JP5511462B2 - プラズマミグ溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1つの溶接トーチを用いてミグアークとプラズマアークとを同時に発生させて溶接を行うプラズマミグ溶接方法に関するものである。
従来から、プラズマ溶接方法とミグ溶接方法とを組み合わせたプラズマミグ溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このプラズマミグ溶接方法においては、溶接トーチ内に配置されたプラズマ電極と母材との間にプラズマ溶接電流を通電することによってプラズマアークを発生させる。同時に、プラズマ電極を中空形状とし、上記のプラズマ電極内に配置された給電チップを介して給電される溶接ワイヤを上記の中空形状内を通って送給し、溶接ワイヤと母材との間にミグ溶接電流を通電することによってミグアークを発生させる。したがって、ミグアークはプラズマアークに包まれた状態となっている。溶接ワイヤは、ミグアークを発生させる電極として機能すると共に、その先端が溶融することにより溶滴となって母材の接合を補助する。したがって、プラズマミグ溶接方法は、厚板の高効率溶接、薄板の高速溶接等に使用されることが多い。
上記のミグ溶接電流は、スパッタの発生を抑制し、かつ、溶滴を安定して供給するために、一般的に直流のパルス波形が使用されることが多い。したがって、ミグ溶接方法は、一般的なミグパルス溶接方法である。ミグパルス溶接方法を含む消耗電極式アーク溶接方法では、溶接中のアーク長を適正値に維持することが重要であるために、アーク長制御が行われる。上記のプラズマ溶接電流には、直流又は直流パルス波形が使用される。これ以降の説明において、単にアーク長と記載したときはミグアークのアーク長を意味している。以下、上述したプラズマミグ溶接方法について説明する。
図10は、従来技術におけるプラズマミグ溶接方法を示す波形図である。同図(A)はミグ溶接電流Iwmを示し、同図(B)はミグ溶接電圧Vwmを示し、同図(C)はプラズマ溶接電流Iwpを示し、同図(D)はプラズマ溶接電圧Vwpを示す。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、ピーク期間Tp中のピーク電流Ip及びベース期間Tb中のベース電流Ibから成るミグ溶接電流Iwmが通電する。このピーク期間Tpとベース期間Tbとを合わせてパルス周期Tfになる。そして、このミグ溶接電流Iwmの通電に対応して、同図(B)に示すように、ピーク期間Tp中はピーク電圧Vpが溶接ワイヤと母材との間に印加し、ベース期間Tb中はベース電圧Vbが印加する。
ミグパルス溶接では、良好な溶接品質を得るためにアーク長を適正値に維持するアーク長制御が行われる。通常、このアーク長制御は、ミグ溶接電圧Vwmがアーク長と略比例関係にあることを利用して、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が予め定めた電圧設定値と等しくなるようにパルス周期が制御される。ミグ溶接電圧Vwmの平均値は、ミグ溶接電圧Vwmをローパスフィルタに通すことによって生成される。このアーク長制御の方式は、周波数変調方式と呼ばれる。この場合、ピーク期間Tp、ピーク電流Ip及びベース電流Ibは所定値に設定され、パルスパラメータとなる。ピーク電流Ipは臨界値以上に設定され、ピーク期間Tpと組み合わせてユニットパルス条件と呼ばれる。このユニットパルス条件は、1パルス周期1溶滴移行になるように設定される。ベース電流Ibは、臨界値未満の数十A程度の小電流値に設定される。ユニットパルス条件及びベース電流Ibは、溶接ワイヤの材質、直径、送給速度等に応じて適正値に設定される。
他方、同図(C)に示すように、プラズマ溶接電流Iwpは、定電流制御されており、予め定めた一定値の直流波形となる。また、同図(D)に示すように、プラズマ溶接電圧Vwpがプラズマ電極と母材との間に印加する。したがって、プラズマアークは、一定値のプラズマ溶接電流Iwpの通電によって発生している。
特開2008−229641号公報
プラズマミグ溶接では、1つの溶接トーチと母材との間にミグアークとプラズマアークの2つのアークが同時に発生している。そして、ミグアークは、プラズマアークに包まれた状態で発生している。このために、ミグアークの溶接ワイヤは、プラズマアークから熱を受けることになる。溶接トーチ先端と母材との距離(トーチ高さ)は、母材の厚さ、継手形状、作業性等に応じて適正値に設定される。したがって、トーチ高さは、溶接個所ごとに又は溶接中においても変化する場合がある。このトーチ高さが変化すると、プラズマ電極先端と母材との距離及び給電チップ先端と母材との距離が変化するために、溶接ワイヤがプラズマアークから熱を受ける部分の長さである熱受容長が変化することになる。この熱受容長が変化すると、プラズマアークから溶接ワイヤへの熱量が変化して予熱状態が変化するので、溶接ワイヤの突出し部の温度上昇が変化することになる。この結果、溶滴移行状態が変化することになり、1パルス周期1溶滴移行状態から外れて不安定な状態になる場合も生じることになる。
そこで、本発明では、溶接ワイヤがプラズマアークから熱を受ける部分の長さである熱受容長が変化しても安定した溶滴移行状態を維持することができるプラズマミグ溶接方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接トーチ内に配置されたプラズマ電極と母材との間にプラズマ溶接電圧を印加してプラズマ溶接電流を通電することによってプラズマアークを発生させると共に、前記プラズマ電極を中空形状とし、前記プラズマ電極内に配置された給電チップを介して給電される溶接ワイヤを前記中空形状内を通って送給し、前記給電チップと母材との間にミグ溶接電圧を印加してピーク期間中のピーク電流及びベース期間中のベース電流を1パルス周期とするミグ溶接電流を通電することによってミグアークを発生させるプラズマミグ溶接方法において、
