JP2003274923A - 単球捕捉フィルターおよび単球分離培養装置、並びに樹状細胞回収方法 - Google Patents
単球捕捉フィルターおよび単球分離培養装置、並びに樹状細胞回収方法Info
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Abstract
分離することができる単球捕捉フィルターおよび無菌的
な操作で単球を分離し、培養することができる単球分離
培養装置、並びに品質の良い樹状細胞を効率良く回収す
ることができる樹状細胞回収方法を提供することであ
る。 【解決手段】 単球分離培養装置100は、ハウジング
12とハウジング12内に設けられ末梢血などの単球を
含有する被処理液から単球を選択的に捕捉できる単球捕
捉フィルター11とからなる単球分離器具1と、単球分
離器具1に連通する流入ライン21および排出ライン3
1と、流入ライン21に連通する添加ライン22とを備
えている。単球分離フィルター11は、平均孔径が6〜
8μmであり、かつ肉厚(mm)と平均孔径(mm)と
の比が100〜200である。
Description
球を選択的に分離できる単球捕捉フィルターおよびこれ
を用いた単球分離培養装置、並びに樹状細胞回収方法に
関するものである。
培養技術の進歩によって、種々の疾患に対して細胞を移
植する治療法が試みられている。このような治療では、
血液や組織液など種々の細胞が混在した細胞懸濁液から
目的細胞を分離し、培養等の操作の後、患者へ細胞を移
植することが行われている。
機能が最近明らかになり、細胞治療の一つとして研究が
進められている。この治療は、樹状細胞に患者の癌細胞
あるいは癌特異的抗原を提示する方法、樹状細胞に抗原
遺伝子を導入する方法、樹状細胞を腫瘍細胞と細胞融合
させる方法などの処理を行い、処理された樹状細胞を患
者に戻すことで、患者の持つ免疫機能を強化させる一種
の免疫療法であり、癌ワクチンとしての利用が期待され
ている。
髄、末梢血、臍帯血に含まれるCD34陽性細胞から培
養によって分化誘導させる方法、末梢血や臍帯血に含ま
れる未熟な樹状細胞を採取する方法、末梢血単核球分画
から培養によって分化誘導させる方法などによって得ら
れ、特に末梢血単球を利用する方法が臨床応用に広く用
いられている。
フェレーシスや比重遠心法によって末梢血中の単球を分
離し、さらに比重遠心法や非付着性細胞の除去を行うこ
とによって単球を分離している。このようにして得られ
た単球は、IL−4、GM−CSFなどのサイトカイン
や血清を添加した培養液中で培養される。
学用具を用いて行われているため、分離操作中に何回も
分離用遠沈管に移し替える作業が必要であるので、操作
が非常に煩雑である。また、遠心操作を繰り返すので、
細胞へのダメージが大きく、細胞のロスの危険性が高い
だけでなく、また、処理に時間を要する。さらに、分離
操作と培養操作は、開放操作で行われるために細菌汚染
の危険性が高い。
な操作で、末梢血などから単球を効率良く分離すること
ができる単球捕捉フィルターを提供することである。ま
た、本発明の他の目的は、無菌的な操作で、末梢血など
から単球を分離するとともに、培養することができる単
球分離培養装置を提供することである。本発明の他の目
的は、品質の良い樹状細胞を効率良く回収することがで
きる樹状細胞回収方法を提供することである。
(1)〜(12)の本発明により達成される。
を選択的に捕捉する単球捕捉フィルターであって、前記
単球分離フィルターは、平均孔径が6〜8μmであり、
かつ肉厚(mm)と平均孔径(mm)との比が100〜
200であることを特徴とする単球捕捉フィルター。
m)との比が120〜150である上記(1)に記載の
単球捕捉フィルター。 (3) 前記単球を含有する被処理液は、末梢血である
上記(1)または(2)に記載の単球捕捉フィルター。 (4) 前記単球捕捉フィルターは、連通孔を有するス
ポンジ状多孔質体からなる上記(1)ないし(3)のい
ずれかに記載の単球捕捉フィルター。
を選択的に分離するとともに、分離された単球を培養す
る単球分離培養装置であって、ガス透過性がある材質か
らなり、流入口および流出口を有するハウジングと、該
