JP2003280289A - 静電潜像現像剤用キャリア、静電潜像現像剤及び静電潜像現像方法 - Google Patents

静電潜像現像剤用キャリア、静電潜像現像剤及び静電潜像現像方法

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JP2003280289A
JP2003280289A JP2002081143A JP2002081143A JP2003280289A JP 2003280289 A JP2003280289 A JP 2003280289A JP 2002081143 A JP2002081143 A JP 2002081143A JP 2002081143 A JP2002081143 A JP 2002081143A JP 2003280289 A JP2003280289 A JP 2003280289A
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Kimitoshi Yamaguchi
公利 山口
Naoki Imahashi
直樹 今橋
Hiroaki Takahashi
宏明 高橋
Akihiro Koban
昭宏 小番
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結着樹脂の軟化点が低く、ワックス及び着色
剤を含むトナー粒子を混合してなる電子写真用2成分現
像剤において、長時間使用してもキャリアへのスペント
が少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが
発生せず、かつ、安定した高画質を維持できる信頼性の
優れたキャリアを提供する。 【解決手段】 磁性を有する芯材の表面がシリコーン樹
脂、アミノシランカップリング剤及び含フッ素シランカ
ップリング剤を含有する被膜で被覆されている静電潜像
現像剤用キャリア。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真で用いら
れる静電潜像現像剤用キャリア、それを用いた現像剤及
び現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真の現像方式には、トナーのみを
主成分とする、いわゆる一成分系現像方式と、ガラスビ
ーズ、磁性体キャリア、あるいは、それらの表面を樹脂
などで被覆したコートキャリアとトナーとを混合して使
用する二成分系現像方式がある。二成分系現像方式は、
キャリアを使用することから、トナーに対する摩擦帯電
面積が広いため、一成分成分系現像方式に比較して帯電
特性が安定しており、また、現像領域へのトナー供給量
能力が高いため、長期にわたって高画質を維持するのに
有利である。
【0003】近年、解像度アップ、ハイライト再現性向
上及びカラー化などに対応するため、潜像の最小単位
(1ドット)の極小化、高密度化が図られている。特
に、これらの潜像(ドット)を、忠実に現像できる信頼
性の高い現像システムが重要な課題となってきており、
そのため、プロセス条件、現像剤(トナー、キャリア)
両面から種々の提案がなされている。
【0004】キャリア粒子は長時間の使用中、常にトナ
ー粒子を所望する極性で、かつ、充分な帯電量に摩擦帯
電しなければならない。しかしながら、粒子間の衝突、
粒子と現像装置内での機械的攪拌、又はこれらによる発
熱で、キャリア粒子表面にトナーが融着し、いわゆるス
ペントトナーが生じ、キャリア粒子の帯電特性が使用時
間と共に低下する。それに伴い、画像の地肌汚れや、ト
ナー飛散が生じるため、現像剤全体を取り替える必要が
生じる。
【0005】このようなスペント化を防止するため、キ
ャリア芯材表面に、表面エネルギーの低い樹脂、例えば
フッ素樹脂やシリコーン樹脂などをコートすることによ
りキャリアの長寿命化が図られてきた。例えば特開昭5
5−127569号公報には常温硬化型シリコーン樹脂
と正帯電性窒素樹脂で被覆したキャリアが、特開昭55
−157751号公報には変性シリコーン樹脂を少なく
とも1種含有した被覆材をコートしたキャリアが、特開
昭56−140358号公報には常温硬化型シリコーン
樹脂及びスチレン・アクリル樹脂を含有した樹脂被覆層
を有するキャリアが、特開昭57−96355号公報に
は核粒子表面を2層以上のシリコーン樹脂でコートし、
層間に接着性がないようにしたキャリアが、特開昭57
−96356号公報には核粒子表面にシリコーン樹脂を
多層塗布したキャリアが、また特開昭58−20705
4号公報には炭化ケイ素を含有するシリコーン樹脂で表
面を被覆したキャリアが、特開昭61−110161号
公報には20dyn/cm以下の臨界表面張力を示す材
料で被覆した正帯電性キャリアが、特開昭62−273
576号公報にはフッ素アルキルアクリレートを含有す
る被覆材でコートしたキャリアと、含クロムアゾ染料を
含くむトナーからなる現像剤が記載されている。
【0006】しかしながら、近年、高画質化のためにト
ナーが小粒径化する傾向にあり、キャリアへのトナース
ペントが生じ易くなっている。また、フルカラートナー
の場合、色再現性を良くするために、低軟化点の樹脂が
使用されている。更にトナーにワックスを含有させてメ
ンテナンスを容易にした現像剤の場合には、キャリアへ
のスペント量が非常に多くなり、トナー帯電量の低下、
トナー飛散及び地肌汚れが起こっている。フルカラー電
子写真システムでは、帯電量が低下すると、ハイライト
部の画像濃度の変化が起き易く、高画質が維持出来ない
のが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記背景に
鑑み、結着樹脂の軟化点が低く、ワックス及び着色剤を
含むトナー粒子を混合してなる電子写真用二成分現像剤
において、長時間使用してもキャリアへのスペントが少
なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生
せず、かつ、安定した高画質を維持できる信頼性の優れ
たキャリアを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
について検討を重ねたところ、シリコーン樹脂被覆キャ
リアの繰り返し使用に伴う、キャリア被膜のわずかな削
れを利用して、摩擦帯電能力の高いキャリアコート層を
出現させつつ、スペントの防止が図れるキャリア及び現
像剤を見出し本発明に至った。更に、キャリアに特定の
粒径、電気・磁気物性を付与することにより、高画質・
高信頼化が図れる構成を見出した。すなわち、本発明に
よれば、第一に、請求項1では、磁性を有する芯材の表
面がシリコーン樹脂、アミノシランカップリング剤及び
含フッ素シランカップリング剤を含有する被膜で被覆さ
れていることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが
提供される。
【0009】第二に、請求項2では、上記請求項1記載
の静電潜像現像剤用キャリアにおいて、含フッ素シラン
カップリング剤の含有量が被膜の厚さ方向に対して異な
っており、芯材に近いほど含有量が少ないことを特徴と
する静電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0010】第三に、請求項3では、上記請求項1又は
2記載の静電潜像現像剤用キャリアにおいて、アミノシ
ランカップリング剤の含有量が被膜の厚さ方向に対して
異なっており、芯材に近いほど含有量が多いことを特徴
とする静電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0011】第四に、請求項4では、上記請求項1乃至
3のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、含フッ素シランカップリング剤の含有量がシリコ
ーン樹脂の固形分に対して0.1〜10.0重量%であ
ることを特徴とするの静電潜像現像剤用キャリアが提供
される。
【0012】第五に、請求項5では、上記請求項1乃至
4のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、アミノシランカップリング剤の含有量がシリコー
ン樹脂の固形分に対して0.5〜20.0重量%である
ことを特徴とするの静電潜像現像剤用キャリアが提供さ
