JP2003284954A - 金超微粒子担持体、その製造方法、及び該担持体からなる触媒 - Google Patents

金超微粒子担持体、その製造方法、及び該担持体からなる触媒

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JP2003284954A
JP2003284954A JP2002090572A JP2002090572A JP2003284954A JP 2003284954 A JP2003284954 A JP 2003284954A JP 2002090572 A JP2002090572 A JP 2002090572A JP 2002090572 A JP2002090572 A JP 2002090572A JP 2003284954 A JP2003284954 A JP 2003284954A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比表面積が小さく活性の低い担体に対して金超
微粒子が多量に担持された、高活性且つ選択性に優れた
各種の反応用触媒として有用な新規な金超微粒子担持体
を提供する。 【解決手段】BET法による比表面積が30m2/g以
下の無機酸化物を担体として、該無機酸化物100重量
部に対して平均粒子径25nm以下の金超微粒子が3重
量部以上担持されてなる金超微粒子担持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金超微粒子担持
体、その製造方法、及び該担持体からなる触媒に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金超微粒子を各種担体に担持させてなる
金超微粒子担持体は、高活性を有する触媒として、酸化
反応用触媒、水素化反応用触媒などの各種の用途に利用
されている。
【0003】従来、金超微粒子担持体の製造方法として
は、pH7〜11程度の酸化物含有水溶液中に、金化合
物含有水溶液を滴下して、酸化物表面に金化合物を析出
させた後、焼成する方法(析出沈殿法);金化合物を溶
解したpH7〜11程度の酸化物含有水溶液中に還元剤
を滴下して、金を還元析出させる方法(還元法);金化
合物を溶解したpH11以上の酸化物含有水溶液中に、
二酸化炭素を吹き込むか、又は酸性水溶液を添加してp
Hを低下させることによって金の水酸化物を析出させた
後、焼成する方法、等が報告されている(特開昭63−
252908号公報)。)これらの方法では、比表面積
が小さい担体を用いる場合には、金を多量に担持させよ
うとすると金の粒子径が大きくなって超微粒子として担
持させることができず、金を超微粒子として担持させる
ためには、その担持量を少なくしなければならないとい
う制約がある。このため、金を超微粒子として担持さ
せ、しかも担持量を多くするためには、BET法による
比表面積が50m2/g程度を上回るような高比表面積
の担体を使用することが必要である。
【0004】しかしながら、高比表面積の担体に金超微
粒子を担持させた担持体は、高活性を有する触媒として
有用ではあるが、通常、酸点などの余分な活性点を多く
含むために、これを触媒とする場合には、副反応が増加
して、主反応の選択率が低下するという弊害がある。
【0005】このため、比表面積が小さく活性の低い担
体に対して、金超微粒子を多量に担持させることができ
れば、副反応を抑制して主反応の選択率を向上させるこ
とが可能となることが期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目
的は、比表面積が小さく活性の低い担体に対して金超微
粒子を多量に担持させることを可能として、高活性且つ
選択性に優れた各種の反応用触媒として有用な新規な金
超微粒子担持体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した目
的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、金超
微粒子の担持法として、いわゆる析出沈殿法を採用し、
無機酸化物担体と金化合物を含有する溶液のpHを従来
の析出沈殿法におけるpH範囲を下回る特定のpH域に
設定する場合には、意外にも、低比表面積の酸化物担体
に対して金超微粒子を多量に担持させることが可能とな
ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、金超微粒子担持体、その
製造方法、及び該担持体からなる触媒を提供するもので
