JPH11290060A - 細胞回収に適した細胞分離フィルター、細胞分離システム及び細胞分離方法 - Google Patents

細胞回収に適した細胞分離フィルター、細胞分離システム及び細胞分離方法

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JPH11290060A
JPH11290060A JP10108460A JP10846098A JPH11290060A JP H11290060 A JPH11290060 A JP H11290060A JP 10108460 A JP10108460 A JP 10108460A JP 10846098 A JP10846098 A JP 10846098A JP H11290060 A JPH11290060 A JP H11290060A
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cell
filter
cells
inlet
cell suspension
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JP10108460A
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Shuji Terajima
修司 寺嶋
Masaya Sumida
政哉 澄田
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
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Publication date
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M29/00Means for introduction, extraction or recirculation of materials, e.g. pumps
    • C12M29/04Filters; Permeable or porous membranes or plates, e.g. dialysis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M47/00Means for after-treatment of the produced biomass or of the fermentation or metabolic products, e.g. storage of biomass
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 細胞浮遊液からの細胞分離操作において、濾
材に捕捉された回収必要細胞を高率に回収する細胞分離
フィルター、細胞分離システム及び細胞分離方法の提
供。 【解決手段】 少なくとも細胞浮遊液の入口と出口を有
するハウジング内に、細胞浮遊液の入口側から出口側に
向かって平均孔径が連続的又は段階的に増加する濾材が
充填されている細胞分離フィルター8。上記細胞分離フ
ィルターとの細胞浮遊液入口にアグリゲート除去装置6
を導管で連結した細胞分離システム。上記細胞分離フィ
ルターに、細胞浮遊液を細胞浮遊液の入口から出口に向
かって通液して細胞浮遊液中の回収必要細胞を濾材に捕
捉させた後、細胞浮遊液の出口側9から入口側7に向か
って、細胞回収液を通液することにより濾材に捕捉され
た回収必要細胞を回収する細胞分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞浮遊液から特
定の細胞を分離回収する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、全血輸血に代わって、全血から赤
血球、血小板、白血球を選択的に取り出し、治療に必要
な血球成分を輸血する成分輸血が行われるようになっ
た。また最近では、白血病などの造血器腫瘍及び固形癌
の化学療法における副作用である造血障害に対して、末
梢血、骨髄、臍帯血の中の造血幹細胞を移植することが
盛んに行われている。臍帯血の場合、細胞は移植前まで