れる。
【0013】第六に、請求項6では、上記請求項1乃至
5のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、該キャリアの重量平均粒径Dwが25〜45μ
m、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する
粒子の割合が70重量%以上、22μmよりも小さい粒
径を有する粒子の割合が7.0重量%以下であることを
特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0014】第七に、請求項7では、上記請求項1乃至
6のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、該キャリア中の22μmよりも小さい粒径を有す
る粒子の割合が3重量%以下であることを特徴とする静
電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0015】第八に、請求項8では、上記請求項1乃至
6のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、該キャリア中の22μmよりも小さい粒径を有す
る粒子の割合が1重量%以下であることを特徴とする静
電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0016】第九に、請求項9では、上記請求項1乃至
8のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアにお
いて、芯材の嵩密度が2.3g/cm3以上であること
を特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが提供される。
【0017】第十に、請求項10では、上記請求項1乃
至9のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリアに
おいて、該キャリアの電気抵抗(LogR、Ω・cm)
が12.0以上であることを特徴とする静電潜像現像剤
用キャリアが提供される。
【0018】第十一に、請求項11では、上記請求項1
乃至10のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリ
アにおいて、1KOeにおける磁気モーメントが76e
mu/g以上であることを特徴とする静電潜像現像剤用
キャリアが提供される。
【0019】第十二に、請求項12では、上記請求項1
乃至11のいずれか1項記載の静電潜像現像剤用キャリ
アとワックスを含有するオイルレス定着用カラートナー
とからなることを特徴とする静電潜像現像剤が提供され
る。
【0020】第十三に、請求項13では、上記請求項1
2記載の静電潜像現像剤において、トナーの重量平均粒
径が6.0μm以下であることを特徴とする静電潜像現
像剤が提供される。
【0021】第十四に、請求項13では、潜像担持体と
対向して設けられる現像剤担持体上に磁性を有するキャ
リアと実質的に非磁性体であるトナーとからなる現像剤
を磁気的に保持し、潜像担持体に現像剤を連続的に当接
させ、現像剤担持体と潜像担持体の間に電位差を設ける
ことによりトナーを潜像担持体上に静電的に吸着させて
現像を行う静電潜像現像方法において、上記現像剤とし
て請求項12又は請求項13記載の現像剤を用いること
を特徴とする静電潜像現像方法が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のキャリアは、少なくとも磁性粒子表面にシリコ
ーン樹脂組成物の硬化物を主成分とするコート層を設け
たキャリアであって、該コート層のシリコーン樹脂中に
アミノシランカップリング剤及び含フッ素シランカップ
リング剤を含有させたものである。本発明のキャリアに
よれば帯電安定性の優れた長寿命キャリアが得られる。
すなわち本発明のキャリアと結着樹脂、ワックス及び着
色剤を含むトナー粒子を混合することにより、長時間使
用してもキャリアへのスペントが少なく、帯電量の低
下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、安定
した高画質を維持できる信頼性の優れた電子写真現像剤
が形成される。
【0023】上述のように、本発明のキャリアは、シリ
コーン樹脂被膜中にアミノシランカップリング剤と含フ
ッ素シランカップリング剤を含有する。これら2種類の
シランカップリング剤の作用により、スペント及び帯電
量の安定性が得られるのは、キャリアの繰り返し使用時
に、キャリアの被膜が少しずつ削れるようにしたため
で、これは被覆材の分子量、分子量分布、組成及び分子
量の小さな樹脂を含有させることにより可能である。中
でも、シリコーン樹脂は、低表面エネルギーであり、か
つ膜が少しずつ削れていくため、上記の目的に最適であ
る。
【0024】本発明では、シリコーン樹脂に対して、ア
ミノシランカップリング剤及び含フッ素シランカップリ
ング剤を化学反応させて層内に取り込み、更にそれぞれ
の含有量を深さ方向で変えることにより、帯電安定性と
スペント防止の効果が発揮される。
【0025】本発明の被覆樹脂として使用できるシリコ
ーン樹脂としては、表1の一般式で表される繰り返し単
位を含むシリコーン樹脂が挙げられる。
【0026】
【表1】 式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メ
トキシ基またはC1〜C4の低級アルキル基、またはフェ
ニル基を表す。
【0027】こうしたシリコーン樹脂の例として、たと
えばストレートシリコーン樹脂としては、KR271、
KR272、KR282、KR252、R255、KR
152(信越化学工業社製)、SR2400、SR24
06(東レダウコーニングシリコーン社製)などがあ
る。また、変性シリコーン樹脂としては、エポキシ変性
シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性
シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変
性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどが挙げら
れる。例としては、エポキシ変性:ES−1001N、
アクリル変性シリコーン:KR−5208、ポリエステ
ル変性:KR−5203、アルキッド変性:KR−20
6、ウレタン変性:KR−305(以上、信越化学工業
社製)、エポキシ変性:SR2115、アルキッド変
性:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社
製)などがある。
【0028】本発明で使用できるアミノシランカップリ
ング剤としては、表2のようなものが挙げられる。
【0029】
【表2】
【0030】アミノシランカップリング剤の含有量とし
ては、シリコーンレジンの固形分に対して、0.1〜3
0重量%、より好ましくは、0.5〜20.0重量%で
ある。アミノシランカップリング剤の含有量が0.1重
量%より少なすぎると、トナーを負極性に帯電すること
が難しく、一方含有量が30重量%より多すぎると、ト
ナーの帯電量(負極性)が高くなりすぎるて十分な画像
濃度を出すことができなくなる。
【0031】含フッ素シランカップリング剤としては、
特にフルオロアルキルシランがスペント防止に対して有
効である。シリコーン樹脂と化学的に反応して、耐久性
のある表面エネルギーの低い塗膜を形成する。フルオロ
アルキルシランとしては表3のものが挙げられる。
【0032】
【表3】
【0033】含フッ素シランカップリング剤の含有量と
しては、シリコーンレジンの固形分に対して、0.05
〜15重量%、より好ましくは、0.1〜10.0重量
%である。含フッ素シランカップリング剤の含有量が
0.05重量%より少なすぎると、トナースペントに対
して効果が見られず、一方含有量が15重量%よりも多
いと、トナーを十分に負極性にすることが難しくなる。
【0034】被膜の厚さ方向に対してアミノシランカッ
プリング剤、及び含フッ素シランカップリング剤の含有
量を変えるには、それぞれのカップリング剤に対して、
濃度の異なる2種以上のコート液を作製し、一種のコー
