JP2003272643A - リチウム1次電池 - Google Patents

リチウム1次電池

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JP2003272643A JP2002078339A JP2002078339A JP2003272643A JP 2003272643 A JP2003272643 A JP 2003272643A JP 2002078339 A JP2002078339 A JP 2002078339A JP 2002078339 A JP2002078339 A JP 2002078339A JP 2003272643 A JP2003272643 A JP 2003272643A
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JP2002078339A
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Shinichi Eguchi
眞一 江口
Masami Ootsuki
正珠 大月
Yuji Sugano
裕士 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電容量及びエネルギー密度が高いため高出
力で長寿命であり、かつ安全性が高いリチウム1次電池
を提供する。 【解決手段】 正極活物質と、ホスファゼン誘導体及び
/又はホスファゼン誘導体の異性体とを含むペースト状
体よりなる正極と、負極と、ホスファゼン誘導体及び/
又はホスファゼン誘導体の異性体が添加された非プロト
ン性有機溶媒と支持塩とからなる電解液とを備えること
を特徴とするリチウム1次電池である。なお、正極に含
まれるホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導
体の異性体と、非プロトン性有機溶媒に添加されるホス
ファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体
とは、同一でも異なってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム1次電池
に関し、特に放電容量、エネルギー密度に優れるリチウ
ム1次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスの急速な進歩に
伴い、特に小型電子機器の電源として、小型、軽量で、
かつ長寿命、高エネルギー密度の電池が求められてい
る。これに対し、例えば二酸化マンガン又はフッ化黒鉛
を正極とし、リチウムを負極とするリチウム1次電池
は、リチウムの電極電位が金属中で最も低く、単位体積
当りの電気容量が大きいために、高エネルギー密度を有
する電池の一つとして知られており、多くの種類のもの
が活発に研究されている。
【0003】一方、空気入りタイヤにパンク等が生じて
も、修理・補修ができる場所までの相当距離を継続走行
できるランフラットタイヤが開発されている。これに伴
い、タイヤの内圧を測定し、一定以下の内圧になった場
合に、異常を伝える信号を送信する内圧警報装置を、前
記ランフラットタイヤに設けることが提案されている。
【0004】ここで、内圧警報装置の電源としては、前
述の小型、軽量で、かつ長寿命、高エネルギー密度の二
酸化マンガン又はフッ化黒鉛を正極活物質に用い、リチ
ウムを負極とするリチウム1次電池が用いられている。
【0005】また、リチウム1次電池においては、負極
を形成する材料として、リチウムが多用されているが、
該リチウムは水あるいはアルコールなど活性プロトンを
有する化合物と激しく反応するため、使用される電解質
は非水溶液又は固体電解質に限られる。固体電解質はイ
オン伝導性が低いため、低放電電流における使用にのみ
限られる。従って、現在、一般に用いられる電解液は、
エステル系有機溶媒等の非プロトン性有機溶媒である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タイヤ
内圧の他にタイヤの諸情報を伝達するように内圧警報装
置の高機能化が要請され、それに伴い電力消費量が増大
するので、現存するリチウム1次電池を内圧警報装置の
電源に用いたのでは、寿命が短く、短期間で交換が必要
になるという問題が生じる。
【0007】また、負極材料がリチウム金属やリチウム
合金であり、水分に対して非常に高活性であるため、例
えば電池の封口が不完全で水分が侵入した際等には、負
極材料と水とが反応して水素を発生したり、発火したり
する等して危険性が高いという問題があった。更に、リ
チウム金属は低融点(約170℃)であるため、短絡時等に
大電流が急激に流れると、電池が異常に発熱し、電池が
溶融する等の非常に危険な状況を引き起こすという問題
もあった。また更に、上述した電池の発熱に伴い有機溶
媒をベースとする電解液が気化・分解してガスを発生し
たり、発生したガスによって電池の破裂・発火が起こっ
たりする等という問題もあった。また更に、本来充電を
想定していないリチウム1次電池においても、誤操作に
よる充電があり得、こうした場合に発火を引き起こすと
いう問題もあった。
【0008】そこで、本発明は、放電容量及びエネルギ
ー密度が高いため高出力で長寿命であり、かつ安全性の
高いリチウム1次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、リチウム1次電池
において、正極活物質を改良して電池自体の内部抵抗を
低下させると共に、電解液にホスファゼン誘導体及び/
又はホスファゼン誘導体の異性体を添加することによっ
て、放電容量及びエネルギー密度の高い、高出力で長寿
命なリチウム1次電池が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、 <1> 正極活物質と、ホスファゼン誘導体及び/又はホス
ファゼン誘導体の異性体とを含むペースト状体よりなる
正極と、負極と、ホスファゼン誘導体及び/又はホスフ
ァゼン誘導体の異性体が添加された非プロトン性有機溶
媒と支持塩とからなる電解液とを備えることを特徴とす
るリチウム1次電池である。 <2> 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体及び/又は
ホスファゼン誘導体の異性体と、前記非プロトン性有機
溶媒に添加されるホスファゼン誘導体及び/又はホスフ
ァゼン誘導体の異性体とが同一であることを特徴とする
前記<1>に記載のリチウム1次電池である。 <3> 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体及び/又は
ホスファゼン誘導体の異性体と、前記非プロトン性有機
溶媒に添加されるホスファゼン誘導体及び/又はホスフ
ァゼン誘導体の異性体とが異なることを特徴とする前記
<1>に記載のリチウム1次電池である。 <4> 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体及び/又は
ホスファゼン誘導体の異性体の総質量が、前記正極活物
質の質量に対し、0.01から100倍の質量であることを特
徴とする前記<1>から<3>の何れかに記載のリチウム1次
電池である。
【0011】<5> 前記ホスファゼン誘導体が、25℃に
おいて100mPa・s(100cP)以下の粘度を有し、下記式(I)又
は下記式(II)で表わされることを特徴とする前記<1>か
ら<3>の何れかに記載のリチウム1次電池である。
【化4】 (式中、R、R及びRは、一価の置換基又はハロ
ゲン元素を表す。Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウ
ム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、
酸素、イオウ、セレン、テルル、及びポロニウムからな
る群より選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を
表す。Y、Y及びYは、2価の連結基、2価の元
素、又は単結合を表す。) (NPR ・・・ (II) (式中、Rは一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
nは、3〜15を表す。)
【0012】<6> 上記式(II)で表わされるホスファゼ
ン誘導体が、下記式(III)で表されることを特徴とする
前記<5>に記載のリチウム1次電池である。 (NPF ・・・ (III) (式中、nは3〜15を表す。)
【0013】<7> 上記式(II)で表わされるホスファゼ
ン誘導体が、下記式(IV)で表されることを特徴とする前
記<5>記載のリチウム1次電池である。 (NPR ・・・ (IV) (式中、Rは一価の置換基又はフッ素を表し、全R
のうち少なくとも1つはフッ素を含む一価の置換基又は
フッ素であり、nは3〜15を表す。但し、全てのR
フッ素であることはない。)
【0014】<8> 前記ホスファゼン誘導体が、25℃に
おいて固体であって、下記式(V)で表されることを特徴
とする前記<1>から<3>の何れかに記載のリチウム1次電
池である。 (NPR ・・・ (V) (式中、Rは一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
nは3〜15を表す。)
【0015】<9> 前記ホスファゼン誘導体の異性体
が、下記式(VI)で表され、下記式(VII)で表わされるホ
スファゼン誘導体の異性体であることを特徴とする前記
<1>から<3>の何れかに記載のリチウム1次電池である。
【化5】
【化6】 (式(VI)及び(VII)において、R、R及びRは、
一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Xは、炭素、
ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アン
チモン、ビスマス、酸素、イオウ、セレン、テルル、及
びポロニウムからなる群より選ばれる元素の少なくとも
1種を含む置換基を表す。Y及びYは、2価の連結
基、2価の元素、又は単結合を表す。)
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。一般に、電池を構成する材料夫々の抵抗と、電解液
と正極、電解液と負極等の各材料間の界面に発生する抵
抗との総和が、電池自体の内部抵抗に相当する。内部抵
抗が大きくなると、印加電流との積で、IRドロップと
称する電池の放電電位の低下をもたらす。この放電電位
の低下は、一定の電圧まで降下するのに要する時間(即
ち、電池の寿命)の短縮をもたらすため、結果として放
電容量及びエネルギー密度の低下につながる。
【0017】ところで、二酸化マンガンやフッ化黒鉛を
正極活物質に用いた現用のリチウム1次電池は、上述し
たようにリチウム1次電池を用いた装置の高機能化に伴
う電力消費量の増大に対応できず、より放電容量及びエ
ネルギー密度が高い高出力で長寿命なリチウム1次電池
を開発する必要がある。このため、正極活物質と、電池
自体の内部抵抗に着目し、種々検討した結果、正極活物
質と、ホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導
体の異性体とのペースト状体よりなる正極と、ホスファ
ゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体を含
有する電解液とを使用することにより、電池自体の内部
抵抗をより小さくでき、その結果、放電容量及びエネル
ギー密度の著しい向上が可能となり、非常に高出力で長
寿命なリチウム1次電池が得られることを見出した。
【0018】本発明のリチウム1次電池は、正極と、負
極と、電解液とを備え、必要に応じて、セパレーター等
のリチウム1次電池の技術分野で通常使用されている部
材を備える。
【0019】本発明のリチウム1次電池を構成するペー
スト状体の正極は、正極活物質の粒子間に、ホスファゼ
ン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体が閉じ
込められた半固体状混合物の成形体であり、所定の力が
加えられても、ホスファゼン誘導体及び/又はホスファ
ゼン誘導体の異性体が成形体表面に染み出すことはな
い。なお、本発明の正極は、必要に応じて、導電材及び
結着剤等のリチウム1次電池の技術分野で通常使用され
ている添加剤を含む。
【0020】本発明で使用する正極活物質は、電池の正
極で起電反応に直接あずかる物質であり、特に制限な
く、公知の正極活物質から適宜選択して使用できる。例
えば、フッ化黒鉛((CF))、MnO(電気化学合
成であっても化学合成であってもよい)、V、M
oO、AgCrO、CuO、CuS、FeS
SO、SOCl、TiS等が好適に挙げられ、これ
らの中でも、高容量で安全性、さらには放電電位が高く
電解液の濡れ性に優れる点で、MnO、V 、フ
ッ化黒鉛が好ましく、コストの点ではMnO、V
がより好ましい。これらの材料は、1種単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。前記正極活物質
の粒径は1〜60μmであり、好ましくは20〜40μmであ
る。粒径が1μm未満又は60μmを超えると、正極合材
(正極活物質、導電材及び結着剤からなる)成形時にパ
ッキングが悪くなるか、又は単位体積中に含まれる正極
活物質量が少なくなるため、放電容量が減少することが
あるので好ましくない。
【0021】本発明のリチウム1次電池を構成する正極
におけるホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘
導体の異性体の総質量は、正極活物質の質量に対し、0.