前記溶接ワイヤが前記プラズマアークから熱を受ける部分の長さである熱受容長を検出し、前記ピーク期間及び/又は前記ピーク電流を前記熱受容長に応じて自動的に変化させる、
ことを特徴とするプラズマミグ溶接方法である。

請求項2の発明は、前記熱受容長が、前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離である、
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法である。
請求項3の発明は、前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離を、前記プラズマ溶接電流及び前記プラズマ溶接電圧を入力とする予め定めた関数によって算出する、
ことを特徴とする請求項2記載のプラズマミグ溶接方法である。
請求項4の発明は、前記熱受容長が、前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離から前記ミグアークのアーク長を減算した値である、
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法である。
請求項5の発明は、前記アーク長を、溶接ワイヤの送給速度及び前記ミグ溶接電圧の平均値を入力とする予め定めた関数によって算出する、
ことを特徴とする請求項4記載のプラズマミグ溶接方法である。
本発明によれば、溶接ワイヤの熱受容長に応じてミグ溶接電流におけるピーク期間及び/又はピーク電流を変化させることによって、熱受容長の変化に伴う溶接ワイヤの予熱状態の変化を補償することができる。このために、トーチ高さ等が変化して溶接ワイヤの熱受容長が変化しても、1パルス周期1溶滴移行状態を維持することができるので、溶接状態は常に安定となる。
さらに、請求項4及び請求項5の発明によれば、熱受容長を、プラズマ電極先端と母材との距離からミグアークのアーク長を減算した値として算出する。このために、ミグアークのアーク長が変化しても、熱受容長を正確に算出することができる。この結果、熱受容長の変化に伴う溶接ワイヤの予熱状態の変化をより高精度に補償することができる。
本発明の実施の形態1に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。 プラズマ溶接電流Iwpが50Aであるときの熱受容長Lhとピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。 プラズマ溶接電流Iwpが100Aであるときの熱受容長Lhとピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。 プラズマ溶接電流Iwpが150Aであるときの熱受容長Lhとピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。 プラズマアークのアーク特性を示す図である。 図1の溶接装置を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。 図1の溶接装置を構成するプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るミグアークのアーク特性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接装置を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。 従来技術におけるプラズマミグ溶接方法を示す波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して、各構成物について説明する。
本溶接装置は、破線で囲まれた溶接トーチWT、ミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPを備えている。溶接トーチWTは、シールドガスノズル52内に、プラズマノズル51、プラズマ電極1b及び給電チップ4が同心軸上に配置された構造となっている。シールドガスノズル52とプラズマノズル51との隙間からは、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のシールドガス63が供給される。プラズマノズル51とプラズマ電極1bとの間には、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のプラズマガス62が供給される。プラズマ電極1bと給電チップ4との間には、たとえばアルゴンガス、アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガス等のセンターガス61が供給される。