ト液を塗布しながら、濃度の異なる他のコート液を任意
の割合で投入して行けば良い。
【0035】更に、本発明では、キャリア芯材粒子表面
を被覆する樹脂として、以下に示すものを単独又は上記
シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチル
スチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレ
ン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル
酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合
体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−
アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フ
ェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル
共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ス
チレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタ
クリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェ
ニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メ
チル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル
酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケト
ン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシ
レン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、メラミン樹脂など。
【0036】キャリア芯材粒子表面に樹脂層を形成する
ための方法としては、スプレードライ法、浸漬法、ある
いはパウダーコーティング法など公知の方法が使用でき
る。特に、流動床型コーティング装置を用いる方法は、
均一な塗付膜を形成するのに有効である。
【0037】本発明のキャリア粒径としては、重量平均
粒径Dwが25〜45μmであり、該キャリア中の44
μmよりも小さい粒径を有する粒子の含有割合が70重
量%以上で、22μmより小さい粒径を有する粒子の含
有割合が7.0重量%以下である。
【0038】キャリア芯材粒子表面上に形成する樹脂層
の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03
〜0.8μmである。樹脂層の厚みはきわめて小さいこ
とから、樹脂層を被覆した芯材粒子からなるキャリアと
キャリア芯材粒子の粒度分布は実質的に同じである。
【0039】重量平均粒径Dwが前記範囲よりも大きい
と、キャリア付着が起こりにくい。しかし、高画像濃度
を得るために、トナー濃度を高くすると、地汚れが発生
しやすくなる。また、現像におけるドット径の再現性が
悪くなり、画像ザラツキが目立ってくる。キャリア付着
は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する
現象を示す。それぞれの電界が強いほどキャリア付着し
易い。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱
められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こりに
くい。キャリア付着は、感光体ドラムや定着ローラーの
傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。
【0040】小粒径キャリアの場合、キャリア付着して
いるキャリアの粒径を調べてみると、大部分は、22μ
m未満の微細粒子である。重量平均粒径Dwが25μm
〜45μmの小粒径キャリアにおいて、22μmより小
さい粒子の重量比率を変化させてキャリア付着を評価し
たところ、22μm以下の粒径を有する粒子が7重量%
以下ならば大きな問題はないが、3重量%、更に1重量
%とすると、キャリア付着は更に改善されることが判明
した。
【0041】本発明のキャリアを構成する芯材粒子の材
料としては、従来公知の各種の磁性材料が用いられる。
芯材粒子は1KOeにおける磁気モーメントが70em
u/g以上、好ましくは76emu/g以上とすること
により、キャリア付着は実質的に発生しなくなり、画像
のざらつきが少ない高画質が得られる。その上限値は特
に制約されないが、通常、150emu/g程度であ
る。キャリア芯材粒子の磁気モーメントが前記範囲より
も小さくなると、キャリア付着が生じやすくなるので好
ましくない。
【0042】前記磁気モーメントは、以下のようにして
測定することができる。B−Hトレーサー(BHU−6
0/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリ
ア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を
徐々に大きくし、3000Oeまで変化させ、次に徐々
に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大き
くし3000Oeとする。更に、徐々に磁場を小さくし
て零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このよ
うにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000
(1K)Oeの磁気モーメントを算出する。
【0043】本発明のキャリアで使用する1KOeの磁
場を印加したときに、70emu/g以上となる芯材粒
子としては、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マ
グネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Z
n系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn
系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトな
どが挙げられる。
【0044】フェライトとは、一般に下記式で表わされ
る焼結体である。
【数1】(MO)x(NO)y(Fe23)z 但し、x+y+z=100mol%であって、M、Nは
それぞれ、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、S
r、Caなどであり、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化
物との完全混合物から構成されている。
【0045】本発明において、より好ましく用いられる
1KOeの磁場を印加したときの磁気モーメントが76
emu/g以上の芯材粒子としては、例えば、鉄系、マ
グネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系
フェライトなどが挙げられる。
【0046】キャリア芯材の嵩密度が2.2g/cm3
以上、より好ましくは2.3g/cm3以上であると、
キャリア付着防止に有利である。嵩密度が小さい芯材
は、多孔性、又は表面の凹凸が大きい。嵩密度が小さい
と、1KOeの磁気モーメント(emu/g)が大きく
ても、1粒子当たりの実質的な磁気モーメントの値が小
さくなるため、キャリア付着に対して不利である。ま
た、表面の凹凸が大きいと場所によりコート樹脂の厚み
が違ってきて、帯電量、及び抵抗の不均一性を生じ易
く、経時での耐久性、キャリア付着などに影響を与え
る。
【0047】本発明のキャリアにおいて、抵抗率(Lo
gR、Ω・cm)は、12.0以上、より好ましくは1
3.0以上である。キャリアの抵抗率が前記範囲よりも
低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近