ある。 1. BET法による比表面積が30m2/g以下の無
機酸化物を担体として、該無機酸化物100重量部に対
して平均粒子径25nm以下の金超微粒子が3重量部以
上担持されてなる金超微粒子担持体。 2. 金化合物を溶解した水溶液に無機酸化物を分散さ
せ、該水溶液のpHを4〜6.8の範囲に維持した状態
で、金含有沈殿物を該無機酸化物表面に析出沈殿させ、
その後、金含有沈殿物が析出した無機酸化物を焼成する
ことを特徴とする金超微粒子担持体の製造方法。 3. 上記項1に記載の金超微粒子担持体からなる酸化
反応用触媒。 4. 上記項1に記載の金超微粒子担持体からなる水素
化反応用触媒。
【0009】
【発明の実施の形態】金超微粒子担持体 本発明の金超微粒子担持体は、BET法による比表面積
が30m2/g以下の無機酸化物100重量部に対して
平均粒子径25nm以下の金超微粒子が3重量部以上担
持されたものである。
【0010】該金超微粒子担持体は、BET法による比
表面積が30m2/g以下という低比表面積の無機酸化
物担体に、これまでにない多量の金超微粒子を担持させ
たものである。この様な金超微粒子担持体は、金超微粒
子の担持量が多く高い触媒活性を有するものであり、且
つ、担体については表面積が小さく不活性であり、酸点
等の余分な活性点が少ないために、副反応の少ない選択
性の高い触媒として有用である。
【0011】担体としては、BET法による比表面積が
30m2/g程度以下のものを用いることが必要であ
り、好ましくは10m2/g程度以下のものを用いる。
【0012】担体の種類については、特に限定はない
が、無機酸化物が好ましく、それらの内で、特に、その
表面の等電点がpH7以上である無機酸化物を用いる場
合に目的とする金超微粒子担持体が得られやすい。これ
に対して、等電点がpH7を下回る無機酸化物を担体と
して用いる場合には、得られる金担持体における金の担
持量を多くすることと、金の粒子径を小さくして超微粒
子を得ることの両方を同時に達成することが困難とな
る。表面の等電点がpH7以上である無機酸化物として
は、具体的には、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、亜鉛、ガリウム、アルカリ土類(マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等)、ランタノイド(ランタ
ン、セリウム等)等の少なくとも一種の元素を含む無機
酸化物が好ましい。これらの内で、亜鉛を含む無機酸化
物が好ましく、特に、酸化亜鉛を担体として用いること
が好ましい。
【0013】該金超微粒子担持体では、担持される金超
微粒子の粒径については限定的ではないが、平均粒子径
25nm程度以下の超微粒子であることが好ましく、平
均粒子径20nm程度以下であることがより好ましく、
平均粒子径10nm程度以下であることが更に好まし
い。この様な金超微粒子を担体上に担持させることによ
って、高い触媒活性を有する担持体を得ることができ
る。平均粒子径の下限値は特に制限されないが、物理的
安定性の見地より約1nm程度とすれば良い。なお、該
触媒における金属微粒子の平均粒子径は、担体上の金属
微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、任
意に選んだ100個の粒子径の算術平均値である。
【0014】金超微粒子の担持量は、後述する本発明の
製造方法により、担体100重量部に対して、3重量部
程度以上とすることができる。BET法による比表面積
が30m2/g程度以下の無機酸化物担体に対して、こ
のような多量の金超微粒子を担持してなる担持体は、こ
れまで得られていない新規な金超微粒子担持体である。
担持量の上限については、最終製品の用途、担体の種類
等に応じて適宜決めればよいが、通常、担体100重量
部に対して、3〜20重量部程度の範囲の担持量とする
ことが好ましい。金超微粒子担持体の製造方法 本発明では、金化合物を溶解した水溶液に無機酸化物担
体を分散させ、金含有沈殿物を該無機酸化物表面に析出
沈殿させた後、金含有沈殿物が析出した無機酸化物を焼
成する方法、即ち、析出沈殿法を採用することが必要で
ある。そして、該析出沈殿法において、無機酸化物担体
を分散させた金化合物含有水溶液のpHを4〜6.8と
いう特定範囲に維持した状態で金含有沈殿物を析出させ
ることによって、BET法による比表面積が30m2
g以下という低比表面積の無機酸化物担体上に、該担体
100重量部に対して3重量部以上という多量の金超微
粒子を担持させることが可能となる。