プラズマ電極1bは、中空形状に形成されている。給電チップ4は、このプラズマ電極1bの中空形状内に絶縁されて配置されている。そして、この給電チップ4に設けられた貫通孔からは、溶接ワイヤ1aが送給される。給電チップ4は、溶接ワイヤ1aに対して導通している。しかし、溶接ワイヤ1aは、プラズマ電極1bとは絶縁されている。溶接ワイヤ1aは、送給モータWMを駆動源とする送給ロール7の回転によって送給される。プラズマ電極1bは、たとえば銅又は銅合金からなり、図外の経路を通る冷却水によって間接的に水冷されている。プラズマノズル51は、たとえば銅又は銅合金からなり、冷却水を通す流路が形成されていることにより、直接冷却されている。溶接トーチWTは、通常ロボット(図示は省略)によって保持された状態で、母材2に対して移動させられる。溶接ワイヤ1aの先端と母材2との間には、ミグアーク3aが発生する。プラズマ電極1bと母材2との間には、プラズマガス62によって熱的に拘束されたプラズマアーク3bが発生する。したがって、ミグアーク3aは、プラズマアーク3bに包まれた状態になっている。このために、プラズマアーク3bは、ミグアーク3aの形状が広がるのを拘束する作用がある。
同図に示すように、プラズマ電極1bの先端と母材2との距離がLp(mm)となり、給電チップ4の先端と母材2との距離がLw(mm)となり、ミグアーク3aのアーク長がLa(mm)となる。Lp<Lwであり、La<Lpである。したがって、プラズマアーク3bのアーク長は上記のLp(mm)となる。また、溶接ワイヤ1aの突出し長Lx=Lw−Laとなる。同図に示すように、溶接ワイヤ1aの突出し部の一部はプラズマアーク3bに包まれているために、熱を受けて温度が上昇する。この作用を予熱作用と呼ぶことにする。また、溶接ワイヤ1aがプラズマアーク3bから熱を受ける部分の長さを、熱受容長Lhと呼ぶことにする。熱受容長Lhは、正確にはLh=Lp−La(実施の形態2の場合)となる。簡略化する場合には、熱受容長Lh=Lp(実施の形態1の場合)と見なすことができる。溶接ワイヤ1aがプラズマアーク3bから受ける熱量は、プラズマ溶接電流Iwp及び熱受容長Lhによって変化することになる。プラズマ溶接電流Iwpが同一値であっても、熱受容長Lhが変化すると熱量は変化することになる。ここで、トーチ高さを上記のプラズマ電極1bの先端と母材2との距離Lpと定義すると、トーチ高さが変化すると上記の給電チップ4の先端と母材との距離Lwも変化する。すなわち、トーチ高さが変化すると、熱受容長Lhが変化することになる。この結果、溶接ワイヤ1aの突出し部の温度が変化することになり、溶滴移行状態が影響を受けて不安定になる場合が生じる。これを防止するために、本実施の形態では、熱受容長Lhの変化に応じて、図2〜図4で後述するように、ユニットパルス条件(ピーク期間Tp及びピーク電流Ip)を適正値に変化させている。このようにすることによって、トーチ高さが変化して熱受容長Lhが変化しても、安定した溶滴移行状態を維持することができる。
ミグ溶接電源PSMは、給電チップ4を介して溶接ワイヤ1aと母材2との間に、ミグ溶接電圧Vwmを印加することにより、ミグ溶接電流Iwmを通電するための電源である。ミグ溶接電源PSMからは、送給モータWMに対して送給制御信号Fcが送られ、溶接ワイヤ1aの送給速度が制御される。ミグ溶接電源PSMからミグ溶接電圧Vwmが印加されるときは、溶接ワイヤ1aが+側とされる。ミグ溶接電源PSMは、定電圧特性の電源であり、ミグ溶接電圧Vwmが予め定めた電圧設定信号Vr(図示は省略)の値と等しくなるように制御される。また、ミグ溶接電流Iwmは、溶接ワイヤ1aの送給速度によってその値が定まる。
プラズマ溶接電源PSPは、プラズマ電極1bと母材2との間にプラズマ溶接電圧Vwpを印加することによりプラズマ溶接電流Iwpを通電するための電源である。プラズマ溶接電源PSPからプラズマ溶接電圧Vwpが印加されるときは、プラズマ電極1bが+側とされる。プラズマ溶接電源PSPは、定電流特性の電源であり、プラズマ溶接電流Iwpが所定値になるように制御される。
プラズマ溶接電流設定回路IWPRは、予め定めたプラズマ溶接電流設定信号Iwprをミグ溶接電源PSM及びプラズマ溶接電源PSPに出力する。このプラズマ溶接電流設定信号Iwprは、上記のプラズマ溶接電流Iwpを設定するための信号である。プラズマ溶接電流設定回路IWPRは、ロボット溶接にあってはロボット制御装置内に設けられている。
ミグ溶接電流Iwm、ミグ溶接電圧Vwm、プラズマ溶接電流Iwp及びプラズマ溶接電圧Vwpの波形図は、上述した図10と同一である。上述したように、本実施の形態では、ユニットパルス条件であるピーク期間Tp及びピーク電流Ipが溶接ワイヤ1aの熱受容長Lhによって変化する。この点が従来技術とは異なっている。以下、この点について説明する。
図2は、熱受容長Lhとユニットパルス条件であるピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。同図の横軸は、熱受容長Lh(mm)を示し、実用上使用されることが多い15〜25mmの範囲を示している。縦軸は、ピーク期間Tp(ms)及びピーク電流Ip(A)を示している。同図において、実線はピーク期間Tpの変化を示し、破線はピーク電流Ipの変化を示す。同図は、プラズマ溶接電流値Iwp=50Aの場合である。溶接ワイヤには直径1.2mmのアルミニウム合金ワイヤを使用し、送給速度=9m/minの場合である。ベース電流Ibは30Aで一定値となっている。
同図に示すように、熱受容長Lh=15mmのとき、ピーク期間Tp=1.0ms及びピーク電流Ip=340Aに設定されている。熱受容長Lhが長くなるのに伴い、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipは共に小さくなる。これは、熱受容長Lhが長くなるほど、溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が大きくなるので、ユニットパルス条件を小さくすることによって、1パルス周期1溶滴移行状態を維持することができるためである。そして、熱受容長Lh=20mmとなると、ピーク期間Tp=0.8ms及びピーク電流Ip=330Aに設定される。熱受容長Lh=25mmになると、ピーク期間Tp=0.6ms及びピーク電流Ip=320Aとなる。