01から100倍の質量が好ましく、より好ましくは0.05か
ら50倍の質量であり、特に好ましくは0.1から30倍の質
量である。ホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン
誘導体の異性体の総質量が、正極活物質の質量に対し、
0.01倍の質量未満であると、ホスファゼン誘導体及び/
又はホスファゼン誘導体の異性体を正極活物質と共に正
極中に含有させ、電池自体の内部抵抗を低下させる効果
が十分でなく、100倍の質量を超えると、単位体積当り
の正極活物質量が減少し、また、ペースト状体にならず
懸濁液を生成してしまうため好ましくない。
【0022】本発明において、上記正極を構成するペー
スト状体に含まれるホスファゼン誘導体及び/又はホス
ファゼン誘導体の異性体と、後で詳細に述べるような電
解液を構成する非プロトン性有機溶媒に添加されるホス
ファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体
とは、同一でも異なってもよい。
【0023】かかるホスファゼン誘導体としては、特に
制限はないが、25℃における粘度が100mPa・s(100cP)以
下であって、次式(I)又は次式(II)で表されるホスファ
ゼン誘導体が好ましい。
【0024】
【化7】 (式中、R、R及びRは、一価の置換基又はハロ
ゲン元素を表す。Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウ
ム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、
酸素、イオウ、セレン、テルル、及び、ポロニウムから
なる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む有機基
を表す。Y、Y及びYは、2価の連結基、2価の
元素、又は単結合を表す。) (NPR ・・・ (II) (式中、Rは、一価の置換基又はハロゲン元素を表
す。nは、3〜15を表す。)
【0025】式(I)又は式(II)で表されるホスファゼン
誘導体の25℃における粘度は、前述のように100mPa・s(1
00cP)以下であり、20mPa・s(20cP)以下が好ましい。な
お、本発明において粘度は、粘度測定計(R型粘度計Mod
el RE500-SL、東機産業(株)製)を用い、1 rpm、2 rp
m、3 rpm、5 rpm、7 rpm、10 rpm、20 rpm、及び50 rpm
の各回転速度で120秒間づつ測定し、指示値が50〜60%
となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を
測定することによって求めた。
【0026】式(I)において、R、R及びRとし
ては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限
はない。一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキ
ル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げ
られ、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素と
しては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。R
〜Rは、総て同一の種類の置換基でもよく、それら
のうちのいくつかが異なる種類の置換基でもよい。
【0027】前記アルコキシ基としては、例えばメトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メ
トキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のア
ルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。これらの中
でも、R〜Rとしては、総てがメトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、メトキシエトキシ基、又はメトキ
シエトキシエトキシ基が好適であり、総てがメトキシ
基、エトキシ基、n-プロポキシ基又はi-プロポキシ基
であるのが特に好適である。
【0028】前記アルキル基としては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ
る。前記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、
プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリ
ル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一
価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されて
いるのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩
素、臭素等が好適に挙げられる。
【0029】式(I)において、Y、Y及びYで表
される2価の連結基としては、例えば、CH基のほ
か、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウ
ム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウ
ム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、ス
ズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウ
ム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、
クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステ
ン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元
素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ、こ
れらの中でも、CH基、及び、酸素、硫黄、セレン、
窒素からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含
む2価の連結基が好ましく、硫黄及び/又はセレンの元
素を含む2価の連結基が特に好ましい。また、Y、Y
及びYは、酸素、硫黄、セレン等の2価の元素、又
は単結合であってもよい。Y〜Yは総て同一種類で
もよく、いくつかが互いに異なる種類でもよい。
【0030】式(I)において、Xとしては、有害性、
環境等への配慮の観点からは、炭素、ケイ素、窒素、リ
ン、酸素、及び、イオウからなる群から選ばれる元素の
少なくとも1種を含む有機基が好ましい。これらの有機
基の内、次式(VIII)、(IX)又は(X)で表される構造を有
する有機基がより好ましい。
【0031】
【化8】
【化9】
【化10】 但し、式(VIII)、(IX)、(X)において、R10〜R14
は、一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Y10〜Y
14は、2価の連結基、2価の元素、又は単結合を表
し、Zは2価の基又は2価の元素を表す。
【0032】式(VIII)、(IX)、(X)において、R10
14としては、式(I)におけるR〜Rで述べたの
と同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適
に挙げられる。又、これらは、同一有機基内において、
それぞれ同一の種類でもよく、いくつかが互いに異なる
種類でもよい。式(VIII)のR10とR11とは、及び式
(X)のR13とR14とは、互いに結合して環を形成し
ていてもよい。
【0033】式(VIII)、(IX)、(X)において、Y10
14で表される基としては、式(I)におけるY〜Y
で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等が
挙げられ、同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む
基が特に好ましい。これらは、同一有機基内において、
それぞれ同一の種類でもよく、いくつかが互いに異なる
種類でもよい。
【0034】式(VIII)において、Zとしては、例え
ば、CH基、CHR(Rは、アルキル基、アルコキシ
ル基、フェニル基等を表す。以下同様。)基、NR基の
ほか、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、ス
カンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ラ
ンタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲル
マニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ
素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロ
ム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、
鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の
少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ、これらの
中でも、CH基、CHR基、NR基のほか、酸素、硫
黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1
種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセ
レンの元素を含む2価の基が好ましい。また、Zは、
酸素、硫黄、セレン等の2価の元素であってもよい。
【0035】式(II)において、Rとしては、一価の置
換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。一価の
置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキ
シル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの
中でも、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素
としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げ
られる。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ
基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、
フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ
基、エトキシ基、n-プロポキシ基が特に好ましい。こ
れらの置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換され
ているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、
