JP2022087681A - ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが - Google Patents

ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンピックアップを抑制することと、耐スポーリング性を向上することと、を両立し得るれんがを提供する。【解決手段】主材料と、結合剤と、添加剤と、を含み、主材料は、65~98質量%のマグネシア原料と、1~30質量%のスピネル原料と、1~5質量%のカーボン原料と、を含有し、結合剤および添加剤の含有量の合計は、主材料に対して外掛けで1~10質量%である、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがである。【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがに関する。
マグネシア-カーボンれんがは、耐食性および耐スポーリング性に優れるため、各種精錬炉に使用される。しかし、ステンレス溶鋼取鍋にマグネシア-カーボンれんがを使用すると、溶鋼へのカーボンピックアップが問題となる場合がある。そのため、ステンレス溶鋼取鍋スラグラインには、カーボン量を低減したマグネシア-カーボンれんがが使用されることが一般的である。たとえば、特開2016-198771号公報(特許文献1)には、Cを1.5~1.9質量%含有するMgO-C耐火煉瓦を施工したステンレス溶鋼用取鍋が開示されている。
特開2016-198771号公報
特許文献1の技術のように、ステンレス溶鋼取鍋にカーボンを低減したマグネシア-カーボンれんがを用いることは一般的であるが、カーボンを低減することにより、耐スポーリング性の低下が問題となる場合があった。
そこで、カーボンピックアップを抑制することと、耐スポーリング性を向上することと、を両立しうるれんがの実現が求められる。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、主材料と、結合剤と、添加剤と、を含み、前記主材料は、65~98質量%のマグネシア原料と、1~30質量%のスピネル原料と、1~5質量%のカーボン原料と、を含有し、前記結合剤および前記添加剤の含有量の合計は、前記主材料に対して外掛けで1~10質量%であることを特徴とする。
この構成によれば、カーボンピックアップを抑制することと、耐スポーリング性を向上することと、を両立しうる。そのため、上記の構成によれば、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用途に特に適したれんがを提供しうる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、一態様として、前記主材料における、JIS Z 8815:1994に従ってふるい分けされた場合に目開き0.3mmのふるいを通過する前記マグネシア原料の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、酸化マグネシウムと炭素との反応による組織脆化が抑制されるので、れんがの強度が向上しうる。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、一態様として、前記スピネル原料は、JIS Z 8815:1994に従ってふるい分けされた場合に、総質量の80%以上が目開き1mmのふるいを通過する粒度分布を有することが好ましい。
この構成によれば、耐スポーリング性が特に向上しやすい。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、一態様として、前記カーボン原料は、膨張化黒鉛粉砕物を含むことが好ましい。
この構成によれば、カーボン原料の使用量を低減しつつ、良好な耐スポーリング性が発現する。そのため、耐スポーリング性の向上とカーボンピックアップの抑制とを両立しやすい。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、一態様として、前記結合剤は、フェノール樹脂を含み、前記フェノール樹脂の含有量は、前記主材料に対して外掛けで2~5質量%であることが好ましい。
この構成によれば、緻密で強度の高いれんがが得られうる。
本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、一態様として、前記添加剤は、アルミニウム、シリコン、炭化ほう素、およびコールタールピッチからなる群から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。
この構成によれば、れんがの強度が向上しやすい。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
〔れんがの構成〕
本実施形態に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、主材料と、結合剤と、添加剤と、を含む。主材料は、れんがの骨材として機能する成分であり、マグネシア原料、スピネル原料、およびカーボン原料を含有する。
