JP6541607B2 - スライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、製鋼用取鍋やタンディッシュに取り付けられて、溶鋼の流量制御を行うスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法に関するものである。
スライディングノズル用炭素含有プレート耐火物(以下、「炭素含有プレート耐火物」と記載する)は、溶融金属の流量制御装置として使用され、特に鉄鋼業において、取鍋やタンディッシュなどの溶融金属用容器から溶鋼を排出するときに流量制御装置として2枚あるいは3枚のプレート耐火物を組み合わせて使用される。プレート耐火物の損傷形態としては、溶鋼流による磨耗や溶損、熱衝撃による亀裂、酸化や地金の浸潤に伴う摺動部の面荒れなどがあり、それらの損傷をバランスよく抑える品質が求められる。
特に、面荒れ損傷抑制には、炭素含有プレート耐火物へのAlおよびAl含有合金の添加による強度や耐酸化性の向上による方法が知られている。従来、炭素含有プレート耐火物には、熱処理が施されており、熱処理としては、大気雰囲気下でコークスブリーズ等の炭素粉末中に被加熱物を埋め込む方法が採られてきており、例えば、特許文献1〜3などがある。
特許文献1には、(A)一種もしくは二種以上の耐火性無機材料からなる耐火物骨材が73重量%以上、96重量%以下、(B)ファイバー状金属アルミニウムが0.1重量%以上、0.5重量%以下、(C)フレーク状の金属アルミニウムが1重量%以上、5重量%以下、(D)炭素質粉末が2重量%以上、10重量%以下、(E)金属シリコン粉末が、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%に対し0.2倍以上、2倍以下の割合で配合された原料からなる混合物100重量%に対して、バインダーとして、外配で、熱硬化性樹脂を3重量%以上、10重量%以下添加し、混練、成型、焼成して得られた焼成耐火物よりなることを特徴とするスライドゲート用プレート(請求項1)が開示されている。
また、特許文献2には、一種若しくは二種以上の耐火物材料からなる耐火物骨材75〜96wt%、比表面積が3000cm/g以上、1000cm/g以下の二種の金属粉末0.5〜5wt%、及び炭素質粉末2〜10wt%の混合物に、外率で、熱硬化性樹脂3〜10wt%を添加して混練し、成形後、焼成してなることを特徴とするスライドゲート用プレート(請求項1);前記耐火物骨材が、アルミナ−ジルコニア系耐火物骨材である前記スライドゲート用プレート(請求項2);前記アルミナ−ジルコニア系耐火物骨材が、焼結アルミナ系耐火物材料65〜80wt%、電融ジルコニア系耐火物材利用10〜20wt%、シリカ系耐火物材料0.5〜5wt%、及び炭化珪素粉末0.5〜5wt%からなる前記スライドゲート用プレート(請求項3)が開示されている。特許文献2では、二種の金属粉末に加えて0.5〜5質量%の炭化珪素粉末を添加することで強度向上、低熱膨張化、酸化抑制に寄与するとしている。
更に、特許文献3には、アルミナ、ジルコニア、マグネシア及びスピネル質の耐火性骨材原料を少なくとも1種以上、および炭素質原料の配合において、窒化珪素粉末0.2〜10.0重量%と、酸化防止剤として、少なくとも1種以上の金属の0.1〜8.0重量%とを添加したことを特徴とするスライディングノズル用プレート(請求項1);上記酸化防止剤として、さらに、炭化物及び硼化物の中の少なくとも1種の0.05〜10.0重量%を併用添加した前記スライディングノズル用プレート(請求項2)が開示されている。特許文献3では、Alのような金属と窒化珪素(Si)粉末等を添加することで弾性率を大きく上げることなく強度を上げ、耐熱衝撃性を向上させたとしている。
特許文献1〜3においては、いずれもコークスブリーズ等の炭素粉末中に被加熱物を埋め込む方法によりプレート耐火物が製造されており、この方法によれば、炭素粉末と酸素の反応によって酸素濃度を低下させ、CO濃度約35%、N濃度約65%の還元雰囲気を作ることができるため、一般的な酸化熱処理用の炉を利用しつつ熱処理中のプレート耐火物中炭素の酸化を防ぐことができる。しかしながら、このような高CO分圧下ではCOとの反応によりAl等の添加金属やその他の酸化防止剤は徐々に酸化する。そのためAlおよびAl含有合金を添加したプレート耐火物に対して炭素粉末埋め込みによる還元熱処理を行うと、添加されるAlおよびAl含有合金のもつ酸化防止効果が熱処理中に消費され、耐火物としての耐酸化性が低下してしまう。加えて熱処理中には、Alと耐火物中の炭素との反応によりAlも生成する。AlとAlを主体とした結合は脆く、耐火物の耐熱衝撃性が不十分となる。
