JP2003266583A - 導電性シートおよびその製造方法 - Google Patents

導電性シートおよびその製造方法

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JP2003266583A JP2002067834A JP2002067834A JP2003266583A JP 2003266583 A JP2003266583 A JP 2003266583A JP 2002067834 A JP2002067834 A JP 2002067834A JP 2002067834 A JP2002067834 A JP 2002067834A JP 2003266583 A JP2003266583 A JP 2003266583A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性がよく、大寸法への対応も容易で、線
幅が50μm以下のような細線による導電性パターンで
も精度よく形成でき、透光性、電磁波シールド性などの
性能にも優れた導電性シートとその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 透光性電磁波シールドシートの場合、透
明性基材11上に、導電性超微粒子を含む導電性インキを
用いて、例えばCTP方式で刷版した版を用いてフレキ
ソ印刷法で線幅Wが50μm以下で、開口率が60%以
上の格子模様などの導電性パターン12を膜厚が0.1〜
5μmとなるように印刷し、乾燥、或いは硬化、焼成し
て導電性シートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性シートおよ
びその製造方法に関し、特に建築物の窓、壁、或いは陰
極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、液晶パネルなどにおける電磁波シールドシートと
して好適に使用できる導電性シートおよびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁波シールド用に使用される導
電性シートとしては、各種のものが検討されており、例
えば、以下のようなものが挙げられる。 (1)基材上に積層した金属箔や金属蒸着膜などをフォ
トリソグラフィー法を用いて、エッチングし微細なメッ
シュを形成したもの。 (2)基材上に無電解メッキ法により、銀、銅などの金
属の膜をパターン状に形成して微細なメッシュを形成し
たもの。 (3)酸化インジウムや酸化錫などをスパッタリングな
どの手法で基材上に薄く堆積させたもの。 (4)金属繊維や、表面に良導電性金属をメッキした高
分子繊維を織り込みメッシュ状にしたもの。 (5)金属粉末を含有させた導電性インキを用いて、ス
クリーン印刷法またはグラビア印刷法または凹版オフセ
ット印刷法で、透明フィルムなどの基材上に電磁波シー
ルドパターン部を印刷して、電磁波シールド部材を形成
したもの。などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の手法に
よる導電性シートは、電磁波シールドシートとして、以
下に記載するような問題点がある。即ち、前記(1)の
手法による電磁波シールドシートは、フォトリソグラフ
ィー法を用いているため、製造工程が複雑であり、生産
性が低くコスト高となり、また、大型化が難しい問題が
ある。前記(2)の手法による電磁波シールドシート
は、無電解メッキによる金属のメッシュパターンの密着
力が不足しやすく、また、基材が無電解メッキ工程でダ
メージを受けやすい問題がある。
【0004】前記(3)の手法によるものは、導電膜が
透明であり、透光性や、生産性は問題ないが、抵抗値の
低い導電膜を作ることが困難であり、容易に形成できる
薄膜では、十分な電磁波シールド効果を得られない問題
がある。前記(4)の手法による電磁波シールドシート
は、大型化自体は比較的容易であるが、例えば、ディス
プレイの前に用いた場合、ディスプレイの表示ドットと
の間にモアレが発生しやすく、メッシュ精度が悪い場合
には、これがムラになってしまう。従って、高精度の織
り込みが必要であり、このため生産性が低くなる問題が
ある。また、メッシュ精度を良くするためには織り込み
が密になり、織り込みが密になると透光性が低下する問
題もある。
【0005】前記(5)の手法による電磁波シールドシ
ートは、電磁波シールドパターンの形成を粒子径が数μ
m〜十数μm程度の金属粉を含有させた導電性インキを
用いて、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法または
凹版オフセット印刷法で行うため、製造工程を簡略化で
き、生産性の向上と製造コストの低減を達成できる。し
かし、前記の印刷法では、尚、以下のような問題点があ
