JP5154872B2 - パルスアーク溶接の出力制御方法 - Google Patents

パルスアーク溶接の出力制御方法 Download PDF

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本発明は、所望の傾きを有する溶接電源の外部特性を形成することができる消耗電極パルスアーク溶接の出力制御方法の改善に関するものである。
消耗電極パルスアーク溶接では、美しいビード外観、均一な溶込み深さ等の溶接品質を良好にするために、溶接中のアーク長を適正値に維持することが極めて重要である。一般的に、アーク長は溶接ワイヤの送給速度とアーク入熱による溶融速度とのバランスによって決まる。したがって、溶接電流の平均値に略比例する溶融速度が送給速度と等しくなるとアーク長は常に一定となる。しかし、送給モータの回転速度の変動、溶接トーチケーブルの引き回しによる送給経路の摩擦力の変動等によって、溶接中の送給速度が変動する。このために、溶融速度とのバランスが崩れてアーク長が変化することになる。さらには、溶接作業者の手振れ等による給電チップ・母材間距離の変動、溶融池の不規則な振動等によっても、アーク長は変動する。したがって、これらの種々の変動要因(以下、外乱という)によるアーク長の変動を抑制するためには、外乱に応じて常に溶融速度を調整してアーク長の変化を抑制するアーク長制御が必要となる。
消耗電極パルスアーク溶接を含む消耗電極ガスシールドアーク溶接において、上述した種々の外乱に起因するアーク長の変動を抑制する方法として、溶接電源の外部特性を所望値に出力制御する方法が慣用されている。この外部特性の例を図5に示す。同図の横軸は溶接ワイヤを通電する溶接電流の平均値Iwであり、縦軸は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧の平均値Vwである。特性L1は、傾きKs=0V/Aの完全な定電圧特性の場合である。また、特性L2は、傾きKs=−0.1V/Aと右下がりの傾きを有する定電圧特性の場合である。外部特性は直線として表わすことができるので、溶接電流基準値Isと溶接電圧基準値Vsとの交点P0を通り傾きがKsである外部特性は下式で表わされる。
Vw=Ks・(Iw−Is)+Vs ……(1)式
ところで、溶接電源の外部特性の傾きKsによってアーク長制御の安定性(自己制御作用と呼ばれる)が大きく影響されることが従来から知られている。すなわち、外乱に対してアーク長を安定化するためには、溶接法を含む溶接条件に応じて外部特性の傾きKsを適正値に制御する必要がある。例えば、傾きKsの適正値は、炭酸ガスアーク溶接法では0〜−0.03V/A程度の範囲であり、パルスアーク溶接法では−0.05〜−0.3V/A程度の範囲である。したがって、本発明の対象であるパルスアーク溶接法においては、アーク長制御を安定化するためには、同図に示す特性L1ではなく−0.05〜−0.3V/A程度の範囲内で予め定めた傾きKsを有する特性L2等を形成する必要がある。ところで、傾きを変化させることはアーク長制御系のゲインを変化させることになる。したがって、パルスアーク溶接法では炭酸ガスアーク溶接法に比べてゲインを小さくしないとアーク安定性が悪くなる。他方、ゲインをあまり小さくすると過渡応答が悪くなる。このために、定常のアーク安定性及び過渡応答性を考量して傾きの適正値の設定を行う必要がある。以下、パルスアーク溶接において所望の傾きKsを有する外部特性を形成する従来技術について説明する。
図6は、パルスアーク溶接の電流・電圧波形図である。同図(A)は溶接電流(瞬時値)ioの波形を示し、同図(B)は溶接電圧(瞬時値)voの波形を示す。以下,同図を参照して説明する。
(1)時刻t1〜t2のピーク期間Tp
予め定めたピーク期間Tp中は、同図(A)に示すように、溶接ワイヤを溶滴移行させるために大電流値の予め定めたピーク電流Ipを通電し、同図(B)に示すように、この期間中のアーク長に略比例したピーク電圧Vpが溶接ワイヤ・母材間に印加する。
(2)時刻t2〜t3のベース期間Tb
後述する溶接電源の出力制御によって定まるベース期間Tb中は、同図(A)に示すように、溶接ワイヤ先端の溶滴を成長させないために小電流値の予め定めたベース電流Ibを通電し、同図(B)に示すように、この期間中のアーク長に略比例したベース電圧Vbが印加する。