塩素、臭素等が好適に挙げられる。
【0036】式(I)、(II)、(VIII)〜(X)におけるR
、R10〜R14、Y〜Y、Y10〜Y14
を適宜選択することにより、より好適な粘度を有す
るホスファゼン誘導体の合成が可能となる。これらホス
ファゼン誘導体は、1種単独で使用してもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0037】前記式(II)のホスファゼン誘導体の中で
も、次式(III)で表されるホスファゼン誘導体が特に好
ましい。 (NPF ・・・ (III) (式中、nは3〜15を表す。)これらのホスファゼン誘
導体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0038】前記式(II)のホスファゼン誘導体の中で
も、次式(IV)で表されるホスファゼン誘導体が特に好ま
しい。 (NPR ・・・ (IV) (式中、Rは一価の置換基又はフッ素を表し、全R
のうち少なくとも1つはフッ素を含む一価の置換基又は
フッ素であり、nは3〜15を表す。但し、全てのR
フッ素であることはない。)
【0039】式(IV)における一価の置換基としては、ア
ルコキシ基のほか、アルキル基、アシル基、アリール
基、カルボキシル基等が挙げられ、特にアルコキシ基が
好適である。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エ
トキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ
基等のほか、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基置換
アルコキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、
n-プロポキシ基が特に好ましい。
【0040】前記一価の置換基は、フッ素で置換されて
いるのが好ましく、式(IV)のRが一つもフッ素でない
場合は、少なくとも一つの一価の置換基はフッ素含む。
フッ素のホスファゼン誘導体における含有量としては、
3〜70重量%が好ましく、7〜45重量%がより好ましい。
式(IV)で表されるホスファゼン誘導体の分子構造として
は、前述のフッ素以外にも塩素、臭素等のハロゲン元素
を含んでいてもよい。また、これらのホスファゼン誘導
体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0041】上述したホスファゼン誘導体としては、25
℃(常温)において固体であって、次式(V)で表される
ホスファゼン誘導体も好ましい。 (NPR ・・・ (V) (式中、Rは一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
nは3〜15を表す。)
【0042】式(V)において、Rとしては、一価の置
換基又はハロゲン元素であれば特に制限はなく、一価の
置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキ
シル基、アシル基、アリール基等が挙げられる。また、
ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等のハロゲン元素が好適に挙げられる。これらの
中でも、特にアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基
としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ
基、プロポキシ基(イソプロポキシ基、n-プロポキシ
基)、フェノキシ基、トリフルオロエトキシ基等が好ま
しく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(イソプ
ロポキシ基、n-プロポキシ基)、フェノキシ基、トリフ
ルオロエトキシ基等がより好ましい。前記一価の置換基
は、前述のハロゲン元素を含むのが好ましい。
【0043】式(V)で表されるホスファゼン誘導体とし
ては、例えば、前記式(V)においてR がメトキシ基で
あってnが3である構造、式(V)においてRがメトキシ
基及びフェノキシ基の少なくとも何れかであってnが4
である構造、式(V)においてRがエトキシ基であって
nが4である構造、式(V)においてRがイソプロポキシ
基であってnが3又は4である構造、式(V)においてR
がn-プロポキシ基であってnが4である構造、式(V)にお
いてRがトリフルオロエトキシ基であってnが3又は4
である構造、式(V)においてRがフェノキシ基であっ
てnが3又は4である構造が、特に好ましい。
【0044】式(V)で表されるホスファゼン誘導体の分
子構造としては、前述のようにハロゲン元素を含む置換
基を有するのが好ましい。該ハロゲン元素としては、フ
ッ素、塩素、臭素等が好ましく、フッ素が特に好まし
い。これらのホスファゼン誘導体は、1種単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】上述したホスファゼン誘導体の異性体とし
ては、特に制限されないが、次式(VI)で表され、次式(V
II)で表されるホスファゼン誘導体の異性体が好まし
い。
【化11】
【化12】 (式(VI)及び(VII)において、R、R及びRは、
一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Xは、炭素、
ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アン
チモン、ビスマス、酸素、イオウ、セレン、テルル、及
びポロニウムからなる群より選ばれる元素の少なくとも
1種を含む置換基を表す。Y及びYは、2価の連結
基、2価の元素、又は単結合を表す。)
【0046】式(VI)におけるR、R及びRとして
は、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限は
なく、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル
基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げら
れる。又、ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩
素、臭素等のハロゲン元素が好適に挙げられる。これら
の中でも、特にフッ素及びアルコキシ基等が好ましい。
また、フッ素、アルコキシ基、及びフッ素等を含むアル
コキシ基等が好ましい。R〜Rは、総て同一の種類
の置換基でもよく、それらのうちのいくつかが異なる種
類の置換基でもよい。
【0047】アルコキシ基としては、例えばメトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メト
キシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアル
コキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。これらの中で
も、R〜Rとしては、総てがメトキシ基、エトキシ
基、メトキシエトキシ基、又はメトキシエトキシエトキ
シ基が好適であり、総てがメトキシ基又はエトキシ基で
あるのが特に好適である。アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が
挙げられる。アシル基としては、ホルミル基、アセチル
基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バ
レリル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの
置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されている
のが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、
臭素等が好適に挙げられる。
【0048】式(VI)において、Y及びYで表される
2価の連結基としては、例えば、CH基のほか、酸
素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカ
ンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ラン
タン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマ
ニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、
ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モ
リブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コ
バルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なく
とも1種を含む2価の連結基が挙げられ、これらの中で
も、CH基、及び、酸素、硫黄、セレン、窒素からな
る群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連
結基が好ましい。また、Y及びYは、酸素、硫黄、
セレン等の2価の元素、又は単結合であってもよい。硫
黄及び/又は酸素の元素を含む2価の連結基、酸素元
素、並びに硫黄元素が特に好ましく、酸素元素を含む2
価の連結基、及び酸素元素が特に好ましい。Y及びY
は、同一種類でもよく、互いに異なる種類でもよい。
【0049】式(VI)において、Xとしては、有害性、
環境等への配慮の観点からは、炭素、ケイ素、窒素、リ
ン、酸素、及び、硫黄からなる群から選ばれる元素の少
なくとも1種を含む置換基が好ましく、次式(XI)、(XI
I)又は(XIII)で表される構造を有する置換基がより好ま
しい。
【0050】
【化13】
【化14】
【化15】
【0051】但し、式(XI)、(XII)、(XIII)において、
15〜R19は、一価の置換基又はハロゲン元素を表
す。Y15〜Y19は、2価の連結基、2価の元素、又
は単結合を表し、Zは2価の基又は2価の元素を表
す。
【0052】式(XI)、(XII)、(XIII)において、R15
〜R19としては、式(VI)におけるR〜Rで述べた
のと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好
適に挙げられる。又、これらは、同一置換基内におい
て、それぞれ同一の種類でもよく、いくつかが互いに異
なる種類でもよい。式(XI)のR15とR16とは、及び
式(XIII)のR18とR19とは、互いに結合して環を形
成していてもよい。
【0053】式(XI)、(XII)、(XIII)において、Y15
〜Y19で表される基としては、式(I)におけるY
で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等
が挙げられ、同様に、硫黄及び/又は酸素の元素を含む
2価の連結基、酸素元素、或いは硫黄元素が、特に好ま
しい。また、酸素元素を含む2価の連結基、及び酸素元
素が特に好ましい。これらは、同一置換基内において、
それぞれ同一の種類でもよく、いくつかが互いに異なる
種類でもよい。
【0054】式(XI)において、Zとしては、例えば、
CH基、CHR(Rは、アルキル基、アルコキシル
