JP2003286318A - ラテックス、接着処理液、繊維部材および繊維部材と加硫ゴム部材との複合部材 - Google Patents
ラテックス、接着処理液、繊維部材および繊維部材と加硫ゴム部材との複合部材Info
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Abstract
で、粘着性を有する接着剤組成物層を形成する接着処理
液を提供する。 【解決手段】 α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単
量体単位含有量10〜30重量%、よう素価250以
下、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜1
20であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移
開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Te
g)の温度差が15℃以下であるニトリル基含有共重合
ゴムのラテックスとレゾルシノール−ホルムアルデヒド
樹脂とを含有させる。
Description
ム部材との接着性が良好で、十分な粘着性を有する接着
剤組成物層を形成する接着処理液、該接着処理液で処理
した繊維部材ならびに該繊維部材と加硫ゴム部材との複
合材に関する。
エン共重合ゴムによって代表されるよう素価の小さなニ
トリル基含有共重合ゴムが注目されている。このニトリ
ル基含有共重合ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合ゴムのように主鎖構造に炭素−炭素間不飽和結合
の多い一般的なニトリル基含有共重合ゴムに比べて、耐
熱性、耐油性などが優れている。
スを含有する接着剤組成物は、耐熱性、耐油性およびゴ
ム加硫物の表面への接着性に優れている。そのため、こ
の接着剤組成物で処理された繊維部材と加硫ゴム部材を
複合することにより、機械的強度に優れた部材を得るこ
とが提案されている(特開平8−100085号)。
ス芯線とニトリル基含有共重合ゴム加硫物のベルト基材
とを組み合わせたベルトにおいて、ガラス芯線をこの接
着剤組成物で処理した場合、ガラス芯線とベルト基材は
強固に接着し、優れたベルトとなる。しかし、実際の使
用においては、接着剤組成物の粘着性が不十分であるた
め、ガラス芯線に掛かる荷重の変動により、ガラス繊維
がほぐれやすく、ほぐれた繊維は切れやすく、ガラス芯
線全体が切れてしまう可能性があった。
性および耐油性に優れ、ゴム加硫物との接着性が良好
で、粘着性を有する接着剤組成物を提供することにあ
る。
を達成するため、鋭意検討した結果、特定の共重合組成
を有し、重合時にその単量体の反応性に応じて重合反応
液中の単量体濃度を制御することにより得た、示差走査
熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と
補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が小さなニ
トリル基含有共重合体ゴムのラテックスを用いて調製し
た接着剤組成物層が粘着性に優れること、繊維部材と加
硫ゴム部材とを強固に接着することを見出し、この知見
に基づいて、本発明を完成させるに到った。
して、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位
含有量10〜30重量%、よう素価250以下、ムーニ
ー粘度(ML1+4,100℃)が10〜120であ
り、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度
(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度
差が15℃以下であるニトリル基含有共重合ゴムのラテ
ックスが提供される。第二の発明として、該ラテックス
とレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂とを含有して
なる接着処理液が提供される。第三の発明として、α,
β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位含有量10
〜30重量%、よう素価250以下、ムーニー粘度(M
L1+4,100℃)が10〜120であり、示差走査
熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と
補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が15℃以
下であるニトリル基含有共重合ゴム粒子とレゾルシノー
ル−ホルムアルデヒド樹脂とからなる接着剤組成物が提
供される。第四の発明として、繊維基材の表面の少なく
とも一部に該接着剤組成物の層を形成した繊維部材が提
供される。第五の発明として、繊維基材の表面の少なく
とも一部に該接着処理液を塗布し、乾燥する繊維部材の
製造方法が提供される。また、第六の発明として、該繊
維部材と加硫ゴム部材とが接着されて成る複合部材が提
供される。さらに、第七の発明として、繊維部材の表面
に形成された接着剤組成物の層と加硫性ゴム組成物を接
触させ、加硫する繊維部材と加硫ゴムの複合部材の製造
方法が提供される。
エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位含有量10〜3
0重量%、よう素価250以下、ムーニー粘度(ML
1+4,100℃)が10〜120であり、示差走査熱
量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補
外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が15℃以下