ハウジング内を流入室と流出室とに区分するように設け
られた単球捕捉フィルターとからなる単球分離器具と、
該単球分離器具の流入口に連通する被処理液の流入ライ
ンと、該流入ラインに連通する培養液の添加ラインと、
該単球分離器具の流出口に連通する排出ラインとを備え
ることを特徴とする単球分離培養装置。
ッグを有し、前記単球分離器具を通過した被処理液を回
収する回収ラインと、使用済みの培養液を排出する廃液
ラインとに分岐している上記(5)に記載の単球分離培
養装置。 (7) 前記単球捕捉フィルターは、上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の単球捕捉フィルターである上
記(5)または(6)に記載の単球分離培養装置。
流入口および流出口を有するハウジングと、該ハウジン
グ内を流入室と流出室とに区分するように設けられた単
球捕捉フィルターとからなる単球分離器具を用いて、単
球を含有する被処理液から単球を選択的に分離するとと
もに、分離された単球から得られる樹状細胞を回収する
樹状細胞回収方法であって、前記単球を含有する被処理
液を前記単球分離器具の流入口から導入して、前記単球
捕捉フィルターにより単球を捕捉し、その他の被処理液
を前記単球分離器具の流出口から排出する工程と、培養
液を前記単球分離器具の流入口から導入して、前記分離
された単球から樹状細胞を分化誘導する工程と、抗原溶
液を前記単球分離器具の流入口から導入して、前記樹状
細胞に抗原を提示する工程と、前記単球分離器具の流入
口から前記抗原を提示された樹状細胞を回収する工程と
を含むことを特徴とする樹状細胞回収方法。
する工程は、一定時間経過後に、前記単球分離器具の流
出口から培養液を排出し、再び新しい培養液を前記単球
分離器具の流入口から導入する操作を複数回行うもので
ある上記(8)に記載の樹状細胞回収方法。
を回収する工程は、前記単球分離器具の流出口から培養
液を排出した後に、置換液を前記単球分離器具の流入口
から導入して、培養液を流出口から排出し、次いで、回
収液を前記単球分離器具の流出口から導入して行う上記
(8)または(9)に記載の樹状細胞回収方法。
トカインを含有するものである上記(8)ないし(1
0)に記載の樹状細胞回収方法。 (12) 前記単球捕捉フィルターは、上記(8)ない
し(10)のいずれかに記載の単球捕捉フィルターであ
る上記(5)または(6)に記載の樹状細胞回収方法。
捕捉フィルターおよび単球分離培養装置、並びに樹状細
胞回収方法を詳細に説明する。
ィルターについて説明する。図1は、本発明の実施例に
係る単球捕捉フィルターを用いる単球分離器具の平面図
であり、図2は、図1の断面図である。
施例に係る単球捕捉フィルター11は、単球を含有する
被処理液(例えば、末梢血、臍帯血など)から単球を選
択的に捕捉できる濾材であり、ハウジング12内を流入
室15と流出室16とに区分するように設けられてい
る。ハウジング12は、ガス透過性がある材質からな
り、流入口13および流出口14を有するものである。
本実施例において、単球分離器具1は、ハウジング12
と単球捕捉フィルター11とを備えるものであり、流入
口13からハウジング12内に入った被処理液が流入室
15を通って、必ず単球捕捉フィルター11を通過し
て、流出室16に流れ、流出口14から出るように構成
されている。
梢血、臍帯血または骨髄液、これらを比重遠心分離する
ことにより得られた単球浮遊液、バフィーコートなどの
単球を含有する生体由来の液状物である。ハウジング1
2は、2枚のシートからなり、単球捕捉フィルター11
によって捕捉された単球を培養するのにあったて支障の
ない程度のガス透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。
具体的には、軟質ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
ューブ形状であり、ハウジング12を構成する2枚のシ
ートの間に、単球捕捉フィルター11と共に挟んだ状態
で高周波融着や熱シールすることによって、ハウジング
12に固定されるため、ハウジング12とのシール性に
優れる材料からなる。具体的には、ハウジング12と同