基、フェニル基等を表す。以下同様。)基、NR基のほ
か、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカ
ンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ラン
タン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマ
ニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、
ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モ
リブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コ
バルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なく
とも1種を含む2価の基等が挙げられ、これらの中で
も、CH基、CHR基、NR基のほか、酸素、硫黄、
セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を
含む2価の基が好ましい。また、Zは、酸素、硫黄、
セレン等の2価の元素であってもよい。特に、硫黄及び
/又はセレン元素を含む2価の基、硫黄元素、或いはセ
レン元素が、好ましい。また、酸素元素を含む2価の
基、及び酸素元素が特に好ましい。
【0055】式(VI)、及び(XI)〜(XIII)におけるR
、R15〜R19、Y〜Y、Y15〜Y19
を適宜選択することにより、より好適な粘度を有す
るホスファゼン誘導体の異性体の合成が可能となる。こ
れらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0056】式(VI)で表される異性体は、式(VII)で表
されるホスファゼン誘導体の異性体であり、例えば、式
(VII)で表されるホスファゼン誘導体を生成する際の真
空度及び/又は温度を調節することで製造でき、該異性
体の電解液における含有量(体積%)は、下記測定方法
により測定することができる。<<測定方法>>ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)又は高速液体ク
ロマトグラフィーによって試料のピーク面積を求め、該
ピーク面積を、予め求めておいた前記異性体のモルあた
りの面積と比較することでモル比を得、更に比重を考慮
して体積換算することで測定できる。
【0057】式(VII)のR〜R、Y〜Y及びX
としては、式(VI)のR〜R、Y〜Y及びX
の説明で述べたのと同様のものが総て好適に挙げられ
る。
【0058】式(VI)で表される異性体及び式(VII)で表
されるホスファゼン誘導体の分子構造としては、ハロゲ
ン元素を含む置換基を有するのが好ましい。該ハロゲン
元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好ましく、フッ
素が特に好ましい。
【0059】本発明のリチウム1次電池用の正極に、必
要に応じて添加する添加剤のうち、導電材としてはアセ
チレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ
化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配
合割合で使用することができる。
【0060】正極の形状としては、特に制限はなく、電
極として公知の形状の中から適宜選択することができ
る。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラ
ル形状等が挙げられる。
【0061】本発明のリチウム1次電池を構成する負極
の材料としては、リチウム金属自体の他、リチウム合金
等が挙げられる。リチウムと合金をつくる金属として
は、Sn、Pb、Al、Au、Pt、In、Zn、Cd、Ag、Mg等が挙げ
られる。これらの中でも、埋蔵量の多さ、毒性の観点か
らAl、Zn、Mgが好ましい。これらの材料は、1種単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよい。負極の形
状としては、特に制限はなく、前述した正極の形状と同
様の公知の形状から適宜選択することができる。
【0062】本発明のリチウム1次電池の電解液は、ホ
スファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性
体が添加された非プロトン性有機溶媒と、支持塩とから
なる。リチウム1次電池の負極は、前述のようにリチウ
ム又はリチウム合金からなるため、水との反応性が非常
に高く、従って、溶媒には水と反応しない非プロトン性
有機溶媒を用いる。
【0063】非プロトン性有機溶媒としては、特に制限
はないが、電解液の粘度を低く抑える観点から、エーテ
ル化合物やエステル化合物等が挙げられる。具体的に
は、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ
フェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-
バレロラクトン、メチルエチルカーボネート、エチルメ
チルカーボネート等が好適に挙げられる。これらの中で
もプロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン等の環
状エステル化合物、ジメチルカーボネート、メチルエチ
ルカーボネート等の鎖状エステル化合物、1, 2-ジメト
キシエタン等の鎖状エーテル化合物等が好適である。特
に、環状のエステル化合物は、比誘電率が高く後述する
支持塩(リチウム塩)の溶解性に優れる点で好適であ
り、一方、鎖状のエステル化合物及びエーテル化合物
は、低粘度であるため、電解液の低粘度化の点で好適で
ある。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0064】支持塩としては、リチウムイオンのイオン
源として通常用いるものであればよく、該リチウムイオ
ンのイオン源としては、特に制限はないが、例えば、Li
ClO 、LiBF、LiPF、LiCFSO及びLiAsF、LiC
FSO、Li(CFSO N、Li(CFSON
等のリチウム塩が好適に挙げられる。これらは、1種単
独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】電解液中の支持塩の含有量としては、電解
液の溶媒成分1Lに対し、0.2〜1モルが好ましく、0.5〜1
モルがより好ましい。含有量が、0.2モル未満の場合に
は、電解液の十分な導電性を確保することができず、電
池の放電特性に支障をきたすことがある一方、1モルを
超える場合には、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオ
ンの十分な移動度が確保できないため、前述と同様に電
解液の十分な導電性が確保できず、結果として溶液抵抗
が上昇するため、パルス放電、低温特性に支障をきたす
ことがある。
【0066】本発明において、電解液にホスファゼン誘
導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体を添加する
理由としては、以下の通りである。即ち、前述のよう
に、正極として正極活物質とホスファゼン誘導体及び/
又はホスファゼン誘導体の異性体とを含むペースト状体
を使用すると共に、非プロトン性有機溶媒にホスファゼ
ン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体を添加
することによって、電池自体の内部抵抗が低下し、該内
部抵抗の低下によってリチウム1次電池の放電容量及び
エネルギー密度を向上させることができ、高出力で長寿
命なリチウム1次電池が得られる。
【0067】また、従来、リチウム1次電池における非
プロトン性有機溶媒をベースとした電解液においては、
短絡時等に大電流が急激に流れ、電池が異常に発熱した
際に、気化・分解してガスが発生したり、発生したガス
及び熱により電池の破裂・発火が起こったりするため危
険性が高く、短絡時に生じる火花が電解液に引火し、発
火・破裂の原因となる危険性も高いが、これら従来の電
解液に、ホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘
導体の異性体が含有されていれば、200℃以下程度の比
較的低温における電解液の気化・分解等が抑制され、発
火・引火の危険性が低減され、仮に負極材料の溶融等に
より電池内部での発火があっても、類焼の危険性が低
い。更に、リンには、電池を構成する高分子材料の連鎖
分解を抑制する作用があるため、前記発火・引火の危険
性は効果的に低減される。また更に、従来の電解液に、
ホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異
性体が含有されていれば、低温及び高温特性にも優れた
リチウム1次電池を提供することが可能となる。
【0068】更に、ホスファゼン誘導体及びホスファゼ
ン誘導体の異性体は、1次電池として十分に機能するだ
けの電位窓を有しており、放電によって分解することは
ない。また、ハロゲン(例えばフッ素)を含むホスファ
ゼン誘導体及びホスファゼン誘導体の異性体は、万が一
の燃焼時には活性ラジカルの捕捉剤として機能するし、
有機置換基を有するホスファゼン誘導体及びホスファゼ
ン誘導体の異性体は、燃焼時に極材及びセパレーター上
に炭化物(チャー)を生成するため酸素の遮断効果もあ
る。加えて使用者が誤って充電した際にも、ホスファゼ
ン誘導体及びホスファゼン誘導体の異性体はデンドライ
ト生成の抑制効果を有するために無添加系に比してより
安全性は高くなる。
【0069】尚、本発明において、発火・引火の危険性
は、JIS K 7201に従った酸素指数測定により評価した。
なお、酸素指数とは、JIS K 7201に規定の所定の試験条
件下において、材料が燃焼を持続するのに必要な体積パ
ーセントで表される最低酸素濃度の値をいい、酸素指数
が低いことは発火・引火の危険性が高いことを意味し、
反対に酸素指数が高いことは発火・引火の危険性が低い
ことを意味する。本願では、上記酸素指数に準じた限界
酸素指数で発火・引火の危険性を評価した。
【0070】ホスファゼン誘導体及び/又はホスファゼ
ン誘導体の異性体が添加された電解液は、限界酸素指数
が21体積%以上であることが好ましい。限界酸素指数が
21体積%未満であると、発火・引火の抑制効果が十分で
ないことがある。大気条件下では酸素指数は20.2体積%
に相当するため、限界酸素指数20.2体積%では大気中で
燃焼することを意味する。発明者らの鋭意検討により、
限界酸素指数21体積%以上であれば自己消火性を、23体
積%以上であれば難燃性を、25体積%以上であれば不燃
性を有することを見出した。
【0071】なお、ここで表記している自己消火性・難
燃性・不燃性は、UL94HB法に準拠する方法で定義される
ものであり、不燃性石英ファイバーに1.0 mlの電解液を
染み込ませ127mm×12.7mmの試験片を作製し、該試験片
を大気環境下で着火した際、着火した炎が25〜100mmラ
インの間で消化し、かつ網からの落下物にも着火が認め
られなかった場合を自己消火性有りとし、着火した炎が
装置の25mmラインまで到達せず、かつ網からの落下物に
も着火が認められなかった場合を難燃性ありとし、着火