接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導され
てキャリア付着が発生し易くなる。感光体の線速度及び
現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見ら
れる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著であ
る。通常、カラートナー現像用キャリアは充分なトナー
付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一
般的である。上記の抵抗範囲のキャリアは、適正なトナ
ー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度
が得られることが分かった。
【0048】上記キャリア抵抗率は、次の方法により、
測定することができる。図1に示すように、電極間距離
2mm、表面積2×4cmの電極(12a)、(12
b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(11)
にキャリア(13)を充填し、両極間に100Vの直流
電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A
(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHW
HU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直
流抵抗を測定し、電気抵抗率LogR、Ωcmを算出す
る。
【0049】上記キャリアの抵抗率の調整は、芯材粒子
上の被覆樹脂の抵抗調整、膜厚の制御によって可能であ
る。また、キャリア抵抗調整のために、導電性微粉末を
被覆樹脂層に添加して使用することも可能である。
【0050】上記導電性微粉末としては、導電性Zn
O、Al等の金属又は金属酸化物粉、種々の方法で調製
されたSnO2又は種々の元素をドープしたSnO2、T
iB2、ZnB2、MoB2等のホウ化物、炭化ケイ素、
ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フ
ェニレンスルフィド)ポリピロール、ポリエチレン等の
導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラッ
ク、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げら
れる。これらの導電性微粉末は、以下の方法、即ち、コ
ーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に
導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメ
ディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を
備えた攪拌機を使用することによって均一に分散するこ
とができる。
【0051】本発明の現像剤は、前記キャリアとトナー
とからなる。本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹
脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒
子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであ
り、従来公知の各種のトナーを用いることができる。こ
のトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法に
よって作製された不定形又は球形のトナーであることが
できる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも
使用可能である。
【0052】トナーのバインダー樹脂としては以下のも
のを、単独あるいは混合して使用できる。スチレン系バ
インダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエ
ン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−
p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共
重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン
−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エ
チル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、
スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−
メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリ
ル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリ
ル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重
合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチ
レン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジ
エン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレ
ン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステ
ル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バイン
ダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレーが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テル
ペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素
樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィ
ンワックスなどが挙げられる。
【0053】また、ポリエステル樹脂は、スチレン系や
アクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確
保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能であ
る。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコー
ルとカルボン酸との重縮合反応によって得ることができ
る。
【0054】アルコールとしては、ポリエチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオ
ール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキ
サン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプ
ロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノ
ール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和
の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その
他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,
3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペ
ンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエ
スリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、
