JP2019058568A - 成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法 - Google Patents

成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019058568A
JP2019058568A JP2017187413A JP2017187413A JP2019058568A JP 2019058568 A JP2019058568 A JP 2019058568A JP 2017187413 A JP2017187413 A JP 2017187413A JP 2017187413 A JP2017187413 A JP 2017187413A JP 2019058568 A JP2019058568 A JP 2019058568A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
blood
path
space
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017187413A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7002902B2 (ja
Inventor
政嗣 五十嵐
Masatsugu IGARASHI
政嗣 五十嵐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2017187413A priority Critical patent/JP7002902B2/ja
Publication of JP2019058568A publication Critical patent/JP2019058568A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7002902B2 publication Critical patent/JP7002902B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Abstract

【課題】赤血球が充分に除去された顆粒球を採取することができる成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法を提供する。【解決手段】成分採血キット12は、第1フィルタ経路74及び第2フィルタ経路76と、第1フィルタ経路74と第2フィルタ経路76の間に設けられるフィルタ部材44と、を備える。フィルタ部材44のフィルタ本体94は、第1空間92aに流入された赤血球102及び顆粒球104を含む成分液100のうち、顆粒球104をトラップする。その後に、第2空間92bに流入された回収液120を第1空間92aに移動させることで、フィルタ本体94にトラップされた顆粒球104を取り出させる。【選択図】図4

Description

本発明は、血液に含まれる顆粒球を採取する成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法に関する。
従来、成分採血では、特許文献1に開示されているような成分採血キットを血液成分分離装置にセットして成分採血システムを構築し、供血者の全血を血液成分毎に分離している。そして、成分採血システムは、必要な血液成分のみを採取して、残りの血液成分を供血者に返している。
例えば、全血に含まれる血液成分には、赤血球、血小板及び血漿等があげられ、この他にも単球、リンパ球、顆粒球等が含まれる。これらの血液成分のうち、単球やリンパ球は、赤血球に比べて比重が小さいことから、血液成分分離装置の遠心分離により、比較的容易に採取することが可能である。
特表2013−514863号公報
しかしながら、上述した血液成分のうち顆粒球については、その比重が赤血球の比重に近いため、赤血球から分離した状態で採取することが難しい。この顆粒球は、近年、悪性腫瘍による顆粒球減少時等において輸血用(臨床用)に使用され、また研究用途としても使用される。このことから、成分採血の技術分野では、赤血球を含まない顆粒球を良好に得る技術が要望されている。
本発明は、上記の要望を実現するためになされたものであって、簡単な構成によって、赤血球が充分に除去された顆粒球を採取することができる成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血キットであって、液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、前記フィルタ部材は、血液中の前記所定の細胞を含む成分液が前記第1経路から前記第1空間に流入された際に、前記フィルタ本体に前記所定の細胞を捕捉し、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させ前記第2経路から流出させた後、回収液が前記第2経路から前記第2空間に流入された際に、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉されている前記所定の細胞を、前記第1空間を介して前記第1経路より回収することを特徴とする。
上記によれば、成分採血キットは、第1経路、第2経路及びフィルタ部材を有するという簡単な構成で、白血球中に含まれる所定の成分(顆粒球)を採取することができる。すなわち、フィルタ部材は、フィルタ本体により第1経路から流入された成分液のうち顆粒球をトラップして、所定の細胞以外の成分から分離させる。そして、第2経路から回収液を流入することでフィルタ本体にトラップしていた顆粒球を第1経路に導くことができる。これにより成分採血キットは、顆粒球を充分に回収することが可能となり、この顆粒球を臨床用や研究用に良好に利用することができる。
また、前記フィルタ本体は、直径が5μm〜15μmに形成された孔を複数有することが好ましい。
フィルタ本体は、直径が5μm〜15μmの孔を複数有することで、第1空間から第2空間に顆粒球をより確実に透過させないようにすることができる。その一方で、フィルタ本体の孔は、赤血球を良好に通過させることができる。
ここで、前記第1経路は、全血が流入され、遠心力により前記成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離可能な血液分離チャンバーに繋がる成分液用経路に接続されているとよい。
成分採血キットは、第1経路が血液分離チャンバーに接続されていることで、血液分離チャンバーから成分液が多量に供給されることになり、フィルタ部材による顆粒球の回収量を増やすことができる。
また、前記第1経路は、前記所定の細胞を前記回収液と共に貯留可能な顆粒球用バッグに繋がる顆粒球用経路に接続され、前記顆粒球用経路は、前記成分液用経路と分岐しているとよい。
成分採血キットは、第1経路が顆粒球用バッグに接続されていることで、フィルタ部材がトラップした顆粒球を顆粒球用バッグに良好に回収することができる。
さらに、前記成分液用経路は、赤血球を貯留するリザーバに接続され、前記第2経路は、前記第1経路が前記成分液用経路に接続される連結点よりも下流側の前記成分液用経路に接続されていることが好ましい。
これにより、血液分離チャンバーから成分液用経路に流出した成分液をリザーバに流入させ、これに加えてフィルタ部材を通過した赤血球もリザーバに流入させることができる。
