JP2003280281A - 球状フェライト粒子、その製造方法及び該球状フェライト粒子からなる電子写真現像用キャリア - Google Patents
球状フェライト粒子、その製造方法及び該球状フェライト粒子からなる電子写真現像用キャリアInfo
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Abstract
とんど有しない、特に、電子写真現像剤用キャリアとし
て有用な球状のフェライト粒子を提供する。 【解決手段】 式(MO)100-X (Fe2 O3 )X (但
し、MはLi、Mg、Ni、Cu、Zn、Mn、Ca、
Feから選ばれる少なくとも1種の金属、Xは45〜9
5モル%)で示されるフェライトからなり、平均粒径が
1〜45μm、BET比表面積が0.2m2 /g以下、
水銀圧入法による細孔容積が0.05ml/g以下である
ことを特徴とする。
Description
子、その製造方法及び該球状フェライト粒子からなる電
子写真現像用キャリアに関し、更に詳しくは、粒子サイ
ズが1〜45μmの範囲で自由に制御でき、且つ、細孔
が極めて少ないことを特徴とする球状フェライト粒子、
その製造方法及び該球状フェライト粒子からなる電子写
真現像用キャリアに関するものである。本発明に係る球
状フェライト粒子は、磁性キャリア、電磁波吸収材およ
び電磁波シールド材用材料粉末、導電性磁性粒子等の静
電潜像現像剤用材料粉末、ゴム、プラスチック用充填材
および補強材並びにペンキ、 絵具および接着剤用艶消
材、 充填材および補強材等の分野で有用で、特に電子写
真現像用キャリアとして有用である。
用途で使用されているフェライト粉末に対しての要求特
性は一層厳しいものとなってきている。フェライト粒子
の用途としては、特に、電子写真現像剤用キャリアのよ
うに挙動単位が粒子自体の大きさである場合と、磁気ヘ
ッド、 通信用コイルやトランス等のように、成型体とし
て使用される場合の2つのケースが存在する。前者の場
合では、より高画質化、高寿命化を達成するために、ま
た、後者の場合では、より小さい部品を製造するため微
小な金型での成型を容易にするために、従来よりも小さ
なサイズで、且つ球状のフェライト粒子が強く求められ
ている。
レン、OPC、α−Si等の光導電性物質を感光体とし
て用い、種々の手段により静電気的潜像を形成し、この
潜像に磁気ブラシ現像法等を用いて、潜像の極性と逆に
帯電させたトナーを静電気力により付着させ、顕像化す
る方式が一般的に採用されている。
ばれる担体粒子が使用され、摩擦帯電により適量の正ま
たは負の電気量をトナーに付与すると共に、 磁気力を利
用することによって磁石を内蔵する現像スリーブを介し
て、潜像を感光体表面付近の現像領域にトナーを搬送す
る。
リンターに広く多用化されており、細線や小文字、 写真
あるいはカラー原稿等様々な文書に対応できることが要
求されている。さらに高画質化や高品位化、 高速化およ
び連続化等についても合わせて要求されており、今後も
ますますこれらの要求は大きくなるものと思われる。
ライト、マグネタイトキャリアあるいはバインダー型キ
ャリア(磁性体微粒子を樹脂中に分散させた複合体粒
子)等が開発され、実用化されている。
ポンジ状、球状のものがあるが、真比重が7〜8であっ
て、かさ密度も3〜4g/cm3 と大きいために、現像
機中で攪拌するためには大きな駆動力を必要とし、機械
的な損耗が多く、トナーのスペント化、キャリア自体の
帯電性劣化や感光体の損傷を招きやすい。
て、真比重は4.5〜5.5程度、かさ密度は2〜3g
/cm3 程度であるため、鉄粉キャリアの欠点である重
さを解消することができ、現在もっとも多く使用されて
いるキャリアである。
g/cm3 程度以下とかさ密度が小さいものであると共
に、粒子に形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い傾向
にある球状にすることが容易であるため、流動性に優れ
ているという特徴を有し、その粒子サイズも広範囲に制
御できることから、現像スリーブ又はスリーブ内の磁石
の回転数が大きい高速複写機や汎用コンピュータの高速
レーザービームプリンタ等に最適であり、広く使用され
ている。
一に、帯電量の安定性が挙げられる。すなわち、トナ
ーを速く帯電させることができ、且つ、長期の使用に
よっても帯電量が安定であること、さらに、環境を変
えても帯電量が大きく変化しないこと等である。
ること、言い換えると、帯電の立ち上がりを速くするた
めには、トナーとキャリアの混合性を良くすることが重
要であり、そのためには適度な比重、殊に2.5〜5.