が認められなかった場合(燃焼長0mm)を不燃性ありと
したものである。
【0072】非プロトン性有機溶媒に添加される前記式
(I)又は式(II)で表されるホスファゼン誘導体として
は、粘度が比較的低く、支持塩を良好に溶解する観点か
らは、該ホスファゼン誘導体の中でも、25℃における粘
度が100mPa・s(100cP)以下、好ましくは20mPa・s(20cP)以
下のホスファゼン誘導体が好ましい。粘度が、100mPa・s
(100cP)を超えると、支持塩が溶解し難くなり、正極材
料、セパレーター等への濡れ性が低下し、電解液の粘性
抵抗の増大によりイオン導電性が著しく低下し、特に、
氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足とな
る。
【0073】式(I)中のR、R及びRについは、
前述の通りであるが、電解液を低粘度化し得る点で、ア
ルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、前述
したアルコキシ基が挙げられ、その中でも、低粘度・高
誘電率の観点から、R〜R の総てがメトキシ基又は
エトキシ基であるのが特に好適である。
【0074】式(VIII)、(IX)、(X)中のY10〜Y14
で表される基についても前述の通りであるが、Y10
14で表される基が硫黄及び/又はセレンの元素を含
む基である場合には、電解液の発火・引火の危険性が低
減するため特に好ましい。
【0075】式(VIII)中のZについても前述の通りで
あるが、Zが硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価
の基の場合には、電解液の発火・引火の危険性が低減す
るため特に好ましい。
【0076】式(VIII)〜(X)で表される有機基の中で
も、効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点では、
式(VIII)で表されるようなリンを含む有機基が特に好ま
しい。また、電池自体の内部抵抗を低減できるという点
では、式(IX)で表されるようなイオウを含む有機基が特
に好ましい。
【0077】式(II)中のRに関しても、前述の通りで
あるが、電解液を低粘度化し得る点で、アルコキシ基が
好ましい。
【0078】式(I)、(II)、(VIII)〜(X)におけるR
、R10〜R14、Y〜Y、Y10〜Y14
を適宜選択することにより、非プロトン性有機溶媒
に添加されるホスファゼン誘導体として、より好適な粘
度、添加・混合に適する溶解性等を有するホスファゼン
誘導体の合成が可能となる。
【0079】前記式(II)で表されるホスファゼン誘導体
の中でも、電解液を低粘度化して電池の低温特性を向上
させ、更に電解液の耐劣化性及び安全性を向上させる観
点から、前記式(III)で表されるホスファゼン誘導体
が、非プロトン性有機溶媒に添加されるホスファゼン誘
導体として特に好ましい。
【0080】式(III)で表されるホスファゼン誘導体は
常温(25℃)で低粘度の液体であり、かつ、凝固点降下作
用を有する。このため、該ホスファゼン誘導体を電解液
に添加することにより、電解液に優れた低温特性を付与
することが可能となり、また、電解液の低粘度化が達成
され、低内部抵抗及び高い導電率を有するリチウム1次
電池を提供することが可能となる。このため、特に気温
の低い地方や時期において、低温条件下で使用しても、
長時間に渡って優れた放電特性を示すリチウム1次電池
を提供することが可能となる。
【0081】式(III)において、nとしては、電解液に
優れた低温特性を付与し得、電解液の低粘度化が可能な
点で、3〜4が好ましく、3がより好ましい。nの値が小
さい場合には沸点が低く、接炎時の着火防止特性を向上
させることができる。一方、nの値が大きくなるにつれ
て、沸点が高くなるため、高温でも安定に使用すること
ができる。上記性質を利用して目的とする性能を得るた
めに、複数のホスファゼンを適時選択し、使用すること
も可能である。式(III)におけるn値を適宜選択するこ
とにより、より好適な粘度、混合に適する溶解性、低温
特性等を有する電解液の調製が可能となる。これらのホ
スファゼン誘導体は、1種単独で使用してもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0082】式(III)で表され、非プロトン性有機溶媒
に添加されるホスファゼン誘導体の粘度としては、20 m
Pa・s(20 cP)以下であれば特に制限はないが、導電性の
向上及び低温特性の向上の観点からは、10 mPa・s(10 c
P)以下が好ましく、5 mPa・s(5cP)以下がより好ましい。
【0083】前記式(II)のホスファゼン誘導体の中で
も、電解液の耐劣化性及び安全性を向上させる観点から
は、前記式(IV)で表されるホスファゼン誘導体が、非プ
ロトン性有機溶媒に添加されるホスファゼン誘導体とし
て特に好ましい。
【0084】式(II)のホスファゼン誘導体を含有すれ
ば、電解液の安全性を向上させることができるが、式(I
V)で表され、全Rのうち少なくとも1つがフッ素を含
む一価の置換基であるホスファゼン誘導体を含有すれ
ば、電解液により優れた安全性を付与することが可能と
なる。更に、式(IV)で表され、全Rのうち少なくとも
1つがフッ素であるホスファゼン誘導体を含有すれば、
更に優れた安全性を付与することが可能となる。即ち、
フッ素を含まないホスファゼン誘導体に比べ、式(IV)で
表され、全Rのうち少なくとも1つがフッ素を含む一
価の置換基又はフッ素であるホスファゼン誘導体は、電
解液をより燃え難くする効果があり、電解液に対し更に
優れた安全性を付与することができる。
【0085】式(IV)中のRについは、前述の通りであ
るが、電解液の安全性の向上に特に優れる点で、アルコ
キシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、前述した
アルコキシ基が挙げられ、その中でも、電解液の安全性
の向上に優れる点で、メトキシ基、エトキシ基、n-プロ
ポキシ基が特に好ましい。また、電解液の低粘度化の点
ではメトキシ基が好ましい。式(IV)において、nとして
は、電解液に優れた安全性を付与し得る点で、3〜4が好
ましい。式(IV)で表されるホスファゼン誘導体中のフッ
素の含有量は前述の通りであるが、含有量が前記数値範
囲内であれば、本発明の特有の効果である「優れた安全
性」を特に好適に奏することができる。
【0086】式(IV)におけるR及びn値を適宜選択す
ることにより、より好適な安全性、粘度、混合に適する
溶解性等を有する電解液の調製が可能となる。これらの
ホスファゼン誘導体は、1種単独で使用してもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0087】式(IV)で表されるホスファゼン誘導体の粘
度としては、20 mPa・s(20 cP)以下であれば特に制限は
ないが、導電性の向上及び低温特性の向上の観点から
は、10mPa・s(10 cP)以下が好ましく、5 mPa・s(5 cP)以
下がより好ましい。
【0088】非プロトン性有機溶媒に添加されるホスフ
ァゼン誘導体としては、電解液の粘度上昇を抑制しつ
つ、電解液の耐劣化性を向上させ、電解液に自己消化性
乃至難燃性を付与する観点からは、25℃(常温)におい
て固体であって、前記式(V)で表されるホスファゼン誘
導体も好ましい。
【0089】式(V)で表されるホスファゼン誘導体は常
温(25℃)で固体であるため、電解液に添加すると電解液
中で溶解して電解液の粘度が上昇する。しかし、後述す
るように所定の添加量であれば電解液の粘度上昇率が低
く、低内部抵抗及び高い導電率を有するリチウム1次電
池となる。加えて、式(V)で表されるホスファゼン誘導
体は電解液中で溶解するため、電解液の長期安定性に優
れる。一方、所定添加量を超えて添加すると電解液の粘
度が著しく大きくなり、内部抵抗が高く、導電率が低く
なり、リチウム1次電池として使用できなくなる。
【0090】式(V)中のRについは、前述の通りであ
るが、電解液の粘度上昇を抑制し得る点で、アルコキシ
基が好ましい。該アルコキシ基としては、前述したアル
コキシ基が挙げられ、その中でも、電解液の粘度上昇を
抑制し得る点で、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基(イソプロポキシ基、n-プロポキシ基)、フェノキシ
基、トリフルオロエトキシ基等がより好ましい式(V)に
おいて、nとしては、電解液の粘度上昇を抑制し得る点
で、3又は4が特に好ましい。
【0091】式(V)で表されるホスファゼン誘導体とし
ては、例えば、前記式(V)においてR がメトキシ基で
あってnが3である構造、式(V)においてRがメトキシ
基及びフェノキシ基の少なくとも何れかであってnが4
である構造、式(V)においてRがエトキシ基であって
nが4である構造、式(V)においてRがイソプロポキシ
基であってnが3又は4である構造、式(V)においてR
がn-プロポキシ基であってnが4である構造、式(V)にお
いてRがトリフルオロエトキシ基であってnが3又は4
である構造、式(V)においてRがフェノキシ基であっ
てnが3又は4である構造が、電解液の粘度上昇を抑制し
得る点で、非プロトン性有機溶媒に添加されるホスファ
ゼン誘導体として特に好ましい。
【0092】式(V)における各置換基及びn値を適宜選
択することにより、より好適な粘度、混合に適する溶解
性等を有する電解液の調製が可能となる。これらのホス
ファゼン誘導体は、1種単独で使用してもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0093】非プロトン性有機溶媒に添加されるホスフ
ァゼン誘導体の異性体としては、特に制限はないが、リ
チウム1次電池の低温特性を著しく向上させ、電解液に
自己消化性乃至難燃性を付与し、更に、電解液の耐劣化
性を向上させる観点から、前記式(VI)で表され、前記式
(VII)で表されるホスファゼン誘導体の異性体が好まし
い。
【0094】式(VI)中のR、R及びRについは、
前述の通りであるが、特に電解液の低温特性及び電気化
学的安定性の点で、フッ素及びアルコキシ基等が好まし
い。また、電解液の低粘度化の点で、フッ素、アルコキ
シ基、及びフッ素等を含むアルコキシ基等が好ましい。
該アルコキシ基としては、前述したアルコキシ基が挙げ
られ、その中でも、低粘度・高誘電率の観点から、R
〜Rの総てがメトキシ基又はエトキシ基であるのが特
に好適である。
【0095】式(VI)中のY及びYについても前述の
通りであるが、電解液の難燃性が向上する点で、硫黄及
び/又は酸素の元素を含む2価の連結基、酸素元素、並
びに硫黄元素が特に好ましく、電解液の低温特性に優れ
る点で、酸素元素を含む2価の連結基、及び酸素元素が
特に好ましい。
【0096】式(XI)、(XII)、(XIII)中のY15〜Y
19で表される基についても前述の通りであるが、Y
15〜Y19で表される基が硫黄及び/又は酸素の元素
を含む2価の連結基、酸素元素、或いは硫黄元素である
場合には、電解液の難燃性が向上するため特に好まし
い。また、電解液の低温特性に優れる点では、酸素元素
を含む2価の連結基、及び酸素元素が特に好ましい。
【0097】式(XI)中のZについても前述の通りであ
るが、Zが硫黄及び/又はセレン元素を含む2価の
基、硫黄元素、或いはセレン元素である場合には、電解
液の難燃性が向上するため特に好ましい。また、電解液
