JP4119659B2 - スライディングノズル装置用プレートれんがの製造方法 - Google Patents

スライディングノズル装置用プレートれんがの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の流量制御用のスライディングノズル装置に使用されるプレートれんがの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スライディングノズル装置(SN装置と言う)は、直線摺動あるいは回転摺動により溶融金属の流量制御を行う装置として使用され、とくに、鉄鋼業においては溶鋼の流量制御に広く採用されている。
【0003】
このSN装置は、円形開孔部を有する2枚もしくは、3枚のプレートれんがをかなりの圧力で圧着させた状態で摺動させて、プレートれんがの間からの洩鋼を防止するものであり、プレートれんがは高温の溶融金属流による急激な熱衝撃と摩耗の物理的作用に加え、溶融金属、溶融スラグによる化学的浸食作用を受ける。
【0004】
従って、SN用プレートれんがは、圧着力に負けない機械的強度と共に、耐熱衝撃性、耐食性、耐摩耗性などの特性を具備することが要求される。
【0005】
この特性を満たすSN用プレートれんがとしては、アルミナ原料をべースに、カーボン、ジルコニア、スピネル、金属粉などを配合したアルミナカーボン系材質が一般的である。そして、その製造方法として、フェノール樹脂などの有機バインダーを添加して、混練、成形、乾燥後、温度域が700〜1500℃の還元焼成と言われる非酸化性雰囲気下で熱処理され、更に、タール含浸することが知られている。さらに、タールの揮発分に由来する発煙を防止する目的で、コーキング処理と称して、700℃以下の低温で再度熱処理してタールの揮発成分の一部を取り除くことが一般的に行われている。
【0006】
このように、SN用プレートれんがをはじめとする炭素含有耐火物を高温での熱処理を行うに当たって炭素成分の酸化を防ぐためには、雰囲気中の酸素分圧をかなり下げる必要がある。
【0007】
この雰囲気中の酸素分圧を下げる簡便な手段として、コークス詰め還元焼成方法が知られている。このコークス詰め還元焼成方法は、酸素以外の二酸化炭素や水蒸気濃度を比較的簡単に著しく低下させることができ、また、焼成雰囲気の安定化が図れるため、実用性が高く、炭素含有耐火物などの還元焼成方法として、広く採用されている。
【0008】
このコークス詰め還元焼成方法によれば、コークス詰め(炭素過剰)焼成時における酸素、二酸化炭素、水蒸気等の分圧は、温度が決まると下記の反応式(1)〜(3)の熱力学的計算によって一義的に決定される。
【0009】
+2C=2CO ・・・・ (1)
CO+C=2CO ・・・・ (2)
O+C=H+CO ・・・・ (3)
これによれば、周りに詰められたコークスによってもたらされる雰囲気は理論上では、例えば、1000℃では、酸素濃度が前記の反応式(1)により、1.2×10−19%、二酸化炭素濃度が前記の反応式(2)により0.64%、水蒸気濃度が0.007%にまで達する還元雰囲気を容易に作り出すことができる。
【0010】
1000℃、1200℃、1400℃の各温度における各成分の理論分圧は、表1に示すとおりである。本発明で示す、それぞれの成分ガスの濃度(%)は全圧が1atm(大気圧)の基で分圧(atm)に100を掛けた%として表現している。
【0011】
【表1】
Figure 0004119659
これによって、従来のコークス詰め還元焼成による雰囲気制御は、温度の管理さえ行えば、簡便に、酸素、二酸化炭素、水蒸気等が低濃度を維持できることが判る。しかも、必然的にこれらの低濃度における雰囲気下では、れんが内のカーボンはほとんど酸化せず、また、強度、耐熱衝撃性及び耐摩耗性発現の基本となる炭化珪素、窒化珪素又は炭化アルミニウム,窒化アルミニウム等は、配合した金属又は金属結合有機バインダーから容易に生成でき、プレートれんがの性能をある程度満たすことができる。
【0012】
このコークス詰め還元焼成方法は、実際には、被加熱物を、比較的熱伝導性の良いSiC質などの容器に詰め、コークスを充填して、トンネルキルンを用いた連続焼成方式あるいはシャトル炉を用いたバッチ方式により、熱処理するものであるが、焼成時間として、3日〜10日程を要し、しかも、コークス詰め還元焼成方法では、焼成前後にコークスの詰めと排除の作業を毎回しなければならず、作業面は非能率的である。また、本来、加熱処理されるべき製品とは無関係に、その道具であるコークスや容器も加熱しなければならない。その上、容器を通した間接加熱であるため熱利用率も低い等の問題がある。