一の材料か、融点が近い材料である。
と平均孔径(mm)との比(肉厚/平均孔径)が100
〜200の範囲になるものであり、120〜150の範
囲であることがより好適である。肉厚(mm)と平均孔
径(mm)との比は、この範囲より小さくなると単球の
捕捉率の低下を招く。また、この範囲より大きくなる
と、単球以外の細胞の捕捉率が高くなり、余分な細胞成
分が多くなる。
径55mmの円盤状に打抜いたフィルターをパームポロ
メーターで測定したときの値である。また、単球捕捉フ
ィルター11は、総肉厚と平均孔径との比が上記の範囲
に入るものであれば、単層(1枚)でも複数層(複数枚
を重ねたもの)からなるものでもよい。単球捕捉フィル
ター11は、単球以外の細胞は吸着しない材料で、細胞
培養用担体として使用可能なものであればよい。また、
液を通過させる観点から、親水性、保水性を有するもの
が好ましい。このような材料としては、天然樹脂、合成
樹脂、天然繊維、合成繊維などが挙げられる。具体的に
は、ポリウレタン、ポリビニルアルコールなどの合成樹
脂からなる連通孔を有するスポンジ状多孔質体や、ポリ
エステル、ナイロン、ポリオレフィンなどの合成樹脂か
らなる織布または不織布からなる繊維塊である。
装置について説明する。図3は、本発明の実施例に係る
単球分離培養装置を説明するための平面図である。ま
た、図4は、本発明の他の実施例に係る単球分離培養装
置を説明するための平面図である。
単球分離培養装置100は、単球を含有する被処理液か
ら単球を選択的に分離するとともに、分離された単球を
培養するためのフィルターを備えるバッグシステムであ
り、上述した単球分離器具1と、単球分離器具1の流入
口13に連通する被処理液の流入ライン21と、流入ラ
イン21に連通する培養液の添加ライン22と、単球分
離器具1の流出口14に連通する排出ライン31とを備
える。
被処理液(例えば、末梢血、臍帯血などの未処理液)を
収容するための処理液バッグ2を備えている。この処理
液バッグ2には、被処理液をバッグ内に収容する採液ラ
イン23が設けられていることが好ましい。
バッグ2として公知の採血バッグを用いることができ、
この場合には、採液ライン23は末端に採血針(図示せ
ず)を有する採血チューブを用いられる。また、被処理
液が臍帯血や骨髄液である場合には、処理液バッグ2と
して凍結保存に適した材料からなる容器を用いることが
できる。
この添加ポート222の先端に設けられたコネクタ22
1を備えている。このコネクタ221は、洗浄液が入っ
たシリンジや容器(図示せず)を接続するために設けら
れている。
を有し、単球分離器具1を通過した被処理液を回収する
ための回収ライン32と、使用済みの培養液を排出する
ための廃液ライン33とに分岐している。図3に示す実
施例では、廃液ライン33の末端に廃液バッグ34が設
けられている。
係る単球分離培養装置110においては、廃液ライン3
3が、廃液ポート332と、この廃液ポート332の先
端に設けられたコネクタ331とから構成されている。
このコネクタ331には、廃液を収容するためのシリン
ジ、バッグ、容器など(図示せず)を接続することがで
きる。このように、単球分離培養装置110は、図3に
示す単球分離培養装置100と廃液ライン33の構成が
異なる。なお、この他の構成については、図3に示す単
球分離培養装置100と同様であるため説明を省略す
る。
バッグ34は、軟質ポリ塩化ビニルのような熱可塑性樹
脂材料からなる2枚のシートを高周波融着や熱シールに
より融着して作製された公知の血液バッグを用いられ
る。
よび廃液バッグ34は、それぞれ2つの排出口25,3
5,345を有するものであるが、これに限らず、排出
口がなくても、排出口が1つまたは3つ以上あってもよ
い。これらの排出口は、バッグ内の液体をサンプリング
したり、バッグ内の液体を別のバッグなどに分離するた
めに設けられている。
排出ライン31および回収ライン32と、図3における
廃液ライン33は、軟質ポリ塩化ビニルのような熱可塑
性樹脂材料からなる可撓性のチューブで構成されてい
る。これらの各ラインには、必要に応じて、ローラーク
レンメ、ワンタッチクレンメなどの開閉手段を取り付け
ることができる。