2程度の比重を有すること等が要求される。トナーにダ
メージを与えない程度に大きな比重のほうが好ましい。
この観点では、バインダー型キャリアよりもフェライト
キャリアのほうが好ましい。
帯電量を安定化させるためには、トナーにダメージを与
えないことが要求され、所謂スペント化を起こさないよ
うにすることが求められる。このためには、粒子表面の
凹凸をできるだけ少なくすることが必要である。
電量差を少なくするためには、高温高湿(HH環境)及
び低温低湿(LL環境)におけるキャリアの電気抵抗の
変化が少ないことが求められる。また、水分量の変化が
少ないことも重要である。この観点においては、水分量
の大きな樹脂を含む構造であるバインダー型キャリアは
好ましくない。
粒子の表面に種々の樹脂を被覆することが試みられてい
る(特開昭47−13954号公報、特開昭54−66
0号公報等)。しかしながら、被覆する前のフェライト
コア粒子の表面が凹凸であるために、これら樹脂被覆層
の厚みも不均一であり、また、粒子内部に多数の細孔を
有しているために、特に高湿下において水分が細孔に取
り込まれ、電気抵抗の急激な低下および帯電量の環境間
での変化が大きくなり、実用に耐えなくなる。
空孔量、平均粒径およびグレインサイズを特定したフェ
ライトキャリアに関して報告されている。特に、空孔量
は2.0×10-2cm3 /g以下とかなり細孔の少ない
構造であるが、平均粒径は50〜150μmで且つグレ
インサイズが10μm以上であり、粒子表面はかなり凹
凸の大きなフェライト粒子であると言える。
ては、特公平7−23975号公報に記載のように、フ
ェライトを構成する各元素の供給原料粉、例えばFe2
O3、ZnO、MnO等をボールミルにて所定の配合比
で混合し、乾燥した後、800−900℃で一旦仮焼き
を行い、再びボールミルで粉砕する。これにポリビニル
アルコールのようなバインダー、分散剤を加えスラリー
化したものを、噴霧乾燥法により球状粒子に造粒し、得
られた造粒物を還元性雰囲気中で加熱処理を行うことで
粒子表面に低抵抗層を形成したフェライト粒子を得る。
さらに45μm以下の小粒径のフェライト粒子を収率良
く得ようとすると、一旦仮焼きを行ったフェライトの粉
( 仮焼粉) をかなり小さく粉砕することが必要であり、
さらに小粒径化するためには、上記スラリー濃度も低く
する必要があり、噴霧乾燥する際に空気を多く含み、結
果として得られるフェライト粒子には細孔が多数含まれ
るという問題が生じる。よって、45μm以下のような
小粒径で、かつ球状のフェライト粒子を得ることは非常
に困難である。
鑑み、粒子サイズが1〜45μmの範囲で自由に制御で
き、且つ、細孔が極めて少ないことを特徴とする球状フ
ェライト粒子、及びその製造方法、さらに電子写真の高
画質化や高品位化、 高速化および連続化を達成するため
に必要な球状のフェライトキャリア粒子を提供すること
を課題とする。
かる請求項1は、式(MO)100-X (Fe2 O3 )
X(但し、MはLi、Mg、Ni、Cu、Zn、Mn、
Ca、Feから選ばれる少なくとも1種の金属、Xは4
5〜95モル%)で示されるフェライトからなり、平均
粒径が1〜45μm、BET比表面積が0.2m2 /g
以下、水銀圧入法による細孔容積が0.05ml/g以下
であることを特徴とする球状フェライト粒子を内容とす
る。
ト原料粒子の存在下で、フェノール類とアルデヒド類と
を水性媒体中で反応・硬化させることによりフェライト
原料粒子とフェノール樹脂とからなる複合体粒子を生成
させ、次いで、400〜700℃で加熱処理することに
より前記フェノール樹脂を除去し、さらに800〜14
00℃で加熱処理することによりフェライト化させるこ
とを特徴とする球状フェライト粒子の製造方法を内容と
する。
イト原料粒子が、Li2 O、Li2CO3 、MgO、N
