JP2003266551A - 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置 - Google Patents

樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置

Info

Publication number
JP2003266551A
JP2003266551A JP2002073793A JP2002073793A JP2003266551A JP 2003266551 A JP2003266551 A JP 2003266551A JP 2002073793 A JP2002073793 A JP 2002073793A JP 2002073793 A JP2002073793 A JP 2002073793A JP 2003266551 A JP2003266551 A JP 2003266551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
roll
groove
impregnated
reinforcing fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002073793A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Kikuchi
仁志 菊池
Atsushi Ozaki
篤 尾崎
Hiroaki Fukui
裕明 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2002073793A priority Critical patent/JP2003266551A/ja
Publication of JP2003266551A publication Critical patent/JP2003266551A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、樹脂の含浸が良好で、かつ、強化繊
維に斜行糸がない無溶媒で製造することができる樹脂含
浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置を提供せん
とするものである。 【解決手段】本発明の樹脂含浸ストランドの製造方法
は、強化繊維ストランドの片面に溶融樹脂を付与した
後、この溶融樹脂付与面をU溝ロールに押し当てて、該
溶融樹脂の含浸を促進することを特徴とするものであ
る。また、かかる樹脂含浸ストランドの製造するための
樹脂含浸装置は、強化繊維ストランドの片面に樹脂を付
与して含浸する装置であって、樹脂付与部に続く含浸部
が、各ロールの軸が平行な平ロールとU溝ロールからな
り、かつ、含浸部最上流のU溝ロールと樹脂被付与部の
間に、少なくとも1本の平ロールを前後のロール軸中心
を結んだ線より樹脂付与面側の位置に設けたことを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強化繊維ストラン
ド一本一本に個別に所定量の樹脂を賦与して含浸させた
トウプリプレグに代表される樹脂含浸ストランドの製造
方法及び樹脂含浸ストランド製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック製部品は、通常、
強化繊維に樹脂を含浸させた、いわゆるプリプレグと呼
ばれるシート状中間基材をツール上に積層し、さらに加
熱・加圧して賦形・硬化させることにより製造される。
従来、プリプレグとしては、複数本の強化繊維ストラン
ドを一方向に並行して配列させたものに樹脂を含浸させ
たシート状一方向プリプレグが主流であったが、近年、
強化繊維ストランドの幅程度の細幅のいわゆる、トウプ
リプレグが、土木建築用の補強材、ワイヤーや、航空機
の機体用材料として注目されている。特に、航空機の機
体部品には、軽量で高強度を求められることから、トウ
プリプレグを用いた繊維強化プラスチックの適用が進ん
でいる。たとえば、トウプリプレグを用いて、その多数
本を同時に積層する装置(自動トウプレースメントマシ
ン)を利用して、より複雑な形状の部品や大型部品への
適用が試みられている。
【0003】トウプリプレグの製法には、一般に、シー
ト状一方向プリプレグをその繊維軸方向に規定幅にスリ
ットする方法や、強化繊維ストランド一本一本に個別に
所定量の樹脂を賦与して含浸させる方法などがある。ス
リットにより作製されたトウプリプレグは幅精度には優
れる反面、端部の繊維の切断による物性低下といった問
題があり、強化繊維ストランド一本一本に個別に所定量
