JP3635654B2 - 血液成分採取器具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液成分を含有する血液母液から白血球を採取するための血液成分採取器具に関し、特に臍帯血、骨髄および末梢血等から造血幹細胞および/または造血前駆細胞由来の白血球を採取するための血液成分採取器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、頻回輸血患者の治療において、白血球による同種免疫反応に起因する副作用である発熱、悪寒、掻瘍等の非溶血性発熱反応を予防するために、白血球を除去した血液製剤が輸血に使用されてきた。かかる白血球を除去した血液製剤は、血液成分の比重差を利用した遠心分離、あるいは白血球除去フィルターを使用して製造されてきた。このうち、白血球除去フィルターを使用する方法は、操作も簡単で高い白血球除去率の血液製剤が得られるので広く使用されている。そして、フィルターに吸着された白血球はフィルターと共に廃棄されてきた。
【0003】
一方、白血病、癌等に化学療法を行ったときに起こる造血障害に対して、骨髄移植療法や末梢血幹細胞移植療法が施されており、骨髄や末梢血中に含有されている造血幹細胞、造血前駆細胞を患者に移植することにより造血障害を克服してきた。近年、臍帯血中にも造血幹細胞および造血前駆細胞が含有されていることが分かり、臍帯血幹細胞移植療法の開発も期待されている。これらの血液成分を含有する血液母液から、造血障害を起こしている患者に移植する造血幹細胞、造血前駆細胞を得るには、凍結保存しておいた細胞を解凍して製造している(WO96/17514号公報)。この凍結保存した血液中に赤血球が混入していると、解凍時に赤血球が溶血を起こし、副作用の原因になるので、凍結する血液から予め赤血球を除去しておくことが必要である。また、従来、血液中から血小板の除去は問題にされなかったが、近年同種移植における合併症の原因となる細胞の除去、自家移植における癌細胞の除去において、血小板がこれらの細胞を凝集、付着して細胞分離効率を低下させるので、血液中から血小板も除去しておくことが好ましい。
【0004】
従来、全血から白血球を得る方法としては、繊維状物質からなる白血球分離フィルターに、血漿を接触させ、これに血球浮遊液を通して白血球とこれ以外の血液成分を分離し、その後、白血球分離フィルター内に捕捉されている白血球を回収する方法が知られている(特公昭58-54131号公報)。また、骨髄、末梢血の血液母液から赤血球、血小板を除去した造血幹細胞および造血前駆細胞由来の白血球を採取する方法として、赤血球と造血幹細胞および造血前駆細胞を含む細胞集団を、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターに通液した後、その通液方向とは逆方向の液流を惹起させ、捕捉された白血球を回収する方法が特開平8-104643号公報に紹介されている。また、特開平9-121849号公報には、赤血球、造血幹細胞、単球、顆粒球を含む細胞集団を、赤血球を通過し白血球を捕捉する第1の捕捉手段に通液させた後、回収液を用いて捕捉された白血球を回収し、該回収白血球を、単球および顆粒球を捕捉し、造血幹細胞を通過する第2の捕捉手段に通液させ、該捕捉手段から流出した造血幹細胞を得る方法が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、これらのフィルターに捕捉された白血球の回収方法のうち、第1の通液方向と同方向に回収液を流す方法は、繊維間に捕捉されている白血球を洗い流すためには回収液の液圧を高くしなければならず、十分な回収率で白血球を回収することは困難であった。また、第1の通液方向と逆方向の液流を惹起させ、捕捉された白血球を回収する方法は、前述の第1の通液方向と同方向の液流を流す方法と比較すると、繊維間隙が乱れて白血球の回収率は上がっているが、それでも捕捉された白血球を十分に回収することはできなかった。
本発明の目的は、フィルターに捕捉された白血球を高収率で回収する器具を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを充填した濾過部および該フィルターを押圧する押圧部材を収容したハウジングであって、該ハウジング側壁に該濾過部に連通する血液流入口および血液流出口を供え、さらに、該ハウジング上壁に前記押圧部材を上下に移動しうる手段が設けられた血液成分採取器具である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいう赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターとは、繊維性または多孔性集合体、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維、セルロース、アセテート等の再生繊維、ガラス等の無機繊維、綿等の天然繊維、発泡成形物、焼結体等の多孔性物質、ハイドロキシアパタイトビーズ等の球状物質等の集合体である。