【0013】
そこで、このコークス詰め還元焼成方法の上記問題である作業能率や熱効率の向上のために、還元炎バーナーを用いたり、窒素ガスのような非酸化性ガスの吹き込み等によって、酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度を下げることも考えられるが、現状ではその手法は未だ確立されていない。
【0014】
また、このコークス詰め還元焼成方法をプレートれんがの焼成に利用した場合には、混練時に添加した有機バインダーの焼成によって残留する残留カーボン(ボンドカーボン)の収率(残炭率)を高める効果があり、組織を緻密化し、強度や耐食性を向上させる面からは非常に好ましいといえる。
【0015】
しかしながら、残留カーボンにより過度の緻密化が進み、耐熱衝撃性に劣ることになるという好ましくない点もある。すなわち、還元焼成により、フェノール樹脂などの有機バインダーが炭化した残留炭素の組織は、用いた有機バインダーや焼成等の炭化の条件によっては、必ずしも好ましい残留組織とならない場合がある。つまり、気孔が過剰に微細化することによって、耐熱衝撃性が低下する傾向さえ認められる場合がある。そのため炭素の残留性の制御のために、特性の異なる各種の有機バインダーを用いて、耐熱衝撃性等の改善を図る試みも検討されているが、十分な制御ができているとはいい難く、場合によっては、れんが内の密閉気孔が必要以上に増加し、焼成後のタール含浸処理を実施する際に、タールの含浸が不十分となる傾向がある。その結果、タール含浸による補強効果が不十分で、SNプレートれんがとしても最大限の性能を発揮しているとは言えない。
【0016】
そこで、本願の発明者は、先に、特願2001−369284号出願において、コークス詰め還元焼成方法をプレートれんがの焼成に利用することなく残留炭素を適正にして、タール含浸による補強効果を充分にするための弱酸化焼成によるプレートれんがの製造方法を開示した。
【0017】
しかしながら、更なる好条件での製造によって安定した製品を得ることが求められている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、SNプレートれんがのコークス詰め焼成ににおける煩雑さの解消とともに、焼成後の開放気孔を適度化してタール含浸性を向上させ、高耐用のSNプレートれんがを得ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のスライディングノズル装置用プレートれんがの製造方法は、カーボン原料を1〜10質量%含有する耐火材料および有機バインダーを混合し、成形し、乾燥した後、酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素濃度が0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の弱酸化性雰囲気下において6〜48時間焼成し、タールを含浸後さらにコーキング処理を施すものである。
【0021】
上記の酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度は、バーナーの不完全燃焼ガスによる酸素、二酸化炭素、水蒸気などの濃度調整、Nガス、アルゴンガスなどの非酸化ガスの吹きによる希釈により、最適な雰囲気を得ることが可能になる。
【0022】
雰囲気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気以外に共存する成分については、特に限定されないが、燃料燃焼から発生するCOガス,Hガス,Nガス、及び微量のSOガスなどが必然的に存在する。
【0023】