そして、前記第1経路は、前記血漿成分液を流動する血漿成分液用経路に接続されているとよい。
成分採血キットは、血漿成分によりフィルタ部材に流入した成分液のうち赤血球を押し出すことができ、顆粒球をより確実に分離させることができる。
またさらに、前記第1経路は、洗浄液を供給可能な洗浄液保存バッグに繋がる洗浄液用経路に接続されていてもよい。
成分採血キットは、洗浄液によりフィルタ部材に流入した成分液のうち赤血球を押し出すことができ、さらに他の血液成分からも顆粒球を充分に分離させることができる。また、洗浄液は回路内の血液を洗浄して、供血者に返血することで供血者に返す血球成分のロスを低減するためにも使用される。
また、前記目的を達成するために、本発明は、白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血装置に取り付けられる成分採血回路であって、供血者から全血を採取する採取ラインと、前記採取ラインが接続され、収容された前記全血に遠心力を付与することで、前記所定の細胞を含む成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離する血液分離チャンバーと、前記成分液から前記所定の細胞を捕捉するフィルタ本体と、前記フィルタ本体で区画された第1空間及び第2空間とを有するフィルタ部材と、前記フィルタ本体に捕捉された前記所定の細胞を回収する回収液を収容する回収液バッグと、前記所定の細胞を収容する細胞採取バッグと、前記フィルタ部材と前記血液分離チャンバーとを接続し、前記成分液を移送する成分液ラインと、前記血液分離チャンバーから前記血漿成分液を移送する血漿成分液ラインと、前記フィルタ部材と前記細胞採取バッグとを接続する採取ラインと、前記回収液バッグと前記フィルタ部材とを接続する回収液ラインと、供血者へ不要な成分を返還する返血ラインを備え、前記成分液ライン、前記血漿成分液ライン及び採取ラインは、前記フィルタ部材の前記第1空間に接続し、前記回収液ライン及び返血ラインは前記第2空間に接続していることを特徴とする。
さらに、前記目的を達成するために、本発明は、白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血キットと、前記成分採血キットが取り付けられて血液の流動を制御する血液成分分離装置と、を含む成分採血システムであって、前記成分採血キットは、液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、前記血液成分分離装置は、血液中の前記所定の細胞を含む成分液を前記第1経路から前記第1空間に流入させる第1工程と、前記第1工程後に、回収液を前記第2経路から前記第2空間に流入させる第2工程と、を行い、前記フィルタ部材は、前記第1工程時に、前記フィルタ本体により、前記所定の細胞を捕捉する一方で、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させ、前記第2工程時に、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉された前記所定の細胞を離脱させることを特徴とする。
上記によれば、成分採血回路及び成分採血システムは、フィルタ部材において、第1経路から流入された成分液のうち所定の細胞をトラップし、第2経路から回収液を流入することで所定の細胞を第1経路に導くことができる。これにより、所定の細胞を充分に回収することが可能となる。
この場合、前記第1経路は、全血が流入される血液分離チャンバーに接続され、前記血液成分分離装置は、前記血液分離チャンバーに遠心力を付与することで、前記成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離して、前記成分液を前記第1経路に流動させることが好ましい。
これにより、成分採血システムは、遠心分離された全血から成分液を多量に供給することができ、フィルタ部材による顆粒球の回収量を増やすことができる。
また、前記血液成分分離装置は、前記第1工程の実施前に、供血者から前記全血を採血する採血工程と、前記全血から分離された血液成分を返血する返血工程とを繰り返すとよい。
これにより、成分採血システムは、血液分離チャンバーにおいて血液分離層を安定化させることができ、フィルタ部材に成分液を良好に供給することができる。
またさらに、前記目的を達成するために、本発明は、成分採血キットを用いて白血球中に含まれる所定の細胞を採取する血液成分採取方法であって、前記成分採血キットは、液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、当該血液成分採取方法では、血液中の前記所定の細胞を含む成分液を前記第1経路から前記第1空間に流入させることで、前記フィルタ本体により前記所定の細胞を捕捉し、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させて前記第2経路から流出させる第1工程と、前記第1工程後に、回収液を前記第2経路から前記第2空間に流入させることで、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉されている前記所定の細胞を、前記第1空間を介して前記第1経路より回収する第2工程と、を行うことを特徴とする。
本発明によれば、成分採血キット、成分採血回路、成分採血システム及び血液成分採取方法は、簡単な構成によって、赤血球が充分に除去された顆粒球を採取することができる。
本発明の一実施形態に係る成分採血キット及び成分採血システムの全体構成を示す説明図である。 遠心分離装置に取り付けた成分採血キットの流動経路を示す回路図である。 血液の顆粒球の比重と細胞数の関係を示すグラフである。 図4Aは、フィルタ部材による顆粒球の回収を示す第1説明図である。図4Bは、フィルタ部材による顆粒球の回収を示す第2説明図である。図4Cは、フィルタ部材による顆粒球の回収を示す第3説明図である。 成分採血システムのプライミング工程を示す回路図である。 成分採血システムの採血工程を示す回路図である。 成分採血システムの返血工程を示す回路図である。 成分採血システムの顆粒球分離工程を示す回路図である。 成分採血システムの顆粒球回収および最終返血工程を示す回路図である。
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る成分採血システム10は、図1に示すように、供血者の血液を体外で遠心分離して、必要な血液成分を採取する血液アフェレーシスシステムとして構成されている。特に、この成分採血システム10は、供血者の白血球に含まれる所定の細胞である顆粒球104(図4A参照)を分離及び採取することが可能である。
具体的には、成分採血システム10は、複数のチューブ14やバッグ16、カセット18で構成される成分採血キット12と、成分採血キット12がセットされ、血液に遠心力を付与して複数の血液成分に分離する遠心分離装置20(血液成分分離装置、成分採血装置)とを含む。成分採血キット12は、汚染防止や衛生のために1回の使用毎に使い捨てにされる。遠心分離装置20は、成分採血において繰り返し使用される機器であり、例えば、医療施設や採血用車両に設置される。