上記のピーク期間Tp及びベース期間Tbからなる時刻t1〜t3の期間を1パルス周期Tpbとして繰り返して溶接を行う。同図(A)に示すように、このパルス周期Tpbごとの溶接電流の平均値がIwとなり、同様に同図(B)に示すように、このパルス周期Tpbごとの溶接電圧の平均値がVwとなる。溶接電源の外部特性を形成するための出力制御は、パルス周期Tpbの時間長さを操作量としてフィードバック制御することで行われる。すなわち、ピーク期間Tpを一定値としてパルス周期Tpbを増減させることによって出力制御を行う。
図7に示すように、時刻t(n)〜t(n+1)の第n回目のパルス周期Tpb(n)の溶接電流平均値がIw(n)となり、溶接電圧平均値がVw(n)となる。上述した図5において、これらIw(n)とVw(n)との交点(動作点)P1が、設定された特性L2上に乗るように出力制御される。以下、所望の傾きKsを有する外部特性を形成するための溶接電源の出力制御方法について説明する。
図6で上述したパルスアーク溶接の波形図を参照して、従来技術の外部特性形成方法を説明する。形成すべき目標の外部特性は、上述した(1)式の外部特性である。第n回目のパルス周期Tpb(n)における溶接電流平均値Iw及び溶接電圧平均値Vwは下式で表わすことができる。
Iw=(1/Tpb(n))・∫io・dt ……(2)式
Vw=(1/Tpb(n))・∫vo・dt ……(3)式
但し、積分は第n回目のパルス周期Tpb(n)の間行う。
これら(2)式及び(3)式を上記の(1)式に代入して整理すると下式となる。
∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dt=0 ……(4)式
但し、積分は第n回目のパルス周期Tpb(n)の間行い、上述したように、Ksは外部特性の傾きであり、Isは溶接電流基準値であり、Vsは溶接電圧基準値である。
したがって、第n回目のパルス周期Tpb(n)が終了した時点においては上記(4)式が成立することになる。ここで、上記(4)式の左辺を積分値Svbとして定義すると下式となる。
Svb=∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dt ……(5)式
第n回目のパルス周期Tpb(n)が開始した時点から上記(5)式の積分値Svbの演算を開始する。第n回目の予め定めたピーク期間が終了して第n回目のベース期間中に上記の積分値Svb=0(又はSvb≧0)となった時点で第n回目のパルス周期Tpb(n)を終了する。この動作を繰り返すことによって、上記(1)式の外部特性を形成することができる。
上述した従来技術の外部特性形成方法を以下に整理して記載する。
(1)傾きKs、溶接電流基準値Is及び溶接電圧基準値Vsによって目標の溶接電源の外部特性を予め設定する。
(2)溶接中の溶接電圧vo及び溶接電流ioを検出する。
(3)第n回目のパルス周期Tpb(n)の開始時点から積分値Svb=∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dtの演算を開始する。
(4)第n回目の予め定めたピーク期間Tpに続く第n回目のベース期間Tb中の上記積分値Svbが零以上(Svb≧0)になった時点で第n回目のパルス周期Tpb(n)を終了する。
(5)続けて第n+1回目のパルス周期Tpb(n+1)を開始して、上記(3)〜(4)の動作を繰り返し行うことによって、所望の外部特性を形成する。
図8は、上述した外部特性形成方法を搭載した溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御、サイリスタ制御等の出力制御を行い、アーク溶接に適した溶接電流io及び溶接電圧voを出力する。溶接ワイヤ1はワイヤ送給装置の送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を通って送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流ioを検出して、電流検出信号idを出力する。電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧voを検出して、電圧検出信号vdを出力する。溶接電圧基準値設定回路VSは、予め定めた溶接電圧基準値信号Vsを出力する。溶接電流基準値設定回路ISは、予め定めた溶接電流基準値信号Isを出力する。傾き設定回路KSは、予め定めた傾き設定信号Ksを出力する。積分値演算回路SVBは、電流検出信号id、電圧検出信号vd、溶接電圧基準値信号Vs、溶接電流基準値信号Is及び傾き設定信号Ksを入力として、各パルス周期の開始時点から上記(5)式によって積分演算を行い積分値信号Svbを出力する。比較回路CMは、この積分値信号Svbの値が零以上になった時点で短時間Highレベルになる比較信号Cmを出力する。この比較信号Cmの周期がパルス周期となる。タイマ回路MMは、上記の比較信号CmがHighレベルに変化した時点から予め定めたピーク期間設定値Tpsによって定まる期間だけHighレベルとなるタイマ信号Mmを出力する。このタイマ信号MmがHighレベルのときがピーク期間となり、Lowレベルのときがベース期間となる。