焼成中の酸素濃度が0.5%を超えると、ボンドカーボンのみならず、カーボン含有耐火物自体の表面の酸化が著しく、特殊な用途を除いて、実用に供し得ない。酸素濃度を0.5%以下とすることで、酸化を防ぎつつ、有機バインダーの炭化反応や金属粉類の反応形態が何らかの形で制御され、組織内のボンドカーボンの気孔壁が酸化されることで破れるためか密閉気孔が少なくなり、タールの含浸量が増加し、含浸処理後のプレートれんがの強度、耐熱衝撃性、耐用性が改善される。また、酸素濃度が0.001%未満の場合には、有機バインダーからのボンドカーボンで密閉気孔が組織内に多く形成されて、従来のコークス詰め還元焼成方法と同様にタール含浸効果が不十分となり、強度や耐熱衝撃性そして耐用性についての改善効果が低い。従って、焼成雰囲気中の酸素濃度は0.001〜0.5%であることが好ましい。
【0024】
上記の酸素濃度範囲の雰囲気中に、二酸化炭素を導入制御すると、2CO+O=2COの平衡関係から、雰囲気中の酸素濃度の不安定さが解消され、より安定した改善効果が得られる。しかしながら、焼成中の二酸化炭素濃度が6%を超えると、理由は明確ではないが、低酸素濃度にも係わらず、カーボン含有耐火物自体の表面の酸化が著しく、特殊な用途を除いて実用に供し得ない。一方、二酸化炭素濃度が0.1%未満の場合には、二酸化炭素の導入による雰囲気中の酸素濃度を安定化させる効果が薄くなる。従って、焼成中の雰囲気における二酸化炭素濃度は0.1〜6%が良い。
【0025】
更に、前記の雰囲気中に、水蒸気を導入すると、上記の二酸化炭素と同様に雰囲気中の酸素濃度の不安定さが解消され、より安定した改善効果が得られる。但し、これも理由は明確ではないが、低酸素濃度にも係わらず、焼成中の水蒸気濃度が6%を超えると、カーボン含有耐火物自体の表面の酸化が著しく、特殊な用途を除いて実用に供し得ない。一方、水蒸気濃度が0.1%未満の場合、水蒸気の導入による雰囲気中の酸素濃度を安定化させる効果が薄い。従って、焼成中の雰囲気における水蒸気濃度は0.1〜6%が望ましい。また、水蒸気は二酸化炭素と併用しても、それぞれ、単独の効果に影響を与えることはない。
【0026】
焼成温度については、常法通り、700〜1500℃程度の温度範囲であれば、プレートれんが中に一般に配合している金属粉類の反応を制御するのに適当な温度が選択されれば良く、残留炭素の組織の変化は、焼成温度もさる事ながら密閉気孔と開放気孔の存在比率を左右させるには、焼成雰囲気、更には焼成時間との間に相関性が強いことが見いだされた。したがって、雰囲気と焼成時間を制御することによって希望の残留炭素の組織が得られる。すなわち、カーボン含有耐火物れんが組織中に、有機バインダーの炭化過程に生じるボンドカーボンをある程度まで、弱酸化雰囲気での焼成温度を高め、焼成時間を長くする等の調整により密閉気孔から開放気孔に変わるようにすれば良い。
【0027】
なお、昇降温速度は、最高焼成温度と焼成時間の組合せに応じて、10〜300℃/hrs.程度の通常行われている範囲で調整されれば、特別な制限はないが、ボンドカーボンが形成される少なくとも700℃以上では、上記の雰囲気を保つことが必須となる。
【0028】
焼成時間については、6時間より短くなると、有機バインダーの炭化が不十分となり、配合した金属又は金属結合有機バインダーの炭化反応、窒化反応も欠如しがちであり、プレートれんがとしての性能が発揮され難い。その反面、48時間を超えると、表面の酸化が進み易く、特に酸素濃度が高い側では、れんがの性能が低下する。 従って、焼成時間は6〜48時間がより望ましい。
【0029】
本発明で使用されるカーボン原料を除く耐火性骨材については、とくに制限は、なく、一般的なアルミナ,シリカ,ムライト,ジルコン,ジルコニア,マグネシア,酸化クロム,ドロマイト,カルシア,スピネル,炭化硅素,窒化硅素,炭化硼素等の各種の天然原料、あるいはこれらの人工合成原料及び、Al,Siあるいはこれらの合金粉末などの1種もしくは2種以上が使用される。
【0030】
カーボン原料としては、天然黒鉛,人造黒鉛などの結晶質炭素、石油コークス,石炭コークス,メソフェーズピッチ,カーボンブラックなどの非晶質炭素が挙げられる。これらの1種もしくは、2種以上を、1〜10質量%を用いる。1質量%より少ないとスポーリング性が悪く、10質量%を越えると耐食性が悪くなるため好ましくない。
【0031】
有機バインダーとしては、フェノール樹脂,フラン樹脂,芳香族系樹脂,シリコーンのような金属結合性樹脂などが挙げられ、これらの一種もしくは、2種以上が選ばれる。通常、有機バインダーで混練したプレートれんがに対し、雰囲気中の酸素濃度が低い程、焼成後の残炭率は高くなり、焼成時間が長くなるほど、有機バインダーによるボンドカーボンでは密閉気孔が増える傾向がある。従って、コークス詰め還元焼成方法は高残炭率、且つ高密閉気孔率のボンドカーボンに繋がるものである。これに対し、タール含浸を行うに際に、密閉気孔と開放気孔の比率を小さくすることで、低密閉気孔率、高通気気孔径となる特性によるものか明確ではないが、含浸率を上げることが出来る。