赤血球とともに血小板もフィルターを透過させる場合には、前記集合体を構成する物質の表面に、特公平6-51060号公報に記載のようにヒドロキシエチルメタクリレートのような非イオン性親水基を有する重合性化合物とジエチルアミノエチルメタクリレートのような塩基性含窒素官能基を含有している重合性化合物とのコポリマーをコーチングしたり、特開平1-249063号公報に記載のようにヒドロキシル基を有する重合性化合物とメタクリル酸基を有する重合性化合物とを共重合あるいはグラフト重合した変性ポリマーの繊維を形成したりして得られる。
【0008】
フィルターが繊維集合体からなる場合には、繊維直径25ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下、更に好ましくは0.5〜3ミクロンの繊維からなる。繊維直径が25ミクロンを超えると、フィルターに捕捉される白血球の収率が低くなる傾向にある。また、繊維集合体の嵩密度は0.05〜0.50g/cm3、好ましくは0.08〜0.30g/cm3 、更に好ましくは0.10〜0.20g/cm3である。嵩密度が0.05g/cm3 未満であると、フィルターに捕捉される白血球の収率が低くなる傾向があり、嵩密度が0.50g/cm3を超えると、フィルターを通過する血液の流速が遅くなる傾向がある。
繊維集合体としては、1層は、例えば繊維直径が25ミクロン以下である繊維から形成された不織布を2枚以上、積層したものであってもよい。
【0009】
また、フィルターが多層の繊維集合体からなる場合には、少なくとも1層は繊維直径が25ミクロン以下の繊維から形成され、嵩密度が0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体である。多層構造は2層〜6層であり、血液流入口に近い層には繊維直径および嵩密度が大きい繊維集合体、血液流出口に近い層には繊維直径および嵩密度が小さい繊維集合体が配置されることが、球径の大きい白血球から順番に捕捉されることから好ましい。例えば、フィルターが第1層が繊維直径10ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.23g/cm3の繊維集合体、第2層が繊維直径3.5 ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.11g/cm3の繊維集合体、第3層が繊維直径1.5 ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.12g/cm3の繊維集合体からなる多層の繊維集合体の場合、第1層には血液中の大きい直径の物質、第2層には単球、顆粒球、第3層にはリンパ球が捕捉される。
多層の繊維集合体としては、例えば、第1層が繊維直径10ミクロンの繊維からなる不織布12枚、第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維からなる不織布3枚、第3層が繊維直径1.8ミクロンの繊維からなる不織布2枚からなる嵩密度が0.11g/cm3である繊維集合体、または第1層が繊維直径10ミクロンの繊維からなる不織布2枚および第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維からなる不織布14枚からなる嵩密度が0.13g/cm3である繊維集合体などが挙げられる。
フィルター材料が多孔性物質からなる場合には、その孔径は1〜500ミクロンであるものが好ましい。
【0010】
本発明でいう血液母液とは、人血、動物血、骨髄、抹消血、臍帯血等をいい、血液成分とは、単球、顆粒球、リンパ球、造血幹細胞、造血前駆細胞由来の白血球、赤血球、血小板等をいう。洗浄液としては、生理食塩水、ハンクス液(HBSS)、ダルベッコリン(DーPBS)等の緩衡液、それらの緩衡液にフィト血清アルブミン等の蛋白あるいは抗凝固剤を添加したものが挙げられる。
本発明は、これらの血液成分を含有する血液母液を、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを充填したハウジング内部の濾過部に通液した後、該濾過部の内容積を更に大きくし、その後洗浄液を通液して白血球を採取する血液成分採取器具である。
