JP2000269682A - 透光性電磁波シールド部材の製造方法 - Google Patents

透光性電磁波シールド部材の製造方法

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JP2000269682A
JP2000269682A JP11074383A JP7438399A JP2000269682A JP 2000269682 A JP2000269682 A JP 2000269682A JP 11074383 A JP11074383 A JP 11074383A JP 7438399 A JP7438399 A JP 7438399A JP 2000269682 A JP2000269682 A JP 2000269682A
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electromagnetic wave
pattern
wave shielding
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JP11074383A
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Yasuhiko Kondo
康彦 近藤
Hiroaki Kawasaki
裕章 川崎
Takehiko Matsuyama
武彦 松山
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた電磁波シールド効果を有するととも
に、透光性、視認性、視野角およびコントラストの各特
性にも優れた透光性電磁波シールド部材を低コストでか
つ簡易に製造することのできる製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の透光性電磁波シールド部材の製
造方法は、インキ離型性に優れたブランケットを用いた
凹版オフセット印刷法で、導電性樹脂組成物を透明基材
2の表面に印刷した後、その印刷パターンを硬化させ
て、透明基材の表面に電磁波シールドパターン10を形
成する方法であって、前記印刷パターンの硬化前または
硬化後に、当該印刷パターンの表面を加圧することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CRT(ブラウン
管)、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の
電子機器の表示部から照射される電磁波を効果的に遮蔽
し得る透光性電磁波シールド部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器から放射される電磁波が
人体に与える影響について種々の報告がなされており、
それに伴って、CRT等の表示画面から放射される電磁
波を遮蔽する技術について関心が高まっている。従来、
表示画面から放射される電磁波を遮蔽するには、透明フ
ィルム等の透明基材表面に銅箔等の金属からなるパター
ンを形成した電磁波シールド部材が用いられている。こ
の電磁波シールド部材には、電磁波のシールド(遮蔽)
効果が高いことのほかに、透光性(透視性)や視認性に
優れ、視野角が広いことが要求されており、とりわけ次
世代の画像表示装置として注目されているPDP用の電
磁波シールド部材には、PDPの表示画面から放射され
る電磁波がCRT等よりも強いことからより一層優れた
電磁波シールド特性が求められている。
【0003】電磁波のシールド効果の規格としては、ス
ウェーデンのMPRII規格が世界でも最も厳しい規格と
して知られており、実質上の標準となりつつある。この
規格を満たすには、周波数が1〜1000MHzの極め
て広い領域において電磁波を十分にカットする必要があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電磁波シールド効果、
透光性、視認性、視野角等の各特性を十分に満たす電磁
波シールド部材の製造方法として、特開平10−163
673号公報や特開平5−16281号公報には、無電
解メッキによって透明基材の表面に銅箔層を形成し、フ
ォトリソ法にてレジストパターンを形成した後、エッチ
ングによって銅箔層をパターン化する方法が開示されて
いる。このようにエッチングプロセスによってパターン
を形成すれば、非常に微細なパターンを高い精度で形成
することができる。しかしながら、メッキにより形成さ
れた銅薄層の大部分をエッチングによって除去すること
になるため、銅材料の無駄が多く、廃液処理に費用がか
かるなど、電磁波シールド部材の製造コストが高くなる
という問題がある。
【0005】特にPDPは主として大型画面への展開が
図られているため、電磁波シールド部材も大型化が求め
られているが、この場合、フォトリソ法におけるレジス
トパターン形成用の露光装置や、エッチング処理の装置
等を大型化する必要があり、設備投資の面でもコストが
かかる。一方、特公平2−48159号公報には、金属
粉末を混合した紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂
を透光性フィルム上に印刷することで、透光性電磁波シ
ールド部材を得る旨の開示がある。かかる方法によれ
ば、前述の無電解銅メッキ等による銅被覆層の形成やエ
ッチング処理を必要としないため、その製造が簡易で、
銅廃液処理の心配もない。また、銅等の金属の使用量も
パターンの形成に必要な量で足りるため、製造コストの
低減を図ることができる。
【0006】しかしながら、上記公報には具体的な印刷
方法についての開示がなく、従来の印刷法によって電磁
波シールドパターンを形成した場合には、一般に十分な
電磁波シールド効果と透光性とを両立することができな
いため、実用化に至っていないのが現状である。すなわ
ち、良好な透光性と優れた視野角とを得るには、パター
ンの線幅を極めて小さくし、その間隔を大きくするとと
