JP2008260865A - 接着剤組成物、及びそれを用いた有機繊維とゴムとの接着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作製時及び接着処理時のホルムアルデヒドを削減して作業環境を改善することができる上、有機繊維とゴムとの接着における長時間耐熱性を向上させることが可能な接着剤組成物を提供する。
【解決手段】レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物と、メラミン系化合物と、特定のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスとを含んでなることを特徴とする接着剤組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物、及び該接着剤組成物を用いた有機繊維とゴムとの接着方法に関し、特に有機繊維とゴムとの接着における長時間耐熱性を向上させることが可能な接着剤組成物及びそれを用いた接着方法に関するものである。
従来、タイヤ等のゴム物品においては、レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とホルムアルデヒドとゴムラテックスとからなる接着剤組成物(所謂、RFL液)を有機繊維に含浸付着せしめた後、熱処理した有機繊維を未加硫ゴムに埋設し、該未加硫ゴムを加硫して有機繊維とゴムとを一体化する技術が知られている。ここで、RFL液等のレゾルシノール樹脂接着系は、一般に長時間耐久性が高いことが知られている(非特許文献1参照)。
一方、近年のホルムアルデヒドを削減した接着剤組成物へのニーズの高まりから、レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物と、特定のメラミン系化合物と、ゴムラテックスとからなる接着液が注目されている(下記特許文献1参照)。該接着液においては、特定のメラミン系化合物が、メチレンドナーとしてのホルムアルデヒドの役割を代替できるため、ホルムアルデヒドの使用量を削減することができ、その結果として、作業環境を改善することができる。
接着,高分子刊行会,V0149,No10,2005 特開2000−160108号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、特開2000−160108号公報に記載のメラミン系化合物を含む接着液は、長時間耐熱性が低いことが分かった。そのため、RFL液を上記のメラミン系化合物が縮合された樹脂系で代替して製造したゴム物品は、長時間耐久性に優れたレゾルシノール樹脂接着系を用いて製造したゴム物品に比べ、製品寿命が短く、特にゴム物品を高歪・高温下で使用した場合、有機繊維とゴムとの接着強度が劣化する不具合が有ることが分かった。
そこで、本発明の目的は、作製時及び接着処理時のホルムアルデヒドを削減して作業環境を改善することができる上、有機繊維とゴムとの接着における長時間耐熱性を向上させることが可能な接着剤組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる接着剤組成物を用いた、作業環境を改善することが可能な有機繊維とゴムとの接着方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物及び特定のメラミン系化合物と共に、特定のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスを含む接着剤組成物が、有機繊維とゴムとの接着における長時間耐熱性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の接着剤組成物は、
レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物と、
下記一般式(I):
Figure 2008260865

[式中、Rは、それぞれ独立して水素、メチロール基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基である]で表わされるメラミン系化合物と、
ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含む単量体混合物(a)と、ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含み、前記単量体混合物(a)よりも共役ジエン化合物の含有率が高い単量体混合物(b)とを分割重合させて得られるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスと
を含んでなることを特徴とする。ここで、「分割重合」とは、「マルチステージフィード重合」を意味するものとする。
本発明の接着剤組成物において、前記ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体は、共重合体全体の12〜60質量%が共役ジエン化合物で構成されることが好ましい。
本発明の接着剤組成物の好適例においては、前記単量体混合物(a)が、ピリジン環含有ビニル化合物3〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物25〜80質量%、並びに共役ジエン化合物5〜60質量%で構成され、前記単量体混合物(b)が、ピリジン環含有ビニル化合物5〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物5〜45質量%、並びに共役ジエン化合物40〜83質量%で構成される。
本発明の接着剤組成物の他の好適例においては、前記単量体混合物(a)の重合によって得られる共重合体成分(a')と前記単量体混合物(b)の重合によって得られる共重合体成分(b')との質量比[(a')/(b')]が10/90〜80/20である。
