JP2003285163A - パルスアーク溶接制御方法 - Google Patents
パルスアーク溶接制御方法Info
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Abstract
ベース期間中のベース電流Ibsの通電とを繰り返す消耗
電極式パルスアーク溶接において、アークの集中性、広
がり等のアーク特性を調整するためにピーク立上り期間
Tus及びピーク立下り期間Tdsを調整すると、1パルス
1溶滴移行しない不安定な溶接状態になる場合がある。 【解決手段】 アーク特性の微調整のためにピーク立上
り期間及びピーク立下り期間が微調整(ΔTu、ΔT
d)されると、これに応動してピーク立上り期間及びピ
ーク期間及びピーク立下り期間中の溶接電流Iwの時間
積分値がアーク特性の調整によらず常に所定値になるよ
うにピーク期間を修正して溶接電流Iwを通電する。
Description
広がり等のアーク特性を調整するためにピーク立上り期
間及びピーク立下り期間を微調整したときに、ピーク期
間を修正して溶接電流の通電を制御するパルスアーク溶
接制御方法に関する。
電流・電圧波形図であり、同図(A)は溶接電流Iwの
時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化
を示す。以下、同図を参照して説明する。
のピーク立上り期間Tu中は、ベース電流Ibからピー
ク電流Ipへと上昇する遷移電流が通電し、続いて時刻
t2〜t3のピーク期間Tp中は、上記のピーク電流I
pが通電し、続いて時刻t3〜t4のピーク立下り期間
Td中は、上記のピーク電流Ipから上記のベース電流
Ibへと下降する遷移電流が通電し、続いて時刻t4〜
t5のベース期間Tb中は、上記のベース電流Ibが通
電する。これらの溶接電流の通電に対応して、同図
(B)に示すように、上記のピーク立上り期間Tu中
は、ベース電圧Vbからピーク電圧Vpへと上昇する遷
移電圧が印加し、続いて上記のピーク期間Tp中は、上
記のピーク電圧Vpが印加し、続いて上記のピーク立下
り期間Td中は、上記のピーク電圧Vpから上記のベー
ス電圧Vbへと下降する遷移電圧が印加し、続いて上記
のベース期間Tb中は、上記のベース電圧Vbが印加す
る。上記の時刻t1〜t5の期間をパルス周期Tfとし
て繰り返して溶接が行われる。ところで、溶接中のアー
ク長を適正値に維持するために、同図(B)に示すよう
に、溶接電圧Vwの平均値が予め定めた電圧設定値Vs
と略等しくなるように、上記のパルス周期がフィードバ
ック制御される。したがって、パルス周期Tf以外の波
形パラメータ(Tu、Tp、Td、Ip、Ib)は予め
設定される。
間(以下、ユニットパルス期間という)中の溶接電流I
wの時間積分値(以下、ユニットパルス電流積分値とい
う)Si[A・ms]は、次式で表わすことができる。 Si=∫Iw・dt=(Ip−Ib)・(1/2・Tu+1/2・Td+Tp)+ Ib・(Tu+Td+Tp) (1)式 パルスアーク溶接では、良好な溶接を行うためにはユニ
ットパルス期間中に1回の溶滴移行が行われるいわゆる
1パルス1溶滴移行の状態になるように、上記のユニッ
トパルス電流積分値Siを適正値に設定する必要があ
る。すなわち、溶接ワイヤの材質、直径、シールドガス
の種類等が決まると、1パルス1溶滴移行するために上
記のユニットパルス電流積分値Siの範囲が定まる。直
径1.2mmのアルミニウム−シリコン合金ワイヤでは、
例えば、上記のユニットパルス電流積分値Siが550
±100A・ms程度の範囲内にあるときに1パルス1溶滴
移行の状態になり、直径1.2mmの軟鋼ワイヤでは、ユ
ニットパルス電流積分値Si1が1000±200A・ms
程度の範囲内にあるときに1パルス1溶滴移行の状態に
なる。ユニットパルス電流積分値Siが上記の下限値よ
りも小さくなると、溶滴移行は多パルス1溶滴移行の状
態となり、逆に上記の上限値よりも大きくなると、溶滴
移行は1パルス多溶滴移行の状態となり、どちらの場合
も移行する溶滴のサイズがバラツクことになりスパッタ
が多く発生しビード外観も悪くなる。
ニットパルス電流積分値Siが上記の1パルス1溶滴移
