JP2003277129A - スライディングノズル装置用プレートれんがとその製造方法 - Google Patents

スライディングノズル装置用プレートれんがとその製造方法

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JP2003277129A JP2002081678A JP2002081678A JP2003277129A JP 2003277129 A JP2003277129 A JP 2003277129A JP 2002081678 A JP2002081678 A JP 2002081678A JP 2002081678 A JP2002081678 A JP 2002081678A JP 2003277129 A JP2003277129 A JP 2003277129A
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丈記 吉富
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密な組織による高強度、高耐食性のプレー
トれんがとするため、開放孔の増加、高通気気孔径とな
し良好なタール含浸効果を得ること。 【解決手段】 カーボン原料を1〜10質量%含有する
耐火材料及び有機バインダーを混合し、成形、乾燥後、
酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素濃度が
0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の雰囲気下に
おいて、6〜48時間内で弱酸化焼成しタール含浸す
る。得られたカーボン含有耐火物は低密閉気孔率、高通
気気孔径の特性を持ち、良好なタール含浸効果による緻
密な組織が得られ、高強度と実機での高耐用性が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属の流量制
御用のスライディングノズル装置に使用されるプレート
れんがに関する。
【0002】
【従来の技術】スライディングノズル装置(SN装置と
言う)は、直線摺動あるいは回転摺動により溶融金属の
流量制御を行う装置として使用され、とくに、鉄鋼業に
おいては溶鋼の流量制御に広く採用されている。
【0003】このSN装置は、円形開孔部を有する2枚
もしくは、3枚のプレートれんがをかなりの圧力で圧着
させた状態で摺動させて、プレートれんがの間からの洩
鋼を防止するものであり、プレートれんがは高温の溶融
金属流による急激な熱衝撃と摩耗の物理的作用に加え、
溶融金属、溶融スラグによる化学的浸食作用を受ける。
【0004】従って、SN用プレートれんがは、圧着力
に負けない機械的強度と共に、耐熱衝撃性、耐食性、耐
摩耗性などの特性を具備することが要求される。
【0005】この特性を満たすSN用プレートれんがと
しては、アルミナ原料をべースに、カーボン、ジルコニ
ア、スピネル、金属粉などを配合したアルミナカーボン
系材質が一般的である。そして、その製造方法として、
フェノール樹脂などの有機バインダーを添加して、混
練、成形、乾燥後、温度域が700〜1500℃の還元
焼成と言われる非酸化性雰囲気下で熱処理され、更に、
タール含浸することが知られている。さらに、タールの
揮発分に由来する発煙を防止する目的で、コーキング処
理と称して、700℃以下の低温で再度熱処理してター
ルの揮発成分の一部を取り除くことが一般的に行われて
いる。
【0006】このように、SN用プレートれんがをはじ
めとする炭素含有耐火物を高温での熱処理を行うに当た
って炭素成分の酸化を防ぐためには、雰囲気中の酸素分
圧をかなり下げる必要がある。
【0007】この雰囲気中の酸素分圧を下げる簡便な手
段として、コークス詰め還元焼成方法が知られている。
このコークス詰め還元焼成方法は、酸素以外の二酸化炭
素や水蒸気濃度を比較的簡単に著しく低下させることが
