JP2003282785A - 高周波回路用多層基板 - Google Patents

高周波回路用多層基板

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JP2003282785A JP2002086804A JP2002086804A JP2003282785A JP 2003282785 A JP2003282785 A JP 2003282785A JP 2002086804 A JP2002086804 A JP 2002086804A JP 2002086804 A JP2002086804 A JP 2002086804A JP 2003282785 A JP2003282785 A JP 2003282785A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の大型化ならびに高周波増幅回路の出力
電力の低下を防ぐことができる高周波回路用多層基板を
提供する。 【解決手段】 第1〜第4の非磁性の誘電体層51〜54が
積層されて成る誘電体基板と、第1・第2の非磁性の誘
電体層51・52の間に配設された第1の接地電極62および
第3・第4の非磁性の誘電体層53・54の間に第1の接地
電極62に対して上下に位置するように配設された第2の
接地電極63と、第1および第2の接地電極62・63が対向
している領域の第2・第3の非磁性の誘電体層52・53内
に形成された磁性体領域90と、第2および第3の非磁性
の誘電体層52・53間に磁性体領域90を通して配設された
電源配線64と、磁性体領域90を除いて配設された、誘電
体層51〜54の表面の配線導体60および上下に位置する配
線導体60を電気的に接続する接続導体61とを具備する高
周波回路用多層基板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波帯で用いら
れる高周波用半導体素子を搭載して高周波増幅回路等の
高周波回路を構成するのに好適な高周波回路用多層基板
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波増幅回路等の高周波回路を
構成するのに使用される高周波回路用多層基板として
は、非磁性の誘電体層と接地電極・電源配線等とを多層
構造に積層して構成したものが使用されている。そのよ
うな従来の高周波回路用多層基板の一例を図3に断面図
で、および図4に透視平面図で示す。
【0003】図3および図4において、1〜4は第1〜
第4の非磁性の誘電体層、10は配線導体、11は第1〜第
4の非磁性の誘電体層1〜4を貫通して配された接続導
体、12は第1の非磁性の誘電体層1と第2の非磁性の誘
電体層2との間に配された第1の接地電極、13は第3の
非磁性の誘電体層3と第4の非磁性の誘電体層4との間
に配された第2の接地電極、14は第2の非磁性の誘電体
層2と第3の非磁性の誘電体層3との間に配された電源
配線、20は半導体素子、21はボンディングワイヤ、22お
よび23は高周波回路用多層基板の上面に実装された受動
部品のチップコンデンサおよびチップ抵抗である。
【0004】また、30は入力側回路を、31は出力側信号
用回路を、32は出力側電源用回路をそれぞれ示してい
る。入力側回路30は、配線導体10とチップコンデンサ22
およびチップ抵抗23の受動部品とで構成される。出力側
信号用回路31は、配線導体10とチップコンデンサ22の受
動部品とで構成される。出力側電源用回路32は、接続導
体11と電源配線14とチップコンデンサ22の受動部品とで
構成される。
【0005】なお、図4において、配線導体10の一部、
接続導体11および接地電極12の図示は省略している。
【0006】以上のように構成された従来の高周波回路
用多層基板につき、以下その動作について説明する。
【0007】従来の高周波回路用多層基板は、図4に示
すように、出力側電源用回路32に電源配線14が用いられ
ている。電源配線14は接続導体11と配線導体10とボンデ
ィングワイヤ21とを介して高周波回路用多層基板の上面
に実装された半導体素子20に接続されている。
【0008】そして、このような高周波回路用多層基板
においては、電源配線14は、出力側信号用回路31の配線
導体10との接続点Aから出力側電源用回路32のチップコ
ンデンサ22までの長さが出力高周波信号に対してその波
長λの約4分の1(λ/4)の長さになるように設計さ
れ、これにより、出力高周波信号の周波数において接続
点Aから出力側電源用回路32を見たインピーダンスが開
放となり、半導体素子20から出力信号用回路31へ出力さ
れる出力高周波信号が接続点Aから出力側電源用回路32
へ漏洩するのを防止していた。
【0009】その長さλ/4と第2・第3の非磁性の誘