1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−
メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−
ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベン
ゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることが
できる。
【0055】また、ポリエステル樹脂を得るために用い
られるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン
酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタ
ル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22
の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有
機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステ
ルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼン
トリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン
酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,
4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタント
リカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、
1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカ
ルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メ
タン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エン
ボール三量体酸、これらの酸の無水物等の三価以上の多
価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0056】エポキシ系樹脂としては、ビスフェノール
Aとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例え
ば、エポミックR362、R364、R365、R36
6、R367、R369(以上、三井石油化学工業
(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、
YD−014、YD−904、YD−017、(以上、
東都化成(株)製)エポコート1002、1004、1
007(以上、シェル化学社製)等の市販のものが挙げ
られる。
【0057】本発明に使用される着色剤としては、カー
ボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシ
ン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハン
ザイエローG、ローダミン6G、レーキ、カルコオイル
ブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイ
エロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モ
ノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知のいかな
る染顔料をも単独あるいは混合して使用し得る。
【0058】本発明で用いるトナーは離型剤が含有され
ている。離型材料としては、低分子量ポリプロピレン、
低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワック
ス、モンタン酸ワックス等を単独又は混合して用いるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】また、トナーに磁性体を含有させて磁性ト
ナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コ
バルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、L
i系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn
系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライト
などの微粉末が使用できる。
【0060】トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的
で、いわゆる帯電制御剤、例えばモノアゾ染料の金属錯
塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ
塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミ
ノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などを
含有させることができる。
【0061】トナーには、添加剤を添加することができ
る。良好な画像を得るためには、トナーに十分な流動性
を付与することが肝要である。これには、一般に流動性
向上材として疎水化された金属酸化物の微粒子や、滑剤
などの微粒子を外添することが有効であり、金属酸化
物、有機樹脂微粒子、金属石鹸などを添加剤として用い
ることが可能である。これら添加物の具体例としては、
テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤
や、酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤;例えば表
面を疎水化したSiO2、TiO2等の無機酸化物などの
流動性付与剤;ケーキング防止剤として知られるもの、
及び、それらの表面処理物などが挙げられる。トナーの
流動性を向上させるためには、特に、疎水性シリカが好
ましく用いられる。
【0062】本発明で用いるトナーにおいて、その重量
平均粒径Dwは9.0以下更に好ましくは、6.0μm
以下である。キャリアに対するトナーの割合は、キャリ
ア100重量部当り、トナー2〜25重量部、好ましく
は4〜15重量部の割合である。
【0063】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定
されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量
部を表わす。
【0064】まずトナー及びキャリアの製造例を示す。 製造例1:トナーAの作製 ポリエステル(重量平均分子量 16000) 100部 銅フタロシアニン顔料 2部 カルナバワックス 7部 下記構造式で示す極性制御剤 1部
【化1】 上記の材料を、熱ロールで120℃で混練後、冷却固化
した後、粉砕、分級して、体積平均粒径7.4μmのフ
ルカラー用シアントナーを得た。更に、このトナー10
0部に対して、シリカR972(日本アエロジル社製)
を、1.0部添加混合してトナーAを得た。
【0065】製造例2:トナーBの作製 製造例1と同じ処方で混練、粉砕、分級して、体積平均
粒径5.7μmのフルカラー用シアントナーを得た。更
に、このトナー100部に対して、シリカR972(日
本アエロジル社製)を、1.3部添加混合してトナーB
を得た。
【0066】 製造例3:キャリアCの作製 2官能及び3官能モノマーから作製したメチルシリコーン樹脂 (重量平均分子量約4000)‥‥固形分10%のトルエン溶液 1000g ケッチェンブラック 7g 触媒V (CH32Sn(OCOCH32 5g 上記分散液を、体積平均粒径70μmのフェライト芯材
(1KOeでの飽和磁気モーメント=65emu/g、
嵩密度2.1g/cm3、LogR、Ω・cm=11.