でき、また、焼成雰囲気の安定化が図れるため、実用性
が高く、炭素含有耐火物などの還元焼成方法として、広
く採用されている。
【0008】このコークス詰め還元焼成方法によれば、
コークス詰め(炭素過剰)焼成時における酸素、二酸化
炭素、水蒸気等の分圧は、温度が決まると下記の反応式
(1)〜(3)の熱力学的計算によって一義的に決定さ
れる。
【0009】 O+2C=2CO ・・・・ (1) CO+C=2CO ・・・・ (2) HO+C=H+CO ・・・・ (3) これによれば、周りに詰められたコークスによってもた
らされる雰囲気は理論上では、例えば、1000℃で
は、酸素濃度が前記の反応式(1)により、1.2×1
−19%、二酸化炭素濃度が前記の反応式(2)によ
り0.64%、水蒸気濃度が0.007%にまで達する
還元雰囲気を容易に作り出すことができる。
【0010】1000℃、1200℃、1400℃の各
温度における各成分の理論分圧は、表1に示すとおりで
ある。本発明で示す、それぞれの成分ガスの濃度(%)
は全圧が1atm(大気圧)の基で分圧(atm)に1
00を掛けた%として表現している。
【0011】
【表1】 これによって、従来のコークス詰め還元焼成による雰囲
気制御は、温度の管理さえ行えば、簡便に、酸素、二酸
化炭素、水蒸気等が低濃度を維持できることが判る。し
かも、必然的にこれらの低濃度における雰囲気下では、
れんが内のカーボンはほとんど酸化せず、また、強度、
耐熱衝撃性及び耐摩耗性発現の基本となる炭化珪素、窒
化珪素又は炭化アルミニウム,窒化アルミニウム等は、
配合した金属又は金属結合有機バインダーから容易に生
成でき、プレートれんがの性能をある程度満たすことが
できる。
【0012】このコークス詰め還元焼成方法は、実際に
は、被加熱物を、比較的熱伝導性の良いSiC質などの
容器に詰め、コークスを充填して、トンネルキルンを用
いた連続焼成方式あるいはシャトル炉を用いたバッチ方
式により、熱処理するものであるが、焼成時間として、
3日〜10日程を要し、しかも、コークス詰め還元焼成
方法では、焼成前後にコークスの詰めと排除の作業を毎
回しなければならず、作業面は非能率的である。また、
本来、加熱処理されるべき製品とは無関係に、その道具
であるコークスや容器も加熱しなければならない。その
上、容器を通した間接加熱であるため熱利用率も低い等
の問題がある。
【0013】そこで、このコークス詰め還元焼成方法の
上記問題である作業能率や熱効率の向上のために、還元
炎バーナーを用いたり、窒素ガスのような非酸化性ガス
の吹き込み等によって、酸素、二酸化炭素、水蒸気等の
濃度を下げることも考えられるが、現状ではその手法は
未だ確立されていない。
【0014】また、このコークス詰め還元焼成方法をプ
レートれんがの焼成に利用した場合には、混練時に添加
した有機バインダーの焼成によって残留する残留カーボ
ン(ボンドカーボン)の収率(残炭率)を高める効果が
あり、組織を緻密化し、強度や耐食性を向上させる面か
らは非常に好ましいといえる。
【0015】しかしながら、残留カーボンにより過度の
緻密化が進み、耐熱衝撃性に劣ることになるという好ま
しくない点もある。すなわち、還元焼成により、フェノ
ール樹脂などの有機バインダーが炭化した残留炭素の組
織は、用いた有機バインダーや焼成等の炭化の条件によ
っては、必ずしも好ましい残留組織とならない場合があ
る。つまり、気孔が過剰に微細化することによって、耐
熱衝撃性が低下する傾向さえ認められる場合がある。そ
のため炭素の残留性の制御のために、特性の異なる各種
の有機バインダーを用いて、耐熱衝撃性等の改善を図る
試みも検討されているが、十分な制御ができているとは
いい難く、場合によっては、れんが内の密閉気孔が必要
以上に増加し、焼成後のタール含浸処理を実施する際
に、タールの含浸が不十分となる傾向がある。その結
果、タール含浸による補強効果が不十分で、SNプレー
トれんがとしても最大限の性能を発揮しているとは言え
ない。