もに、パターンの膜厚を小さくする必要があるものの、
従来の印刷法ではかかる微細かつ薄いパターンの形成が
困難であった。例えば、スクリーン印刷法では、印刷時
にスクリーン版が引き伸ばされるため、メッシュが伸縮
して、印刷寸法や印刷位置に±20μm程度のばらつき
が生じてしまう。また、従来のスクリーン印刷法やグラ
ビア印刷法にて線幅50μm以下のパターンを印刷する
と、パターン線幅のばらつきや断線が生じてしまい、電
磁波シールド効果や視認性が低下してしまう。
【0007】また、電磁波シールド効果を高めるために
金属粉末の量を多くすると、パターンの膜厚がより一層
厚くなったり、樹脂ペーストが印刷に適さなくなるとい
った問題が生じる。さらに、たとえ印刷に適した範囲で
金属粉末の量を多くしたとしても、十分な導電性を有す
るパターンを形成することができない。そこで本発明の
目的は、上記課題を解決し、優れた電磁波のシールド効
果を有するとともに、透光性、視認性、視野角およびコ
ントラストの各特性にも優れた透光性電磁波シールド部
材を低コストでかつ簡易に製造することのできる製造方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、印刷方法とし
て微細なパターンの再現性に優れた凹版オフセット印刷
法を採用するとともに、ブランケットとしてインキ離型
性に優れたものを使用すれば、微細でかつ高精度の印刷
パターンを形成することができるという知見を得、さら
に、透明基材上に印刷された導電性樹脂組成物からなる
印刷パターンを当該印刷パターンの硬化前または硬化後
に加圧すれば、電磁波のシールド効果や電磁波シールド
部材のコントラストを優れたものとすることができ、と
りわけ1000MHzもの高周波領域においても優れた
シールド効果が得られるという全く新たな事実を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の透光性電磁波シールド
部材の製造方法は、インキ離型性に優れたブランケット
を用いた凹版オフセット印刷法で、金属粉末を含有する
導電性樹脂組成物を透明基材の表面に印刷した後、その
印刷パターンを硬化させて、透明基材の表面に電磁波シ
ールドパターンを形成する方法であって、前記印刷パタ
ーンの硬化前または硬化後に、当該印刷パターンの表面
を加圧することを特徴とする。
【0010】上記本発明の製造方法によれば、電磁波の
周波数が1〜1000MHzの極めて広い領域において
優れたシールド効果を有する電磁波シールド部材が得ら
れるとともに、微細でかつ高精度の印刷パターンを形成
することができるので、透光性、視認性、視野角および
コントラストの各特性にも優れた透光性電磁波シールド
部材を得ることが可能である。さらには、印刷法を採用
したことによって、当該部材を低コストでかつ簡易に製
造できるという利点をも得ることができる。
【0011】また、上記本発明の透光性電磁波シールド
部材の製造方法においては、電磁波シールドパターンが
ストライプ状、格子状または幾何学模様であり、当該電
磁波シールドパターンの線幅Wsが5〜40μm、膜厚
Wtが0.5〜50μmで、かつ前記電磁波シールドパ
ターンの全面積Ssと当該電磁波シールドパターンが形
成されていない領域の全面積Skとが式(1) : 1≦Sk/Ss≦9 を満たすものであるのが好ましい。
【0012】電磁波シールドパターンの線幅Ws、比S
k/Ss、膜厚Wtが上記範囲を満たすことによって、
電磁波シールド部材のシールド性能をより一層優れたも
のにすることができるとともに、その透光性、視認性お
よび視野角をもより一層優れたものにすることができ
る。上記本発明の製造方法においては、パターンの印刷
精度を低下させることなく、電磁波のシールド効果を向
上させるという観点から、加圧時の圧力は0.1〜10
kg/cm2 であるのが好ましい。また、パターンの印
刷精度をより一層高めるという観点から、ブランケット
の表面ゴムはシリコーンゴムであるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の透光性電磁波シールド部材の製造方法
は、前述のように、透明基材の表面に金属粉末を含有す
る導電性樹脂組成物を印刷して、導電性シールドパター
ンに対応した印刷パターンを形成し、次いでこの印刷パ
ターンを加熱乾燥することによって硬化させるものであ
って、(1) 印刷法として、微細なパターンを形成するこ
とのできる凹版オフセット印刷法を採用し、(2) ブラン
ケットとして、インキ離型性に優れたものを用い、さら
に(3) 前記印刷パターンの硬化前または硬化後に、当該
印刷パターンの表面を加圧することを特徴とする。
【0014】〔導電性樹脂組成物の印刷方法〕本発明に
おいて、導電性樹脂組成物を印刷する際の印刷方法に
は、形成されるラインの直線性が良好で、極めて微細な
パターンを高い精度で印刷再現できる凹版オフセット印
刷法が用いられる。この凹版オフセット印刷法によれ
ば、パターンの線幅が50μmを下回る極めて細い場合
であっても、均一な厚みでかつ高い印刷精度もってパタ
ーンを形成することができる。
【0015】さらに、インキ離型性に優れたブランケッ
トを用いることで、凹版からブランケットへ転移された
導電性樹脂組成物を100%透明基材上に転移させるこ
とが可能になり、1回の印刷で十分な膜厚を有するパタ
ーンを形成することができる。例えば、凹部の深さが1
0μmの凹版と、表面ゴムがシリコーンゴムからなるブ
ランケットとを用いれば、1回の印刷で膜厚が約5μm
のパターンを形成することができる。従って、導電性シ
ールドパターンに必要な膜厚を得るために印刷を繰り返
し行う必要がなく、製造コストの削減を図ることができ
る。
【0016】導電性シールドパターンの形成に、導電性
樹脂組成物を凹版オフセット印刷法で印刷する方法を用
いた場合の製造コストを1とすると、フォトリソ法を用
いた場合の製造コストは3〜10である。 (ブランケット)本発明に用いられるブランケットとし
ては、インキの離型性に優れたものであれば特に限定さ