り、電磁波シールド性、透光性(可視光透過性)、大型
化の容易性など、主に性能面で総合的に満足できる電磁
波シールドシートが得られていない。
【0006】即ち、スクリーン印刷法を採った場合、厚
肉のパターン印刷を容易に行える利点はあるが、良好な
透光性を得るためには、パターンの線幅を、例えば50
μm以下、好ましくは30μm程度に小さくし、且つ、
その間隔を大きくする必要がある。しかし、スクリーン
印刷法では、インキの塗布量(肉厚)にバラツキを生じ
やすく、線幅が50μm以下のように小さいパターンを
均一に精度よく印刷することは困難であり、線幅に太り
や細りなどのバラツキも発生する。線幅が太ると透光性
を低下させ、線幅が細くなると抵抗値を増大させ、著し
い場合には断線個所を発生させるなど電磁波シールド性
が損なわれる問題があった。また、一般的には印刷寸法
が限定されるため、窓用などの用途で大寸法の電磁波シ
ールドシートを必要とする場合には対応できない問題も
あった。
【0007】グラビア印刷法を採った場合は、輪転印刷
による連続印刷が可能であり、エンドレスパターンの刷
版も可能であることから、大寸法の電磁波シールドシー
トへの対応が容易になる利点がある。また、版に形成し
たセルから導電性インキを基材に転移させるため、版深
を安定化させることにより、スクリーン印刷法の場合よ
りもインキの塗布量、即ち、肉厚は安定化できるが、塗
布量自体には制限がある。特に、肉厚を維持しながら、
線幅が50μm以下のような細線パターンを印刷する場
合、版深とセルサイズ(セルの差し渡し径)の関係か
ら、版深を深くするためにはセルサイズも大きくする必
要があり、印刷された細線パターンのエッジに相対的に
大きな網点によるギザギザが発生する。このため所望の
低抵抗値を得るために必要な線幅よりも、大きな線幅が
必要となり、透光性を低下させる問題があった。
【0008】また、凹版オフセット印刷法の場合は、グ
ラビア版からゴム胴などに一旦インキを転移させ、その
ゴム胴から基材にインキを転移させて印刷するものであ
る。従って、前記細線のエッジに発生するギザギザは、
ゴム胴の軟らかさと印圧により多少小さくできる可能性
はあるが、基本的には前記グラビア印刷法による場合と
同様な問題点がある。
【0009】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、製
造工程を簡略化でき、生産性の向上と製造コストの低減
を達成できると共に、大寸法への対応も容易で、且つ、
線幅が50μm以下のような細線による導電性パターン
を精度よく安定して形成することができ、透光性、電磁
波シールド性などの性能にも優れた導電性シートおよび
その製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、以下の本
発明により解決することができる。即ち、請求項1に記
載した発明は、基材上に導電性パターンを印刷してなる
導電性シートにおいて、導電性パターンが、導電性超微
粒子を含む導電性インキを用いたフレキソ印刷法により
形成され、該導電性超微粒子が金属の超微粒子または金
属のコロイド分散体を含むことを特徴とする導電性シー
トからなる。
【0011】本発明において、導電性インキに含有させ
る導電性超微粒子の「超微粒子」とは、粒子径が0.2
μm以下の粒子を指すものである。只、粒子径の下限に
ついては、必ずしも明確ではないが、1〜2nmあたり
である。
【0012】また、フレキソ印刷法に関しては、印刷す
る導電性パターンの形状によっては、従来の刷版方式に
よる感光性樹脂版を用いたフレキソ印刷法でもよいが、
特に導電性シートの導電性パターン部を、電磁波シール
ド用として、線幅が50μm以下で膜厚が0.1〜5μ
mのような細線の連続パターンで形成する場合は、CT
P(Computer to Plate) 刷版と呼ばれる方式で作製され
た感光性樹脂版を用いるフレキソ印刷法を採ることが精
度に優れた細線パターンを形成できる点で好ましい。
【0013】前記のような構成を採ることにより、回路
パターンなどの通常の導電性パターンはもとより、線幅
が50μm以下で、膜厚が0.1〜5μmのような細線
の導電性パターンであっても、安定した線幅と膜厚を有
し精度に優れた導電性パターンが形成された導電性シー
トを低コストで生産性よく提供することができる。ま
た、フレキソ印刷法で版を前記CTP刷版方式で作製す
ることにより、細線の精度に優れると共に、エンドレス
パターンの刷版も可能であり、広幅で長尺の基材に連続
的に導電性パターンを印刷できるので、大寸法の導電性
シートの提供も容易である。
【0014】請求項2に記載した発明は、前記導電性超
微粒子の粒子径が、平均粒子径1〜100nmであるこ
とを特徴とする請求項1記載の導電性シートからなる。
【0015】このような構成を採ることにより、前記請