装置の使用方法、すなわち、本発明の実施例に係る樹状
細胞回収方法について説明する。
は、上述した単球分離器具を用いて、単球を含有する被
処理液から単球を選択的に分離するとともに、分離され
た単球から得られる樹状細胞を回収する方法であり、以
下の(1)〜(4)の工程を含むものである。
末梢血)を単球分離器具1の流入口13から導入して、
単球捕捉フィルター11により単球を捕捉し、その他の
被処理液(実質的に単球を除く細胞成分を含む末梢血)
を単球分離器具1の流出口14から排出する工程
含有する溶液)を単球分離器具1の流入口13から導入
して、分離された単球から樹状細胞を分化誘導する工
程、
インを含有する溶液)を単球分離器具1の流入口13か
ら導入して、樹状細胞に抗原を提示する工程
原を提示された樹状細胞を回収する工程
を用いて、単球を含有する被処理液として末梢血(全
血)を用いる場合を例にして、上記各工程を具体的に説
明する。
するための工程である。この工程では、予め処理液バッ
グ2に収容され、抗凝固剤と混合された全血を、流入ラ
イン21を通して流入口13から単球分離器具1内に導
入し、単球捕捉フィルター11に通して実質的に単球の
みを選択的に捕捉させることにより分離し、残りの血液
成分(赤血球、血小板、リンパ球および顆粒球)を単球
分離器具1の流出口14から排出させることにより、全
血から実質的に単球だけが単球分離器具1内に分離さ
れ、残りの血液成分は排出ライン31および回収ライン
32を介して回収バッグ3内に回収される。なお、この
ような操作に先立って、プライミング操作を行うことが
好ましい。
実に排出させるために、単球捕捉フィルター11に単球
を捕捉させた状態で洗浄液を通して単球捕捉フィルター
11を洗浄することが好ましい。具体的には、予め洗浄
液が充填されたシリンジ(図示せず)を添加ライン22
のコネクタ221に接続し、洗浄液を添加ポート222
から流入口13を介して単球分離器具1内に流入し、単
球捕捉フィルター11に通過させて、流出口14から排
出ライン31および回収ライン32を介して回収バッグ
3内に排出することにより、単球分離器具1の流出室1
6などに残留していた残りの血液成分が確実に洗い流さ
れる。洗浄液としては、FCS、ヒト血漿、ヒトアルブ
ミン等を加えた生理食塩水や、デキストラン40、PB
Sなどを用いることができる。
血(全血)が入っていた処理液バッグ2および残りの血
液成分が回収された回収バッグ3は、不要となるので、
処理液バッグ2は流入ライン21の所定位置でチューブ
シーラーを用いてシールして取り外し、回収バッグ3は
回収ライン32の所定位置でチューブシーラーを用いて
シールして取り外す。
分化誘導するための工程である。この工程では、単球分
離器具1の流入口13を開放状態、流出口14を閉塞状
態とし、予め培地およびサイトカインを含有する培養液
を入れたシリンジを添加ライン22のコネクタ221に
接続して、添加ポート222から流入ライン21を介し
て、流入口13から単球分離器具1内の単球捕捉フィル
ター11に捕捉されている単球に培養液を添加すること
により、単球から樹状細胞が分化誘導される。この工程
で用いる培養液は、培地およびサイトカインを含有する
ものである。
3および流出口14を閉塞状態とし、一定時間経過後
に、流出口14を開放状態にして、単球分離器具1内の
培養液を排出し、流出口14を閉塞し、流入口13を再
び開放状態として、新しい培地およびサイトカインを含
有する培養液を単球分離器具1内に導入し、流入口13
を閉塞し、一定時間経過後に、この操作(培養液の交
換)を複数回繰り返し行うことにより、短時間で効率良
く、単球から樹状細胞を分化誘導することができる。
培養液の排出は、培養液を排出ライン31から廃液ライ
ン33を介して廃液バッグ34に送り込むことにより行
われる。なお、図4に示す単球分離培養装置110を用
いる場合には、廃液ライン33のコネクタ331に、廃
液を回収するためのバッグなどを接続して行われる。
%FCS、ヒト血漿が加えられたRPMI 1640ま
たはX−Vivo 10、AIM−Vなどが挙げられ
る。サイトカインとしては、GM−CSFおよびIL−
4などを用いることができる。このような(1)の工程