れるものではなく、例えば表面がシリコーンゴム、フッ
素樹脂、フッ素ゴムまたはこれらの混合物等からなるブ
ランケットが挙げられる。中でも、インキの離型性や、
その製造の容易さ、コスト等の観点から、表面がシリコ
ーンゴムであるものを用いるのが好ましい。
【0017】前記シリコーンゴムには、大きく分けて常
温硬化型シリコーンゴム(RTV)と加熱硬化型シリコ
ーンゴム(HTV)があり、本発明では前記のいずれの
タイプであっても使用可能である。しかし、硬化時に副
生成物を全く発生しないRTVシリコーンゴムの方が寸
法精度において優れていることから、より好適に用いら
れる。
【0018】ブランケットのインキ離型性を示す指標と
しては、例えばブランケット表面の表面エネルギーが挙
げられ、その値は15〜30dyn/cmであるのが好
ましく、18〜25dyn/cmであるのがより好まし
い。ブランケットの硬度は凹版からブランケットへのイ
ンキの転移性に大きな影響を及ぼすものであって、高精
度の印刷を行うには、JIS A硬度が20〜70、と
りわけ30〜60の範囲にあるのが好ましい。また、ブ
ランケットの表面粗さは、形成されるパターンの形状に
大きな影響を及ぼすことから、表面が平坦なブランケッ
トを用いるのが好ましい。
【0019】(凹版)本発明に用いられる凹版として
は、例えばソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、
石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラス等のガラ
ス;フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル
スルホン樹脂、ポリメタクリル樹脂等の樹脂;ステンレ
ス、銅、低膨張合金アンバー等の金属などが用いられ
る。中でも、ソーダライムガラス等の軟質ガラスを用い
るのが、微細なパターンを高精度で再現する上で好まし
い。
【0020】凹版の表面は、ドクタリング時にインキの
かき残りが生じて非画線部の汚れ(地汚れ)が発生して
しまうのを防止するために、極めて平坦であることが求
められる。最も安価に表面平坦性の優れた凹版を作製す
るには、上記例示のガラスを用いて、エッチングによっ
て凹版を作製するのが好ましい。凹版凹部の線幅および
線間隔は、電磁波シールドパターン部の形状に応じて適
宜設定される。また、凹版凹部の深さも電磁波シールド
パターン部の形状に応じて適宜設定されるものである
が、通常1〜50μm程度に設定するのが適当である。
通常、凹版凹部からブランケットへは凹部内のインキの
約半分が転移し、さらにシリコーンブランケットを用い
ればブランケット上のインキをほぼ100%透明基材上
に転移させることができる。従って、上記転移時におけ
るインキのロスを考慮して、凹部の深さを設定すればよ
い。
【0021】(透明基材)本発明に用いられる透明基材
としては、可視光線に対して優れた透光性を有するもの
であるほかに、導電性樹脂組成物を透明基材上に印刷し
た後で加熱工程を経ることから、充分な耐熱性を有する
ものが好ましい。また、製造時にロール状に巻き付けて
連続処理が可能となるように、可撓性を有するものであ
ることが好ましい。
【0022】具体的に、透明基材としては、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレ
フィン類;ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリ
デン(PVDC)等のビニル類;ポリエーテルスルホ
ン;ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)等のアク
リル樹脂;ポリアミド、ポリイミド樹脂等が挙げられ
る。中でも、可視光線の透過性が非常に良好でかつ安価
であるPETフィルムが好適に用いられる。
【0023】なお、透明基材は上記例示のものに限定さ
れるものではなく、透明であれば、従来公知の種々のガ
ラス基板または樹脂基板を用いることができる。透明基
材の厚みは特に限定されないが、電磁波シールド部材の
透光性を維持するという観点から薄いほど好ましく、使
用時の形態(フィルム状、シート状)や必要とされる機
械的強度に応じて、通常0.05〜5mmの範囲で適宜
設定すればよい。
【0024】(導電性樹脂組成物)本発明において、透
明基材上に印刷されて、電磁波シールドパターンを構成
する導電性樹脂組成物としては、樹脂成分中に少なくと
も、導電性を付与するための金属粉末を配合したものが
用いられる。 (i) 樹脂成分 上記導電性樹脂組成物における樹脂成分としては、例え
ばポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチ
ルセルロース樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂;(メタ)アクリ
ル樹脂等の紫外線硬化樹脂;ポリエステル−メラミン樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、
(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂のいずれも使用
できる。
【0025】中でも、加熱・硬化の際に還元性のガスを
発生する樹脂は、金属粉末の酸化を防止し、金属粉末の
体積固有抵抗が低下するのを防止することができるため
に、好適である。かかる樹脂としては、硬化時にアンモ
ニア、ハロゲン化水素、ホルムアルデヒド等の還元性の
ガス、好ましくはホルムアルデヒドを発生する熱硬化性
樹脂が挙げられる。ホルムアルデヒドを発生する熱硬化
性樹脂としては、例えばフェノール樹脂(とくにメチロ
ール基の多いレゾール型フェノール樹脂)やアミノ樹脂
(とくにメラミン樹脂)があげられる。
【0026】(ii)金属粉末 本発明において、導電性樹脂組成物に配合される金属粉
末としては、例えば銀、銅、ニッケル、パラジウム、
