JP3810005B2 - 画像形成現像剤用キャリア、画像形成用現像剤及び画像形成現像方法 - Google Patents

画像形成現像剤用キャリア、画像形成用現像剤及び画像形成現像方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成に使用される画像形成現像剤用キャリア、現像剤、現像方法に関し、更に詳しくは、トナーのスペント化を防止するためにキャリアを被覆する樹脂材料及びキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真等の画像形成現像方式には、トナーのみを主成分とする、いわゆる一成分系現像方式と、ガラスビーズ、磁性体キャリア、あるいは、それらの表面を樹脂などで被覆したコートキャリアとトナーとを混合して使用する二成分系現像方式がある。
【0003】
二成分現像方式は、キャリアを使用することから、トナーに対する摩擦帯電面積が広いため、一成分方式に比較して、帯電特性が安定しており、また、現像領域へのトナー供給量能力が高いため、長期にわたって高画質を維持するのに有利である。
【0004】
近年、解像度アップ、ハイライト再現性向上、及びカラー化などに対応するため、潜像の最小単位(1ドット)の極小化、高密度化が図られている。特に、これらの潜像(ドット)を、忠実に現像できる信頼性の高い現像システムが重要な課題となってきており、そのため、プロセス条件、現像剤(トナー、キャリア)両面から種々の提案がなされている。
【0005】
キャリア粒子は長時間の使用中、常にトナー粒子を所望する極性で、かつ、充分な帯電量に摩擦帯電しなければならない。しかしながら、粒子間の衝突、粒子と現像装置内での機械的攪拌、又はこれらによる発熱で、キャリア粒子表面にトナーが融着し、いわゆるスペントトナーが生じ、キャリア粒子の帯電特性が使用時間と共に低下する。それに伴い、画像の地肌汚れや、トナー飛散が生じるため、現像剤全体を取り替える必要が生じる。
【0006】
このようなスペント化を防止するため、本発明の従来技術として、キャリア芯材表面に、表面エネルギーの低い樹脂、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などをコートすることによりキャリアの長寿命化がはかられてきた。
【0007】
斯かる技術に関する公知技術として、特開昭55−157751号公報では、変性シリコーン樹脂を少なくとも1種含有した被覆材をコートしたキャリアが開示され、特開昭56−140358号公報には、常温硬化型シリコーン樹脂及びスチレン・アクリル樹脂を含有した樹脂被覆層を有するキャリアを、更に特開昭57−96355号公報には、核粒子表面を2層以上のシリコーン樹脂でコートし、層間に接着性がないようにしたキャリア、また、特開昭57−96356号公報には、核粒子表面にシリコーン樹脂を多層塗布したキャリア、特開昭58−207054号公報には、炭化ケイ素を含有するシリコーン樹脂で表面を被覆したキャリア特開昭61−110161号公報には、20dyn/cm以下の臨界表面張力を示す材料で被覆した正帯電性キャリア、特開昭62−273576号公報には、フッ素アルキルアクリレートを含有する被覆材でコートしたキャリアと、含クロムアゾ染料を含くむトナーからなる現像剤という技術開示がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年高画質化のために、トナーが小粒径化する傾向にあり、キャリアへのトナースペントが生じ易くなっている。また、フルカラートナーの場合、色再現性を良くするために、低軟化点の樹脂が使用されている。更にトナーにワックスを含有させてメンテナンスを容易にした現像剤の場合には、キャリアへのスペント量が非常に多くなり、トナー帯電量の低下、トナー飛散及び地肌汚れが起こっていた。
【0009】
フルカラー電子写真システムでは、帯電量が低下すると、ハイライト部の画像濃度に変化が起き易く、高画質が維持できないのが現状である。
【0010】
本発明の主たる目的は、結着樹脂の軟化点が低く、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる二成分現像剤において、長時間使用してもキャリアへのスペントが少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、キャリア付着の少ない、安定した高画質を維持できる信頼性の優れたキャリア、現像剤、及び現像方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、請求項1記載の発明では、少なくとも磁性粒子表面にシリコーン樹脂組成物の硬化物を主成分とするコート層を設けたキャリア、及び、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる画像形成用現像剤において、キャリアの重量平均粒径Dwが25〜45μmであり、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する粒子の含有割合が70重量%以上で、22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が7.0重量%以下であり、かつ、キャリアが含フッ素シランカップリング剤、及び正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂で被覆されたことを最も主要な特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が有機微粒子であることを主要な特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1項記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が窒素含有樹脂微粒子であることを主要な特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が、帯電量が100μc/g以上の値を示す微粒子であることを主要な特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明では、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が窒素含有樹脂であることを主要な特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