凍結保存されることが多いが、保存スペース、解凍時の
破壊赤血球による副作用が問題となるため、通常凍結前
に赤血球除去が行われている。従来、血液から治療に必
要な血球成分を分離する方法として、比重液(例えばフ
ァルマシア社製Ficoll)を用いる比重遠心法が採
用されている。本法は比重液に原料細胞を重層させる際
に液面を乱してはならない等、非常に熟練を要する煩雑
な操作である。また、ヒドロキシエチルスターチを用い
た赤血球凝集による赤血球除去も行われているが、本法
も比重遠心法と同様の問題がある。最近では、簡便法と
して、フィルター法が散見されるようになった。具体的
には、特開昭54−119016号公報、特開昭57−
145662号公報等で、細胞浮遊液中の回収必要細胞
をフィルターに捕捉し、フィルター内に残存した除去対
象細胞をリンス液で洗い流した後、フィルターに振動を
与えながら回収液をフィルターに通液することにより回
収必要細胞を回収する方法等がある。一般にフィルター
法において、細胞は濾材の上流側に多く捕捉され、下流
に向かってその数は減少していく。従って、一旦濾材に
回収必要細胞を捕捉させた後に回収する際、濾材上流側
から下流側へ回収液を押し込んで回収するよりも、濾材
下流側から上流側へ回収液を押し込む方が回収率が高い
ためよく用いられる。しかしながら、フィルターで処理
する細胞数が多くなるにつれ、濾材下流にも多くの細胞
が捕捉されるようになり、濾材下流側から上流側へ回収
液を押し込んで回収する場合、濾材下流側に捕捉された
細胞は濾材上流側に捕捉された細胞に比べ、フィルター
から出るまでにより多くの濾材と接触し、ある割合で濾
材に捕捉されてしまうため、十分回収できないという問
題があった。前述した特開昭54ー119016号公
報、特開昭57−145662号公報等には、濾材の平
均孔径が細胞浮遊液の入口から出口に向かって大きくな
る濾材を用いて、捕捉させた細胞の回収率を向上させる
という記載は一切ない。また、特開平5−17361号
公報、特開平5−168711号公報等に、孔径の異な
る濾材を用いたフィルターが開示されているが、濾材の
平均孔径が細胞浮遊液の入口から出口に向かって小さく
なる濾材を用いたフィルターであり、またフィルターの
目詰まりを防止する目的であり、捕捉された細胞の回収
も行わない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、細胞
分離操作において、濾材に捕捉された回収必要細胞を高
率に回収する細胞分離フィルター、細胞分離システム及
び細胞分離方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、鋭意検討した結果、細胞分離フィルタ
ー内における孔径の異なる濾材の配置方法により、濾材
に捕捉された細胞を効率よく回収できるという驚くべき
効果を見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、
細胞浮遊液の入口と出口を有するハウジング内に、細胞
浮遊液の入口側から出口側に向かって平均孔径が連続的
又は段階的に増加する濾材が充填されていることを特徴
とする細胞分離フィルターであり、該細胞分離フィルタ
ーの細胞浮遊液入口にアグリゲート除去装置を導管で連
結した細胞分離システムであり、細胞浮遊液の入口と出
口を有するハウジング内に、細胞浮遊液の入口側から出
口側に向かって平均孔径が連続的又は段階的に増加する
濾材が充填されている細胞分離フィルターに、細胞浮遊
液を細胞浮遊液の入口から出口に向かって通液して細胞
浮遊液中の回収必要細胞を濾材に捕捉させた後、細胞浮
遊液の出口側から入口側に向かって、細胞回収液を通液
することにより濾材に捕捉された回収必要細胞を回収す
る細胞分離方法である。本発明で用いるハウジングの形
状は、少なくとも細胞浮遊液の入口と出口を有し、回収
目的細胞が捕捉できる濾材が充填できるものであれば特
に限定はしないが、細胞浮遊液出口側に細胞浮遊液の出
口とは異なる回収液入口があり、細胞浮遊液入口側に細
胞浮遊液の入口とは異なる回収液出口があっても良い。
また、濾材を平板状に積層した形状はハウジング内の流