金、アルミニウム、タングステン、クロム、チタン等の
粉末が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合
して用いられる。また、本発明においては、前記金属単
体の粉末のほかに、銅粉末やニッケル粉末の表面を銀で
被覆したものを用いることもできる。
【0027】上記例示の金属粉末のなかでもとりわけ銀
粉末は、絶縁性の高い酸化物が生成しにくく、かつ体積
固有抵抗が低いことから好適に用いられる。ニッケル粉
末は、体積固有抵抗が銀粉末や銅粉末ほどは小さくない
ものの、耐酸化性が強いため、遮蔽効果の経時変化が少
ない電磁波シールドパターンを作製するのに好適であ
る。銅粉末は表面の酸化が生じやすいので、硬化させる
際に還元性のガスを発生する樹脂とともに用いるのが好
ましい。
【0028】金属粉末の平均粒径は特に限定されない
が、導電性樹脂組成物中に均一に配合されることを考慮
して、通常1〜15μmの範囲で設定するのが好まし
い。平均粒径が上記範囲を超えると金属粉末同士の接触
点が少なくなり、接触抵抗が大きくなるおそれがある。
また、電磁波シールドパターンの表面に凹凸を生じさせ
る原因になるおそれもある。逆に、平均粒径が上記範囲
を下回ると金属粉末を導電性樹脂組成物中に均一に分散
させるのが困難になるおそれがある。一方、金属粉末の
充填密度を高めることを目的として、平均粒径が上記範
囲にある金属粉末と、平均粒径が0.01〜3μmの小
粒径のものを100:1〜100:50の重量比で混合
してもよい。
【0029】金属粉末の形状は球状、鱗片状等のいずれ
の形状であってもよいが、金属粉末同士の接触面を大き
くする(接触抵抗を小さくする)ことを考慮すれば、球
状よりも鱗片状のものを使用するのが好ましい。導電性
樹脂組成物中の金属粉末の配合量は、金属粉末の充填密
度や電磁波シールドパターンに要求される導電性に応じ
て設定されるものであって、特に限定されるものではな
いが、通常、導電性樹脂組成物中の含有割合が60〜9
5重量%、好ましくは70〜90重量%の範囲となるよ
うに設定される。金属粉末の含有割合が上記範囲を下回
ると、金属粉末同士の接触点が不足して、電磁波シール
ドパターンの体積固有抵抗が大きくなるおそれがある。
逆に、含有割合が上記範囲を超えると、導電性樹脂組成
物の全量に対する樹脂の含有量が少なくなり過ぎて、金
属粉末を結合させる力が小さくなり、その結果、電磁波
シールドパターンの体積固有抵抗が大きくなるおれがあ
る。また、金属粉末の含有割合が上記範囲を超えると、
導電性樹脂組成物の印刷適性が低下したり、電磁波シー
ルドパターンの強度不足を招いたりするおそれもある。
【0030】(iii) その他の成分 上記導電性樹脂組成物は、凹版オフセット印刷法等での
印刷に適した粘度とするため、上記樹脂および金属粉末
の混合物にさらに溶剤を加えてペースト状に調製され
る。使用する溶剤は、例えば沸点が150℃以上の溶剤
を用いるのが好適である。溶剤の沸点が上記温度を下回
ると、印刷時において溶剤が乾燥しやすくなり、ピンホ
ールが発生するおそれがある。
【0031】使用可能な溶剤の具体例としては、ヘキサ
ノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウン
デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデ
カノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、
セリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオー
ル等のアルコール;エチレングリコールモノブチルエー
テル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、
セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、
カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテー
ト等のアルキルエーテルがあげられ、印刷適正や作業性
等を考慮して適宜選択すればよい。
【0032】溶剤として高級アルコールを使用する場合
は、導電性樹脂組成物の乾燥性や流動性が低下するおそ
れがあるため、これらよりも乾燥性が良好なブチルカル
ビトール、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブ
チルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテ
ートなどを併用すればよい。溶剤の使用量は、導電性樹
脂組成物の粘度によって決定されるが、上記金属粉末の
添加量との兼ね合いから、通常、樹脂成分100重量部
に対して100〜500重量部、好ましくは100〜3
00重量部であるのがよい。溶剤の使用量が上記範囲を
下回ると、金属粉末の添加量が最小の400重量部であ
っても粘度が1000P(ポアズ)以上となり、透明基
材上に印刷する際にピンホールが多発してしまう。逆
に、上記範囲を上回ると、金属粉末の使用量が最大の1
000重量部であっても粘度が10P以下となり、透明
基材への粘着力が不足する。その結果、導電性樹脂組成
物が透明基材からはじかれてしまい、良好な印刷形状で
もって電磁波シールドパターンを形成することができな
くなる。
【0033】本発明における導電性樹脂組成物の粘度
は、通常10〜1000P、好ましくは100〜500
Pに調整するのが好ましい。上記範囲より粘度が低い場
合には印刷形状の劣化が生じる。一方、上記範囲より粘
度が高い場合には、ピンホールが多発する。本発明にお
ける導電性樹脂組成物には、上記樹脂成分と金属粉末の
他に、さらに黒色顔料を配合するのが好ましい。黒色顔
料は、導電性樹脂組成物を印刷して形成される層を黒色
化して外光からの反射を防ぎ、表示画面のコントラスト
を向上させるのに寄与する。
【0034】かかる黒色顔料としては、例えばアセチレ