iO、CuO、ZnO、MnO、Mn3 O4 、CaO、
Fe 2 O3 から選ばれる請求項2記載の製造方法を内容
とする。
粒子中のフェライト原料粒子の含有量が80〜98重量
%である請求項2又は3記載の製造方法を内容とする。
イト原料粒子があらかじめ親油化処理剤で処理されたも
のである請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造方法
を内容とする。
処理剤がシラン系カップリング剤、チタネート系カップ
リング剤、界面活性剤から選ばれる請求項2〜5のいず
れか1項に記載の製造方法を内容とする。
処理剤の量がフェライト原料粒子に対し0.1〜5.0
重量%である請求項5又は6記載の製造方法を内容とす
る。
粒子生成の反応・硬化を70〜90℃で行う請求項2〜
7のいずれか1項に記載の製造方法を内容とする。
ール樹脂除去の加熱処理を500〜600℃で行う請求
項2〜8のいずれか1項に記載の製造方法を内容とす
る。
ライト化の加熱処理を900〜1300℃で行う請求項
2〜9のいずれか1項に記載の製造方法を内容とする。
1記載の球状フェライト粒子からなることを特徴とする
電子写真現像用キャリアを内容とする。
は、式(MO)100-X (Fe2 O3 )X (但し、MはL
i、Mg、Ni、Cu、Zn、Mn、Ca、Feから選
ばれる少なくとも1種の金属、Xは45〜95モル%)
で示されるフェライトからなり、平均粒径が1〜45μ
m、BET比表面積が0.2m2 /g以下、水銀圧入法
による細孔容積が0.05ml/g以下であることを特徴
とするものである。
しくは48〜90モル%である。Xが45モル%未満で
は電気抵抗値が高くなり、得られる画像濃度が低くな
る。一方、95モル%を越えると飽和磁化値が低くな
り、キャリアが飛散したり、感光体に付着してしまう。
子径は1〜45μmである。平均粒子径が1μm未満の
粒子は、樹脂等で成型する際の充填量を高めることが難
しくなる。一方、45μmを越えるものは半導体封止材
用の充填材等として使用される場合、充填量を高めるこ
とが難しくなる。電子写真現像剤用キャリアとして使用
する場合には、10〜45μmが好ましい。平均粒子径
が10μm未満の粒子は、感光体への飛散が問題とな
り、一方、45μmを越えるものは高画質化を達成する
ことが難しくなる。
布は、D50で示した場合の平均粒子径に対するD90(フ
ェライト粒子の全体積を100%として累積体積で表し
た粒子径を求めたときの累積割合が90%となる点)で
示した場合の平均粒子径の比率(D90/D50)では、好
ましくは3. 0以下、より好ましくは2. 8以下であ
る。D10(フェライト粒子の全体積を100%として累
積体積で表した粒子径を求めたときの累積割合が10%
となる点)で示した場合の平均粒子径に対するD 50で示
した場合の平均粒子径の比率(D50/D10)では、好ま
しくは3. 0以下、より好ましくは2. 5以下である。
比表面積は0.2m2 /g以下、好ましくは0.15m
2 /g以下であり、また、水銀圧入法による細孔容積は
0.05ml/g以下、好ましくは0.01ml/g以下で
ある。BET比表面積が0.2m2 /gより大きくなる
と帯電の環境安定性が悪くなり、また細孔容積が0.0
5ml/gより大きくなると帯電の環境安定性が悪くな
る。BET比表面積、細孔容積の下限は特に制限されな
いが、測定機の測定精度の点から、通常、BET比表面
積は0.01m2 /g程度、細孔容積は0.001ml/
g程度である。
ライト原料粒子の存在下で、フェノール類とアルデヒド
類とを水性媒体中で反応・硬化させることによりフェラ
イト原料粒子とフェノール樹脂とからなる複合体粒子を
生成させ、次いで、400〜700℃で加熱処理するこ
とにより前記フェノール樹脂を除去し、さらに800〜
