JP2010012506A - パルスアーク溶接の出力制御方法 - Google Patents

パルスアーク溶接の出力制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パルスアーク溶接において、溶接電源の外部特性を適正化することによって高速溶接性を改善すること。
【解決手段】第1傾きKs1及び溶接電流基準値Is及び溶接電圧基準値Vsによって設定された溶接電源の外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法であって、溶接中にアーク長が大きく変動したとき(ΔV>ΔVt)は、前記第1傾きKs1を第1傾きの絶対値よりも小さな絶対値の第2傾きKs2に置換して外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法において、溶接速度Ssが速くなるのに伴い前記第1傾きKs1及び/又は前記第2傾きKs2の絶対値が小さくなるように変化させる。これにより、溶接速度が速くなると、外部特性の傾きの絶対値を小さくすることによってアーク長制御系のゲインを大きくすることができ、外乱に対する高速溶接性を改善することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、所望の傾きを有する溶接電源の外部特性を形成することができる消耗電極パルスアーク溶接の出力制御方法の改善に関するものである。
消耗電極パルスアーク溶接では、美しいビード外観、均一な溶込み深さ等の溶接品質を良好にするために、溶接中のアーク長を適正値に維持することが極めて重要である。一般的に、アーク長は溶接ワイヤの送給速度とアーク入熱による溶融速度とのバランスによって決まる。したがって、溶接電流の平均値に略比例する溶融速度が送給速度と等しくなるとアーク長は常に一定となる。しかし、送給モータの回転速度の変動、溶接トーチケーブルの引き回しによる送給経路の摩擦力の変動等によって、溶接中の送給速度が変動する。このために、溶融速度とのバランスが崩れてアーク長が変化することになる。さらには、溶接作業者の手振れ等による給電チップ・母材間距離の変動、溶融池の不規則な振動等によっても、アーク長は変動する。したがって、これらの種々の変動要因(以下、外乱という)によるアーク長の変動を抑制するためには、外乱に応じて常に溶融速度を調整してアーク長の変化を抑制するアーク長制御が必要となる。
消耗電極パルスアーク溶接を含む消耗電極ガスシールドアーク溶接において、上述した種々の外乱に起因するアーク長の変動を抑制する方法として、溶接電源の外部特性を所望値に出力制御する方法が慣用されている。この外部特性の例を図4に示す。同図の横軸は溶接ワイヤを通電する溶接電流の平均値Iwであり、縦軸は溶接ワイヤと母材との間に印加される溶接電圧の平均値Vwである。特性L1は、傾きKs=0V/Aの完全な定電圧特性の場合である。また、特性L2は、傾きKs=−0.1V/Aと右下がりの傾きを有する定電圧特性の場合である。外部特性は直線として表わすことができるので、溶接電流基準値Isと溶接電圧基準値Vsとの交点P0を通り傾きがKsである外部特性は下式で表わされる。
Vw=Ks・(Iw−Is)+Vs ……(1)式
ところで、溶接電源の外部特性の傾きKsによってアーク長制御の安定性(自己制御作用と呼ばれる)が大きく影響されることが従来から知られている。すなわち、外乱に対してアーク長を安定化するためには、溶接法を含む溶接条件に応じて外部特性の傾きKsを適正値に制御する必要がある。例えば、傾きKsの適正値は、炭酸ガスアーク溶接法では0〜−0.03V/A程度の範囲であり、パルスアーク溶接法では−0.05〜−0.3V/A程度の範囲である。したがって、本発明の対象であるパルスアーク溶接法においては、アーク長制御を安定化するためには、同図に示す特性L1ではなく−0.05〜−0.3V/A程度の範囲内で予め定めた傾きKsを有する特性L2等を形成する必要がある。ところで、傾きを変化させることはアーク長制御系のゲインを変化させることになる。傾きKsの絶対値が小さくなると(負の値から0に近づくと)ゲインは大きくなり、傾きKsの絶対値が大きくなると(傾きが急勾配になると)ゲインは小さくなる。したがって、パルスアーク溶接法では炭酸ガスアーク溶接法に比べてゲインを小さくしないとアーク安定性が悪くなる。他方、ゲインをあまり小さくすると過渡応答が悪くなる。このために、定常のアーク安定性及び過渡応答性を考量して傾きの適正値の設定を行う必要がある。以下、パルスアーク溶接において所望の傾きKsを有する外部特性を形成する従来技術(例えば、特許文献1〜3を参照)について説明する。