の樹脂を賦与して含浸させる方法により作製されたトウ
プリプレグは端部の繊維の切断による物性低下がないこ
と、つなぎのない長い製品が得られる反面、含浸性の良
いものを得るのが容易でないと言った一長一短があるた
め、区別して考えることが多い。本発明は、後者による
トウプリプレグに関してであり、より明確に表現するた
め、樹脂含浸ストランドと表記することにする。
【0004】樹脂含浸ストランドを製造する方法として
は、例えば、特公昭62−5447号公報、特公昭58
−113226号公報、特公昭61−40317号公
報、等で開示されているが、樹脂の含浸に関しては、溶
媒を使用したいわゆるウェット法により実施しており、
該方法では、含浸性は問題ないものが得られる反面、溶
媒の完全な除去が困難であり、成形物に残存溶媒起因の
ボイドが混入する懸念があった。特に航空機用途で成形
時のフロー調整や成形体の物性向上等を目的として一般
的に使用される熱可塑性樹脂を添加した場合、高沸点の
溶媒を必要となる可能性が高く、溶媒除去の観点から実
質的に適用が困難である。
【0005】また、特開平8−73630号公報では、
扁平にした強化繊維ストランドの少なくとも片面に樹脂
を定量供給し樹脂を強化繊維ストランドに接触させると
同時に又はその直後に強化繊維ストランドの厚さ方向に
浸透させ、強化繊維ストランドを構成するフィラメント
の横方向移動により強化繊維ストランド内に樹脂を均一
に含浸させる樹脂含浸ストランドの製法が開示されてお
り、フィラメントの横方向移動に傾斜させたロールを通
すことによる幅の縮小による移動、加撚、仮撚り、折り
畳み等が例示されている。これらの方法によれば無溶媒
で一定レベルの樹脂含浸が可能であるが、未含浸部のな
い樹脂含浸ストランドを得ることは困難である。樹脂含
浸ストランドに未含浸部がある場合、ボビンから樹脂含
浸ストランドを解舒(引き出す)時、未含浸部のフィラ
メントがボビン上の樹脂に取られて切れる、いわゆる単
糸切れと呼ぶ現象が発生しそのまま使い続けると次第に
単糸切れが増加し、ついには樹脂含浸ストランドが切れ
てしまうため使用上問題がある。また、加撚、仮撚り、
折り畳みを適用すると樹脂含浸ストランド内でのフィラ
メントの平行度が乱れ、斜行糸と呼ばれる樹脂含浸スト
ランド内で斜めに配向したフィラメント群が混入し、成
形体の強度低下や、成形時のフィラメントの移動性の低
下による成形板の表面凹凸や厚みむらといった不良が発
生する。これら斜行糸に起因する問題は、傾斜させたロ
ールを通すことによる幅の縮小による含浸方法では相対
的には改善方向であるが、傾斜ロールの傾斜角度が小さ
いと含浸性が低下し傾斜角度が大きいと通過時に撚りが
混入する確率が増加するというトレードオフ関係にあ
り、必要特性の両立が困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、樹脂の含浸が良好で、かつ、強化繊
維に斜行糸がない無溶媒で製造することができる樹脂含
浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置を提供せん
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の樹脂含浸ストランドの製造方法
は、強化繊維ストランドの片面に溶融樹脂を付与した
後、この溶融樹脂付与面をU溝ロールに押し当てて、該
溶融樹脂の含浸を促進することを特徴とするものであ
る。
【0008】また、かかる樹脂含浸ストランドを製造す
るための樹脂含浸装置は、強化繊維ストランドの片面に
樹脂を付与して含浸する装置であって、樹脂付与部に続
く含浸部が、各ロールの軸が平行な平ロールとU溝ロー
ルからなり、かつ、含浸部最上流のU溝ロールと樹脂被
付与部の間に、少なくとも1本の平ロールを前後のロー
ル軸中心を結んだ線より樹脂付与面側の位置に設けたこ
とを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、樹脂の含浸が良好
でかつ強化繊維に斜行糸がない樹脂含浸ストランドを無
溶媒で製造する方法および装置について、鋭意検討し、
含浸部のロール構成を、溶融樹脂付与面をU溝ロールに
押し当てて、押圧してみたところ、かかる課題を一挙に
解決することを究明したものである。
【0010】すなわち、本発明の樹脂含浸ストランドの
製造方法では、強化繊維ストランドへ溶融樹脂を片面か
ら付与する必要がある。溶融樹脂を強化繊維ストランド
の両面から付与する場合、それぞれの面には概略半量ず
つ付与する必要があるが、半分の付与量の溶融樹脂を精
度良く調整することは困難である上に、それぞれの面に
対し、付与量を調整する必要があり、さらに調整時の強