電体層2・3の比透磁率μrと比誘電率εrとの間に
は、次の式(1)で表される関係がある。 λ/4=v0/(f×√(μr×εr))・・・・・(1) 但し、v0は光速(2.99×108m/sec)、fは出力高周波
信号の周波数(MHz)である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の高周波回路用多層基板においては、電源配線
14は、出力高周波信号の漏洩を防止するために、接続点
Aから出力側電源用回路32のチップコンデンサ22まで約
λ/4の長さが必要であるため、例えば比誘電率εrが
約7〜9程度の非磁性のガラスセラミックスを非磁性の
誘電体層の材料として用いる場合であれば、周波数900
MHzに対してはλ/4の長さは20mm以上必要とな
り、多層基板の大型化を招くこととなるという問題点が
あった。
【0011】また、この場合、電源配線14のシート抵抗
が3mΩ/sqであり、線幅が200μmであるとする
と、接続点Aから出力側電源用回路32のチップコンデン
サ22までの電源配線14の直流抵抗が0.3Ω程度あること
となる。これは直流の電源電圧が5V、出力電力が4
W、RF効率が30%で動作する高周波増幅回路の場合で
あると、電源配線14に流れる直流の電流は2.7A程度で
あり、このとき接続点Aから出力側電源用回路32のチッ
プコンデンサ22までの電源配線14の間で生じる電圧降下
は0.8Vと極めて大きなものとなるため、出力電力の低
下やRF効率の低下等のような出力特性への悪影響を与
えることとなるという問題点があった。
【0012】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
案出されたものであり、その目的は基板の大型化ならび
に出力電力の低下等の出力特性への悪影響を防ぐことが
できる、高周波増幅回路等の高周波回路を構成するのに
好適な高周波回路用多層基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波回路用多
層基板は、第1〜第4の非磁性の誘電体層が積層されて
成る誘電体基板と、前記第1の非磁性の誘電体層と第2
の非磁性の誘電体層との間に配設された第1の接地電極
および前記第3の非磁性の誘電体層と第4の非磁性の誘
電体層との間に前記第1の接地電極に対して上下に位置
するように配設された第2の接地電極と、前記第1およ
び第2の接地電極が対向している領域の前記第2および
第3の非磁性の誘電体層内に形成された磁性体領域と、
前記第2および第3の非磁性の誘電体層間に前記磁性体
領域を通して配設された電源配線と、前記磁性体領域を
除いて配設された、前記誘電体層の表面の配線導体およ
び前記誘電体層を貫通して上下に位置する前記配線導体
を電気的に接続する接続導体とを具備することを特徴と
するものである。
【0014】式(1)に示すように、磁性体に囲まれる
電源配線のλ/4の長さは比透磁率μrのスクエアルー
トに反比例して短くなる。したがって、本発明の高周波
回路用多層基板によれば、電源配線が磁性体領域を通し
て配設されており、その部分では電源配線が磁性体に囲
まれる構成を採っていることから、電源配線を磁性体領
域を通して配設していることによって電源配線と出力側
信号用回路の配線導体との接続点から出力側電源用回路
のチップコンデンサまでの電源配線についてλ/4の長
さを短くすることができ、基板の大型化ならびに高周波
増幅器の出力電力の低下等の出力特性への悪影響を防ぐ
ことが可能な高周波回路用多層基板を提供することがで
きる。
【0015】また、本発明の高周波回路用多層基板にお
いては、磁性体領域を第1の接地電極と第2の接地電極
とが対向している領域の第2の非磁性の誘電体層と第3
の非磁性の誘電体層内に、これら誘電体層の一部をくり
抜いて置き換える形で形成している。これに対して、第
2の非磁性の誘電体層および第3の非磁性の誘電体層を
すべて磁性体領域とした場合、半導体素子の背面に接続
されている、誘電体層を貫通して配設された接続導体の
インダクタンスが磁性体の比透磁率により増大すること
となり、この結果、半導体素子の接地が不安定になり、
入力−出力回路間における共通の接地を介したアイソレ
ーションを劣化させることになるので好ましくない。
【0016】さらに、磁性体領域は第1の接地電極と第
2の接地電極とが対向している領域内に形成されている
ことから、磁性体領域を通して配設された出力側電源用
回路の電源配線と磁性体領域の上下に電源配線と交差す
るように配設された入力側回路の配線導体等とが磁性体
領域を介して磁気的に結合してアイソレーションの劣化
を引き起こすといった弊害を生じることもない。
【0017】また、本発明の高周波回路用多層基板は、