遠心分離装置20は、高さ方向に比較的長く形成された箱状の装置本体22と、装置本体22内に回転自在に収容されるロータ24とを備える。
装置本体22は、成分採血キット12の各バッグ16を内部に収容する又は外部に保持すると共に、成分採血キット12に取り込まれた血液の流動及び遠心分離を制御する。この装置本体22は、血液の遠心分離を行う際の操作や表示を行う表示操作装置26と、成分採血キット12のカセット18が取り付けられるカセット取付部28と、ロータ24を収容する収容空間22aとを備える。
カセット取付部28は、カセット18を嵌め込み保持するように構成される。カセット取付部28は、後述する複数のポンプ30及び複数のクランプ32(図2参照)を所定位置に備えると共に、図示しない複数のセンサを備える。カセット取付部28へのカセット18の取り付けに伴い、成分採血キット12のチューブ14やカセット18が構成する経路上に、ポンプ30、クランプ32及びセンサが配置される。
装置本体22の収容空間22aは、上記のカセット取付部28の下方に設けられ、装置本体22の上下方向に沿って延在する円筒状に形成される。収容空間22aの底部には、ロータ24が取り付けられてロータ24を回転させる図示しない回転駆動源が設けられる。
遠心分離装置20のロータ24は、装置本体22から取出自在に構成され、また成分採血キット12を取付可能としている。このロータ24は、上下方向に長尺な軸部34と、軸部34の上端部に設けられた導管ハウジング36とを有する。遠心分離時には、軸部34の下端部が収容空間22aの回転駆動源に連結される。
導管ハウジング36は、軸部34よりも大きな外径を有する円環状に形成され、装置本体22の制御下に、軸部34と一体的に回転する。この導管ハウジング36には、後述する成分採血キット12の血液分離チャンバー16Cが周方向に沿って装着される。導管ハウジング36は、回転に伴い、血液分離チャンバー16Cに遠心力を付与することで、内部の血液を分離する。
一方、遠心分離装置20にセットされる成分採血キット12は、複数のチューブ14及びカセット18内の流路を組み合わせることで、血液や薬液等が流動する成分採血回路41の流動経路40を構成している。また、成分採血キット12のカセット18の所定箇所には、血液を一時的に貯留するリザーバ42が設けられる。さらに、成分採血キット12には、顆粒球104をトラップするために使用されるフィルタ部材44が、チューブ14を介してカセット18に接続されている。
より具体的には、成分採血キット12の複数のバッグ16には、ACD保存バッグ16A、回収液保存バッグ16B(回収液バッグ)、血液分離チャンバー16C、顆粒球用バッグ16D(細胞採取バッグ)及び洗浄液保存バッグ16E等が含まれる。これらのバッグ16のうち血液分離チャンバー16C以外は、吊り下げ型に形成され、遠心分離装置20のスタンド等に吊り下げられる。
図2に示すように、ACD保存バッグ16Aには、血液の抗凝固剤であるACD(acid‐citrate‐dextrose)が予め貯留され、また流動経路40の一部であるACD供給経路46が接続されている。さらに、回収液保存バッグ16Bには、顆粒球104を回収するための回収液120が予め貯留され、また流動経路40の一部である回収液用経路48(回収液ライン)が接続されている。回収液120は、特に限定されるものではないが、例えば、アデニンやクエン酸ナトリウム等が含まれた溶液、生理食塩水等があげられる。
一方、血液分離チャンバー16Cは、チャンバーを有する帯状の袋に形成され、成分採血キット12を遠心分離装置20に取り付ける際に、導管ハウジング36の周方向に沿って巻き付けられる。血液分離チャンバー16Cは、帯状の一端部側に、供血者の血液をチャンバーに供給する採血経路50(採血ライン)が接続され、帯状の他端部側に、成分液用上流経路52(成分液ライン)及び血漿成分用上流経路54(血漿成分ライン)が接続される。採血経路50、成分液用上流経路52及び血漿成分用上流経路54を構成するチューブ14は、束ねチューブ38(図1参照)によってまとめられている。
血液分離チャンバー16Cは、採血経路50からチャンバーに全血が流入され、チャンバー内においてこの全血を帯状に沿って周方向に流動させる。この際に、供血者の全血は、ロータ24(導管ハウジング36)の回転に伴う遠心力を受けることで、遠心分離がなされる。そして血液分離チャンバー16Cは、遠心分離により分離した血液成分のうち主に赤血球102と顆粒球104を含む成分液100(図4Aも参照)を成分液用上流経路52に流出させ、主に血漿112、単球、リンパ球及び血小板を含む血漿成分液110を血漿成分用上流経路54に流出する。
一方、顆粒球用バッグ16Dには、顆粒球用経路56(採取ライン)が接続され、内部に供血者の顆粒球104を貯留する。また、洗浄液保存バッグ16Eには、洗浄液用経路58が接続され内部に洗浄液を貯留する。洗浄液は、特に限定されるものではないが、例えば、生理食塩水があげられる。
次に、成分採血キット12の各バッグ16、リザーバ42、フィルタ部材44を繋ぐ流動経路40について説明する。流動経路40は、上記のACD供給経路46、回収液用経路48、採血経路50、成分液用上流経路52、血漿成分用上流経路54、顆粒球用経路56、洗浄液用経路58の他に、供血者側経路60、返血経路62(返血ライン)、成分液用中流経路64、成分液用下流経路66、成分液用分岐経路68、血漿成分用下流経路70、血漿成分用分岐経路72、第1フィルタ経路74(第1経路)、第2フィルタ経路76(第2経路)を有している。
そして、流動経路40は、複数の経路を結合して適宜の経路に流体を流動させる複数の連結点80(第1〜第6連結点80A〜80F)を有している。詳細には、第1連結点80Aでは、ACD供給経路46、採血経路50、供血者側経路60及び返血経路62が連結されている。第2連結点80Bでは、成分液用上流経路52、成分液用中流経路64及び成分液用分岐経路68が連結されている。第3連結点80Cでは、回収液用経路48、成分液用中流経路64、成分液用下流経路66及び第2フィルタ経路76が連結されている。第4連結点80Dでは、血漿成分用上流経路54、血漿成分用下流経路70及び血漿成分用分岐経路72が連結されている。第5連結点80Eでは、顆粒球用経路56、成分液用分岐経路68、血漿成分用分岐経路72及び第1フィルタ経路74が連結されている。また第6連結点80Fは、血漿成分用上流経路54の途中位置に設けられ、洗浄液用経路58を血漿成分用上流経路54に連結している。
供血者側経路60は、留置針等で構成された血液出入部82を一端部に有し、この血液出入部82は供血者の血管に挿入及び留置される。供血者側経路60は、成分採血時に、血液出入部82から第1連結点80Aに向けて供血者の全血を流動させる一方で、第1連結点80Aから血液出入部82に向けて返血する血液成分(赤血球102や血漿112)等を流動させる。
ACD供給経路46は、ACD保存バッグ16Aと第1連結点80Aの間を延在し、成分採血キット12を遠心分離装置20のカセット取付部28にセットした状態(以下、セット状態という)で、ACD用ポンプ30Aが途中位置に配置される。ACD保存バッグ16Aは、ACD用ポンプ30Aの駆動下に、ACD供給経路46にACDを流出する。