ピーク電流設定回路IPSは、予め定めたピーク電流設定信号Ipsを出力する。ベース電流設定回路IBSは、予め定めたベース電流設定信号Ibsを出力する。切換回路SWは、上記のタイマ信号MmがHighレベルのときはa側に切り換わり上記のピーク電流設定信号Ipsを電流制御設定信号Icsとして出力し、Lowレベルのときはb側に切り換わり上記のベース電流設定信号Ibsを電流制御設定信号Icsとして出力する。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icsと上記の電流検出信号idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。これらのブロックによって、図6で上述したような溶接電流ioが通電する。
特開2002−361417号公報 特開2005−118872号公報
上述したように、パルスアーク溶接のアーク長制御では、炭酸ガスアーク溶接等の直流アーク溶接に比べて外部特性の傾きKsを大きく(右下りの傾きを大きく)する必要がある。この理由は、傾きKsを大きくしないと定常溶接状態でのアーク安定性が悪くなるためである。しかし、上述したように、傾きを大きくするとアーク長制御系のゲインを小さくすることになるために、過渡応答性が悪くなる。種々の外乱によってアーク長が通常範囲で変動するような場合には過渡応答性が少し遅いことはアーク安定性にあまり影響がない。しかしながら、アーク長が大きく変動した場合には、過渡応答性が遅いために、アーク長が適正値に戻るのに時間がかかり、その期間中の溶接品質が悪くなることがあった。高速溶接、姿勢溶接、ミグパルス溶接等では、もともとアーク長が変動しやすく、ときたまアーク長が大きく変動することがある。したがって、このような溶接では、定常溶接状態の安定化と共に過渡応答性に優れたパルスアーク溶接が要望されていた。
そこで、本発明では、アーク長が大きく変動したときの過渡応答性に優れたパルスアーク溶接の出力制御方法を提供する。
第1の発明は、傾き及び溶接電流基準値及び溶接電圧基準値によって設定された溶接電源の外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法において、
溶接中の溶接電流平均値を検出し、この溶接電流平均値と前記溶接電流基準値との偏差を算出し、この偏差が予め定めた電流偏差基準値以上のときは前記傾きを小さくなるように変化させて外部特性を形成する、ことを特徴とするパルスアーク溶接の出力制御方法である。

本発明によれば、アーク長の変動が小さいときは傾きの大きな通常の外部特性を形成して定常のアーク安定性を確保し、アーク長の変動が大きいときは傾きの小さな外部特性を形成して過渡応答性を速くする。このために、アーク長が大きく変動したときでもアーク長は適正範囲に速やかに復帰するので、溶接品質が向上する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において上述した図8と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図8とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
溶接電圧平均値検出回路VAは、電圧検出信号vdを数パルス周期〜数十パルス周期の時定数で平滑して、溶接電圧平均値信号Vaを出力する。偏差算出回路DVは、この溶接電圧平均値信号Vaと溶接電圧基準値信号Vsとの偏差を算出して、偏差信号ΔV=|Va−Vs|を出力する。第1傾き設定回路KS1はアーク長が通常範囲で変動しているときの外部特性の傾きを設定するための第1傾き設定信号Ks1を出力する。第2傾き設定回路KS2は、アーク長が大きく変動したときの外部特性の傾きを設定するための第2傾き設定信号Ks2を出力する。傾き制御設定回路KSCは、上記の偏差信号ΔVと予め定めた基準値ΔVtとを比較して、ΔV<ΔVtのときは上記の第1傾き設定信号Ks1を傾き設定信号Ksとして出力し、ΔV≧ΔVtのときは上記の第2傾き設定信号Ks2を傾き設定信号Ksとして出力する。