明では、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの変成樹脂、又は、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリビニルアミンのいずれかであることを主要な特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明では、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩構造をもつアクリル系モノマーとスチレンモノマーからなる共重合体であることを主要な特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明では、請求項1又は2に記載の画像形成現像剤用キャリアのシリコーン樹脂固形分に対して、含フッ素シランカップリング剤の含有量が0.1〜10.0重量%であることを主要な特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明では、請求項1、7又は8に記載の画像形成現像剤用キャリアは、正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂が、窒素を含有する樹脂で変性されたシリコーン樹脂であることを主要な特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明では、請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、該キャリア中の22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が、3重量%以下であることを主要な特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明では、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、該キャリア抵抗(LogR、Ω・cm)が12.0以上であることを主要な特徴とする。
【0022】
請求項12記載の発明では、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアは、1KOeにおける磁気モーメントが76emu/g以上であることを主要な特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明では、画像形成用現像剤が、請求項1から12のいずれか1項に記載の現像剤用キャリアと少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなることを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の発明では、請求項1から12のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアを用いる現像剤は、トナーがワックスを含有するオイルレス定着用カラートナーであることを主要な特徴とする。
【0025】
請求項15記載の発明では、請求項1から12のいずれか1項に記載の現像剤用キャリアを用いる画像形成用現像剤は、トナーの重量平均粒径が6.0μm以下であることを主要な特徴とする。
【0026】
請求項16記載の発明では、本発明の現像方法は、現像剤として請求項13から15のいずれか1項に記載の現像剤を用いることを主要な特徴とする。
【0027】
請求項17記載の発明では、本発明の現像方法は、直流バイアスを印加し、現像剤として請求項13から15のいずれか1項に記載の現像剤を用いることを主要な特徴とする現像方法。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のキャリアは、シリコーン樹脂被膜中に少なくとも含フッ素シランカップリング剤、及び正帯電特性を有する組成物を含有する。正帯電特性を有する組成物として無機微粒子の場合、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、チッ化ほう素、炭化ケイ素、酸化チタン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン、ベンガラ、磁性体粉末、タルク、及びカップリング剤などで表面処理されたこれらの無機微粉末などが挙げられる。
【0029】
無機微粉末に正帯電性を付与するのには、必要に応じて以下の様なアミノシランカップリング剤で処理する方法がある。
【化1】
Figure 0003810005
【化2】
Figure 0003810005
【0030】
これらの微粉末は、キャリア被膜の厚みにもよるが、1ミリμmから数μmが望ましい。また必要に応じて2種以上を同時に用いても良い。市販されている正に帯電可能な無機微粉末としては、例えば、
日本アエロジル社(酸化ケイ素:REA200、NA50H、R504、/アルミナ:アルミニウムオキサイドC)
フジミインコーポレーテッド(炭化ケイ素:GC#4000、GC#6000)
上村工業社(酸化アルミニウム:メカノックス UB−10)
住友化学工業(アルミナ:スミコランダムAA−04、AA−05、AA−07)
ヘキスト社(酸化ケイ素:HVK21)がある。
【0031】
正帯電特性を有する組成物が有機微粒子の場合、正帯電性を示すニグロシン染料、アニリンブルー、スミゾールブラックAR(住友化学)、オイルブラックHBB(オリエント化学・C.I.26150、C.I.ソルベントブラック3)、ミケスレンブルーRSN(三井東圧、C.I.69800、C.I.バットブルー4)、セレスブルーR(バイエル社、C.I.61500、C.I.ソルベントブルー78)、バリファーストブルー1605(オリエント化学、C.I.74180)、オイルブルー2N(オリエント化学、C.I.61555)、ルラフィックスルビンB(BASF製、C.I.11115、C.I.ディスパーズレッド13)、ルラフィックスブルーFFR(BASF製、C.I.61505、C.I.ディスパーズブルー3)、ルラフィックスピンクFF3B(BASF製、C.I.62015、C.I.ディスパーズレッド11)などの微粉末も使用できる。微粉末は2種以上のものを用いることも可能である。
【0032】