求項1に記載した発明の作用効果に加えて、形成する導
電性パターンが、例えば線幅が50μm以下で膜厚が
0.1〜5μmのような細線パターンであっても、導電
性超微粒子の粒子径が十分に小さいので、その形成が容
易であり、安定した前記線幅と膜厚の導電性パターンを
有する導電性シートを一層確実に提供することができ
る。また、導電性超微粒子の粒子径を、数nmのレベル
まで小さくすることにより、導電性パターンを形成する
際の焼成温度を低くすることができるので、生産性を向
上できると共に、基材が受ける熱ダメージを軽減するこ
とができる。
【0016】請求項3に記載した発明は、基材上に導電
性パターンを印刷してなる導電性シートにおいて、導電
性パターンが、有機金属化合物を含む導電性インキを用
いたフレキソ印刷法により形成されていることを特徴と
する導電性シートからなる。
【0017】上記の導電性シートは、前記請求項1に記
載した発明の導電性シートの構成において、導電性イン
キに含有させる導電性超微粒子のみを有機金属化合物に
代えて構成したものであり、このような構成を採った場
合も、印刷された導電性インキ層に含有されている有機
金属化合物を加熱分解させ、焼成することにより、導電
性パターンに導電性が付与されるので、前記請求項1に
記載した発明の導電性シートと同様な作用効果を得るこ
とができる。
【0018】尚、前記有機金属化合物としては、加熱、
焼成などにより導電性を付与できるものであれば特に限
定はされず、例えば、有機金化合物、有機銀化合物、有
機錫化合物、有機アルミニウム化合物などを使用するこ
とができる。これらの中でも有機金化合物、有機銀化合
物が好ましく、具体的には、モノアルキル(アリール)
金誘導体(二臭化エチル金、二塩化フェニル金など)、
ジアルキル金誘導体、トリアルキル金誘導体、そして、
メチル銀、プロピル銀、フェニル銀などが挙げられる。
【0019】請求項4に記載した発明は、前記導電性パ
ターンがチキソトロピーを有する導電性インキで形成さ
れていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
記載の導電性シートである。上記チキソトロピー(thix
otropy)は揺変性と呼ばれ、流動性のインキを静置する
と流動性が失われて所謂「締まった状態」となり、攪拌
すると軟らかくなって、元の流動性を有する状態に戻る
性質であり、この性質の有無は、例えば、Fluids Analy
zer RFS III (Rheometric Scientific 社製)(レオメ
ーターの一種)でインキのシェアストレス−シェアレー
ト曲線を描き、その往復が同一曲線上を通らないで一つ
の環線を描くか否かで判定できる。
【0020】従って、前記のような構成を採ることによ
り、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作
用効果に加えて、印刷直後の導電性インキが前記締まっ
た状態になりやすいので、導電性インキで形成された細
線パターンが広がって太ることを防止でき、所望の線幅
の細線による導電性パターンを精度よく形成することが
できる。
【0021】請求項5に記載した発明は、前記基材が透
明性基材であることを特徴とする請求項1乃至4のいず
れかに記載の導電性シートである。
【0022】このような構成を採ることにより、前記請
求項1乃至4のいずれかに記載した発明の作用効果に加
えて、導電性パターンを細線パターンで印刷し、非画線
部の全体に対する面積比率を、例えば60%以上、90
%程度に高くすることにより、透光性に優れた導電性シ
ートを提供することができる。
【0023】請求項6に記載した発明は、前記導電性パ
ターンが格子模様、その他の幾何学的模様の連続パター
ンで形成され、該パターンの画線部の線幅が5〜50μ
mで、膜厚が0.1〜5μmであって、非画線部の全体
に対する面積比率が60%以上であることを特徴とする
請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性シートからな
る。
【0024】このような構成を採ることにより、前記請
求項1乃至5のいずれかに記載した発明の作用効果に加
えて、基材上に表面抵抗値が10Ω/□以下、好ましく
は1Ω/□以下の導電性を有し、規則的で均一な細線に
よる連続的な導電性パターンを、その非画線部の全体に
対する面積比率が60%以上、90%程度となるように
形成することができるので、基材に透明性基材を用いる
ことにより、透光性に優れると共に、1GHz以下の周
波数で20dB以上、好ましくは40dB以上の電磁波
遮蔽性が得られ、電磁波シールド性にも優れた導電性シ
ートとすることができる。従って、PDP、CRT、液
晶パネルなどの前面や、建築物などの窓などにも好適に
使用することのできる電磁波シールドシートを提供する