ンブラック等の、従来公知の種々のカーボンブラックが
挙げられる。また、黒色顔料の導電性樹脂組成物中の含
有割合は、導電性樹脂組成物中の含有割合が0.5〜5
0重量%の範囲となるように設定される。黒色顔料の含
有割合が上記範囲を下回るとコントラストを向上させる
ことができなくなるおそれがある。逆に、上記範囲を超
えると、電磁波シールドパターンの導電性が低下し、電
磁波のシールド効果が低下するおそれがある。
【0035】また、導電性樹脂組成物中において金属粉
末や黒色顔料の凝集や分散不良が生じると、内部電極間
の短絡の発生を引き起こす場合があることから、導電性
樹脂組成物に分散剤を配合することもできる。分散剤と
しては種々の界面活性剤が挙げられるが、中でも、導電
性樹脂組成物の安定化を図るという点から高分子界面活
性剤を使用するのがよい。
【0036】本発明に用いられる導電性樹脂組成物は、
上記成分の他に、必要に応じて可塑剤、静電防止剤、消
泡剤、酸化防止剤、滑剤、硬化剤等の助剤を適宜配合
し、3本ロール、ニーダー等の混合機を用いて混練・分
散することによって調製される。また、金属粉末の分散
性をさらに向上させるためには、3本ロール等による混
練の前にあらかじめプラネタリーミキサー等で十分に混
合しておいてもよい。
【0037】〔印刷パターンの硬化処理〕透明基材上に
印刷形成された導電性樹脂組成物のパターンは、通常8
0〜250℃で10〜90分間、好ましくは100〜1
50℃で15〜60分間加熱、乾燥することにより硬化
される。前記加熱の条件は、導電性樹脂組成物の硬化温
度や透明基材の耐熱温度に応じて適宜調整すればよい。
【0038】前記加熱はクリーンオーブン等で行えばよ
い。硬化処理は、後述する加圧処理の前に行なってもよ
く、処理後に行ってもよいが、加圧処理の効果をより十
分に発揮させるには加圧処理の後で行うのが好ましい。 〔印刷パターンの加圧処理〕本発明においては、印刷パ
ターンの硬化処理前または硬化処理後に、当該印刷パタ
ーンに加圧処理が施される。
【0039】透光性電磁波シールド部材において、導電
性樹脂組成物によって形成された印刷パターン中での金
属粉末の充填密度は、電磁波シールドパターンの導電性
を高めて電磁波のシールド効果をより一層高くするとい
う観点から、高いほど好ましい。この電磁波シールドパ
ターンの導電性は、金属粉末の性質(例えば体積固有抵
抗等)のみで決まるものではなく、パターンの内部にお
ける金属粉末間の接触抵抗によっても大きく左右され
る。例えば、電磁波シールドパターンの内部に金属粒子
が高密度で充填されていても、金属粉末間の接触抵抗が
大きければ、パターン全体の導電性が低くなるおそれが
ある。
【0040】しかしながら、本発明によれば、印刷パタ
ーンに加圧処理を施すことによって、印刷パターン中で
金属粉末を強制的に接触させることができるため、印刷
パターン形成時における金属粉末の充填密度に影響され
ることなく、電磁波シールドパターンの導電性を優れた
ものにすることができる。また、特に電磁波シールド部
材をPDPに使用する場合においては、画面のコントラ
ストを優れたものにするということが非常に重要な要素
となる。従って、導電性シールドパターンができるだけ
黒色に近いことが必要になるが、例えば銀粉末(あるい
は銅粉末)を含有する導電性樹脂組成物を印刷し、加熱
硬化することによって印刷面が白色(銅の場合は茶色)
になってしまい、コントラストを低下させる原因とな
る。
【0041】従来、コントラストの問題を解決するため
に黒色顔料を含有させる方策が採られている。しかし、
この場合にはコントラストの問題を解消することができ
るものの、金属粉末よりも体積固有抵抗が大きいので、
導電性シールドパターンの導電性が低下するという別の
問題が生じる。ところが、本発明によれば、印刷パター
ンに加圧処理を施すことによって金属粉末同士の接触を
良好なものとし、結果として導電性を向上させることが
できることから、黒色顔料を配合した場合であっても導
電性シールドパターンの導電性を低下させることなく、
十分な電磁波のシールド効果を発揮することができる。
【0042】上記加圧処理の方法としては、導電性樹脂
組成物自体の粘着性を考慮して、非粘着性のシートで印
刷パターンを覆い、その上から平面プレスを行う方法
や、表面に非粘着処理を施したり、あるいは前記非粘着
シートを巻き付けたロールを用いて、印刷パターン上を
圧接しつつ転がす方法等が挙げられる。中でも、ロール
を用いて転がしつつ加圧する方法の方が、均一な圧力で
の加圧を行い易いことから好適である。
【0043】前記非粘着シートとしては、表面張力の低
いシリコーンゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等をコ
ーティングしたフィルム等が挙げられる。また、前記非
粘着処理としては、シリコーンゴム、フッ素樹脂、シリ
コーン樹脂等のコーティングが挙げられる。上記加圧処
理において印刷パターン上に施される圧力は、0.1〜
10kg/cm2 、好ましくは1〜5kg/cm2 の範
囲で調整される。圧力が上記範囲を超えると、精度よく
印刷したパターンが押しつぶされてパターンの線幅が広
がり、開口率の減少を招くおそれがある。逆に、上記範
囲を下回ると圧力を加えた効果が十分に発揮されず、パ
ターンの導電性を向上させる効果が得られない。
【0044】加圧処理は、前述のように金属粉末の密着
性を高めるためのものである。従って、加圧処理の時間
は、前記目的に沿った範囲で、かつ導電性樹脂組成物の
粘度等に応じた範囲で適宜設定される。なお、通常、
0.5〜10秒程度加圧するのが適当である。なお、印
刷パターン中における金属粉末の充填密度が高くなりす
ぎるとかえって導電性が悪くなる傾向がみられ、一般に
金属粉末の充填率は80%前後であるのが好適である。
このように、金属粉末の充填密度が高くなりすぎないよ
うにするという観点からも、加圧処理時の圧力は上記の
範囲内にて設定されるのが好ましい。