ここで用いられる窒素含有樹脂はアミノ樹脂、たとえばメラミン樹脂、尿素樹脂、及びこれらの変性樹脂、又は、グアナミン樹脂、グアナミン系縮合物、アニリン樹脂、ウレア樹脂、アクリルアミド樹脂、メタクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂などである。特に、次式で示されるような側鎖に4級アンモニウム塩構造をもつ、アクリル系モノマーとスチレンモノマーの共重合体などが良好である。スチレンモノマーとアクリル系モノマーとのn1/n2比率は80/20〜20/80が好ましい。
【化3】
Figure 0003810005
【0033】
上記一般式において、R1〜R4は水素原子、炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、アルケニル基、アリール基、たとえばフェニル基若しくはナフチル基、又はアリールアルキル基、例えばベンジル基であり、アリール基及びアリールアルキル基は芳香族核において炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子、たとえばフッソ原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子で置換されていても良い。
【0034】
またX-は有機又は無機アニオンをあらわす。この場合の有機又は無機アニオンとしては、たとえば、ハロゲンアニオン、たとえば、Cl-、Br-及び/又はPF6 -、スルファート、ホスファート、シアナート、チオシナート、BF4 -、B(アリール)4 -、たとえばテトラフェニルボラート、p−メチルテトラフェニルボラート、テトラナフチルボラート、及び/又はフェノラート、ニトロフェノラート、亜鉛テトラシアナート、亜鉛テトラチオシアナート、CH3OSO3 -、飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族カルボキシレート又はスルホナート、たとえばアセテート、ラクテート、ベンゾエート、サリチレート、2−ヒドロキシ−3−ナフエート、2−ヒドロキシ−6−ナフトエート、エチルスルホナート、フェニルスルホナート、及び/又は過ふっ素化飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族カルボキシレート、又はスルホナート、たとえばパーフルオロアセテート、パーフルオロアルキルベンゾエート、パーフルオロエチルスルホナート、又はパーフルオロアルキルベンゾエートがある。
【0035】
これらの重合体樹脂微粒子を各種の方法で作成してシリコーン樹脂からなるキャリア被覆層に含有させることにより、帯電安定性の良好なキャリアを得ることが可能となる。重合体微粒子は、たとえば、縮合、エマルジョン重合、ソープフリー乳化重合、サスペンション重合などにより作成することができる。あるいは、溶液重合、バルク重合などにより得られた重合体を溶剤に溶解した後、スプレードライ法などにより造粒された微粉末や、機械的粉砕によって微粉砕された微粉末が使用出来る。微粉末は2種以上のものを用いることも可能である。
【0036】
シリコーン樹脂に含有させる正帯電特性を有する組成物とは、含フッ素シランカップリング剤を含まないシリコーン樹脂を被覆したキャリアに対して摩擦帯電させたとき正極性に帯電する物質である。更に、前記の組成物をキャリア100部に対して0.2重量部混合し、10分間攪拌した時の帯電量が50μc/g以上、好ましくは、100μc/g以上の値を示す微粒子である時、特に良好な結果が得られる。
【0037】
含フッ素シランカップリング剤としては、特にフルオロアルキルシランがスペント防止に対して有効である。シリコーン樹脂と化学的に反応して、耐久性のある表面エネルギーの低い塗膜を形成する。フルオロアルキルシランとしては以下のものが挙げられる。
CF3CH2CH2Si(OMe)3 :分子量218.1
CF3CH2CH2SiCl3 :分子量231.6
CF3(CF25CH2CH2SiCl3 :分子量481.6
CF3(CF25CH2CH2Si(OMe)3 :分子量468.1
CF3(CF27CH2CH2SiCl3 :分子量581.6
CF3(CF27CH2CH2Si(OMe)3 :分子量568.1
CF3(CF27CH2CH2SiMeCl2 :分子量561.1
CF3(CF27CH2CH2SiMe(OMe)2 :分子量552.1
【0038】
含フッ素シランカップリング剤の含有量としては、シリコーンレジンの固形分に対して、0.05〜15重量%、より好ましくは、0.1〜10.0重量%である。含フッ素シランカップリング剤の含有量が0.05重量%より少なすぎると、トナースペントに対して充分な効果が発揮されず、経時での帯電量の低下が大きくなる。一方含有量が15重量%よりも多いと、トナーを十分に負極性にすることが難しくなり、地汚れやトナー飛散が生じる。
【0039】
本発明は、上述の窒素を含有する樹脂でシリコーン樹脂を変性することにより、帯電安定性と被覆層の脆さが一段と改善され、キャリア膜厚を薄くすることが可能となり、画像濃度アップ、及びハイライト再現性が向上し、高画質化がはかれる。
【0040】
窒素を含有する有機樹脂と縮合反応するシリコーン中間体は、シリコーンレジンの官能基(シラノール基、あるいはアルコキシ基)を無触媒、又は、有機酸や、有機チタネートなどの存在下で加熱し、下記の反応を起こさせる。
≡SiOH+HOC≡ → ≡SiOC≡+H2
≡SiOR+HOC≡ → ≡SiOC≡+HOR
(R:有機基で通常はメチル基を使用)
【0041】
本発明の変性するシリコーン中間体としては、下記一般式で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂を使用することが出来る。
【化4】
Figure 0003810005
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メトキシ基又はC1〜C4の低級アルキル基又は、フェニル基を表す。
【0042】
更に、本発明では、キャリア芯材粒子表面を被覆する樹脂として、以下に示すものを単独又は上記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、などがある。
【0043】