れが比較的単純で、高い細胞の回収率が得られるため好
ましい。
【0005】本発明における平均孔径の連続的又は段階
的増加とは、濾材1枚を血液の流れ方向に切断した時、
細胞浮遊液の入口から出口に向かって孔径が徐々に大き
くなる場合を連続的増加といい、血液の流れ方向に対し
て垂直に切断した切断面の平均孔径がほぼ均一な数枚の
フィルター材料を平均孔径の小さい順に積層し、ハウジ
ング内に充填する場合を段階的増加という。また、細胞
浮遊液の入口に最も近い濾材より下流の濾材の平均孔径
は細胞浮遊液の入口に最も近い濾材よりも大きければよ
く、濾材量とともに細胞浮遊液の種類や処理細胞数によ
り任意に設定できる。本発明における細胞分離フィルタ
ー内の、細胞浮遊液の入口に最も近い濾材の平均孔径と
しては、10〜25μmであることが好ましい。10μ
m未満では、その細胞の捕捉能の高さから目詰まりを起
し、流速低下やブロッキングが発生してしまう上、細胞
の剥離能の低さから十分な回収率も得られない。一方、
25μmを超えると、その細胞の捕捉能の低さから多く
の細胞を濾材上流側に留めることができず、十分な回収
率を得られない。更に、細胞浮遊液の出口に近い濾材の
平均孔径は以下の理由により特に限定しない。濾材量は
主に処理細胞数によって決まるが、製造コストの問題か
ら処理細胞数の異なるフィルターを単一のハウジングで
作製するような場合がある。特に処理細胞数が少ないフ
ィルターを作製する場合、濾材量を必要以上に多くする
と除去対象細胞の濾材への付着による回収液中への混入
増大や回収時に圧力損失が高くなり回収必要細胞の低回
収につながる。そこで、回収時に圧力損失を高めず、細
胞付着の少ない平均孔径の大きな濾材を細胞浮遊液の出
口に近い方に充填しても、我々の検討結果では細胞分離
性能に悪影響を及ぼさなかった。
【0006】本発明における濾材は、水不溶性であれば
いかなる材質でも使用可能であるが、成形性、滅菌性や
細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリ
ル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、ア
ガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キト
サン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパ
タイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ス
テンレス、チタン等の金属があげられる。また、濾材の
形状としてはビ−ズ、織布、不織布、スポンジ状多孔質
体等があげられる。また、これらの濾材はこのままでも
用いられるが、必要に応じ、アミノ酸、ペプチド、糖タ
ンパク(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)と
いった、特定の細胞に親和性のあるリガンドを固定して
もよい。また、フィルターに血小板通過性を付与する場
合、例えば特公平6−51060号公報で提案されてい
るように、ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分と
する合成高分子等で濾材表面を改質してもよい。濾材が
繊維の場合、ハウジング内での充填密度はどの部分の濾
材も、0.1〜0.4g/cm3であることが好まし
い。0.1g/cm3未満では、繊維同士の交絡部が少
なく細胞が十分捕捉されない。一方、0.4g/cm3
を超えると、製造が困難な上、圧力損失が増大し、濾過
時の処理時間の増加や、回収時の十分な線速が得られな
いことによる回収必要細胞の低回収を招く。
【0007】本発明で言うアグリゲート除去装置とは、
細胞浮遊液中のアグリゲートが除去可能が機能を持ち合
わせているものであればよく、装置の形状、濾材の材
質、濾材の量等は特に限定しないが、一般に血液回路中
に用いられているメッシュチャンバーが、構造がシンプ
ルで製造しやすいため好ましい。細胞浮遊液中に、アグ
リゲートを多く含む場合、細胞分離フィルター内にアグ
リゲートが侵入し、目詰まりを起して回収必要細胞の回