(マグネシア原料)
本実施形態において、主材料は65~98質量%のマグネシア原料を含有する。主材料におけるマグネシア原料の含有量を上記の範囲とすることによって、れんがが良好な耐食性を発現する。主材料におけるマグネシア原料の含有量は、75質量%以上であることがより好ましい。また、主材料におけるマグネシア原料の含有量は、90質量%以下であることがより好ましい。
主材料に含まれるマグネシア原料としては、従来のマグネシア-カーボンれんがに使用されているマグネシア原料を使用できる。かかるマグネシア原料としては、電融マグネシア、海水マグネシア、天然マグネシアなどが例示される。耐食性の観点から、マグネシア原料が、酸化マグネシウム(MgO)を97質量%以上含むことが好ましく、98質量%以上含むことがより好ましい。
主材料に含まれるマグネシア原料の粒度分布は、常法に従って調整されてもよいし、調整されなくてもよい。粒度分布が調整される場合、マグネシア原料は、たとえばJIS Z 8815:1994に従って5-3mm、3-1mm、1-0.3mm、および0.3mm以下に分級され、特定の級が増減されうる。ここで、主材料における粒径0.3mm以下のマグネシア原料の含有量を10質量%以下とすると、酸化マグネシウムと炭素との反応による組織脆化が抑制されるため、好ましい。なお、主材料は粒径0.3mm以下のマグネシア原料を含まなくてもよく、上記の「主材料における粒径0.3mm以下のマグネシア原料の含有量を10質量%以下とする」とは、粒径0.3mm以下のマグネシア原料を含まないマグネシア原料を用いることでもありうる。主材料における粒径0.3mm以下のマグネシア原料の含有量は、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
(スピネル原料)
本実施形態において、主材料は1~30質量%のスピネル原料を含有する。従来のマグネシア-カーボンれんがを構成するマグネシア原料の一部をスピネル原料に置き換えることによって、従来のマグネシア-カーボンれんがに比べて耐スポーリング性が向上する。これは、スピネル原料の熱膨張率がマグネシア原料の熱膨張率より小さいためである。ただし、スピネル原料はマグネシア原料に比べて耐食性が低いため、スピネル原料の含有量が過剰であると、れんがが侵食されやすくなるおそれがある。本発明者らは鋭意検討し、主材料中におけるスピネル原料の含有量を1~30質量%とすると、耐スポーリング性と耐食性とのバランスが良好であることを見出した。なお、主材料中におけるスピネル原料の含有量は、10質量%以上であることが好ましい。また、主材料中におけるスピネル原料の含有量は、20質量%以下であることが好ましい。
スピネル原料は、アルミン酸マグネシウムを主鉱物として含有しており、AlとMgOとの比率が異なる複数種類のものが市販されている。耐食性の観点から、スピネル原料が、アルミン酸マグネシウム(AlおよびMgO)を98質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがより好ましい。なお、スピネル原料は、電融品および焼結品のいずれであってもよい。
スピネル原料のうち、AlとMgOとの比率が等モルに近いものは、熱膨張率と耐食性とのバランスが良好である。一方、Alが過剰の場合は耐食性が劣る場合があり、MgOが過剰の場合は熱膨張率が過大になる場合がある。スピネル原料は、モル比率[Al]/[MgO]が0.5~1.5であることが好ましい。
主材料に含まれるスピネル原料の粒度分布は、常法に従って調整されてもよいし、調整されなくてもよい。粒度分布が調整される場合、スピネル原料は、たとえばJIS Z 8815:1994に従って5-3mm、3-1mm、および1mm以下に分級され、特定の級が増減されうる。ここで、総質量の80%以上が目開き1mmのふるいを通過する粒度分布を有するスピネル原料を用いると、耐スポーリング性が特に向上しやすい。スピネル原料は、総質量の90%以上が目開き1mmのふるいを通過する粒度分布を有するものであることがより好ましく、総質量の100%が目開き1mmのふるいを通過する粒度分布を有するものであることがさらに好ましい。
なお、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがに含まれるマグネシア原料およびスピネル原料のそれぞれの粒度分布は、たとえば以下の方法によって特定できる。れんがの切断面をSEM-EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)で観察すると、切断面に露出している粒子の断面について、形状およびそこに含まれる元素を特定できる。これによって、切断面に露出している粒子の各々について、マグネシア原料およびスピネル原料のいずれの粒子であるのかを特定できる。また、粒子の断面形状を観察できることから、当該粒子の球相当径を算出できる。以上のことから、れんがの切断面をSEM-EDXで観察することによって、切断面に露出しているマグネシア原料およびスピネル原料のそれぞれの粒径(球相当径)の分布を特定できる。この観察方法を、統計的に有意な数の粒子についての粒度分布が得られるまで繰り返すことによって、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがに含まれるマグネシア原料およびスピネル原料のそれぞれについて、JIS Z 8815:1994に従って特定される粒度分布を特定できる。