採血経路50は、第1連結点80Aと血液分離チャンバー16Cの間を延在し、セット状態で採血ポンプ30Bが途中位置に配置される。この採血経路50は、採血ポンプ30Bの駆動下に、供血者側経路60及び第1連結点80Aを介して、血液分離チャンバー16Cに供血者の全血を供給する。
返血経路62は、リザーバ42と第1連結点80Aの間を延在し、セット状態で返血ポンプ30Cが途中位置に配置される。この返血経路62は、返血ポンプ30Cの駆動下に、リザーバ42の血液成分を吸引して、第1連結点80A及び供血者側経路60を介して供血者に返血する。
成分液用上流経路52は、血液分離チャンバー16Cの他端部の下側に一端部が連結されて、第2連結点80Bまでの間を延在している。成分液用中流経路64は、第2連結点80Bと第3連結点80Cの間を延在し、セット状態で成分液用中流クランプ32Aが途中位置に配置される。成分液用下流経路66は、第3連結点80Cとリザーバ42の間を延在し、セット状態で成分液用下流クランプ32Bが途中位置に配置される。すなわち、成分液用上流経路52、成分液用中流経路64、成分液用下流経路66は、連通状態で、血液分離チャンバー16Cの成分液100をリザーバ42に流動させる成分液用経路を形成している。
なお、成分液用上流経路52、には、図2中の点線で示すように白血球用分離器84が設けられてもよい。白血球用分離器84は、遠心分離装置20のロータ24の所定位置に配置され、ロータ24の回転に伴い遠心力が付与されることで、成分液100に含まれる白血球のうち単球やリンパ球を遠心分離する。
血漿成分用上流経路54は、血液分離チャンバー16Cの他端部の上側に一端部が連結されて、第4連結点80Dまでの間を延在している。血漿成分用上流経路54の途中位置には、セット状態で、血漿成分用ポンプ30Dが配置される。また上述したように、血漿成分用上流経路54の途中位置(例えば、血漿成分用ポンプ30Dよりも上流側)には、洗浄液保存バッグ16Eに連なる洗浄液用経路58が接続されている。この洗浄液用経路58には、セット状態で、洗浄液用クランプ32Cが配置されている。
また、血漿成分用下流経路70は、第4連結点80Dとリザーバ42の間を延在している。血漿成分用下流経路70の途中位置には、セット状態で、血漿成分用下流クランプ32Dが配置される。すなわち、血漿成分用上流経路54及び血漿成分用下流経路70は、連通状態で、血液分離チャンバー16C又は洗浄液保存バッグ16Eの洗浄液をリザーバ42に流動させる血漿成分液用経路を構成する。
また、成分液用分岐経路68は、第2連結点80Bと第5連結点80Eの間を延在し、セット状態で成分液用分岐クランプ32Eが途中位置に配置される。血漿成分用分岐経路72は、第4連結点80Dと第5連結点80Eの間を延在し、セット状態で血漿成分用分岐クランプ32Fが途中位置に配置される。回収液用経路48は、回収液保存バッグ16Bと第3連結点80Cの間を延在し、セット状態で、回収液用ポンプ30E及び回収液用クランプ32Gが途中位置に配置される。さらに顆粒球用経路56は、顆粒球用バッグ16Dと第5連結点80Eの間を延在し、セット状態で、顆粒球用クランプ32Hが途中位置に配置される。
成分採血キット12の第1及び第2フィルタ経路74、76は、セット状態で、遠心分離装置20の所定位置にフィルタ部材44を配置して、顆粒球用経路56と共に、顆粒球104を回収するための経路として使用される。次に、本実施形態における顆粒球104の回収の原理及び方法について説明する。
図3に示すように、血液中には、赤血球102と比重が近い血液細胞(白血球)として、単球、リンパ球、好塩基球、好中球、好酸球が存在している。これらの血液細胞のうち、単球とリンパ球の比重は、赤血球102の比重に対して多少低いため、遠心分離によって分離することが可能である。一方、好塩基球、好中球及び好酸球は、本実施形態で目的の回収物に相当する顆粒球104であり、これらの比重は赤血球102の比重と比重差が少なく、遠心分離では赤血球102からの単離が困難である。
従来、顆粒球104を回収する場合には、FicollやHES(高分子デキストラン)等の分離溶液を用いた方法等が行われている。しかしながら、これらの方法は、ランニングコストがかかる、専門のスキルが必要になる、赤血球102が多く混じり顆粒球104を充分に回収することができない等の問題がある。
そこで、本出願人は、フィルタ部材44を用いて赤血球102に混じっている顆粒球104(所定の細胞)を赤血球102から分離させて該顆粒球104を回収する原理を考案した。すなわち、成分採血キット12及び成分採血システム10は、この原理に基づく成分採血回路41を構成しており、血液(赤血球102)から顆粒球104を簡単且つ充分に回収可能としている。
具体的には、フィルタ部材44は、チューブ14に接続され内部空間92を内側に有する容器90と、内部空間92を2つの第1空間92aと第2空間92bに区画するように容器90内に固定されるフィルタ本体94とを有する。容器90は、円盤状に形成されて、その一方面の中心部から突出して上記の第1フィルタ経路74に接続される第1ポート90aと、その反対面の中心部から突出して上記の第2フィルタ経路76に接続される第2ポート90bとを有する。すなわち、第1フィルタ経路74と第1空間92aが第1ポート90aを介して連通しており、第2フィルタ経路76と第2空間92bが第2ポート90bを介して連通している。
フィルタ本体94は、顆粒球104の直径よりも小さな直径(孔径)の孔96を有するメッシュ状フィルタを複数積層して構成される。例えば、フィルタ本体94の孔96の孔径は、5μm〜15μmの範囲に形成されるとよい。ここで、赤血球102は、中央部が凹んだ薄い円盤状であるが、変形能力が非常に高い細胞となっている。末梢血管等の細く蛇行した血管に酸素を運ぶためである。そのため、赤血球102は、フィルタ本体94に対してある程度の流動力をもっていれば、フィルタ本体94の孔96を通過する。つまり、フィルタ本体94は、顆粒球104をトラップ(捕捉)する(不通過とする)一方で、赤血球102を通過させることができる。
そのため、顆粒球104の回収方法において、図4Aに示すように、成分採血システム10は、第1ポート90aからフィルタ部材44の第1空間92aに、赤血球102及び顆粒球104を含む成分液100を流入させる。これにより、フィルタ本体94は、第1空間92aを臨む対向面94aに顆粒球104をトラップする一方で、赤血球102を第2空間92bに移動させる。さらに、第2空間92bに移動した赤血球102は、第2ポート90bから流出される。
また図4Bに示すように、成分採血システム10は、成分液100に加えて、血漿成分液110も第1空間92aに流動させることで、内部空間92において、赤血球102に充分な流動力を加えるように構成している。すなわち、血漿成分液110は、第1空間92a側に存在する赤血球102を押し流して、第2空間92b側に移動させる。その一方で、フィルタ本体94の孔96よりも大きな顆粒球104は、血漿成分液110が押し込んでもフィルタ本体94に留まることになる。
成分液100をある程度流動させた後、成分採血システム10は、図4Cに示すように、赤血球102の流動方向と逆方向(第2空間92bから第1空間92aに向かう方向)に回収液120を流動させる。この回収液120は、フィルタ本体94の孔96を通って第2空間92bから第1空間92aに移動し、この際に顆粒球104をフィルタ部材44から引き離す。これにより、顆粒球104は、第1空間92aから第1ポート90aに向かって回収液120と共に流動する。つまり、成分採血システム10は、フィルタ部材44にトラップされた顆粒球104を良好に回収することが可能となる。