化繊維及び樹脂の損失が倍以上になるので、好ましくな
い。
【0011】また、樹脂含浸はU溝のロールを通過させ
る必要がある。すなわち、平ロールのみでは、糸道が不
安定となり、斜行糸が混入する頻度が増す上に、含浸が
不十分となるので好ましくない。
【0012】さらに、U溝ロールでは強化繊維ストラン
ドの樹脂被付与側の面がロールに接することが必要であ
る。すなわち、U溝ロールで樹脂未含浸状態の強化繊維
ストランドの樹脂被付与側の反対面がロールに接する場
合、樹脂の付着していないフィラメントが側面から樹脂
付着側の面に回り込んで、樹脂を芯とし、表面が全て樹
脂付着していないフィラメントが露出した状態となるた
め、その後の工程で含浸が進行し難く、またガイド等と
の擦過により、フィラメントが切れ毛羽が生じやすくな
るので好ましくない。
【0013】ここで、本発明で言うU溝ロールとは、ロ
ール外周の強化繊維ストランドを通糸する部分が一定の
曲率に加工されたU溝となっているロールを意味するも
のである。かかるロールの径は、溝底部で10mm以上
50mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは
15mm以上35mm以下であるものがよい。すなわ
ち、ロールの径(溝底部)が10mm未満では、強化繊
維ストランド中のフィラメントが切れる頻度が増し、毛
羽の巻付きが生じるため好ましくない。一方、ロールの
径(溝底部)が50mmを越えると、強化繊維ストラン
ド内への樹脂含浸性が低下するので好ましくない。
【0014】かかるU溝の形状は、得ようとする樹脂含
浸ストランドの強化繊維目付に応じて決められ、強化繊
維目付をw(g/m)、強化繊維の密度をd(g/cm
3 )とすると、U溝断面の曲率半径R(mm)は次式の
範囲であることが好ましい。
【0015】4.0×(w/d)1/2 ≦R≦20.0×
(w/d)1/2 さらに下式の範囲であれば、さらに好ましい。
【0016】6.0×(w/d)1/2 ≦R≦12.0×
(w/d)1/2 すなわち、U溝断面の曲率半径R(mm)が、4.0×
(w/d)1/2 未満であると、幅方向に繊維が折れ畳ま
れ斜行糸が混入する可能性が高くなるため好ましくな
く、逆に、20.0×(w/d)1/2 を越えると、糸道
のぶれを抑える効果が低くなるため好ましくない。
【0017】また、かかるロールのU溝の曲率を有する
部分の幅A(mm)は、下式の範囲であることが好まし
い。
【0018】6.4×(w/d)1/2 ≦A≦32.0×
(w/d)1/2 該幅A(mm)が、6.4×(w/d)1/2 未満である
と、糸かけ作業性が低下するため好ましくなく、逆に3
2.0×(w/d)1/2 を越えても、強化繊維ストラン
ドが接するのは中央部のみであるため実質的に意味がな
い。
【0019】また、通糸作業性の観点から、U溝の曲率
部分Aの外側に鍔が着いたロールを使用することも可能
である。
【0020】強化繊維ストランドに付与する溶融樹脂量
は、繊維目付の0.3〜0.7倍量、さらに好ましくは
0.45〜0.65倍量の範囲内であるのが好ましい。
すなわち、該溶融樹脂量が繊維目付の0.3倍量未満で
は樹脂量に余裕がないため、樹脂付与量が減少側に変動
した場合、強化繊維ストランド中に完全に行き渡らず樹
脂付与面の反対面に未含浸部が混入する場合があるため
好ましくなく、0.7倍量を越えると、含浸は良好とな
るものの、マトリックス樹脂が、過剰となるため形態保
持性が低下する。
【0021】本発明の樹脂含浸ストランドの製造方法で
は、溶融樹脂付与部から含浸部のすべてのロールの軸が
平行である装置を用い、強化繊維ストランドをロール軸
と直交する基準面と常に平行に走行させることで樹脂含
浸ストランドへの斜行糸が混入せず、成形体の強度低下
や、成形板の表面凹凸や厚みむらといった不良の発生が
抑制できるために好ましい。
【0022】本発明において、溶融樹脂の粘度が、1〜
5Pa・s(10から50ポアズ)となる温度にU溝ロ
ールの温度をコントロールすることにより、速やかな含
浸が可能となり、より早いライン速度を選択でき単位時
間あたりの生産量を多くすることが可能となるため好ま
しく、またU溝ロールの直前の平ロールを予備加熱する
ことはより好ましい。
【0023】かかる溶融樹脂粘度をコントロールする温
度は、予め既知の方法で測定した温度−粘度曲線より、
必要な温度を読みとることができる。温度−粘度曲線
は、B型粘度計又はE型粘度計などを用いて必要な領域
数点の温度で測定した樹脂の粘度をプロットしても得ら
れるし、粘弾性測定装置を用いて温度を昇温しながら、
一定間隔で粘度測定をする方法でより精度良く求めるこ
ともできる。