キャリア芯材粒子表面に樹脂層を形成するための方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法など公知の方法が使用できる。特に、流動床型コーティング装置を用いる方法は、均一な塗付膜を形成するのに有効である。キャリア芯材粒子表面上に形成する樹脂層の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.5μmである。樹脂層の厚みはきわめて薄いことから、樹脂層を被覆した芯材粒子からなるキャリアとキャリア芯材粒子の粒度分布は実質的に同じである。
【0044】
本発明のキャリア粒径としては、重量平均粒径Dwが25〜45μmであり、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する粒子の含有割合が70重量%以上で、22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が7.0重量%以下である。重量平均粒径Dwが前記範囲よりも大きいと、キャリア付着が起こりにくい。しかし、高画像濃度を得るために、トナー濃度を高くすると、地汚れが発生しやすくなる。また、現像におけるドット径の再現性が悪くなり、画像ザラツキが目立ってくる。
【0045】
キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こりにくい。キャリア付着は、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。
【0046】
小粒径キャリアの場合、キャリア付着しているキャリアの粒径を調べてみると、大部分は、22μm未満の微細粒子である。重量平均粒径Dwが25〜45μmの小粒径キャリアにおいて、22μmより小さい粒子の重量比率を変化させてキャリア付着を評価したところ、22μm以下の粒径を有する粒子が7重量%以下ならば大きな問題はないが、3重量%、更に1重量%とすると、キャリア付着は更に改善されることが判明した。
【0047】
本発明のキャリアを構成する芯材粒子の材料としては、従来公知の各種の磁性材料が用いられる。1KOeにおける磁気モーメントが70emu/g以上、好ましくは76emu/g以上とすることにより、キャリア付着は実質的に発生しなくなり、画像のざらつきが少ない高画質が得られる。
【0048】
その上限値は特に制約されないが、通常、150emu/g程度である。キャリア芯材粒子の磁気モーメントが前記範囲よりも小さくなると、キャリア付着が生じやすくなるので好ましくない。
【0049】
前記磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし、3KOeまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3KOeとする。更に、徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1KOeの磁気モーメントを算出する。
【0050】
本発明のキャリアで使用する1KOeの磁場を印加したときに、70emu/g以上となる芯材粒子としては、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。
【0051】
フェライトとは、一般に下記式で表わされる焼結体である。
【数1】
(MO)x(NO)y(Fe23)z
但し、x+y+z=100mol%であって、M、Nはそれぞれ、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、Sr、Caなどであり、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化物との完全混合物から構成されている。
【0052】
本発明において、より好ましく用いられる1KOeの磁場を印加したときの磁気モーメントが76emu/g以上の芯材粒子としては、例えば、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。
【0053】
キャリアの嵩密度が2.2g/cm3以上、より好ましくは2.3g/cm3以上であると、キャリア付着防止に有利である。嵩密度が小さい芯材は、多孔性、又は表面の凹凸が大きい。嵩密度が小さいと、1KOeの磁気モーメント(emu/g)が大きくても、1粒子当たりの実質的な磁気モーメントの値が小さくなるため、キャリア付着に対して不利である。また、凹凸が大きいと場所によりコート樹脂の厚みが違ってきて、帯電量、及び抵抗の不均一性を生じ易く、経時での耐久性、キャリア付着などに影響を与える。
【0054】
本発明のキャリアにおいて、その抵抗率(LogR、Ω・cm)は、12.0以上、より好ましくは13.0以上である。キャリアの抵抗率が前記範囲よりも低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導されてキャリア付着が発生し易くなる。感光体の線速度、及び、現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見られる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著である。通常、カラートナー現像用キャリアは充分なトナー付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一般的である。上記の抵抗範囲のキャリアは、適正なトナー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度が得られることがわかった。
【0055】
上記キャリア抵抗率は、次の方法により、測定することができる。図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極2a、2bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル1にキャリア3を充填し、両極間に250Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率LogR、Ω・cmを算出する。
【0056】
上記キャリアの抵抗率の調整は、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗調整、膜厚の制御によって可能である。また、キャリア抵抗調整のために、導電性微粉末を被覆樹脂層に添加して使用することも可能である。上記導電性微粉末としては、導電性ZnO、Al等の金属又は金属酸化物粉、種々の方法で調製されたSnO2又は種々の元素をドープしたSnO2、TiB2、ZnB2、MoB2等のホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)ポリピロール、等の導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。これらの導電性微粉末は、以下の方法、即ち、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散することができる。