また、熱処理後のプレート耐火物にタールやピッチを含浸することで気孔を埋め、耐用を向上させることが一般的に行われている。タールやピッチは加熱溶融状態で含浸されるが、プレート耐火物が緻密すぎる場合、ピッチやタールが耐火物内部に入り込むことができず、含浸不良の状態となってしまう。タールやピッチを含浸可能な組織とすることもプレート耐火物に必要な特性である。
従来のコークスブリーズ等の炭素粉末中に被加熱物を埋め込む加熱処理方法における添加金属の酸化を抑制するために、例えば特許文献4〜6に記載されているような特殊な熱処理方法がある。
例えば、特許文献4には、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金をAl換算で1〜10質量%含有する耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後、炭素粒子中に埋め込むことなく窒素ガス雰囲気にて1000℃以上1400℃以下の温度で焼成するプレートれんがの製造方法において、炉内雰囲気温度が300℃以上では窒素ガス雰囲気とし、しかも炉内雰囲気温度が1000℃以上では雰囲気中の酸素ガス濃度を100体積ppm以下かつ一酸化炭素ガス濃度と二酸化炭素ガス濃度の合計を1.0体積%以下に保持し、かつ、1000℃以上1400℃以下の温度での焼成の保持時間を1時間以上とすることを特徴とするプレートれんがの製造方法(請求項1);窒化アルミニウムの含有量が1.5質量%以上7.0質量%以下であって、当該窒化アルミニウムは径が0.1〜0.2μmのファイバー状を含み、オートクレーブによる消化試験において、0.49MPaの加圧条件下、150℃で3時間保持した後の水和反応による重量増加率が0.5%以下であるプレートれんが(請求項4)が開示されている。特許文献4では、熱処理時にプレートれんがを炭素粉末中に埋め込むことなく、炉内のCO+COを1%以下に抑えた窒素ガス雰囲気でプレート耐火物を熱処理することでAlNボンドを生成するとしている。
また、特許文献5には、アルミニウム粉末と耐火原料粉末とからなる配合物の成形体を密封可能な容器に入れ、その容器内に窒化珪素粒を充填した状態で焼成する窒化アルミニウム結合耐火れんがの製造方法(請求項1);アルミニウム粉末と耐火原料粉末とからなる配合物の成形体を密封可能な容器に入れ、その容器内に窒化珪素粒と炭素粒とを含み、且つ、SiとCの含有量の合量中、Siを50〜99質量%、Cを1〜50質量%の範囲で含有する混合粒を充填した状態で焼成する窒化アルミニウム結合耐火れんがの製造方法(請求項2);アルミニウム粉末と耐火原料粉末とからなる配合物が、窒化アルミニウム粉末を含有する前記窒化アルミニウム結合耐火れんがの製造方法(請求項3)が開示されている。即ち、特許文献5では、還元性の雰囲気を得るために大気雰囲気下で窒化珪素粒若しくは窒化珪素粒と炭素粒の混合物中に被加熱物を埋め込んで熱処理を行うことでAlNボンドの形成を促進しようとするものである。
更に、特許文献6には、カーボン原料を1〜10質量%及び金属添加物を1〜8質量%含有する成形体を形成するステップと、前記成形体を、窒素ガス濃度が70〜99体積%であるとともに、一酸化炭素ガス濃度が1体積%以上かつ一酸化炭素ガス濃度と二酸化炭素ガス濃度の合計が20体積%以下であって、さらに酸素ガス濃度が0.1体積%以下、水蒸気濃度が2体積%以下である非酸化性ガスを炉内に送風し、当該炉内で前記非酸化性ガスと直接接する状態で焼成するステップとを有する、スライドプレート装置用プレートれんがの製造方法(請求項1)が開示されている。
特許第3617765号明細書 特開2000−327401号公報 特開2004−9059号公報 特許第5565908号明細書 特許第4245122号明細書 特開2014−224001号公報
特許文献1に記載されたスライドゲート用プレートでは、金属アルミニウムの反応によって生成するAlやAlで強化された結合組織を有するため、耐摩耗性や耐食性には優れているが、耐熱衝撃性については、金属アルミニウムの反応による結合が十分に形成されない場合と比較すれば優れたものなるが、AlとAlを多く含む結合では現在のプレート耐火物に要求されるレベルに対しては不十分なものであった。
また、特許文献2に記載されたスライドゲート用プレートでは、炭化珪素粉末が配合されているが、炭化珪素粉末自体は難焼結性であり、プレートの強度向上は熱処理雰囲気中のCOガスと炭化珪素の反応によって生成したSiOによるものであり、プレートと溶鋼が接触することによるプレートと溶鋼との反応では、SiOを含む低融点物生成による耐食性低下が問題となる。また、金属粉末としてAl粉末を炭化珪素粉末と同時添加すると、両者間の反応の影響で熱処理中のAl生成量が炭化珪素粉末無添加の場合より増加するため、耐熱衝撃性も不十分なものとなる。