【0015】本発明方法で用いる金を含む水溶性化合物
は、水溶性の金化合物であれば限定されない。例えば、
テトラクロロ金(III)酸「H〔AuCl4〕」、テトラ
クロロ金(III)酸ナトリウム「Na〔AuCl4〕」、
ジシアノ金(I)酸カリウム「K〔Au(CN)2〕」、
ジエチルアミン金(III)三塩化物「(C252NH
〔AuCl3〕」等の錯体;シアン化金(I)等の金化合
物が挙げられる。これらの化合物は一種単独又は二種以
上を混合して用いることができる。
【0016】上記水溶液の金濃度は、用いる化合物の種
類等によって異なるが、通常は0.1〜100mmol
/l程度とすれば良い。
【0017】上記水溶液と混合する無機酸化物担体は、
顆粒状、造粒体等のいずれの形態で使用しても良い。上
記担体の使用量は、該担体を水中に均一に分散できる量
であれば良く、上記水溶液の濃度、用いる担体の種類等
に応じて適宜設定すれば良いが、通常、10〜200g
/l程度が適当である。
【0018】上記水溶液には、必要に応じて、界面活性
剤を添加することもできる。界面活性剤は、上記水溶液
に応じて公知のもの又は市販品の中から適宜選択すれば
良い。例えば、長鎖アルキルスルホン酸及びその塩、長
鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、長鎖アルキ
ルカルボン酸及びその塩、アリールカルボン酸及びその
塩等のアニオン性界面活性剤;長鎖アルキル4級アンモ
ニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリアルキレング
リコール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のノ
ニオン性界面活性剤;等が挙げられる。これら界面活性
剤は一種単独又は二種以上混合して用いることができ
る。本発明では、アニオン性界面活性剤及びノニオン性
界面活性剤が好ましく、特にアニオン性界面活性剤が好
ましい。アニオン性界面活性剤の中でも、とりわけ、炭
素数8以上の長鎖アルキルスルホン酸及びその塩、炭素
数8以上の長鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその
塩、炭素数8以上の長鎖アルキルカルボン酸及びその
塩、アリールカルボン酸及びその塩等がより好ましい。
【0019】界面活性剤の使用量は、所望の分散性、用
いる界面活性剤の種類等により適宜決定することができ
るが、通常は界面活性剤の濃度が0.1〜10mmol
/l程度とすれば良い。
【0020】担体を分散させた金化合物含有水溶液は、
pH4〜6.8程度の範囲内とすることが必要であり、
pH5〜6.5程度の範囲内とすることが好ましい。金
化合物含有水溶液のpHをこの範囲内とすることによっ
て、得られる金担持体に担持される金の粒子径が小さく
なり且つ金の担持量が多くなって、目的とする金超微粒
子担持体を得ることができる。これに対して金化合物含
有水溶液のpHが4より小さいと、得られる金担持体の
金の粒子径が大きくなって、金超微粒子を担持させるこ
とができない。また、pHが6.8を上回ると、金の平
均粒径が小さくなり超微粒子が得られ易くなるが、金を
多量に担持させることができない。
【0021】この様に、金化合物含有水溶液のpHを上
記した特定範囲とすることによって、30m2/g程度
以下という低比表面積の無機酸化物担体に対して、金超
微粒子を多量に担持させることが可能となる。該水溶液
のpHは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等のアルカ
リにより調節することができる。また、必要により、塩
酸等の酸を使用することもできる。これらのアルカリ又
は酸は、必要に応じて水溶液の形態で使用しても良い。
【0022】担体を分散させた金化合物含有水溶液の液
温については、特に限定的ではないが、通常、10〜1
00℃程度とすれば良い。
【0023】また、担体を分散させた水溶液の混合時間
は、担体の種類、形状等によって適宜変更できるが、通
常は1分〜24時間程度、好ましくは10分〜3時間の
範囲内で、所定量の金を含む沈殿物が担体上に析出する
ように設定すれば良い。
【0024】担体を分散させた水溶液を混合・攪拌した
後、固形分を回収することによって、金含有沈殿物が析
出沈殿した無機酸化物を得ることができる。固形分の回
収は、上澄液の回収により行ったり、あるいは公知の固
液分離法に従って実施することができる。回収された固
形分は、残留イオンが実質的になくなるまでイオン交換