【0045】〔透光性電磁波シールド部材の一実施形
態〕本発明の製造方法により得られる透光性電磁波シー
ルド部材1の一実施形態としては、例えば図1に示すよ
うに、透明基材2の表面に電磁波シールドパターン10
が形成されたものが挙げられる。 (電磁波シールドパターンの形状)電磁波シールドパタ
ーンの形状としては、例えば図2に示すストライプ状の
パターン11や、図3および4に示す格子状のパターン
12,13等が挙げられる。
【0046】電磁波シールドパターンの形状は、上記ス
トライプ状および格子状のほかに、幾何学模様であって
もよい。すなわち、例えば正三角形、二等辺三角形、直
角三角形等の三角形;正方形、長方形、ひし形、平行四
辺形、台形等の四角形;(正)六角形、(正)八角形、
(正)十二角形、(正)二十角形等の(正)N角形;
円、楕円、星型等の種々の図形単位を繰り返して得られ
る幾何学模様を電磁波シールドパターンとしてもよい。
かかる幾何学模様において、前記図形単位は2種以上を
組み合わせたものであってもよい。また、電磁波シール
ド部材の除電をスムーズに行う観点から、幾何学模様中
の各図形単位がそれぞれ連続していることが好ましい。
幾何学模様からなるパターン形状の具体例としては、例
えば図5に示すように円形模様(図5(a) )、ひし形模
様(図5(b) )、正六角形模様(図5(c) )等のパター
ンが挙げられる。
【0047】なお、図2〜4および図5(a) 〜(c) にお
いて、ハッチングを施した部分は電磁波シールドパター
ン10を示し、ハッチングを施していない部分は電磁波
シールドパターンが形成されていない領域20を示す。
電磁波シールドパターン10の線幅Ws、線間隔Wk
(隣合ったパターン10間の間隔)および膜厚Wtと、
電磁波シールドパターン10の全面積Ssと当該シール
ドパターンが形成されていない領域20の全面積Skと
の比Sk/Ssとは、それぞれ電磁波の遮蔽効果を充分
なものとすることができる範囲で、かつ電磁波シールド
部材の透光性を確保するために、シールドパターン10
自体が肉眼では認識されることのない範囲で設定され
る。
【0048】電磁波シールドパターンが長方形の格子状
である場合(図3)において、前記シールドパターンの
線間隔WkにはWkとWk’の2種の間隔が存在する
が、この場合、線間隔WkとWk’がそれぞれ後述する
所定の範囲内にあればよい。電磁波シールドパターンが
幾何学模様である場合において、線幅Wsとは、幾何学
模様を構成する1ユニット(すなわち、三角形、四角
形、N角形、円、楕円等の構成単位)の幅をいう。線間
隔Wkとはユニット間の距離をいい、1ユニットの面積
の平方根(すなわち、1ユニットを正方形と擬制したと
きの1辺の長さ)を求め、隣接するユニットとの中心位
置での距離から前記平方根を引いた値をユニット間の距
離とする。
【0049】(線幅Ws、膜厚Wtおよび比Ss/Sk
の好適範囲)本発明の透光性電磁波シールド部材におい
ては、透明基材表面のうち電磁波シールドパターンが形
成されている領域の全面積Ssと、当該シールドパター
ンが形成されていない領域の全面積Skとの比Ss/S
kが1以上、9以下で、かつ前記シールドパターンの線
幅Wsが5〜40μmおよび膜厚Wtが0.5〜50μ
mの範囲にあるのが好ましい。
【0050】上記比Sk/Ssが1を下回ると透光性が
不十分になるおそれがある。逆に、比Sk/Ssが9を
超えると電磁波シールド効果が不十分になるおそれがあ
る。比Sk/Ssは上記範囲の中でも特に1〜5である
のが好ましく、1〜3であるのがより好ましい。電磁波
シールドパターンの線幅Wsが5μmを下回るように形
成するのは困難であって、断線が生じやすくなるため、
電磁波シールド効果の低下、不良品の発生につながるお
それがある。逆に、線幅Wsが40μmを超えると電磁
波シールドパターンが目視で認識され易くなり、透光性
の低下につながるおそれがある。線幅Wsは上記範囲の
中でも特に5〜25μmであるのが好ましく、5〜20
μmであるのがより好ましい。
【0051】電磁波シールドパターンの膜厚Wtが0.
5μmを下回るとパターンの断線が発生し易くなり、導
電性も低下することから、電磁波シールド効果の低下に
つながるおそれがある。逆に、膜厚Wtが50μmを超
えると、シールド部材を見る角度によって電磁波シール
ドパターンが認識され易くなり、視認性や視野角の低
下、ひいては透光性の低下につながるおそれがある。膜
厚Wtは上記範囲の中でも特に1〜30μmであるのが
好ましい。
【0052】透光性電磁波シールド部材の開口率(%)
は、電磁波シールドパターンの線幅Wsと線間隔Wkか
ら、次式により求められる。 開口率=〔Wk/(Wk+Ws)〕2 ×100 また、上記開口率(%)は上記比Sk/Ssと次式に示
す関係にある。 Sk/Ss=開口率/(100−開口率) 本発明の透光性電磁波シールド部材において開口率は特
に限定されるものではなく、前述の比Sk/Ss等に応
じて決まるものであるが、透光性と電磁波シールド性と
の兼ね合いから、通常50〜90%、好ましくは60〜
80%の範囲となるように設定される。開口率が上記範
囲を下回ると、電磁波シールド効果が良好になるもの
の、透光性が不十分になるおそれがある。逆に、上記範
囲を超えると、電磁波シールド効果が不十分になるおそ
れがある。なお、PDP用のシールド部材の場合、より
優れた電磁波シールド性が求められるため、開口率は上
記範囲の中でも特に60%以上であるのが好ましい。
【0053】(透光性電磁波シールド部材の用途)本発
明の透光性電磁波シールド部材は、例えばCRT、PD
P等のディスプレイにおける表示画面の前面に設置する
ことにより、表示画面から放射される電磁波の遮蔽を目
的として用いられるほか、透光性電磁波シールド部材の
表面に透明粘着層を形成し、この粘着層にディスプレイ
パネルまたはディスプレイの透明基材を貼り合せること
によって、前記ディスプレイと一体化した電磁波シール
ドパネルとして用いることもできる。