更に、特許文献3に記載されたスライディングノズル用プレートでは、熱処理雰囲気中のCOガスと窒化珪素(Si)粉末の反応で生成するSiOによる耐食性低下が問題となる。また、窒化珪素粉末と金属例えばAlの反応によりAlNを生成してAlの生成を抑制するものの、従来の炭素粉末埋め込みによって得られる高CO雰囲気下の熱処理では、Alの酸化を抑制することができず、生成するAlやAlによって耐熱衝撃性が不十分なものとなる。
また、特許文献4に記載の製造方法により得られたプレートれんがでは、被加熱物から発生する一酸化炭素ガスと二酸化炭素ガスの濃度を1.0体積%以下とするためには、希釈するための窒素ガスが大量に必要となる。また、被加熱物が緻密で低通気性であるほど、被加熱物内部でのアルミニウムと窒素ガスの反応を進めるためには高温かつ長時間の熱処理が必要となる。更に、窒素ガスとの反応によって生成するAlNはプレート耐火物表面付近の気孔を埋めるため、気孔を通じて耐火物内部に含浸されるタールやピッチの含浸量が減少するという問題点もある。
更に、特許文献5に記載された窒化アルミニウム結合耐火れんがの製造方法では、被加熱物を埋め込んで非酸化雰囲気熱処理を行うために、窒化珪素粒または窒化珪素粒と炭素粒を大量に使用する必要があるが、窒化珪素粒は炭素粒と比較して高価である。また窒化珪素粒は、熱処理中に酸化してSiOになった後、周囲の炭素と反応してSiOガスの形で飛散するため、炉内を著しく汚染するという問題点もある。
従って、本発明の目的は、高い耐酸化性、強度および耐熱衝撃性を具備した炭素含有スライディングノズル用プレート耐火物を得ることができるスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述のような問題点を解決するために、金属アルミニウムやアルミニウム合金(以下、「金属アルミニウム等」と記載する)と反応して組織強度を高める効果を持つ添加物を鋭意研究した結果、熱処理温度域の少なくとも一部において、窒化アルミニウムと比較して不安定な窒化物、すなわち「金属アルミニウム等との反応により窒化アルミニウム(酸窒化アルミニウム、炭窒化アルミニウム等)を生成しうる窒化物」を金属アルミニウム等と同時添加して、成形体を非酸化性窒素雰囲気下で熱処理することで、窒化物および添加されている金属アルミニウム等の酸化を抑制しつつ熱処理過程における金属アルミニウム等の窒化反応を促進し、熱処理体の耐熱衝撃性を飛躍的に高められることを見出した。さらに、添加原料間の反応によって生成する窒化アルミニウムは、雰囲気ガスとの反応によって気孔付近で生成する窒化アルミニウムと異なり、耐火物中の気孔を過剰に埋めることがないためにピッチ含浸可能な組織を維持できる。なお、本発明のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法における非酸化性雰囲気は、上記特許文献4に示されるようなCO+COの含有率が1体積%以下のガス組成から、特許文献6に示されるようなCO+COガスを1〜20体積%含有する安価に調整可能なガス組成まで使用可能である。
即ち、本発明は、耐火性無機材料60〜97.4質量%、カーボンブラック1〜10質量%、AlまたはAl含有合金0.5〜12質量%、Si 、Mg 、BN、CrN及びCrN からなる群から選択される1種または2種以上の窒化物0.1〜10質量%及びバインダー1〜8質量%よりなる配合物を混練し、所定の形状に成形した成形体を、Nを主体とし、O濃度が0.1体積%以下、CO+CO濃度が20体積%以下の非酸化性雰囲気中で最高温度が800〜1400℃の条件で熱処理した後、ピッチ含浸処理を行うことを特徴とするスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法である。
更に、本発明のスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法は、非酸化性雰囲気がNを主体とし、O濃度が0.1体積%以下、CO+CO濃度が1〜20体積%であることを特徴とする。
本発明のスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法によれば、添加した金属アルミニウム等の反応によるAl窒化物結合の形成を効率よく行えるようになり、プレート耐火物の強度、耐熱衝撃性、耐酸化性等を高いレベルで具備することが可能となったことで、プレートの耐用を向上させることができる。なお、本明細書に記載する「プレートの耐用」は、プレートの使用回数が多いほど高くなることを意味する。プレートの使用回数とは取鍋中の溶鋼をプレート装置を通過してすべて排出するまでを1回として、再度溶鋼を補充した取鍋から溶鋼排出するというサイクルを繰り返した回数とする。