行の範囲内になるように設定される。例えば、上記の直
径1.2mmのアルミニウム−シリコン合金ワイヤの場合
には、波形パラメータは以下の通りである。 Tu=1.2ms、Td=0.6ms、Tp=1.0ms、Ip=280A、Ib=30A (設 定1) このときのユニットパルス電流積分値Si=559A・ms
となり、上記の1パルス1溶滴移行の範囲の略中心値と
なる。同様に、上記の直径1.2mmの軟鋼ワイヤの場合
には、波形パラメータは以下の通りである。 Tu=0.4ms、Td=1.2ms、Tp=1.4ms、Ip=440A、Ib=40A (設 定2) このときのユニットパルス電流積分値Siは1056A・
msとなり、上記の1パルス1溶滴移行の範囲の略中心値
となる。
長さとアーク特性との関係を示す図である。同図(A
1)はピーク立上り期間Tu1及びピーク立下り期間Td1
が長い場合の溶接電流波形を示し、同図(A2)はその
ときのアーク発生状態を示し、同図(B1)はピーク立
上り期間Tu2及びピーク立下り期間Td2が短い場合の溶
接電流波形を示し、同図(B2)はそのときのアーク発
生状態を示す。アークの集中性、アークの広がり、アー
ク力の強さ等のアーク特性は、ピーク立上り期間及びピ
ーク立下り期間の時間長さによって変化することが知ら
れている。同図(A1)に示すように、ピーク立上り期
間Tu1及びピーク立下り期間Td1を長くすると、同図
(A2)に示すように、溶接ワイヤ1と母材2との間の
アーク3はすそ野が広がった形状となり、アークの集中
性が弱くなり、アークの広がりは広くなり、アーク力は
弱くなり、ソフトなアーク特性になる。このために、姿
勢溶接に適しており、アンダーカットの発生を抑制する
効果もある。他方、同図(B1)に示すように、ピーク
立上り期間Tu2及びピーク立下り期間Td2を短くする
と、同図(B2)に示すように、溶接ワイヤ1と母材2
との間のアーク3はすそ野が狭い形状となり、アークの
集中性が強くなり、アークの広がりは狭くなり、アーク
力は強くなり、ハードなアーク特性になる。このため
に、溶け込み深さを深くする効果がある。上記の効果以
外にも、アーク特性によって溶接の作業性が変化するた
めに、溶接作業者は自分の好みに合ったアーク特性に調
整する。したがって、従来技術では、継手形状、要求品
質、作業性等を考慮して、ピーク立上り期間及びピーク
立下り期間の時間長さを微調整することによってアーク
特性を微調整することができるようにしている。
特性を調整するために、ピーク期間Tpは予め定めた標
準値のままで、ピーク立上り期間及びピーク立下り期間
を予め定めた標準値を中心として微調整することにな
る。このために、ピーク立上り期間及びピーク立下り期
間の微調整値によっては、上記のユニットパルス電流積
分値が1パルス1溶滴移行の範囲外になる場合が発生
し、溶滴移行状態が不安定になり溶接品質が悪くなると
いう問題がある。以下、前述した設定1の場合である直
径1.2mmのアルミニウム−シリコン合金ワイヤの場合
を例として説明する。この場合の波形パラメータの標準
値は、前述した設定1のように、Tu0=1.2ms、Td0=
0.6ms、Tp0=1.0ms、Ip=280A、Ib=30A、Si
=559A・msである。ここで、アーク特性をソフトにする
ためにピーク立上り期間Tu及びピーク立下り期間Td
の微調整値ΔTu=ΔTd=+0.6msとすると、ピーク
立上り期間Tu=1.8ms及びピーク立下り期間Td=1.2
msへと修正される。ピーク期間Tp=Tp0=1.0msのま
まである。したがって、アーク特性微調整後のユニット
パルス電流積分値Si=745A・msとなり、前述した1
パルス1溶滴移行の範囲550±100A・msの上限値を
超えることになる。この結果、溶滴移行状態が不安定に
なり、スパッタが多く発生してビード外観も悪くなる。
このビード外観の例を図3に示す。同図は、前述した設
定1の溶接ワイヤ及び波形パラメータにおいて、溶接電
流75A及び溶接電圧18Vに設定してアルミニウム合
金のパルスMIG溶接を行ったときのビード外観であ
る。同図から明らかなように、母材2表面上に多くのス