フィルターは、硬性のハウジング内部の濾過部に直接充填されてもよいし、血液流入チューブと血液流出チューブとを有する可撓性樹脂からなるバッグに充填され、該バッグは硬性のハウジング内部の濾過部に収容された構成でもよい。可撓性樹脂からなるバッグにはフィルターが圧縮されて充填されており、濾過部の内容積が拡大することによって、バッグの内容積も拡大する。
【0011】
ハウジング材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、ステンレス、アルミニウム等の金属が挙げられる。また、バッグは2枚の可撓性樹脂からなるシートの縁部が溶着され、その縁部端部に血液流入口、血液流出口の硬性のポートが取付けられてなる。バッグを構成する可撓性樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0012】
本発明は、血液母液がフィルター内部を通液した後に、ハウジング内部の濾過部の内容積を更に大きくして洗浄液を通液し、フィルターに捕捉されている白血球を採取することを特徴とする。ハウジング内部の濾過部が拡大する大きさは、血液母液がフィルター内部を通液した後の濾過部の内容積が、血液母液がフィルター内部を通液する前の濾過部の内容積に対して少なくとも1.10倍、好ましくは1.20〜1.80倍、更に好ましくは1.30〜1.60倍である。濾過部を拡大する倍率が1.10倍未満であると、フィルターに捕捉されている白血球を充分に回収することができない傾向があり、倍率が大きすぎるとハウジングが大きくなる傾向がある。
【0013】
本発明の血液成分採取器具は、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを充填した濾過部と、該フィルターを押圧する押圧部材とが収容されたハウジングであって、該ハウジング側壁には前記濾過部に通じる血液流入口と血液流出口とが設けられ、さらにハウジング上壁には前記押圧部材を上下に移動しうる手段が設けられている。該移動手段により前記押圧部材を下方に移動させて、血液成分を含有する血液母液を濾過部に通液した後に、前記押圧部材を上方に移動させて、前記濾過部の容積を大きくし、その後、洗浄液を通液して白血球を採取する。
【0014】
本発明血液成分採取器具の一実施例を図1の血液成分採取器具を用いて説明する。
図1は上蓋部(14)と下蓋部(15)とが完全に螺合してハウジング(4)を形成し、フィルター(2)が血液母液を通液する前段階まで押圧された状態の血液成分採取器具の概略図であり、下蓋部(15)にはフィルター(2)が収容された濾過部(3)と、その側壁に血液流入口(10)と血液流出口(11)とが設けられ、更にフィルター(2)の上部には押圧部材(1)が載置されている。押圧部材(1)は上方に縦方向に延びた棒状部材(5)を有してなり、棒状部材(5)の先端は棒状部材(5)より直径の大きい頭部(7)を有し、頭部(7)の周壁には雄ネジが形成されている。上蓋部(14)は、ハウジング(4)の上壁に凹部(6)が形成され、その底部は棒状部材(5)が上下に移動しうる孔(19)が形成されている。
【0015】
この血液成分採取器具において、押圧部材(1)を上下に移動させるには、凹部(6)に挿入しうる外径を有する円筒体であって、円筒体内壁に頭部(7)の雄ネジと螺合しうる雌ネジ(9)が形成された把手部(27)を有するナット部(8)を使用して行う。押圧部材(1)は円板形状をしており、その周縁にはOーリング(18)が設けられ、下蓋部(15)の内壁を液密に摺動する。上蓋部(14)開口内壁に雌ネジ(17)、下蓋部開口外壁に雄ネジ(16)が形成され、雌ネジ(17)と雄ネジ(16)とが螺合してハウジング(4)を形成する。図1ではハウジング(4)は螺合して形成されているが、嵌合で接着して形成されてもよい。また、図1では、棒状部材(5)は上端に頭部(7)を有し、頭部(7)の周壁に雄ネジが形成された構造をしているが、雄ネジは棒状部材(5)の周壁に形成されていてもよい。なお、図1においてナット部(8)の雌ネジ(9)と、棒状部材(5)の頭部(7)の雄ネジとの螺合が固定時に緩まないようにナット部(8)に係止部を設けてもよい。
【0016】