本発明のスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法は、窒化アルミニウムと比較して不安定な窒化物、すなわち「金属アルミニウム等との反応により窒化アルミニウム(酸窒化アルミニウム、炭窒化アルミニウム等)を生成しうる窒化物」を金属アルミニウム等と同時添加して、成形体を非酸化性窒素雰囲気下で熱処理することで、窒化物および添加されている金属アルミニウム等の酸化を抑制しつつ熱処理過程における金属アルミニウム等の窒化反応を促進し、熱処理体の耐熱衝撃性を飛躍的に高めることが可能となる。
本発明に使用される耐火性無機材料は、アルミナ単独でも、アルミナと、アルミナジルコニア、ジルコニアムライト、マグネシア、スピネル、ジルコニアなどの耐火物原料とを組み合わせて使用してもよい。耐火性無機材料の配合割合は、60〜97.4質量%、好ましくは70〜95質量%の範囲内である。耐火性無機材料の配合割合が60質量%未満では、加熱時の組織の安定性が低下するために好ましくなく、また、97.4質量%を超えると、耐熱衝撃性が低下するために好ましくない。
次に、本発明に使用される炭素質材料としては、カーボンブラック、黒鉛、カーボンファイバー、ピッチ粉末等を挙げることができる。炭素質原料の配合割合は、1〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%の範囲内である。炭素質材料の配合割合が1質量%未満では、耐熱衝撃性が低下するために好ましくなく、また、10質量%を超えると、耐酸化性が低下するために好ましくない。
さらに、本発明に使用されるAlまたはAl含有合金の配合割合は、0.5〜12質量%、好ましくは1〜6質量%の範囲内である。AlまたはAl含有合金は、金属の融点以上の温度域で他の耐火物原料や雰囲気中のガス成分と反応して、耐火物原料粒子間に強固な組織結合を形成する働きを持つ。また、使用中においては、外部から侵入した酸素による耐火物中炭素の酸化を防ぐ酸化防止剤となる。そのため、AlまたはAl含有合金の配合割合が、0.5質量%未満の場合には、炭素含有プレート耐火物の組織強度が不十分となるほか、酸化防止剤としての効果が期待できなくなるため好ましくない。また、AlまたはAl含有合金の配合割合が、12質量%を超えると、結合組織の過剰な発達のために耐熱衝撃性の低下や、異常膨張による組織崩壊を引き起こすため好ましくない。なお、Al含有合金は、金属Al含有率が30質量%以上のものを使用することが好ましい。Al含有合金の金属Al含有率が30質量%未満であると、熱処理中のAl反応量が減少して強固な窒化物結合が形成できなくなるため好ましくない。なお、本発明において、AlまたはAl含有合金の含有割合は、金属Alとして0.5〜12質量%の範囲内が好ましく、1〜6質量%の範囲内が更に好ましい。
次に、本発明に使用される窒化物(M)に要求されるAlNとの反応性は、熱処理中の最高温度におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーΔG (AlN)と窒化物の標準生成ギブスエネルギーΔG (M)とから、(式1)を満たすものとして表すことができる。(式1)において、(1/y)・ΔG (M)は窒化物における窒素原子1モル当りの標準生成ギブスエネルギーを示す。
Figure 0006541607
なお、標準生成ギブスエネルギーは、米国商務省(U.S. Department of Commerce)の国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)が公開しているNIST-JANAF Thermochemical Tablesの値を使用できる。
(式1)の右側の関係は、Alと窒化物の反応(式2)におけるギブスエネルギー変化ΔGを表す(式3)から導くことができる。ΔG<0であれば、(式2)の反応によってAlNが生成するため、耐熱衝撃性に優れた強固な結合が形成されやすく好ましい。ΔG≧0の場合、添加した窒化物はAlNと同等かそれ以上に安定であるために(式2)の反応ではAlNの生成は起こらなくなるために好ましくない。
Figure 0006541607
Figure 0006541607
(式1)の左側の関係は、添加される窒化物に要求される安定性から導くことができる。G (M)>0の場合、窒化物は不安定で自発的に分解するため、Alとの反応前に失われてしまい好ましくない。G (M)≦0であれば、添加した窒化物は安定であり、Alと反応するまでは耐火物組織内にとどまることができるため好ましい。
熱処理中の最高温度における窒化物中の窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーがAlNのそれよりも大きく且つ負の値を有する窒化物としては、Si、Mg、BN、CrN、CrN等があり、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、Si及びBNは、原料としての保管時の安定性や、熱間でのAlとの反応性の高さのため好ましい。