収率低下や回収不能状態が発生してしまう。そこで、ア
グリゲート除去装置で細胞浮遊液中のアグリゲートを除
去した後に、細胞分離フィルターに細胞浮遊液が流入す
るような細胞分離システムに設計したものである。本発
明で言うアグリゲート除去孔径比とは、下式で定義され
る。 アグリゲート除去孔径比は、1.5〜10であることが
好ましい。1.5未満では、アグリゲートだけでなく回
収必要細胞まで除去されるようになり回収率低下を引き
起こす。一方、10を超えると、アグリゲートを十分除
去できず、細胞分離フィルターでのブロッキングが発生
する。アグリゲート除去装置内の濾材がメッシュの場合
の孔径は、一般にオープニングと呼ばれる開口部の大き
さを示すものとする。また、アグリゲート除去装置にエ
ア流通用アダプターを具備したものが好ましいこれは、
濾過終了時に、アグリゲート除去装置内及びフィルター
内に残存する細胞浮遊液を、エア流通用アダプターを通
して流入して来たエアでフィルター内に送り込むことが
でき、細胞分離効率を高めるのに有効である。本発明で
言うエア流通用アダプターとは、一般に用いられている
混注用アダプター(ゴム栓)、クランプ付きの短いチュ
ーブの先端に除菌フィルターが接続されたもの等を言
い、通常は閉じていて、濾過終了時に、前者の場合は除
菌フィルターの付いた針等を刺すことにより、後者の場
合はクランプ等を開くことにより、エアをアグリゲート
除去装置内に流入させることができるアダプターであ
る。
【0008】本発明で言う細胞回収液とは、目的細胞の
損傷がなく、かつ高率に回収可能なものが好ましい。好
ましいものを例示すると、市販の生理食塩水、PBS
(リン酸緩衝液)やHBSS(ハンクス液)等の緩衝
液、RPMI1640等の細胞培養用培地、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアル
コール等の合成高分子溶液、メチルセルロース、ゼラチ
ン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン、キチン
誘導体、コラーゲン、フィブロネクチン、アルブミン、
グロブリン等の天然高分子溶液、グルコース、サッカロ
ース、マルトース、ソルビトール、グリセリン、ジメチ
ルスルホキシド等の有機物溶液及びこれらの混合物が挙
げられる。また、2価カチオンを除去して細胞剥離を容
易にする目的でキレート剤が含有されていてもよい。デ
キストランやヒドロキシエチルスターチ等の高分子溶液
は凍害保護剤としても機能するため、そのまま或いはジ
メチルスルホキソド等の凍害保護剤を更に添加すること
で凍結保存も可能である上、生理食塩水等に比し粘性を
上げることができ、回収時の剪断応力を向上できるた
め、我々の評価では好結果を得ており、回収液としてよ
り好ましい。本発明で行う回収方法としては、細胞分離
フィルターの細胞浮遊液出口側から細胞浮遊液入口側に
向かって回収液を送り出せばよい。即ち、回収液の入口
は、細胞浮遊液出口側であれば、細胞浮遊液の出口であ
っても、細胞浮遊液の出口とは異なる回収液入口でもよ
く、同様に回収液の出口は、細胞浮遊液の入口側であれ
ば、細胞浮遊液の入口でも、細胞浮遊液の入口とは異な
る回収液出口でもよい。また、回収液の流速は剪断応力
を高め、回収必要細胞を高率で回収するためにできるだ
け高速が好ましいが、内圧上昇による細胞分離フィルタ
ーとチューブ等の接続部のはずれや、回収必要細胞への
ダメージを起さない流速に制御することが好ましい。ま
た、回収液を細胞分離フィルターに導入する手段は、シ
リンジポンプ、ブラッドポンプ、ペリスタポンプ等の装
置を用いるものや、簡便法としてシリンジを手で押す方
法、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起す
る方法、落差処理等が挙げられる。更に、回収必要細胞
の回収率をより高めるために、フィルターに振動を加え
るとか、ストップドフロー等を行ってもよい。また、本
発明における細胞分離方法では、細胞浮遊液を細胞分離
フィルターで濾過した後に、生理食塩水やPBS(リン
酸緩衝液)等でフィルター内の除去対象細胞を洗い流し
てもよい。
