えば天然(塩田)ニガリ、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、乳清カルシウム等のカルシウム塩等のアルカリ土類金属の塩もしくは水酸化物、またはグルコノデルタラクトンの単独あるいは混合品を用いることができる。上記の凝固剤全てにおいて食感と後口の改善効果と豆乳の青臭味、苦味、渋味の低減効果が認められるが、ニガリやマグネシウム塩は豆乳への乳味のようなコク味の付与効果があり、カルシウム塩よりも効果的である。また、グルコノデルタラクトンは単独では他のマグネシウム塩やカルシウム塩より風味改善効果が少ないため、他のマグネシウム塩やカルシウム塩と併用することが好ましい。さらに、グルコノデルタラクトンの代わりにフマル酸等の有機酸を用いることもできる。
凝固剤を用いる場合の添加量は種類により異なるが、塩として通常大豆固形分あたり1〜2.5重量%(豆乳の粗蛋白質含有量に対して2〜5重量%)が適当であり、1〜1.8重量%がより好ましい。大豆固形分に対して1重量%未満では食感の滑らかさと後口のすっきり感は維持されているものの、若干食感が重くなる傾向にある。また、風味的には豆乳の青臭味、苦味、渋味の低減効果が弱くなる。3重量%を超えるとpHが低下し、凝固剤の味が目立つようになり、調合タンク等において豆乳に添加したときの豆乳の凝固が強すぎ、乳酸菌発酵工程の作業性が低下する。凝固剤の添加時期は、特に限定されないが、加熱処理を行う場合は加熱前に添加することが好ましい。但し、豆乳が豆腐状に凝固する程度の凝固剤を添加する場合は、添加時から均質化までの間は豆乳が凝集物と上澄みとに分離しないように絶えず撹拌し続けることにより、加熱処理を容易に行うことができる。
【0015】
かかる加熱処理の方法は特に限定されず、直接加熱、間接加熱の何れでも良いが、特に直接高温瞬間加熱が好ましい。蒸気のインジェクション部において凝集豆乳と蒸気が混合し、凝集した蛋白質がさらに高温、高圧による変性を受けることにより粘度の低下と微粒子化を起こし、さらにフラッシュパンにおける減圧による脱臭効果が再加熱による再凝集の防止と風味の改善に寄与するためと思われる。直接高温瞬間加熱の温度は通常120〜150℃、加熱時間は通常1秒〜2分とすることができるが、2〜10秒が好ましい。
【0016】
加熱処理後に均質化処理を行う場合は公知のホモゲナイザー等の均質化手段を利用することができる。均質化は高圧ホモゲナイザー等により、例えば圧力が5〜200kg/cm2が適当である。均質化処理は乳酸菌発酵後の発酵豆乳の食感に大きく影響し、未処理または均質化圧力が5kg/cm2未満の場合は食感がざらついたり、後口のすっきり感が失われる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例、試験例中、「部」および「%」とあるは、いずれも重量部および重量%である。
実施例1
脱皮脱胚軸大豆1部に水10部を加え、30〜50℃で60分間以上浸漬して十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量40〜55%)1部に対し、熱水(90℃)3部を加えたものをグラインダー(増幸産業(株)製)で処理し、これに重曹溶液を添加してpHを7.4以上8.0以下に調整した。これをホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kg/cm2で均質化処理した。均質化した磨砕液は遠心分離機によって3000Gで5分間分離して豆乳とおからを得た。この原料豆乳は固形分9.0%、蛋白質4.5%でpHは7.5であった。
この原料豆乳を60℃に昇温後、水に溶解あるいは分散した低強度寒天「ウルトラ寒天UX100」(伊那食品工業(株)製)および塩田ニガリ(赤穂化成(株)製)をそれぞれ大豆固形分に対し、1%と1.6%添加混合し、そのまま60℃で5分間保持した後、142℃、4秒間の直接高温瞬間加熱方式による滅菌を行った後、ホモゲナイザーで100kg/cm2で均質化処理したものに、ラクトバチルス・ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ビフィドバクテリウム・ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥乳酸菌)の個別培養液をスターターとして各1%ずつ添加し、40℃、7時間タンク内で発酵を行った。次いで、7℃まで撹拌冷却して得られたカード状の発酵豆乳を撹拌により均質化し、製品用容器に充填した。得られた発酵豆乳のpHは4.3であった。