図5は、パルスアーク溶接の電流・電圧波形図である。同図(A)は溶接電流(瞬時値)ioの波形を示し、同図(B)は溶接電圧(瞬時値)voの波形を示す。以下,同図を参照して説明する。
(1)時刻t1〜t2のピーク期間Tp
予め定めたピーク期間Tp中は、同図(A)に示すように、溶接ワイヤを溶滴移行させるために大電流値の予め定めたピーク電流Ipを通電し、同図(B)に示すように、この期間中のアーク長に略比例したピーク電圧Vpが溶接ワイヤ・母材間に印加する。
(2)時刻t2〜t3のベース期間Tb
後述する溶接電源の出力制御によって定まるベース期間Tb中は、同図(A)に示すように、溶接ワイヤ先端の溶滴を成長させないために小電流値の予め定めたベース電流Ibを通電し、同図(B)に示すように、この期間中のアーク長に略比例したベース電圧Vbが印加する。
上記のピーク期間Tp及びベース期間Tbからなる時刻t1〜t3の期間を1パルス周期Tpbとして繰り返して溶接を行う。同図(A)に示すように、このパルス周期Tpbごとの溶接電流の平均値がIwとなり、同様に同図(B)に示すように、このパルス周期Tpbごとの溶接電圧の平均値がVwとなる。溶接電源の外部特性を形成するための出力制御は、パルス周期Tpbの時間長さを操作量としてフィードバック制御することで行われる。すなわち、ピーク期間Tpを一定値としてパルス周期Tpbを増減させることによって出力制御を行う。
図6に示すように、時刻t(n)〜t(n+1)の第n回目のパルス周期Tpb(n)の溶接電流平均値がIw(n)となり、溶接電圧平均値がVw(n)となる。上述した図4において、これらIw(n)とVw(n)との交点(動作点)P1が、設定された特性L2上に乗るように出力制御される。以下、所望の傾きKsを有する外部特性を形成するための溶接電源の出力制御方法について説明する。
図5で上述したパルスアーク溶接の波形図を参照して、従来技術の外部特性形成方法を説明する。形成すべき目標の外部特性は、上述した(1)式の外部特性である。第n回目のパルス周期Tpb(n)における溶接電流平均値Iw及び溶接電圧平均値Vwは下式で表わすことができる。
Iw=(1/Tpb(n))・∫io・dt ……(2)式
Vw=(1/Tpb(n))・∫vo・dt ……(3)式
但し、積分は第n回目のパルス周期Tpb(n)の間行う。
これら(2)式及び(3)式を上記の(1)式に代入して整理すると下式となる。
∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dt=0 ……(4)式
但し、積分は第n回目のパルス周期Tpb(n)の間行い、上述したように、Ksは外部特性の傾きであり、Isは溶接電流基準値であり、Vsは溶接電圧基準値である。
したがって、第n回目のパルス周期Tpb(n)が終了した時点においては上記(4)式が成立することになる。ここで、上記(4)式の左辺を積分値Svbとして定義すると下式となる。
Svb=∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dt ……(5)式
第n回目のパルス周期Tpb(n)が開始した時点から上記(5)式の積分値Svbの演算を開始する。第n回目の予め定めたピーク期間が終了して第n回目のベース期間中に上記の積分値Svb=0(又はSvb≧0)となった時点で第n回目のパルス周期Tpb(n)を終了する。この動作を繰り返すことによって、上記(1)式の外部特性を形成することができる。
上述した従来技術の外部特性形成方法を以下に整理して記載する。
(1)傾きKs、溶接電流基準値Is及び溶接電圧基準値Vsによって上記(1)式に基づいて目標の溶接電源の外部特性を予め設定する。
(2)溶接中の溶接電圧vo及び溶接電流ioを検出する。
(3)第n回目のパルス周期Tpb(n)の開始時点から上記(5)式に基づいて積分値Svb=∫(Ks・io−Ks・Is+Vs−vo)・dtの演算を開始する。
(4)第n回目の予め定めたピーク期間Tpに続く第n回目のベース期間Tb中の上記積分値Svbが零以上(Svb≧0)になった時点で第n回目のパルス周期Tpb(n)を終了する。
(5)続けて第n+1回目のパルス周期Tpb(n+1)を開始して、上記(3)〜(4)の動作を繰り返し行うことによって、所望の外部特性を形成する。
