JP3758012B2 - 血液成分採取方法およびその採取器具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液成分を含有する血液母液から白血球を採取するための血液成分採取方法および血液成分採取器具に関し、特に臍帯血、骨髄および末梢血等から造血幹細胞および/または造血前駆細胞由来の白血球を採取するための血液成分採取方法および血液成分採取器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、頻回輸血患者の治療において、白血球による同種免疫反応に起因する副作用である発熱、悪寒、掻瘍等の非溶血性発熱反応を予防するために、白血球を除去した血液製剤が輸血に使用されてきた。かかる白血球を除去した血液製剤は、血液成分の比重差を利用した遠心分離、あるいは白血球除去フィルターを使用して製造されてきた。このうち、白血球除去フィルターを使用する方法は、操作も簡単で高い白血球除去率の血液製剤が得られるので広く使用されている。そして、フィルターに吸着された白血球はフィルターと共に廃棄されてきた。
【0003】
一方、白血病、癌等に化学療法を行ったときに起こる造血障害に対して、骨髄移植療法や末梢血幹細胞移植療法が施されており、骨髄や末梢血中に含有されている造血幹細胞、造血前駆細胞を患者に移植することにより造血障害を克服してきた。近年、臍帯血中にも造血幹細胞および造血前駆細胞が含有されていることが分かり、臍帯血幹細胞移植療法の開発も期待されている。これらの血液成分を含有する血液母液から、造血障害を起こしている患者に移植する造血幹細胞、造血前駆細胞を得るには、凍結保存しておいた細胞を解凍して製造している(WO96/17514号公報)。この凍結保存した血液中に赤血球が混入していると、解凍時に赤血球が溶血を起こし、副作用の原因になるので、凍結する血液から予め赤血球を除去しておくことが必要である。また、従来、血液中から血小板の除去は問題にされなかったが、近年同種移植における合併症の原因となる細胞の除去、自家移植における癌細胞の除去において、血小板がこれらの細胞を凝集、付着して細胞分離効率を低下させるので、血液中から血小板も除去しておくことが好ましい。
【0004】
従来、全血から白血球を得る方法としては、繊維状物質からなる白血球分離フイルタ−に、血漿を接触させ、これに血球浮遊液を通して白血球とこれ以外の血液成分を分離し、その後、白血球分離フイルタ−内に捕捉されている白血球を回収する方法が知られている(特公昭58-54131号公報)。また、骨髄、末梢血の血液母液から、赤血球、血小板を除去した造血幹細胞および造血前駆細胞由来の白血球を採取する方法として、赤血球と造血幹細胞および造血前駆細胞を含む細胞集団を、赤血球を透過し白血球は捕捉するフイルタ−に通液した後、その通液方向とは逆方向の液流を惹起させ、捕捉された白血球を回収する方法が特開平8-104643号公報に紹介れている。また、特開平9-121849号公報には、赤血球、造血幹細胞、単球、顆粒球を含む細胞集団を、赤血球は通過し白血球は捕捉する第1の捕捉手段に通液させた後、捕捉された白血球を回収液を用いて回収し、該回収白血球を、単球および顆粒球を捕捉し造血幹細胞は通過する第2の捕捉手段に通液させ、該捕捉手段から流出した造血幹細胞を得る方法が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、これらのフィルターに捕捉された白血球の回収方法のうち、第1の通液方向と同方向に回収液を流す方法は、繊維間に捕捉されている白血球を洗い流すためには、回収液の液圧を高くしなければならず、十分な回収率で白血球を回収することは困難であった。また、第1の通液方向と逆方向の液流を惹起させ捕捉された白血球を回収する方法は、前述の第1の通液方向と同方向の液流を流す方法と比較すると、繊維間隙が乱れて白血球の回収率は上がっているが、それでも捕捉された白血球を十分に回収することはできなかった。
本発明の目的は、フィルターに捕捉された白血球を高収率で回収する方法と装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は血液成分を含有する血液母液を、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを充填した濾過部に通液した後、該濾過部の内容積を更に大きくし、その後、洗浄液を通液して白血球を採取することを特徴とする血液成分採取方法である。