1400℃で加熱処理することにより製造することがで
きる。
発明のフェノール粒子を構成する元素の供給源であっ
て、例えば、Li、Mg、Ni、Cu、Zn、Mn、C
a、Fe等の酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩等
を用いることができる。また、Fe元素の供給源として
は、Fe2 O3 を用いる。これらは水に溶解せず、又は
水によって変質、変性しないものであればよく、各元素
の酸化物が好ましい。具体的には、Li2 O、Li2 C
O3 、MgO、NiO、CuO、ZnO、MnO、Mn
3 O4 、CaO等とFe2 O3 等の各粒子を、目的とす
るフェライト粒子の組成比率になるように混合して使用
する。
状、多面体状、球状、針状、板状等のいずれの形態の粒
子をも使用することができる。平均粒子径は、複合体粒
子の平均粒子径よりも小さい粒子であればよく、0.0
1〜5.0μm、殊に、0.1〜2.0μmの範囲のも
のが好ましい。フェライト原料粒子の平均粒子径が0.
01μm未満では複合体粒子中のフェライト原料粒子の
含有量が低くなり、一方、5.0μmを越えると複合体
粒子及びフェライト粒子の球形度が低くなる。
成して組成の均一性を高めることができる。仮焼成は通
常700〜1000℃で1〜4時間程度が適当である。
また、フェライト原料粒子は、あらかじめ親油化処理を
しておくことが望ましく、親油化処理がされていないフ
ェライト原料粒子を用いる場合には、球状複合体粒子を
得ることが困難となる場合がある。
ン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等の
カップリング剤で処理する方法、又は界面活性剤を含む
水性媒体中にフェライト原料粒子を分散させ、粒子表面
に界面活性剤を吸着させる方法等がある。
基、エポキシ基、アミノ基を有するものがあり、これら
は単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられ
る。疎水性基を有するシラン系カップリング剤として
は、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等があり、チ
タネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリ
イソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシ
ルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス
(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等がある。
剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメト
キシシラン等がある。
としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
の界面活性剤を使用することができるが、無機化合物粒
子や該粒子表面に有する水酸基と結合可能な官能基を有
するものが望ましく、イオン性で言えばカチオン性、あ
るいはアニオン性のものが好ましい。これらは単独で又
は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
目的を達成できるが、フェノール樹脂との接着性を考慮
するとアミノ基、あるいはエポキシ基を有するシラン系
カップリング剤による処理が好ましい。
ライト原料粒子に対し0.1〜5.0重量%が好まし
い。0.1重量%未満の場合には、親油化処理剤の被覆
を複合体粒子表面に密着させることが困難となり、ま
た、親油化処理が不十分なためにフェライト粒子の含有
量の高い複合体粒子を得ることができない。一方、5.