パッタ2bが付着して、ビード2aの外観が悪くなって
いる。
性を調整するために、ピーク立上り期間及びピーク立下
り期間を微調整すると、ユニットパルス電流積分値が1
パルス1溶滴移行の範囲外となる場合がよく起こり、そ
の結果溶接品質が悪くなるという問題があった。
るために、ピーク立上り期間及びピーク立下り期間を微
調整しても、ユニットパルス電流積分値が常に1パルス
1溶滴移行の範囲内になるようにピーク期間を自動修正
することができるパルスアーク溶接制御方法を提供す
る。
すように、溶接ワイヤを送給すると共に、ピーク立上り
期間Tu中はベース電流Ibからピーク電流Ipへと上
昇する遷移電流を通電し続けてピーク期間Tp中は上記
ピーク電流Ipを通電し続けてピーク立下り期間Td中
は上記ピーク電流Ipから上記ベース電流Ibへと下降
する遷移電流を通電し続けてベース期間Tb中は上記ベ
ース電流Ibを通電しこれらの溶接電流の通電をパルス
周期Tfとして繰り返して通電するパルスアーク溶接制
御方法において、アーク特性の微調整のために上記ピー
ク立上り期間及び上記ピーク立下り期間が微調整される
と、これに応動して上記ピーク立上り期間及び上記ピー
ク期間及び上記ピーク立下り期間中の溶接電流の時間積
分値Siが上記アーク特性の微調整によらず常に予め定
めた所定値と略等しくなるように上記ピーク期間を修正
して上記パルス周期Tfの通電を繰り返すことを特徴と
するパルスアーク溶接制御方法である。
イヤを送給すると共に、ピーク立上り期間Tu中はベー
ス電流Ibからピーク電流Ipへと上昇する遷移電流を
通電し続けてピーク期間Tp中は上記ピーク電流Ipを
通電し続けてピーク立下り期間Td中は上記ピーク電流
Ipから上記ベース電流Ibへと下降する遷移電流を通
電し続けてベース期間Tb中は上記ベース電流Ibを通
電しこれらの溶接電流の通電をパルス周期Tfとして繰
り返して通電するパルスアーク溶接制御方法において、
アーク特性の微調整のために上記ピーク立上り期間の微
調整値ΔTu及び上記ピーク立下り期間の微調整値ΔT
dが設定されると、これに応動して上記ピーク立上り期
間をTu+ΔTuに修正しかつ上記ピーク立下り期間を
Td+ΔTdに修正しかつ上記ピーク期間をTp−
((Ip+Ib)/Ip)・(ΔTu+ΔTd)/2に
修正して上記パルス周期Tfの通電を繰り返すことを特
徴とするパルスアーク溶接制御方法である。
特性の微調整のために傾斜微調整係数Ksが設定される
と、これに応動してピーク立上り期間の微調整値ΔTu
=Ks・Tu及びピーク立下り期間の微調整値ΔTd=
Ks・Tdを演算して設定することを特徴とする第2の
発明記載のパルスアーク溶接制御方法である。
特性の微調整のために傾斜微調整値ΔTが設定される
と、これに応動してピーク立上り期間の微調整値ΔTu
=ΔTとして設定しかつ予め定めた重み付け係数Wsに
よってピーク立下り期間の微調整値ΔTd=Ws・ΔT
を演算して設定することを特徴とする第2の発明記載の
パルスアーク溶接制御方法である。
て、図面を参照して説明する。 [実施の形態1]本発明の実施の形態1は、アーク特性
を調整するために、ピーク立上り期間及びピーク立下り
期間を微調整すると、これに連動して上記のユニットパ
ルス電流積分値が予め定めた所定値になるようにピーク
期間を自動修正して、パルス周期の溶接電流の通電を制
御するパルスアーク溶接制御方法である。以下、ピーク
期間の修正方法について説明する。
Td及びピーク期間Tpの標準値とは、ピーク立上り期
間の微調整値ΔTu及びピーク立下り期間の微調整値Δ
Tdが共に0であるアーク特性が標準値の場合の各値で
ある。標準値のピーク立上り期間をTu0[ms]、標準値
のピーク立下り期間をTd0[ms]、標準値のピーク期間
をTp0[ms]、ピーク電流をIp[A]、ベース電流を
Ib[A]、ピーク立上り期間微調整値をΔTu[m
s]、ピーク立下り期間微調整値をΔTd[ms]、ユニ
ットパルス電流積分値の所定値をSi[[A・ms]及びピ
ーク期間の修正値をΔTp[ms]とする。ピーク立上り
期間微調整値ΔTu及びピーク立下り期間微調整値ΔT
dが微調整されて変化してもユニットパルス電流積分値