7)5Kgに対して、流動床型コーティング装置を用い
て、100℃の雰囲気下で、約50g/minの割合で
20分かけて塗布し、更に、このシリコーン樹脂を塗布
したフェライト粒子を、270℃で1時間加熱して、キ
ャリアCを得た。
【0067】 製造例4:キャリアDの作製 2官能及び3官能モノマーから作製したメチルシリコーン樹脂 (重量平均分子量約4000)‥‥固形分10%のトルエン溶液 1000g H2NCH2CH2NH(CH23Si(OCH33 (MW 222.4) 10g CF3(CF27CH2CH2Si(OMe)3 (MW 568.1) 5g ケッチェンブラック 7g 触媒V (CH32Sn(OCOCH32 5g 上記分散液を、体積平均粒径70μmのフェライト芯材
(1KOeでの飽和磁気モーメント=65emu/g、
嵩密度2.1g/cm3、LogR、Ω・cm=11.
7)5Kgに対して、流動床型コーティング装置を用い
て、100℃の雰囲気下で、約50g/minの割合で
20分かけて塗布し、更に、このシリコーン樹脂を塗布
したフェライト粒子を、270℃で1時間加熱して、キ
ャリアDを得た。
【0068】 製造例5:キャリアEの作製 コート液: 製造例3で使用したものと同じメチルシリコーン樹脂 500g H2NCH2CH2NH(CH23Si(OCH33 (MW 222.4) 10g ケッチェンブラック 3.5g 製造例3で使用したものと同じ触媒V 2.5g コート液: 製造例3で使用したものと同じメチルシリコーン樹脂 500g CF3(CF27CH2CH2Si(OMe)3 (MW 568.1) 5g ケッチェンブラック 3.5g 製造例3で使用したものと同じ触媒V 2.5g 製造例3と同じフェライト芯材5Kgに対して、コート
液を毎分50gの割合で塗布した。塗布開始と同時に
分散液を毎分25gの割合で、コート液に投入し、
均一に分散させながら100℃の雰囲気下で、約50g
/minの割合で20分かけて塗布した。塗布終了直前
のコート液に対するコート液の割合を測定したとこ
ろ、約60%であった。塗布終了後、更に、このシリコ
ーン樹脂を塗布したフェライト粒子を、270℃で1時
間加熱して、キャリアEを得た。
【0069】 製造例6:キャリアFの作製 2官能及び3官能モノマーから作製したメチルシリコーン樹脂 (重量平均分子量約4000)‥‥固形分10%のトルエン溶液 2000g H2NCH2CH2NH(CH23Si(OCH33 (MW 222.4) 20g CF3(CF27CH2CH2Si(OMe)3 (MW 568.1) 10g ケッチェンブラック 14g 触媒V (CH32Sn(OCOCH32 10g 上記分散液を、体積平均粒径36μm、44μm以下8
2重量%、22ミクロン以下6.3重量%のフェライト
芯材(1KOeでの飽和磁気モーメント=65emu/
g、嵩密度2.1g/cm3)5Kgに対して、流動床
型コーティング装置を用いて、100℃の雰囲気下で、
約50g/minの割合で20分かけて塗布し、更に、
このシリコーン樹脂を塗布したフェライト粒子を、27
0℃で1時間加熱して、キャリアFを得た。
【0070】製造例7:キャリアGの作製 体積平均粒径36μm、44μm以下87重量%、22
ミクロン以下2.7重量%のフェライト芯材を使用する
以外は、製造例6と全く同じ方法でキャリアを作製し、
キャリアGを得た。
【0071】製造例8:キャリアHの作製 体積平均粒径35μm、44μm以下89重量%、22
ミクロン以下0.6重量%のフェライト芯材を使用する
以外は、製造例6と全く同じ方法でキャリアを作製し、
キャリアHを得た。
【0072】製造例9:キャリアIの作製 体積平均粒径36μm、44μm以下84重量%、22
ミクロン以下5.9重量%のフェライト芯材(1KOe
での飽和磁気モーメント=65emu/g、嵩密度2.
45g/cm3)の芯材を使用する以外は、製造例6と
全く同じ方法で、キャリアIを作製した。
【0073】製造例10:キャリアJの作製 体積平均粒径36μm、44μm以下82重量%、22
ミクロン以下6.3重量%のフェライト芯材(1KOe
での飽和磁気モーメント=65emu/g、)の芯材を
使用する以外は、製造例6と全く同じ方法で、Log
R、Ω・cm=14.3のキャリアJを作製した。
【0074】製造例11:キャリアKの作製 体積平均粒径35μm、44μm以下81重量%、22
ミクロン以下6.1重量%のフェライト芯材(1KOe
での飽和磁気モーメント=78emu/g、嵩密度2.