ことができる。
【0025】次に、請求項7に記載した発明は、基材上
に導電性パターンを印刷してなる導電性シートの製造方
法であって、導電性パターンを、導電性超微粒子を含む
導電性インキを用いてフレキソ印刷法で形成すると共
に、該導電性超微粒子に金属の超微粒子または金属のコ
ロイド分散体を用いることを特徴とする導電性シートの
製造方法からなる。
【0026】このような製造方法を採ることにより、前
記請求項1に記載した発明の導電性シート、即ち、回路
パターンなどの通常の導電性パターンはもとより、線幅
が50μm以下で、膜厚が0.1〜5μmのような細線
の導電性パターンであっても、安定した線幅と膜厚を有
し精度に優れた導電性パターンが形成された導電性シー
トを低コストで生産性よく製造することができる。ま
た、フレキソ印刷法で版を前記CTP刷版方式で作製す
ることにより、細線の精度に優れると共に、エンドレス
パターンの刷版も可能であるため、広幅で長尺の基材に
連続的に導電性パターンを印刷できるので、大寸法の導
電性シートも容易に製造することができる。
【0027】請求項8に記載した発明は、前記導電性超
微粒子に平均粒子径が1〜100nmの金属の超微粒子
を用いることを特徴とする請求項7に記載の導電性シー
トの製造方法である。
【0028】このような製造方法を採ることにより、前
記請求項7に記載した発明の作用効果に加えて、形成す
る導電性パターンが、前記線幅が50μm以下で膜厚が
0.1〜5μmのような細線パターンであっても、導電
性超微粒子の粒子径が十分に小さいので、その形成が容
易であり、安定した前記線幅と膜厚の導電性パターンを
有する導電性シートを一層確実に製造することができ
る。また、導電性超微粒子の粒子径を、数nmのレベル
まで小さくすることにより、導電性パターンを形成する
際の焼成温度を低くすることができるので、生産性を向
上できると共に、基材が受ける熱ダメージも軽減するこ
とができる。
【0029】請求項9に記載した発明は、基材上に導電
性パターンを印刷してなる導電性シートの製造方法であ
って、導電性パターンを、有機金属化合物を含む導電性
インキを用いてフレキソ印刷法で形成することを特徴と
する導電性シートの製造方法からなる。
【0030】このような製造方法を採った場合も、印刷
された導電性インキ層に含有される有機金属化合物を、
加熱分解させ、焼成することにより、容易に導電性パタ
ーンに導電性が付与されるので、前記請求項7に記載し
た発明の導電性シートの製造方法と同様な作用効果を得
ることができる。
【0031】請求項10に記載した発明は、前記導電性
インキが、チキソトロピーを有し、且つ、印刷時の粘度
が0.1〜10Pa・sであることを特徴とする請求項
7乃至9のいずれかに記載の導電性シートの製造方法で
ある。
【0032】前記導電性インキの印刷時の粘度は、0.
1〜10Pa・sの範囲が好ましく、0.1〜3Pa・
sの範囲が更に好ましい。粘度が0.1Pa・s未満の
場合は粘度が低すぎて細線が太りやすくなり、また、1
0Pa・sを超える場合は、流動性が悪くインキの転移
性も低下するため好ましくない。従って、前記のような
製造方法を採ることにより、前記請求項7乃至9のいず
れかに記載した発明の作用効果に加えて、線幅が50μ
m以下で、膜厚が0.1〜5μmのような細線パターン
であっても精度よく安定して印刷することができる。
【0033】請求項11に記載した発明は、前記基材に
透明性基材を用い、且つ、前記導電性パターンを、格子
模様、その他の幾何学的模様の連続パターンで形成する
と共に、該パターンの画線部の線幅を5〜50μm、膜
厚を0.1〜5μmとし、非画線部の全体に対する面積
比率が60%以上となるように形成することを特徴とす
る請求項7乃至10のいずれかに記載の導電性シートの
製造方法である。
【0034】このような製造方法を採ることにより、前
記請求項7乃至10のいずれかに記載した発明の作用効
果に加えて、前記連続的な細線による導電性パターンを
透明性基材上に規則的且つ均一に形成できるので、透光
性に優れると共に、表面抵抗値が10Ω/□以下、好ま
しくは1Ω/□以下の導電性を付与することも容易であ
り、電磁波シールド性にも優れた導電性シートとするこ
とができる。従って、PDP、CRT、液晶パネルなど
の前面や、建築物などの窓などにも好適に使用すること
のできる電磁波シールドシートを容易に製造することが
できる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。本発明の導電性シートの基材としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
トなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどのポリオレフィン類、ポリメチルメタクリレート
などのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリス
チレン、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテルサル
ホン、ポリイミドなどの単独のフィルム、または複数を
組み合わせた多層フィルムを使用することができる。こ
れらのフィルムは、用途に応じて、透明でも不透明でも
いずれのフィルムでも使用することができ、フィルムの
厚さは5〜500μm程度が適当である。特に、透明性
(可視光の透過性)と耐熱性がよく、且つ低コストであ
ることを必要とする場合には、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムが適している。これらの基材の表面には、
必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ
処理、更にはプライマーコートなどの易接着性処理を施
してもよい。
【0036】本発明においては、上記のようなフィルム
にフレキソ印刷法で、導電性超微粒子として粒子径が
0.2μm以下、1〜2nm程度までの金属の超微粒子
または金属のコロイド分散体を含む導電性インキ、或い
は導電性材料として有機金属化合物を含む導電性インキ
を用いて、導電性パターンを印刷し、形成するものであ
る。上記導電性パターンを、線幅が5〜50μm、膜厚
が0.1〜5μmのような細線による格子模様、その他
幾何学的模様の連続パターンで形成する場合は、フレキ
ソ印刷の版として、CTP方式で刷版された感光性樹脂
版を用いることが好ましい。また、フレキソ印刷機に関
しても、従来のアニロックスロールに代えてグラビア版
を使用することが、塗布量を安定化し、細線などの印刷
精度を向上できる点で好ましい。
【0037】CTP方式の刷版については、図1にその
刷版工程の概略を示したので、これを参照して説明す
る。図1は、フレキソ印刷法に用いる感光性樹脂版の従
来の刷版工程と、CTP方式の刷版工程とを比較説明す
る概略の工程図である。
【0038】従来の刷版工程では、透明基材(PETシ
ートなど)の上にセミキュアーされたUV硬化性樹脂層
が積層された版材を用い、その背面(透明基材)側か
ら、〔バック露光〕を行って、下部のUV硬化性樹脂層
を硬化させた後、表面にネガタイプのマスキングフィル
ムとバキュームシートを重ねて密着させ、その上から
〔メイン露光〕を行ってマスキングフィルムの透明部分
のUV硬化性樹脂を硬化させ、次いで、〔現像〕工程で
未硬化の樹脂を洗い流して版凸部を形成し、乾燥後、更
に〔後露光〕を行って、版凸部を含むUV硬化性樹脂を
完全に硬化させて感光性樹脂版を完成させるものであ
る。しかし、この刷版工程は、〔メイン露光〕の際、バ
キュームシートやマスキングフィルムを使用しているた
め、光(UV)の散乱が増し、その結果、版凸部が太
り、細線パターンの形成には適さない問題があった。
【0039】これに対して、CTP方式の刷版工程で
は、透明基材(PETシートなど)の上にセミキュアー
されたUV硬化性樹脂層が積層され、更にその上にマス
ク層を予め全面に積層した版材を用いて、その背面(透
明基材)側から、〔バック露光〕を行って、下部のUV
硬化性樹脂層を硬化させた後、表面からレーザー照射に
より、〔マスク描画〕を行ってネガタイプのマスク層を
形成させ、次いで、その上から〔メイン露光〕を行っ
て、マスク描画でマスク層が取り除かれた部分のUV硬
化性樹脂を硬化させて版凸部を形成し、次いで、前記従
来の刷版工程と同様に、〔現像〕工程と〔後露光〕を行
って、版凸部を含むUV硬化性樹脂を完全に硬化させて
感光性樹脂版を完成させるものである。このCTP方式
の刷版工程では、〔メイン露光〕の際、バキュームシー
トやマスキングフィルムを使用していないため、光の散
乱が減少し、また、UV硬化性樹脂層が空気に触れてい
るため、その嫌気性から版凸部が細くなり、線幅が5〜
50μmのような細線パターンの形成には好適なものと
なる。
【0040】本発明において、上記のような感光性樹脂
版を用いてフレキソ印刷法で導電性パターンを印刷する
際に用いる導電性インキは、導電性超微粒子として、
(1) 金属の超微粒子、または(2) 金属のコロイド分散体
を含む導電性インキ、或いは、導電性材料として、(3)
有機金属化合物を含む導電性インキを用いるものであ
る。
【0041】(1) 金属の超微粒子を用いる場合、金属と
しては、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウ
ム、ニッケル、鉄やこれらの合金などの超微粒子が挙げ
られ、これらは単独で使用できるほか、複数を組み合わ
せて使用することもできる。只、導電性や焼成温度の点
では、金または銀の超微粒子が好ましい。このような金