上記構成において、磁性体領域の比透磁率が4以上であ
ることを特徴とするものである。
【0018】磁性体領域の比透磁率を4以上とすること
により、式(1)に示すように磁性体領域に囲まれる電
源配線のλ/4の長さは、非磁性の誘電体層のように比
透磁率μrが1のときに比べて比透磁率μrのスクエア
ルートに反比例して半分以下に短くすることができる。
したがって、従来の高周波回路用多層基板における電源
配線と出力側信号用回路の配線導体との接続点から出力
側電源用回路のチップコンデンサまでの電源配線のλ/
4の長さに比べて、本発明の高周波回路用多層基板の場
合ではその電源配線の長さを半分以下とすることがで
き、電源配線の直流抵抗を半分以下として電圧降下によ
る出力電力の低下を従来の半分以下に抑えることができ
る高周波回路用多層基板とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高周波回路用多層
基板を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の高周
波回路用多層基板の実施の形態の一例を示す断面図であ
り、図2はその透視平面図である。
【0020】これらの図において、51〜54は第1〜第4
の非磁性の誘電体層、60はこれら第1〜第4の非磁性の
誘電体層51〜54の表面に配設された配線導体、61は第1
〜第4の非磁性の誘電体層51〜54を貫通して配設され
た、上下に位置する配線導体60を電気的に接続する接続
導体、62は第1の非磁性の誘電体層51と第2の非磁性の
誘電体層52との間に配設された第1の接地電極、63は第
3の非磁性の誘電体層53と第4の非磁性の誘電体層54と
の間に第1の接地電極62に対して上下に位置するように
配設された第2の接地電極、64は第2の非磁性の誘電体
層52と第3の非磁性の誘電体層53との間に配された電源
配線、90は第1の接地電極62および第2の接地導体63が
対向している領域の第2の非磁性の誘電体層52および第
3の非磁性の誘電体層53内に、これら第2および第3の
非磁性の誘電体層52・53の一部をくり抜いて置き換える
形で形成された磁性体領域、70は半導体素子、71はボン
ディングワイヤ、72および73は高周波回路用多層基板の
上面に実装された受動部品のチップコンデンサおよびチ
ップ抵抗である。
【0021】また、80は入力側回路を、81は出力側信号
用回路を、82は出力側電源用回路をそれぞれ示してい
る。入力側回路80は、配線導体60とチップコンデンサ72
およびチップ抵抗73の受動部品とで構成される。出力側
信号用回路81は、配線導体60とチップコンデンサ72の受
動部品とで構成される。出力側電源用回路82は、接続導
体61と電源配線64とチップコンデンサ72の受動部品とで
構成される。
【0022】なお、図2において、配線導体60の一部、
接続導体61および接地電極62の図示は省略している。
【0023】そして、本発明の高周波回路用多層基板に
おいては、図1および図2に示すように、電源配線64の
一部が磁性体領域90の内部を貫通するように配されてい
る。また、配線導体60および接続導体61は、高周波回路
用多層基板の内部の磁性体領域90を除く部分に配されて
いる。
【0024】このような構成の本発明の高周波回路用多
層基板は、電源配線64が磁性体領域90に囲まれる構成を
採ることにより、式(1)から分かるように、その部分
では磁性体領域90に囲まれる電源配線64のλ/4の長さ
は比透磁率μrのスクエアルートに反比例して短くな
る。したがって、電源配線64と出力信号用回路81の配線
導体60との接続点Bから出力電源用回路82のチップコン
デンサ72までの電源配線64のλ/4の長さを短くするこ
とができ、基板の大型化ならびに高周波増幅器の出力電
力の低下等の出力特性への悪影響を防ぐことが可能な高
周波回路用多層基板を提供することができる。
【0025】本発明の高周波回路用多層基板を形成する
に当たり、第1〜第4の非磁性の誘電体層51〜54、第1
および第2の接地電極62・63、配線導体60、接続導体6
1、電源配線64、磁性体領域90は、周知の高周波用配線
基板に使用される材料・形態のものを使用することがで
きる。
【0026】本発明の高周波回路用多層基板に用いる第
1〜第4の非磁性の誘電体層51〜54は、酸化アルミニウ
ム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼
結体・炭化珪素質焼結体・窒化珪素質焼結体・ガラスセ
ラミックス等の無機系絶縁材料、あるいはポリテトラフ
ルオロエチレン・エポキシ・ポリイミド・ガラスエポキ
シ等の有機系絶縁材料、あるいはセラミックス粉末等の
無機絶縁物粉末をエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で結