0重量%を越える場合には、親油化処理剤の被覆を複合
体粒子表面に密着させることができるが、生成した複合
体粒子同志の凝集が生じ、複合体粒子の粒子サイズの制
御が困難になる。
するには、まず、フェライト原料粒子及び塩基性触媒の
存在下でフェノール類とアルデヒド類とを水性媒体中で
反応させることにより、フェライト原料粒子とフェノー
ル樹脂とからなる球状の複合体粒子を調製する。
有量は、80〜98重量%が好ましい。80重量%未満
の場合には、フェノール樹脂が多くなり引き続いて行わ
れる加熱処理時において、それだけフェライト樹脂を除
去するためのエネルギーが多く必要となるので好ましく
なく、一方、98重量%を越える場合には、加熱処理前
の複合体粒子の強度が弱くなり、加熱処理時に粒子が破
壊する場合がある。
のフェノール樹脂製造に使用される塩基性触媒が使用さ
れる。例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミ
ン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチ
レンイミン等のアルキルアミンが挙げられる。これら塩
基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02〜
0.7が好ましい。該モル比が0.02未満では反応が
十分に進まず、一方、0.7を越えると過剰な塩基性触
媒が反応溶液中に多く残り、排水処理の負荷を増大させ
るので好ましくない。
ェノールの他、m−クレゾール、p−tert−ブチル
フェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノー
ル、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類、及び
ベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子、
臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェ
ノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、これらは単
独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる
が、この中でフェノールが最も好ましい。すなわち、フ
ェノール類としてフェノール以外の化合物を用いた場合
には、粒子が生成し難かったり、粒子が生成したとして
も不定形状であったりすることがあるので、形状性を考
慮すれば、フェノールが最も好ましい。場合によって
は、市販のフェノール樹脂をアルコール等の溶剤に溶解
させた形で使用することもできる。
ルマリン又はパラホルムアルデヒドのいずれかの形態の
ホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられ、これ
らは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いら
れるが、ホルムアルデヒドが経済面で特に好ましい。ア
ルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1〜4が
好ましく、特に好ましいのは1.2〜3である。アルデ
ヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さい
と、粒子が生成し難かったり、生成したとしても樹脂の
硬化が進行し難いために生成する粒子の強度が弱かった
りする傾向があり、一方、該モル比が4よりも大きい
と、反応後に水性媒体中に残留する未反応のアルデヒド
類が増加する傾向がある。
ノール樹脂からなる球状複合体粒子は、70〜90℃の
温度範囲で反応と同時に硬化を進行させた後、40℃以
下に冷却すると、球状複合体粒子を含む水分散液が得ら
れる。
定法に従って固液を分離した後、乾燥することにより、
フェライト原料粒子とフェノール樹脂からなる球状複合
体粒子が得られる。
り、懸濁安定剤を存在させてもよい。懸濁安定剤として
は、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ルのような親水性有機化合物及びフッ化カルシウムのよ
うなフッ素化合物、硫酸カルシウム等の水に不溶性の無