【0009】回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞浮
遊液の例としては、骨髄、末梢血、臍帯血或いはこれら
を遠心分離等により粗分離したものが挙げられる。回収
必要細胞と除去対象細胞の組み合わせの例を幾つか示
す。回収必要細胞が白血球であり、除去対象細胞が赤血
球、血小板の場合、白血球はフィルターに捕捉され、フ
ィルター内に残存した赤血球、血小板をリンス液で洗い
流し、回収液にてフィルターに捕捉された白血球が回収
される。また、回収必要細胞がTリンパ球であり、除去
対象細胞が赤血球、血小板、顆粒球、単球、Bリンパ球
の場合、Tリンパ球はフィルターに捕捉され、フィルタ
ー内に残存した赤血球、血小板、顆粒球、単球、Bリン
パ球をリンス液で洗い流し、回収液にてフィルターに捕
捉されたTリンパ球が回収される。また、回収必要細胞
がCD34陽性細胞であり、除去対象細胞が赤血球、血
小板、CD34陰性細胞である場合、CD34陽性細胞
はフィルターに捕捉され、フィルター内に残存した赤血
球、血小板、CD34陰性細胞をリンス液で洗い流し、
回収液にてフィルターに捕捉されたCD34陽性細胞が
回収される。本発明の最も基本的なフィルターの態様を
図1及び図2に、システムの態様を図3に示す。1は細
胞浮遊液入口、2は細胞浮遊液出口、3は濾材である。
4は細胞浮遊液導入口、5はその導管、6はアグリゲー
ト除去装置、7は細胞回収口、8は細胞分離フィルタ
ー、9は回収液導入口、10はフィルターからの濾液を
排出する導管、11はその排出口である。本発明におけ
るシステムは、無菌的に操作するために閉鎖系になって
いることが好ましい。例えば、図3の細胞浮遊液導入口
4の上流側に細胞浮遊液を貯留する手段が接続され、細
胞回収口7に細胞回収液を貯留する手段が接続され、回
収液導入口9に回収液を貯留する手段が接続され、液体
排出口11の下流側にフィルターからの濾液を回収する
手段が接続される。また導管の途中に、細胞分離性能を
最大限に発揮できるように、ローラークランプ、オリフ
ィスチューブ等、細胞浮遊液の流速を制御する手段を具
備していてもよい。本発明による細胞分離フィルターで
細胞の高回収が達成できた原理として、本発明者らは以
下のように考察している。本発明社らはまず、濾材の持
つ細胞の捕捉能と剥離能は相反し、孔径に依存すること
を見出した。つまり、小孔径の場合は剥離能は低いが捕
捉能は高く、大孔径の場合は捕捉能は低いが剥離能は高
い。この知見を活かし、捕捉能に優れた平均孔径の小さ
な濾材を上流側に配置することにより、多くの細胞を上
流側に捕捉させ、回収時にフィルターから出るまでに濾
材との不必要な接触を極力減らすことで多くの細胞を回
収できることを見出した。一方、剥離能に優れた平均孔
径の大きな濾材を下流側に配置することにより、孔径に
方向性を持たない1種類の濾材を用いた場合、又は平均
孔径の大きな濾材を上流に配置する場合に比べ、著しく
濾材下流側に捕捉された細胞を回収できることを見出し
た。更に、細胞回収時、細胞回収液がフィルター内に流
入する際、まず大孔径の濾材と接触することにより、細
胞回収液が濾材の水平方向に広がり易くなる。その結
果、均一な流れが得られ、濾材に捕捉された細胞を効率
よく回収できるとも考えられる。これらにより、本発明
の細胞分離フィルターは極めて高率の細胞回収率が達成
できたと考えている。
【0010】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をより
詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるも
のではない。
【実施例1】ヒト臍帯全血から白血球を分離する場合の
細胞分離フィルター及び細胞分離方法を例示する。 細胞分離フィルター 図1、図2に示す形状のフィルターを用いて細胞分離操
作を行った。上容器と下容器から成り、組み立てた後の
内寸が縦30mm、横30mm、高さ12mm(有効濾
過断面積9cm2、内容積11cm3)で細胞浮遊液入口
1と細胞浮遊液出口2を最長対角線上に持つポリカーボ
ネート製容器の細胞浮遊液入口側から、平均繊維径2.