溶接電圧平均値信号Vaの値はアーク長に略比例し、溶接電圧基準値信号Vsは適正アーク長を設定する。したがって、偏差信号ΔVの値は、アーク長の変動の大きさを示している。そこで、偏差信号ΔVの値が予め定めた基準値未満(ΔV<ΔVt)のときは通常の傾き(第1傾きKs1)の第1外部特性L1を形成し、偏差信号ΔVの値が基準値以上(ΔV≧ΔVt)のときは傾きが通常よりも小さい(第2傾きKs2)の第2外部特性L2を形成する。図2にこれら第1外部特性L1及び第2外部特性L2の例を示す。第1外部特性L1は、第1傾きKs1、溶接電圧平均値Vs及び溶接電流基準値Isによって設定され、第2外部特性L2は第2傾き、溶接電圧平均値Vs及び溶接電流基準値Isによって設定される。|Ks1|>|Ks2|である。アーク長が大きく変動したときは第2外部特性が形成されるので、アーク長制御系のゲインが大きくなり、過渡応答性が速くなる。アーク長の変動が小さいときは第1外部特性が形成されるので、アーク安定性は良好である。以下、第1傾きKs1及び第2傾きKs2の数値例を示す。
(1)例1
溶接ワイヤ:直径1.2mm、アルミニウム合金
基準値ΔVt=1V
第1傾きKs1=−0.20V/A
第2傾きKs2=−0.15V/A
溶接法:ミグパルス溶接
(2)例2
溶接ワイヤ:直径1.2mm、軟鋼
基準値ΔVt=3V
第1傾きKs1=−0.10V/A
第2傾きKs2=−0.05V/A
溶接法:マグパルス溶接
例1に示すミグパルス溶接の基準値ΔVtの方が例2に示すマグパルス溶接の基準値ΔVtよりも小さいのは、アーク長に対する溶接電圧平均値Vaが異なるためである。
図3は、本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接の出力制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接電圧平均値信号Vaの時間変化を示し、同図(B)は傾き設定信号Ksの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
時刻t1以前の期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧平均値信号Vaの値と溶接電圧基準値信号Vsの値との偏差が基準値ΔVt未満の範囲にあるために、同図(B)に示すように、傾き設定信号Ksの値は第1傾き設定信号Ks1の値になる。この期間中は傾きの大きな通常の外部特性が形成されるので、定常のアーク安定性が良好になる。
時刻t1〜t2の期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧平均値信号Vaの値と溶接電圧基準値信号Vsの値との偏差が基準値ΔVt以上になるために、同図(B)に示すように、傾き設定信号Ksの値は第2傾き設定信号Ks2の値になる。この期間中はアーク長が大きく変動しているので、外部特性の傾きを小さくして過渡応答性を速くしている。この結果、アーク長は速やかに適正値に復帰する。
そして時刻t2において偏差が基準値ΔVt未満に戻ると、傾き設定信号Ksの値は第1傾き設定信号Ks1の値になる。
上記においては偏差が基準値以上になったときに第2外部特性に切り換える場合について説明した。しかし、偏差が基準値以上になったときは、その偏差に応じて複数の外部特(第2、第3…第nの外部特性)に順次切り換えても良い。また、上記の基準値ΔVtは、溶接ワイヤの種類、シールドガスの種類又はワイヤ送給速度の少なくとも1つ以上に応じて適正値に変化させる。本発明は、消耗電極パルスアーク溶接法に広く適用することができるので、当然に消耗電極交流パルスアーク溶接法にも適用可能である。
上述した実施の形態によれば、アーク長の変動が小さいときは傾きの大きな通常の外部特性を形成して定常のアーク安定性を確保し、アーク長の変動が大きいときは傾きの小さな外部特性を形成して過渡応答性を速くする。このために、アーク長が大きく変動したときでもアーク長は適正範囲に速やかに復帰するので、溶接品質が向上する。
[実施の形態2]
図4は、上述した図1とは別の実施の形態2に係るパルスアーク溶接の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において上述した図8及び図1と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図8及び図1とは異なる点線で示すブロックについて説明する。