図7は、上述した外部特性形成方法を搭載した溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御、サイリスタ制御等の出力制御を行い、アーク溶接に適した溶接電流io及び溶接電圧voを出力する。この電源主回路PMは、例えば、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑するコンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を整流する2次整流器、整流された直流を平滑するリアクトル、上記の電流誤差増幅信号Eiを入力としてパルス幅変調制御を行いこの結果に基づいて上記のインバータ回路を駆動する駆動回路から成る。溶接ワイヤ1はワイヤ送給装置(図示は省略)の送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を通って送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流ioを検出して、電流検出信号idを出力する。電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧voを検出して、電圧検出信号vdを出力する。溶接電圧基準値設定回路VSは、予め定めた溶接電圧基準値信号Vsを出力する。溶接電流基準値設定回路ISは、予め定めた溶接電流基準値信号Isを出力する。溶接電圧平均値検出回路VAは、上記の電圧検出信号vdを数パルス周期〜数十パルス周期の時定数で平滑して、溶接電圧平均値信号Vaを出力する。偏差算出回路DVは、この溶接電圧平均値信号Vaと上記の溶接電圧基準値信号Vsとの偏差を算出して、偏差信号ΔV=|Va−Vs|を出力する。第1傾き設定回路KS1はアーク長が通常範囲で変動しているときの外部特性の傾きを設定するための第1傾き設定信号Ks1を出力する。第2傾き設定回路KS2は、アーク長が大きく変動したときの外部特性の傾きを設定するための第2傾き設定信号Ks2を出力する。傾き制御設定回路KSCは、上記の偏差信号ΔVと予め定めた基準値ΔVtとを比較して、ΔV<ΔVtのときは上記の第1傾き設定信号Ks1を傾き設定信号Ksとして出力し、ΔV≧ΔVtのときは上記の第2傾き設定信号Ks2を傾き設定信号Ksとして出力する。
積分値演算回路SVBは、上記の電流検出信号id、上記の電圧検出信号vd、上記の溶接電圧基準値信号Vs、上記の溶接電流基準値信号Is及び上記の傾き設定信号Ksを入力として、各パルス周期の開始時点から上記(5)式によって積分演算を行い積分値信号Svbを出力する。比較回路CMは、この積分値信号Svbの値が零以上になった時点で短時間Highレベルになる比較信号Cmを出力する。この比較信号Cmの周期がパルス周期となる。タイマ回路MMは、上記の比較信号CmがHighレベルに変化した時点から予め定めたピーク期間設定値Tpsによって定まる期間だけHighレベルとなるタイマ信号Mmを出力する。このタイマ信号MmがHighレベルのときがピーク期間となり、Lowレベルのときがベース期間となる。
ピーク電流設定回路IPSは、予め定めたピーク電流設定信号Ipsを出力する。ベース電流設定回路IBSは、予め定めたベース電流設定信号Ibsを出力する。切換回路SWは、上記のタイマ信号MmがHighレベルのときはa側に切り換わり上記のピーク電流設定信号Ipsを電流制御設定信号Icsとして出力し、Lowレベルのときはb側に切り換わり上記のベース電流設定信号Ibsを電流制御設定信号Icsとして出力する。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icsと上記の電流検出信号idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。これらのブロックによって、図5で上述したような溶接電流ioが通電し、上記(1)式で設定された外部特性が形成される。
上記の溶接電圧平均値信号Vaの値はアーク長に略比例し、上記の溶接電圧基準値信号Vsは適正アーク長を設定する。したがって、上記の偏差信号ΔVの値は、アーク長の変動の大きさを示している。そこで、上記の偏差信号ΔVの値が予め定めた基準値未満(ΔV<ΔVt)のときは通常の傾き(上記の第1傾き設定信号Ks1)の第1外部特性L1を形成し、偏差信号ΔVの値が基準値以上(ΔV≧ΔVt)のときは傾きの絶対値が通常よりも小さい(上記の第2傾き設定信号Ks2)の第2外部特性L2を形成する。上記の第1外部特性L1は、上記の第1傾き設定信号Ks1、上記の溶接電圧基準値信号Vs及び上記の溶接電流基準値信号Isによって設定され、上記の第2外部特性L2は上記の第2傾き設定信号Ks2、上記の溶接電圧基準値信号Vs及び上記の溶接電流基準値信号Isによって設定される。|Ks1|>|Ks2|である。アーク長が大きく変動したときは第2外部特性が形成されるので、アーク長制御系のゲインが大きくなり、過渡応答性が速くなる。アーク長の変動が小さいときは第1外部特性が形成されるので、ゲインが小さくなりアーク安定性は良好になる。