は、単球から樹状細胞を分化誘導されるまで行われる。
具体的には、3〜20日程度、好ましくは5〜10日程
度行う。このような一連の操作は、37℃,5%CO2
雰囲気下で行うことが好ましい。
示するための工程である。この工程では、抗原溶液を単
球分離器具1の流入口13から導入して、樹状細胞に抗
原が提示される。抗原分子の導入は、予め抗原分子を充
填したシリンジ(図示せず)を添加ライン22のコネク
タ221に接続し、抗原溶液を添加ポート222から流
入口13を介して単球分離器具1内に導入し、樹状細胞
に添加することにより行われる。この工程で用いる抗原
溶液は、抗原分子を含有するものであり、抗原分子の他
にサイトカインを含有していても良い。抗原分子として
は、癌細胞溶解産物、酸抽出ペプチド、癌特異的合成ペ
プチドなどを用いることができる。また、サイトカイン
としては、TNF−αなどを用いることができる。
日、好ましくは4時間〜2日行う。この間に、培養液の
交換、培地の交換またはサイトカインの交換や、抗原分
子の添加を必要に応じて行うことにより、確実に樹状細
胞に抗原を提示することができる。
状細胞を回収するための工程である。この工程では、単
球分離器具1の流入口13から抗原を提示された樹状細
胞が回収される。抗原提示後の樹状細胞の回収は、単球
分離器具1内の培養液を排出した後に、置換液を導入し
て、培養液を流出口から排出し、次いで、回収液を導入
する操作により行う。
培養液を単球分離器具1の流出口14から排出ライン3
1および廃液ライン33を介して廃液バッグ34内に排
出し、その後に、予め置換液を充填したシリンジ(図示
せず)を添加ライン22のコネクタ221に接続し、置
換液を添加ポート222から単球分離器具1の流入口1
3を介して単球分離器具1内に導入し、抗原提示後の樹
状細胞を置換液に浮遊させ、次いで、置換液が入ってい
たシリンジで樹状細胞浮遊液を吸引することにより、シ
リンジ内に抗原提示後の樹状細胞を回収する。
を用いる場合には、廃液を回収するためのバッグ(図示
せず)を廃液ライン33のコネクタ331に接続して、
このバッグ内に培養液を排出する。また、樹状細胞の回
収は、置換液を単球分離器具1内に流入した後に、予め
回収液を充填したシリンジなど(図示せず)を廃液ライ
ン33のコネクタ331に接続し、回収液を廃液ポート
332から排出ライン31を介して流出口14から単球
分離器具1内に流入し、単球分離フィルター1に通して
(逆流させる)、置換液が入っていたシリンジに排出す
ることにより行うことができる。
S、ヒト血漿、ヒトアルブミンなどを加えた生理食塩水
や、デキストラン40、PBSなどを好適に用いること
ができる。また、置換液としても、回収液と同様のもの
を用いることができる。
厚と平均孔径の比(肉厚/平均孔径)を有する実施例1
〜10および比較例1〜9の単球捕捉フィルターを作製
し、単球および残りの血液成分(リンパ球、顆粒球、赤
血球および血小板)の捕捉率を算出した。
径26mmの円形に切り抜いて、単球捕捉フィルターを
作製した。このフィルターを外周面からの液漏れがない
ように平膜固定用の容器にセットした。そして、この容
器の流入口には軟質ポリ塩化ビニル製チューブを接続
し、流出口には21G注射針(21G)を接続し、この
注射針の先端に、ろ過した血液を回収できるように血液
回収容器をセットした。なお、流出口から血液回収容器
までの落差は15cmとした。
生理食塩水を平膜固定用容器に流してプライミングし、
次いで、予め各血球成分数(リンパ球、顆粒球、赤血球
および血小板)をカウントしたCPD加新鮮全血(末梢
血)10mLを3mL/minの流速でろ過し、フィル
ターに単球を捕捉させた。そして、30mLの0.5%
アルブミン加生理食塩水を流してフィルターを洗浄し
た。このような操作の終了後に、ろ液中の各血球成分の
数をカウントし、捕捉率を算出した。この結果を表1に
示す。なお、ろ過前後の各血球成分数は、自動血球計算
機(SysmexSE−9000)で測定した。
捕捉フィルターは、単球の捕捉率が高く、残りの血液成
分(リンパ球、顆粒球、赤血球および血小板)の捕捉率
は低く、単球が選択的に捕捉されている。特に、実施例