の低温特性に優れる点では、酸素元素を含む2価の基、
及び酸素元素が特に好ましい。
【0098】式(XI)〜(XIII)で表される置換基の中で
も、効果的に自己消火性ないし難燃性を発現し得る点で
は、式(XI)で表されるようなリンを含む置換基が特に好
ましい。また、電解液の小界面抵抗化の点では、式(XI
I)で表されるような硫黄を含む置換基が特に好ましい。
【0099】式(VI)、及び(XI)〜(XIII)におけるR
、R15〜R19、Y〜Y、Y15〜Y19
を適宜選択することにより、より好適な粘度、添加
・混合に適する溶解性、低温特性等を有する電解液の調
製が可能となる。これらの化合物は、1種単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0100】式(VII)で表されるホスファゼン誘導体に
関しては前述の通りであるが、粘度が比較的低く、支持
塩を良好に溶解し得るものが、非プロトン性有機溶媒に
添加するホスファゼン誘導体としては好ましい。
【0101】式(I)、式(II)、式(V)若しくは式(VII)で
表されるホスファゼン誘導体又は式(VI)で表される異性
体としては、分子構造中にハロゲン元素を含む置換基を
有するのが、非プロトン性有機溶媒に添加されるものと
しては好ましい。分子構造中に、ハロゲン元素を含む置
換基を有すると、誘導されるハロゲンガスによって、ホ
スファゼン誘導体又は異性体の含有量が少なくても、効
果的に電解液の発火・引火の危険性を低減させることが
可能となる。なお、置換基にハロゲン元素を含む化合物
においては、ハロゲンラジカルの発生が問題となること
があるが、本発明で用いるホスファゼン誘導体及びホス
ファゼン誘導体の異性体は、分子構造中のリン元素がハ
ロゲンラジカルを捕捉し、安定なハロゲン化リンを形成
するため、このような問題は発生しない。
【0102】ホスファゼン誘導体又はホスファゼン誘導
体の異性体におけるハロゲン元素の含有量としては、2
〜80重量%が好ましく、2〜60重量%がより好ましく、2
〜50重量%が更に好ましい。含有量が2重量%未満で
は、ハロゲン元素を含ませる効果が十分に現れないこと
がある一方、80重量%を超えると粘度が高くなるため、
電解液に添加した際にその導電率が低下することがあ
る。該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が
好ましく、良好な電池特性を得る観点からはフッ素が特
に好ましい。
【0103】式(IV)、式(V)、式(VII)で表されるホスフ
ァゼン誘導体の引火点としては、特に制限は無いが、発
火の抑制等の点から、100℃以上が好ましく、150℃以上
がより好ましく、300℃以上が更に好ましい。一方、式
(III)で表されるホスファゼン誘導体は引火点を有さな
い。ここで、引火点とは、具体的には、物質表面に炎が
広がり、少なくとも該物質表面の75%を覆う温度をい
い、該引火点は、空気と燃焼性混合物を形成する傾向度
を見る尺度となるものである。ホスファゼン誘導体が、
100℃以上に引火点を有するか、又は引火点を有さない
と、発火等が抑制され、また、仮に電池内部で発火等が
生じても、引火して電解液表面に燃え広がる危険性を低
下させることが可能となる。
【0104】式(III)若しくは式(V)で表されるホスファ
ゼン誘導体を、又は式(VI)で表される異性体及び式(VI
I)で表されるホスファゼン誘導体を添加すると、支持塩
の分解が抑制され電解液が著しく安定化する。従来のリ
チウム1次電池に用いられるエステル系有機溶媒とリチ
ウムイオン源となる支持塩とを含む電解液においては、
支持塩が経時と共に分解し、分解物が有機溶媒中に存在
する微量の水等と反応することにより、電解液の導電性
が低下したり、極材の劣化を生じたりする場合があるた
め、一般に支持塩として用いられるLiBF、LiP
、LiCFSO、Li(CSO
N、Li(CFSON等の中でも、支持塩そ
のものの加水分解が低いLiCFSO、Li(C
SON、Li(CFSONが特に好
ましいが、上記作用によりLiBF、LiPFも好
適に使用することができる。
【0105】以下に、ホスファゼン誘導体及びホスファ
ゼン誘導体の異性体の電解液における含有量を示す。
「限界酸素指数」の観点から、電解液に対する式(I)又
は式(II)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は5体
積%以上が好ましく、10から50体積%がより好ましい。
含有量を前記数値範囲内の値に調整することにより、電
解液の発火・引火の危険性は効果的に低減される。な
お、引火の危険性は効果的に低減されるが、その範囲は
用いる支持塩の種類や電解液の種類によって異なり、具
体的には用いる系が最も低粘度に抑えられ、かつ限界酸
素指数が21体積%以上になる含有量を適時きめることで
最適化される。
【0106】「安全性」の観点から、電解液における式
(III)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は5体積%
以上が好ましく、式(IV)で表されるホスファゼン誘導体
の含有量は10体積%以上が好ましく、15体積%以上がよ
り好ましい。含有量が該数値範囲内であれば、好適に電
解液の安全性を向上させることができる。
【0107】「自己消火性」の観点から、電解液におけ
る式(V)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は20重
量%以上が好ましく、式(VI)で表される異性体と式(VI
I)で表されるホスファゼン誘導体との総含有量は20体積
%以上が好ましい。含有量が該数値範囲内であれば、電
解液に十分な自己消火性を発現させることができる。
【0108】「難燃性」の観点から、電解液における式
(V)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は30重量%
以上が好ましく、式(VI)で表される異性体と式(VII)で
表されるホスファゼン誘導体との総含有量は30体積%以
上が好ましい。含有量が該数値範囲内であれば、電解液
に十分な難燃性を発現させることができる。なお、電解
液の安全性、自己消火性ないし難燃性については、前述
の酸素指数測定により評価することができる。
【0109】「低温特性」の観点から、電解液における
式(III)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は1体積
%以上が好ましく、3体積%以上がより好ましく、5体積
%以上が更に好ましく、式(VI)で表される異性体と式(V
II)で表されるホスファゼン誘導体との総含有量は1体積
%以上が好ましく、2体積%以上がより好ましく、5体積
%以上が更に好ましい。含有量が、1体積%に満たない
と、電解液の低温特性が十分でない。
【0110】「耐劣化性」の観点から、電解液における
式(III)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は2体積
%以上が好ましく、3〜75体積%がより好ましく、式(I
V)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は2体積%以
上が好ましく、2〜75体積%がより好ましく、(V)で表さ
れるホスファゼン誘導体の含有量は2重量%以上が好ま
しく、式(VI)で表される異性体と式(VII)で表されるホ
スファゼン誘導体との総含有量は2体積%以上が好まし
く、3〜75体積%がより好ましい。含有量が、該数値範
囲内であれば、電解液の劣化を好適に抑制することがで
きる。
【0111】「低粘度化」の観点から、電解液における
式(III)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は3体積
%以上が好ましく、3〜80体積%がより好ましく、3〜50
体積%未満が更に好ましい。含有量が3体積%未満で
は、電解液を十分に低粘度化できない。
【0112】「粘度上昇抑制」の観点から、電解液にお
ける式(V)で表されるホスファゼン誘導体の含有量は40
重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましく、
30重量%以下が更に好ましい。含有量が40重量%を超え
ると、電解液の粘度上昇が著しく大きくなり、内部抵抗
が高く導電率が低くなり好ましくない。
【0113】「安全性」、「自己消火性」ないし「難燃
性」の観点から、電解液としては、式(IV)若しくは式
(V)で表される環状ホスファゼン誘導体、又は式(VI)で
表される異性体及び式(VII)で表されるホスファゼン誘
導体と、LiBF又はLiCFSOと、γ-ブチ
ロラクトン及び/又はプロピレンカーボネートとを含む
場合が特に好ましい。これらの場合には、前述の記載に
関わらず、含有量が少量であっても、安全性、自己消火
性ないし難燃性が非常に高い。
【0114】即ち、この場合には、式(IV)で表される環
状ホスファゼン誘導体の電解液における含有量として
は、特に優れた安全性を発現させるためには、5体積%
以上が好ましい。また、式(V)で表される環状ホスファ
ゼン誘導体の電解液における含有量としては、LiBF
を含む場合、自己消火性を発現させるためには5〜10
重量%が好ましく、難燃性を発現させるためには10重量
%を超える量が好ましく、LiCFSOを含む場
合、自己消火性を発現させるためには5〜25重量%が好
ましく、難燃性を発現させるためには25重量%を超える
量が好ましい。また、式(VI)で表される異性体及び式(V
II)で表されるホスファゼン誘導体との電解液における
総含有量としては、LiBFを含む場合、自己消火性
を発現させるためには1.5〜10体積%が好ましく、難燃
性を発現させるためには10体積%を超える量が好まし
く、LiCFSOを含む場合、自己消火性を発現さ
せるためには2.5〜15体積%が好ましく、難燃性を発現
させるためには15体積%を超える量が好ましい。なお、
高温で使用することを目的とする場合には、Li(C
SON、Li(CFSON、LiB
を支持塩として含む場合も好適である。
【0115】本発明のリチウム1次電池に使用する他の
部材としては、リチウム1次電池において、正負極間
に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在
させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質
としては、両極の接触を確実に防止し得、かつ、電解液
を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セル
ロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム
等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μ
m程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フ
ィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適で
ある。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常
電池に使用されている公知の各部材が好適に使用でき
る。
【0116】以上に説明した本発明のリチウム1次電池
の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタ
ンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の
円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。
ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製
し、該正極及び負極によりセパレーターを挟む等によ
り、リチウム1次電池を作製することができる。また、
スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作
製して集電体を挟み、これに、負極(シート状)を重ね合
わせて巻き上げる等により、リチウム1次電池を作製す
ることができる。
【0117】本発明のリチウム1次電池を構成する正極
の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示
す方法により製造することができる。
【0118】本発明のリチウム1次電池を構成する正極
の製造方法では、第1の工程として、正極活物質と、ホ
スファゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性
体とを混合・混錬して、ペーストを製造する。なお、該
ペーストには、導電材、結着剤等のリチウム1次電池の
技術分野で通常使用される添加剤を、追加してもよい。
【0119】第2の工程で、第1工程で調製したペース
トを、正極製作冶具に塗布する。ここで、正極製作冶具
としては、リチウム1次電池の技術分野で通常使用する
冶具が使用でき、例えば、ドクターブレード等が挙げら
れる。次に、正極製作冶具に塗布されたペーストを乾燥
して得たものを、所望の形状に成形して正極を製造す
る。乾燥は100〜120℃で熱風乾燥するのが好ましい。ま
た、成形方法としては、従来公知の方法が使用でき、例
えば、目的とするリチウム1次電池の正極の形状に対応
した型により、正極製作冶具に塗布されたペーストを乾
燥して得たものを、打ち抜き機で打ち抜くことによって
も実施できる。
【0120】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。
【0121】(実施例1)リチウム1次電池用正極を、
下記の方法で作製した。東ソー製電気化学合成二酸化マ
ンガン20mgと、ホスファゼン誘導体A(前記式(IV)にお
いて、nが3であり、6つのRのうち2つがエトキシ
基、4つがフッ素である環状ホスファゼン誘導体化合
物、25℃における粘度:1.2 mPa・s(1.2 cP))0.1mLと、
アセチレンブラック12.5mgと、更にポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)1.2mgとを加え、大気下、30分間混合・混錬し
てペーストを調製した。次に、該ペーストをドクターブ
レードに塗工し、熱風乾燥(100〜120℃)して得たもの
を、φ16mm打ち抜き機で切り出すことによりリチウム1
次電池用の正極を作製した。この正極を用いて、下記の
ようにしてリチウム1次電池を作製した。
【0122】なお、負極には、リチウム箔(厚み0.5mm)
をφ16mmに打ち抜いたものを使用し、集電体にはニッケ
ル箔を使用した。また、電解液は、前記ホスファゼン誘
導体A 10体積%と、プロピレンカーボネート(PC) 45体
積%とジメトキシエタン(DME) 45体積%との混合溶液
に、LiCFSO(リチウム塩)を0.75 mol/L(M)の濃度で
溶解させることにより調製した。
【0123】セパレーターとして東燃社製ポリエチレン
セパレーターを使用し、これを介して上記正負極を対座
させ、上記電解液を注入して封口し、CR2016型のリチウ
ム1次電池を作製した。
【0124】上記のようにして得られた電池について、
20℃において、初期の電池電圧を測定・評価した後、下
記評価方法により平均放電電位、常温放電容量、エネル
ギー密度を測定評価した。これらの結果を表1に示す。
【0125】−平均放電電位の評価−平均放電電位は以
下のように測定した。正極材に対して0.2Cの条件で放
電した時に得られる放電曲線において、曲線が平坦を持
続している時の電位を平均放電電位として測定した。
【0126】−常温放電容量の評価−20℃の環境下で、
下限電圧1.5Vで、0.2C放電を行い、放電容量を測定し
た。
【0127】−エネルギー密度の評価−上記常温放電容
量から、単位重量当りの放電容量を計算し、エネルギー
密度を求めた。
【0128】−電池内部抵抗の評価−電池の内部抵抗の
測定は複素インピーダンス測定装置(東陽テクニカ製イ
ンピーダンスアナライザーSI 1260及びエレクトリカル
インターフェースSI 1287)を用い、0.1〜106Hzの周波
数範囲について各周波数(f)で抵抗成分(R)と容量
成分(C)を測定し、横軸にZ’(Ω)(=R)、縦軸に
Z”(=1/2πfC)をとり、複素インピーダンスプロ
ットを行い測定した。なお、f=1kHz時のZ’(Ω)(以
下 1kHz Z’(Ω)と記載)を電池自体の内部抵抗とし
て評価することが多いため、従来例、実施例、比較例の
電池における1kHz Z’(Ω)を電池自体の内部抵抗とし
て評価した。
【0129】また、電解液の限界酸素指数の評価につい
てはJIS K 7201に従って測定した。結果を表1に示す。
【0130】(実施例2)正極は、実施例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体B
(前記式(IV)において、nが3であり、6つのRのうち
1つがn-プロポキシ基、5つがフッ素である環状ホスフ
ァゼン誘導体化合物、25℃における粘度:1.1mPa・s(1.1
cP)) 10体積%と、プロピレンカーボネート(PC) 45体
積%とジメトキシエタン(DME) 45体積%との混合溶液
に、LiCFSO(リチウム塩)を0.75 mol/L(M)の濃度で
溶解させることにより調製した。これら正極及び電解液
を用い、実施例1と同様にしてリチウム1次電池を作製
した。得られたリチウム1次電池に対して、実施例1と
同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電
容量及びエネルギー密度の測定を行った。また、電解液
の限界酸素指数を実施例1と同様にして測定した。結果
を表1に示す。
【0131】(実施例3)ホスファゼン誘導体Aをホス
ファゼン誘導体C(前記式(IV)において、nが3であ
り、6つのRのうち2つがOCHCF、4つがフッ
素である環状ホスファゼン誘導体化合物、25℃における
粘度:3.2 mPa・s(3.2 cP))に変更する以外は実施例1と
同様にして正極を作製した。また、電解液は、ホスファ
ゼン誘導体C10体積%と、γ-ブチロラクトン(GBL) 90
体積%との混合溶液に、LiBF4(リチウム塩)を0.75 mol/
L(M)の濃度で溶解させることにより調製した。これら正
極及び電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウム1
次電池を作製した。得られたリチウム1次電池に対し
て、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz
Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測定を行っ
た。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と同様にし
て測定した。結果を表1に示す。
【0132】(実施例4)LiBF4をLi(C2F5SO2)2Nに変更
する以外は、実施例3と同様にしてリチウム1次電池を
作製した。得られたリチウム1次電池に対して、実施例
1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、
放電容量及びエネルギー密度の測定を行った。また、電
解液の限界酸素指数を実施例1と同様にして測定した。
結果を表1に示す。
【0133】(実施例5)正極は、実施例3と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体Cを
ホスファゼン誘導体D(前記式(IV)において、nが3で
あり、6つのRのうち2つがn-プロポキシ基、4つがフ
ッ素である環状ホスファゼン誘導体化合物、25℃におけ
る粘度:1.2 mPa・s(1.2 cP))に変更する以外は実施例3
と同様にして調製した。これら正極及び電解液を用い、
実施例1と同様にしてリチウム1次電池を作製した。得
られたリチウム1次電池に対して、実施例1と同様に初
期電圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及び
エネルギー密度の測定を行った。また、電解液の限界酸
素指数を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に
示す。
【0134】(実施例6)正極は、実施例3と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体Cを
ホスファゼン誘導体E(前記式(I)において、Y〜Y
がO(酸素)であり、R〜RがCHCFであ
り、XがP(O)(OCHCF)である鎖状ホスフ
ァゼン誘導体化合物、25℃における粘度:18.9 mPa・s(1
8.9 cP))に変更する以外は実施例3と同様にして調製
した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同様に
してリチウム1次電池を作製した。得られたリチウム1次
電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電
位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測
定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と
同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0135】(実施例7)ホスファゼン誘導体Aをホス
ファゼン誘導体Eに変更する以外は実施例1と同様にし
て正極を作製した。また、電解液は、実施例6と同様に
して調製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1
と同様にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリ
チウム1次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、
平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギ
ー密度の測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を
実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0136】(実施例8)正極は、実施例7と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体Cを
ホスファゼン誘導体F(前記式(I)において、Y〜Y
がO(酸素)であり、R〜RがCHCHであ
り、XがP(O)(OCHCH)である鎖状ホスフ
ァゼン誘導体化合物、25℃における粘度:5.8 mPa・s(5.