【0057】
本発明の現像剤は、前記キャリアとトナーとからなる。本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の各種のトナーを用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形又は球形のトナーであることができる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。トナーのバインダー樹脂としては以下のものを、単独あるいは混合して使用できる。
【0058】
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレーが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0059】
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコールとカルボン酸との重縮合反応によって得ることができる。上記アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。
【0060】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0061】
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017、(以上、東都化成(株)製)エポコ−ト1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販のものが挙げられる。
【0062】
本発明に使用される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得る。
【0063】
また、トナーに磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
【0064】
トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的で、いわゆる帯電制御剤、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などを含有させることができる。
【0065】
本発明で用いるトナーは離型剤が含有されている。離型材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独又は混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
トナーには、添加剤を添加することができる。良好な画像を得るためには、トナーに十分な流動性を付与することが肝要である。これには、一般に流動性向上材として疎水化された金属酸化物の微粒子や、滑剤などの微粒子を外添することが有効であり、金属酸化物、有機樹脂微粒子、金属石鹸などを添加剤として用いることが可能である。これら添加物の具体例としては、フッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤や、酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤;例えば表面を疎水化したSiO2、TiO2等の無機酸化物などの流動性付与剤;ケーキング防止剤として知られるもの、及び、それらの表面処理物などが挙げられる。トナーの流動性を向上させるためには、特に、疎水性シリカが好ましく用いられる。
【0067】
本発明で用いるトナーにおいて、その重量平均粒径Dtは9.0以下、更に好ましくは6.0μm以下である。キャリアに対するトナーの割合は、キャリア100重量部当り、トナー2〜25重量部、好ましくは4〜15重量部の割合である。
【0068】
本発明の現像剤を用いると、キャリアの膜厚を薄くすることが可能となるため、直流バイアスを印加する現像方法においても、キャリア付着に対する余裕度が上がるとともに、画像濃度アップ、及びハイライト再現性が向上し、高画質化がはかれる。
【0069】
【実施例】
以下本発明を、製造例、実施例、及び比較例を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量部を表わす。
【0070】
製造例1
トナーAの作成
ポリエステル(重量平均分子量 15000) 100部
銅フタロシアニン顔料 2部
カルナウバワックス 7部
サリチル酸亜鉛塩 1部
上記の材料を、熱ロールで120℃で混練後、冷却固化した後、粉砕、分級して、体積平均粒径7.6μmのフルカラー用シアントナーを得た。更に、このトナー100部に対して、シリカR972(日本アエロジル社製)を、1.0部添加混合してトナーAを得た。
【0071】
製造例2
トナーBの作成
製造例1と同じ処方で混練、粉砕、分級して、体積平均粒径5.7μmのフルカラー用シアントナーを得た。更に、このトナー100部に対して、シリカR972(日本アエロジル社製)を、1.3部添加混合してトナーBを得た。
【0072】
製造例3
キャリアCの作成
下記の混合物(いずれも、固形分換算)を、全体の固形分が5%になるように、トルエンに希釈し、ホモミキサーで充分攪拌分散させてシリコーン樹脂の混合液を調整した。
シリコーン樹脂(SR2411:
トーレダウコーニングシリコーン社製) :100部
CF3(CF27CH2CH2SiMe(OMe)2 :5部
アルミナ微粒子(メカノックス:UB10B/上村工業社製) :15部
カーボン(ケッチェンブラックC600) :2部
この分散液を、表1に示したキャリア芯材▲1▼、重量平均粒径35μm、44μm以下の粒子の重量87%、22μm以下の粒子の含有比率が6.5%、1KOeの磁気モーメントが、67emu/gのCu−Znフェライト5Kgに対して、上記のシリコーン樹脂溶液を流動床型コーティング装置を用いて、100℃の雰囲気下で、約40g/minの割合で塗布し、更に、270℃で2時間加熱して、膜厚0.22μmのキャリアCを得た.膜厚の調整はコート液量により行った.