図1の血液成分採取器具を使用して、血液母液から白血球を採取するには、ナット部(8)を凹部(6)に挿入し、ナット部(8)の雌ネジ(9)を棒状部材(5)の頭部(7)の雄ネジに螺合させて、ナット部(8)を回転させることによって、棒状部材(5)が下方に移動し、押圧部材(1)がフィルター(2)を押圧する。濾過部(3)を所定容積にした後、血液母液を血液流入チューブ(12)から血液流入口(10)を経てフィルター(2)に通液して、フィルター(2)内で白血球を捕捉する。その後、ナット部(8)を逆回転させ、棒状部材(5)を上方に移動させて、濾過部(3)の容積を拡大した後、洗浄液をフィルター(2)に通液して、フィルター(2)に捕捉されている白血球を、洗浄液とともに血液流出口(10)を経て血液流出チューブ(13)から外部へ流出して採取する。
【0017】
図2は本発明血液成分採取器具の他の実施例を示す概略図であって、フィルター(32)が血液母液を通液する前段階まで押圧された状態の血液成分採取器具の状態を示す。フィルター(32)は可撓性樹脂からなるバッグ(31)に収容され、バッグ(31)は血液流入チューブ(42)と血液流出チューブ(43)とを連結している。血液流入チューブ(42)および血液流出チューブ(43)はハウジング(30)の側壁に形成された血液流入口(44)および血液流出口(45)から外部と連結している。フィルター(32)の上方には押圧部材(33)が載置されている。押圧部材(33)の上方は係止部(35)を収容し、上部に棒状部材(36)が貫通する第1孔(41)が形成された室(34)が設けられている。係止部(35)は棒状部材(36)の底部に形成され、棒状部材(36)より大きい直径を有し、室(34)内で自由に回転しうるようになっている。棒状部材(36)の周縁には雄ネジ(39)が形成されており、ハウジング(30)の上壁に形成された第2孔(40)の雌ネジと螺合して、棒状部材(36)を上下に移動させる。棒状部材(36)の上端には、棒状部材(36)より大きい直径を有する頭部(37)が設けられ、棒状部材(36)を回転させる把手部(38)と連結している。なお、図2において、押圧部材(33)の周縁は、フィルター(32)が袋(31)内に収容されているので、図1の押圧部材(1)のようにOーリング(18)は必ずしも必要でない。
【0018】
図2の血液成分採取器具を使用して血液母液から白血球を採取するには、把手部(38)を回転させることによって、棒状部材(36)が下方に移動し、押圧部材(33)がフィルター(32)を押圧する。袋(31)を所定容積にした後、血液母液を血液流入チューブ(42)から袋(31)に通液して、フィルター(32)内に白血球を捕捉する。その後、把手部(38)を逆回転させて棒状部材(39)を上方に移動させ、袋(31)の容積を拡大した後、洗浄液を袋(31)に通液して、フィルター(32)に捕捉されている白血球を洗浄液とともに血液流出口(45)を経て、血液流出チューブ(43)から外部へ流出して採取する。
【0019】
図3は図1の血液成分採取器具を使用して血液成分を採取する方法の説明図である。
全血を収納した血液バッグ(21)から、全血が三方活栓(25)を経由して血液流入チューブ(12)を通って、図1の所定容積まで押圧された状態であるフィルター(2)を収容する濾過部(3)に流入する。フィルター(2)内部で白血球は、例えば繊維間隙に捕捉されるが、赤血球は繊維集合体を通過して、血液流出口(11)から血液流出チューブ(13)、三方活栓(26)を経由して血液子バッグ(23)に収容される。血液子バッグ(23)には、フィルター材料によって赤血球の他に血小板をも収容することができる。
【0020】
次いで、図1の把手部(27)を逆回転させて棒状部材(5)を上方に移動させ、濾過部(3)の容積を拡大する。その後、洗浄液バッグ(22)から洗浄液が三方活栓(25)を通って血液成分採取器具(20)に流入する。このとき、洗浄液が三方活栓(26)で白血球収容バッグ(24)への流れるのを一旦閉止して、洗浄液をフィルター(2)内部に充満させ、繊維間隙を広げてから、三方活栓(26)を白血球収容バッグ(24)へ流れる方向に開くのが好ましい。血液成分採取器具(20)のフィルター(2)内部で繊維間隙に捕捉された白血球は、繊維間隙が大きくなったことと洗浄液の流圧とによって、洗浄液とともに洗浄され三方活栓(26)を通って、白血球収容バッグ(24)に収容される。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明の一例を具体的に説明する。
実施例1