また、本発明は赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルター(b)を充填した濾過部材(a)および該フィルターを押圧する押圧部材(c)を収容したハウジング、および該ハウジングの側壁に該濾過部材に連通する血液流入口(d)および血液流出口(e)を供え、さらに、該押圧部材を上下に移動させる手段(f)を有する血液成分採取装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいう赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターとは、維性または多孔性集合体、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維、セルロース、アセテート等の再生繊維、ガラス等の無機繊維、綿等の天然繊維、発泡成形物、焼結体等の多孔性物質、ハイドロキシアパタイトビーズ等の球状物質等の集合体である。
赤血球とともに血小板もフィルターを透過させる場合には、前記集合体を構成する物質の表面に、特公平6-51060号公報に記載のようにヒドロキシエチルメタクリレートのような非イオン性親水基を有する重合性化合物とジエチルアミノエチルメタクリレートのような塩基性含窒素官能基を有している重合性化合物とのコポリマーをコーチングしたり、または、特開平1-249063号公報に記載のようにヒドロキシル基を有する重合性化合物とメタクリル酸基を有する重合性化合物とを共重合あるいはグラフト重合した変性ポリマーの繊維を形成したりして得られる。
【0008】
フィルターが繊維集合体からなる場合には、繊維直径25ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下、更に好ましくは0.5〜3ミクロンの繊維からなる。繊維直径が25ミクロンを超えると、フィルターに捕捉される白血球の収率が低くなる傾向にある。また、繊維集合体の嵩密度は0.05〜0.50g/cm3、好ましくは0.08〜0.30g/cm3、更に好ましくは0.10〜0.20g/cm3 である。嵩密度が0.05g/cm3未満であると、フィルターに捕捉される白血球の収率が低くなる傾向があり、嵩密度が0.50g/cm3を超えると、フィルターを通過する血液の流速が遅くなる傾向がある。
繊維集合体としては、1層は、例えば繊維直径が25ミクロン以下である繊維から形成された不織布を2枚以上、積層したものであってもよい。
【0009】
また、フィルターが多層の繊維集合体からなる場合には、少なくとも1層は繊維直径が25ミクロン以下の繊維から形成された嵩密度が0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体である。多層構造は2層〜6層であり、血液流入口に近い層には繊維直径および嵩密度が大きい繊維集合体、血液流出口に近い層には繊維直径および嵩密度が小さい繊維集合体が配置されることが、球径の大きい白血球から順番に捕捉されることから好ましい。例えば、フィルターの第1層が繊維直径10ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.23g/cm3の繊維集合体、第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.11g/cm3の繊維集合体、第3層が繊維直径1.5ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.12g/cm3の繊維集合体からなる多層の繊維集合体の場合、第1層には血液中の大きい直径の物質、第2層には単球、顆粒球、第3層にはリンパ球が捕捉される。
多層の繊維集合体としては、例えば、第1層が繊維直径10ミクロンの繊維からなる不織布12枚、第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維からなる不織布3枚、第3層が繊維直径1.8ミクロンの繊維からなる不織布2枚からなる嵩密度が0.11g/cm3である繊維集合体、または第1層が繊維直径10ミクロンの繊維からなる不織布2枚および第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維からなる不織布14枚からなる嵩密度が0.13g/cm3である繊維集合体などが挙げられる。
フィルター材料が多孔性物質からなる場合には、その孔径は1〜500ミクロンであるものが好ましい。
【0010】
本発明でいう血液母液とは、人血、動物血、骨髄、抹消血、臍帯血等をいい、血液成分とは、単球、顆粒球、リンパ球、造血幹細胞または造血前駆細胞由来の白血球、赤血球、血小板等をいう。洗浄液としては、生理食塩水、ハンクス液(HBSS)、ダルベッコリン(D-PBS)等の緩衡液、それらの緩衡液に胎児血清アルブミン等の蛋白質あるいは抗凝固剤を添加したものなどが挙げられる。
本発明は、これらの血液成分を含有する血液母液を、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを充填した血液成分採取器具の濾過部に通液した後、該濾過部の内容積を更に大きくし、その後、洗浄液を通液して白血球を採取する血液成分採取方法である。