水等で洗浄することが好ましい。
【0025】次いで、固形分の焼成を行う。この場合、
焼成とは、高温で熱処理することをいう。更に、必要に
応じて、焼成に先立って予め加熱して乾燥しても良い。
乾燥温度は、通常150℃未満とすれば良い。焼成温度
は、通常150〜800℃程度、好ましくは200〜7
00℃、より好ましくは250〜600℃とすれば良
い。焼成雰囲気については特に限定はなく、空気(大
気)中又は酸化性雰囲気中でも良いし、あるいは窒素、
アルゴンガス、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中、水素
ガス、一酸化炭素等の還元性雰囲気中等であっても良
い。焼成時間は、焼成温度、固形分の大きさ等に応じて
適宜決定すれば良い。焼成によって、金が担体表面に強
固に固定された金超微粒子担持体を得ることができる。
【0026】本発明方法によれば、比表面積が30m2
/g程度以下という低い比表面積の無機酸化物担体に、
該担体100重量部に対して3重量部以上という多量の
金超微粒子を担持させることができる。
【0027】得られる金超微粒子担持体は、高活性且つ
選択性に優れた触媒として、酸化反応用触媒又は水素化
反応用触媒として各種の反応に有用である。酸化反応と
しては、有機化合物の酸化反応に有用であり、アルコー
ル類、アルデヒド類等の酸化反応に好適に用いられ、特
に、分子状酸素を酸化剤とするこれらの酸化反応に有用
である。水素化反応としては、有機化合物の水素化反応
に有用であり、ケトン類やアルデヒド類等のカルボニル
基の水素化反応に好適に用いられ、特に、分子状水素を
水素化剤とするこれらの水素化反応に有用である。
【0028】以下、本発明金超微粒子担持体について、
酸化反応用触媒又は水素化反応用触媒としての使用例を
具体的に説明する。酸化反応用触媒 アルデヒド及びアルコールを原料とするカルボン酸エス
テルの製造 本発明の金超微粒子担持体は、酸素の存在下におけるア
ルデヒドとアルコールからのカルボン酸エステルの製造
において、高活性且つ選択率の高い触媒として好適に用
いることができる。特に、本発明の金超微粒子担持体の
存在下に上記した反応を行う場合には、通常の条件下で
は比較的多量に生じるアセタール類等の副生が大きく抑
制されて、選択性良くカルボン酸エステルを製造するこ
とができる。
【0029】アルデヒドとしては、例えばホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソ
ブチルアルデヒド、グリオキザール、ピルバルデヒド等
の炭素数1〜10の脂肪族アルデヒド;アクロレイン、
メタクロレイン、クロトンアルデヒド等の炭素数3〜1
0のα、β−不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、p
−メトキシベンズアルデヒド、トルアルデヒド、フタル
アルデヒド等の炭素数6〜20の芳香族アルデヒド等の
ほか、これらアルデヒドの誘導体を用いることができ
る。好ましくは、脂肪族アルデヒド、α、β−不飽和ア
ルデヒド等を使用できる。これらのアルデヒドは、一種
単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0030】アルコールとしては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、オクタノール等の炭素数1〜
10の脂肪族アルコール;エチレングリコール、ブタン
ジオール等の炭素数2〜10のジオール;アリルアルコ
ール、メタリルアルコール等の炭素数3〜10の脂肪族
不飽和アルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アル
コール等を用いることができる。好ましくは、炭素数1
〜10の脂肪族アルコール等が使用できる。これらアル
コールは、一種単独又は二種以上混合して用いることが
できる。
【0031】本発明の製造方法では、目的とするカルボ
ン酸エステルの種類等に応じて、原料とするアルデヒド
及びアルコールを適宜選択すれば良い。例えば、メチル
メタクリレートを合成する場合には、アルデヒドとして
メタクロレインを用い、アルコールとしてメタノールを
用いれば良い。
【0032】アルデヒドとアルコールとの反応割合は特
に限定されないが、アルデヒド/アルコールのモル比で
10〜1/200程度が好ましく、特に1/2〜1/5
0の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、より効
