JP2003277945A - 非クロム型表面処理鋼板 - Google Patents

非クロム型表面処理鋼板

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伸也 古川
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雅典 松野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期にわたり白錆の発生がなく耐食性に優れ
た非クロム型表面処理鋼板を提供する。 【構成】 めっき層2が鋼基材1上に形成された亜鉛系
めっき鋼板に、界面反応層3を介してバナジン酸化合
物,モリブデン酸化合物,リン酸塩等の化合物粒子4b
が分散した有機樹脂皮膜4を形成している。有機樹脂皮
膜4には、皮膜強化のためにシリカ粒子4cを分散させ
ても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛めっき鋼板表面に
耐食性に優れた有機樹脂皮膜を形成している非クロム型
表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】耐食性の良好な鋼材として亜鉛めっき層
や各種亜鉛合金めっき層等を形成した亜鉛系めっき鋼板
が多用されているが、湿潤雰囲気,排ガス雰囲気,海塩
粒子飛散雰囲気等に亜鉛系めっき鋼板を長期間放置する
と、めっき層表面に白錆が発生し外観が劣化する。白錆
の発生は亜鉛系めっき鋼板をクロメート処理することに
より防止できるが、Crイオンを含む排液の処理に多大
な負担がかかる。そこで、チタン系,ジルコニウム系,
モリブデン系,リン酸塩系等の薬液を使用したCrフリ
ーの化成処理方法が検討されている。
【0003】たとえば,たとえばチタン系では、硫酸チ
タン水溶液及びリン酸を含む処理液を各種めっき鋼板に
塗布して加熱乾燥することにより、耐食性に優れたチタ
ン化合物含有皮膜を形成している(特開平11−614
31号公報)。モリブデン系では、モリブデン酸のマグ
ネシウム又はカルシウム塩を含む水溶液に亜鉛めっき鋼
材を浸漬処理して防錆皮膜を形成する方法(特公昭51
−2419号公報),六価モリブデン酸化合物を部分還
元し、六価モリブデン/全モリブデンの比を0.2〜0.
8に調整した処理液を鋼材表面に塗布する方法(特開平
6−146003号公報)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】クロム系皮膜に代わる
ものとして提案されているチタン系,ジルコニウム系,
リン酸塩系等の皮膜では、クロム系皮膜にみられるよう
な優れた自己修復作用が得られていない。たとえば、チ
タン系皮膜は、クロム系皮膜と同様にバリア作用のある
酸化物や水酸化物からなる連続皮膜として形成される
が、クロム系皮膜と異なり難溶性であることから自己修
復作用を呈さない。そのため、化成処理時や成形加工等
の際に生じた皮膜欠陥部を起点とする腐食の抑制には有
効でない。他のCrフリー皮膜も、チタン系皮膜と同様
に自己修復作用が弱く、腐食抑制効果が不充分である。
【0005】この点、三価Cr及び六価Crが複合した
酸化物,水酸化物からなる従来のクロメート皮膜では、
難溶性の3価Cr化合物Cr23等が環境遮断機能を呈
して基材の腐食を防止し、六価Cr化合物が自己修復作
用を呈する。自己修復作用は、六価Cr化合物がCr2
7 2-等の酸素酸アニオンとなって化成処理皮膜から溶
出し、加工等で生じた鋼板露出部と還元反応し難溶性の
3価Cr化合物として再析出することにより発現すると
考えられている。
【0006】そこで、本発明者等は、Crフリー処理で
形成された化成処理皮膜にフッ化物を共存させて自己修
復作用を付与することにより耐食性が改善されることを
見出し提案した(特願2000−314677号)。こ
の化成処理皮膜は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,W等のバルブメタルの酸化物又は水酸化物と
フッ化物とを含んでおり、水中にフッ化物が溶出するこ
とを自己修復作用の発現に利用している。また、酸化物
又は水酸化物及びフッ化物が有機樹脂に分散した有機樹
脂皮膜を基材表面に形成することにより、耐食性が更に