フィルターは、硬性の血液成分採取器具の濾過部に直接、充填されていてもよいし、また、血液流入チューブと血液流出チューブとを有する可撓性樹脂からなるバッグに充填され、該バッグが硬性の血液採取器具の濾過部に収容された構成であってもよい。可撓性樹脂からなるバッグにはフィルターが圧縮されて充填されており、濾過部の内容積が拡大することによって、バッグの内容積も拡大する。
【0011】
血液成分採取器具の材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、ステンレス、アルミニウム等の金属が挙げられる。また、バッグは2枚の可撓性樹脂からなるシートの縁部が溶着され、その縁部端部に血液流入口、血液流出口の硬性のポートが取付けられてなる。バッグを構成する可撓性樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0012】
本発明は、血液母液が血液成分採取器具を通液した後に、血液成分採取器具の濾過部の内容積を更に大きくして洗浄液を通液し、フィルターに捕捉されている白血球を採取することを特徴とする。血液成分採取器具の濾過部が拡大する大きさは、血液母液が血液成分採取器具を通液した後の濾過部の内容積が、血液母液が血液成分採取器具を通液する前の濾過部の内容積に対して少なくとも1.10倍、好ましくは1.20〜1.80倍、更に好ましくは1.30〜1.60倍である。濾過部を拡大する倍率が1.10倍未満であると、フィルターに捕捉されている白血球を充分に回収することができない傾向があり、倍率が大きすぎると血液成分採取器具が大きくなる傾向がある。
【0013】
本発明の血液成分採取器具は、赤血球を透過し白血球を補足するフィルター(b)を充填した濾過部材(a)および該フィルターを押圧する押圧部材(c)を収容したハウジング、および該ハウジングの側壁に該濾過部材に連通する血液流入口(d)および血液流出口(e)を備え、さらに、該押圧部材を上下に移動させる手段(f)を有する。
更に、押圧部材(c)は、血液成分を含有する血液母液が該濾過部材(a)を通過する間に下方へ移動し、次いで、該押圧部材(c)は、該濾過部の容積を拡大させるために上方へ移動し、次いで洗浄液を通過させて、白血球を回収するものである。本発明において、(f)押圧部材を上下に移動させる手段は発条体である。
本発明において、上記フィルターは可撓性樹脂からなるバッグに収容され、該バッグは血液流入チューブと血液流出チューブとを連結してなる。フィルターは繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体を含有してなる。また、フィルターが多層の繊維集合体からなり、少なくとも1層が繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体である。
【0014】
本発明の血液成分採取方法を実施するための一実施例として、図1および図2の血液成分採取器具を用いて説明する。
図1は上蓋部(1)と下蓋部(2)とが分離した状態での概略図であり、下蓋部(2)にはフィルター(3)が収容された濾過部(17)と、その側壁に血液流入口(14)と血液流出口(15)とが設けられている。上蓋部(1)にはフィルター(3)を押圧するための発条体(4)と該発条体(4)の端部(5)と連結し下蓋部(2)内部に移動しうる押圧部材(6)が収容された構成からなっている。押圧部材(6)は円板形状をしており、その端縁にはOーリング(16)が設けられ、下蓋部(2)の内壁を液密に摺動する。上蓋部(1)開口内壁に雌ネジ(7)、下蓋部開口外壁に雄ネジ(8)が形成され、雌ネジ(7)と雄ネジ(8)とが螺合していくにつれて、発条体(4)が収縮し、押圧部材(6)を押圧しフィルター(3)を圧縮する。図2は上蓋部(1)と下蓋部(2)とが完全に螺合した状態での血液成分採取器具の概略図である。
【0015】
図2の上蓋部(1)と下蓋部(2)とが完全に螺合した血液成分採取器具を使用して人血から白血球を採取する方法を、図3の血液成分採取方法の説明図で説明する。
全血を収納した血液バッグ(21)から、全血が三方活栓(25) を経由して流入側チューブ(9)を通って、図2の上蓋部(1)と下蓋部(2)とが完全に螺合した血液成分採取器具(20)の血液流入口(14)に入り、フィルター(3)内部に流入する。フィルター(3)内部で、白血球は、例えば繊維間隙に捕捉されるが、赤血球は、繊維集合体を通過して血液流出口(15)から流出側チューブ(10)、三方活栓(26)を経由して血液子バッグ(23)に収容される。血液子バッグ(23)には、フィルター材料によって赤血球の他に血小板をも収容することができる。
【0016】