機塩類等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2
種以上組み合わせて用いられる。
することによりフェノール樹脂を除去する。加熱処理
は、フェノール樹脂が分解する温度、すなわち400〜
700℃の温度で行う。好ましくは500〜600℃で
ある。700℃を越えると、粒子間の凝集が生じ、粒度
分布が広くなり、一方、400℃未満ではフェノール樹
脂が十分に分解除去されない。加熱処理時間は、加熱温
度によっても変わるが、通常、2〜8時間程度である。
2時間未満ではフェノール樹脂の分解が不十分で該樹脂
の除去が不十分となる傾向があり、一方、8時間を越え
ると処理時間自体が長くなりすぎる。雰囲気はフェノー
ル樹脂を分解し、炭素として残存させない点で酸化雰囲
気が好ましい。
転式もの等いずれの処理機でも構わないが、粒子同志の
凝集を防ぐためには回転式のものが好ましい。本発明に
おける酸化雰囲気は、空気を加熱処理炉内に流せばよ
く、1L/min以上の流量で流せば十分である。1L
/min未満では熱処理炉内に樹脂の分解ガスが充満す
るので、炭素として残存してしまい好ましくない。
加熱処理(焼成)を行う。この加熱処理はフェライト組
成によっても異なるが、800〜1400℃の温度で行
う。好ましくは900〜1300℃である。1400℃
を越えると、粒子同士が焼結してしまい、粒度分布が広
くなってしまう。一方、800℃未満では、フェライト
化が不十分であり、磁束密度が不足してしまう。加熱処
理時間は、加熱温度によっても変わるが、1〜10時間
程度である。1時間未満ではフェライト化が不十分とな
る傾向があり、一方、10時間を越えると生産性が低下
する傾向がある。
化や電気抵抗値を所望の値にするために変えればよく、
空気を流した酸化雰囲気下で行う場合、窒素ガス等の不
活性ガスを流しながら処理を行う非酸化雰囲気下で行う
場合、空気及び窒素の混合ガスを流しながら行う場合等
を適宜選択すればよい。ガスの流量は、1L/min以
上であることが好ましい。1L/min未満では所望の
飽和磁化や電気抵抗を得ることが難しくなる。
フェライト粒子は、磁性キャリア、電磁波吸収材および
電磁波シールド材用材料粉末、導電性磁性粒子等の静電
潜像現像剤用材料粉末、ゴム、プラスチック用充填材お
よび補強材並びにペンキ、 絵具および接着剤用艶消材、
充填材および補強材等の分野で有用で、特に電子写真現
像用キャリアとして有用である。
イト原料粒子とフェノール樹脂とからなる複合体粒子を
調製し、該複合体粒子を400〜700℃で加熱処理し
て前記フェノール樹脂を分解させた後、引き続き800
〜1400℃で加熱処理(焼成)させることで、フェラ
イト化を行うことにある。特に、一旦調製されるフェラ
イト原料粒子とフェノール樹脂とからなる複合体粒子
が、フェライト原料粒子の含有量が高く、水銀圧入法に
よる細孔がほとんどなく、且つ、平均粒径が1〜45μ
mの球状の粒子であることが重要であり、その粒度分布
を維持したまま加熱処理によりフェライト化されること
である。
フェライト粒子が、水銀圧入法による細孔容積が0.0
5ml/g以下であり、BET比表面積が0.2m2 /g
以下である理由について、本発明者は、一旦調製される
フェライト原料粒子とフェノール樹脂からなる球状複合
体粒子中のフェライト原料粒子の充填量が極めて高く、
且つ、該複合体粒子の水銀圧入法による細孔がほとんど
ないことに起因して、引き続き加熱処理によるフェライ
ト化を行った後も、細孔容積が0.05ml/g以下であ
り、BET比表面積が0.2m2 /g以下となるものと
考えている。
て、更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら
制限されるものではない。
子径(D10、D50及びD90)は、レーザー回折式粒度分
布計(SYMPATEC社製RODOS)により計測し
た値で示した。
鏡(株式会社日立製作所製、S−800)で観察したも
のである。
に従って測定した。
製作所製S−800)により球状複合体粒子をランダム
に250個以上抽出し、平均長軸径l及び平均短軸径w
を求め、下記式によって算出した。
した。
0(商品名、島津製作所製)で測定した値で示した。
ター4329A(商品名、横河ヒュ−レットパッカード
社製)で測定した値を用いた。