であるニトリル基含有共重合ゴムのラテックスである。
は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位含
有量10〜30重量%、よう素価250以下、ムーニー
粘度(ML1+4,100℃)が10〜120であり、
示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(T
ig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が
15℃以下である。
体としては、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニ
トリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲ
ノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロ
ニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが
挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
チレン性不飽和ニトリル系単量体単位(以下、単量体単
位(a)という)の含有量は、10〜30重量%、好ま
しくは12〜25重量%、より好ましくは17〜23重
量%である。単量体単位(a)の含有量が少なすぎると
接着剤組成物の接着性が劣り、多すぎると粘着性が悪く
なる。
て、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体と共重
合可能な単量体としては、共役ジエン系単量体、非共役
ジエン系単量体、α−オレフィンなどが例示される。共
役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブ
タジエンが好ましい。非共役ジエン系単量体としては、
好ましくは炭素数が5〜12のものであり、1,4−ペ
ンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネ
ン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。α−オレ
フィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示され
る。さらに、芳香族ビニル系単量体、フッ素含有ビニル
系単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水
物、共重合性の老化防止剤などを共重合してもよい。
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが
挙げられる。フッ素含有ビニル系単量体としては、例え
ば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピル
ビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペ
ンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレンなどが挙げられる。α,β−エチ
レン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレ
ン性不飽和ジカルボン酸としては、例えば、イタコン
酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。α,β−
エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物としては、例え
ば、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ
る。共重合性の老化防止剤としては、例えば、N−(4
−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニ
リノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノ
フェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニ
ル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニル
ベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−
ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
250以下、好ましくは200以下、より好ましくは1
80以下である。よう素価が大きすぎると接着剤組成物
が耐熱性に劣る。
(L1+4,100℃)は、10〜120、好ましくは
15〜80、より好ましくは20〜60である。ムーニ
ー粘度が小さすぎると接着剤組成物の機械的強度が劣る
場合があり、逆に大きすぎると粘着性が劣る場合があ
る。
7121「プラスチックの転移温度測定方法」に規定さ
れた、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温
度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温
度差(△T)が15℃以下、好ましくは14℃以下、よ
り好ましくは13℃以下のものである。この温度差(△
T)が大きすぎると、本発明の接着剤組成物の粘着性が
劣る。
ガラス転移終了温度(Teg)の温度差(△T)を上記
範囲にするためには、ニトリル基含有共重合ゴム中の単
量体単位(a)の組成分布幅およびα,β−エチレン性
不飽和ニトリル系単量体と共重合可能な単量体単位