属の超微粒子の粒子径は、前述したように、0.2μm
以下であり、その下限は1〜2nmであるが、平均粒子
径は1〜100nmの範囲が好ましい。
【0042】(2) 金属のコロイド分散体を用いる場合、
金、銀、白金などの貴金属や銅のコロイド分散体を好適
に使用することができ、その粒子径は数nm〜数十nm
である。金属のコロイド分散体の製造方法には、大別し
て気相法と液相法があるが、粒度分布の幅が狭く、高濃
度で安定なコロイド分散液を低コストで製造するために
は現状液相法が有利である。
【0043】(3) 有機金属化合物を用いる場合は、前述
したように、有機金化合物、有機銀化合物、有機錫化合
物、有機アルミニウム化合物などを使用することがで
き、中でも有機銀化合物、有機金化合物が好ましい。具
体例として、有機銀化合物では、メチル銀、プロピル
銀、フェニル銀などが挙げられ、有機金化合物では、モ
ノアルキル(アリール)金誘導体(二臭化エチル金、二
塩化フェニル金など)、ジアルキル金誘導体、トリアル
キル金誘導体などが挙げられる。
【0044】導電性インキは、前記(1) 〜(3) に記載し
た導電性材料にバインダーの樹脂、溶剤のほか、必要に
応じて、高分子界面活性剤、チキソトロピー付与剤、静
電防止剤、消泡剤、滑剤などの助剤を適宜添加して調整
することができる。インキの粘度に関しては、0.1〜
10Pa・sの範囲が好ましく、0.1〜3Pa・sの
範囲が更に好ましい。また、導電性インキは、細線パタ
ーンの印刷を精度よく行うためにはチキソトロピーを有
することが好ましく、必要な場合、他に支障のない範囲
で、例えば微細アルミナゲル、シリカゲル、黒色顔料な
どを添加することによりチキソトロピーを付与すること
ができる。黒色顔料を添加した場合、副次的効果とし
て、外光の反射を防ぐので、ディスプレイの表示画面の
コントラストを向上させることができる。
【0045】導電性インキのバインダーに用いる樹脂と
しては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、
セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などの熱
可塑性樹脂のほか、電離放射線(紫外線または電子線)
硬化型アクリル系樹脂、或いはポリエステル−メラミン
樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0046】このような導電性インキは、基材にパター
ン状などに印刷した後、熱風などで溶剤成分を取り除
き、また、必要な場合、紫外線または電子線を照射して
硬化させ、更に、120〜250℃で焼成することによ
り、優れた導電性が発現される。上記焼成の際、基材の
耐熱性が不足する場合には、例えば、別の耐熱性離型性
基材に導電性インキを印刷し、乾燥、焼成して導電性パ
ターンを形成した後、その導電性パターンを、熱転写な
どの方法で本来の基材面に転写して導電性シートを製造
することもできる。
【0047】次に、前記導電性インキを用いて、透明性
基材に細線による透光性電磁波シールドパターンを印刷
する場合、そのパターン形状は、均一で且つ非視認性を
有し、ディスプレイ画面にモアレなどを発生させないパ
ターンであれば、ストライプ模様、格子模様、その他の
幾何学的模様など何でもよいが、接地などを簡易にする
ためには、格子模様、その他の幾何学的模様の連続パタ
ーンにすることが好ましい。格子模様の場合、画線部で
囲まれた非画線部が正方形、長方形のほか、菱形、平行
四辺形となるような変形の格子模様であってもよい。更
に、これらの格子模様は適宜の角度で傾斜した形状であ
ってもよい。また、その他の幾何学的模様の場合は、同
様に画線部で囲まれた非画線部が、例えば正三角形、二
等辺三角形、直角三角形などの三角形、或いは正六角
形、六角形、更には円形、楕円形などを隣接するように
配列した形状とすることができる。
【0048】このような透光性電磁波シールドパターン
は、その透光性と電磁波シールド性をよくするために
は、画線部の線幅を5〜50μm、膜厚を0.1〜5μ
mとし、且つ、全体に対する非画線部の面積比率(以
下、開口率と呼ぶ)が60%以上、90%程度となるよ
うに形成することが好ましい。画線部で囲まれた非画線
部が正方形の格子模様のパターン〔図2の(イ)参照〕
を例として、その線幅と線間隔、および開口率の関係の
具体例を示すと表1に示したようになる。
【0049】
【表1】
【0050】
【実施例】次に、本発明の導電性シートについて、実施
例および比較例を挙げて更に具体的に説明する。但し、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】(実施例1)基材として、表面が易接着性
処理されたポリエチレンテレフタレートシート(厚み1
00μm)を用いて、その易接着性処理面に、紫外線硬