改善され、塗膜密着性,加工性及び抵抗溶接性にも優れ
た皮膜が形成されることを見出した(特願2000−3
88673号)。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、先に提案した
有機樹脂皮膜の耐食性発現過程を調査・研究する過程で
見出された知見をベースに完成されたものであり、バナ
ジン酸化合物,モリブデン酸化合物,リン酸塩を共存さ
せることにより、長期間にわたり良好な耐食性を維持
し、塗装性,加工性も良好な有機樹脂皮膜が形成された
非クロム型表面処理鋼板を提供することを目的とする。
【0008】本発明の非クロム型表面処理鋼板は、その
目的を達成するため、亜鉛めっき鋼板を基材とし、バナ
ジン酸化合物,モリブデン酸化合物及びリン酸塩を含む
膜厚0.2〜10μmの有機樹脂皮膜が界面反応層を介
して基材表面に形成されていることを特徴とする。ケイ
酸塩を有機樹脂皮膜に配合すると、皮膜が補強され、耐
食性が更に向上する。
【0009】
【作用】本発明に従った非クロム型表面処理鋼板は、図
1で模式的に示すように、鋼基材1上にあるめっき層2
の表面に界面反応層3を介して有機樹脂皮膜4を形成し
ている。界面反応層3は、化成処理液に含まれているバ
ナジン酸化合物,モリブデン酸化合物,リン酸塩等がめ
っき層2と反応してできたバナジウム酸塩,四価のモリ
ブデン酸塩,リン酸亜鉛等の反応生成物からなり、優れ
た環境遮蔽能を呈する緻密層である。化成処理液塗布に
先立って使用されるシランカップリング剤とめっき層2
との反応により生成する皮膜も界面反応層3に使用でき
る。
【0010】有機樹脂皮膜4は、樹脂マトリックス4a
にバナジン酸化合物,モリブデン酸化合物,リン酸塩等
の化合物粒子4bが分散している。モリブデン酸化合物
に比較して溶出速度が遅いバナジン酸化合物が共存する
系であるため、腐食環境初期に六価の可溶性モリブデン
酸化合物が皮膜欠陥部と反応し初期防錆に寄与すると共
に、その後長期間にわたって皮膜中のバナジウム酸化合
物が徐々に溶出して腐食部位に作用し、腐食反応を抑制
する働きがあると推察される。その結果、優れた耐食性
が長期にわたって維持される。
【0011】シリカは水分散性タイプで樹脂エマルジョ
ンとの混和安定性から弱アルカリ系が好ましい。たとえ
ば「アデライトAT−30A」(旭電化工業株式会社製)
等、市販のシリカゾルが使用できる。このシリカ粒子4
cが樹脂マトリックス4aに分散することもある。シリ
カ粒子4cは、有機樹脂皮膜4を補強し、耐食性を向上
させる。有機樹脂皮膜4には,必要に応じて有機,無機
の潤滑剤粒子を分散させることにより加工性,成形性が
向上する。
【0012】緻密な界面反応層3を介して有機樹脂皮膜
4が形成されているので、雰囲気中の腐食性成分が鋼基
材1に直接到達することが防止される。また、膜厚0.
2〜10μmの有機樹脂皮膜4にバナジン酸化合物,モ
リブデン酸化合物,リン酸塩等の化合物粒子4bが三次
元的に分散しているため、樹脂マトリックス4aを浸透
してきた水分等の腐食性成分が化合物粒子4bで捕捉さ
れ、界面反応層3に到達する腐食性成分が大幅に少なく
なる。したがって、界面反応層3が緻密であることと相
俟って、優れた防食効果が発現する。
【0013】有機樹脂皮膜4は、柔軟性のあるウレタ
ン,アクリル,ポリオレフィン等の有機樹脂をマトリッ
クス4aにしているので、表面処理鋼板の成形加工時に
あっては素材の塑性変形に化成処理皮膜4が追従し、ク
ラックの発生が大幅に減少する。更に、有機樹脂皮膜4
は、樹脂塗料に対する親和性が高いことから塗装密着
性,塗装後の加工性も向上させる。このような効果は、
0.5μm以上の膜厚で顕著になる。また、10μm以
下の膜厚であればCu系電極にめっき成分がピックアッ
プされることが抑制され、溶接性の向上にも有効であ
る。
【0014】
【実施の形態】化成処理液に含まれるバナジン酸化合物
は処理液中でイオンとなり、塗布・乾燥過程でめっき金
属と反応し、界面反応層を形成すると共に、樹脂皮膜中
に分散し防錆顔料としても作用する。界面に濃化したバ
ナジン酸化合物は下地金属に吸着し、皮膜の防錆力を向
上させると共に、皮膜中に分散したバナジン酸化合物は
腐食環境で非常に緩やかに溶出・イオン化し、腐食部位