(b)(以下、単量体単位(b)という)の組成分布幅
を、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重
量%以下、特に好ましくは55重量%以下にすればよ
い。各単量体の組成分布幅とは、各単量体の[全重合体
中の含有量]に対する[重合体の微小部分における含有
量の最大値と最小値の差]の比率をいう。重合体の微小
部分とは、重合体の微小な一部分をいい、重合体分子量
の好ましくは1〜5重量%、より好ましくは2〜4重量
%に該当する部分をいう。組成分布幅は、通常は、重合
の進行による重合に供した未反応の単量体量の変化を経
時的に測定し、その測定値に基づいて求める。組成分布
幅が大きすぎると、上記温度差(△T)が大きくなりす
ぎる場合がある。
合終了後の処理で構造が変化する場合がある。そのよう
な場合は、変化前後の単量体単位を同一の単量体単位と
みなして組成分布幅が上記範囲に入ればよい。例えば、
ブタジエンを共重合し、重合終了後に水素添加した場合
は、不飽和結合を有するブタジエン単位の少なくとも一
部の不飽和結合が水素化され、飽和ブタジエン単位がで
きるが、両者を同一のブタジエン単位とみなしての組成
分布幅が上記範囲に入っていればよい。
系単量体と共重合可能な単量体として、複数種の単量体
を用いた場合、各単量体単位の組成分布幅がそれぞれ上
記範囲であることが好ましい。α,β−エチレン性不飽
和ニトリル系単量体として、複数種の単量体を用いた場
合も同様に、各単量体単位の組成分布幅がそれぞれ上記
範囲であることが好ましい。
(a)、単量体単位(b)の各含有量は、セミミクロケ
ルダール法による窒素含有量測定、赤外吸収スペクトル
分析やよう素価測定による不飽和結合量の測定、赤外吸
収スペクトル分析、1H−NMR、13C−NMR、熱分
解ガスクロマトグラフィなどによる部分構造の同定、量
比の測定などの複数の測定法を組み合わせることにより
求めることができる。一般的には、1H−NMRによる
部分構造の同定、量比の測定が最も信頼性の高いが、1
H−NMRのチャートでは複数のピークが重なるなどの
原因で解析できない場合があり、他の方法と併用して解
析することが望ましい。
含有共重合ゴムは粒子として存在しており、粒子の平均
粒子径は、好ましくは50〜150μm、より好ましく
は70〜120μm、特に好ましくは80〜100μm
である。粒子径が小さすぎると凝集しやすく、逆に大き
すぎると粒子が沈殿するため、保存が困難であり、接着
処理液の調製が困難である。
されないが、通常、乳化重合を用いる。乳化重合におい
て一般に用いられる乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤
などの重合副資材を使用してもよい。これらの種類およ
び量は、ニトリル基含有共重合ゴムのラテックスが得ら
れるかぎり、特に限定されない。
造する場合、前述のように、単量体単位の組成分布幅が
特定範囲になるように重合時の制御して、補外ガラス転
移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Te
g)の温度差(△T)が上記範囲のゴムを重合する。組
成分布幅を制御するための重合反応条件は、予め、予備
実験において決めておけばよい。予備実験では、重合反
応の進行に合わせて、好ましくは重合転化率1〜5重量
%毎に、より好ましくは重合転化率2〜4重量%毎に、
重合反応液中の各単量体量を測定し、重合体の微小部分
の各単量体の含有量を求める。その含有量に基づいて求
められた組成分布幅が前述の範囲内になるように重合反
応条件を決める。一般的には、各単量体を特定の時点で
特定量追加することに組成分布幅を制御する。重合反応
条件の検討は、コンピューターのシミュレーションなど
で置き換えることも可能であり、その結果を実験におい
て確認すればよい。
するためには、水素添加反応が必要である。そのために
は、ゴム粒子を分散させた乳化剤水溶液中に水素添加触
媒を必要量加え、乳化剤水溶液のゴム粒子を水素と接触
させればよい。水素添加触媒は特に限定されない。水素
添加温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましく
は30〜100℃である。水素添加温度が低すぎると反
応速度が遅い場合があり、高すぎるとニトリル基の水素
添加などの副反応が起こる場合がある。水素源として
は、水素ガスを使用し、ラテックス状態のニトリル基含
有不飽和共重合体ゴムと接触させればよい。水素圧は、
好ましくは大気圧〜150kg/cm2、より好ましく
は5〜100kg/cm2である。水素圧が低すぎると
反応速度が遅い場合があり、高すぎると設備などの安全
性が問題となる場合がある。水素添加反応終了後、水素
添加触媒を除去することが好ましいが、粘着性に影響の
ない程度の量であれば、残存させてもよい。水素添加触
媒の除去方法も特に限定されず、例えば、イオン交換樹
脂と接触させ、水素添加触媒を樹脂に吸着させて、除去
すればよい。
しくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重
量%、特に好ましくは35〜45重量%である。固形分
濃度が低すぎると均一な接着処理液を調整できない場合
があり、逆に高すぎると貯蔵安定性に劣る場合がある。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂とを含有してな
る。接着処理液とは、複合部材において、接着する一組
の基材を結合させる接着剤組成物の成分を水系媒体中で
分散させたものである。
ルデヒド樹脂は、レゾルシノールとホルムアルデヒドと
を反応させて得られる樹脂である。ノボラック型のもの
でもレゾール型のものでもよいが、レゾルシノール1モ
ルに対するホルムアルデヒドの反応量が好ましくは0.