熱処理中の最高温度における窒化物中の窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーがAlNのそれよりも大きく且つ負の値を有する窒化物の配合割合は、0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%の範囲内である。通常、炭素含有プレート耐火物に添加したAlは熱間で反応して炭化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等に変化する。中でも窒化アルミニウムを初めとする窒素含有アルミニウム化合物による結合は、耐酸化性、耐食性、耐熱衝撃性に優れた組織を形成することができ、上記窒化物は窒素含有アルミニウム化合物の生成を促進する。上記窒化物の配合割合が0.1質量%未満であると、窒素含有アルミニウム化合物の生成がほとんど促進されず、添加効果が小さいため好ましくない。また、上記窒化物の配合割合が10質量%より多いと、Alと反応できない余剰の窒化物が過剰に残留するため好ましくない。この残留窒化物は必然的に窒素含有アルミニウム化合物と比べて不安定であるために溶鋼と接する高温下では徐々に分解されていく。そのため、過剰に残留した窒化物はプレート耐火物組織を脆弱化させる原因となることがある。
上述のような配合を有する原料にさらにバインダーとして有機結合材を配合する。有機結合材としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びタール・ピッチ等を用いることができる。有機結合材の配合割合は、1〜8質量%、好ましくは2〜5質量%の範囲内である。ここで、有機結合材の配合割合が1質量%未満の場合には、強度や耐食性が低下するために好ましくなく、また、8質量%を超えると、熱処理時に亀裂が発生し易くなり、亀裂発生を回避しようとすると緻密な成形体を得られなくなるために好ましくない。
なお、本発明において、金属添加物として、SiなどのAlを含有しない金属添加物を目的に応じて併用することができる。また、その他の添加物として、硼化物、炭化物、前述の(式1)の条件を満たさない窒化物などを目的に応じて併用することもできる。
上述のように、耐火性無機材料、炭素質材料、金属アルミニウム等、熱処理中の最高温度における窒化物中の窒素原子1個当たりの標準生成ギブスエネルギーがAlNのそれよりも大きく且つ負の値を有する窒化物及び適宜その他の添加物に、バインダーを加えて容器固定型または容器駆動型のミキサーで混練を行う。混練後の配合物をフリクションプレス、オイルプレス、静水圧プレスなどで所定形状のプレート耐火物に成形した後、最高温度800〜1400℃、好ましくは1000〜1300℃の範囲内で熱処理を行う。熱処理の最高温度が800℃未満の場合、Alの窒化反応が進みにくくなり、耐熱衝撃性に優れた組織結合を形成できなくなるために好ましくない。また、熱処理の最高温度が1400℃より高い場合には、結合組織の過剰な発達によって耐熱衝撃性の低下や、熱処理後に行うことができるピッチ含浸処理において、ピッチ含浸量の低下が起こるため好ましくない。なお、加熱処理の最高温度は、添加される窒化物の熱処理中の最高温度における窒化物中の窒素原子1個当たりの標準生成ギブスエネルギーを考慮して上記(式1)を満たすように設定される。熱処理は、数回に分けて行うこともでき、例えば100℃で熱処理してバインダーを硬化してから、熱処理を行うこともできる。
なお、本発明の熱処理工程は、下記組成のガスを炉内に送風(導入)し、炉内を非酸化性の雰囲気として行われる。成形されたプレート耐火物は、コークスブリーズと一緒のサヤ詰めを行うことなく、炉内の雰囲気自体を非酸化性雰囲気として直接加熱する還元焼成方法を採用して熱処理することができる。
熱処理工程の雰囲気は、Nを主体としてO濃度が0.1体積%以下、好ましくは0.05体積%以下、CO+COの濃度が20体積%以下、好ましくは1〜5体積%の範囲内の非酸化性雰囲気とする。このようなガス組成とすることにより、酸化アルミニウムの生成を効率的に抑制することができ、且つガス組成(雰囲気)を調整のためのコスト増加が小さく経済的である。なお、O濃度が0.1体積%より高い雰囲気下では、Alの大部分が酸化アルミニウムとなってしまうため、酸化防止剤としての効果が期待できなくなるため好ましくない。また、CO+COの濃度が20体積%より高い雰囲気下でも同様で、Alの大部分は酸化アルミニウムとなってしまうため好ましくない。酸化アルミニウムの生成がよく抑制され、かつ、雰囲気調整のためのコスト増加が小さく経済的である。また、CO濃度が1体積%未満とすることも可能であるが、ガス組成を調整するために、大量の高純度Nガスを混合する必要が生じてコストが増大することがある。