8 cP))に変更する以外は実施例3と同様にして調製し
た。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同様にし
てリチウム1次電池を作製した。得られたリチウム1次電
池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電
位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測
定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と
同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0137】(実施例9)正極は、実施例3と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体C 1
0体積%と、プロピレンカーボネート(PC) 90体積%との
混合溶液に、LiBF 4(リチウム塩)を0.75 mol/L(M)の濃度
で溶解させることにより調製した。これら正極及び電解
液を用い、実施例1と同様にしてリチウム1次電池を作
製した。得られたリチウム1次電池に対して、実施例1
と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放
電容量及びエネルギー密度の測定を行った。また、電解
液の限界酸素指数を実施例1と同様にして測定した。結
果を表1に示す。
【0138】(実施例10)正極は、実施例3と同様に
して作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体C
をホスファゼン誘導体Dに変更する以外は実施例9と同
様にして調製した。これら正極及び電解液を用い、実施
例1と同様にしてリチウム1次電池を作製した。得られ
たリチウム1次電池に対して、実施例1と同様に初期電
圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネ
ルギー密度の測定を行った。また、電解液の限界酸素指
数を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示
す。
【0139】(従来例1)正極は、ホスファゼン誘導体
Aを加えない以外は実施例1と同様にして作製した。ま
た、電解液は、ホスファゼン誘導体Aを加えない以外は
実施例1と同様にして調製した。これら正極及び電解液
を用い、実施例1と同様にしてリチウム1次電池を作製
した。得られたリチウム1次電池に対して、実施例1と
同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電
容量及びエネルギー密度の測定を行った。また、電解液
の限界酸素指数を実施例1と同様にして測定した。結果
を表1に示す。
【0140】(従来例2)正極は、従来例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、実施例1と同様にして調
製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同様
にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリチウム1
次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均放電
電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の
測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施例1
と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0141】(従来例3)正極は、従来例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体Cを
加えない以外は実施例3と同様にして調製した。これら
正極及び電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウム
1次電池を作製した。得られたリチウム1次電池に対し
て、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz
Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測定を行っ
た。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と同様にし
て測定した。結果を表1に示す。
【0142】(従来例4)正極は、従来例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、実施例3と同様にして調
製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同様
にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリチウム1
次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均放電
電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の
測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施例1
と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0143】(従来例5)正極は、従来例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、ホスファゼン誘導体Cを
加えない以外は実施例9と同様にして調製した。これら
正極及び電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウム
1次電池を作製した。得られたリチウム1次電池に対し
て、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz
Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測定を行っ
た。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と同様にし
て測定した。結果を表1に示す。
【0144】(従来例6)正極は、従来例1と同様にし
て作製した。また、電解液は、実施例9と同様にして調
製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同様
にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリチウム1
次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均放電
電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の
測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施例1
と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0145】(実施例11)東ソー製電気化学合成二酸
化マンガンをダイキン製フッ化黒鉛に変更し、更にホス
ファゼン誘導体Aをホスファゼン誘導体Cに変更する以
外は実施例1と同様にして正極を作製した。また、電解
液は、ホスファゼン誘導体Cをホスファゼン誘導体Bに
変更する以外は実施例3と同様にして調製した。これら
正極及び電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウム
1次電池を作製した。得られたリチウム1次電池に対し
て、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz
Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測定を行っ
た。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と同様にし
て測定した。結果を表1に示す。
【0146】(実施例12)正極は、実施例11と同様
にして作製した。また、電解液は、実施例3と同様にし
て調製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と
同様にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリチ
ウム1次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平
均放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー
密度の測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実
施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0147】(従来例7)正極は、ホスファゼン誘導体
Cを加えない以外は実施例11と同様にして作製した。
また、電解液は、従来例3と同様にして調製した。これ
ら正極及び電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウ
ム1次電池を作製した。得られたリチウム1次電池に対し
て、実施例1と同様に初期電圧、平均放電電位、1kHz
Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密度の測定を行っ
た。また、電解液の限界酸素指数を実施例1と同様にし
て測定した。結果を表1に示す。
【0148】(比較例8)正極は、従来例7と同様にし
て作製した。また、電解液は、実施例11と同様にして
調製した。これら正極及び電解液を用い、実施例1と同
様にしてリチウム1次電池を作製した。得られたリチウ
ム1次電池に対して、実施例1と同様に初期電圧、平均
放電電位、1kHz Z’(Ω)、放電容量及びエネルギー密
度の測定を行った。また、電解液の限界酸素指数を実施
例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】これらの結果から、正極活物質とホスファ
ゼン誘導体とを含むペースト状体からなる正極を使用
し、かつ、ホスファゼン誘導体を添加した電解液を使用
することにより、電池自体の内部抵抗が低下し、放電容
量及びエネルギー密度が向上し、また、電解液の限界酸
素指数が上昇し安全性が大きく向上することが分かる。
【0151】
【発明の効果】本発明によれば、正極活物質とホスファ
ゼン誘導体及び/又はホスファゼン誘導体の異性体とを
含むペースト状体よりなる正極と、ホスファゼン誘導体
及び/又はホスファゼン誘導体の異性体を添加した電解
液とを用いてリチウム1次電池を構成することにより、
放電容量及びエネルギー密度が高いため高出力で長寿命
であり、かつ安全性が高いリチウム1次電池を提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H050 AA03 AB91 5H024 AA03 AA12 CC03 DD17 FF15 FF16 FF18 FF31 HH01 5H050 AA02 AA08 AA15 BA06 CA05 CB12 DA09 EA21 HA01 HA02 HA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極活物質と、ホスファゼン誘導体及び
    /又はホスファゼン誘導体の異性体とを含むペースト状
    体よりなる正極と、負極と、ホスファゼン誘導体及び/
    又はホスファゼン誘導体の異性体が添加された非プロト
    ン性有機溶媒と支持塩とからなる電解液とを備えること
    を特徴とするリチウム1次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体
    及び/又はホスファゼン誘導体の異性体と、前記非プロ
    トン性有機溶媒に添加されるホスファゼン誘導体及び/
    又はホスファゼン誘導体の異性体とが同一であることを
    特徴とする請求項1に記載のリチウム1次電池。
  3. 【請求項3】 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体
    及び/又はホスファゼン誘導体の異性体と、前記非プロ
    トン性有機溶媒に添加されるホスファゼン誘導体及び/
    又はホスファゼン誘導体の異性体とが異なることを特徴
    とする請求項1に記載のリチウム1次電池。
  4. 【請求項4】 前記正極に含まれるホスファゼン誘導体
    及び/又はホスファゼン誘導体の異性体の総質量が、前
    記正極活物質の質量に対し、0.01から100倍の質量であ
    ることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のリ
    チウム1次電池。
  5. 【請求項5】 前記ホスファゼン誘導体が、25℃におい
    て100mPa・s(100cP)以下の粘度を有し、下記式(I)又は下
    記式(II)で表わされることを特徴とする請求項1から3
    の何れかに記載のリチウム1次電池。 【化1】 (式中、R、R及びRは、一価の置換基又はハロ
    ゲン元素を表す。Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウ
    ム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、
    酸素、イオウ、セレン、テルル、及びポロニウムからな
    る群より選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を
    表す。Y、Y及びYは、2価の連結基、2価の元
    素、又は単結合を表す。) (NPR ・・・ (II) (式中、Rは一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
    nは、3〜15を表す。)
  6. 【請求項6】 上記式(II)で表わされるホスファゼン誘
    導体が、下記式(III)で表されることを特徴とする請求
    項5に記載のリチウム1次電池。 (NPF ・・・ (III) (式中、nは3〜15を表す。)
  7. 【請求項7】 上記式(II)で表わされるホスファゼン誘
    導体が、下記式(IV)で表されることを特徴とする請求項
    5に記載のリチウム1次電池。 (NPR ・・・ (IV) (式中、Rは一価の置換基又はフッ素を表し、全R
    のうち少なくとも1つはフッ素を含む一価の置換基又は
    フッ素であり、nは3〜15を表す。但し、全てのR
    フッ素であることはない。)
  8. 【請求項8】 前記ホスファゼン誘導体が、25℃におい
    て固体であって、下記式(V)で表されることを特徴とす
    る請求項1から3の何れかに記載のリチウム1次電池。 (NPR ・・・ (V) (式中、Rは一価の置換基又はハロゲン元素を表す。
    nは3〜15を表す。)
  9. 【請求項9】 前記ホスファゼン誘導体の異性体が、下
    記式(VI)で表され、下記式(VII)で表わされるホスファ
    ゼン誘導体の異性体であることを特徴とする請求項1か
    ら3の何れかに記載のリチウム1次電池。 【化2】 【化3】 (式(VI)及び(VII)において、R、R及びRは、
    一価の置換基又はハロゲン元素を表す。Xは、炭素、
    ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アン
    チモン、ビスマス、酸素、イオウ、セレン、テルル、及
    びポロニウムからなる群より選ばれる元素の少なくとも
    1種を含む置換基を表す。Y及びYは、2価の連結
    基、2価の元素、又は単結合を表す。)
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