【0016】そこで、本願の発明者は、先に、特願20
01−369284号出願において、コークス詰め還元
焼成方法をプレートれんがの焼成に利用することなく残
留炭素を適正にして、タール含浸による補強効果を充分
にするための弱酸化焼成によるプレートれんがの製造方
法を開示した。
【0017】しかしながら、更なる好条件での製造によ
って安定した製品を得ることが求められている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、SNプレートれんがのコークス詰め焼成に
における煩雑さの解消とともに、焼成後の開放気孔を適
度化してタール含浸性を向上させ、高耐用のSNプレー
トれんがを得ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明のSNプレートれ
んがは、カーボン原料を1〜10質量%含有する耐火材
料および有機バインダーからなる成形体であって、酸素
濃度が0.001〜0.5%以下、二酸化炭素農度が
0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の雰囲気下で
弱酸化焼成した耐火物にタールを含浸したものである。
【0020】そして、このプレートれんがは、前記雰囲
気下で6〜48時間内で焼成し、夕一ル含浸処理後さら
にコーキング処理を施して使用に供せられる。
【0021】上記の酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度
は、バーナーの不完全燃焼ガスによる酸素、二酸化炭
素、水蒸気などの濃度調整、Nガス、アルゴンガスな
どの非酸化ガスの吹きによる希釈により、最適な雰囲気
を得ることが可能になる。
【0022】雰囲気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気以外
に共存する成分については、特に限定されないが、燃料
燃焼から発生するCOガス,Hガス,Nガス、及び
微量のSOガスなどが必然的に存在する。
【0023】焼成中の酸素濃度が0.5%を超えると、
ボンドカーボンのみならず、カーボン含有耐火物自体の
表面の酸化が著しく、特殊な用途を除いて、実用に供し
得ない。酸素濃度を0.5%以下とすることで、酸化を
防ぎつつ、有機バインダーの炭化反応や金属粉類の反応
形態が何らかの形で制御され、組織内のボンドカーボン
の気孔壁が酸化されることで破れるためか密閉気孔が少
なくなり、タールの含浸量が増加し、含浸処理後のプレ
ートれんがの強度、耐熱衝撃性、耐用性が改善される。
また、酸素濃度が0.001%未満の場合には、有機バ
インダーからのボンドカーボンで密閉気孔が組織内に多
く形成されて、従来のコークス詰め還元焼成方法と同様
にタール含浸効果が不十分となり、強度や耐熱衝撃性そ
して耐用性についての改善効果が低い。従って、焼成雰
囲気中の酸素濃度は0.001〜0.5%であることが
好ましい。
【0024】上記の酸素濃度範囲の雰囲気中に、二酸化
炭素を導入制御すると、2CO+O =2COの平衡
関係から、雰囲気中の酸素濃度の不安定さが解消され、
より安定した改善効果が得られる。しかしながら、焼成
中の二酸化炭素濃度が6%を超えると、理由は明確では
ないが、低酸素濃度にも係わらず、カーボン含有耐火物
自体の表面の酸化が著しく、特殊な用途を除いて実用に
供し得ない。一方、二酸化炭素濃度が0.1%未満の場
合には、二酸化炭素の導入による雰囲気中の酸素濃度を
安定化させる効果が薄くなる。従って、焼成中の雰囲気
における二酸化炭素濃度は0.1〜6%が良い。
【0025】更に、前記の雰囲気中に、水蒸気を導入す
ると、上記の二酸化炭素と同様に雰囲気中の酸素濃度の
不安定さが解消され、より安定した改善効果が得られ
る。但し、これも理由は明確ではないが、低酸素濃度に
も係わらず、焼成中の水蒸気濃度が6%を超えると、カ
ーボン含有耐火物自体の表面の酸化が著しく、特殊な用
途を除いて実用に供し得ない。一方、水蒸気濃度が0.