また、雰囲気ガスの主体がNであることで、Alとの反応による窒化物結合の形成を促進することが可能となる。Nガス濃度は70〜99体積%、好ましくは80〜99体積%の範囲内である。ここで、Nガス濃度が70体積%未満では、Alの窒化反応が促進されなくなるために好ましくない。また、Nガス濃度が99体積%を超えると、高純度Nガスを大量に使用する必要があり、コスト増加を招くことがあるために好ましくない。なお、雰囲気ガスは炭化水素ガス、Hガス、Arガスなどのガス成分を含んでいてもかまわない。
表1及び2に記載する材料配合並びに製造条件にて、本発明例を示し、表3に記載する材料配合並びに製造条件にて、比較例を示す。
サンプルの作成手順を以下に説明する。それぞれ表中の比率に従って配合した原料を万能ミキサーで20分混練し、バインダーである液体フェノール樹脂を原料粒子表面に満遍なくいきわたらせた。次に、混練した練土を一軸加圧型の真空フリクションプレスを用いて、実際のプレート形状に成形した。成形体の熱処理はまず大気雰囲気下で110℃を3時間保持、その後にそれぞれ表中に示す雰囲気および最高温度で3時間保持した。熱処理後の熱処理体は所定のサイズに切り出し、各評価用の試験サンプルとした。
「曲げ強度」は、150×25×25mmサイズの角柱状サンプルを使用して常温下での3点曲げ強度を測定したものである。曲げ強度が、20MPaより低いと実機使用時にプレート耐火物が受ける機械的な拘束圧や衝撃に対する強度が不足し、耐用が低下する。
「耐酸化性」は、35×35×35mmサイズの立方体サンプルを1000℃の大気雰囲気下で3時間加熱し、加熱後サンプルを試料中央で切断して測定した酸化層厚みで評価した。酸化層厚みは比較例1を100とした耐酸化性指数で示し、値が低いほど耐酸化性が優れることを意味する。耐酸化性指数が150以上では酸化脱炭により耐用が低下する。
「耐熱衝撃性」は、200×35×35mmサイズの角柱状サンプルを使用し、1550℃に加熱した溶銑にサンプルを60秒間浸漬したのち自然空冷し、外観および切断面からサンプルに発生した亀裂量で評価した。亀裂が細く、発生量が少ないほど良好である。比較例1の亀裂量を100とした耐熱衝撃性指数で示し、値が低いほど耐熱衝撃性が優れることを意味する。耐熱衝撃性指数が90より大きいと、亀裂による損傷拡大が顕著となり、耐用が低下する。
「耐食性」の評価には、内張りにサンプルを貼り付けたるつぼを使用した。るつぼ内で鋼とFeOを1600℃に加熱して溶融し、揺動を加えながらサンプルと3時間反応させた後にサンプルの溶損深さを測定することで耐食性を評価した。溶損深さが小さいほど良好である。比較例1の溶損深さを100とした耐食性指数で示し、値が低いほど耐食性に優れることを意味する。耐食性指数が140より大きいと、溶損により耐用が低下する。
「ピッチ含浸性」は、実際の製造ラインにおいて、サンプルに低粘性のピッチを200℃、2時間加圧含浸(圧力15kgf/cm)し、含浸前後の質量変化率から評価した。従来の実績から、サンプルの質量変化率が3%以上であれば良好である。
「実機耐用」は、プレート耐火物の実機での使用回数により示したものであり、従来の材質では8回以下であるため、9回以上あれば耐用向上の効果が認められる。
Figure 0006541607
Figure 0006541607
Figure 0006541607
実施例1〜6は、Alを4質量%、窒化物としてSiを0.1〜10質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は9〜10回であった。なお、1250℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−151kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−60kJ/molであった。
実施例7〜9は、Alを4質量%、窒化物としてBN、Mg、CrNをそれぞれ1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数はいずれも10回であった。なお、1250℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−151kJ/molであり、BN、Mg、CrNの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、それぞれ−117kJ/mol、−46kJ/mol、−2kJ/molであった。