1〜3.5モル、より好ましくは0.2〜3モルのもの
である。反応方法は、特に限定されず、公知の方法によ
ればよい。
基含有共重合ゴム粒子100重量部あたりのレゾルシノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂の配合量は、好ましくは3
〜60重量部、より好ましくは5〜40重量部、特に好
ましくは10〜30重量部である。レゾルシノール−ホ
ルムアルデヒド樹脂の配合量が少なすぎると、接着剤組
成物の接着性が不足する場合があり、逆に多すぎると接
着剤組成物の粘着性が不足する場合がある。
ン性不飽和ニトリル系単量体単位含有量10〜30重量
%、よう素価250以下、ムーニー粘度が10〜120
であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始
温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の
温度差が15℃以下であるニトリル基含有共重合ゴム粒
子とレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂からなる。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂の種類、両者の
比率などは、上記のラテックスおよび接着処理液と同様
である。
%以下、より好ましくは0.5重量%以下、特に好まし
くは0.1重量%以下である。水分が多すぎると、接着
性および粘着性が低下する場合がある。また、接着後に
発泡の原因となり、接着させた基材の剥離を引き起こす
こともある。
いが、上記接着処理液から水分を除去して製造するのが
一般的であり、具体的には、接着しようとする一組の基
材の少なくとも一方の表面に接着処理液を塗布し、乾燥
させて形成される塗膜が接着剤組成物層として用いられ
る。塗布する方法は、特に限定されず、はけ塗り、吹き
付け、ディッピングなどの方法で行なえばよい。
い。例えば、ガラス繊維ストランドに塗布する場合は、
ストランドが0.1mm単位の太さであり、あまり太く
なるとストランドを撚って得たガラス繊維コードの強度
に影響するため、乾燥後の厚さで好ましくは0.1〜1
0μm、0.2〜5μm、特に好ましくは0.5〜2μ
m以下である。しかし、織布や不織布に吹き付け、ディ
ッピングなどの方法で接着剤組成物層を形成する場合
は、乾燥後の厚さで、好ましくは0.1〜100μm、
より好ましくは0.5〜100μm、特に好ましくは1
〜50μmである。水分を乾燥させる方法は特に限定さ
れず、減圧、過熱を組み合わせて処理してもよい。
しい例としては、繊維基材が挙げられ、繊維から形成さ
れた不織布、繊維を撚った糸、そのような糸を織った織
布、繊維を撚ったコードなどの補強用繊維基材が好まし
い。また、好ましい繊維の種類としては、ガラス繊維、
ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリベンゾビスオ
キサゾール繊維などが挙げられる。
なくとも一部に上記接着剤組成物の層を形成したもので
ある。繊維部材が糸またはコードである場合、繊維を撚
って得た糸またはコードの表面に接着処理液を塗布して
接着剤組成物層を形成して繊維部材としても、繊維また
は繊維を集めたストランドの表面に接着処理液を塗布し
て接着剤組成物層を形成した後、これを撚って糸または
コードを得てこれを繊維部材としてもよい。また、この
ようにして得た糸を用いて織布を繊維部材としてもよ
い。特に繊維表面に接着処理液の接着剤組成物層を形成
後に、これを撚って糸またはコードとした場合は、糸ま
たはコードの繊維がほつれにくく、ほつれたために繊維
が切断されることが少ない。さらに繊維が切断されて
も、それが原因のほつれが生じにくく、糸またはコード
の強度の低下が少ない。
性に優れ、加硫ゴム部材との接着性に優れ、中でも加硫
性ゴム組成物と接触させて、加硫性ゴム組成物を加硫す
ることにより、繊維部材と加硫ゴム部材との間に、強固
な接着を形成する。
が、繊維基材の表面の少なくとも一部に上記接着処理液
を塗布し、乾燥する方法が一般的に用いられる。
一方の好ましい例としては、ベルト、タイヤ、ホースな
どの加硫ゴム部材が好ましい。その材料となる未加硫ゴ
ムは、特に限定されないが、好ましいゴムとして、ニト
リル基含有共重合ゴムが挙げられ、特に好ましいゴムと