1%未満の場合、水蒸気の導入による雰囲気中の酸素濃
度を安定化させる効果が薄い。従って、焼成中の雰囲気
における水蒸気濃度は0.1〜6%が望ましい。また、
水蒸気は二酸化炭素と併用しても、それぞれ、単独の効
果に影響を与えることはない。
【0026】焼成温度については、常法通り、700〜
1500℃程度の温度範囲であれば、プレートれんが中
に一般に配合している金属粉類の反応を制御するのに適
当な温度が選択されれば良く、残留炭素の組織の変化
は、焼成温度もさる事ながら密閉気孔と開放気孔の存在
比率を左右させるには、焼成雰囲気、更には焼成時間と
の間に相関性が強いことが見いだされた。したがって、
雰囲気と焼成時間を制御することによって希望の残留炭
素の組織が得られる。すなわち、カーボン含有耐火物れ
んが組織中に、有機バインダーの炭化過程に生じるボン
ドカーボンをある程度まで、弱酸化雰囲気での焼成温度
を高め、焼成時間を長くする等の調整により密閉気孔か
ら開放気孔に変わるようにすれば良い。
【0027】なお、昇降温速度は、最高焼成温度と焼成
時間の組合せに応じて、10〜300℃/hrs.程度
の通常行われている範囲で調整されれば、特別な制限は
ないが、ボンドカーボンが形成される少なくとも700
℃以上では、上記の雰囲気を保つことが必須となる。
【0028】焼成時間については、6時間より短くなる
と、有機バインダーの炭化が不十分となり、配合した金
属又は金属結合有機バインダーの炭化反応、窒化反応も
欠如しがちであり、プレートれんがとしての性能が発揮
され難い。その反面、48時間を超えると、表面の酸化
が進み易く、特に酸素濃度が高い側では、れんがの性能
が低下する。 従って、焼成時間は6〜48時間がより
望ましい。
【0029】本発明で使用されるカーボン原料を除く耐
火性骨材については、とくに制限は、なく、一般的なア
ルミナ,シリカ,ムライト,ジルコン,ジルコニア,マ
グネシア,酸化クロム,ドロマイト,カルシア,スピネ
ル,炭化硅素,窒化硅素,炭化硼素等の各種の天然原
料、あるいはこれらの人工合成原料及び、Al,Siあ
るいはこれらの合金粉末などの1種もしくは2種以上が
使用される。
【0030】カーボン原料としては、天然黒鉛,人造黒
鉛などの結晶質炭素、石油コークス,石炭コークス,メ
ソフェーズピッチ,カーボンブラックなどの非晶質炭素
が挙げられる。これらの1種もしくは、2種以上を、1
〜10質量%を用いる。1質量%より少ないとスポーリ
ング性が悪く、10質量%を越えると耐食性が悪くなる
ため好ましくない。
【0031】有機バインダーとしては、フェノール樹
脂,フラン樹脂,芳香族系樹脂,シリコーンのような金
属結合性樹脂などが挙げられ、これらの一種もしくは、
2種以上が選ばれる。通常、有機バインダーで混練した
プレートれんがに対し、雰囲気中の酸素濃度が低い程、
焼成後の残炭率は高くなり、焼成時間が長くなるほど、
有機バインダーによるボンドカーボンでは密閉気孔が増
える傾向がある。従って、コークス詰め還元焼成方法は
高残炭率、且つ高密閉気孔率のボンドカーボンに繋がる
ものである。これに対し、タール含浸を行うに際に、密
閉気孔と開放気孔の比率を小さくすることで、低密閉気
孔率、高通気気孔径となる特性によるものか明確ではな
いが、含浸率を上げることが出来る。
【0032】そのためには、少なくとも700℃以上の
温度領域内では酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸
化炭素濃度が0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%
の雰囲気中で比較的短時間で焼成すると良い。得られた
カーボン含有耐火物を、JIS−R2205の耐火れん
がの見掛け気孔率・吸水率及び比重の測定方法に従って
測定した結果、十分な開放気孔を有し、高含浸率が得ら
れる。
【0033】含浸され、残留した有機物(タール成分)
の揮発により、実使用時、プレートれんがの摺動抵抗が
減少する。含浸後の組織としては緻密なものが得られる
と同時に、配合した金属又は金属結合有機バインダーか
らの金属炭化物、窒化物生成反応にも悪影響を与えない
ので、高強度、高耐食性、高耐摩耗性も期待できる。
【0034】一方、一次結合である有機バインダーの残
炭率については、幾分の低下は認められるが、実用上、