2g/cm3)の芯材を使用する以外は、製造例6と全
く同じ方法で、キャリアKを作製した。
【0075】試作したキャリアの特性を表4に示す。
【表4】
【0076】品質評価 上記により得られたキャリア(C〜K)をトナー(A又
はB)と混合して現像剤とし、それを複写機に装填して
画像出しを行ない評価を行なった。評価方法は次の各方
法によった。 (1)画像濃度:上記現像条件における、30mm×3
0mmのベタ部の中心をX−Rite938分光測色濃
度計で、5個所測定し平均値を出す。 (2)ハイライト再現ランク:粒状性についてランク見
本を作製し評価した。ランク10が最良 (3)地汚れ:上記現像条件における地肌部の地汚れを
10段階で評価した。ランクが高い程地汚れが少なく、
ランク10が最良 (4)キャリア付着:地肌ポテンシャル=Vb−Vd キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラ
ーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。キャリア
付着しても一部のキャリアしか紙に転写してこないた
め、キャリア付着を直接感光体ドラム上で観察・評価し
た。現像バイアス(Vb)をDC−500Vに固定し、
帯電電位(Vd)を−900V(=地肌ポテンシャル4
00V)とし、地肌部(⇒未露光部)を現像して、キャ
リア付着を観察した。ランク10が最良 (5)トナー飛散:現像の周囲に粘着テープを貼り、一
定枚数の間に付着するトナー量をランク見本と比較し
た。ランク10が最良 (6)トナースペント:ランニング後のキャリアを水
(界面活性剤添加)で洗浄・乾燥し、走査型電子顕微鏡
で十分に拡大して、スペントトナーの有無を観察・評価
した。
【0077】実施例1 キャリアD(100部)に対して、トナーA(6部)を
加え、ボールミルで10分攪拌して現像剤を作製したと
ころ、トナー帯電量は、−33μC/gであった。次
に、イマジオカラー4000(リコー社製フルカラー複
写機)を使用し、定着装置をオイルレスタイプに改造し
て、単色モードで画像出しを行ったところ、地肌汚れの
ない高画質が得られた。引続き、2万枚の連続コピーテ
ストを行った所、2万枚後も地肌汚れのない、高画質が
維持されていた。連続コピーテスト後、トナー帯電量は
−21μC/gであった。テスト後のキャリアを走査型
電子顕微鏡で観察したところ、トナーのスペントはほと
んどみられなかった。
【0078】比較例1 キャリアC(100部)に対して、トナーA(6部)を
加え、ボールミルで10分攪拌して現像剤を作製したと
ころ、トナー帯電量は、−16μC/gであった。次
に、実施例1と同様にして、イマジオカラー4000
(リコー社製フルカラー複写機)を使用し、定着装置を
オイルレスタイプに改造して、単色モードで画像出しを
行ったところ、地肌汚れのない高画質が得られた。引続
き、2万枚の連続コピーテストを行ったところ、5千枚
位からトナー飛散が発生し2万枚時点では、地肌汚れが
ひどくなった。連続コピーテスト後、−5μC/gと低
くなっていた。また、テスト後のキャリアを走査型電子
顕微鏡で観察したところ、キャリア上の至るところにト
ナーがスペントしていた。
【0079】実施例2〜9 以下、試作したキャリアE〜キャリアKについて、実施
例1と同様にして、イマジオカラー4000(リコー社
製フルカラー複写機)で評価した結果を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
【発明の効果】以上のように、請求項1の静電潜像現像
剤用キャリアによれば、磁性芯材の表面がシリコーン樹
脂、アミノシランカップリング剤及び含フッ素シランカ
ップリング剤を含む被膜で被覆されていることから、長
時間使用してもキャリアへのスペントが少なく、帯電量
の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、
ハイライト再現性が良好であるなど安定した高画質を維
持できる信頼性の優れたキャリアを得ることができる。
【0082】請求項2の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、含フッ素シランカップリング剤の含有量が芯材に
近いほど少ないことから、耐久性のある表面エネルギー
の低い塗膜を形成すると共に帯電安定性とスペント防止
の効果が発揮される。
【0083】請求項3の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、アミノシランカップリング剤の含有量が芯材に近
いほど多いことから、安定した帯電量が得られると共に
スペント防止の効果が発揮される。
【0084】請求項4の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、含フッ素シランカップリング剤の含有量がシリコ
ーン樹脂の固形分に対して0.1〜10.0重量%であ
ることから、トナースペントに対して有効で、しかもト
ナーを十分に負極性にする。
【0085】請求項5の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、アミノシランカップリング剤の含有量がシリコー
ン樹脂の固形分に対して0.5〜20.0重量%である
ことから、トナーを十分に負極性に帯電させる。
【0086】請求項6の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、該キャリアの重量平均粒径Dwが25〜45μ
m、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する
粒子の割合が70重量%以上、22μmよりも小さい粒
径を有する粒子の割合が7.0重量%以下であることか
ら、キャリア付着が起こりにくく、しかもトナー濃度を
高くしても地汚れが発生しない。
【0087】請求項7の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、該キャリア中の22μmよりも小さい粒径を有す
る粒子の割合が3重量%以下であることから、キャリア
付着が更に改善される。
【0088】請求項8の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、該キャリア中の22μmよりも小さい粒径を有す
る粒子の割合が1重量%以下であることから、キャリア
付着が一層改善される。
【0089】請求項9の静電潜像現像剤用キャリアによ
れば、芯材の嵩密度が2.3g/cm3以上であること
から、1粒子当たりの磁気モーメントの値が小さくなら
ず、キャリア付着防止に有利である。
【0090】請求項10の静電潜像現像剤用キャリアに
よれば、キャリアの電気抵抗(LogR、Ω・cm)が
12.0以上であることから、現像ギャップが狭くて
も、キャリア付着が発生しにくく、かつ感光体の線速度
や現像スリーブの線速度が大きい場合でもキャリア付着
が悪化しない。また、カラートナー現像用キャリアとし
て低抵抗のものが使用されても適正なトナー帯電量のも
となら充分な画像濃度が得られる。