また、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがにおけるマグネシア原料およびスピネル原料の含有量は、JIS R 2212-4:2006またはJIS R 2216:2005に従って特定できる。
(カーボン原料)
本実施形態において、主材料は1~5質量%のカーボン原料を含有する。主材料中におけるカーボン原料の含有量を上記の範囲にすると、カーボン原料を含有しない場合に比べて耐食性および耐スポーリング性を向上でき、かつ、カーボンピックアップが問題になりにくい。主材料におけるカーボン原料の含有量は、2質量%以上であることが好ましい。また、主材料におけるカーボン原料の含有量は、4質量%以下であることが好ましい。
主材料に含まれるカーボン原料としては、従来のマグネシア-カーボンれんがに使用されているカーボン原料を使用できる。かかるカーボン原料としては、鱗状黒鉛、土状黒鉛、および膨張化黒鉛粉砕物が例示される。このうち、膨張化黒鉛粉砕物を使用すると、他のカーボン原料に比べて少ない使用量で良好な耐スポーリング性向上効果を発現する。そのため、耐スポーリング性の向上とカーボンピックアップの抑制とを両立しやすい。また、耐食性の観点から、カーボン原料が、炭素(C)を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。
なお、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがにおけるカーボン原料の含有量は、JIS R 2011:2007に従って特定できる。
(結合剤および添加剤)
本実施形態に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがにおいて、結合剤および添加剤の含有量の合計は、主材料に対して外掛けで1~10質量%である。結合剤および添加剤の含有量の合計を上記の範囲にすることによって、緻密で強度の高いれんがが得られうる。結合剤および添加剤の含有量の合計は、主材料に対して外掛けで2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、結合剤および添加剤の含有量の合計は、主材料に対して外掛けで、6質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、結合剤としては従来のマグネシア-カーボンれんがに使用されている結合剤を使用できる。かかる結合剤としては、ノボラック系フェノール樹脂およびレゾール系フェノール樹脂が例示される。また、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を併用してもよい。なお、結合剤は、一種類の材料であってもよいし、複数種類の材料の混合物であってもよい。結合剤の含有量は、主材料に対して外掛けで2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、結合剤の含有量は、主材料に対して外掛けで6質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。なお、結合剤がフェノール樹脂を含む場合、フェノール樹脂の含有量が主材料に対して外掛けで2~5質量%であることが好ましい。
本実施形態において、添加剤としては従来のマグネシア-カーボンれんがに使用されている添加剤を使用できる。かかる添加剤としては、アルミニウム、シリコン、炭化ほう素、およびコールタールピッチが例示される。このうち、アルミニウム、シリコン、および炭化ほう素は、カーボンの酸化防止剤としての役割を果たし、コールタールピッチは、気孔を閉塞してれんがを緻密化する役割を果たす。なお、添加剤は、一種類の材料であってもよいし、複数種類の材料の混合物であってもよい。添加剤の含有量は、主材料に対して外掛けで3質量%以下であることが好ましい。
〔れんがの製造方法〕
本実施形態に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、マグネシア原料、スピネル原料、カーボン原料、結合剤、および添加剤を混練する混練工程、混練工程で得られた配合物を成形する成形工程、ならびに、成形工程で得られた成形体を熱処理する熱処理工程、を含むプロセスを経て製造されうる。また、必要に応じて、熱処理工程の後に、タールおよびピッチからなる群から選ばれる一種以上をれんがに含浸する含侵工程を設けてもよい。
(混練工程)