図3は、プラズマ溶接電流値Iwp=100Aであるときの熱受容長Lhとユニットパルス条件であるピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。同図の横軸は、熱受容長Lh(mm)を示し、実用上使用されることが多い15〜25mmの範囲を示している。縦軸は、ピーク期間Tp(ms)及びピーク電流Ip(A)を示している。同図において、実線はピーク期間Tpの変化を示し、破線はピーク電流Ipの変化を示す。同図は、上述した図2に対応しており、プラズマ溶接電流値Iwp以外の溶接条件は同一である。
同図に示すように、熱受容長Lh=15mmのとき、ピーク期間Tp=1.0ms及びピーク電流Ip=310Aに設定されている。熱受容長Lhが長くなるのに伴い、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipは共に小さくなる。これは、熱受容長Lhが長くなるほど、溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が大きくなるので、ユニットパルス条件を小さくすることによって、1パルス周期1溶滴移行状態を維持することができるためである。そして、熱受容長Lh=20mmとなると、ピーク期間Tp=0.8ms及びピーク電流Ip=300Aに設定される。熱受容長Lh=25mmになると、ピーク期間Tp=0.6ms及びピーク電流Ip=290Aとなる。また、同図と上述した図2とを比較すると、熱受容長Lhが同一値であるときのピーク期間Tp及びピーク電流Ipは、同図の方が図2よりも相対的に小さな値になっている。これは、同図の方がプラズマ溶接電流値Iwpが大きくなっているために、溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が大きくなっているので、1パルス周期1溶滴移行状態を維持するために、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipを小さくしているためである。
図4は、プラズマ溶接電流値Iwp=150Aであるときの熱受容長Lhとユニットパルス条件であるピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す図である。同図の横軸は、熱受容長Lh(mm)を示し、実用上使用されることが多い15〜25mmの範囲を示している。縦軸は、ピーク期間Tp(ms)及びピーク電流Ip(A)を示している。同図において、実線はピーク期間Tpの変化を示し、破線はピーク電流Ipの変化を示す。同図は、上述した図2及び図3に対応しており、プラズマ溶接電流値Iwp以外の溶接条件は同一である。
同図に示すように、熱受容長Lh=15mmのとき、ピーク期間Tp=1.0ms及びピーク電流Ip=290Aに設定されている。熱受容長Lhが長くなるのに伴い、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipは共に小さくなる。これは、熱受容長Lhが長くなるほど、溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が大きくなるので、ユニットパルス条件を小さくすることによって、1パルス周期1溶滴移行状態を維持することができるためである。そして、熱受容長Lh=20mmとなると、ピーク期間Tp=0.8ms及びピーク電流Ip=280Aに設定される。熱受容長Lh=25mmになると、ピーク期間Tp=0.6ms及びピーク電流Ip=270Aとなる。また、同図と上述した図2及び図3とを比較すると、熱受容長Lhが同一値であるときのピーク期間Tp及びピーク電流Ipは、同図の方が相対的に小さな値になっている。これは、同図の方がプラズマ溶接電流値Iwpが大きくなっているために、溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が大きくなっているので、1パルス周期1溶滴移行状態を維持するために、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipを小さくしているためである。
図2〜図4で上述した熱受容長Lhに対するピーク期間Tpの変化をピーク期間算出関数と呼ぶことにする。また、熱受容長Lhに対するピーク電流Ipの変化をピーク電流算出関数と呼ぶことにする。これらの関数は、プラズマ溶接電流値Iwp、溶接ワイヤの材質、直径、送給速度等に応じて適正値に設定される。この設定は、実験によって行われる。また、図2〜図4においては、熱受容長Lhが変化したときにユニットパルス条件の2つのパラメータ(ピーク期間Tp及びピーク電流Ip)が共に予め定めた関数に従って変化する場合を説明した。しかし、ユニットパルス条件の内のどちらか一方だけを変化させるようにしても良い。これは、熱受容長Lhが変化したときに溶接ワイヤがプラズマアークから受ける熱量が変化するので、ユニットパルス条件を変化させて溶接ワイヤへの熱量の変化を補償するものである。したがって、この補償のためには、ユニットパルス条件の両方を変化させる必要はなく、どちらか一方でも良いからである。すなわち、熱受容長Lhの変化に応じて、ピーク期間Tp及び/又はピーク電流Ipを変化させれば良い。