【0073】
製造例4
キャリアDの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)の代わりに、酸化ケイ素:HVK21(ヘキスト社)も用いる以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアDを作成した。
【0074】
製造例5
キャリアEの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)を含有させないことを除いては、キャリア製造例3と全く同じ方法でキャリアEを作成した。
【0075】
製造例6
キャリアFの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)の代わりに、ソープフリー乳化重合で作られた約0.4μmのMMA樹脂微粒子(MP1201/綜研化学(株)製)を用いる以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアFを作成した。
【0076】
製造例7
キャリアGの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)の代わりに、約0.3μmのグアナミン微粒子(エポスター/日本触媒化学製)を用いる以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアGを作成した。
【0077】
製造例8
キャリアHの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)の代わりに、ルチル型酸化チタン(TITANIX)を用いる以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアHを作成した。
【0078】
製造例9
キャリアIの作成
下記の混合物(いずれも、固形分換算)を、全体の固形分が5%になるように、トルエンに希釈し、ホモミキサーで充分攪拌分散させてシリコーン樹脂の混合液を調整した。
シリコーン樹脂(SR2411:
トーレダウコーニングシリコーン社製) :100部
CF3(CF27CH2CH2SiMe(OMe)2 :5部
スチレンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体 :40部
この分散液を、表1に示したキャリア芯材▲1▼、重量平均粒径35μm、44μm以下の粒子の重量87%、22μm以下の粒子の含有比率が6.5%、1KOeの磁気モーメントが、67emu/gのCu−Znフェライト5Kgに対して、上記のシリコーン樹脂溶液を流動床型コーティング装置を用いて、100℃の雰囲気下で、約40g/minの割合で塗布し、更に、180℃で60分加熱して、膜厚0.23μmのキャリアIを得た。膜厚の調整はコート液量により行った。
【0079】
製造例10
キャリアJの作成
スチレンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体の代わりに、次式で示す窒素を含有する正帯電性の樹脂を使用する以外は、製造例9とまったく同じ方法でキャリアJを作成をした。
【化5】
Figure 0003810005
【0080】
製造例11
キャリアKの作成
CF3(CF27CH2CH2SiMe(OMe)2を、0.3部にする以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアKを作成した。
【0081】
製造例12
キャリアLの作成
CF3(CF27CH2CH2SiMe(OMe)2を、9部にする以外は、製造例3と全く同じ方法でキャリアLを作成した。
【0082】
製造例13
キャリアMの作成
アルミナ微粒子(メカノックス:UB1OB/上村工業社製)の代わりに、下記の方法で作成した、窒素含有樹脂で変性されたシリコーン樹脂を40部加え、トルエンで固形分が5%になるように希釈して、コート組成物を得た。シリコーン固形分に対して水酸基含有量が約6%のシリコーン中間体60部と、窒素を含有する下記に示すポリマーを、攪拌装置、留出管、窒素導入管、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、キシレンと、触媒としてチタンアルコキシドと共に仕込み、チッソを流し、攪拌しながら、温度を200℃に保ち、留出水は系外に除去しながら6時間反応を続け、常温まで降温した。反応させた液をガラス板に数滴たらして、180℃で20分加熱したところ、樹脂被膜は透明になっており、窒素含有樹脂で変性されたシリコーン樹脂が得られていることがわかった。
【化6】
Figure 0003810005
【0083】
この分散液を、表1に示したキャリア芯材▲1▼、重量平均粒径35μm、44μm以下の粒子の重量87%、22μm以下の粒子の含有比率が6.5%、1KOeの磁気モーメントが、67emu/gのCu−Znフェライト5Kgに対して、上記のシリコーン樹脂溶液を流動床型コーティング装置を用いて、100℃の雰囲気下で、約40g/minの割合で塗布し、更に、180℃で60分加熱して、膜厚0.17μmのキャリアOを得た。膜厚の調整はコート液量により行った。
【0084】
製造例14
キャリアNの作成
キャリア製造例3におけるキャリア芯材▲1▼の代わりに、表1に示す、22ミクロン以下の粒子の含有比率が、2.3%であるキャリア芯材▲2▼を使用する以外は、製造例3と全く同じ方法で、キャリアNを作成した。
【0085】
製造例15
キャリアOの作成
キャリア製造例3におけるキャリア芯材▲1▼の代わりに、表1に示す、22ミクロン以下の粒子の含有比率が、0.5%であるキャリア芯材▲3▼を使用する以外は、製造例3と全く同じ方法で、キャリアOを作成した。
【0086】
製造例16
キャリアPの作成
製造例3において、C600を2部から1部に減らす以外は製造例3と全く同じ方法で、キャリア芯材▲1▼にシリコーン組成物を、塗布して、キャリア抵抗LogR=12.7Ω・cmのキャリアPを作成した。
【0087】
製造例17
キャリアQの作成
芯材▲1▼の代わりに、表1に示す芯材▲4▼を使用すること以外は、製造例3と全く同じ方法で、1KOeの磁気モーメントが、78emu/gのキャリアQを得た。
【0088】
製造例3〜19で説明したキャリアの特性を表1に示した。
【0089】
【表1】
Figure 0003810005
【0090】
品質評価方法
下記の方法で、画像濃度、ハイライト再現ランク、地汚れ、キャリア付着、トナー飛散、トナースペントの各項目について品質評価を行った。
(1)画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出す。
(2)ハイライト再現ランク:粒状性についてランク見本を作成し評価した。
ランク10を最良とした。
(3)地汚れ:上記現像条件における地肌部の地汚れを10段階で評価した。
ランクが高い程地汚れが少なく、ランク10を最良とした。
(4)キャリア付着:地肌ポテンシャル=Vb−Vd
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。キャリア付着しても一部のキャリアしか紙に転写してこないため、キャリア付着を直接感光体ドラム上で観察・評価した。