に反応して腐食を抑制する。バナジン酸化合物には、バ
ナジン酸,バナジン酸アンモニウム,バナジン酸ナトリ
ウム、バナジン酸カリウム、フッカバナジウム、リンバ
ナジン酸アンモニウム等がある。バナジン酸化合物の添
加量は、V換算で0.05g/l以上で長期耐食性の改
善効果がみられるが、40g/lを超えると耐食性向上
効果がなくなり、処理液費用が増大し経済的にもよくな
い。
【0015】モリブデン酸化合物も、バナジン酸化合物
と同様に不溶性又は難溶性のモリブデン化合物の界面反
応層を形成すると共に、樹脂皮膜中に分散して腐食環境
の初期に可溶し、欠陥部等に反応して不溶性の化合物と
なる自己修復作用を呈する。モリブデン酸化合物には、
モリブデン酸,モリブデン酸アンモニウム,モリブデン
酸カリウム,モリブデン酸カルシウム,モリブデン酸ナ
トリウム,モリブデン酸バリウム,モリブデン酸リチウ
ム等がある。モリブデン酸化合物の添加量がMo換算
0.5g/l以上になると腐食環境初期での白錆抑制効
果がみられるが、100g/lを超えると経済的な問題
もあるが、皮膜中に可溶Mo量が多くなりすぎ、皮膜自
体のバリア効果が低下し、平坦部の耐食性が低下する傾
向がみられる。
【0016】リン酸塩は処理液に溶解してリン酸イオン
となり、生成したリン酸イオンがめっき金属表面の反応
性を向上させ、樹脂皮膜の密着性を飛躍的に高め、皮膜
の防錆カを向上させる。めっき層から溶出したZnとリ
ン酸亜鉛を形成することによっても、密着性が向上する
と考えられる。リン酸塩としては、リン酸,リン酸二水
素カリウム,リン酸水素カリウム,リン酸ニ水素アンモ
ニウム,リン酸水素アンモニウム,リン酸マンガン,リ
ン酸マグネシウム,リン酸アルミ等がある。リン酸イオ
ンとして0.1g/lでリン酸塩を添加すると耐食性の
向上がみられるが、50g/lを超える添加量ではめっ
き金属の溶解量が多<なり、処理液の寿命が短くなる。
【0017】バナジン酸,モリブデン酸,リン酸塩の共
存により耐食性が相乗効果的に向上する。共存による耐
食性向上のメカニズムは明確ではないが、リン酸イオン
が反応性を向上させ、界面反応層の形成を補助する。そ
して、モリブデン酸が反応・形成し難い箇所に、バナジ
ン酸が反応する。換言すると、バナジン酸の反応欠陥部
をモリブデン酸が補う結果として緻密な安定した界面反
応層が得られる。また、皮膜中に分散したバナジン酸塩
及びモリブデン酸塩共に自己修復効果を有するが、モリ
ブデン酸塩は腐食環境に曝されると比較的に早い段階で
溶出して欠陥部を修復し、バナジン酸は溶出速度が緩や
かで長期にわたって腐食部位等に作用して腐食の進行を
抑制する。
【0018】化成処理液は、バナジン酸塩,モリブデン
酸塩,リン酸塩を処理液中に安定に維持する上で、キレ
ート作用のある有機酸を含むことができる。有機酸を添
加する場合、金属イオンをキレート化して化成処理液を
安定化させることから、有機酸/金属イオンのモル比が
0.02以上となる添加量に定められる。有機酸として
は酒石酸、タンニン酸,クエン酸,蓚酸,マロン酸,乳
酸,酢酸等が挙げられる。ウレタン系,エポキシ系,ポ
リエチレン,ポリプロピレン,エチレン−アクリル酸共
重合体等のオレフィン系,ポリスチレン等のスチレン
系,ポリエステル系,或いはこれらの共重合体又は変性
物、アクリル系等の有機樹脂を化成処理液に添加してい
る。
【0019】ウレタン樹脂としては、有機ポリイソシア
ネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られ
る水溶性又は水分散性のウレタン樹脂、なかでも自己乳
化型ウレタン樹脂が好ましい。有機ポリイソシアネート
化合物としては、フェニレンジイソシアネート,トリレ
ンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシア
ネート,シクロヘキサンジイソシアネート,イソホロン
ジイソシアネート,ノルボルナンジイソシアネート,キ
シリレンジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジ
イソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられ
る。他方、ポリオール化合物としては、ポリエステルポ