次いで、図2の上蓋部(1)と下蓋部(2)とが完全に螺合した血液成分採取器具(20)の上蓋部(1)と下蓋部(2)との螺合を緩める。それによって、押圧部材(6)が上方に移動し、フィルター(3)を充填した濾過部(17)の容積が大きくなる。その後、洗浄液バッグ(22)から洗浄液が三方活栓(25)を通って血液成分採取器具(20)に流入する。このとき、洗浄液が三方活栓(26)で白血球収容バッグ(24)へ流れるのを一旦、閉止して、洗浄液をフィルター(3)内部に充満させ、繊維間隙を広げてから、三方活栓(26)を白血球収容バッグ(24)へ流れる方向に開くのが好ましい。血液成分採取器具(20)のフィルター(3)内部で繊維間隙に捕捉された白血球は、繊維間隙が大きくなったことと、洗浄液の流圧とによって、洗浄液とともに洗浄され、三方活栓(26)を通って、白血球収容バッグ(24)に収容される。
【0017】
図1では、押圧部材()は発条体(4)の端部(5)と連結しているので、上蓋部(1)に収容されている。しかし、他の実施例として、押圧部材()が発条体(4)と分離し下蓋部(2)のフイルタ−(3)の上に載置された構造の血液成分採取器具がある。この器具では上蓋部(1)と下蓋部(2)とが螺合されていくにつれて、発条体(4)が押圧部材()を押圧する。この器具は予め押圧部材()が下蓋部(2)の内壁にO−リング(16)と液密に設置され摺動しうる状態になっているので、図1のように押圧部材()を下蓋部(2)の内壁に嵌入させるときに気をつける必要はない。
【0018】
図4は本発明血液成分採取器具の他の実施例であって、上蓋部(1)と下蓋部(2)とが嵌合した外観図である。下蓋部(2)の外壁に突条部(11)が設けられ、上蓋部(1)の側壁には縦軸方向に延びた縦長孔(12)と、該縦長孔(12)と連続した3個の横長孔(13)とからなる空孔部が形成されてなり、突条部(11)が縦長孔(12)を摺動し横長孔(13)で係止された構造をしている。空孔部は上蓋部(1)の側壁であって、互いに対面する位置に夫々形成されるのが好ましい。また、突条部(11)は下蓋部(2)の外壁の対面する位置に夫々形成されるのが好ましい。上蓋部(1)と下蓋部(2)とからなる血液成分採取器具の内部は、例えば、図1の雄ネジ(8)および雌ネジ(7)を除いては、図1と同じであって、図4の上蓋部(1)と下蓋部(2)とは嵌合して形成されている。
【0019】
本発明血液成分採取器具の他の実施例として、フイルタ−(3)が可撓性樹脂からなるバッグに収容され、血液流入チュ−ブ(9)と血液流出チュ−ブ(10)とがバッグに連結して、図1の下蓋部(2)の濾過部(17)に設置されたものである。血液流入チュ−ブ(9)は図1の血液流入口(14)から血液成分採取器具の外部に延びており、血液流出チュ−ブ(10)は血液流出口(15)から血液成分採取器具の外部に延びている。図1では、押圧部材()の端縁にはO−リング(16)が設けられ、O−リング(16)が下蓋部(2)の内壁を液密に摺動して濾過部(17)の血液成分が上蓋部(1)の方向へ洩れるのを防止しているが、フイルタ−(3)がバッグに収容されている場合には、押圧部材()の端縁は下蓋部(2)の内壁を液密に摺動する必要はないので、必ずしもO−リング(16)はなくてもよい。
【0020】
以下、実施例で本発明の一例を説明する。
【実施例1】
図1の血液成分採取器具において、フイルタ−(3)は、ポリエチレンテレフタレ−ト繊維から形成された円板状の三層不織布(直径4.86cm)からなっている。上蓋部(1)と下蓋部(2)とが完全に螺合して、フイルタ−(3)が押圧部材()に押圧されたときの三層不織布の構成(図2)は、上層の第1層が繊維直径10ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.23g/cm3の不織布、中間層の第2層が繊維直径3.5ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.11g/cm3の不織布、下層の第3層が繊維直径1.5ミクロンの繊維から形成された嵩密度が0.12g/cm3の不織布からなる。その体積比は30:22:48であり、全体の厚さは 8.3mmであった。抗凝血剤としてACD液を含有した牛血 100mlを5ml/分の流速で流して、フィルタ−(3)内部に白血球を捕捉し、赤血球はフィルタ−(3)を通過して血液子バッグ(23)に収容された。血液子バッグ(23)に回収された赤血球の回収率は97%、血小板の回収率は18%であった。次いで、三方活栓(26)を閉じてから、図2の上蓋部(1)と下蓋部(2)の螺合を緩めて押圧部材()を上方に移動させた。その後、生理食塩水をフイルタ−(3)内に充満させて繊維間隙を広げてから、生理食塩水 150mlを5ml/分の流速で濾過部(17)に流し、白血球収容バッグ(24)に収容した。押圧部材()を上方に移動させたことによるフイルタ−(3)を充填した濾過部(17)の容積の拡大率と、白血球収容バッグ(24)に収容された白血球の回収率を表1に示す。