合して成る複合絶縁材料等の電気絶縁材料から成る。
【0027】第1〜第4の非磁性の誘電体層51〜54は、
例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれ
ば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸
化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶
剤等を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周
知のドクタブレード法を採用してシート状となすことに
よって非磁性の誘電体層51〜54となるセラミックグリー
ンシートを得て、しかる後、これらセラミックグリーン
シートに適当な打ち抜き加工を施すとともに上下に積層
し、最後にこの積層体を還元雰囲気中にて約1600℃の温
度で焼成することによって製作される。
【0028】配線導体60、接続導体61、接地電極62およ
び電源配線64は、タングステンやモリブデン・モリブデ
ン−マンガン・銅・銀・銀−パラジウム等の金属粉末メ
タライズ、あるいは銅・銀・ニッケル・クロム・チタン
・金やそれらの合金等の金属材料等から成る。例えばタ
ングステンの金属粉末メタライズから成る場合であれ
ば、タングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添
加混合して得た金属ペーストを第1〜第4の非磁性の誘
電体層51〜54となるセラミックグリーンシートのそれぞ
れに所定のパターンに印刷塗布し、これをセラミックグ
リーンシートの積層体とともに焼成することによって、
第1〜第4の非磁性の誘電体層51〜54の上面に配設され
る。
【0029】なお、磁性体領域90は例えばフェライトか
ら成り、高比透磁率を有する材料により形成する。フェ
ライトとしては、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn
系フェライト、Mg−Mn系フェライト等が使用され
る。磁性体領域90を形成するには、まず、フェライト粉
末に適当な有機溶剤・溶媒を添加混合してフェライトペ
ーストを得る。次に、第2および第3の非磁性の誘電体
層52・53の一部をくりぬいた部分に、従来周知のスクリ
ーン印刷法等の厚膜手法を採用してフェライトペースト
を印刷塗布し埋め込む。しかる後、これを焼成すること
によって所望の磁性体領域90を形成することができる。
【0030】次に、本発明の高周波回路用多層基板によ
る効果を具体的に示す例を、数値を用いて説明する。
【0031】従来の高周波回路用多層基板においては、
電源配線14は出力高周波信号の漏洩を防止するために接
続点Aからチップコンデンサ22まで約λ/4の長さが必
要であるため、例えば比誘電率μrが約7〜9程度の非
磁性のガラスセラミックスを誘電体層の材料として用い
る場合であれば、周波数900MHzではλ/4の長さと
して20mm以上必要であったが、本発明の高周波回路用
多層基板においては10mm以下にすることができる。こ
れにより、従来の高周波回路用多層基板において電源配
線14のシート抵抗が3mΩ/sqで線幅を200μmとし
た場合に、接続点Aからチップコンデンサ22までの電源
配線14の直流抵抗が0.3Ω程度あったのが、本発明の高
周波回路用多層基板では0.15Ω以下に低減できる。この
とき、従来の高周波回路用多層基板において接続点Aか
らチップコンデンサ22までの電源配線14の間に生じる電
圧降下が0.8Vであったのが、本発明の高周波回路用多
層基板においては0.4V以下と低減することができ、出
力電力の低下を防ぐことができる。
【0032】なお、本発明は上述の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
であれば種々の変更が可能である。例えば、図5に本発
明の高周波回路用多層基板の実施の形態の他の例の断面
図を示すように、磁性体領域90の厚みを第2および第3
の非磁性の誘電体層52・53の合計の厚みより薄くしても
よい。この例によれば、電源配線64についてλ/4の長
さを短縮する効果は小さくなるが、それに対しては、磁
性体領域90の比透磁率をさらに上げることで、図1に示
した例と同じ効果が期待できる。
【0033】また、本発明が適用できる高周波回路多層
基板は、前述の例で示した高周波電力増幅回路の用途だ
けではなく、電源配線への高周波信号の漏洩を防止する
ためにチップコンデンサまで約λ/4の長さを利用して
インピーダンスを開放として電源配線への高周波信号の
漏洩を防止するようなすべての用途に適用されるもので
あり、例えばアンテナスイッチ回路にも適用できるもの