【0054】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 〔透光性電磁波シールド部材の製造〕導電性ペーストと
しては、ポリエステル樹脂〔住友ゴム工業(株)製、無
水トリメリト酸とネオペンチルグリコールとのエステ
ル、重量平均分子量Mw=20000〕80重量部、メ
ラミン樹脂〔住友化学工業(株)製の「スミマールM−
100C」〕20重量部、カーボンブラック(平均粒径
20nm)5重量部、およびフレーク状の銀粉末〔福田
金属箔粉工業(株)製、平均粒径5μm〕800重量部
を混合し、酢酸ブチルカルビトールと炭素数13〜15
の高級アルコールとの混合物(30〜50重量部)で粘
度を調整し、さらに硬化触媒であるp−トルエンスルホ
ン酸(1〜2重量部)を配合したもの(以下、「銀ペー
スト」という。)を用いた。
【0055】透明基材としては、厚さ100μmのポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
導電性樹脂組成物を凹版オフセット印刷法にて印刷する
場合において、凹版にはソーダライムガラス製のもの
を、ブランケットには、表面がシリコーンゴム〔常温硬
化型の付加型シリコーンゴム、ゴム硬度(JIS−A硬
度40)〕からなるもの(表面の10点平均粗さ0.1
μm)をそれぞれ用いた。
【0056】実施例1 凹版オフセット印刷法にて上記PETフィルムの表面に
銀ペーストを印刷し、正方形の格子状ユニットを有する
印刷パターン(Sk/Ss=5.26、パターンの間隔
110μm、開口率84%)を形成した。この印刷パタ
ーンの表面を、表面にシリコーンゴムをコーティングし
たロール(表面の硬度:JIS−A60)により2kg
/cm2 の圧力で圧接しつつ、当該ロールを透明基材上
で転がしながら加圧処理を行って、前記銀ペースト中で
の銀粉末同士が接触する度合いを向上させた。
【0057】次いで、クリーンオーブン(100℃)中
で20分間加熱、硬化させることにより、厚さ10μm
のパターンを得た。こうして、線幅Ws、線間隔Wk、
膜厚Wtおよび比Sk/Ssが下記の表1に示す値に設
定された電磁波シールドパターンを有する透光性電磁波
シールド部材を得た。
【0058】実施例2〜9 透光性電磁波シールドパターンの線幅Ws、線間隔W
k、膜厚Wtおよび比Sk/Ssを下記の表1に示す値
となるように調整したほかは、実施例1と同様にして透
光性電磁波シールド部材の製造を行った。 比較例1 加圧処理を行わなかったほかは、実施例1と同様にして
透光性電磁波シールド部材の製造を行った。
【0059】比較例2 特開平10−163673号公報に記載の実施例1と同
様にして、透光性電磁波シールド部材を作製した。すな
わち、透明基材としてのPETフィルムの表面全面に、
ポリビニルブチラール樹脂とパラジウム触媒とを含む混
合液を塗布し、さらにこの表面に無電解銅メッキを施し
て銅薄膜を形成した。次いで、銅薄膜の表面全面にフォ
トレジストを塗布し、露光、現像によって格子状のレジ
ストパターンを形成した後、塩化第二鉄/塩酸水溶液に
よって銅メッキ被膜をエッチング除去し、さらに前記レ
ジストを剥離した。
【0060】こうして、銅薄膜からなり、線幅Ws、比
Sk/Ssおよび膜厚Wtが下記の表1に示す値に設定
された電磁波シールドパターンを有する透光性電磁波シ
ールド部材を得た。 比較例3 特公平2−48159号公報に記載の実施例1と同様に
して、透光性電磁波シールド部材を作製した。
【0061】すなわち、透明基材としてのPETフィル
ム上に、スクリーン印刷法にて紫外線硬化型ペーストを
印刷して、線幅Ws100μmの、線間隔Wk1mmの
正方形の格子状パターンを形成し、紫外線照射によって
硬化させた。 比較例4 凹版オフセット印刷法に代えて、東レ(株)製の水無し
平版(商品名「TAN」)を用いた平板オフセット印刷
法を用いたほかは、実施例1と同様にして、印刷パター
ンを形成した。
【0062】次いで、加圧処理を行わなかったほかは、
実施例1と同様にして印刷パターンの加熱、硬化を行っ
て、透光性電磁波シールド部材を得た。 比較例5 電磁波シールドパターンの膜厚Wtが72μmとなるよ
うに無電解銅めっきの厚みを大きくしたほかは、比較例
1と同様にして透光性電磁波シールド部材を得た。
【0063】上記の各実施例および比較例におけるパタ
ーンの形成工程と、電磁波シールドパターンの線幅W
s、線間隔Wk、膜厚Wt、比Sk/Ssおよび開口率
を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】〔透光性電磁波シールド部材の物性評価〕
上記実施例および比較例で得られた透光性電磁波シール
ド部材について、以下の物性を評価した。 (電磁波のシールド効果)実施例および比較例で得られ
た電磁波シールド部材から20cm×20cmのサンプ
ルを切り取ってクローズセルに挟みこみ、(社)関西電
子工業振興センターのKEC法にて、電磁波の遮蔽性
(遮蔽効果)を評価した。なお、測定は0.1〜100
0MHzまでの範囲で行い、1000MHzでの電磁波
の減衰率をもって、シールド効果を評価した。
【0066】電磁波のシールド効果は、減衰率(dB)
が大きいほど優れている。評価の基準は以下のとおりで
ある。 A+ :60dB以上;遮蔽性が極めて良好であった。 A:50dB以上、60dB未満;電磁波の遮蔽性が良
好であった。 B:40dB以上、50dB未満;1000MHzでの
遮蔽性は実用上十分であったが、100MHzまたは5
00MHzでの遮蔽性は不十分であった。 C:20dB以上、40dB未満;遮蔽性が極めて不十
分であった。 C- :20dB未満;遮蔽性が極めて不十分であった。
【0067】(可視光透過率)分光顕微鏡(大塚電子
(株)製の「MCPD2000」)にて、波長400〜
700nmの光(可視光線)の透過率(%)を測定し、
その平均値から透光性の評価を行った。透過率が大きい
ほど透光性が優れていることを示す。 A+ :90%以上;透光性が極めて良好であった。 A:80%以上、90%未満;透光性が良好であった。 A- :70%以上、80%未満;透光性が実用上良好で