リオール,ポリエーテルポリオール,ポリカーボネート
ポリオール,ポリアセタールポリオール,ポリアクリレ
ートポリオール,ポリエステルアミドポリオール,ポリ
ブタジエン系等のポリオレフィンポリオールが挙げられ
る。
【0020】自己乳化型のウレタン樹脂は、カルボン酸
含有化合物等の親水成分を分子中に導入することによっ
て作製される。自己乳化型ウレタン樹脂では、導入した
親水成分に応じてイオン性がアニオン,カチオン又はノ
ニオンになる。たとえば、ポリエチレングリコール、イ
ソシアネート等をポリマー骨格に導入するとノニオン性
に、水酸基を導入するとアニオン性に、スルホン酸
(塩)基、カルボキシル(塩)基等を導入するとカチオ
ン性になる。リン酸塩を含む化成処理液やオキシカルボ
ン酸やシランカップリング剤が添加された系では、アニ
オン性又はカチオン性ウレタン樹脂は樹脂粒子が凝集反
応を起こしてゲル化することがあるが、ノニオン性ウレ
タン樹脂ではこのような現象が生じない。この点、ノニ
オン性ウレタン樹脂の使用が好ましいが、ノニオン性ウ
レタン樹脂の使用比率を半分以上とすることによりゲル
化を起こすことなくアニオン性又はカチオン性ウレタン
樹脂も使用できる。
【0021】化成処理液には、潤滑性の向上に有効なワ
ックスを化成処理皮膜に含ませるため、フッ素系,ポリ
エチレン系,スチレン系等の有機ワックスやシリカ,二
硫化モリブデン,タルク等の無機質潤滑剤等を添加する
こともできる。低融点の有機ワックスは、皮膜乾燥時に
表面にブリードし、潤滑性を発現すると考えられる。高
融点有機ワックスや無機系潤滑剤は、皮膜中に分散状態
で存在するが、処理皮膜の最表層では島状分布で皮膜表
面に露出することによって潤滑性が発現するものと考え
られる。また、シリカゾル,アルミナゾル等を耐食性向
上を目的に添加しても良い。化成処理用原板には、Zn
−Al,Zn−Mg,Zn−Al−Mgめっき等の亜鉛
合金めっき鋼板等の亜鉛めっき鋼板が使用される。通常
のZnめっき鋼板に対しても耐食性向上効果があるが、
AlやMgを含むめっき層が形成されたZn合金めっき
鋼板では皮膜中にAlやMgが取り込まれるため耐食性
向上効果が一層顕著である。
【0022】耐食性改善に及ぼすAl,Mg等の化合物
の作用を積極的に活用するため、AlやMgイオンを含
む処理液を用いて亜鉛めっき鋼板を処理することも可能
である。この場合、Znめっき層の表面に生成した皮膜
を分析するとAl,Mg等の化合物が検出される。皮膜
中のAl,Mg等の化合物は耐食性を一層向上させる。
耐食性の改善は、AlやMgが皮膜中の成分と反応して
バリア性のある化合物が生成されたことに由来するもの
と推察される。亜鉛めっき鋼板は、化成処理液の塗布に
先立って、湯洗等によって表面を清浄化することが好ま
しい。皮膜の密着性強化を図るため、シランカップリン
グ剤やタンニン酸等で処理することも可能である。
【0023】化成処理液はロールコート法,スピンコー
ト法,スプレー法等で亜鉛めっき鋼板に塗布される。塗
布後水洗することなく乾燥することにより、所定性能を
有する皮膜がめっき層表層に形成される。連続操業を考
慮すると乾燥温度50℃以上が好ましい。ただし、25
0℃を超える乾燥温度では樹脂皮膜構成成分の一部が分
解し、耐食性が低下する懸念がある。亜鉛めっき層の表
面に形成された化成処理皮膜は、柔軟性のある有機樹脂
をべースにしていることから成形加工時の際に素材の塑
性変形に追従し、クラックの発生が大幅に減少する。更
に、化成処理皮膜は、有機樹脂を含んでいるため、塗料
に対する親和性が高く密着性に優れた塗膜を形成する上
でも有利である。
【0024】
【実施例】Vソース,Moソース及びFソースをウレタ
ン樹脂エマルジョンに配合し、表1に示す処理液を調合
した。化成処理用の原板としては、板厚0.8mm、片
面めっき付着量50g/m2の溶融Zn−6%Al−3
%Mg合金めっき鋼板を使用した.湯洗した原板に化成
処理液を塗布し、水洗することなくオーブンに装入して
50〜200℃で加熱乾燥した。亜鉛めっき層2の表面
に形成された界面反応層3及び皮膜4の厚み測定結果及
び成分分析結果を表1に併せ示す。
【0025】
【0026】化成処理された亜鉛めっき鋼板から試験片
を切り出し、次の試験で平坦部耐食性,疵付き部耐食