また、本発明の有機繊維とゴムとの接着方法は、
上記の接着剤組成物を有機繊維に含浸付着させる工程と、
前記接着剤組成物が付着した有機繊維を未加硫ゴムに埋設する工程と、
前記接着剤組成物が付着した有機繊維及び前記未加硫ゴムを加硫処理して、有機繊維とゴムとを一体化する工程と
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物及び特定のメラミン系化合物と共に、特定のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスを含み、接着剤組成物作製時のホルムアルデヒドを削減して作業環境を改善することができる上、有機繊維とゴムとの接着における長時間耐熱性を向上させることが可能な接着剤組成物を提供することができる。また、該接着剤組成物を有機繊維とゴムとの接着処理に用いることで、接着処理時のホルムアルデヒドを削減して作業環境を改善することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の接着剤組成物は、レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物と、上記一般式(I)で表わされるメラミン系化合物と、ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含む単量体混合物(a)と、ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含み、前記単量体混合物(a)よりも共役ジエン化合物の含有率が高い単量体混合物(b)とを分割重合させて得られるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスとを含んでなることを特徴とする。本発明の接着剤組成物においては、式(I)のメラミン系化合物が、メチレンドナーとしてのホルムアルデヒドの役割を代替できるため、ホルムアルデヒドの使用量を削減することができ、その結果、接着剤組成物の作製時及び接着処理時の作業環境を改善することができる。
また、分割共重合体粒子の製造に用いる単量体混合物(a)と単量体混合物(b)とで組成を異ならせた理由(即ち、単量体混合物(a)の重合によって得られる共重合体成分(a')と単量体混合物(b)の重合によって得られる共重合体成分(b')とで組成比を異ならせた理由)は以下の通りである。
即ち、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体(Vp−St−Bd系共重合体)粒子において、粒子中に二重結合を与える共役ジエン化合物成分は、主に加硫工程中、その他の高温下使用時に、被着ゴムから移行・拡散する架橋剤により、架橋反応を生じ、架橋の結果、以下の作用を示す。
第1は、架橋により、架橋の前後で接着剤層の体積及びモジュラス変化が生じ、その変化が大きい程、接着力の耐久性が損なわれる。架橋反応は、高温下において特に進行するため、高温下での接着劣化が大きくなる。従って、この観点からは、共役ジエン化合物成分は少ない方が好ましい。
第2は、加硫初期に、熱により接着剤層と被着ゴムは相溶化し、粒子と被着ゴム中のポリマーが絡み合い、架橋することで、接着剤層−被着ゴム間の界面結合力が得られる。従って、この観点から、共役ジエン化合物成分が必要となる。
これらの作用に鑑みて、従来の単一組成構造のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ゴムラテックスは、共役ジエン化合物含有量が約70質量%付近のものを広く用いている。
ここで、共役ジエン化合物含有量が少ない共重合体成分のみよりなるゴムラテックス粒子は、架橋による体積及びモジュラスの変化による影響が少なく、接着力の耐久性を向上させる作用が期待できるが、一方、共役ジエン化合物含有量が少ないため、粒子と被着ゴム中のポリマーが絡み合い難く、粒子の被着ゴムへの相溶化が不十分で、架橋が少なくなり、接着剤層−被着ゴム間の界面結合力が小さくなる結果、接着のレベルが低くなる。
そのため、本発明においては、接着力の向上及び高温下での接着力低下防止のために、同一粒子内に共役ジエン化合物含有量が高い共重合体成分(b')と共役ジエン含有量が低い共重合体成分(a')を有する構造とした。即ち、共役ジエン化合物含有量が低い単量体混合物(a)と、共役ジエン化合物含有量が高い単量体混合物(b)とを分割して重合した共重合体粒子は、加硫初期に、共重合体成分(b')と被着ゴムとのポリマー分子鎖が絡み合い、共重合体成分(b')と被着ゴムとが共加硫することで、十分な接着剤−ゴム界面結合力が得られ、また、同時に、ゴムラテックス粒子全体では、共役ジエン化合物含有量が少なくなるため、加硫や製品使用時等において熱的入力が高温又は長時間となっても、架橋反応に伴う体積及びモジュラスの変化による影響が少なくなり、接着力、特に、長時間耐熱性を向上させることができる。
本発明の接着剤組成物に用いるゴムラテックスは、公知の分割重合法で製造することができる。分割重合法としては、例えば、二段重合法、パワーフィード重合法等が挙げられ、また、単量体の添加法にも特に制限はなく、一括添加法、分割添加法、連続添加法等、1つの粒子内に共重合体成分(a')と共重合体成分(b')を含むゴムラテックスが得られる方法を用いることができる。