影響を及ぼす程度のものではない。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明のプレートれんがの弱酸化
焼成方法について、プレート材質の代表的な2つのタイ
プを例に、焼成時の雰囲気中の各成分ガスの濃度制御効
果を実施例に基づいて、実施の形態を説明する。
【0036】酸素濃度0.01%以上、二酸化炭素濃度
4%以上、水蒸気濃度3%以上の範囲の雰囲気は、還元
バーナーを用い、燃料/空気比率を変え、不完全燃焼の
程度を調整しつつ焼成を行った。
【0037】より低い酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃
度雰囲気(以下濃度雰囲気とも言う)を安定的に作り出
すには、焼成装置がやや煩雑となる。とりわけ、140
0℃以上の高温焼成を求める場合、不完全燃焼による熱
量不足を補う為、温度制御用のメインバーナーと雰囲気
制御用のサブバーナーの併設、もしくは、電気ヒーター
も併用した。さらに場合によっては、希釈用のNガス
の吹き込みも行い雰囲気を制御した。
【0038】
【表2】 表2に材料別の配合割合例を示す。配合1は、焼成温度
が低めで、金属結合有機バインダーの炭化によるボンド
カーボンを主体とし、金属炭窒化物ボンドも含有するタ
イプの材質である。
【0039】配合2は、配合した金属Si等の粉末金属
を、焼成過程で炭化物もしくは、窒化物とした、いわゆ
る金属炭窒化物ボンドを主体とするタイプの材料であ
る。
【0040】以下に示す表3、表4の品質測定例は、先
ず表2中の各種原料を用いた配合物を混練・成形・乾燥
した後、所定の濃度雰囲気中で焼成し、更にタール含浸
・コーキング処理を経て得られたものである。焼成条件
が異なる点を除けば、ほぼ常法通りに作成された物であ
る。
【0041】
【表3】 表3は、1000℃焼成を基本とするアルミナ・ジルコ
ニア・カーボン系プレートれんがで、表2の配合1に示
す金属Si粉末とシリコン樹脂を配合し、実施例1〜6
及び比較例1〜5について、焼成過程における濃度雰囲
気の制御効果及び焼成時間の効果を示す。
【0042】プレートれんがとしての具備特性である耐
酸化摩耗性、耐熱衝撃性、耐食性などについても、測定
したが、本発明品と従来品との間に大きな違いはなく、
幾分向上する程度であった。それ故、表中には、ポイン
トとなる強度、及び含浸性のみを示した。含浸されるタ
ールの量は、含浸前後の重量変化で測定したが、焼成時
の濃度雰囲気の違いによって、変化する傾向が認められ
る。タールの含浸条件は、200℃の温度で、15気圧
×6時間保持する条件で行った。
【0043】表3に示す通り、含浸されるタールの量
は、焼成時の濃度雰囲気の違いによって異なり、明らか
に酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増加と共に多くなる
傾向が認められる。これらの結果を基に、実炉での評価
を実施し、その結果も併せて表中に示した。
【0044】弱酸化雰囲気で焼成された実施例1〜6の
プレートれんがは、酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増
加と共に、密閉気孔の減少による含浸効果の向上を指し
示すと考えられるが、強度が増加し、明らかな耐用性の
向上が認められた。表面上、現れた改善効果は、タール
の含浸量が多くなったことによるが、そのことで、実機
での耐用が顕著に向上した。
【0045】前述したように、プレートれんがは、大き
な外力を受けながら使用される背景にある。タールの含
浸量が多い事が、どのように作用したかは不明な点も多
いが、その中で、プレートれんがの摺動抵抗が小さくな
る傾向が認められ、なめらかな摺動が可能となった。プ
レートれんがの強度などの品質が同等であれば、実使用
時の摺動作業において、プレートれんがに必要以上に無
理な力が掛からず、亀裂などを誘発することが抑制さ
れ、その事が、耐用性の向上をもたらしたものと考えら
れる。
【0046】比較例1は、従来通りコークスを詰めて焼
成したもので、本発明より実機の耐用が劣っている。比
較例2は、0.0001%酸素濃度、0.05%二酸化
炭素膿度、0.05%水蒸気濃度の雰囲気で焼成したも
ので、従来のコークスを詰めて焼成したものに良く似
て、本発明より実機の耐用が劣っている。比較例3は、
酸素濃度2%、二酸化炭素濃度8%、水蒸気濃度8%と
何れも規制数を越えた場合、また、比較例5の様に焼成