図2に戻り、フィルタ部材44の第1ポート90aに接続される第1フィルタ経路74、フィルタ部材44の第2ポート90bに接続される第2フィルタ経路76は、上記の回収原理に基づき成分液100、血漿成分液110、回収液120を適切なタイミングで流動させる。そして、第5連結点80Eを介して第1フィルタ経路74に連通する顆粒球用経路56に顆粒球104を流動させ、顆粒球用経路56は、顆粒球用バッグ16Dに顆粒球104を流入させる。
なお、図2中に点線で示すように、成分採血キット12は、血漿成分液110を貯留するPPP用バッグ86を、血漿成分液用経路の途中位置に連結した構成でもよい。PPP用バッグ86は、例えば、第4連結点80Dに連結されるPPP用経路88に接続され、PPP用経路88に設けられたPPP用クランプ32Iの開放状態で血漿成分液110(血漿112)を貯留する。
以下、成分採血システム10及び成分採血キット12において、顆粒球104を回収する動作について例示する。
成分採血を行う際には、医療従事者により成分採血キット12が遠心分離装置20にセットされて、成分採血システム10が構築される。これにより成分採血キット12の流動経路40の適宜の位置に、遠心分離装置20のポンプ30、クランプ32、センサ等が配置される。さらに、医療従事者は、供血者に留置針を穿刺及び留置して、血液出入部82を構築する。
そして成分採血システム10は、成分採血を開始すると、図5に示すように、まずACDをリザーバ42に供給するプライミング工程を実施する。この場合、遠心分離装置20は、ACD用ポンプ30A及び返血ポンプ30Cを駆動して、ACD保存バッグ16AからACDを流出させる。ACDは、ACD供給経路46、第1連結点80A、返血経路62の順に流動して、リザーバ42に供給される。なお成分採血システム10は、プライミング工程時に、成分液用分岐クランプ32E、血漿成分用分岐クランプ32F、回収液用クランプ32G、顆粒球用クランプ32Hを予め閉塞し、フィルタ部材44の経路を遮断している。リザーバ42にACDが所定量貯留されると、プライミング工程が終了する。
次に、成分採血システム10は、図6に示すように採血工程を実施する。この場合、遠心分離装置20は、ACD用ポンプ30A及び採血ポンプ30Bを駆動して、供血者側経路60、第1連結点80A及び採血経路50の順に供血者の全血を流動させて、血液分離チャンバー16CにACDを供給しつつ該全血を導入する。また、遠心分離装置20は、採血工程において、ロータ24を回転させることで血液分離チャンバー16Cを回転させ、供給された全血に遠心力を付与する。これにより全血は、チャンバー内の流動中に、成分液100、血漿成分液110に遠心分離される。
成分液100は、成分液用中流クランプ32A及び成分液用下流クランプ32Bが開放していることで、成分液用上流経路52、第2連結点80B、成分液用中流経路64、第3連結点80C及び成分液用下流経路66の順に流動してリザーバ42に流入される。一方、血漿成分液110は、血漿成分用ポンプ30Dの駆動、及び血漿成分用下流クランプ32Dの開放に基づき、血漿成分用上流経路54、第4連結点80D及び血漿成分用下流経路70の順に流動してリザーバ42に供給される。なお、PPP用バッグ86が設けられている場合には、採血工程において、適宜のタイミングでPPP用クランプ32Iを開放し、また血漿成分用下流クランプ32Dを閉塞することでPPP用バッグ86に血漿成分液110を貯留していく。
そして採血工程において、成分採血システム10は、リザーバ42に貯留される血液(成分液100、血漿成分液110)の液面をセンサにより検知し、液面が所定の高さに達すると、返血工程を実施する。
図7に示すように返血工程において、成分採血システム10は、返血ポンプ30Cを駆動して、リザーバ42から返血経路62、第1連結点80A及び供血者側経路60の順に成分液100、血漿成分液110が混じった血液を流動させる。これにより患者に血液が戻される。なお、返血工程では、採血ポンプ30B及び血漿成分用ポンプ30Dが駆動し、またロータ24が回転していることで、血液分離チャンバー16Cにおいて血液の遠心分離が継続されている。
この返血工程は、リザーバ42の血液の液面が所定の高さまで減少した段階で終了して、再び採血工程に移行する。顆粒球104の回収において、成分採血システム10は、遠心分離装置20による血液分離層が安定化するまで、採血工程及び返血工程を繰り返す。
そして、成分採血システム10は、血液分離層が安定化する(例えば、採血工程及び返血工程を所定回数繰り返す)と、顆粒球104を回収する工程に移行する。顆粒球104を回収する工程では、まず顆粒球104をフィルタ部材44にトラップさせる顆粒球分離工程(第1工程)を行う。この場合、開放していた成分液用中流クランプ32A、血漿成分用下流クランプ32Dを閉塞すると共に、閉塞していた成分液用分岐クランプ32E、血漿成分用分岐クランプ32Fを開放する。これにより、採血ポンプ30Bにより押圧された血液分離チャンバー16Cの成分液100は、成分液用上流経路52、第2連結点80B、成分液用分岐経路68、第5連結点80E及び第1フィルタ経路74の順に流動する。
このため、図4Aに示すように、成分液100に含まれる赤血球102及び顆粒球104が、フィルタ部材44の第1空間92aに流入する。そして、上述したように、顆粒球104がフィルタ本体94にトラップされ、赤血球102がフィルタ本体94の孔96を通過して第2空間92bに移動する。
また、血液分離チャンバー16Cの血漿成分液110は、血漿成分用ポンプ30Dの駆動下に、血漿成分用上流経路54、第4連結点80D、血漿成分用分岐経路72、第5連結点80E、第1フィルタ経路74の順に流動する。そして図4Bに示すように、血漿成分液110(血漿112)は、第1空間92aに流入すると赤血球102を押し流しつつ、フィルタ本体94を通って第2空間92bに移行する。従って、フィルタ本体94の第1空間92aの対向面94aには、赤血球102から分離した顆粒球104が残留する。
また図8に示すように、第1工程では、適宜のタイミングで洗浄液用クランプ32Cが開放され、洗浄液保存バッグ16Eから洗浄液が流出する。洗浄液は、洗浄液用経路58、第6連結点80F、血漿成分用上流経路54、第4連結点80D、血漿成分用分岐経路72、第5連結点80E、第1フィルタ経路74の順に流動する。この洗浄液は、フィルタ部材44内において赤血球102の押し出しを補助し、顆粒球104との分離を促進させる。またリザーバ42に移動した洗浄液は、供血者に流動することで血液ロスを低減することができる。
フィルタ部材44の下流側には、赤血球102と血漿成分液110が流出する。赤血球102及び血漿成分液110は、第2フィルタ経路76、第3連結点80C及び成分液用下流経路66を流動してリザーバ42に流入する。そして、成分採血システム10は、フィルタ部材44に対して赤血球102を所定量通過させる、すなわちフィルタ部材44において顆粒球104を充分に残留させると、顆粒球分離工程を終了する。