具体的には、水にロジン酸カリウム等の乳化剤を溶解させた後、これに、単量体混合物(a)又は(b)を添加する。更に、リン酸ナトリウム等の電解質及び過酸化物類等を開始剤として加え、重合を行う。その後、所定の転化率に達した後、もう一方の単量体混合物(b)又は(a)を添加し、重合を続ける。その後、所定の転化率に達した後、電荷移動剤を加え、重合を停止させ、更に残留する単量体を除去することによって、組成比の異なる共重合体からなる構造のゴムラテックスが得られる。なお、上記ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体としては、3種以上の組成の単量体混合物を分割重合させて得たものを使用してもよい。
製造したゴムラテックス粒子の組成は、NMR(核磁気共鳴)法にて測定し、チャートのピーク面積から重合組成比を求める方法、あるいは、重合体の粘弾性挙動を測定し、その損失から重合組成比を求める方法などによって、求めることができる。また、ゴムラテックスをオスミウムで染色し、電子顕微鏡で観察することにより、粒子内に染色度の異なる共重合体による2層構造を観察することもできる。
本発明において、上記ピリジン環含有ビニル化合物としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジンが好ましい。これらピリジン環含有ビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以を混合して用いてもよい。
本発明において、上記未置換・置換スチレンとしては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが好ましい。これら未置換・置換スチレンは、1種単独で用いてもよいし、2種以を混合して用いてもよい。
本発明において、上記脂肪族ビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン系不飽和酸モノマー、無水マレイン酸等のエチレン系不飽和酸無水物モノマー、メタクリル酸メチル等のエチレン系不飽和酸エステルモノマー、エチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等の脂肪族ビニル化合物モノマー等が挙げられる。これら脂肪族ビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以を混合して用いてもよい。
本発明において、上記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン等の脂肪族共役ジエン化合物系モノマーが挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以を混合して用いてもよい。
本発明の接着剤組成物において、上記ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体は、共重合体全体での共役ジエン化合物含有率が12〜60質量%であることが好ましい。共重合体全体での共役ジエン化合物含有率が12質量%未満では、加硫初期の接着剤層−被着ゴム間の界面結合力が不十分となることがあり、一方、60質量%を超えると、長時間耐熱性を十分に向上させられないことがある。
本発明の接着剤組成物において、上記単量体混合物(a)は、ピリジン環含有ビニル化合物3〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物25〜80質量%、並びに共役ジエン化合物5〜60質量%で構成されることが好ましい。
上記単量体混合物(a)におけるピリジン環含有ビニル化合物の含有量が3質量%未満では、接着剤組成物全体の接着力が低下し、一方、25質量%を超えると、ラテックスの加硫反応が促進されるため好ましくない。
また、上記単量体混合物(a)における未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物の含有量が25質量%未満では、ゴムラテックス粒子の強度が低下し、接着剤層の強度低下、ひいては、接着力の低下につながり、一方、80質量%を超えると、ゴムラテックス粒子が硬くなりすぎ、可撓性が低下し、製品を高歪下で使用した場合の接着力低下が激しくなる。
更に、上記単量体混合物(a)における共役ジエン化合物の含有量が5質量%未満では、架橋が少なくなって、接着力が低下し、一方、60質量%を超えると、架橋が多くなり、長時間耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明の接着剤組成物において、上記単量体混合物(b)が、ピリジン環含有ビニル化合物5〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物5〜45質量%、並びに共役ジエン化合物40〜83質量%で構成されることが好ましい。
上記単量体混合物(b)におけるピリジン環含有ビニル化合物の含有量が5質量%未満では、前述と同様に接着剤層全体の接着力が低下し、一方、25質量%を超えると、接着剤が脆くなり、好ましくない。
また、上記単量体混合物(b)における未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物の含有量が5質量%未満では、ゴムラテックス粒子、接着剤層の強度低下を引き起こし、接着力が低下し、一方、45質量%を超えると、接着剤層と被着ゴムとの共加硫性が低下し、やはり接着力が低下し好ましくない。
更に、上記単量体混合物(b)における共役ジエン化合物の含有量が40質量%未満では、架橋が少なすぎ、接着力が低下し、一方、83質量%を超えると、接着力が低下して好ましくない。
本発明の接着剤組成物において、上記単量体混合物(a)の重合によって得られる共重合体成分(a')と上記単量体混合物(b)の重合によって得られる共重合体成分(b')との質量比[(a')/(b')]は、10/90〜80/20であることが好ましい。上記共重合体成分(a')の質量比が少な過ぎると、従来品のVp−St−Bd−共重合体ゴムラテックスと比べて耐熱接着力向上の効果がわずかとなり、逆に、共重合体成分(a')が多くなり過ぎると、初期接着力が低下してしまうことがある。