性,耐カジリ性,塗膜密着性を調査した。 〔平坦部腐食試験〕試験片の端面をシールし、JlSZ
2371に準拠した塩水噴霧試験を120,240時間
継続した後、試験片表面の白錆発生状況を観察した。白
錆発生面積率が3%未満を◎,3〜10%を○,10〜
30%を△,30%を超えるものを×として平坦部耐食
性を評価した。
【0027】〔疵付き部腐食試験〕取扱い時の疵付きを
想定して試験片表面にカッタでクロスカットを刻んだ
後、塩水噴霧試験を24,120時間継続した後、試験
片表面に生じた腐食の幅を測定した。最大腐食幅が2m
m未満を◎,2〜4mmを○,4〜8mmを△,8mm
以上を×として疵付き部の耐食性を評価した。 〔耐カジリ試験〕30mm×250mmの試験片を加圧
力1500N,引き抜き力8.3×10-2m/秒の条件
下でドロービード試験した後、試験片表面に残存してい
る皮膜を測定した。そして、皮膜残存率が90%以上を
◎,70〜90%を○,40〜70%を△,40%未満
を×として耐カジリ性を評価した。
【0028】〔塗膜密着性〕有機溶剤系のアクリル塗料
を塗布して、焼付け乾燥することにより乾燥膜厚30μ
mの塗膜を形成した後、40℃の温水に240時間浸漬
した。次いで、JIS K5400で規定している塗膜
密着性試験に従って試験片表面を観察し、塗膜残存率1
00%を◎,80%以上を○,40〜80%を△,40
%未満を×として塗膜密着性を評価した。表2の調査結
果にみられるように、バナジン酸,モリブデン酸,リン
酸塩が共存する皮膜を形成することにより、格段に優れ
た平坦部耐食性,疵付き部耐食性,耐カジリ性,塗膜密
着性が発現していることが確認される。他方、バナジン
酸,モリブデン酸,リン酸塩の何れか一つを欠く皮膜を
形成したものでは、比較例12〜14にみられるように
平坦部耐食性,疵付き部耐食性が劣っていた。皮膜の厚
みが不足する比較例15は、十分な耐食性が得られず、
耐カジリ性,塗膜密着性にも劣っていた。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の非クロ
ム型表面処理鋼板は、バナジン酸化合物,モリブデン酸
化合物,リン酸塩が樹脂マトリックスに分散した有機樹
脂皮膜をめっき層の表層に形成しているので、長期間に
わたって優れた耐食性を維持し、外観劣化の原因である
白錆の発生が抑えられる。しかも、柔軟性に富み、樹脂
塗料に対する親和性に優れた皮膜が形成されているの
で、塗装前後の何れでも優れた加工性,成形性を呈し、
塗装後耐食性も良好である。このような長所を活用し、
ロールフォーミング法で成形される外装材,機械構造部
品,等、広範な分野に使用される素材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明非クロム型表面処理鋼板の表面状態を
示す模式図
【符号の説明】
1:鋼基材 2:めっき層 3:界面反応層
4:有機樹脂皮膜 4a:樹脂マトリックス 4b:バナジン酸化合物,
モリブデン酸化合物,リン酸塩等の化合物粒子 4
c:シリカ粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松野 雅典 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 上田 耕一郎 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA13 BA02 BA03 BA08 BB08 CA13 CA23 CA27 CA29 CA30 CA38 CA39 DA02 EB11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛めっき鋼板を基材とし、バナジン酸
    化合物,モリブデン酸化合物及びリン酸塩を含む膜厚
    0.2〜10μmの有機樹脂皮膜が界面反応層を介して
    基材表面に形成されていることを特徴とする非クロム型
    表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 有機樹脂皮膜が更にケイ酸塩を含む請求
    項1記載の非クロム型表面処理鋼板。
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