特開2002−361417号公報 特開2005−118872号公報 特開2008−105095号公報
上述した従来技術では、所望の傾きを有する外部特性を形成することができると共に、アーク長が大きく変動しているときは傾きの絶対値を小さくしてゲインを大きくし過渡応答性を速くすることによりアーク長を迅速に適正範囲に戻すことができ、アーク長の変動が小さいときは傾きの絶対値を大きくしてゲインを小さくし定常安定性をより良好にしている。ところで、溶接速度が高速になるのに伴い適正アーク長は短くなるので溶接ワイヤと母材との短絡が発生しやすくなる。また、溶接速度が高速になると、溶接ワイヤの移動に溶融池の形成が遅れるために、アークは溶融池よりも前方に形成されることになり、溶滴移行状態が不安定になりやすい。このように、溶接速度が高速化するのに伴い、外乱が大きくなり、アーク長の変動も大きくなる。
そこで、本発明では、溶接速度が速くなっても、アーク長の変動に対して過渡応答性及び定常安定性に優れたパルスアーク溶接の出力制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、
第1傾き及び溶接電流基準値及び溶接電圧基準値によって設定された溶接電源の外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法であって、
溶接中にアーク長が大きく変動したときは、前記第1傾きを第1傾きの絶対値よりも小さな絶対値の第2傾きに置換して外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法において、
溶接速度が速くなるのに伴い前記第1傾き及び/又は前記第2傾きの絶対値が小さくなるように変化させる、ことを特徴とするパルスアーク溶接の出力制御方法である。
第2の発明は、前記アーク長が大きく変動したことを、溶接電圧平均値と前記溶接電圧基準値との偏差が予め定めた基準値以上になったことによって判別する、ことを特徴とする第1の発明記載のパルスアーク溶接の出力制御方法である。
第3の発明は、前記アーク長が大きく変動したことを、溶接電流平均値と前記溶接電流基準値との偏差が予め定めた電流偏差基準値以上になったことによって判別する、ことを特徴とする第1の発明記載のパルスアーク溶接の出力制御方法である。
上記第1の発明によれば、アーク長の変動の大きさによって第1傾きと第2傾きとをを切り換えると共に、溶接速度が速くなるのに伴い第1傾き及び/又は第2傾きの絶対値が小さくなるように変化させることによって、溶接速度に応じてアーク長制御系のゲインを大きくすることができる。このために、定常安定性を確保した上で、溶接速度が早いときのアーク長の変動を抑制することができ、溶接状態を安定化することができる。
上記第2の発明によれば、アーク長が大きく変動したことを溶接電圧平均値の変動によって判別することができ、第1の発明と同様の効果を奏することができる。
上記第3の発明によれば、アーク長が大きく変動したことを溶接電流平均値の変動によって判別することができ、第1の発明と同様の効果を奏することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において上述した図7と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図7の第1傾き設定回路KS1を破線で示す溶接速度対応第1傾き設定回路TKS1に置換し、図7の第2傾き設定回路KS2を破線で示す溶接速度対応第2傾き設定回路TKS2に置換したものである。以下、これらのブロックについて同図を参照して説明する。
溶接速度対応第1傾き設定回路TKS1は、外部からの溶接速度信号Ssを入力として、予め定めた第1関数(Ks1=f1(Ss))に基づいて第1傾き設定値を算出して、第1傾き設定信号Ks1を出力する。溶接速度対応第2傾き設定回路TKS2は、上記の溶接速度信号Ssを入力として、予め定めた第2関数(Ks2=f2(Ss))に基づいて第2傾き設定値を算出して、第2傾き設定信号Ks2を出力する。上記の溶接速度信号Ssは、ロボット溶接装置にあっては、ロボット制御装置(図示は省略)から溶接電源に入力される信号である。また、溶接トーチの移動手段が自動台車である場合には、この自動台車の移動速度を制御する装置から溶接電源に溶接速度信号Ssが入力される。