率的にカルボン酸エステルを合成することが可能にな
る。
【0033】本発明では、アルデヒドとアルコールとの
反応を本発明金超微粒子担持体からなる触媒と酸素(分
子状酸素)の存在下に行うことによって、カルボン酸エ
ステルを得ることができる。
【0034】上記反応は、液相反応、気相反応等のいず
れであっても良い。酸素(酸素ガス)は、窒素ガス、ア
ルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素ガス等の不活性
ガスで希釈されていても良い。また、酸素含有ガスとし
て、空気を用いることもできる。酸素の反応系への供給
方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。
【0035】上記反応の形態としては、連続式、回分
式、半回分式等のいずれであっても良く、特に限定され
るものではない。触媒は、反応形態として回分式を採用
する場合には、反応装置に原料とともに一括して仕込め
ば良い。また、反応形態として連続式を採用する場合に
は、反応装置に予め上記触媒を充填しておくか、あるい
は反応装置に原料とともに触媒を連続的に仕込めば良
い。触媒は、固定床、流動床、懸濁床等のいずれの形態
であっても良い。
【0036】触媒の使用量は、アルデヒドとアルコール
との組合せ、触媒の種類、反応条件等に応じて適宜決定
すれば良い。反応時間は特に限定されるものではなく、
設定した条件により異なるが、通常は反応時間又は滞留
時間(反応器内滞留液量/液供給量)として0.5〜2
0時間程度とすれば良い。
【0037】反応温度、反応圧力等の諸条件は、アルデ
ヒドとアルコールの組合せ、触媒の種類等に応じて適宜
決定すれば良い。反応温度は、通常0〜180℃程度、
好ましくは20〜150℃とすれば良い。この範囲内の
温度に設定することにより、いっそう効率的に反応を進
行させることができる。反応圧力は、減圧、常圧又は加
圧のいずれであっても良いが、通常は0.05〜2MP
a(ゲージ圧)程度の範囲内が好適である。また、反応
器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を超えないよ
うに全圧を設定すれば良い。反応系のpHは、副生成物
抑制等の見地よりpH6〜9程度とすることが望まし
い。pH調節のために、例えばアルカリ金属化合物、ア
ルカリ土類金属化合物(カルボン酸塩)を反応系への添
加剤として使用することもできる。
【0038】上記の反応後は、反応系から触媒を分離し
た後、生成したカルボン酸エステルを公知の分離精製手
段等を用いて回収すれば良い。触媒の分離方法は公知の
方法に従えば良い。例えば、反応系が触媒(固形分)と
反応生成物(液状成分)からなる場合は、ろ過、遠心分
離等の公知の固液分離方法を用いて触媒と反応生成物を
分離することができる。
【0039】本発明方法で得られるカルボン酸エステル
は、従来技術で得られるカルボン酸エステルと同様の用
途に使用することができる。例えば、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル等のカルボン酸エステルは、
各種アクリル樹脂の原料となる重合用モノマーとして有
用である。水素化反応用触媒 カルボニル化合物からのアルコールの製造 本発明の金超微粒子担持体は、該担持体からなる水素化
反応用触媒の存在下にカルボニル化合物と水素化剤とを
接触させてアルコールを製造する際に、カルボニル基を
選択的に水素化してアルコールとする反応に対して、高
い選択性と高活性を有するものである。
【0040】本発明のアルコールの製造方法では、原料
としては、カルボニル基を有する化合物であれば特に限
定はなく使用できる。例えば、飽和カルボニル化合物、
不飽和カルボニル化合物等を使用でき、これらを混合し
て用いてもよい。
【0041】これらの内で、飽和カルボニル化合物とし
ては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−
ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシ
ルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘ
キシルアルデヒド、グリオキザール、ピルビックアルデ
ヒド等のアルデヒド類や、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類等を例示できる。
【0042】不飽和カルボニル化合物としては、α,β