3μm、目付60g/m2、平均孔径16μmのポリエ
ステル不織布18枚、平均繊維径12μm、目付100
g/m2、平均孔径40μmのポリエステル不織布16
枚を、この順で上容器と下容器の周辺で挟み込むように
充填して容器入口側空間と出口側空間に分離した。尚、
本細胞分離フィルター内での不織布の充填密度は、第一
層目が0.20g/cm3、第二層目が0.29g/c
3であった。また、該細胞分離フィルターに血小板通
過性を付与する目的で、親水性ポリマーのコーティング
を行った。即ち、ヒドロキシエチルメタクリレート・ジ
メチルアミノエチルメタクリレート共重合体(モル比で
97:3)の1%エタノール溶液を該細胞分離フィルタ
ーの液体流入口から通液し、窒素ガスで余分なポリマー
溶液をパージした後、60℃で8時間以上真空乾燥機で
乾燥させた。 血液回路 図3のシステムを用いて細胞分離操作を行った。尚、ア
グリゲート除去装置6の濾材は、330メッシュ、40
μmのオープニングの規格を持つメッシュを使用した。
また、この場合のアグリゲート除去孔径比は2.5であ
った。 使用方法 細胞浮遊液導入口4からCPD加ヒト臍帯全血50cm
3を、落差によりフィルター8に通液(流速約5cm3
分)して白血球を捕捉し、濾液は濾液排出口11から排
出した。続いて、細胞浮遊液導入口4から生理食塩水1
0mLを流し、フィルター8に残存する赤血球、血小板
を洗い流し、濾液排出口11から排出した。最後に、市
販の10%デキストラン生理食塩水溶液(ミドリ十字
「デキストラン40注」)にヒト血清アルブミンを3%
になるように添加した液体が60mL入ったシリンジを
回収液導入口9に接続し、シリンジを強く押してフィル
ター8に通液し、細胞回収口7から回収した。 結果 白血球回収率は90%、赤血球除去率は92%、血小板
除去率は86%であった。また、濾過時間は5分であっ
た。この場合の白血球回収率、赤血球除去率、血小板除
去率は以下の式より算出した。 白血球回収率(%)=100×(回収細胞液中白血球数
/元白血球数) 赤血球除去率(%)=100−100×(回収細胞液中
赤血球数/元赤血球数) 血小板除去率(%)=100−100×(回収細胞液中
血小板数/元血小板数) 白血球数は、濾過前血液(回収細胞液):チュルク液
(武藤化学薬品)=1:9で混和して核染色後、チュル
ク計算盤を用いて光学顕微鏡(オリンパス社製BH−
2)で検鏡してカウントした。赤血球、血小板は、自動
血球計数装置(東亜医用電子社製Sysmex K−4
500)でカウントした。
【0011】
【比較例1】ヒト臍帯全血から白血球を分離する際、細
胞分離フィルター内の濾材の平均孔径が細胞浮遊液の入
口側から出口側に向かって小さくなる場合を例示する。 細胞分離フィルター 細胞浮遊液入口側から、平均繊維径12μm、目付10
0g/m2、平均孔径40μmのポリエステル不織布1
6枚、平均繊維径2.3μm、目付60g/m2、平均
孔径16μmのポリエステル不織布18枚を、この順で
使用した以外は実施例1と同様の細胞分離フィルターを
作製した。本細胞分離フィルター内での不織布の充填密
度は、第一層目が0.20g/cm3、第二層目が0.