図2は、上述した第1関数f1及び第2関数f2を例示する図である。同図において、横軸は溶接速度信号Ss(cm/min)を示し、縦軸は第1傾き設定信号Ks1及び第2傾き設定信号Ks2の値(V/A)を示す。実線は第1関数Ks1=f1(Ss)を示し、破線は第2関数Ks2=f2(Ss)を示す。同図は、溶接ワイヤに直径1.2mmの軟鋼ワイヤを仕様し、ワイヤ送給速度を850cm/minとしたときのマグパルス溶接の場合を例示している。以下、同図を参照して説明する。
第1関数f1及び第2関数f2は、横軸に示す溶接速度が3区間に分けられており、階段状に変化する。溶接速度の第1区間は50cm/min未満の区間であり、第2区間は50〜100cm/minの区間であり第3区間は100cm/min以上の区間である。第1関数f1は、各区間を−0.15V/A、−0.14V/A、−0.13V/Aと階段状に変化する。第2関数f2は、各区間を−0.12V/A、−0.10V/A、−0.05V/Aと階段状に変化する。各区間においては、第1関数f1の絶対値の方が第2関数f2の絶対値よりも大きくなっている必要がある。これは、第2関数f2の値は第2傾き設定信号Ks2の値であるので、アーク長が大きく変動したときの外部特性の傾きを設定することになる。このために、上述したように、傾きの絶対値を小さくしフィードバック制御系のゲインを大きくして過渡応答性を高速化している。さらに、両関数の絶対値は、溶接速度が速くなるのに伴い小さな値へと変化している。これは、溶接速度が速くなると外乱に対するアーク長の変動をより抑制しないと溶接状態が安定化しないためである。このために、溶接速度が速くなるのに伴い、外部特性の傾きの絶対値を小さくしてゲインを大きくし、アーク長の変動をより抑制している。
同図においては、第1関数f1及び第2関数f2は階段状に変化するが、溶接速度に対して直線又は曲線状に変化するようにしても良い。また、第1関数f1はアーク長がほぼ適正範囲にあるときであるので、このときは定常安定性を重視して溶接速度によらず一定値としても良い。逆に、第2関数f2を溶接速度によらず一定値とし、第1関数f1を溶接速度に応じて変化させることによって、過渡応答性と定常安定性との良好なバランスを取るようにしても良い。さらに、第1関数f1及び第2関数f2は、溶接ワイヤの材質、直径、ワイヤ送給速度、シールドガスの種類等に応じて適正値に変化させる。
上述した実施の形態1によれば、アーク長の変動の大きさによって第1傾きと第2傾きとをを切り換えると共に、溶接速度が速くなるのに伴い第1傾き及び/又は第2傾きの絶対値が小さくなるように変化させることによって、溶接速度に応じてアーク長制御系のゲインを大きくすることができる。このために、定常安定性を確保した上で、溶接速度が早いときのアーク長の変動を抑制することができ、溶接状態を安定化することができる。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係る出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において上述した図1と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図1の溶接電圧平均値検出回路VAを破線で示す溶接電流平均値検出回路IAに置換し、図1の偏差算出回路DVを破線で示す電流偏差算出回路DIに置換し、図1の傾き制御設定回路KSCを破線で示す第2傾き制御設定回路KSC2に置換したものである。以下、同図を参照して説明する。
溶接電流平均値検出回路IAは、電流検出信号idを数パルス周期〜数十パルス周期の時定数で平滑して、溶接電流平均値信号Iaを出力する。電流偏差算出回路DIは、この溶接電流平均値信号Iaと溶接電流基準値信号Isとの偏差を算出して、電流偏差信号ΔI=|Ia−Is|を出力する。第2傾き制御設定回路KSC2は、上記の電流偏差信号ΔIと予め定めた電流偏差基準値ΔItとを比較して、ΔI<ΔItのときは第1傾き設定信号Ks1を傾き設定信号Ksとして出力し、ΔI≧ΔItのときは第2傾き設定信号Ks2を傾き設定信号Ksとして出力する。