現像バイアス(Vb)をDC−500Vに固定し、帯電電位(Vd)を−900V(=地肌ポテンシャル400V)とし、地肌部(⇒未露光部)を現像して、キャリア付着を観察した。ランク10を最良とした。
(5)トナー飛散:現像の周囲に粘着テープを貼り、一定枚数の間に付着するトナー量をランク見本と比較した。ランク10を最良とした。
(6)トナースペント:ランニング後のキャリアを水(界面活性剤添加)で洗浄・乾燥し、走査型電子顕微鏡で十分に拡大して、スペントトナーの有無を観察・評価した。
【0091】
実施例1〜16及び比較例1
キャリアC(100部)に対して、トナーA(6部)を加え、ボールミルで10分攪拌して現像剤を作成した所、トナー帯電量は、−35μc/gであった。次に、イマジオカラー4000(リコー社製フルカラー複写機)を使用し、定着装置をオイルレスタイプに改造して、単色モードで画像出しを行った所、地肌汚れのない高画質が得られた。
【0092】
引続き、2万枚の連続コピーテストを行った所、キャリアへのトナースペントを走査型電子顕微鏡で観察したところ、少しスペントが増えていたが、初期ほほぼ同じレベルの画質が維持されていた。以下、試作したキャリアC〜Sまでのキャリアについて、イマジオカラー4000(リコー社製フルカラー複写機)でテストした実施例1〜16の結果を表2に示す。
【0093】
実施例16は直流バイアスを印加した現像実験の結果である。キャリア付着に対する余裕度が上がるとともに、画像濃度アップ、及びハイライト再現性が向上し、高画質化がはかれている。
【0094】
【表2】
Figure 0003810005
【0095】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1によれば、少なくとも磁性粒子表面にシリコーン樹脂組成物の硬化物を主成分とするコート層を設けたキャリア、及び、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる画像形成用現像剤において、キャリアの重量平均粒径Dwが25〜45μmであり、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する粒子の含有割合が70重量%以上で、22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が7.0重量%以下であり、かつ、キャリアが含フッ素シランカップリング剤、及び正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂で被覆されたことを特徴とする画像形成用現像剤により、シリコーン樹脂の欠点である固さ(脆さ)が改良され、削れ難くすることが出来るため、キャリア膜厚を薄くしてもキャリア付着を少なくすることが可能になる。
【0096】
請求項2によれば、正帯電特性を有する組成物が有機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、帯電安定性の良好なキャリアを得ることができる。
【0097】
請求項3によれば、正帯電特性を有する組成物が、窒素含有樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、トナースペントが少なく、帯電安定性を良好にすることができる。
【0098】
請求項4によれば、正帯電特性を有する組成物が、帯電量が100μc/g以上の値を示す微粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、キャリア付着が起こりにくく、高画像濃度で地汚れが少なく、かつ、ハイライト再現性の良好なキャリア、及び現像剤を提供することができる。
【0099】
請求項5によれば、正帯電特性を有する組成物が、窒素含有樹脂であることを特徴とする特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、長時間使用してもキャリアへのスペントが少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、安定した高画質を維持できる信頼性の優れたキャリアを提供することが出来る。
【0100】
請求項6によれば、正帯電特性を有する組成物が、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの変成樹脂、又は、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリビニルアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、特にキャリアへのスペントが少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、安定した高画質を維持できる信頼性の優れたキャリアを提供することができる。
【0101】
請求項7によれば、正帯電特性を有する組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩構造をもつアクリル系モノマーとスチレンモノマーからなる共重合体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、帯電安定性を良好にすることが可能となった。
【0102】
請求項8によれば、シリコーン樹脂の固形分に対して、含フッ素シランカップリング剤の含有量が0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、含フッ素シランカップリング剤は、シリコーン樹脂と化学的に反応して、耐久性のある表面エネルギーの低い塗膜を形成し、特にフルオロアルキルシランがスペント防止に対して有効である。含有量が0.05重量%より少なすぎると、トナースペントに対して充分な効果が発揮されず、経時での帯電量の低下が大きく、含有量が15重量%より多いと、トナーを十分に負極性にすることが難しくなり、地汚れやトナー飛散が生じる。
【0103】
請求項9によれば、正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂が、窒素を含有する樹脂で変性されたシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1、7又は8に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、帯電安定性と被覆層の脆さが一段と改善され、削れ難くすることが出来るため、キャリア膜厚を薄してもキャリア付着を少なくすることが可能となり、画像濃度アップ、及びハイライト再現性が向上し、高画質化がはかれる。
【0104】
請求項10によれば、該キャリア中の22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が、3重量%以下であることを特徴とする請求項1から9項のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、キャリアの付着が少なくなり、地肌汚れが発生せず、かつ、安定した高画質を維持できる信頼性の優れたキャリアを提供することが出来る。
【0105】