本発明の接着剤組成物において、上記ゴムラテックスは、固形分の20質量%以上が上述したビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体であることが好ましく、固形分の100質量%が上述したビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体であることが特に好ましい。ゴムラテックスの固形分中のビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体の割合が20質量%未満では、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体含有ラテックスを採用したことによる効果が十分に得られないことがある。なお、上記ゴムラテックスに併用するラテックスとしては、耐熱性のあるラテックスであれば、特に限定されない。
本発明の接着剤組成物には、レゾルシン、又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いる。ここで、ノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物としては、市販品[例えば、インドスペック社製:商品名ペナコライトR50、住友化学株式会社製:商品名スミカノール700(s)]や、レゾルシンを水に溶解し、ホルムアルデヒドを添加後、100〜110℃の温度範囲内の一定温度で6〜8時間の範囲内の一定時間熱処理を行って得られた反応物等の合成品を用いることができる。ここで、上記レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物の配合量は、上記ゴムラテックスの固形分100質量部に対して20〜65質量部の範囲が好ましい。20質量部未満では、ディップ処理作業上でゴムラテックスの粘性が強く、付着等による汚れ発生源となり易くなり、清掃性上で好ましくなく、65質量部超過では、幾何学的にラテックスが樹脂に埋没するため、ラテックス成分と被着ゴムとが接触し難くなり、加硫しても被着ゴムと接着剤組成物とが接着し難くなる。
本発明の接着剤組成物に用いるメラミン系化合物は、上記一般式(I)で表わされる。式(I)において、Rは、水素(−H)、メチロール基(−CH2OH)、メトキシメチル基(−CH2OCH3)又はエトキシメチル基(−CH2OC25)であり、各Rは、同一でも、異なってもよい。式(I)のメラミン系化合物は、メチレンドナーとしてのホルムアルデヒドの役割を代替できるため、式(I)のメラミン系化合物を用いることで、ホルムアルデヒドの使用量を削減することができる。ここで、式(I)のメラミン系化合物の配合量は、レゾルシンに対するメラミン系化合物の質量比(レゾルシン/メラミン系化合物)として、10/35〜30/10の範囲が好ましい。タイヤの耐熱性の点においては、化合物の分解温度が低いメラミン系化合物の量を必要以上に多く配合しない方が好ましい。
本発明の有機繊維とゴムとの接着方法は、上述した接着剤組成物を有機繊維に含浸付着させる工程と、前記接着剤組成物が付着した有機繊維を未加硫ゴムに埋設する工程と、前記接着剤組成物が付着した有機繊維及び前記未加硫ゴムを加硫処理して、有機繊維とゴムとを一体化する工程とを含むことを特徴とし、接着処理時のホルムアルデヒドを削減して、作業環境を改善することができる。
本発明の接着方法においては、例えば、接着剤組成物液に有機繊維を浸漬して、接着剤組成物液を有機繊維に含浸付着させ、該接着剤組成物液が付着した有機繊維を接着剤組成物液から取り出して、乾燥及び熱処理した後、未加硫ゴムに埋設し、常法に従って、接着剤組成物が付着した有機繊維及び未加硫ゴムを加硫処理することで、有機繊維とゴムとを一体化することができる。
上記有機繊維としては、特に限定はなく、例えば、6-ナイロン繊維、6,6-ナイロン繊維、4,6-ナイロン繊維等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル繊維の他、レーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維等を用いることができる。
また、上記未加硫ゴムとしては、特に限定はなく、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のゴム成分に対して、カーボンブラック、硫黄等の配合剤を配合して調製した未加硫ゴム組成物を用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(1)Vp−St−Bd系共重合体ゴムラテックス
<実施例1に使用したVp−St−Bd系共重合体ゴムラテックスの調製>
窒素置換した5リットルの容量の撹拌機付きのオートクレーブを用い、これに脱イオン水130質量部、ロジン酸カリウム4.0質量量部を仕込み、溶解する。次に、表1に示す組成の単量体混合物(a)と、連鎖移動剤としてのt-ドデシルメルカプタン0.2質量部を仕込み、乳化する。その後、50℃に昇温後、過硫酸カリウム0.5質量部を加え、重合を開始する。単量体混合物(a)の反応率が80〜90%に達した後、これに表1に示す組成の単量体混合物(b)とt-ドデシルメルカプタン0.2質量部を添加し、さらに、重合を続ける。反応率が95%に達した後、ハイドロキノン0.1質量部を加え、重合を停止する。次に、減圧下、未反応単量体を除去し、濃度を調節し、固形分濃度40質量%の共重合体ゴムラテックスを得た。
<比較例1に使用したVp−St−Bd系共重合体ゴムラテックスの調製>