時間が長すぎる場合では、過剰な酸化により還元焼成
後、即ち素焼き品の状態の悪さが影響して、含浸、コー
キング後の製品においても、強度の低下が大きく、その
他の物性も好ましくないので、実機の試用を断念した。
また、極端な短時間の焼成の場合は、比較例4に示すよ
うに、強度の低下が大きく、その他の物性も好ましくな
いので、実機の試用を断念した。
【0047】
【表4】 表4の実施例7〜12及び比較例6〜10は、表2の配
合2による、金属Si粉末とフェノール樹脂を配合し、
焼成時の濃度雰囲気を調整した焼成によって炭化珪素、
窒化珪素を生成した、いわゆる炭窒化珪素ボンドを基本
とするアルミナ−カーボン系プレートれんがの例で、焼
成温度は1400℃である。タ一ル含浸の条件は、20
0℃の温度で、15気圧×6時間キープする一定条件で
行った。
【0048】含浸されるタールの量は、表3と同様に焼
成時の濃度雰囲気の違いによって異なり、酸素・二酸化
炭素・水蒸気濃度の増加と共に多くなる傾向が、明らか
に認められる。また、実機での評価も実施し、併せて表
中に示した。
【0049】この場合も表3と同様に、実施例7〜12
のプレートれんがは、酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の
増加と共に、密閉気孔の減少による含浸効果の向上を指
し示すと考えられるが、タールの含浸量が多いほど強度
が増加し、明らかな耐用性の向上が認められた。実機に
おいても高耐用を達成するには、ボンド形態などによら
ず、酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度の適性範囲が限
られてくることが分かる。
【0050】上記いずれの実施例もコーキング処理を施
した例により説明しているが、タ一ル含浸後は、コーキ
ング処理なしの方が強度的にも優れており、使用時の発
煙を問題としなければコーキング処理しなくても差し支
えなく、その有無、処理温度等、特に制限することはな
い。
【0051】
【発明の効果】本発明の雰囲気制御された焼成方法によ
って得られたプレートれんがは、タール含浸性に優れ、
また、強度、耐食性等にも優れ、実機における高耐用性
を達成出来る。
【0052】また、従来のコークス詰め還元焼成方法で
行っていた焼成前後でのコークス詰めと排除の作業がな
くなり。作業面の能率向上を図ることができる。
【0053】さらに、製品そのものを直接加熱処理する
ことが出来る為、熱利用率も向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤峰 経一郎 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎播磨株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E014 MA04 MA12 4G030 AA17 AA36 AA60 AA64 BA29 GA14 GA21 GA24 GA27 GA35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボン原料を1〜10質量%含有する
    耐火材料および有機バインダーからなる成形体を、酸素
    濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素濃度が0.1
    〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の弱酸化性雰囲気下
    において焼成したのち、タールを含浸したスライディン
    グノズル装置用プレートれんが。
  2. 【請求項2】 カーボン原料を1〜10質量%含有する
    耐火材料および有機バインダーを混合し、成形し、乾燥
    した後、酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素
    濃度が0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の弱酸
    化性雰囲気下において6〜48時間焼成し、タールを含
    浸後さらにコーキング処理を施すスライディングノズル
    装置用プレートれんがの製造方法。
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