顆粒球分離工程後は、顆粒球用バッグ16Dに顆粒球104を保存する顆粒球回収工程及び最終返血工程(第2工程)を実施する。図9に示すように、顆粒球回収工程では、開放されていた成分液用下流クランプ32B、成分液用分岐クランプ32E、血漿成分用分岐クランプ32Fを閉塞する一方で、閉塞されていた回収液用クランプ32G、顆粒球用クランプ32Hを開放する。そして、回収液用ポンプ30Eを駆動して、回収液保存バッグ16Bから回収液120を流出させる。この回収液120は、回収液用経路48、第3連結点80C、第2フィルタ経路76の順に流動する。
従って、図4Cに示すように、回収液120は、フィルタ部材44の第2空間92bに流入し、第2空間92bからフィルタ本体94の孔96を通って第1空間92aに移動する。このため回収液120は、フィルタ本体94の対向面94aにトラップされていた顆粒球104を離脱させ、この顆粒球104が第1空間92aに流出する。そして、顆粒球104と回収液120は、第1フィルタ経路74、第5連結点80E、顆粒球用経路56を流動して、顆粒球用バッグ16Dに流入する。
すなわち、フィルタ部材44では、多量の成分液100からフィルタ本体94を通過する赤血球102と、フィルタ本体94にトラップされる顆粒球104とに分離することで、充分な量の顆粒球104がトラップされる。そして、このトラップされた顆粒球104を顆粒球用バッグ16Dに貯留させることで、充分な量の顆粒球104を得ることができる。
上述した構成を有する本実施形態の成分採血キット12及び成分採血システム10は、以下の効果を奏する。
成分採血キット12及び成分採血システム10は、第1フィルタ経路74、第2フィルタ経路76及びフィルタ部材44を有するという簡単な構成で、赤血球102が充分に除去された顆粒球104を採取することができる。すなわち、フィルタ部材44は、フィルタ本体94により第1フィルタ経路74から流入された成分液100のうち顆粒球104をトラップして、赤血球102から分離させる。そして、第2フィルタ経路76から回収液120を流入することでフィルタ本体94にトラップしていた顆粒球104を第1フィルタ経路74に導くことができる。これにより成分採血キット12は、顆粒球104を充分に回収することが可能となり、この顆粒球104を臨床用や研究用に良好に利用することができる。
また、フィルタ本体94は、直径が5μm〜15μmの孔96を複数有することで、第1空間92aから第2空間92bに顆粒球104をより確実に透過させないようにすることができる。その一方で、フィルタ本体94の孔96は、赤血球102を良好に通過させることができる。さらに、成分採血キット12及び成分採血システム10は、第1フィルタ経路74が血液分離チャンバー16Cに接続されていることで、血液分離チャンバー16Cから成分液100を多量に供給されることになり、フィルタ部材44による顆粒球104の回収量を増やすことができる。
そして、成分採血キット12は、第1フィルタ経路74が顆粒球用バッグ16Dに接続されていることで、フィルタ部材44がトラップした顆粒球104を顆粒球用バッグ16Dに良好に回収することができる。また成分採血キット12は、血液分離チャンバー16Cから成分液用経路に流出した成分液100をリザーバ42に流入させ、これに加えてフィルタ部材44を通過した赤血球102もリザーバ42に流入させることができる。またさらに、成分採血キット12は、血漿成分液110や洗浄液によりフィルタ部材44に流入した成分液100のうち赤血球102を押し出すことができ、顆粒球104をより確実に分離させることができる。
また、成分採血システム10の遠心分離装置20は、顆粒球分離工程の実施前に、供血者から全血を採血する採血工程と、全血から分離された血液成分を返血する返血工程とを繰り返す。これにより、成分採血システム10は、血液分離チャンバー16Cにおいて血液分離層を安定化させることができ、フィルタ部材44に成分液100を良好に供給することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。例えば、成分採血キット12は、上記で説明した回路に限定されるものではなく、種々の成分採血回路の構造を採用可能である。
10…成分採血システム 12…成分採血キット
20…遠心分離装置 40…流動経路
42…リザーバ 44…フィルタ部材
52…成分液用上流経路 64…成分液用中流経路
66…成分液用下流経路 74…第1フィルタ経路
76…第2フィルタ経路 92a…第1空間
92b…第2空間 94…フィルタ本体
96…孔 100…成分液
102…赤血球 104…顆粒球
110…血漿成分液 120…回収液

Claims (12)

  1. 白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血キットであって、
    液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、
    前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、
    前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、
    前記フィルタ部材は、
    血液中の前記所定の細胞を含む成分液が前記第1経路から前記第1空間に流入された際に、前記フィルタ本体に前記所定の細胞を捕捉し、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させ前記第2経路から流出させた後、
    回収液が前記第2経路から前記第2空間に流入された際に、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉されている前記所定の細胞を、前記第1空間を介して前記第1経路より回収する
    ことを特徴とする成分採血キット。
  2. 請求項1記載の成分採血キットにおいて、
    前記フィルタ本体は、直径が5μm〜15μmに形成された孔を複数有する
    ことを特徴とする成分採血キット。
  3. 請求項1又は2記載の成分採血キットにおいて
    前記第1経路は、全血が流入され、遠心力により前記成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離可能な血液分離チャンバーに繋がる成分液用経路に接続されている
    ことを特徴とする成分採血キット。
  4. 請求項3記載の成分採血キットにおいて、
    前記第1経路は、前記所定の細胞を前記回収液と共に貯留可能な顆粒球用バッグに繋がる顆粒球用経路に接続され、
    前記顆粒球用経路は、前記成分液用経路と分岐している
    ことを特徴とする成分採血キット。
  5. 請求項3又は4記載の成分採血キットにおいて、
    前記成分液用経路は、赤血球を貯留するリザーバに接続され、
    前記第2経路は、前記第1経路が前記成分液用経路に接続される連結点よりも下流側の前記成分液用経路に接続されている
    ことを特徴とする成分採血キット。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の成分採血キットにおいて、
    前記第1経路は、前記血漿成分液を流動する血漿成分液用経路に接続されている
    ことを特徴とする成分採血キット。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成分採血キットにおいて、