混練工程は、従来のマグネシア-カーボンれんがの製造プロセスにおける混練方法を適用しうる。マグネシア原料、スピネル原料、カーボン原料、結合剤、および添加剤を秤量し、混練装置を用いて混練して配合物を得る。なお、後述する熱処理工程において結合材中の揮発分が揮発するなどの理由により、混練工程において投入した原料の重量比率と、得られたれんがに含まれる原料の重量比率とは異なりうるが、所望の組成のれんがを得るために投入するべき原料の重量比率は、当業者であれば適宜設定できるだろう。混練装置としては、たとえば、コナーミキサー、高速攪拌羽根が付いた加圧式のハイスピードミキサー、アイリッヒ(登録商標)ミキサーなどを使用できる。
(成形工程)
成形工程は、従来のマグネシア-カーボンれんがの製造プロセスにおける成形方法を適用しうる。混練工程で得られた配合物を、成形装置を用いて成形して成形体を得る。成形装置としては、油圧式プレスやフリクションプレスなどの一般的なれんが成形プレス装置を使用できる。成形圧力は、通常100~250MPaであり、より好ましくは120~220MPaであり、さらに好ましくは140~210MPaであり、特に好ましくは150~200MPaである。成形圧力が、100MPaを下回ると成形不十分となるおそれがあり、250MPaを超えるとラミネーションが発生するおそれがある。
(熱処理工程)
熱処理工程は、成形工程で得られた成形体を加熱して、結合剤を硬化させるとともに、結合剤中の揮発分を除去するための工程である。なお、ここでいう熱処理を、乾燥処理と呼ぶ場合もある。熱処理工程における加熱温度は、200℃以上300℃未満であることが好ましく、220℃以上295℃未満であることがより好ましく、230℃以上270℃未満であることが特に好ましい。加熱温度が200℃未満であると、れんが内に揮発分が残留するおそれがあるまた、加熱温度が300℃以上であると、バインダーが熱分解することによってれんが内の気孔が増加し、これによってれんが自体の組織が緩み、れんがの強度が低下する場合がある。
〔その他の実施形態〕
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下に実施例および評価方法を示し、本発明の効果を詳細に説明する。
〔試料の作成〕
後掲する表に記載した重量比率に従ってマグネシア原料、スピネル原料、カーボン原料、結合剤、および添加剤を混合し、上記の実施形態で説明した製造方法に従って実施例および比較例のれんがを作成した。各原料として、以下のものを用いた。
(マグネシア原料)
マグネシア原料として、MgO含有量98質量%の電融マグネシアを使用した。なお、マグネシア原料は、JIS Z 8815:1994に従って5-3mm、3-1mm、1-0.3mm、および0.3mm以下に分級して用いた。
(スピネル原料)
スピネル原料として、Al含有量75%、MgO含有量23%の電融スピネルを使用した。なお、スピネル原料は、JIS Z 8815:1994に従って5-3mm、3-1mm、1-0.3mm、および0.3mm以下に分級して用いた。また、表中の「1mm以下」の記載は、1-0.3mmの級および0.3mm以下の級のスピネル原料を含むことを表す。
(鱗状黒鉛)
炭素(C)純度が95%の鱗状黒鉛を使用した。
(膨張化黒鉛粉砕物)
膨張化処理後に圧縮成形した黒鉛シートを粉砕した膨張化黒鉛粉砕物を使用した。
(結合剤および添加剤)
フェノール樹脂、アルミニウム、シリコン、炭化ほう素、およびコールタールピッチについて、当分野で通常使用される物性および品質のものを使用した。
〔評価方法〕
(耐スポーリング性)
耐スポーリング性を、急熱急冷試験により評価した。実施例および比較例の各例について、40×40×160mmの試験片を切り出し、1000℃の還元雰囲気中で焼成した。試験片を1680℃に加熱した溶銑に60秒間浸漬した後、15秒間冷水に浸漬し、これを2回繰り返した。急熱急冷試験前後において試験片の弾性率を測定し、試験前の弾性率に対する試験後の弾性率の低下率を算出した。なお、弾性率は、試験片の長手方向(長さ160mmの方向)について、超音波伝播法を用いて測定した。
弾性率低下率に基づいて、耐スポーリング性を以下の四段階で評価した。
AA :弾性率低下率が10%以下である。
A :弾性率低下率が10%より大きく30%以下である。
B :弾性率低下率が30%より大きく70%以下である。
C :弾性率低下率が70%より大きい。
(耐食性)
耐食性を、高周波誘導炉内張り法により評価した。高周波誘導炉内張り法は、実施例および比較例の各例を高周波誘導炉内に内張りし、炉内で鋼および侵食剤を溶解した後に測定される試料の溶損厚さに基づいて耐食性を評価する方法である。試験温度は1700℃とし、侵食剤として質量比(CaO/SiO)が2.8の合成スラグを使用した。侵食剤の投入は、1回あたり400gとし、これを1時間毎に入れ替えて計6時間の試験を行った。試験後の試料を、稼働面に垂直な方向に切断して最大溶損厚さを測定した。
最大溶損厚さに基づいて、耐食性を以下の四段階で評価した。
AA :最大溶損厚さが1mm未満である。
A :最大溶損厚さが1mm以上2mm未満である。
B :最大溶損厚さが2mm以上4mm未満である。
C :最大溶損厚さが4mm以上である。
(耐カーボンピックアップ性)