である。
【0034】
【発明の効果】本発明の高周波回路用多層基板によれ
ば、電源配線が磁性体領域を通して配設されており、そ
の部分では電源配線が磁性体に囲まれる構成を採ってい
ることから、電源配線を磁性体領域を通して配設してい
ることによって電源配線と出力側信号用回路の配線導体
との接続点から出力側電源用回路のチップコンデンサま
での電源配線についてλ/4の長さを短くすることがで
き、基板の大型化ならびに高周波増幅器の出力電力の低
下等の出力特性への悪影響を防ぐことが可能な高周波回
路用多層基板を提供することができる。
【0035】また、本発明の高周波回路用多層基板にお
いては、磁性体領域を第1の接地電極と第2の接地電極
とが対向している領域の第2の非磁性の誘電体層と第3
の非磁性の誘電体層内に、これら誘電体層の一部をくり
抜いて置き換える形で形成しているので、搭載される半
導体素子の接地が不安定になったり、入力−出力回路間
における共通の接地を介したアイソレーションを劣化さ
せたりすることがない。
【0036】さらに、磁性体領域は第1の接地電極と第
2の接地電極とが対向している領域内に形成されている
ことから、磁性体領域を通して配設された出力側電源用
回路の電源配線と磁性体領域の上下に電源配線と交差す
るように配設された入力側回路の配線導体等とが磁性体
領域を介して磁気的に結合してアイソレーションの劣化
を引き起こすといった弊害を生じることもない。
【0037】また、本発明の高周波回路用多層基板によ
れば、上記構成において、磁性体領域の比透磁率を4以
上とすることにより、従来の高周波回路用多層基板にお
ける電源配線と出力側信号用回路の配線導体との接続点
から出力側電源用回路のチップコンデンサまでの電源配
線のλ/4の長さに比べて、その電源配線の長さを半分
以下とすることができ、電源配線の直流抵抗を半分以下
として電圧降下による出力電力の低下を従来の半分以下
に抑えることができる高周波回路用多層基板を提供する
ことができる。
【0038】以上により、本発明によれば、高周波回路
用多層基板において、基板の大型化ならびに高周波増幅
回路の出力電力の低下等の出力特性への悪影響を防ぐこ
とができる、高周波増幅回路等の高周波回路を構成する
のに好適な高周波回路用多層基板を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波回路用多層基板の実施の形態の
一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す高周波回路用多層基板の透視平面図
である。
【図3】従来の高周波回路用多層基板の一例を示す断面
図である。
【図4】図3に示す高周波回路用多層基板の透視平面図
である。
【図5】本発明の高周波回路用多層基板の実施の形態の
他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
51〜54・・・第1〜第4の非磁性の誘電体層 60・・・・・配線導体 61・・・・・接続導体 62・・・・・第1の接地電極 63・・・・・第2の接地電極 64・・・・・電源配線 70・・・・・半導体素子 71・・・・・ボンディングワイヤ 72・・・・・チップコンデンサ(受動部品) 73・・・・・チップ抵抗(受動部品) 80・・・・・入力側回路 81・・・・・出力側信号用回路 82・・・・・出力側電源用回路 90・・・・・磁性体領域

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1〜第4の非磁性の誘電体層が積層され
    て成る誘電体基板と、 前記第1の非磁性の誘電体層と第2の非磁性の誘電体層
    との間に配設された第1の接地電極および前記第3の非
    磁性の誘電体層と第4の非磁性の誘電体層との間に前記
    第1の接地電極に対して上下に位置するように配設され
    た第2の接地電極と、 前記第1および第2の接地電極が対向している領域の前
    記第2および第3の非磁性の誘電体層内に形成された磁
    性体領域と、 前記第2および第3の非磁性の誘電体層間に前記磁性体
    領域を通して配設された電源配線と、 前記磁性体領域を除いて配設された、前記誘電体層の表
    面の配線導体および前記誘電体層を貫通して上下に位置
    する前記配線導体を電気的に接続する接続導体とを具備
    することを特徴とする高周波回路用多層基板。
  2. 【請求項2】前記磁性体領域の比透磁率が4以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波回路用多層基
    板。
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