Siが上記の所定値になるためには、前述した(1)式
において下式が成立する。 Si=(Ip−Ib)・(1/2・(Tu0+ΔTu)+1/2
・(Td0+ΔTd)+(Tp0+ΔTp))+Ib・(T
u0+ΔTu+Td0+ΔTd+Tp0+ΔTp) 上式をΔTpについて整理すると下式が得られる。 ΔTp=−((Ip+Ib)/Ip)・(ΔTu+ΔTd)/2 (2)式 したがって、ピーク立上り期間及びピーク立下り期間が
微調整されたときは、これに応動した上記(2)式に基
づいてピーク期間修正値ΔTpを演算し、新しいピーク
期間Tp=Tp0+ΔTpに修正すれば、ユニットパルス
電流積分値は常に所定値Siになる。この結果、アーク
特性の微調整後においては、ピーク立上り期間Tu=T
u0+ΔTu中はベース電流Ibからピーク電流Ipへと
上昇する遷移電流を通電し、続けてピーク期間Tp=T
p0+ΔTp中はピーク電流Ipを通電し、続けてピーク
立下り期間Td=Td0+ΔTd中はピーク電流Ipから
ベース電流Ibへと下降する遷移電流を通電し、続けて
フィードバック制御によって定まるベース期間Tb中は
ベース電流Ibを通電する。
波形パラメータにおいて、上述した本発明を適用すると
以下のようになる。波形パラメータは、Tu0=1.2ms、
Td0=0.6ms、Tp0=1.0ms、Ip=280A、Ib=30
A、Si=559A・msである。ここで、アーク特性をソフ
トにするためにピーク立上り期間微調整値ΔTu=+0.
6ms及びピーク立下り期間微調整値ΔTd=+0.6msに設
定すると、上記(2)式によってピーク期間修正値ΔT
p=−((280+30)/280)・(0.6+0.6)/2=0.66m
sとなる。したがって、ピーク立上り期間Tu=1.2+0.
6=1.8ms、ピーク立下り期間Td=0.6+0.6=1.2ms及
びピーク期間Tp=1.0−0.66=0.34msに修正される。
このときのユニットパルス電流積分値Si=560A・msと
なり、アーク特性の微調整によっては変化しない。この
ために、1パルス1溶滴移行する良好な溶接状態が常に
維持され、良好な溶接品質を得ることができる。
ための溶接電源装置のブロック図である。以下、同図を
参照して、各回路ブロックについて説明する。出力制御
回路INVは、商用交流電源3相200V等を入力とし
て、後述する電流誤差増幅信号Eiに従って、インバー
タ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行い、溶接
に適した溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。溶
接ワイヤ1は、ワイヤ送給装置の送給ロール5の回転に
よって、溶接トーチ4を通って送給されて、母材2との
間でアーク3が発生して、溶接が行われる。
して、溶接電圧検出信号Vdを出力する。電圧平均化回
路VDAは、上記の電圧検出信号Vdを平均化して、平
均電圧信号Vdaを出力する。電圧設定回路VSは、予め
定めた電圧設定信号Vsを出力する。電圧誤差増幅回路
EVは、上記の平均電圧信号Vdaと上記の電圧設定信号
Vsとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力
する。電圧・周波数変換回路V/Fは、上記の電圧誤差
増幅信号Evの値に比例した周波数に変換し、その周波
数(パルス周期)ごとに短時間Highレベルとなるパ
ルス周期信号Tfを出力する。
ーク特性を調整するために微調整されて、ピーク立上り
期間微調整信号ΔTuを出力する。ピーク立下り期間微
調整回路ΔTDは、アーク特性を調整するために微調整
されて、ピーク立下り期間微調整信号ΔTdを出力す
る。これらの回路ΔTU、ΔTD及び信号ΔTu、ΔT
dは、溶接電源装置のフロントパネルに設けられた可変
抵抗器であってもよいし、溶接ロボットを使用する場合
にはロボット制御装置からの指令信号に対応させてもよ
い。また、同図においてこれらの回路を点線で描いてい
るのは、アーク特性の微調整のための回路であることを
示すためであり、これ以降の図においても同様である。
のピーク立上り期間微調整信号ΔTuを入力として、予