次に、熱受容長Lhの検出方法について説明する。本実施の形態では、上述したように、熱受容長Lhをプラズマ電極先端と母材との距離Lpと見なす場合であるので、熱受容長Lhの検出とはプラズマ電極先端と母材との距離Lpを検出することに相当する。この検出方法としては、以下に示す2つの方法がある。
(1)ロボット制御装置から送信する方法
ロボットを使用した溶接においては、溶接線を教示するときにトーチ高さが適正値になるように行う。上述したように、トーチ高さはプラズマ電極先端と母材との距離Lpであるので、教示の際に、作業プログラムにその値を書き込むようにする。そして、溶接を行う際には、ロボット制御装置からミグ溶接電源PSMに、そのデータ(プラズマ電極先端と母材との距離)を送信するようにすれば良い。
(2)プラズマ溶接電圧Vwp及びプラズマ溶接電流Iwpから算出する方法
プラズマアークは非消耗電極式アークであるので、プラズマアークのアーク長Lpaはプラズマ電極先端と母材との距離Lpと一致する。アーク長Lpaは、プラズマ溶接電流値Iwpが設定されると、プラズマ溶接電圧値Vwpと比例関係になる。この比例関係はアーク特性と呼ばれる。したがって、溶接中にプラズマ溶接電圧Vwpを検出し、アーク特性からそれに対応するアーク長Lpaを算出することができる。この方法では、プラズマ溶接電流値Iwp及びプラズマ溶接電圧値Vwpからプラズマアークのアーク長Lpaが算出され、アーク長Lpaはプラズマ電極先端と母材との距離Lpと等しく、さらには、プラズマ電極先端と母材との距離Lpは熱受容長Lhと等しい。したがって、熱受容長Lhをアーク特性から算出することができる。図1において、この算出はプラズマ溶接電源PSP内で行われるので、プラズマ溶接電源PSPからプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcがミグ溶接電源PSMに出力されることになる。
図5は、上述したプラズマアークのアーク特性を示す図である。同図の横軸はプラズマ溶接電圧Vwp(V)を示し、縦軸はプラズマアークのアーク長Lpa(mm)を示す。同図において、実線はプラズマ溶接電流値Iwp=50Aのときを示し、破線はIwp=100Aのときを示し、一点鎖線はIwp=150Aのときを示している。
同図に示すように、プラズマ溶接電圧値Vwpが大きくなるほど、アーク長Lpaは長くなる。また、プラズマ溶接電圧値Vwpが同一値であるときは、プラズマ溶接電流値Iwpが大きいほど、アーク長Lpaは短くなる。例えば、プラズマ溶接電流値Iwp=100Aであるときに、プラズマ溶接電圧値Vwp=31Vである場合には、アーク長Lpaは20mmとなる。このようにして、プラズマアークのアーク長Lpaを算出することができ、アーク長Lpaとプラズマ電極先端と母材との距離Lpとは等しいので、結果的に、プラズマ電極先端と母材との距離Lpを算出することができる。以下、同図に示すアーク特性をプラズマアーク長算出関数と呼ぶことにする。このアーク長算出関数は、プラズマ溶接電流値Iwp及びプラズマ溶接電圧値Vwpを入力として、プラズマアークのアーク長Lpaを出力する。このプラズマアーク長算出関数は、プラズマがす62及びシールドガス63の種類、プラズマ電極1bの形状等に応じて適正値に設定される。この設定は、実験によって行われる。同図において、プラズマ溶接電流値Iwp=70Aであるときには、Iwp=50Aのアーク特性とIwp=100aのアーク特性とから補間してプラズマアーク長Lpaを算出する。
図6は、上述した図1を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。同図は、上述したように、プラズマ溶接電源PSPからプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcが入力される場合である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、ミグ溶接電圧Vwm及びミグ溶接電流Iwmを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流回路と、整流された直流を平滑するコンデンサと、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧するインバータトランスと、降圧された高周波交流を整流する2次整流回路と、整流された直流を平滑するリアクトルと、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってPWM変調制御を行ないその結果に基づいてインバータ回路を駆動する駆動回路と、から構成される。溶接ワイヤ1aは、送給モータWMに結合された送給ロール7によって給電チップ4内を通って送給され、母材2との間にミグアーク3aが発生する。溶接トーチの構造は図1のとおりであり、ここでは簡略化して図示している。
電圧検出回路VDは、ミグ溶接電圧Vwmを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。電圧平均値算出回路VAVは、この電圧検出信号Vdの平均値を算出して、電圧平均値信号Vavを出力する。
図1で上述したように、ミグ溶接電源PSMの外部に設けられたプラズマ溶接電流設定回路IWPRは、予め定めたプラズマ溶接電流設定信号Iwprを出力する。送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、送給速度設定信号Frの値によって定まる送給速度Fwで溶接ワイヤ1aを送給するための送給制御信号Fcを送給モータWMに出力する。