窒素置換した5リットルの容量の撹拌機付きのオートクレーブを用い、これに脱イオン水130質量部、ロジン酸カリウム4.0質量量部を仕込み、溶解する。これに、表1の「ゴムラテックス粒子全体組成」の欄に示す組成の単量体混合物とt-ドデシルメルカプタン0.55質量部を仕込み、乳化する。その後、50℃に昇温後、過硫酸カリウム0.5質量部を加え、重合を開始する。反応率が90%に達した後、ハイドロキノン0.1質量部を加え、重合を停止する。次に、減圧下、未反応単量体を除去し、濃度を調節し、固形分濃度40質量%の共重合体ゴムラテックスを得た。
<比較例2に使用したゴムラテックス>
比較例2には、日本エイアンドエル株式会社のVp−St−Bd共重合体ゴムラテックス(商品名ピラテックス、固形分濃度40質量%)を使用した。共重合体の組成を、表1の「ゴムラテックス粒子全体組成」の欄に示す。


Figure 2008260865
(2)接着剤組成物
上記(1)で得られたゴムラテックス250質量部と、レゾルシン20質量部と、トリス(メトキシメチル)メラミン25質量部とを混合し、最低24時間熟成し、ゴムラテックスとレゾルシンとメラミン化合物からなる接着剤組成物を調製した。
(3)接着剤組成物処理コードの作製
コード材料として、撚構造1400dtex/2、上撚数40回/10cm、下撚数40回/10cmの66ナイロンタイヤコードを用い、上記(2)で得た接着剤組成物に浸漬し、次に、150℃で1分間乾燥後、220℃に保った雰囲気下で2分間処理して、接着剤組成物処理コードを作製した。
(4)長時間加硫
上記(3)で得た接着剤組成物処理コードを、天然ゴム 80重量部、スチレンブタジエン共重合ゴム 20重量部、カーボンブラック 40重量部、ステアリン酸 2重量部、石油系軟化剤 10重量部、バインタール 4重量部、亜鉛華 5重量部、N−フェニル−β−ナフチルアミン 1.5重量部、2−ベンゾチアジルジスルフィド 0.75重量部、ジフェニルグアニジン 0.75重量部及び硫黄 2.5重量部からなる配合の未加硫ゴム組成物に埋め込み、170℃で90分間、20kgf/cm2の加圧下で加硫した。
(5)長時間加硫後の接着力
上記(4)で得た加硫物からコードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力を測定し、これを長時間加硫後の接着力とした。結果を表2に示す。
Figure 2008260865
表2から明らかなように、レゾルシン及びメラミン系化合物と共に、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体含有ゴムラテックスを含む接着剤組成物を用いて有機繊維コードを処理することで、コードと被着ゴムとの長時間加硫後の接着力を大幅に向上させることができる。

Claims (5)

  1. レゾルシン又はノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物と、
    下記一般式(I):
    Figure 2008260865

    [式中、Rは、それぞれ独立して水素、メチロール基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基である]で表わされるメラミン系化合物と、
    ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含む単量体混合物(a)と、ピリジン環含有ビニル化合物、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物、並びに共役ジエン化合物を含み、前記単量体混合物(a)よりも共役ジエン化合物の含有率が高い単量体混合物(b)とを分割重合させて得られるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体を含有するゴムラテックスと
    を含んでなることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 前記ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系分割共重合体は、共重合体全体の12〜60質量%が共役ジエン化合物で構成されることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記単量体混合物(a)が、ピリジン環含有ビニル化合物3〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物25〜80質量%、並びに共役ジエン化合物5〜60質量%で構成され、
    前記単量体混合物(b)が、ピリジン環含有ビニル化合物5〜25質量%、未置換・置換スチレン又は未置換・置換スチレン及び脂肪族ビニル化合物5〜45質量%、並びに共役ジエン化合物40〜83質量%で構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  4. 前記単量体混合物(a)の重合によって得られる共重合体成分(a')と前記単量体混合物(b)の重合によって得られる共重合体成分(b')との質量比[(a')/(b')]が10/90〜80/20であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  5. 有機繊維とゴムとの接着方法であって、
    請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物を有機繊維に含浸付着させる工程と、
    前記接着剤組成物が付着した有機繊維を未加硫ゴムに埋設する工程と、
    前記接着剤組成物が付着した有機繊維及び前記未加硫ゴムを加硫処理して、有機繊維とゴムとを一体化する工程と
    を含む有機繊維とゴムとの接着方法。
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