2および実施例3の単球捕捉フィルターは、リンパ球、
顆粒球、赤血球および血小板の捕捉率が低い。これに対
して、比較例1〜9のフィルターは、単球の捕捉率が高
いと、残りの血液成分(リンパ球、顆粒球、赤血球およ
び血小板)の捕捉率も高く、単球の捕捉率が低いと、残
りの血液成分(リンパ球、顆粒球、赤血球および血小
板)の捕捉率も低く、単球が選択的に捕捉されていな
い。
操作で、末梢血などから単球を効率良く分離することが
できる。また、本発明の単球分離培養装置は、無菌的
に、かつ簡単な操作で、末梢血などから単球を分離する
とともに、培養することができる。また、本発明の樹状
細胞回収方法は、簡単な操作で、細胞へのダメージが少
なく品質の良い樹状細胞を効率良く回収することができ
る。
ターを用いる単球分離器具の平面図である。
置を説明するための平面図である。
養装置を説明するための平面図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 単球を含有する被処理液から単球を選択
的に捕捉する単球捕捉フィルターであって、 前記単球分離フィルターは、平均孔径が6〜8μmであ
り、かつ肉厚(mm)と平均孔径(mm)との比が10
0〜200であることを特徴とする単球捕捉フィルタ
ー。 - 【請求項2】 前記肉厚(mm)と平均孔径(mm)と
の比が120〜150である請求項1に記載の単球捕捉
フィルター。 - 【請求項3】 前記単球を含有する被処理液は、末梢血
である請求項1または2に記載の単球捕捉フィルター。 - 【請求項4】 前記単球捕捉フィルターは、連通孔を有
するスポンジ状多孔質体からなる請求項1ないし3のい
ずれかに記載の単球捕捉フィルター。 - 【請求項5】 単球を含有する被処理液から単球を選択
的に分離するとともに、分離された単球を培養する単球
分離培養装置であって、 ガス透過性がある材質からなり、流入口および流出口を
有するハウジングと、該ハウジング内を流入室と流出室
とに区分するように設けられた単球捕捉フィルターとか
らなる単球分離器具と、 該単球分離器具の流入口に連通する被処理液の流入ライ
ンと、 該流入ラインに連通する培養液の添加ラインと、 該単球分離器具の流出口に連通する排出ラインとを備え
ることを特徴とする単球分離培養装置。 - 【請求項6】 前記排出ラインは、末端に回収バッグを
有し、前記単球分離器具を通過した被処理液を回収する
回収ラインと、使用済みの培養液を排出する廃液ライン
とに分岐している請求項5に記載の単球分離培養装置。 - 【請求項7】 ガス透過性がある材質からなり、流入口
および流出口を有するハウジングと、該ハウジング内を
流入室と流出室とに区分するように設けられた単球捕捉
フィルターとからなる単球分離器具を用いて、 単球を含有する被処理液から単球を選択的に分離すると
ともに、分離された単球から得られる樹状細胞を回収す
る樹状細胞回収方法であって、 前記単球を含有する被処理液を前記単球分離器具の流入
口から導入して、前記単球捕捉フィルターにより単球を
捕捉し、その他の被処理液を前記単球分離器具の流出口
から排出する工程と、 培養液を前記単球分離器具の流入口から導入して、前記
分離された単球から樹状細胞を分化誘導する工程と、 抗原溶液を前記単球分離器具の流入口から導入して、前
記樹状細胞に抗原を提示する工程と、 前記単球分離器具の流入口から前記抗原を提示された樹
状細胞を回収する工程とを含むことを特徴とする樹状細
胞回収方法。 - 【請求項8】 前記単球から樹状細胞を分化誘導する工
程は、一定時間経過後に、前記単球分離器具の流出口か
ら培養液を排出し、再び新しい培養液を前記単球分離器
具の流入口から導入する操作を複数回行うものである請
求項7に記載の樹状細胞回収方法。 - 【請求項9】 前記抗原を提示された樹状細胞を回収す
る工程は、前記単球分離器具の流出口から培養液を排出
した後に、置換液を前記単球分離器具の流入口から導入
して、培養液を流出口から排出し、次いで、回収液を前
記単球分離器具の流出口から導入して行う請求項7また
は8に記載の樹状細胞回収方法。
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