【0021】
容積の拡大率は、上蓋部(1)と下蓋部(2)とを完全に螺合したときのフィルター(3)の厚さ(下蓋部の底部から押圧部材までの距離)に対する、螺合を緩めて、押圧部材を上方に移動させたときの下蓋部の底部から押圧部材までの距離の比である。また、白血球の回収率は、血液バッグ(21)内に収容されていた血液中の白血球数に対する白血球収容バッグ(24)に収容された生理食塩水中の白血球数の比である。
【0022】
【表1】
Figure 0003758012
【0023】
表1から明らかなように、容積の拡大率が大きくなるにつれて白血球の回収率は高くなっている。
【0024】
実施例2
繊維直径10ミクロンの繊維から形成された不織布と繊維直径1.5 ミクロンの繊維から形成された不織布を、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トとジエチルアミノエチルメタクリレ−トの共重合体の0.25%エタノ−ル溶液に浸漬した後、第1層を繊維直径10ミクロンの不織布、第2層を繊維直径1.5 ミクロンの不織布としたフィルターを得た。図4の装置の濾過部にフィルターを配置した。次いで、図4の上蓋部(1)の最下の横長孔(13)に下蓋部(2)の突条部(11)が係止されて、上蓋部(1)と下蓋部(2)とが嵌合して、フイルタ−(3)が押圧部材()に押圧された状態とした。このフイルタ−(3)は第1層が繊維直径10ミクロン、嵩密度が0.23g/cm3の不織布、第2層が繊維直径1.5 ミクロン、嵩密度が0.12g/cm3の不織布であって、第1層を上層、第2層を下層にして円板状のフイルタ−(直径3.82cm)を形成していた。突条部(11)が最下の横長孔(13)にあるときのフイルタ−の厚さは 9.7mmであった。
【0025】
抗凝血剤としてヘパリン液を含有した人血 100mlを5ml/分の流速で流して、フィルター内部に白血球を捕捉し、赤血球および血小板はフィルターを通過して血液子バッグ(23)に収容された。血液子バッグ(23)に回収された赤血球の回収率は95%、血小板の回収率は88%であった。次いで、三方活栓(26)を閉じてから図4の突条部(11)を上方の横長孔(13)に移動させて、濾過部(17)の容積を大きくした。その後、生理食塩水を濾過部(17)内に充満させて、繊維間隙を広げてから、生理食塩水150mlを5ml/分の流速で濾過部(17)内に流し、白血球収容バッグ(24)に収容した。突条部(11)を上方の横長孔(13)に移動させたことによる濾過部(17)の容積の拡大率と、白血球収容バッグ(24)に収容された白血球の回収率を測定した。最下の横長孔と中間の横長孔の距離は6.4mm、最下の横長孔と最上の横長孔の距離は12.3mmであった。突条部が中間の横長孔にあるとき(容積拡大率1.66倍)の白血球回収率は92.3%、突条部が最上の横長孔にあるとき(容積拡大率2.27倍)の白血球回収率は94.7%であった。
【0026】
実施例3
図2の血液成分採取器具を用い、フィルターは実施例2で使用したフィルターを使用した(直径3.82cm、厚さ8.6mm)。抗凝血剤としてヘパリン液を含有した臍帯血50mlを5ml/分の流速で流して、フィルター内部に白血球を捕捉し、赤血球および血小板はフィルターを通過して血液子バッグ(23)に収容された。血液子バッグ(23)に回収された赤血球の回収率は91%、血小板の回収率は75%であった。次いで、三方活栓(26)を閉じてから、図2の上蓋部と下蓋部の螺合を緩めて押圧部材を上方に移動させた。その後、生理食塩水を濾過部(17)内に充満させて繊維間隙を広げてから、生理食塩水120mlを5ml/分の流速で濾過部(17)内に流し、白血球収容バッグ(24)に収容した。押圧部材を上方に移動させたことによる濾過部(17)の容積の拡大率と、白血球収容バッグ(24)に収容された白血球の回収率を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003758012
【0028】
実施例4
ポリエチレンテレフタレート繊維の円板状2層構造の繊維性集合体(直径5.6cm)からなるフィルターを使用した。2層は繊維径10μmの繊維から形成された厚さ0.82mmの不織布2枚(上層)および繊維径3.5μmの繊維から形成された厚さ0.38mmの不織布30枚(下層)からなる。該フィルターは押圧部材で押圧した際、嵩密度が0.19g/cm3であった。
抗凝血剤としてACD液を含有した牛血 120mlを5ml/分の流速で上記フィルターに流して、フィルター内部に白血球を捕捉し、赤血球を通過させた。その後、生理食塩水40mlをフィルターに通液して、フィルターに残存する赤血球および血小板を流出した。次いで、該フィルターの内容積を嵩密度0.11g/cm3に拡大した後、牛血清アルブミンを含む生理食塩水80mlを流し、フィルターに白血球を採取した。比較のために、フィルターの内容積を変更せずに、上記生理食塩水を上記方法と同様にして、該フィルターに流して、白血球を採取した。白血球の収量を表3に示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003758012