    前記第1経路は、洗浄液を供給可能な洗浄液保存バッグに繋がる洗浄液用経路に接続されている
    ことを特徴とする成分採血キット。
  8. 白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血装置に取り付けられる成分採血回路であって、
    供血者から全血を採取する採取ラインと、
    前記採取ラインが接続され、収容された前記全血に遠心力を付与することで、前記所定の細胞を含む成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離する血液分離チャンバーと、
    前記成分液から前記所定の細胞を捕捉するフィルタ本体と、前記フィルタ本体で区画された第1空間及び第2空間とを有するフィルタ部材と、
    前記フィルタ本体に捕捉された前記所定の細胞を回収する回収液を収容する回収液バッグと、
    前記所定の細胞を収容する細胞採取バッグと、
    前記フィルタ部材と前記血液分離チャンバーとを接続し、前記成分液を移送する成分液ラインと、
    前記血液分離チャンバーから前記血漿成分液を移送する血漿成分液ラインと、
    前記フィルタ部材と前記細胞採取バッグとを接続する採取ラインと、
    前記回収液バッグと前記フィルタ部材とを接続する回収液ラインと、
    供血者へ不要な成分を返還する返血ラインを備え、
    前記成分液ライン、前記血漿成分液ライン及び採取ラインは、前記フィルタ部材の前記第1空間に接続し、
    前記回収液ライン及び返血ラインは前記第2空間に接続している
    ことを特徴とする成分採血回路。
  9. 白血球中に含まれる所定の細胞を採取する成分採血キットと、前記成分採血キットが取り付けられて血液の流動を制御する血液成分分離装置と、を含む成分採血システムであって、
    前記成分採血キットは、
    液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、
    前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、
    前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、
    前記血液成分分離装置は、
    血液中の前記所定の細胞を含む成分液を前記第1経路から前記第1空間に流入させる第1工程と、
    前記第1工程後に、回収液を前記第2経路から前記第2空間に流入させる第2工程と、を行い、
    前記フィルタ部材は、
    前記第1工程時に、前記フィルタ本体により、前記所定の細胞を捕捉する一方で、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させ、
    前記第2工程時に、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉された前記所定の細胞を離脱させる
    ことを特徴とする成分採血システム。
  10. 請求項9記載の成分採血システムにおいて、
    前記第1経路は、全血が流入される血液分離チャンバーに接続され、
    前記血液成分分離装置は、前記血液分離チャンバーに遠心力を付与することで、前記成分液と、血漿を含む血漿成分液とに前記全血を分離して、前記成分液を前記第1経路に流動させる
    ことを特徴とする成分採血システム。
  11. 請求項10記載の成分採血システムにおいて、
    前記血液成分分離装置は、前記第1工程の実施前に、供血者から前記全血を採血する採血工程と、前記全血から分離された血液成分を返血する返血工程とを繰り返す
    ことを特徴とする成分採血システム。
  12. 成分採血キットを用いて白血球中に含まれる所定の細胞を採取する血液成分採取方法であって、
    前記成分採血キットは、
    液体を流動可能な第1経路及び第2経路と、
    前記第1経路と前記第2経路の間に設けられるフィルタ部材と、を備え、
    前記フィルタ部材内には、前記第1経路に連通する第1空間、前記第2経路に連通する第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間を区画するフィルタ本体が設けられ、
    当該血液成分採取方法では、
    血液中の前記所定の細胞を含む成分液を前記第1経路から前記第1空間に流入させることで、前記フィルタ本体により前記所定の細胞を捕捉し、前記所定の細胞以外の成分を前記第2空間に移動させて前記第2経路から流出させる第1工程と、
    前記第1工程後に、回収液を前記第2経路から前記第2空間に流入させることで、前記フィルタ本体を介して前記第1空間に前記回収液を移動させて、前記フィルタ本体に捕捉されている前記所定の細胞を、前記第1空間を介して前記第1経路より回収する第2工程と、を行う
    ことを特徴とする血液成分採取方法。
JP2017187413A 2017-09-28 2017-09-28 成分採血キット、成分採血回路及び成分採血システム Active JP7002902B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187413A JP7002902B2 (ja) 2017-09-28 2017-09-28 成分採血キット、成分採血回路及び成分採血システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187413A JP7002902B2 (ja) 2017-09-28 2017-09-28 成分採血キット、成分採血回路及び成分採血システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019058568A true JP2019058568A (ja) 2019-04-18
JP7002902B2 JP7002902B2 (ja) 2022-01-20

Family

ID=66176373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017187413A Active JP7002902B2 (ja) 2017-09-28 2017-09-28 成分採血キット、成分採血回路及び成分採血システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7002902B2 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4197847A (en) * 1977-03-31 1980-04-15 Isaac Djerassi Method and apparatus for collecting transfusable granulocytes
JPS57145662A (en) * 1981-03-02 1982-09-08 Asahi Chemical Ind Filter, method and apparatus for sampling white corpuscle component
JPH09121849A (ja) * 1995-11-06 1997-05-13 Asahi Medical Co Ltd 細胞採取システムおよび細胞採取方法