アーク長が大きく変動しているときは、溶接電流平均値も溶接電流基準値から大きく変動している。そこで、溶接電流平均値信号Iaの値と溶接電流基準値信号Isの値との電流偏差ΔIが、予め定めた電流偏差基準値ΔIt以上のときはアーク長が大きく変動していると判別する。そして、アーク長が大きく変動しているときは、第2傾き設定信号Ks2を傾き設定信号Ksとし、アーク長が大きく変動していないときは、第1傾き設定信号Ks1を傾き設定信号としている。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏することになる。
本発明の実施の形態1に係る溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る溶接速度に対する第1傾き及び第2傾きの変化を例示する図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。 従来技術における溶接電源の外部特性を示す図である。 従来技術における、パルスアーク溶接の電流・電圧波形図である。 従来技術における第n回目のパルス周期の溶接電流平均値Iw(n)と溶接電圧平均値Vw(n)との関係を説明するための波形図である。 従来技術における外部特性形成方法を搭載した溶接電源のブロック図である。
符号の説明
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 比較回路
Cm 比較信号
DI 電流偏差算出回路
DV 偏差算出回路
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
f1 第1関数
f2 第2関数
IA 溶接電流平均値検出回路
Ia 溶接電流平均値信号
Ib ベース電流
IBS ベース電流設定回路
Ibs ベース電流設定信号
Ics 電流制御設定信号
ID 電流検出回路
id 電流検出信号
io 溶接電流(瞬時値)
Ip ピーク電流
IPS ピーク電流設定回路
Ips ピーク電流設定信号
IS 溶接電流基準値設定回路
Is 溶接電流基準値(信号)
Iw 溶接電流平均値
Ks 傾き設定信号
KS1 第1傾き設定回路
Ks1 第1傾き設定信号
KS2 第2傾き設定回路
Ks2 第2傾き設定信号
KSC 傾き制御設定回路
KSC2 第2傾き制御設定回路
L1 外部特性
L2 外部特性
MM タイマ回路
Mm タイマ信号
P0、P1 交点
PM 電源主回路
Ss 溶接速度信号
SVB 積分値演算回路
Svb 積分値(信号)
SW 切換回路
Tb ベース期間
TKS1 溶接速度対応第1傾き設定回路
TKS2 溶接速度対応第2傾き設定回路
Tp ピーク期間
Tpb パルス周期
Tps ピーク期間設定値
VA 溶接電圧平均値検出回路
Va 溶接電圧平均値信号
Vb ベース電圧
VD 電圧検出回路
vd 電圧検出信号
vo 溶接電圧(瞬時値)
Vp ピーク電圧
VS 溶接電圧基準値設定回路
Vs 溶接電圧基準値(信号)
Vw 溶接電圧平均値
ΔI 電流偏差信号
ΔIt 電流偏差基準値
ΔV 偏差信号
ΔVt 基準値

Claims (3)

  1. 第1傾き及び溶接電流基準値及び溶接電圧基準値によって設定された溶接電源の外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法であって、
    溶接中にアーク長が大きく変動したときは、前記第1傾きを第1傾きの絶対値よりも小さな絶対値の第2傾きに置換して外部特性を形成するパルスアーク溶接の出力制御方法において、
    溶接速度が速くなるのに伴い前記第1傾き及び/又は前記第2傾きの絶対値が小さくなるように変化させる、ことを特徴とするパルスアーク溶接の出力制御方法。
  2. 前記アーク長が大きく変動したことを、溶接電圧平均値と前記溶接電圧基準値との偏差が予め定めた基準値以上になったことによって判別する、ことを特徴とする請求項1記載のパルスアーク溶接の出力制御方法。
  3. 前記アーク長が大きく変動したことを、溶接電流平均値と前記溶接電流基準値との偏差が予め定めた電流偏差基準値以上になったことによって判別する、ことを特徴とする請求項1記載のパルスアーク溶接の出力制御方法。
JP2008176410A 2008-07-07 2008-07-07 パルスアーク溶接の出力制御方法 Pending JP2010012506A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022197168A1 (ko) 2021-03-19 2022-09-22 한국과학기술연구원 온도감응형 장루용 점착제 및 이를 포함하는 장루용 점착 테이프

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