電圧設定回路VRは、予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、この電圧設定信号Vrと上記の電圧平均値信号Vavとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。電圧/周波数変換回路VFは、この電圧誤差増幅信号Evの値に応じた周波数を有するパルス周期信号Tfを出力する。このパルス周期信号Tfは、パルス周期ごとに短時間だけHighレベルになるトリガ信号である。
ピーク期間設定回路TPRは、上記のプラズマ溶接電流設定信号Iwpr及びプラズマ溶接電源PSPからのプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcを入力として、図2〜図4で上述したような予め定めたピーク期間算出関数に基づいてピーク期間設定信号Tprを出力する。ピーク期間タイマ回路TPは、上記のパルス周期信号TfがHighレベルになると上記のピーク期間設定信号Tprの値によって定まる期間だけHighレベルになるピーク期間信号Tpを出力する。このピーク期間信号TpがHighレベルのときがピーク期間となり、Lowレベルのときがベース期間となる。
ベース電流設定回路IBRは、予め定めたベース電流設定信号Ibrを出力する。ピーク電流設定回路IPRは、上記のプラズマ溶接電流設定信号Iwpr及びプラズマ溶接電源PSPからのプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcを入力として、図2〜図4で上述したようなピーク電流算出関数に基づいてピーク電流設定信号Iprを出力する。電流設定制御回路IRCは、上記のピーク期間信号TpがLowレベルのときは上記のベース電流設定信号Ibrを電流設定制御信号Ircとして出力し、Highレベルのときは上記のピーク電流設定信号Iprを電流設定制御信号Ircとして出力する。
電流検出回路IDは、ミグ溶接電流Iwmを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流設定制御信号Ircと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って溶接電源の出力制御が行われることによって図10(A)で上述したミグ溶接電流Iwmが通電する。上述したミグ溶接電源PSMは、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が電圧設定信号Vrの値と等しくなるようにパルス周期が変化して出力制御されるので、定電圧特性の電源となる。
図7は、上述した図1を構成するプラズマ溶接電源PSPのブロック図である。同図は、熱受容長Lhを、上記(2)の方法であるプラズマ溶接電流値Iwp及びプラズマ溶接電圧値Vwpを入力とするプラズマアーク長算出関数によって算出する場合である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御等の出力制御を行いプラズマ溶接電流Iwpを出力する。このプラズマ溶接電流Iwpは、プラズマ電極1b、プラズマアーク3b、母材2を通って通電する。溶接トーチの構造は上述した図1のとおりであるが、ここでは簡略化して図示している。
図1で上述したように、プラズマ溶接電源PSPの外部に設けられたプラズマ溶接電流設定回路IWPRは、予め定めたプラズマ溶接電流設定信号Iwprを出力する。電流検出回路IDは、上記のプラズマ溶接電流Iwpを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記のプラズマ溶接電流設定信号Iwprと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って溶接電源の出力制御が行われることによって、図10(C)で上述した直流のプラズマ溶接電流Iwpが通電する。上述したプラズマ溶接電源PSPは、プラズマ溶接電流Iwpがプラズマ溶接電流設定信号Iwprの値と等しくなるように出力制御されるので、定電流特性の電源となる。
電圧検出回路VDは、上記のプラズマ溶接電圧Vwpを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。プラズマ電極先端・母材間距離算出回路LPCは、上記のプラズマ溶接電流設定信号Iwpr及び上記の電圧検出信号Vdを入力として、図5で上述したような予め定めたプラズマアーク長算出関数によってプラズマアークのアーク長を算出して、プラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcとしてミグ溶接電源PSMに出力する。
本実施の形態では、プラズマ溶接電流Iwpが直流である場合を説明した。プラズマ溶接電流Iwpがパルス波形であるときには、上記のピーク期間算出関数、ピーク電流算出関数及びプラズマアーク長算出関数の入力として、プラズマ溶接電流Iwpの平均値及びプラズマ溶接電圧Vwpの平均値を使用すれば良い。
上述した実施の形態1によれば、溶接ワイヤの熱受容長に応じてミグ溶接電流におけるピーク期間及び/又はピーク電流を変化させることによって、熱受容長の変化に伴う溶接ワイヤの予熱状態の変化を補償することができる。このために、トーチ高さ等が変化して溶接ワイヤの熱受容長が変化しても1パルス周期1溶滴移行状態を維持することができるので、溶接状態は常に安定になる。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2は、熱受容長Lh=Lp−Laである場合である。ここで、上述したように、Lpはプラズマ電極先端と母材との距離であり、Laはミグアークのアーク長である。プラズマ電極先端と母材との距離Lpの検出方法については、実施の形態1と同様である。アーク長Laの設定方法としては、以下に示す3つの方法がある。