請求項11によれば、該キャリア抵抗(LogR、Ω・cm)が12.0以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、キャリアの抵抗率が前記範囲よりも低いとき、キャリアに電荷が誘導されキャリア付着が発生し易くなる現象に対し、上記の抵抗範囲のキャリアであれば、適正なトナー帯電量のもとで使用できるので、充分な画像濃度が得られる。
【0106】
請求項12によれば、1KOeにおける磁気モーメントが76emu/g以上であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリアにより、キャリア付着は実質的に発生しなくなり、画像のざらつきが少ない高画質が得られる。
【0107】
請求項13によれば、キャリアが請求項1から12のいずれか1項に記載の現像剤用キャリアと少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなることを特徴とする画像形成用現像剤により、シリコーン樹脂の欠点である固さが改良され、キャリア膜厚を薄くしてもキャリア付着を少なくすることが可能になり、高画質が得られる。
【0108】
請求項14によれば、トナーがワックスを含有するオイルレス定着用カラートナーであって、請求項1から12のいずれか1項に記載のキャリアを用いることを特徴とする画像形成用現像剤により、地汚れがない高画質が得られる。
【0109】
請求項15によれば、トナーの重量平均粒径が6.0μm以下であって、請求項1から12のいずれか1項に記載のキャリアを用いることを特徴とする画像形成用現像剤により、小粒径トナーとの組み合わせにより、キャリア付着が起こりにくく、高画像濃度で、かつ、ハイライト再現性の良好なキャリア、及び現像剤を提供することができる。
【0110】
請求項16によれば、現像剤として請求項13から15のいずれか1項に記載の現像剤を用いることを特徴とする現像方法により、長時間使用してもキャリアへのスペントが少なく、帯電量の低下、トナー飛散、及び地肌汚れが発生せず、かつ、安定した高画質を維持できる現像方法を提供することができる。
【0111】
請求項17によれば、画像形成現像方法において、直流バイアスを印加し、現像剤として請求項13から15のいずれか1項に記載の現像剤を用いることを特徴とする現像方法により、キャリアの膜厚を薄くすることが可能となるため、直流バイアスを印加する現像方法においても、キャリア付着に対する余裕度が上がるとともに、画像濃度アップ、及びハイライト再現性が向上し、高画質化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャリアの電気抵抗率の測定に用いる抵抗測定セルの斜視図である。
【符号の説明】
11 セル
12a 電極
12b 電極
13 キャリア

Claims (17)

  1. 少なくとも磁性粒子表面にシリコーン樹脂組成物の硬化物を主成分とするコート層を設けたキャリア、及び、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなる画像形成現像剤において、キャリアの重量平均粒径Dwが25〜45μmであり、該キャリア中の44μmよりも小さい粒径を有する粒子の含有割合が70重量%以上で、22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が7.0重量%以下であり、かつ、キャリアが含フッ素シランカップリング剤及び正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂で被覆されたことを特徴とする画像形成現像剤用キャリア。
  2. 正帯電特性を有する組成物が、有機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  3. 正帯電特性を有する組成物が、窒素含有樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  4. 正帯電特性を有する組成物が、帯電量が100μc/g以上の値を示す微粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  5. 正帯電特性を有する組成物が、窒素含有樹脂であることを特徴とする特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  6. 正帯電特性を有する組成物が、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの変成樹脂、又は、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリビニルアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  7. 正帯電特性を有する組成物が、側鎖に4級アンモニウム塩構造をもつアクリル系モノマーとスチレンモノマーからなる共重合体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  8. シリコーン樹脂の固形分に対して、含フッ素シランカップリング剤の含有量が0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  9. 正帯電特性を有する組成物を含有させたシリコーン樹脂が、窒素を含有する樹脂で変性されたシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1、7又は8に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  10. 前記キャリア中の22μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が、3重量%以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  11. 前記キャリア抵抗(LogR、Ω・cm)が12.0以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  12. 1KOeにおける磁気モーメントが76emu/g以上であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成現像剤用キャリア。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の現像剤用キャリアと少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含むトナー粒子を混合してなることを特徴とする画像形成用現像剤。
  14. トナーがワックスを含有するオイルレス定着用カラートナーであって、請求項1から12のいずれか1項に記載のキャリアを用いたことを特徴とする画像形成用現像剤。
  15. トナーの重量平均粒径が6.0μm以下であって、請求項1から12のいずれか1項に記載のキャリアを用いることを特徴とする画像形成用現像剤。
  16. 請求項13から15のいずれか1項に記載の現像剤を用いることを特徴とする現像方法。
  17. 請求項16記載の現像方法において、直流バイアスを印加したことを特徴とする現像方法。
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