あった。 B:50%以上、70%未満;透光性が不十分であっ
た。 C:50%未満;透光性が極めて不十分であった。
【0068】(目視による評価、視認性)透光性電磁波
シールド部材をPDP画面の最前面に貼り付けて目視で
観察し、以下の基準で評価した。 A:全面にわたってムラやメッシュ等の模様が観察でき
なかった。 B:かすかにムラやメッシュが観察された。 C:全面にわたってムラやメッシュ等の模様が観察され
た。
【0069】(コントラスト)透光性電磁波シールド部
材をPDP画面の最前面に貼り付け、PDP画面に表示
されたテストパターンを目視で観察して、以下の基準で
評価した。 A:コントラストが良好で、階調表示もわかりやすかっ
た。 B:ややコントラストが低く、階調表示もわかりにくか
った。 C:コントラストが低く、階調表示が非常にわかりにく
かった。
【0070】(製造コストの比較)実施例1における透
光性電磁波シールド部材の製造に要したコストを1とし
て、他の製造方法による製造コストの比を求めた。上記
実施例および比較例の電磁波シールドパターン部におけ
る各物性の評価結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】表2より明らかなように、実施例1〜9で
は電磁波のシールド効果がいずれも良好であったのに対
し、加圧処理を施さなかった比較例1では電磁波のシー
ルド効果が低いという問題があり、特に1000MHz
もの高周波領域でその問題が顕著であった。また、電磁
波シールドパターンの形成をフォトリソグラフィ法によ
って行った比較例1および5では、エッチング処理等に
よってパターン形成用の材料に多量のロスが生じ、製造
コストが実施例1に対して5倍と極めて高いという問題
があった。また、比較例5では、膜厚Wtを大きくする
ことで1000MHzにおいても十分なシールド効果が
得られたものの、視認性が低下するという別の問題が生
じた。
【0073】パターンの形成にスクリーン印刷法を用い
た比較例3では、断線等の問題を生じることなく形成し
得るパターンの最小線幅が100μm程度であるため、
視認性が低下する等の問題があった。比較例4では平版
オフセット印刷法を用いているため、十分な膜厚を有す
るパターンを形成することができず、シールド性能が極
めて低いという問題があった。なお、平版オフセット印
刷の場合、印刷を数回から十数回繰り返すことで十分な
膜厚を得ることができるが、生産性が非常に悪く、コス
トがかかる上、印刷精度の低下も生じるおそれがある。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
電磁波シールド効果、透光性、視認性、視野角の各特性
に優れ、かつ低コストの電磁波シールド部材を得ること
ができる。従って、本発明の透光性電磁波シールド部材
の製造方法は、PDP用等の電磁波シールド部材を製造
する方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) は透光性電磁波シールド部材を示す斜
視図、同図(b) はそのA−A部分拡大断面図である。
【図2】ストライプ状パターンの一例を示す模式図であ
る。
【図3】格子状パターンの一例を示す模式図である。
【図4】格子状パターンの他の例を示す模式図である。
【図5】同図(a) 〜(c) は、幾何学模様からなるパター
ンの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 透光性電磁波シールド部材 2 透明基材 10 電磁波シールドパターン Ws 線幅 Wk 線間隔 Wt 膜厚
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月6日(1999.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】(線幅Ws、膜厚Wtおよび比Sk/Ss
の好適範囲)本発明の透光性電磁波シールド部材におい
ては、透明基材表面のうち電磁波シールドパターンが形
成されている領域の全面積Ssと、当該シールドパター
ンが形成されていない領域の全面積Skとの比Sk/S
が1以上、9以下で、かつ前記シールドパターンの線
幅Wsが5〜40μmおよび膜厚Wtが0.5〜50μ
mの範囲にあるのが好ましい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インキ離型性に優れたブランケットを用い
    た凹版オフセット印刷法で、金属粉末を含有する導電性
    樹脂組成物を透明基材の表面に印刷した後、その印刷パ
    ターンを硬化させて、透明基材の表面に電磁波シールド
    パターンを形成する透光性電磁波シールド部材の製造方
    法であって、 前記印刷パターンの硬化前または硬化後に、当該印刷パ
    ターンの表面を加圧することを特徴とする透光性電磁波
    シールド部材の製造方法。
  2. 【請求項2】前記電磁波シールドパターンがストライプ
    状、格子状または幾何学模様であり、当該電磁波シール
    ドパターンの線幅Wsが5〜40μm、膜厚Wtが0.
    5〜50μmで、かつ前記電磁波シールドパターンの全
    面積Ssと当該電磁波シールドパターンが形成されてい
    ない領域の全面積Skとが式(1) : 1≦Sk/Ss≦9 を満たす請求項1記載の透光性電磁波シールド部材の製
    造方法。
  3. 【請求項3】加圧時の圧力が0.1〜10kg/cm2
    である請求項1記載の透光性電磁波シールド部材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記ブランケットの表面ゴムがシリコーン
    ゴムである請求項1記載の透光性電磁波シールド部材の
    製造方法。
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