(1)アーク長Laを予め設定する場合
良好な溶接を行うためのアーク長Laの適正範囲は、3〜5mm程度である。したがって、アーク長Laを予め定めた定数(例えば4mm)として設定する。このようにすると、実際のアーク長Laとは1mm程度の誤差が生じるが、この程度の誤差であれば熱受容長Lhの算出値に及ぼす影響は小さい。この方法を使用すると、熱受容長Lhの算出方法が簡単になる利点がある。
(2)電圧設定信号Vrに基づいてアーク長Laを設定する場合
図6で上述したミグ溶接電源PSM内の電圧設定信号Vrの値は、ミグアークのアーク長制御における目標値となる。すなわち、電圧設定信号Vrの値に対応するアーク長Laになるようにアーク長制御が行われている。したがって、この電圧設定信号Vrを入力とする予め定めた第1ミグアーク長算出関数によってアーク長Laを算出する。例えば、この第1ミグアーク長算出関数をLa=a・Vr+bとする。ここで、a及びbは定数であり、実験によって定める。定数a及びbは、センターガス、プラズマガス及びシールドガスの種類、溶接ワイヤの材質及び直径等に応じて、実験によって適正値に設定する。
(3)ミグ溶接電圧Vwm及びミグ溶接電流Iwmから算出する方法
ミグアークは消耗電極式アークであるので、刻々と溶融する溶接ワイヤの先端と母材との距離が、アーク長Laとなる。アーク長Laは、溶接ワイヤの送給速度Fw(ミグ溶接電流Iwmの平均値)が設定されると、ミグ溶接電圧Vwmの平均値と比例関係になる。この比例関係はアーク特性と呼ばれる。したがって、溶接中にミグ溶接電圧Vwmの平均値を検出し、アーク特性からそれに対応するアーク長Laを算出することができる。この方法では、送給速度Fw及びミグ溶接電圧Vwmの平均値を入力として予め定めた第2ミグアーク長算出関数によってアーク長Laが算出される。図1において、この算出はミグ溶接電源PSM内で行われる。
図8は、上述したミグアークのアーク特性を示す図である。同図の横軸はミグ溶接電圧Vwmの平均値(V)を示し、縦軸はミグアークのアーク長La(mm)を示す。同図において、実線は送給速度Fw=9m/min(ミグ溶接電流Iwmの平均値=70A)のときを示し、破線はFw=12m/min(ミグ溶接電流Iwmの平均値=105A)のときを示し、一点鎖線はFw=14m/min(ミグ溶接電流Iwmの平均値=135A)のときを示している。但し、()内のミグ溶接電流Iwmの平均値は、プラズマ溶接電流値Iwp=100Aの場合である。
同図に示すように、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が大きくなるほど、アーク長Laは長くなる。また、ミグ溶接電圧Vwmの平均値が同一値であるときは、送給速度Fwが大きいほど、アーク長Laは短くなる。例えば、送給速度Fw=12m/minであるときに、ミグ溶接電圧Vwmの平均値=17Vである場合には、アーク長Laは5mmとなる。このようにして、ミグアークのアーク長Laを算出することができる。同図に示すアーク特性が、第2ミグアーク長算出関数となる。この第2ミグアーク長算出関数は、送給速度Fw及びミグ溶接電圧Vwmの平均値を入力として、ミグアークのアーク長Laを出力する。この第2ミグアーク長算出関数は、上記のセンターガス61、プラズマガス62及びシールドガス63の種類、溶接ワイヤ1aの材質及び直径等に応じて適正値に設定される。この設定は、実験によって行われる。
実施の形態2に係るプラズマミグ溶接方法を実施するための溶接装置の構成図は、上述した図1と同一である。但し、この溶接装置を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図(図6)が、後述する図9に変更されている。また、熱受容長Lhとユニットパルス条件であるピーク期間Tp及びピーク電流Ipとの関係を示す上述した図2〜図4についても同一である。これら同一の事項については、説明を省略する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る図1を構成するミグ溶接電源PSMのブロック図である。同図は、上述したように、プラズマ溶接電源PSPからプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcが入力される場合である。同図は上述した図6と対応しており、同一ブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。同図は、破線で示すミグアーク長設定回路LAR及び破線で示す熱受容長算出回路LHCを図6に追加し、図6のピーク期間設定回路TPRを破線で示す第2ピーク期間設定回路TPR2に置換し、図6のピーク電流設定回路IPRを破線で示す第2ピーク電流設定回路IPR2に置換したものである。以下、同図を参照して、これらのブロックについて説明する。
ミグアーク長設定回路LARは、送給速度設定信号Fr及び電圧平均値信号Vavを入力として、図8で上述したような予め定めた第2ミグアーク長算出関数によってミグアークのアーク長を算出して、ミグアーク長設定信号Larとして出力する。熱受容長算出回路LHCは、このミグアーク長設定信号Lar及び図7で上述したプラズマ溶接電源PSPからのプラズマ電極先端・母材間距離信号Lpcを入力として、熱受容長信号Lhc=Lpc−Larを算出して出力する。