め定めたピーク立上り期間標準値Tu0+ΔTuの演算を
行い、ピーク立上り期間設定信号Tusを出力する。ピー
ク立下り期間設定回路TDSは、上記のピーク立下り期
間微調整信号ΔTdを入力として、予め定めたピーク立
下り期間標準値Td0+ΔTdの演算を行い、ピーク立下
り期間設定信号Tdsを出力する。ピーク期間修正値演算
回路ΔTPは、上記のピーク立上り期間微調整信号ΔT
u及びピーク立下り期間微調整信号ΔTdを入力とし
て、上記(2)式の演算を行い、ピーク期間修正信号Δ
Tpを出力する。ピーク期間設定回路TPSは、上記の
ピーク期間修正信号ΔTpを入力として、予め定めたピ
ーク期間標準値Tp0+ΔTpの演算を行い、ピーク期間
設定信号Tpsを出力する。
ピーク電流設定信号Ipsを出力する。ベース電流設定回
路IBSは、予め定めたベース電流設定信号Ibsを出力
する。電流制御設定回路ISCは、上記のパルス周期信
号TfがHighレベルに変化した時点から上記のピー
ク立上り期間設定信号Tusによって定まる期間中は上記
のベース電流設定信号Ibsから上記のピーク電流設定信
号Ipsへと上昇する電流制御設定信号Iscを出力し、続
いて上記のピーク期間設定信号Tpsによって定まる期間
中は上記のピーク電流設定信号Ipsを電流制御設定信号
Iscとして出力し、続いて上記のピーク立下り期間設定
信号Tdsによって定まる期間中は上記のピーク電流設定
信号Ipsから上記のベース電流設定信号Ibsへと下降す
る電流制御設定信号Iscを出力し、続いて上記のパルス
周期信号TfがLowレベルであるベース期間Tb中は
上記のベース電流設定信号Ibsを電流制御設定信号Isc
として出力する。電流検出回路IDは、溶接電流Iwを
検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅
回路EIは、上記の電流制御設定信号Iscと上記の電流
検出信号Idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号E
iを出力する。上述した動作によって、上記の電流制御
設定信号Iscに相当する溶接電流Iwが通電する。
は、上述した実施の形態1において、アーク特性の微調
整として傾斜微調整係数Ksを設定し、これに応動して
ピーク立上り期間微調整値ΔTu=Ks・Tu0及びピー
ク立下り期間微調整値ΔTd=Ks・Td0を演算し、こ
れらの演算値を上記(2)式に入力してピーク期間修正
値ΔTpを演算して設定するパルスアーク溶接制御方法
である。すなわち、実施の形態1では、アーク特性を調
整するためには、ピーク立上り期間微調整値ΔTu及び
ピーク立下り期間微調整値ΔTdの2つの信号を個別に
調整する必要があり、所望のアーク特性に調整するのに
手間がかかる。これに対して、実施の形態2では、上記
の傾斜微調整係数Ksのみによってアーク特性の調整を
行うことができるので、所望のアーク特性に簡単に調整
することができる。さらに、前述した波形パラメータの
設定1及び設定2からもわかるように、アルミニウム合
金ワイヤではピーク立上り期間を長くしピーク立下り期
間を短く設定する方が溶接品質がよくなり、逆に軟鋼ワ
イヤではピーク立上り期間を短くしピーク立下り期間を
長く設定した方が溶接品質がよくなる。したがって、ピ
ーク立上り期間標準値Tu0とピーク立下り期間標準値T
d0との時間比率Tu0/Td0を略一定値に保ったままで微
調整をする方が溶接品質はさらによくなる。実施の形態
2では、傾斜微調整係数Ksを使用することで、アーク
特性を調整しても上記の時間比率は一定となるので、ア
ーク特性を変化させても溶接品質は常に良好になる。
形態2を適用すると以下のようになる。波形パラメータ
は、Tu0=1.2ms、Td0=0.6ms、Tp0=1.0ms、Ip=2
80A、Ib=30A、Si=559A・msである。ここで、ア
ーク特性をソフトにするために傾斜微調整係数Ks=0.
5が設定されると、ピーク立上り期間微調整値ΔTu=
Ks・Tu0=0.5・1.2ms=0.6msが演算され、ピーク立
下り期間微調整値ΔTd=Ks・Td0=0.5・0.6ms=0.