溶接電流平均値検出回路IAは、電流検出信号idを数パルス周期〜数十パルス周期の時定数で平滑して、溶接電流平均値信号Iaを出力する。電流偏差算出回路DIは、この溶接電流平均値信号Iaと溶接電流基準値信号Isとの偏差を算出して、電流偏差信号ΔI=|Ia−Is|を出力する。第2傾き制御設定回路KSC2は、上記の電流偏差信号ΔIと予め定めた電流偏差基準値ΔItとを比較して、ΔI<ΔItのときは第1傾き設定信号Ks1を傾き設定信号Ksとして出力し、ΔI≧ΔItのときは第2傾き設定信号Ks2を傾き設定信号Ksとして出力する。
溶接電流平均値信号Iaの値が溶接電流基準値信号Isと略等しいときはアーク長は定常状態にある。アーク長の変動の大きさに略比例して、溶接電流平均値信号Iaと溶接電流基準値信号Isとの電流偏差信号ΔIの値が大きくなる。そこで、電流偏差信号ΔIの値が予め定めた電流偏差基準値未満(ΔI<ΔIt)のときは通常の傾き(第1傾きKs1)の第1外部特性L1を形成し、電流偏差信号ΔIの値が電流偏差基準値以上(ΔI≧ΔIt)のときは傾きが通常よりも小さい(第2傾きKs2)の第2外部特性L2を形成する。外部特性L1、L2については図2で上述している。また、上述した図3の動作説明も略同様である。
上述した実施の形態2によれば、アーク長の変動が小さいときは傾きの大きな通常の外部特性を形成して定常のアーク安定性を確保し、アーク長の変動が大きいときは傾きの小さな外部特性を形成して過渡応答性を速くする。このために、アーク長が大きく変動したときでもアーク長は適正範囲に速やかに復帰するので、溶接品質が向上する。
本発明の実施の形態に係る溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態に係る第1の外部特性L1及び第2の外部特性L2を例示する図である。 本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接の出力制御方法を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。 従来技術のパルスアーク溶接における外部特性を例示する図である。 従来技術のパルスアーク溶接における電流・電圧波形図である。 従来技術のパルスアーク溶接における出力制御方法を示す電流・電圧波形図である。 従来技術のパルスアーク溶接電源のブロック図である。
符号の説明
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 比較回路
Cm 比較信号
DV 偏差算出回路
DI 電流偏差算出回路
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
IA 溶接電流平均値検出回路
Ia 溶接電流平均値(信号)
Ib ベース電流
IBS ベース電流設定回路
Ibs ベース電流設定信号
Ics 電流制御設定信号
ID 電流検出回路
id 電流検出信号
io 溶接電流
Ip ピーク電流
IPS ピーク電流設定回路
Ips ピーク電流設定信号
IS 溶接電流基準値設定回路
Is 溶接電流基準値(信号)
Iw 溶接電流平均値
KS 傾き設定回路
Ks 傾き設定信号
KS1 第1傾き設定回路
Ks1 第1傾き設定信号
KS2 第2傾き設定回路
Ks2 第2傾き設定信号
KSC 傾き制御設定回路
KSC2 第2傾き制御設定回路
L1 第1外部特性
L2 第2外部特性
MM タイマ回路
Mm タイマ信号
PM 電源主回路
SVB 積分値演算回路
Svb 積分値(信号)
SW 切換回路
Tb ベース期間
Tp ピーク期間
Tpb パルス周期
Tps ピーク期間設定値
VA 溶接電圧平均値検出回路
Va 溶接電圧平均値(信号)
Vb ベース電圧
VD 電圧検出回路
vd 電圧検出信号
vo 溶接電圧
Vp ピーク電圧
VS 溶接電圧基準値設定回路
Vs 溶接電圧基準値(信号)
Vw 溶接電圧平均値
ΔI 電流偏差(信号)
ΔIt 電流偏差基準値
ΔV 偏差(信号)
ΔVt 基準値

Claims (1)

  1. 傾き及び溶接電流基準値及び溶接電圧基準値によって設定された溶接電源の外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法において、
    溶接中の溶接電流平均値を検出し、この溶接電流平均値と前記溶接電流基準値との偏差を算出し、この偏差が予め定めた電流偏差基準値以上のときは前記傾きを小さくなるように変化させて外部特性を形成する、ことを特徴とするパルスアーク溶接の出力制御方法。
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