販のトナーCLC−700シアン(商品名、キャノン
(株)製)5重量部との混合物200mgをブローオフ帯
電量測定装置TB−200(商品名、東芝ケミカル
(株)製)を用いて測定した。
た。 帯電の環境安定性試験:フェライト粒子7600mgおよ
び上記トナー400mgを20mlのガラス製サンプル瓶
に計量し、蓋を開けた状態で、それぞれ20℃、30%
(LL;低温低湿環境)、および25℃、65%(N
N;常温常湿環境)、30℃、80%(HH;高温高湿
環境)の各環境に設定した恒温恒湿器内に2日間以上放
置し、その後、4rpmのミックスローターで10分間
回転させることで、摩擦帯電させ、ブローオフ帯電量測
定装置によりトナー帯電量を測定し、各測定値および、
HH環境に放置した場合の帯電量に対するLL環境に放
置した場合の帯電量の比率で表した。 (LL環境に放置した値)/(HH環境に放置した値) この比率が1.3以下、好ましくは1.2以下であるこ
とが環境安定性において優れており望ましい。
記トナー400mgを20mlのガラス製サンプル瓶に計
量し、蓋を開けた状態で、25℃、65%(NN;常温
常湿環境)に調整した恒温恒湿器内に48時間以上放置
した後、次いで蓋をし、ペイントシェーカーで2時間振
とうさせた後、ブローオフ帯電量測定装置により帯電量
を測定した。別途、測定したNN環境で放置したときの
値に対する、振とう後の値の比率を求めた。 (振とう試験後の値)/(NN環境での値)
O20mol%、CuO5mol%、ZnO12mol
%になるように合計で1kg の原料粒子を仕込み十分に
攪拌して、次にエポキシ基を有するシラン系カップリン
グ剤KBM−403(商品名:信越化学工業製)10g
を添加混合して上記原料粒子の粒子表面をエポキシ基を
有するシラン系カップリング剤で処理した。
5g、37%ホルマリン187g、粒子表面がエポキシ
基を有するシラン系カップリング剤で処理されている上
記原料粒子1Kg、25%アンモニア水37g及び水1
25gを仕込み、攪拌しながら60分間で85℃に上昇
させた後、同温度で120分間反応・硬化させることに
より、フェノール樹脂とフェライト原料粒子からなる複
合体粒子を得た。
し、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を濾過し、
通風乾燥機で80℃で7時間乾燥し、複合体粒子(A)
を得た。
8μm で、充填成分の含有量が88.6重量%、BET
比表面積0.01m2 /g、細孔容積は0.001ml
/gであった。
処理炉内に入れ、空気を3L/minの流量で流しなが
ら、加熱処理炉内を2時間で600℃に上げ、同温度で
4時間加熱処理(加熱処理I)してフェノール樹脂を除
去した後、続いて2時間で1200℃まで温度を上げ、
同温度で4時間加熱処理(加熱処理II)してフェライト
化を行った。その後、室温まで冷却した後取り出し、球
状のMgCuZnフェライト粒子(I)を得た。
(D50)は28μm、10%粒径(D10)は12μm、
90%粒径(D90)は70μm、よって、D50/D10比
は2.3、D90/D50比は2.5であった。また、BE
T比表面積は0.02m2 /g、細孔容積は0.004
ml/g、体積固有抵抗は3×1010Ωcmであった。
得られた球状フェライト粒子のSEM写真を図1に示
す。また、複合体粒子の主要製造条件及び諸特性を表1
に、及びフェライト粒子の製造条件を表2に、得られた
フェライト粒子の諸特性を表3に示す。
量、その他反応条件を変えた以外は、実施例1と同様に
して複合体粒子B〜Fを得た。この時の主要製造条件及
び諸特性を表1に示す。次いで複合体粒子の種類及び加
熱処理I、IIの条件を変えた以外は、実施例1と同様に
してフェライト粒子II〜VIを得た。この時の主要製造条
件及び諸特性を表2に、得られたフェライト粒子の諸特
性を表3に示す。
%、ZnO20.0mol%となるように各原料粒子を
ボールミルにて3時間混合した。次に、これを乾燥した
後、900℃で1時間仮焼成を行い、再びボールミルで
粉砕した。この仮焼成粒子1kgにシラン系カップリン
グ剤KBM−403(商品名:信越化学工業製)10g
を添加混合してシラン系カップリング剤で処理した。次
に、実施例1と同様にして、フェノール樹脂により複合
体粒子(G)を得、さらに、表2に示すように変更した
他は実施例1と同様にして加熱処理I、IIを行い、フェ