化性アクリル系樹脂をバインダーとして、これに銀の超
微粒子(平均粒子径7nm)〔銀ナノペースト ハリマ
化成(株)製〕を分散させた導電性インキ(インキ固形
分中の銀の超微粒子の含有量は80重量%、インキの粘
度は0.5Pa・sに調整)を用いて、フレキソ印刷法
により、図2の(イ)に示した正方形の格子模様の導電
性パターン、即ち、画線部の線幅が30μm、線間隔が
350μmで、開口率が略85%となる細線パターンに
CTP方式で刷版されたフレキソ印刷版を用いて、硬
化、焼成後のインキの膜厚が1μmとなるように印刷、
乾燥、紫外線照射、焼成(温度150℃)して、実施例
1の透光性を備えた電磁波シールド用の導電性シートを
作製した。
【0052】(実施例2)前記実施例1の電磁波シール
ド用の導電性シートの作製において、導電性インキに添
加した銀の超微粒子(平均粒子径7nm)のみを、銀コ
ロイド分散体(銀の粒子径は10nm程度)〔銀コロイ
ドペースト 日本ペイント(株)製〕に変更したほか
は、総て実施例1と同様に作製して、実施例2の電磁波
シールド用の導電性シートを作製した。
【0053】(実施例3)前記実施例1の電磁波シール
ド用の導電性シートの作製において、導電性インキに添
加した銀の超微粒子(平均粒子径7nm)のみを、有機
銀化合物〔ハイメックXE−102−23 ナミックス
(株)製〕に変更したほかは、総て実施例1と同様に作
製して、実施例3の電磁波シールド用の導電性シートを
作製した。
【0054】(実施例4)前記実施例1の電磁波シール
ド用の導電性シートの作製において、導電性インキに添
加した銀の超微粒子(平均粒子径7nm)のみを、有機
金化合物〔METALLO ORGANIC GOLD INK E878B エ
ヌ・イー ケムキャット(株)製〕に変更したほかは、
総て実施例1と同様に作製して、実施例4の電磁波シー
ルド用の導電性シートを作製した。
【0055】(比較例1)前記実施例1の電磁波シール
ド用の導電性シートの作製において、導電性インキに添
加した銀の超微粒子(平均粒子径7nm)を、従来用い
られていた銀粉末(粒子径5〜10μm)に変更すると
共に、印刷方式をグラビア印刷法に変更して同様な導電
性パターンで電磁波シールド用の導電性シートを作製
し、比較例1の電磁波シールド用の導電性シートを得
た。
【0056】(比較例2)前記実施例1の電磁波シール
ド用の導電性シートの作製において、導電性インキに添
加した銀の超微粒子(平均粒子径7nm)を、従来用い
られていた銀粉末(粒子径5〜10μm)に変更すると
共にインキ粘度を高く調整し、印刷方式をスクリーン印
刷法に変更して同様な導電性パターンで電磁波シールド
用の導電性シートを作製し、比較例2の電磁波シールド
用の導電性シートを得た。
【0057】〔評価〕以上のように作製した実施例1〜
4、および比較例1、2の電磁波シールド用の導電性シ
ートについて、導電性パターン(細線)の再現性、即
ち、線幅とその膜厚、および導電性(表面抵抗値)、電
磁波シールド性を測定、評価した結果、実施例1〜4の
電磁波シールド用の導電性シートは、いずれも目標とし
た線幅30μmと膜厚1μmに略一致する導電性パター
ンを精度よく安定して形成することができた。そして、
それぞれの表面抵抗値も0.5Ω/□以下であり、電磁
波シールド性についても、1GHz以下の周波数で40
dB以上の電磁波遮蔽性能を有していた。また、透光性
についても開口率が略85%で、膜厚も1μm程度と薄
いため優れていた。
【0058】これに対して、比較例1の電磁波シールド
用の導電性シートは、導電性インキに添加した銀粉末の
粒子径が大きく、また、印刷方式がグラビア印刷法であ
るため、細線の両側にギザギザが発生し、表面抵抗値も
高く、電磁波シールド性についても、同条件で20dB
以下となり好ましくなかった。
【0059】また、比較例2の電磁波シールド用の導電
性シートは、導電性インキに添加した銀粉末の粒子径が
大きく、また、印刷方式がスクリーン印刷法であるた
め、形成された導電性パターンの細線の膜厚が6〜10
μmと厚くなると同時に、バラツキも大きく、導電性パ
ターンの精度と安定性に劣り、一部に断線も発生し好ま
しくなかった。
【0060】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明に
よれば、製造工程を簡略化でき、生産性の向上と製造コ
ストの低減を達成できると共に、大寸法への対応も容易
で、且つ、線幅が50μm以下のような細線による導電
性パターンでも精度よく安定して形成することができ、
透光性、電磁波シールド性などの性能にも優れた導電性
シートおよびその製造方法を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】木発明において、フレキソ印刷法に用いる感光