【0032】
そのためには、少なくとも700℃以上の温度領域内では酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素濃度が0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の雰囲気中で比較的短時間で焼成すると良い。得られたカーボン含有耐火物を、JIS−R2205の耐火れんがの見掛け気孔率・吸水率及び比重の測定方法に従って測定した結果、十分な開放気孔を有し、高含浸率が得られる。
【0033】
含浸され、残留した有機物(タール成分)の揮発により、実使用時、プレートれんがの摺動抵抗が減少する。含浸後の組織としては緻密なものが得られると同時に、配合した金属又は金属結合有機バインダーからの金属炭化物、窒化物生成反応にも悪影響を与えないので、高強度、高耐食性、高耐摩耗性も期待できる。
【0034】
一方、一次結合である有機バインダーの残炭率については、幾分の低下は認められるが、実用上、影響を及ぼす程度のものではない。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明のプレートれんがの弱酸化焼成方法について、プレート材質の代表的な2つのタイプを例に、焼成時の雰囲気中の各成分ガスの濃度制御効果を実施例に基づいて、実施の形態を説明する。
【0036】
酸素濃度0.01%以上、二酸化炭素濃度4%以上、水蒸気濃度3%以上の範囲の雰囲気は、還元バーナーを用い、燃料/空気比率を変え、不完全燃焼の程度を調整しつつ焼成を行った。
【0037】
より低い酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度雰囲気(以下濃度雰囲気とも言う)を安定的に作り出すには、焼成装置がやや煩雑となる。とりわけ、1400℃以上の高温焼成を求める場合、不完全燃焼による熱量不足を補う為、温度制御用のメインバーナーと雰囲気制御用のサブバーナーの併設、もしくは、電気ヒーターも併用した。さらに場合によっては、希釈用のNガスの吹き込みも行い雰囲気を制御した。
【0038】
【表2】
Figure 0004119659
表2に材料別の配合割合例を示す。配合1は、焼成温度が低めで、金属結合有機バインダーの炭化によるボンドカーボンを主体とし、金属炭窒化物ボンドも含有するタイプの材質である。
【0039】
配合2は、配合した金属Si等の粉末金属を、焼成過程で炭化物もしくは、窒化物とした、いわゆる金属炭窒化物ボンドを主体とするタイプの材料である。
【0040】
以下に示す表3、表4の品質測定例は、先ず表2中の各種原料を用いた配合物を混練・成形・乾燥した後、所定の濃度雰囲気中で焼成し、更にタール含浸・コーキング処理を経て得られたものである。焼成条件が異なる点を除けば、ほぼ常法通りに作成された物である。
【0041】
【表3】
Figure 0004119659
表3は、1000℃焼成を基本とするアルミナ・ジルコニア・カーボン系プレートれんがで、表2の配合1に示す金属Si粉末とシリコン樹脂を配合し、実施例1〜6及び比較例1〜5について、焼成過程における濃度雰囲気の制御効果及び焼成時間の効果を示す。
【0042】
プレートれんがとしての具備特性である耐酸化摩耗性、耐熱衝撃性、耐食性などについても、測定したが、本発明品と従来品との間に大きな違いはなく、幾分向上する程度であった。それ故、表中には、ポイントとなる強度、及び含浸性のみを示した。含浸されるタールの量は、含浸前後の重量変化で測定したが、焼成時の濃度雰囲気の違いによって、変化する傾向が認められる。タールの含浸条件は、200℃の温度で、15気圧×6時間保持する条件で行った。
【0043】
表3に示す通り、含浸されるタールの量は、焼成時の濃度雰囲気の違いによって異なり、明らかに酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増加と共に多くなる傾向が認められる。これらの結果を基に、実炉での評価を実施し、その結果も併せて表中に示した。