耐カーボンピックアップ性の評価は、以下の方法で行った。内張りとして実施例および比較例の各例を施工した高周波誘導炉を作成し、当該高周波誘導炉においてステンレス鋼を1700℃で溶解した。1時間保持した後に、溶鋼をサンプリングしてカーボン量を分析した。試験前後の試験片についてカーボン量を測定し、試験前のカーボン量に対する試験後のカーボン量の増加率を算出した。なお、カーボン量は、JIS G 1211-3:2018に従って測定した。
カーボン量増加率に基づいて、耐カーボンピックアップ性を以下の四段階で評価した。
AA :カーボン量増加率が0.0008%以下である。
A :カーボン量増加率が0.0008%より大きく0.0010%以下である。
B :カーボン量増加率が0.0010%より大きく0.0013%以下である。
C :カーボン量増加率が0.0013%より大きい。
(気孔率)
気孔率を、JIS R 2205:1992に従って測定した。気孔率は、小さいほど良好である。
(曲げ強度)
曲げ強度を、JIS R 2213:2005に従って測定した。曲げ強度は、大きい程良好である。
(酸化層厚さ)
耐酸化性の指標として、酸化層厚さを以下の方法で測定した。抵抗電気炉中に40×40×40mmの試験片をセットし、1400℃、大気雰囲気の条件で5時間処理した。その後、試験片を切断し、酸化して変色した部分の厚さを計測し、酸化層厚さとした。酸化層厚さが小さい方が、耐酸化性に優れている。
〔試験結果〕
実施例および比較例の各例の組成および評価結果を、表1~表6に示した。
(主材料の組成)
表1には、主材料中におけるマグネシア原料およびスピネル原料の含有量が異なる例を示した。実施例1~7は、いずれも本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがとしてのマグネシア原料、スピネル原料、およびカーボン原料の含有量の要件を満たしており、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてB以上の水準を示した。一方、スピネル原料の含有量が過剰(33質量%)である比較例1は、実施例1~7に比べて耐食性が劣った。また、スピネル原料を含まない比較例2は、実施例1~7に比べて耐スポーリング性が劣った。
表2には、主材料中におけるカーボン原料の含有量が異なる例を示した。実施例8~11は、いずれも本発明に係るステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがとしてのマグネシア原料、スピネル原料、およびカーボン原料の含有量の要件を満たしており、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてB以上の水準を示した。一方、カーボン原料を含まない比較例3は、実施例8~11に比べて耐スポーリング性が劣った。また、カーボン原料の含有量が過剰(6質量%)である比較例4は、実施例8~11に比べて耐カーボンピックアップ性が劣った。
再び表1を参照し、実施例3と実施例5とを比較すると、鱗状黒鉛を用いている実施例3に比べて、膨張化黒鉛粉砕物を用いている実施例5の方がカーボン原料の含有量が少ないが、耐スポーリング性は同等であることがわかる。一方、両者の耐カーボンピックアップ性を比較すると、カーボン原料の含有量が少ない実施例5の方が良好である。これらの例の比較から、カーボン原料として膨張化黒鉛粉砕物を用いることが特に好適であることがわかる。
Figure 2022087681000001
Figure 2022087681000002
(マグネシア原料の粒度分布)
表3には、マグネシア原料の粒度分布が異なる例を示した。なお、実施例2について再掲している。表3に示したいずれの例も、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてA以上の水準を示したが、0.3mm以下の粒子が少ない粒度分布を有するマグネシア原料を用いた実施例12~14では、特に良好な耐スポーリング性が見られた。
Figure 2022087681000003
(スピネル原料の粒度分布)
表4には、スピネル原料の粒度分布が異なる例を示した。なお、実施例2について再掲している。表4に示したいずれの例も、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてB以上の水準を示したが、1mm以下に分級されるスピネル原料を使用した実施例2および17では、特に良好な耐スポーリング性が見られた。
Figure 2022087681000004
(フェノール樹脂の含有量)
表5には、フェノール樹脂の含有量が異なる例を示した。表5に示した実施例18~21は、いずれも、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてB以上の水準を示した。なお、フェノール樹脂の含有量が主材料に対して外掛けで2質量%である実施例18、および、6質量%である実施例19は、特に良好な耐スポーリング性を示した。一方、フェノール樹脂の含有量が少ない(0.4質量%)比較例5では、成形工程および熱処理工程を経てもれんがの結着が不十分であり、評価に供する試料を得られなかった。また、フェノール樹脂の含有量が多い(10質量%)比較例6では、気孔率が高く、実施例18~21に比べて耐食性および耐カーボンピックアップ性が劣った。