【0024】かかる粘弾性測定装置を用いた温度−粘度
曲線測定の一例として、レオメトリック・サイエンティ
フィック・エフ・イー製、粘弾性測定装置 型番:AR
ESにて1〜5℃/分昇温、測定周波数0.5Hz、デ
ータ取り込み間隔15秒の測定条件が挙げられる。
【0025】また、樹脂付与部は、回転する溝付きロー
ルの溝部に溶融樹脂を供給しながら、ブレードとロール
間のクリアランスで樹脂付着量を制御する溝付きキスロ
ールを用いれば、溶融樹脂を精度良く付与できるため好
ましい。また、この回転方向の下流側でこの溝付きロー
ルの溝部に強化繊維ストランドを接触させることによ
り、強化繊維ストランドに溶融樹脂を安定して定量付与
することができる。
【0026】ここで、溝付きロールは、円筒状のロール
表面の周方向に一定の幅と深さで加工された溝を有する
ロールである。溝の幅は、得ようとする樹脂含浸ストラ
ンドの幅に応じて決められるが、およそ2mm以上30
mm以下が好ましく、さらに好ましくは3mm以上20
mm以下である。2mm未満では、溝加工がしにくく、
また得られる製品の幅が狭くなり樹脂含浸ストランドと
しての実用性が劣るようになる。一方、溝の幅が30m
mを越えると、フィラメントの平行度を維持するのがむ
つかしくなり、得られる成形体の力学特性に不安を生じ
る。
【0027】また、かかる溝の深さは、およそ1mm以
上10mm以下が好ましく、さらに好ましくは3mm以
上10mm以下が適当である。1mm未満では、後述す
るブレードと溝底部のすき間調整がむつかしくなり、1
0mmを越えても実質的に意味がなくなり、また樹脂含
浸ストランドの製造工程で繊維巻き付きがあった場合に
繊維を除去することが難しくなってくる。
【0028】また、溶融樹脂の供給時粘度は、5から6
0Pa・s(50から600ポアズ)であることが、樹
脂付与時の条件の自由度が広く確保できることから好ま
しい。5Pa・s未満では、流動性が高いため樹脂の付
与時に、供給部分の装置の隙間等から樹脂が垂れ落ちな
い条件を設定する必要があり、60Pa・sを越える場
合は、擦過による樹脂転写時、フィラメントが切れてロ
ールに巻き付くことのないようライン速度を低めに設定
する必要がある。このため、樹脂付与部の温度を、溶融
樹脂粘度が該範囲内になるようコントロールすることが
好ましい。
【0029】強化繊維ストランドと溝底部に塗付された
溶融樹脂の接触時間は、ロール径、回転数、強化繊維ス
トランドの接触角などによって決まるが、ロール径につ
いては溝底部で50mm以上500mm以下が好まし
く、さらに好ましくは90mm以上300mm以下が使
いやすく好ましい。また、強化繊維ストランドと溝付き
ロールの接触角は30〜180゜が好ましく、さらに好
ましくは60〜120゜となるようにする。接触角が3
0゜未満になると、溶融樹脂との接触時間が短過ぎるの
でロール上に溶融樹脂の残存が生じ、一方で180゜を
越えるとロールへのフィラメントの巻き付きが起こりや
すくなる。また、ロールの溝底部での周速は、強化繊維
ストランドの搬送速度とほぼ同じにするのが好ましい。
【0030】本発明によれば、塗布された溶融樹脂と強
化繊維ストランドとの接触が完了した溝底部にはほとん
ど樹脂が残らず、ロールが1回転後溝底部に新たに溶融
樹脂が塗布される。かかる強化繊維ストランドに付与さ
せる樹脂量は、回転する溝付きロールの溝の内側に、溝
幅とほぼ同様の幅を有するブレードを挿入し、溝の底部
とブレードの間に形成されるすき間の大きさを調整する
ことによって制御することができる。
【0031】この時、すき間の調整しろは、0.01m
mから2mmが好ましく、0.01mmから1mmがさ
らに好ましい。 また、ブレードは溝に挿入されるの
で、その幅がほぼ溝幅に一致することが好ましい。ブレ
ードの幅が溝幅より小さいと、溝の側面とブレードの間
に形成されるすき間から、必要以上の量の樹脂が下流側
の溝底部に塗布されるため、過剰に樹脂が付着したり、
平(溝なし)ロールを用いた場合と同じように、樹脂含
浸ストランドの幅の両端部でのフィラメントの切断が起
こりやすくなる。
【0032】また、本発明の樹脂含浸装置は、強化繊維
ストランドの片面に樹脂を付与して含浸する装置であっ
て、樹脂付与部に続く含浸部が、各ロールの軸が平行な
平ロールとU溝ロールからなり、かつ、含浸部最上流の
U溝ロールと樹脂被付与部の間に、少なくとも1本の平
ロールを前後のロール軸中心を結んだ線より樹脂付与面
側の位置に設けたものである。このような装置の構成と
することにより、この平ロールは、含浸部を経た強化繊
維ストランドの溶融樹脂塗布面を、次のU溝ロール面に
押圧することができる位置に設けられているので、樹脂