29g/cm3であった。 血液回路 アグリゲート除去装置内のメッシュの規格が200メッ
シュ、100μmのオープニングである以外は実施例1
と同じ。この場合のアグリゲート除去孔径比は2.5で
あった。 使用方法 実施例1と同じ。 結果 白血球回収率は50%、赤血球除去率は93%、血小板
除去率は87%であった。尚、濾過時間は5分であっ
た。
【0012】
【実施例2】ヒト臍帯全血から白血球を分離する際、ア
グリゲート除去装置を使用しない場合を例示する。 細胞分離フィルター 実施例1と同じ。 血液回路 図3のアグリゲート除去装置6がない以外は、実施例1
と同じ。 使用方法 実施例1と同じ。 結果 白血球回収率は75%、赤血球除去率は80%、血小板
除去率は75%であった。尚、濾過開始直後から流速低
下が見られ、濾過時間は20分であった。
【0013】
【実施例3】ヒト臍帯全血から白血球を分離する際、細
胞分離フィルターの細胞浮遊液の入口に最も近い濾材の
平均孔径が25μmを越える場合を例示する。 細胞分離フィルター 細胞浮遊液入口側から、平均繊維径12μm、目付10
0g/m2、平均孔径40μmのポリエステル不織布1
8枚、平均繊維径25μm、目付100g/m2、平均
孔径60μmのポリエステル不織布16枚を使用した以
外は実施例1と同じ。本細胞分離フィルター内での不織
布の充填密度は、第一層目が0.29g/cm3、第二
層目が0.29g/cm3であった。 血液回路 アグリゲート除去装置内のメッシュの規格が200メッ
シュ、100μmのオープニングである以外は実施例1
と同じ。この場合のアグリゲート除去孔径比は2.5で
あった。 使用方法 実施例1と同じ。 結果 白血球回収率は70%、赤血球除去率は96%、血小板
除去率は92%であった。尚、濾過時間は3分であっ
た。
【0014】
【実施例4】ヒト臍帯全血から白血球を分離する際、ア
グリゲート除去孔径比が10を越える場合を例示する。 細胞分離フィルター 実施例1と同じ。 血液回路 アグリゲート除去装置内のメッシュの規格が100メッ
シュ、183μmのオープニングである以外は実施例1
と同じ。尚、アグリゲート除去孔径比は11.4であっ
た。 使用方法 実施例1と同じ。 結果 白血球回収率は80%、赤血球除去率は85%、血小板
除去率は80%であった。尚、濾過開始直後から流速低
下が見られ、濾過時間は10分であった。表1に各実施
例、比較例の仕様、表2に性能結果のまとめを示す。
【0015】
【発明の効果】本発明に記載された細胞分離フィルタ
ー、細胞分離システム及び細胞分離方法により、目詰ま
りや流速低下がなく、短時間で回収必要細胞を飛躍的に
高率に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明フィルターの基本形状を示す正面模式図
である。
【図2】本発明フィルターの基本形状を示す側面模式図
である。
【図3】本発明システムの基本構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 細胞浮遊液入口 2 細胞浮遊液出口 3 濾材 4 細胞浮遊液導入口 5 導管 6 アグリゲート除去装置 7 細胞回収口 8 細胞分離フィルター 9 回収液導入口 10 導管 11 濾液排出口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも細胞浮遊液の入口と出口を有
    するハウジング内に、細胞浮遊液の入口側から出口側に
    向かって平均孔径が連続的又は段階的に増加する濾材が
    充填されていることを特徴とする細胞分離フィルター。
  2. 【請求項2】 細胞浮遊液の入口に最も近い濾材の平均
    孔径が10〜25μmである、請求項1記載の細胞分離
    フィルター。
  3. 【請求項3】 少なくとも細胞浮遊液の入口と出口を有
    するハウジング内に、細胞浮遊液の入口側から出口側に
    向かって平均孔径が連続的又は段階的に増加する濾材が
    充填されている細胞分離フィルターの細胞浮遊液入口に
    アグリゲート除去装置を導管で連結したことを特徴とす
    る細胞分離システム。
  4. 【請求項4】 アグリゲート除去孔径比が、1.5〜1
    0である、請求項3記載の細胞分離システム。
  5. 【請求項5】 細胞浮遊液の入口と出口を有するハウジ
    ング内に、細胞浮遊液の入口側から出口側に向かって平
    均孔径が連続的又は段階的に増加する濾材が充填されて
    いる細胞分離フィルターに、細胞浮遊液を細胞浮遊液の
    入口から出口に向かって通液して細胞浮遊液中の回収必
    要細胞を濾材に捕捉させた後、細胞浮遊液の出口側から
    入口側に向かって、細胞回収液を通液することにより濾
    材に捕捉された回収必要細胞を回収する細胞分離方法。
JP10108460A 1998-04-06 1998-04-06 細胞回収に適した細胞分離フィルター、細胞分離システム及び細胞分離方法 Withdrawn JPH11290060A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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