Figure 2022087681000005
(添加剤の含有量)
表6には、添加剤として用いた物質および含有量が異なる例を示した。なお、実施例3について再掲している。表6に示したいずれの例も、耐スポーリング性、耐食性、および耐カーボンピックアップ性の全ての評価においてA以上の水準を示した。シリコンおよび炭化ほう素を含む実施例22および実施例23は、これらを含まない実施例3に比べて酸化層厚さが小さく、良好な耐酸化性を示した。
Figure 2022087681000006
本発明は、たとえば、ステンレス溶鋼取鍋スラグラインのれんがとして利用できる。
本発明に係る第一のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、主材料と、結合剤と、添加剤と、を含み、前記主材料は、65~97質量%のマグネシア原料と、1~30質量%のスピネル原料と、2~4質量%のカーボン原料と、を含有し、前記結合剤および前記添加剤の含有量の合計は、前記主材料に対して外掛けで1~10質量%であることを特徴とする。
本発明に係る第二のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがは、主材料と、結合剤と、添加剤と、を含み、前記主材料は、65~98質量%のマグネシア原料と、1~30質量%のスピネル原料と、1~5質量%のカーボン原料と、を含有し、前記結合剤および前記添加剤の含有量の合計は、前記主材料に対して外掛けで1~10質量%であり、前記主材料における、JIS Z 8815:1994に従ってふるい分けされた場合に目開き0.3mmのふるいを通過する前記マグネシア原料の含有量は、10質量%以下であることを特徴とする。
第一のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがによれば、カーボンピックアップを抑制することと、耐スポーリング性を向上することと、を両立しうる。そのため、上記の構成によれば、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用途に特に適したれんがを提供しうる。
第二のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんがによれば、カーボンピックアップを抑制することと、耐スポーリング性を向上することと、を両立しうる。そのため、上記の構成によれば、ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用途に特に適したれんがを提供しうる。また、酸化マグネシウムと炭素との反応による組織脆化が抑制されるので、れんがの強度が向上しうる。

Claims (6)

  1. 主材料と、結合剤と、添加剤と、を含み、
    前記主材料は、65~98質量%のマグネシア原料と、1~30質量%のスピネル原料と、1~5質量%のカーボン原料と、を含有し、
    前記結合剤および前記添加剤の含有量の合計は、前記主材料に対して外掛けで1~10質量%であるステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
  2. 前記主材料における、JIS Z 8815:1994に従ってふるい分けされた場合に目開き0.3mmのふるいを通過する前記マグネシア原料の含有量は、10質量%以下である請求項1に記載のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
  3. 前記スピネル原料は、JIS Z 8815:1994に従ってふるい分けされた場合に、総質量の80%以上が目開き1mmのふるいを通過する粒度分布を有する請求項1または2に記載のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
  4. 前記カーボン原料は、膨張化黒鉛粉砕物を含む請求項1~3のいずれか一項に記載のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
  5. 前記結合剤は、フェノール樹脂を含み、
    前記フェノール樹脂の含有量は、前記主材料に対して外掛けで2~5質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
  6. 前記添加剤は、アルミニウム、シリコン、炭化ほう素、およびコールタールピッチからなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1~5のいずれか一項に記載のステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが。
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