【0030】
表3から明らかなように、回収時のフィルターの嵩密度を下げることにより、白血球の回収率が向上した。
【0031】
実施例5
牛血量を除いて実施例4と同様にして、フィルターにACD液を含有した牛血50mlを通液した。白血球の回収率を表4に示す。
【0032】
【表4】
Figure 0003758012
【0033】
表4から明らかなように、回収時のフィルターの嵩密度を下げることにより、白血球の回収率が向上した。
【0034】
【発明の効果】
本発明方法によりフィルターに捕捉されていた白血球を高収率で回収することができる。また、本発明の血液成分採取器具は簡単でコンパクトな装置であり、本発明方法を実施するのに最適のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】上蓋部と下蓋部が分離されたときの血液成分採取器具を示す概略図である。
【図2】上蓋部と下蓋部が螺合したときの血液成分採取器具を示す概略図である。
【図3】本発明方法を実施する説明図である。
【図4】本発明の他の血液成分採取器具を示す外観図である。
【符号の説明】
1 上蓋部
2 下蓋部
3 フイルタ−
4 発条体
6 押圧部材
7 雌ネジ
8 雄ネジ
11 突条部
12 縦長孔
13 横長孔
17 濾過部
20 血液成分採取器具
21 血液バッグ
22 洗浄液バッグ
23 血液子バッグ
24 白血球収容バッグ

Claims (9)

  1. 赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルター(b)を充填した濾過部材(a)および該フィルターを押圧する押圧部材(c)を収容したハウジング、および該ハウジングの側壁に該濾過部材に連通する血液流入口(d)および血液流出口(e)を供え、さらに、該押圧部材を上下に移動させる手段(f)を有し、 前記押圧部材を上下に移動させる手段が、発条体である、血液成分採取器具。
  2. 押圧部材(c)は、血液成分を含有する血液母液が該濾過部材(a)を通過する間に下方へ移動し、次いで、該押圧部材(c)は、該濾過部の容積を拡大させるために上方へ移動し、次いで洗浄液を通過させて、白血球を回収する請求項1記載の血液成分採取器具。
  3. ハウジングは、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを押圧するための発条体と該発条体の端部と連結し下蓋部内部に移動しうる押圧部材とが収容された上蓋部と、フィルターを収容し血液流入口と血液流出口とを有する下蓋部とが螺合または嵌合してなる請求項1または2に記載の血液成分採取器具。
  4. ハウジングは、赤血球を透過し白血球を捕捉するフィルターを押圧するための発条体を収容した上蓋部と、前記フィルターと該フィルター上に載置された押圧部材とを収容し血液流入口と血液流出口とを有する下蓋部とが螺合または嵌合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  5. 下蓋部外壁に突条部が設けられ、上蓋部側壁には縦軸方向に延びた縦長孔と該縦長孔と連続した少なくとも1の横長孔とからなる空孔部が形成されてなり、前記突条部が縦長孔を摺動し横長孔で係止されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  6. フィルターが可撓性樹脂からなるバッグに収容され、該バッグは血液流入チューブと血液流出チューブとを連結してなる請求項1〜5のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  7. フィルターが繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体を含有してなる請求1〜6のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  8. フィルターが多層の繊維集合体からなり、少なくとも1層が繊維直径25ミクロン以下の繊維であって、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の繊維集合体である請求項1〜7のいずれかに記載の血液成分採取器具。
  9. 押圧部材が円板形状をし、その側壁に下蓋部内壁を液密に摺動しうる0−リングが設けられてなる請求項1〜8のいずれかに記載の血液成分採取器具。
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