して、よう素価が100以下のニトリル基含有共重合ゴ
ムが挙げられる。なお、未加硫ゴムには、必要に応じ
て、シリカ、カーボンなどの補強剤;タルク、クレーな
どの充填剤;酸化防止剤、耐候劣化剤などの安定剤;顔
料;などの一般的な配合剤を配合してもよい。未加硫ゴ
ムにゴムの特性に適した加硫剤を配合することにより、
加硫性ゴム組成物を調製して、これを加硫して加硫ゴム
部材とする。ニトリル基含有共重合ゴムの場合、一般的
には、硫黄、モルフォリンジスルフィドなどの硫黄系加
硫剤や有機過酸化物加硫剤が用いられる。
部材とが接着されたものである。複合部材の製造方法
は、特に限定されないが、繊維部材の表面に形成された
接着剤組成物の層と加硫性ゴム組成物を接触させ、加硫
性ゴム組成物を加硫させる方法が好ましく用いられる。
この方法によれば、繊維部材と加硫ゴム部材が強固に接
着した複合部材が得られる。
の層と加硫性ゴム組成物との接触方法も特に限定され
ず、目的に応じて、繊維部材と加硫性ゴム組成物の二層
構造にしても、繊維部材を加硫性ゴム組成物中に埋没さ
せてもよい。成形と加硫とを同時に行なっても、成形後
に加硫してもよく、加硫後に複合部材を切削して成形し
てもよい。例えば、繊維部材と加硫性ゴム組成物とをそ
れぞれ金型中の所定位置に固定することで接着剤組成物
の層と加硫性ゴム組成物とを接触させ、加熱することに
より、成形と加硫とを同時に行なってもよい。また、板
状の押出して成形された加硫性ゴム組成物上に繊維部材
を積層することにより、接着剤組成物の層と加硫性ゴム
組成物とを接触させ、板状に成形された成形物を得、こ
れを加熱して加硫させてもよい。
明する。なお、部または%は特に断らない限り、重量基
準である。
有割合は、1H−NMR、ヨウ素価測定、セミミクロケ
ルダール法による窒素含有量測定に基づいて求めた値で
あるが、重合において用いられた単量体の量と残存した
単量体の量との差に矛盾しないことを確認した。
補外ガラス転移終了温度(Teg)は、JIS K71
21に従い、熱流束示差走査熱量測定を行って測定し
た。ただし、測定精度を高めるため、加熱速度を毎分2
0℃から毎分10℃に変更して測定した。
て、ムーニー粘度ML1+4,100℃は、JIS K
6300に従って測定した。
は、後述の方法によって、JIS K3256に従って
測定した。
テル・タック計(特公昭47−12830号公報、モン
サント社製、TT−1型)を用いて測定した。
濃度10重量%になるように蒸留水に溶解して、100
mlの硝酸パラジウム水溶液を調製した。この水溶液の
pHを測定しながら、水酸化ナトリウム(固体)を添加
してpH12に調整した。この塩基性水溶液20ml
を、別途調製しておいた1リットルの担体スラリー(担
体として富田製薬製のケイ酸マグネシウムを使用。スラ
リー中の担体量100g)と混合した。混合後のスラリ
ーのpHは12であった。混合液を30分間攪拌した
後、固形分を濾別して蒸留水でよく洗った。回収した固
形分を60℃で20時間真空乾燥して担持触媒を得た。
原子吸光法で測定したパラジウムの担持量は2重量%で
あった。
デシル硫酸ナトリウム(乳化剤)3部を仕込み、さらに
アクリロニトリル11部、1,3−ブタジエン89部、
t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.54
部、硫酸第一鉄(活性剤)0.015部およびp−メン
タンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.043
部を加え、重合添加率を測定しながら、10℃で乳化重
合を開始した。重合転化率が26%になった時点で、ア
クリロニトリル4.3部を添加した。追加したアクリロ
ニトリルを重合転化率の計算の基準に加えて、重合転化
率が41%になった時点で、さらにアクリロニトリル
4.3部を添加した。ここで追加したアクリロニトリル
も重合転化率の計算の基準に加えて、重合転化率が59
%になった時点で、再度アクリロニトリル4.3部を添
加した。ここで追加したアクリロニトリルを再度重合転
化率の計算の基準に加えて、重合転化率が80%になっ
た時点で、0.129部のヒドロキシルアミン硫酸塩を
添加して重合を停止させた。なお、重合中、重合転化率
が3%増加するごとに重合反応液の極少量を採取、分析
して、重合体の微小部分の各単量体の含有割合を求め