3msが演算される。そして、上記(2)式によってピー
ク期間修正値ΔTp=−((280+30)/280)・(0.6
+0.3)/2=0.50msとなる。したがって、ピーク立上り
期間Tu=1.2+0.6=1.8ms、ピーク立下り期間Td=
0.6+0.3=0.9ms及びピーク期間Tp=1.0−0.50=0.50
msに修正される。この結果、ユニットパルス電流積分値
Siは、アーク特性の微調整によって変化しないので、
1パルス1溶滴移行する良好な溶接状態が常に維持され
る。
ための溶接電源装置のブロック図である。同図におい
て、前述した図4と同一の回路ブロックには同一符号を
付してそれらの説明は省略する。以下、図4とは異なる
回路ブロックについて、同図を参照して説明する。
性を調整するために微調整されて、傾斜微調整係数設定
信号Ksを出力する。ピーク立上り期間微調整演算回路
CTUは、上記の傾斜微調整係数設定信号Ksを入力と
して、予め定めたピーク立上り期間標準値Tu0・Ksを
演算して、ピーク立上り期間微調整信号ΔTuを出力す
る。ピーク立下り期間微調整演算回路CTDは、上記の
傾斜微調整係数設定信号Ksを入力として、予め定めた
ピーク立下り期間標準値Td0・Ksを演算して、ピーク
立下り期間微調整信号ΔTdを出力する。
は、上述した実施の形態1において、アーク特性の微調
整として傾斜微調整値ΔTを設定し、これに応動してピ
ーク立上り期間微調整値ΔTu=ΔTとして設定し、か
つ予め定めた重み付け係数Wsによってピーク立下り期
間微調整値ΔTd=Ws・ΔTを演算して設定し、これ
らを上記(2)式に入力してピーク期間修正値ΔTpを
演算して設定するパルスアーク溶接制御方法である。す
なわち、実施の形態2と同様に、実施の形態3では、上
記の傾斜微調整値ΔTのみによってアーク特性の調整を
行うことができるので、所望のアーク特性に簡単に調整
することができる。
形態3を適用すると以下のようになる。波形パラメータ
は、Tu0=1.2ms、Td0=0.6ms、Tp0=1.0ms、Ip=2
80A、Ib=30A、Si=559A・msである。ここで、ア
ーク特性をソフトにするために傾斜微調整値ΔT=0.6m
sが設定されると、ピーク立上り期間微調整値ΔTu=
ΔT=0.6msとなり、重み付け係数Ws=0.5とするとピ
ーク立下り期間微調整値ΔTd=Ws・ΔT=0.5・0.6
ms=0.3msが演算される。そして、上記(2)式によっ
てピーク期間修正値ΔTp=−((280+30)/280)・
(0.6+0.3)/2=0.50msとなる。したがって、ピーク
立上り期間Tu=1.2+0.6=1.8ms、ピーク立下り期間
Td=0.6+0.3=0.9ms及びピーク期間Tp=1.0−0.50
=0.50msに修正される。この結果、ユニットパルス電流
積分値Siは、アーク特性の微調整によって変化しない
ので、1パルス1溶滴移行する良好な溶接状態が常に維
持される。
ための溶接電源装置のブロック図である。同図におい
て、前述した図4と同一の回路ブロックには同一符号を
付してそれらの説明は省略する。以下、図4とは異なる
回路ブロックについて、同図を参照して説明する。
を調整するために微調整されて、傾斜微調整設定信号Δ
Tsを出力する。第2のピーク立上り期間微調整演算回
路TU2は、上記の傾斜微調整設定信号ΔTsをピーク
立上り期間微調整信号ΔTuとして出力する。第2のピ
ーク立下り期間微調整演算回路TD2は、上記の傾斜微
調整設定信号ΔTsを入力として、予め定めた重み付け
係数Ws・ΔTsを演算して、ピーク立下り期間微調整
信号ΔTdを出力する。
面を参照して説明する。図7は、前述した図3に対応す
る本発明によるアルミニウム合金のパルスMIG溶接の
ビード外観である。波形パラメータは、図3のときと同
様に、ピーク立上り期間標準値Tu0=1.2ms、ピーク立
下り期間標準値Td0=0.6ms、ピーク期間標準値Tp0=
1.0ms、ピーク電流Ip=280A、ベース電流Ib=30
A、ピーク立上り期間微調整値ΔTu=0.6ms及びピー
ク立下り期間微調整値ΔTd=0.6msである。ピーク期