【0044】
弱酸化雰囲気で焼成された実施例1〜6のプレートれんがは、酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増加と共に、密閉気孔の減少による含浸効果の向上を指し示すと考えられるが、強度が増加し、明らかな耐用性の向上が認められた。表面上、現れた改善効果は、タールの含浸量が多くなったことによるが、そのことで、実機での耐用が顕著に向上した。
【0045】
前述したように、プレートれんがは、大きな外力を受けながら使用される背景にある。タールの含浸量が多い事が、どのように作用したかは不明な点も多いが、その中で、プレートれんがの摺動抵抗が小さくなる傾向が認められ、なめらかな摺動が可能となった。プレートれんがの強度などの品質が同等であれば、実使用時の摺動作業において、プレートれんがに必要以上に無理な力が掛からず、亀裂などを誘発することが抑制され、その事が、耐用性の向上をもたらしたものと考えられる。
【0046】
比較例1は、従来通りコークスを詰めて焼成したもので、本発明より実機の耐用が劣っている。比較例2は、0.0001%酸素濃度、0.05%二酸化炭素膿度、0.05%水蒸気濃度の雰囲気で焼成したもので、従来のコークスを詰めて焼成したものに良く似て、本発明より実機の耐用が劣っている。比較例3は、酸素濃度2%、二酸化炭素濃度8%、水蒸気濃度8%と何れも規制数を越えた場合、また、比較例5の様に焼成時間が長すぎる場合では、過剰な酸化により還元焼成後、即ち素焼き品の状態の悪さが影響して、含浸、コーキング後の製品においても、強度の低下が大きく、その他の物性も好ましくないので、実機の試用を断念した。また、極端な短時間の焼成の場合は、比較例4に示すように、強度の低下が大きく、その他の物性も好ましくないので、実機の試用を断念した。
【0047】
【表4】
Figure 0004119659
表4の実施例7〜12及び比較例6〜10は、表2の配合2による、金属Si粉末とフェノール樹脂を配合し、焼成時の濃度雰囲気を調整した焼成によって炭化珪素、窒化珪素を生成した、いわゆる炭窒化珪素ボンドを基本とするアルミナ−カーボン系プレートれんがの例で、焼成温度は1400℃である。タ一ル含浸の条件は、200℃の温度で、15気圧×6時間キープする一定条件で行った。
【0048】
含浸されるタールの量は、表3と同様に焼成時の濃度雰囲気の違いによって異なり、酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増加と共に多くなる傾向が、明らかに認められる。また、実機での評価も実施し、併せて表中に示した。
【0049】
この場合も表3と同様に、実施例7〜12のプレートれんがは、酸素・二酸化炭素・水蒸気濃度の増加と共に、密閉気孔の減少による含浸効果の向上を指し示すと考えられるが、タールの含浸量が多いほど強度が増加し、明らかな耐用性の向上が認められた。実機においても高耐用を達成するには、ボンド形態などによらず、酸素、二酸化炭素、水蒸気等の濃度の適性範囲が限られてくることが分かる。
【0050】
上記いずれの実施例もコーキング処理を施した例により説明しているが、タ一ル含浸後は、コーキング処理なしの方が強度的にも優れており、使用時の発煙を問題としなければコーキング処理しなくても差し支えなく、その有無、処理温度等、特に制限することはない。
【0051】
【発明の効果】
本発明の雰囲気制御された焼成方法によって得られたプレートれんがは、タール含浸性に優れ、また、強度、耐食性等にも優れ、実機における高耐用性を達成出来る。
【0052】
また、従来のコークス詰め還元焼成方法で行っていた焼成前後でのコークス詰めと排除の作業がなくなり。作業面の能率向上を図ることができる。
【0053】
さらに、製品そのものを直接加熱処理することが出来る為、熱利用率も向上する。

Claims (1)

  1. カーボン原料を1〜10質量%含有する耐火材料および有機バインダーを混合し、成形し、乾燥した後、酸素濃度が0.001〜0.5%、二酸化炭素濃度が0.1〜6%、水蒸気濃度が0.1〜6%の弱酸化性雰囲気下において6〜48時間焼成し、タールを含浸後さらにコーキング処理を施すスライディングノズル装置用プレートれんがの製造方法
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