実施例10は、Al−12質量%Si合金を4質量%、窒化物として窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例11は、Al−50質量%Mg合金を2質量%、窒化物として窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例12〜15は、Alを0.5〜12質量%、窒化物として窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は9〜10回であった。
実施例16は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度800℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は9回であった。なお、800℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−203kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−97kJ/molであった。
実施例17は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1000℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。なお、1000℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−180kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−81kJ/molであった。
実施例18は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1300℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。なお、1300℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−145kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−56kJ/molであった。
実施例19は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1400℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は9回であった。なお、1400℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−133kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−48kJ/molであった。
実施例20は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度0.1体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例21は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度1体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例22は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度2体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例23は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度5体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例24は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度18体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は9回であった。
実施例25は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.1体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数は10回であった。
実施例26〜28は、電融アルミナ、ジルコニアムライト、カーボンブラック、Si等の配合量を変化させた以外は実施例1と同様で、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性、ピッチ含浸性はいずれも良好で、実機使用回数はいずれも10回であった。
比較例1は、Alを4質量%、窒化物は無添加の配合のもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐食性は良好だが耐熱衝撃性とピッチ含浸性が不足しており、実機使用回数は7回であった。
比較例2は、Alを4質量%、窒化物としてSiを12質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐熱衝撃性は良好だが耐食性が不足しており、実機使用回数は7回であった。
比較例3、4は、Alを5質量%、窒化物としてZrN、AlNをそれぞれ1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。強度、耐酸化性、耐食性は良好だが耐熱衝撃性とピッチ含浸性が不足しており、実機使用回数は8回であった。ZrN、AlNはAlと反応して新たにアルミニウム含有窒化物を形成しないため、耐熱衝撃性向上の効果が得られなかった。なお、1250℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−151kJ/molであり、ZrNの標準生成ギブスエネルギーは、−224kJ/molであった。
比較例5は、Alを0.1質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。低強度で、耐酸化性や耐食性が不足しており、実機使用回数は6回であった。
比較例6は、Alを15質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。熱処理時にプレート耐火物に発生した亀裂のため、実機使用することができなかった。
比較例7は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度700℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性は良好だが強度が不足しており、実機使用回数は7回であった。なお、700℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−215kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−106kJ/molであった。
比較例8は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1500℃、O濃度0.01体積%、CO+CO濃度3体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性とピッチ含浸性が不足しており、実機使用回数は6回であった。なお、1500℃におけるAlNの標準生成ギブスエネルギーは、−121kJ/molであり、Siの窒素原子1モル当たりの標準生成ギブスエネルギーは、−38kJ/molであった。
比較例9は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、大気雰囲気下でプレート耐火物を炭素粉末(コークスブリーズ)中に埋没し、熱処理を行い、炭素粉末とOの反応によって実質的な熱処理雰囲気はO濃度0.01体積%、CO+CO濃度35体積%となったものであり、特許文献3の条件に該当する。耐熱衝撃性、耐食性とピッチ含浸性が不足しており、実機使用回数は7回であった。
比較例10は、Alを4質量%、窒化物としてSiを1質量%配合したもので、最高温度1250℃、O濃度1体積%、CO+CO濃度10体積%の雰囲気下で熱処理を行ったものである。耐酸化性、耐熱衝撃性、耐食性とピッチ含浸性が不足しており、実機使用回数は7回であった。

Claims (2)

  1. 耐火性無機材料60〜97.4質量%、カーボンブラック1〜10質量%、AlまたはAl含有合金0.5〜12質量%、Si 、Mg 、BN、CrN及びCrN からなる群から選択される1種または2種以上の窒化物0.1〜10質量%及びバインダー1〜8質量%よりなる配合物を混練し、所定の形状に成形した成形体を、Nを主体とし、O濃度が0.1体積%以下、CO+CO濃度が20体積%以下の非酸化性雰囲気中で最高温度が800〜1400℃の条件で熱処理した後、ピッチ含浸処理を行うことを特徴とするスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法。
  2. 非酸化性雰囲気がNを主体とし、O濃度が0.1体積%以下、CO+CO濃度が1〜20体積%である、請求項1記載のスライディングノズル用炭素含有プレート耐火物の製造方法。
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