−不飽和カルボニル化合物、芳香族カルボニル化合物等
の不飽和カルボニル化合物を用いることができ、特に、
アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、
3−メチル−2−ブテナール、シンナミルアルデヒド等
の炭素数3〜10程度のα,β−不飽和アルデヒド類、
ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、p−ヒドロキシ
ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フルフラー
ル等の炭素数6〜20程度の芳香族アルデヒド類等を原
料とする場合には、選択性良く、高収率で対応する不飽
和アルコールを製造することができ、特に、アクロレイ
ン、メタクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルア
ルデヒド等が好ましい。
【0043】カルボニル化合物の水素化反応は、気相反
応又は液相反応として行うことができる。
【0044】カルボニル化合物の水素化反応を液相反応
として行う場合には、特に、溶媒中で水素化反応を行う
ことが好ましい。本発明触媒の存在下に溶媒中で水素化
反応を行うことによって、カルボニル化合物のカルボニ
ル基のみを選択性良く水素化して、高い選択率で対応す
るアルコールを得ることができる。しかも、高圧や高温
を要することなく、比較的低温低圧の穏和な条件下にお
いても、高選択率且つ高転化率で目的とするアルコール
を製造することができる。
【0045】溶媒としては、原料であるカルボニル化合
物を溶解でき、且つ水素化反応に関与しないものであれ
ば特に限定なく使用できる。この様な溶媒の具体例とし
ては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、1−オクタノール、1,2−エタ
ンジオール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル
等のエステル類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン
等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエ
タン、塩化ベンゼン等のハロゲン化合物等を挙げること
ができる。これらの内で、特に、メタノール、2−プロ
パノール等の脂肪族飽和アルコール類及び水を一種単独
又は二種以上混合して用いることが好ましい。
【0046】原料とするカルボニル化合物は、溶媒中に
溶解させて反応に供する。カルボニル化合物の濃度につ
いては特に限定的ではないが、通常、0.1〜60重量
%程度とすることが好ましく、1〜30重量%程度とす
ることがより好ましい。
【0047】カルボニル化合物の水素化反応は、水素化
剤として、金属水素化物、分子状水素等を用いて、溶媒
中で公知の方法に従って行えばよい。これらの水素化剤
の内で、金属水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウ
ム、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムリチウム
等を例示できる。これらの水素化剤の内で、特に分子状
水素を用いる場合に、最も簡便で経済性良く水素化反応
を行うことができる。
【0048】水素化反応の方法については、特に限定さ
れるものではなく、連続式、回分式、半回分式のいずれ
の方法で行っても良く、必要に応じて、撹拌下に反応を
行えばよい。
【0049】触媒の使用方法については、特に限定はな
く、反応時に原料であるカルボニル化合物と水素が触媒
に充分に接触できる方法であればよい。
【0050】例えば、回分式で反応を行う場合には、溶
媒中に原料と共に触媒を一括して仕込み、撹拌下に反応
を行えばよい。また、連続式で反応を行う場合には、溶
媒中に原料とともに触媒を仕込み、これを連続的に反応
装置に供給するか、或いは反応装置に予め触媒を仕込ん
でおき、ここに原料を含む溶媒を連続的に供給すればよ
い。反応装置に触媒を仕込む場合には、反応装置は、固
定床、流動床、懸濁床等いずれの形態でも良い。
【0051】触媒の使用量については、特に限定的では
なく、原料の種類、触媒の種類、極性溶媒の種類等や反
応条件等に応じて適宜決めればよい。例えば、溶媒中に
原料と共に触媒を仕込む場合には、触媒の使用量につい
ては特に限定的ではないが、通常、全溶液量に対して
0.01〜50重量%程度とすることが好ましく、0.