【0091】請求項11の静電潜像現像剤用キャリアに
よれば、1KOeにおける磁気モーメントが76emu
/g以上であることから、より好ましく用いることがで
きる。
【0092】請求項12の静電潜像現像剤によれば、上
記本発明のキャリアとワックスを含有するオイルレス定
着用カラートナーからなることから、長時間使用しても
キャリアへのスペントが少なく、帯電量の低下、トナー
飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、ハイライト再現
性が良好であるなど安定した高画質を維持できる信頼性
の優れた現像剤を得ることができる。
【0093】請求項13の静電潜像現像剤によれば、ト
ナーの重量平均粒径が6.0μm以下であることから、
特にハイライト再現性が良好で安定した高画質を維持で
きる信頼性の高い現像剤を得ることができる。
【0094】請求項14の静電潜像現像方法によれば、
潜像担持体と現像剤担持体を対向して設けた現像装置に
非磁性トナーとキャリアからなる現像剤を用いる二成分
現像方法において、現像剤として上記本発明の現像剤を
用いることから、長時間使用してもキャリアへのスペン
トが少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れ
が発生せず、かつ、ハイライト再現性が良好であるなど
安定した高画質を維持できる信頼性の優れた静電潜像現
像方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリアの電気抵抗率の測定に用いる抵抗測定
セルの斜視図である。
【符号の説明】
11 セル 12a 電極 12b 電極 13 キャリア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 宏明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小番 昭宏 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AA21 BA06 BA07 CA12 CA14 CA26 EA01 EA02 EA05 EA07 EA10 FA02 2H077 BA10 DB14 EA03 EA24 GA13 2H300 EJ51 EJ52 EK01 GG01 GG11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性を有する芯材の表面がシリコーン樹
    脂、アミノシランカップリング剤及び含フッ素シランカ
    ップリング剤を含有する被膜で被覆されていることを特
    徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の静電潜像現像剤用キャリ
    アにおいて、含フッ素シランカップリング剤の含有量が
    被膜の厚さ方向に対して異なっており、磁性粒子表面に
    近いほど含有量が少ないことを特徴とする静電潜像現像
    剤用キャリア。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の静電潜像現像剤用
    キャリアにおいて、アミノシランカップリング剤の含有
    量が被膜の厚さ方向に対して異なっており、磁性粒子表
    面に近いほど含有量が多いことを特徴とする静電潜像現
    像剤用キャリア。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、含フッ素シランカッ
    プリング剤の含有量がシリコーン樹脂の固形分に対して
    0.1〜10.0重量%であることを特徴とするの静電
    潜像現像剤用キャリア。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、アミノシランカップ
    リング剤の含有量がシリコーン樹脂の固形分に対して
    0.5〜20.0重量%であることを特徴とするの静電
    潜像現像剤用キャリア。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、該キャリアの重量平
    均粒径Dwが25〜45μm、該キャリア中の44μm
    よりも小さい粒径を有する粒子の割合が70重量%以
    上、22μmよりも小さい粒径を有する粒子の割合が
    7.0重量%以下であることを特徴とする静電潜像現像
    剤用キャリア。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、該キャリア中の22
    μmよりも小さい粒径を有する粒子の割合が3重量%以
    下であることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、該キャリア中の22
    μmよりも小さい粒径を有する粒子の割合が1重量%以
    下であることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項記載の静
    電潜像現像剤用キャリアにおいて、芯材の嵩密度が2.
    3g/cm3以上であることを特徴とする静電潜像現像
    剤用キャリア。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか1項記載の
    静電潜像現像剤用キャリアにおいて、該キャリアの電気
    抵抗(LogR、Ω・cm)が12.0以上であること
    を特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか1項記載
    の静電潜像現像剤用キャリアにおいて、1KOeにおけ
    る磁気モーメントが76emu/g以上であることを特
    徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれか1項記載
    の静電潜像現像剤用キャリアとワックスを含有するオイ
    ルレス定着用カラートナーからなることを特徴とする静
    電潜像現像剤。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の静電潜像現像剤にお
    いて、トナーの重量平均粒径が6.0μm以下であるこ
    とを特徴とする静電潜像現像剤。
  14. 【請求項14】 潜像担持体と対向して設けられる現像
    剤担持体上に磁性を有するキャリアと実質的に非磁性体
    であるトナーとからなる現像剤を磁気的に保持し、潜像
    担持体に現像剤を連続的に当接させ、現像剤担持体と潜
    像担持体の間に電位差を設けることによりトナーを潜像
    担持体上に静電的に吸着させて現像を行う静電潜像現像
    方法において、前記現像剤として請求項12又は請求項
    13記載の静電潜像現像剤を用いることを特徴とする静
    電潜像現像方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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