性樹脂版の従来の刷版工程とCTP方式の刷版工程を比
較説明する概略の工程図である。
【図2】(イ)、(ロ)、(ハ)は、それぞれ本発明の
導電性シートを電磁波シールド用シートとして使用する
場合の導電性パターンの一例を説明する部分模式拡大平
面図である。
【符号の説明】
1 光源 2 透明基材(PETシートなど) 3 紫外線硬化性樹脂 4 マスク層 5 マスキングフィルム 6 バキュームシート 7 版凸部 8 フレキソ印刷版 9 画線部 10 非画線部 11 透明性基材 12 導電性パターン W 線幅 S 線間隔 P 線ピッチ 100、200、300 電磁波シールド用の導電性シ
ート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須賀 和宏 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB24H AH08B AH08H AK25B AK42A AT00A BA02 BA10A BA10B CC00B DC11B DC15B DE01B DE01H EH462 EJ862 GB41 HB31B JA20B JA20H JG01B JG01H JN01A YY00B YY00H 5G307 GA02 GC01 GC02 5G323 CA05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に導電性パターンを印刷してなる導
    電性シートにおいて、導電性パターンが、導電性超微粒
    子を含む導電性インキを用いたフレキソ印刷法により形
    成され、該導電性超微粒子が金属の超微粒子または金属
    のコロイド分散体を含むことを特徴とする導電性シー
    ト。
  2. 【請求項2】前記導電性超微粒子の粒子径が、平均粒子
    径1〜100nmであることを特徴とする請求項1記載
    の導電性シート。
  3. 【請求項3】基材上に導電性パターンを印刷してなる導
    電性シートにおいて、導電性パターンが、有機金属化合
    物を含む導電性インキを用いたフレキソ印刷法により形
    成されていることを特徴とする導電性シート。
  4. 【請求項4】前記導電性パターンがチキソトロピーを有
    する導電性インキで形成されていることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の導電性シート。
  5. 【請求項5】前記基材が透明性基材であることを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性シート。
  6. 【請求項6】前記導電性パターンが格子模様、その他の
    幾何学的模様の連続パターンで形成され、該パターンの
    画線部の線幅が5〜50μmで、膜厚が0.1〜5μm
    であって、非画線部の全体に対する面積比率が60%以
    上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載の導電性シート。
  7. 【請求項7】基材上に導電性パターンを印刷してなる導
    電性シートの製造方法であって、導電性パターンを、導
    電性超微粒子を含む導電性インキを用いてフレキソ印刷
    法で形成すると共に、該導電性超微粒子に金属の超微粒
    子または金属のコロイド分散体を用いることを特徴とす
    る導電性シートの製造方法。
  8. 【請求項8】前記導電性超微粒子に平均粒子径が1〜1
    00nmの金属の超微粒子を用いることを特徴とする請
    求項7に記載の導電性シートの製造方法。
  9. 【請求項9】基材上に導電性パターンを印刷してなる導
    電性シートの製造方法であって、導電性パターンを、有
    機金属化合物を含む導電性インキを用いてフレキソ印刷
    法で形成することを特徴とする導電性シートの製造方
    法。
  10. 【請求項10】前記導電性インキが、チキソトロピーを
    有し、且つ、印刷時の粘度が0.1〜10Pa・sであ
    ることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の
    導電性シートの製造方法。
  11. 【請求項11】前記基材に透明性基材を用い、且つ、前
    記導電性パターンを、格子模様、その他の幾何学的模様
    の連続パターンで形成すると共に、該パターンの画線部
    の線幅を5〜50μm、膜厚を0.1〜5μmとし、非
    画線部の全体に対する面積比率が60%以上となるよう
    に形成することを特徴とする請求項7乃至10のいずれ
    かに記載の導電性シートの製造方法。
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