た。結果を表1に示す。重合停止に続いて、加温し、減
圧下、70℃で、水蒸気蒸留により、未反応単量体を回
収した後、老化防止剤として2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール(老化防止剤)を2部添加
して、ニトリル基含有共重合ゴムラテックスを得た。こ
のラテックスに含有されるニトリル基含有共重合ゴムの
アクリロニトリル含有量22.5%、よう素価は約36
4、ムーニー粘度(ML 1+4,100℃)は30、△
Tgは13℃であった。
に、参考例1で得た水素添加触媒をパラジウム量が16
00ppmになるように添加し、水素圧5MPaで水素
ガスを吹き込み、50℃で、よう素価が160になるま
で水素添加して、水素添加ニトリル基含有共重合ゴムラ
テックスを得た。このラテックスに含有されるニトリル
基含有共重合ゴムのアクリロニトリル含有量22.5
%、ムーニー粘度(ML 1+4,100℃)は30、△
Tgは13℃であった。
ムラテックスに、ゴム粒子100部に対しレゾルシノー
ル−ホルムアルデヒド樹脂(和光純薬製、レゾルシノー
ル1モルとホルムアルデヒド1モルの反応物)20部を
加えて、均一になるまでゆっくりと攪拌し、接着処理液
を調製した。
(SiO264.4%、Al2O325%、CaO0.
3%、MgO10.0%、B2O30.1%、Na2O
及びK 2O合わせて0.2%)のガラス繊維ストランド
(フィラメント直径9μm、101テックス(フィラメ
ント本数600本))に接着剤組成物層の厚さが約1.
5μmとなるように塗布し、280℃で1分間熱処理を
行った後、1インチ当たり2.1回の下撚りを施し、こ
れを11本合糸して下撚りと反対方向に1インチ当たり
2.1回の上撚りを施してガラス繊維コードを得た。
水素添加物(ゼットポール2020、日本ゼオン製、ア
クリロニトリル単位含有量36.2%、ヨウ素価28、
ムーニー粘度ML1+4,(100℃)78)100部
に、カーボンブラックN550を60部、亜鉛華1号5
部、ステアリン酸1部、トリオクチルトリメリテート1
0部、4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニ
ルアミン1.5部、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩
1.5部、テトラメチルチウラムジスルフィド1.5
部、硫黄0.5部およびシクロヘキシルベンゾチアジル
スルフェンアミド1部を配合して、加硫性ゴム組成物を
調製した。この加硫性ゴム組成物をプレス圧5MPaに
て、厚さ5mmのシート状に成形した。
上に、前述のガラス繊維コードを長さ12cm、幅25
mmとなるように並べ、プレス圧5MPa、150℃で
30分間加硫して接着強度試験片を得た。得られた試験
片について、JIS K 6256に従って、剥離試験
を行ってガラス繊維コードとゴム加硫物との初期接着力
を測定した。なお、上記試験片中のガラス繊維コードの
含有率は約30重量%であった。
スと接着剤組成物との間の粘着性を測定した。結果を表
1に示す。
3−ブタジエン量89部を80部に変え、重合の途中で
アクリロニトリルを追加しない以外は、実施例1と同様
に重合してニトリル基含有共重合ゴムラテックスを得
た。このラテックスに含有されるニトリル基含有共重合
ゴムのアクリロニトリル含有量22.9%、よう素価は
約360、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は3
0、△Tgは44℃であった。このラテックスを実施例
1と同様に水素添加して水素添加ニトリル基含有共重合
ゴムラテックスを得た。このラテックスに含有される水
素添加ニトリル基含有共重合ゴムのアクリロニトリル含
有量22.9%、よう素価は160、ムーニー粘度(M
L1+4,100℃)は30、△Tgは42℃であっ
た。この水素添加ニトリル基含有共重合ゴムラテックス
を用いて実施例1と同様に、接着処理液と接着強度試験
片を得、ガラス繊維コードとゴム加硫物との初期接着力
とガラスと接着剤組成物との間の粘着性とを測定した。
結果を表1に示す。
変える以外は、実施例1と同様に重合してニトリル基含
有共重合ゴムラテックスを得た。このラテックスに含有
されるニトリル基含有共重合ゴムのアクリロニトリル含
有量22.5%、よう素価は約364、ムーニー粘度
(ML1+4,100℃)は155、△Tgは13℃で