【0018】
試験例1
(低強度寒天の添加量の検討)
実施例1と同様にして、低強度寒天の添加量を大豆固形分に対して0〜2.5%(豆乳の粗蛋白質含有量に対して約0〜5.0%)に変化させ、発酵豆乳を調製し、低強度寒天の添加量による効果を検討した。結果を表1に示す。粘度はB型粘度計(BM型)で20℃で測定した。食感評価(滑らかさ、後口のすっきり感)についてパネラー10名による官能検査で行い、10点を満点とする点数の平均値で評価した。物性評価については、製品容器に発酵豆乳を充填する際に、果肉入りフルーツプレパレーションを添加し、1日冷蔵保存後の果肉の沈降の有無を評価した。
【0019】
【表1】
乳酸菌発酵後の粘度および食感
【0020】
表中、低強度寒天の添加量は大豆固形分に対する割合で示す。また、物性評価および総合評価はつぎのとおりである。
物性評価:(−)沈降なし、(+)沈降多少あり、(++)沈降多い
総合評価:◎非常に良好、○良好、△やや悪い、×不可
低強度寒天の添加量が大豆固形分に対して0重量%のとき、食感は良好であるが、粘度が非常に低く、一般のヨーグルトと同等の保形性を有しておらず、またフルーツプレパレーションのような固形物を添加した場合は容器内で沈降する問題が生じ、製品として好ましくなかった。
一方、大豆固形分に対して0.8重量%のとき、食感は滑らかで後口のすっきり感が非常に良好であり、粘度はソフトヨーグルト状で、固形物も沈降しなかった。大豆固形分に対して1、1.5重量%のとき、食感は良好であり、粘度も固形物が沈降しない適切なレベルであった。大豆固形分に対して2重量%のとき、食感が若干重くなる傾向にはあるものの良好であった。大豆固形分に対して2重量%より多くなると、粘度上は問題のないレベルではあるが、食感は重くなる傾向となった。これらの結果を考慮すると、適正な食感・物性をいずれも満足するためには、低強度寒天の添加量は0.8〜2重量%がより良好であり、1.0〜1.5重量%が最も良好であった。
【0021】
試験例2
(凝固剤の添加量の検討)
塩田ニガリ(赤穂化成製)を大豆固形分に対して0、1.5、2、3%それぞれ添加混合し、その他の操作は試験例1と同様にして発酵豆乳を得た。
大豆固形分に対して0%(無添加)のとき、所定の粘度と硬度を有しており物性的な問題なく、食感の滑らかさ、後口のすっきり感とも良好であった。塩田ニガリを添加した場合と比べれば食感が若干重い傾向にあった。大豆固形分に対して1.5%のとき、ヨーグルト様の軽い食感と後口のすっきり感が促進され、非常に良好に感じられた。大豆固形分に対して2%のとき、食感は軽く非常に良好であるが、発酵後の粘度が若干低目であった。大豆固形分に対して3%のとき、食感は軽く非常に良好であるが、粘度が非常に低く、一般のヨーグルトと同等の保形性を有しておらず、またフルーツプレパレーションのような固形物を含む場合は容器内で果肉が沈降する等の問題が生じた。また塩田ニガリの添加量が多くなると、調合時に豆乳の一部が豆腐状の凝固物になってしまう等の問題も生じた。
これらの結果から、粘度および食感を満足するためには、塩田ニガリの添加量は1.5〜2%が良好である。
【0022】
【発明の効果】
本発明の発酵豆乳は、低強度寒天の使用により、従来発酵豆乳では得られなかったヨーグルトに極めて近い食感の滑らかさと後口のすっきり感を維持するものである。さらに、凝固剤と低強度寒天を併用することにより、軽い食感と後口のすっきり感が促進された物性を有し、フルーツの果肉を添加しても沈降せずに安定であり、豆乳特有の風味も改善されたものである。したがって、本発明によれば、通常のヨーグルトに比べて全く違和感なく食することが可能であり、コレステロール等の血清脂質代謝の改善効果が認められている豆乳の利用価値をさらに高めることができる。
Claims (6)
- 低強度寒天を含有することを特徴とするソフトヨーグルト様の発酵豆乳。
- 低強度寒天を大豆固形分に対して0.5〜2.2重量%含む請求項1記載の発酵豆乳。
- 豆腐用凝固剤をさらに含有する請求項1または2記載の発酵豆乳。
- 果肉入りである請求項1〜3いずれか1項記載の発酵豆乳。
- 低強度寒天を添加した豆乳を乳酸菌発酵に付し、均質化し、容器に充填してソフトヨーグルト様とすることを特徴とする発酵豆乳の製造法。
- 豆乳に低強度寒天と、さらに豆腐用凝固剤を添加する請求項5記載の発酵豆乳の製造法。
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