間Tpは、図3では上記のIp0=1.0msであるが、本発
明では修正されて0.34msとなる。同図から明らかなよう
に、母材2に付着するスパッタ2bは大幅に減少して、
良好なビード2aの外観となっている。
て従来技術と本発明とのスパッタ発生量の比較図であ
る。溶接電流150A、溶接電圧23V、シールドガス=ア
ルゴンガス+炭酸ガス20%、溶接ワイヤ=直径1.2
mmの軟鋼ワイヤ、ピーク立上り期間標準値Tu0=0.4m
s、ピーク立下り期間標準値Td0=1.2ms、ピーク期間標
準値Tp0=1.4ms、ピーク電流Ip=440A、ベース電流
Ib=40A、傾斜微調整係数Ks=0.5の場合であり、
ピーク立上り期間Tu=0.6ms及びピーク立下り期間T
d=1.8msとなる。また、ピーク期間Tpは、従来技術
では上記のTp0=1.4msであるが、本発明では修正され
て0.96msになる。同図から明らかなように、従来技術に
比べて本発明では、スパッタ発生量が大幅に減少してい
る。
るためにピーク立上り期間及びピーク立下り期間を微調
整すると、これに連動してユニットパルス電流積分値が
所定値になるようにピーク期間が修正されるので、常に
1パルス1溶滴移行の状態を維持することができ、良好
な溶接品質を得ることができる。さらに、本発明の実施
の形態2又は3によれば、アーク特性を1つの信号のみ
によって微調整することができるので。所望のアーク特
性に簡単に設定することができる。
図
ロック図
ロック図
ロック図
Claims (4)
- 【請求項1】 溶接ワイヤを送給すると共に、ピーク立
上り期間中はベース電流からピーク電流へと上昇する遷
移電流を通電し続けてピーク期間中は前記ピーク電流を
通電し続けてピーク立下り期間中は前記ピーク電流から
前記ベース電流へと下降する遷移電流を通電し続けてベ
ース期間中は前記ベース電流を通電しこれらの溶接電流
の通電をパルス周期として繰り返して通電するパルスア
ーク溶接制御方法において、 アーク特性の微調整のために前記ピーク立上り期間及び
前記ピーク立下り期間が微調整されると、これに応動し
て前記ピーク立上り期間及び前記ピーク期間及び前記ピ
ーク立下り期間中の溶接電流の時間積分値が前記アーク
特性の微調整によらず常に予め定めた所定値と略等しく
なるように前記ピーク期間を修正して前記パルス周期の
通電を繰り返すことを特徴とするパルスアーク溶接制御
方法。 - 【請求項2】 溶接ワイヤを送給すると共に、ピーク立
上り期間Tu中はベース電流Ibからピーク電流Ipへ
と上昇する遷移電流を通電し続けてピーク期間Tp中は
前記ピーク電流Ipを通電し続けてピーク立下り期間T
d中は前記ピーク電流Ipから前記ベース電流Ibへと
下降する遷移電流を通電し続けてベース期間中は前記ベ
ース電流Ibを通電しこれらの溶接電流の通電をパルス
周期として繰り返して通電するパルスアーク溶接制御方
法において、 アーク特性の微調整のために前記ピーク立上り期間の微
調整値ΔTu及び前記ピーク立下り期間の微調整値ΔT
dが設定されると、これに応動して前記ピーク立上り期
間をTu+ΔTuに修正しかつ前記ピーク立下り期間を
Td+ΔTdに修正しかつ前記ピーク期間をTp−
((Ip+Ib)/Ip)・(ΔTu+ΔTd)/2に
修正して前記パルス周期の通電を繰り返すことを特徴と
するパルスアーク溶接制御方法。 - 【請求項3】 アーク特性の微調整のために傾斜微調整
係数Ksが設定されると、これに応動してピーク立上り
期間の微調整値ΔTu=Ks・Tu及びピーク立下り期
間の微調整値ΔTd=Ks・Tdを演算して設定するこ
とを特徴とする請求項2記載のパルスアーク溶接制御方
法。 - 【請求項4】 アーク特性の微調整のために傾斜微調整
値ΔTが設定されると、これに応動してピーク立上り期
間の微調整値ΔTu=ΔTとして設定しかつ予め定めた
重み付け係数Wsによってピーク立下り期間の微調整値
ΔTd=Ws・ΔTを演算して設定することを特徴とす
る請求項2記載のパルスアーク溶接制御方法。
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