1〜20重量%程度とすることがより好ましい。また、
触媒を仕込んだ反応装置に原料を含む溶液と水素を連続
的に供給する方法、例えば、反応装置に何らかの方法で
触媒を固定或いは充填したところに原料を含む溶液と水
素を連続的に供給する方法では、溶液の触媒層での平均
滞留時間又は接触時間は1秒〜2時間程度であることが
好ましく、10秒〜30分程度であることがより好まし
い。
【0052】分子状水素の供給方法としては、回分式で
反応を行う場合には、水素圧が0.1〜10MPa程
度、好ましくは0.2〜2MPa程度となるように、反
応装置中に水素を供給し、更に、上記水素圧を反応期間
中維持できるように、必要に応じて、水素を追加すれば
よい。また、連続式で反応を行う場合には、やはり水素
圧が0.1〜10MPa程度、好ましくは0.2〜2M
Pa程度となるように、反応装置中に連続的に水素を供
給すればよい。
【0053】反応温度については、220℃程度以下と
いう比較的低い温度において、高転化率且つ高選択率で
目的とするアルコールを得ることができ、特に、副反応
を抑制する点では、150℃程度以下とすることが好ま
しく、120℃程度以下とすることがより好ましい。ま
た、反応温度の下限については特に限定的ではないが、
十分な活性を得るためには、0℃程度以上とすることが
適当であり、20℃程度以上とすることが好ましく、5
0℃程度以上とすることがより好ましい。
【0054】反応時間については、特に限定的ではな
く、各種反応条件によって変わり得るが、通常、反応時
間又は滞留時間(反応器内滞留液量/液供給量)として
0.5〜20時間の範囲内とすればよい。
【0055】上記した方法によって反応を行った後、必
要に応じて、ろ過、遠心分離等の公知の固液分離方法を
用いて触媒を分離し、その後、公知の分離精製手段を用
いて、生成したアルコール化合物を回収することによっ
て、目的とするアルコールを得ることができる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、BET法による比表面
積が30m2/g以下という表面積が小さく活性の低い
担体に、該担体100重量部に対して3重量部以上とい
う、これまでにない多量の金超微粒子を担持させた担持
体を得ることができる。
【0057】得られる担持体は、担体の表面積が小さく
不活性であることから、副反応を抑制でき選択性の高い
触媒として、酸化反応用触媒、水素化反応用触媒などと
して有用性が高いものである。
【0058】特に、該担持体は、例えば、アルデヒド及
びアルコールを原料とするカルボン酸エステルの製造、
カルボニル化合物の水素化によるアルコールの製造等に
おいて、高活性且つ優れた選択性を有する触媒として有
効に使用できる。
【0059】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0060】実施例1 濃度0.01mol/lの塩化金酸水溶液1リットルを
65〜70℃に保持しながら、0.5N水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてpH5に調節した。
【0061】この水溶液に、担体として酸化亜鉛(JI
S規格酸化亜鉛1種、比表面積4m 2/g)20gを投
入し、温度65〜70℃でpH5〜6に維持しながら、
1時間攪拌を続けた。その後、この水溶液を静置して上
澄み液を除去し、新たにイオン交換水0.5リットルを
加えて、室温で5分間攪拌することによって水洗を行
い、これを3回繰り返した後、濾過した。
【0062】得られた固形物を空気中120℃で10時
間乾燥し、更に空気中400℃で3時間焼成した。
【0063】こうして得られた金担持体について、蛍光
X線によりAuの含有量を調べたところ、担体100重
量部に対して9.7重量部であった。また、電子顕微鏡
にて金粒子を観察したところ、粒子の大きさはほとんど
が5〜25nm程度の範囲の超微粒子であり、酸化亜鉛
の表面に極めて高密度に担持されていることが判った。
【0064】実施例2 酸化亜鉛を分散させた溶液のpHを6〜6.8とするこ
と以外は、実施例1と同様にして酸化亜鉛に金を担持さ
せた。
【0065】得られた金担持体について、蛍光X線によ
りAuの含有量を調べたところ、担体100重量部に対
して5.6重量部であった。また、電子顕微鏡にて金粒