図1の血液成分採取器具において、フィルター(2)は、ポリエチレンテレフタレート繊維から形成された円板状の三層の不織布(直径4.86cm)からなっている。フィルター(2)が所定容積まで押圧部材(1)に押圧されたときの三層の不織布の構成は、上層の第1層が繊維直径10ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.23g/cm3の不織布、中間層の第2層が繊維直径3.5 ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.11g/cm3の不織布、下層の第3層が繊維直径1.5 ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.12g/cm3の不織布からなる。その体積比は30:22:48であり、全体の厚さは 8.1mmであった。
抗凝血剤としてACD液を含有した牛血 100mlを5ml/分の流速で流して、フィルター(2)内部に白血球を捕捉し、赤血球はフィルター(2)を通過して血液子バッグ(23)に収容された。血液子バッグ(23)に回収された赤血球の回収率は95%、血小板の回収率は19%であった。次いで、三方活栓(26)を閉じてから、図1の把手部(27)を逆回転させて押圧部材(1)を上方に移動させた。その後、生理食塩水をフィルター(2)内に充満させて、繊維間隙を広げてから、生理食塩水150mlを5ml/分の流速で濾過部(3)に流し、白血球収容バッグ(24)に収容した。押圧部材(1)を上方に移動させたことによるフィルター(2)を充填した濾過部(3)の容積の拡大率と、白血球収容バッグ(24)に収容された白血球の回収率を表1に示す。
【0022】
容積の拡大率は、全血をフィルター(2)内に通液する前のフィルター(2)の厚さ(下蓋部の底部から押圧部材までの距離)に対する、螺合を緩めて、押圧部材を上方に移動させたときの下蓋部の底部から押圧部材までの距離の比である。また、白血球の回収率は、血液バッグ(21)内に収容されていた血液中の白血球数に対する白血球収容バッグ(24)に収容された生理食塩水中の白血球数の比である。
【0023】
【表1】
Figure 0003635654
【0024】
表1から明らかなように、容積の拡大率が大きくなるにつれて白血球の回収率は高くなっている。
【0025】
実施例2
繊維直径10ミクロンの繊維から形成された不織布と繊維直径1.5 ミクロンの繊維から形成された不織布とを、2ーヒドロキシエチルメタクリレートとジエチルアミノエチルメタクリレートの共重合体の0.25%エタノール溶液に浸漬した後、第1層を繊維直径10ミクロンの不織布、第2層を繊維直径1.5ミクロンの不織布としたフィルターを得た。そして、第1層を上層、第2層を下層にして(体積比60:40)、円板状のフィルター(直径3.82cm、厚さ8.6mm)を形成し、これを図2の血液成分採取器具の低密度ポリエチレン製の袋(31)に収容した。
図2の血液成分採取器具の把手部(38)を回転させて、棒状部材(36)を下方に移動させてフィルター(32)を押圧した。袋(31)が所定容積まで押圧部材(33)により押圧されたときの2層の不織布の構成は、第1層が繊維直径10ミクロン、嵩密度が0.23g/cm3の不織布、第2層が繊維直径1.5 ミクロン、嵩密度が0.12g/cm3の不織布である。
【0026】
抗凝血剤としてヘパリン液を含有した臍帯血50mlを5ml/分の流速で流して、フィルター内部に白血球を捕捉し、赤血球および血小板はフィルター(32)を通過して血液子バッグ(23)に収容された。血液子バッグ(23)に回収された赤血球の回収率は89%、血小板の回収率は72%であった。次いで、三方活栓(26)を閉じてから図2の把手部(38)を逆回転させて、押圧部材(33)を上方に移動させた。その後、生理食塩水を袋(31)内に充満させて、繊維間隙を広げてから、生理食塩水120mlを5ml/分の流速でフィルター(32)を収容した袋(31)内に流し、血液流出チューブ(43)から白血球収容バッグ(24)に収容した。押圧部材(33)を上方に移動させたことによる袋(31)の容積の拡大率と、白血球収容バッグ(24)に収容された白血球の回収率を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003635654
【0028】
表2から明らかなように、容積の拡大率が大きくなるにつれて白血球の回収率は高くなっている。
【0029】
実施例3
図1に示される血液成分採取器具において、ポリエチレンテレフタレート繊維の円板状2層構造の繊維性集合体(直径5.6cm)からなるフィルターを使用した。2層は繊維径10μmの繊維から形成された厚さ0.82mmの不織布2枚(上層)および繊維径3.5μmの繊維から形成された厚さ0.38mmの不織布30枚(下層)からなる。該フィルターは押圧部材で押圧した際、嵩密度が0.19g/cm3であった。