ライト粒子(VII)を得た。この時の主要製造条件及び諸
特性を表2に、得られたフェライト粒子の諸特性を表3
に示す。
%、MgO20mol%、CuO5mol%、ZnO1
2mol%となるように各原料粒子をボールミルにて3
時間混合した。次にこれを乾燥した後、800℃で1時
間仮焼成を行い、再びボールミルで粉砕した。この仮焼
成粒子1kgにポリビニルアルコール20gと水200
gを加え、スラリー化させた。このスラリーをスプレー
ト゛ ライヤ−で造粒および乾燥を行い、平均粒径35μ
mの複合体粒子(H)を調製した。次に、該粒子を回転
式加熱処理炉内に入れ、空気を3L/minで流しなが
ら、加熱処理炉内を2時間で600℃に上げ、同温度で
2時間加熱処理Iを行いポリビニルアルコールを除去し
た後、続いて3時間で1200℃に昇温し、同温度で4
時間加熱処理IIを行い、フェライト粒子(VIII) を得
た。その特性を表3に示す。
(A)を、加熱処理Iを省略して、実施例1と同様に、
内容量10Lの回転式加熱処理炉内に入れ、窒素ガスを
3L/minの流量で流しながら、加熱処理炉内を3時
間で800℃に上げ、同温度で4時間加熱処理IIを行っ
た。室温まで冷却した後取り出し、球状粒子(IX)を得
た。得られた球状粒子の諸特性を表3に示す。
ライト粒子は、真球に近い球形度を有し、特定の粒度分
布を有し、さらに、BET比表面積が0.2m2 /g以
下で、細孔容積が0.05ml/g以下であり、細孔をほ
とんど有しない構造をもつために、帯電の環境安定性及
び耐久性に優れており、特に電子写真現像剤用磁性キャ
リアとして有用である。さらに、電磁波吸収材および電
磁波シールド材用材料粉末、導電性磁性粒子等の静電潜
像現像剤用材料粉末、ゴム、プラスチック用充填材およ
び補強材並びにペンキ、 絵具および接着剤用艶消材、 充
填材および補強材等のその他用途に有用である。
の電子顕微鏡写真である(×2,500)。
Claims (11)
- 【請求項1】 式(MO)100-X (Fe2 O3 )X (但
し、MはLi、Mg、Ni、Cu、Zn、Mn、Ca、
Feから選ばれる少なくとも1種の金属、Xは45〜9
5モル%)で示されるフェライトからなり、平均粒径が
1〜45μm、BET比表面積が0.2m2 /g以下、
水銀圧入法による細孔容積が0.05ml/g以下である
ことを特徴とする球状フェライト粒子。 - 【請求項2】 フェライト原料粒子の存在下で、フェノ
ール類とアルデヒド類とを水性媒体中で反応・硬化させ
ることによりフェライト原料粒子とフェノール樹脂とか
らなる複合体粒子を生成させ、次いで、400〜700
℃で加熱処理することにより前記フェノール樹脂を除去
し、さらに800〜1400℃で加熱処理することによ
りフェライト化させることを特徴とする球状フェライト
粒子の製造方法。 - 【請求項3】 フェライト原料粒子が、Li2 O、Li
2 CO3 、MgO、NiO、CuO、ZnO、MnO、
Mn3 O4 、CaO、Fe2 O3 から選ばれる請求項2
記載の製造方法。 - 【請求項4】 複合体粒子中のフェライト原料粒子の含
有量が80〜98重量%である請求項2又は3記載の製
造方法。 - 【請求項5】 フェライト原料粒子があらかじめ親油化
処理剤で処理されたものである請求項2〜4のいずれか
1項に記載の製造方法。 - 【請求項6】 親油化処理剤がシラン系カップリング
剤、チタネート系カップリング剤、界面活性剤から選ば
れる請求項2〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項7】 親油化処理剤の量がフェライト原料粒子
に対し0.1〜5.0重量%である請求項5又は6記載
の製造方法。 - 【請求項8】 複合体粒子生成の反応・硬化を70〜9
0℃で行う請求項2〜7のいずれか1項に記載の製造方
法。 - 【請求項9】 フェノール樹脂除去の加熱処理を500
〜600℃で行う請求項2〜8のいずれか1項に記載の
製造方法。 - 【請求項10】 フェライト化の加熱処理を900〜1
300℃で行う請求項2〜9のいずれか1項に記載の製
造方法。 - 【請求項11】 請求項1記載の球状フェライト粒子か
らなることを特徴とする電子写真現像用キャリア。
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