WO2001032236A1 (fr) * 1999-11-01 2001-05-10 Asahi Medical Co., Ltd. Filtre pour enlever selectivement les leucocytes
JP2003274923A (ja) * 2002-03-22 2003-09-30 Terumo Corp 単球捕捉フィルターおよび単球分離培養装置、並びに樹状細胞回収方法
US20070118063A1 (en) * 2005-10-05 2007-05-24 Gambro, Inc Method and Apparatus for Leukoreduction of Red Blood Cells
JP2008525107A (ja) * 2004-12-28 2008-07-17 ガンブロ・ビーシーティー、インコーポレーテッド 一定量の全血を少なくとも3つの成分に分離する装置および方法
JP2010088376A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Olympus Corp 細胞回収装置および脂肪由来細胞含有液
JP2012139112A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Family Cell Bank Co Ltd 白血球分画回収装置
JP2013514863A (ja) * 2009-12-21 2013-05-02 テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド 低血漿キャリーオーバーを有する血小板を抽出するための方法及び装置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4197847A (en) * 1977-03-31 1980-04-15 Isaac Djerassi Method and apparatus for collecting transfusable granulocytes
JPS57145662A (en) * 1981-03-02 1982-09-08 Asahi Chemical Ind Filter, method and apparatus for sampling white corpuscle component
JPH09121849A (ja) * 1995-11-06 1997-05-13 Asahi Medical Co Ltd 細胞採取システムおよび細胞採取方法
WO2001032236A1 (fr) * 1999-11-01 2001-05-10 Asahi Medical Co., Ltd. Filtre pour enlever selectivement les leucocytes
JP2003274923A (ja) * 2002-03-22 2003-09-30 Terumo Corp 単球捕捉フィルターおよび単球分離培養装置、並びに樹状細胞回収方法
JP2008525107A (ja) * 2004-12-28 2008-07-17 ガンブロ・ビーシーティー、インコーポレーテッド 一定量の全血を少なくとも3つの成分に分離する装置および方法
US20070118063A1 (en) * 2005-10-05 2007-05-24 Gambro, Inc Method and Apparatus for Leukoreduction of Red Blood Cells
JP2010088376A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Olympus Corp 細胞回収装置および脂肪由来細胞含有液
JP2013514863A (ja) * 2009-12-21 2013-05-02 テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド 低血漿キャリーオーバーを有する血小板を抽出するための方法及び装置
JP2012139112A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Family Cell Bank Co Ltd 白血球分画回収装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7002902B2 (ja) 2022-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101946441B1 (ko) 특정 세포 군집 이외의 것을 고갈시켜 혈액 또는 골수 중의 특정 세포 군집을 정제하기 위한 시스템
EP2515966B1 (en) Methods and apparatus for collection of filtered blood components, in particular red blood cells
US10632244B2 (en) Platelet collection method and platelet collection system
US9156039B2 (en) System for blood separation with gravity valve for controlling a side-tapped separation chamber
JP2013514862A5 (ja)
JP2021120029A (ja) 回収血液から脂肪を除去するためのシステム及び方法
JP5977444B2 (ja) 血液バッグシステム
US7217365B2 (en) Blood filtration methods
JP7002902B2 (ja) 成分採血キット、成分採血回路及び成分採血システム
JPH01503352A (ja) 血液処理システムの使い捨て血液チューブ網空気追出し方法および装置
Cullis et al. Nucleated Cell Separation Using the Fenwal CS3000™
JP6672262B2 (ja) 遠心分離機及びセグメント保持部
JP2582852Y2 (ja) 血液成分分離回路
KR102512973B1 (ko) 생물학적 유체 분리 장치
US11110211B2 (en) Platelet separator, platelet recovery device, platelet collection system, and platelet collection method
JP6636624B2 (ja) 流体処理および回路配列、システム、および、装置
US20180243758A1 (en) Platelet separator and platelet recovery device
JP2009101187A (ja) 血液成分採取回路
JPH023464B2 (ja)
JPH02213355A (ja) 血液処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210330

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7002902

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150