抗凝血剤としてACD液を含有した牛血 120mlを5ml/分の流速で上記フィルターに流して、フィルター内部に白血球を捕捉し、赤血球を通過させた。その後、生理食塩水40mlをフィルターに通液して、フィルターに残存する赤血球および血小板を流出した。次いで、該フィルターの内容積を嵩密度0.11g/cm3に拡大した後、牛血清アルブミンを含む生理食塩水80mlを流し、フィルターに白血球を採取した。比較のために、フィルターの内容積を変更せずに、上記生理食塩水を上記方法と同様にして、該フィルターに流して、白血球を採取した。白血球の収量を表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003635654
【0031】
表3から明らかなように、回収時のフィルターの嵩密度を下げることにより、白血球の回収率が向上した。
【0032】
実施例4
牛血量を除いて実施例3と同様にして、フィルターにACD液を含有した牛血50mlを通液して白血球を回収した。白血球の回収率を表4に示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003635654
【0034】
表4から明らかなように、回収時のフィルターの嵩密度を下げることにより、白血球の回収率が向上した。
【0035】
【発明の効果】
本発明血液成分採取器具は、簡単でコンパクトな器具であり、フィルターに捕捉されていた白血球を高収率で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す血液成分採取器具の概略図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す血液成分採取器具の概略図である。
【図3】本発明器具を使用して白血球を採取する説明図である。
【符号の説明】
1、33 押圧部材
2、32 フィルター
3 濾過部
4、30 ハウジング
5、36 棒状部材
6 凹部
7 頭部
8 ナット部
12、42 血液流入チューブ
13、43 血液流出チューブ
20 血液成分採取器具
21 血液バッグ
22 洗浄液バッグ
23 血液子バッグ
24 白血球収容バッグ
27、38 把手部
31 袋

Claims (7)

  1. 赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを収容した可撓性樹脂からなるバッグおよび該フィルターを押圧する押圧部材を収容したハウジングであって、該ハウジング側壁に該バッグに連する血液流入チューブおよび血液流出チューブを供え、さらに、該ハウジング上壁に前記押圧部材を上下に移動しうる手段が設けられた血液成分採取器具。
  2. 押圧部材は、血液成分を含有する血液母液が該バッグを通過する間に下方へ移動し、次いで、該押圧部材は、該バッグの容積を拡大させるために上方へ移動し、次いで、洗浄液を通過させて、白血球を回収する請求項1記載の血液成分採取器具。
  3. 押圧部材を上下に移動しうる手段が、押圧部材の上方に縦方向に延びた周壁に雄ネジが形成された棒状部材からなるボルト部と、ハウジング上壁に形成された凹部の底部に前記棒状部材が上下に移動しうる孔が形成され、該凹部に挿入しうる外径を有する円筒体とであって、該円筒体内壁は前記ボルト部の雄ネジと螺合しうる雌ネジが形成されたナット部からなる請求項1または2記載の血液成分採取器具。
  4. 押圧部材を上下に移動しうる手段が、押圧部材の上方に縦方向に延び底部が係止部からなる周壁に雄ネジが形成された棒状部材と、該係止部を収容し上部に前記棒状部材が貫通する第1孔が形成された室が設けられた押圧部材と、ハウジング上壁には第2孔が形成され該第2孔の内壁は前記棒状部材の雄ネジと螺合しうる雌ネジが形成されてなる請求項1または2記載の血液成分採取器具。
  5. 押圧部材が円盤形状であり、その周壁にハウジング内壁を液密に摺動しうるO−リングが設けられてなる請求項1〜のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  6. フィルターが繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cmの繊維集合体を含有してなる請求項1〜のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  7. フィルターが多層の繊維集合体からなり、少なくとも1層が繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cmの繊維集合体である請求項1〜のいずれかに記載の血液成分採取器具。
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