第2ピーク期間設定回路TPR2は、プラズマ溶接電流設定信号Iwpr及び上記の熱受容長信号Lhcを入力として、図2〜図4で上述したような予め定めたピーク期間算出関数に基づいてピーク期間設定信号Tprを出力する。第2ピーク電流設定回路IPR2は、プラズマ溶接電流設定信号Iwpr及び上記の熱受容長信号Lhcを入力として、図2〜図4で上述したような予め定めたピーク電流算出関数に基づいてピーク期間設定信号Tprを出力する。
同図においては、ミグアーク長の設定を、上述した(3)の方法で行う場合であるが、(1)及び(2)の方法で行う場合には、以下のようになる。
(1)アーク長Laを予め設定する場合
ミグアーク長設定回路LARは、予め定めたミグアーク長設定信号Larを出力する。
(2)電圧設定信号Vrに基づいてアーク長Laを設定する場合
ミグアーク長設定回路LARは、電圧設定信号Vrを入力として、上述したような予め定めた第1ミグアーク長算出関数によってミグアークのアーク長を算出して、ミグアーク長設定信号Larとして出力する。
上述した実施の形態2によれば、熱受容長を、プラズマ電極先端と母材との距離からミグアークのアーク長を減算した値として算出する。このために、ミグアークのアーク長が変化しても、熱受容長を正確に算出することができる。この結果、熱受容長の変化に伴う溶接ワイヤの予熱状態の変化をより高精度に補償することができる。
1a 溶接ワイヤ
1b プラズマ電極
2 母材
3a ミグアーク
3b プラズマアーク
4 給電チップ
51 プラズマノズル
52 シールドガスノズル
61 センターガス
62 プラズマガス
63 シールドガス
7 送給ロール
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
Ib ベース電流
IBR ベース電流設定回路
Ibr ベース電流設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Ip ピーク電流
IPR ピーク電流設定回路
Ipr ピーク電流設定信号
IPR2 第2ピーク電流設定回路
IRC 電流設定制御回路
Irc 電流設定制御信号
Iwm ミグ溶接電流
Iwp プラズマ溶接電流
IWPR プラズマ溶接電流設定回路
Iwpr プラズマ溶接電流設定信号
La ミグアークのアーク長
LAR ミグアーク長設定回路
Lar ミグアーク長設定信号
Lh 熱受容長
LHC 熱受容長算出回路
Lhc 熱受容長信号
Lp トーチ高さ、プラズマ電極先端と母材との距離
Lpa プラズマアークのアーク長
LPC プラズマ電極先端・母材間距離算出回路
Lpc プラズマ電極先端・母材間距離信号
Lw 給電チップ先端と母材との距離
Lx 突出し長
PM 電源主回路
PSM ミグ溶接電源
PSP プラズマ溶接電源
Tb ベース期間
Tf パルス周期(信号)
TP ピーク期間タイマ回路
Tp ピーク期間(信号)
TPR ピーク期間設定回路
Tpr ピーク期間設定信号
TPR2 第2ピーク期間設定回路
VAV 電圧平均値算出回路
Vav 電圧平均値信号
Vb ベース電圧
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF 電圧/周波数変換回路
Vp ピーク電圧
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vwm ミグ溶接電圧
Vwp プラズマ溶接電圧
WM 送給モータ
WT 溶接トーチ

Claims (5)

  1. 溶接トーチ内に配置されたプラズマ電極と母材との間にプラズマ溶接電圧を印加してプラズマ溶接電流を通電することによってプラズマアークを発生させると共に、前記プラズマ電極を中空形状とし、前記プラズマ電極内に配置された給電チップを介して給電される溶接ワイヤを前記中空形状内を通って送給し、前記給電チップと母材との間にミグ溶接電圧を印加してピーク期間中のピーク電流及びベース期間中のベース電流を1パルス周期とするミグ溶接電流を通電することによってミグアークを発生させるプラズマミグ溶接方法において、
    前記溶接ワイヤが前記プラズマアークから熱を受ける部分の長さである熱受容長を検出し、前記ピーク期間及び/又は前記ピーク電流を前記熱受容長に応じて自動的に変化させる、
    ことを特徴とするプラズマミグ溶接方法。
  2. 前記熱受容長が、前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離である、
    ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法。
  3. 前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離を、前記プラズマ溶接電流及び前記プラズマ溶接電圧を入力とする予め定めた関数によって算出する、
    ことを特徴とする請求項2記載のプラズマミグ溶接方法。
  4. 前記熱受容長が、前記プラズマ電極の先端と前記母材との距離から前記ミグアークのアーク長を減算した値である、
    ことを特徴とする請求項1記載のプラズマミグ溶接方法。
  5. 前記アーク長を、溶接ワイヤの送給速度及び前記ミグ溶接電圧の平均値を入力とする予め定めた関数によって算出する、
    ことを特徴とする請求項4記載のプラズマミグ溶接方法。

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