子を観察したところ、粒子の大きさはほとんどが3〜2
0nm程度の範囲の超微粒子であり、酸化亜鉛の表面に
極めて高密度に担持されていることが判った。
【0066】比較例1 酸化亜鉛を分散させた溶液のpHを7〜8とすること以
外は、実施例1と同様にして酸化亜鉛に金を担持させ
た。
【0067】得られた金担持体について、蛍光X線によ
りAuの含有量を調べたところ、担体100重量部に対
して0.8重量部であった。また、電子顕微鏡にて金粒
子を観察したところ、粒子の大きさはほとんどが1〜2
0nm程度の範囲の超微粒子であった。
【0068】実施例3 100ml回転攪拌付オートクレーブに、メタクロレイ
ン1.5ml、メタノール15ml、及び実施例1で得
られら金超微粒子担持体0.5gを仕込んで密封した。
次いで、系内を酸素にて0.3MPaに加圧した後、撹
拌下に80℃に加温して2時間同温度に保った。
【0069】その後、冷却して開封し、内容物をガスク
ロマトグラフィーで分析したところ、メタクロレインの
転化率は82%、メチルメタクリレートの選択率は92
%であった。また、従来法で生じる副生物であるメタク
ロレインジメチルアセタールの選択率は1%未満であっ
た。
【0070】実施例4 100ml回転攪拌付オートクレーブに、40重量%グ
リオキザール水溶液2g、メタノール15ml、及び実
施例2で得られら金超微粒子担持体0.5gを仕込んで
密封した。次いで、系内を酸素にて0.3MPaに加圧
した後、撹拌下に80℃に加温して3時間同温度に保っ
た。
【0071】その後、冷却して開封し、内容物をガスク
ロマトグラフィーで分析したところ、グリオキザールの
転化率は92%、グリオキシル酸メチルの選択率は82
%、シュウ酸ジメチルの選択率は17%であった。ま
た、従来法で生じる副生物であるアセタール類の選択率
は1%未満であった。
【0072】実施例5 100ml回転攪拌付オートクレーブに、クロトンアル
デヒド1.5g、2−プロパノール15ml、及び実施
例2で得られら金超微粒子担持体0.5gを仕込んで密
封した。次いで、系内を窒素置換した後、水素にて1M
Paに加圧した後、撹拌下に70℃に加温して4時間同
温度に保った。
【0073】その後、冷却して開封し、内容物をガスク
ロマトグラフィーで分析したところ、クロトンアルデヒ
ドの転化率は52%、クロチルアルコールの選択率は7
4%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 33/03 C07C 33/03 67/39 67/39 69/54 69/54 Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BB04A BB04B BC33A BC33B BC35B CB02 CB07 EB18X EB18Y EB19 EC02X EC02Y FA01 FA02 FB08 FB30 FC08 FC09 4H006 AA02 AC41 AC48 BA55 BA81 BA85 BB11 BB12 BB14 BB17 BC10 BC11 BC18 BC34 BE20 BE30 KA06 KC14 4H039 CA60 CA65 CB20 CC30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】BET法による比表面積が30m2/g以
    下の無機酸化物を担体として、該無機酸化物100重量
    部に対して平均粒子径25nm以下の金超微粒子が3重
    量部以上担持されてなる金超微粒子担持体。
  2. 【請求項2】金化合物を溶解した水溶液に無機酸化物を
    分散させ、該水溶液のpHを4〜6.8の範囲に維持し
    た状態で、金含有沈殿物を該無機酸化物表面に析出沈殿
    させ、その後、金含有沈殿物が析出した無機酸化物を焼
    成することを特徴とする金超微粒子担持体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の金超微粒子担持体からな
    る酸化反応用触媒。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の金超微粒子担持体からな
    る水素化反応用触媒。
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