あった。このラテックスを実施例1と同様に水素添加し
て水素添加ニトリル基含有共重合ゴムラテックスを得
た。このラテックスに含有される水素添加ニトリル基含
有共重合ゴムのアクリロニトリル含有量22.5%、よ
う素価は160、ムーニー粘度(ML1+4,100
℃)は150、△Tgは13℃であった。この水素添加
ニトリル基含有共重合ゴムラテックスを用いて実施例1
と同様に、接着処理液と接着強度試験片を得、ガラス繊
維コードとゴム加硫物との初期接着力とガラスと接着剤
組成物との間の粘着性とを測定した。結果を表1に示
す。
に水素添加する前のニトリル基含有共重合ゴムラテック
スを用いる以外は、実施例1と同様に処理した。結果を
表1に示す。なお、このラテックスに含有されるニトリ
ル基含有共重合ゴムのアクリロニトリル含有量22.5
%、よう素価は約364、ムーニー粘度(ML1+4,
100℃)は30、△Tgは13℃であった。
移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Te
g)との差が大きすぎるもの(比較例1)、ムーニー粘
度が大きすぎるもの(比較例2)およびよう素価の大き
すぎるもの(比較例3)のラテクッスを用いて、RFL
液を調製し、そのRFL液で処理して、接着剤組成物層
を形成した繊維部材を製造し、その繊維部材とよう素価
の小さなニトリル基含有共重合ゴムを加硫した加硫ゴム
部材とからなる複合部材を製造しても、繊維部材と接着
剤組成物層との間の粘着性に劣り、繊維のほつれを生じ
る可能性がある。
場合は、ガラス繊維コードと加硫ゴムとの接着性に優
れ、さらに粘着性にも優れている。
さなニトリル基含有共重合ゴムとの接着性に優れ、粘着
性にも優れる。粘着性に優れることにより、繊維を強く
拘束し、ほつれ、繊維の切断などによる補強用繊維基材
の劣化を防止する。そのため、本発明の接着剤組成物
は、繊維補強されたベルト、タイヤ、ホースなどの製造
に用いることができる
Claims (7)
- 【請求項1】 α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単
量体単位含有量10〜30重量%、よう素価250以
下、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜1
20であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移
開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Te
g)の温度差が15℃以下であるニトリル基含有共重合
ゴムのラテックス。 - 【請求項2】 請求項1記載のラテックスとレゾルシノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂とを含有してなる接着処理
液。 - 【請求項3】 α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単
量体単位含有量10〜30重量%、よう素価250以
下、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜1
20であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移
開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Te
g)の温度差が15℃以下であるニトリル基含有共重合
ゴム粒子とレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂とか
らなる接着剤組成物。 - 【請求項4】 繊維基材の表面の少なくとも一部に請求
項3記載の接着剤組成物の層を形成した繊維部材。 - 【請求項5】 繊維基材の表面の少なくとも一部に請求
項2記載の接着処理液を塗布し、乾燥する繊維部材の製
造方法。 - 【請求項6】 請求項4記載の繊維部材と加硫ゴム部材
とが接着されて成る複合部材。 - 【請求項7】 請求項4記載の繊維部材の表面に形成さ
れた接着剤組成物の層と加硫性ゴム組成物を接触させ、
加硫する繊維部材と加硫ゴムの複合部材の製造方法。
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