の含浸が良好で、かつ、斜行糸の混入のない樹脂含浸ス
トランドを、しかも無溶媒で製造することが可能となる
ものである。
【0033】図1は、本発明の樹脂含浸ストランドの作
製装置の1実施例を示す概略正面図である。図2は、樹
脂供給部および、含浸部の概略正面図である。図3は、
U溝ロールの概略平面図である。
【0034】図1に示すように、クリール1に仕掛けら
れた強化繊維ストランド2は引き出されて溝付きロール
3の下部に接触し、次いで平ロール4とU溝ロール5を
経て、駆動ロール6を通じてワインダ7に導かれ巻き取
られる。ここで、樹脂付与部および、含浸部について図
2により、詳細に説明する。溝付きロール3により片面
に樹脂付与する樹脂付与部に続く含浸部は、平ロールと
U溝ロールからなる。含浸部(溝付きロール3)とU溝
ロール4の両ロールのロール軸中心を結んだ線より樹脂
付与面側の位置に平ロールを設けているので、強化繊維
ストランドの樹脂被付与側の面をUロールに押圧するこ
とが出来るのである。
【0035】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより具体的に
説明する。
【0036】実施例1 強化繊維として、東レ(株)製、”トレカ”(R)型番
T700S(引張強さ:4.9GPa、引張弾性率:2
30GPa、破壊歪みエネルギー:52000KJ/m
3 、密度:1.80g/cm3 )の12000フィラメ
ントの炭素繊維(目付0.80g/m)を使用した。
【0037】図1の装置を用いて、ガラス転移点(T
g)が5℃であるエポキシ樹脂を、樹脂含有率が35重
量%になるよう付与して、樹脂含浸ストランドを製造し
た。
【0038】すなわち、エポキシ樹脂としては、テトラ
グリシジルジアミノジフェニルメタンタイプのエポキシ
樹脂と、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルタイ
プのエポキシ樹脂、さらに硬化剤として4、4’ジフェ
ニルジアミノスルフォンを使用し、熱可塑性ポリマーと
してポリエーテルスルフォンを添加し、原料樹脂の配合
比を調整することにより樹脂の粘度を80℃で9Pa・
s(90ポアズ)、ガラス転移点を上述の値に合わせ
た。
【0039】この樹脂の粘度をレオメトリック・サイエ
ンティフィック・エフ・イー製粘弾性測定装置ARES
等を用い、2℃/分昇温で測定周波数0.5Hz、デー
タ取り込み間隔15秒で測定した。30℃で5000P
a・s(50000ポアズ)、50℃で400Pa・s
(4000ポアズ)、60℃で120Pa・s(120
0ポアズ)、80℃で9Pa・s(90ポアズ)、11
0℃で4Pa・s(40ポアズ)であった。
【0040】炭素繊維に樹脂を含浸する条件としては、
溝付きロール3に熱媒循環式のロールを用い熱媒温度を
85℃以上にコントロールすることで溶融樹脂温度を8
0℃に保った。炭素繊維ストランドは糸速10m/mi
nで走行させた。炭素繊維ストランドの上面から樹脂供
給し、続く平ロールは樹脂の非供給面をロール側にして
送り、次いでUロールに樹脂供給面側をロール側にして
通し含浸を促進した。Uロールには、溝底部の直径25
mm、溝の曲率半径R4.0mm、曲率部の幅A7.8
mmのものを適用した(強化繊維目付、密度から算出さ
れる溝の曲率半径R、及び曲率部の幅Aの範囲は、それ
ぞれ2.7≦R≦13.3、4.3≦A≦21.3)。
ここで、樹脂供給ロールに続く平ロールとUロールに
は、熱風を当てることで、樹脂温度を110℃に保っ
た。含浸した樹脂含浸ストランドを室温に冷却し、ワイ
ンダーに巻き取った。
【0041】このようにして作製した樹脂含浸ストラン
ドは、含浸性良く、ボビンから10m/分の速度で50
0m以上切断することなく引き出すことが可能であっ
た。
【0042】また斜行糸の混入もなく、樹脂含浸ストラ
ンドを幅方向に強化繊維目付が190g/m2 となるよ
う等間隔に並べてシートとした後、繊維方向を同一にし
て4層積層し硬化した成形板は厚みむらのない良好なも
のであった。
【0043】比較例1 樹脂供給ロールの後のロール構成を、樹脂供給ロールと
Uロールの間の平ロールを除いたほかは実施例1と同様
にして樹脂含浸ストランドを作製した。樹脂供給ロール
とUロールの間の平ロールを除いたことによりUロール
には強化繊維ストランドの非樹脂供給面が当たった。こ
のことにより、このUロール上で樹脂を中心とし外側を
樹脂の付着していないフィラメントが取り巻いた形態と
なり、最終的な樹脂含浸ストランドの表面には樹脂の付
着していない部分が残っていた。
【0044】ボビンから10m/分の速度で引き出した
ところ、すぐに単糸切れが発生し20m引き出したとこ
ろで樹脂含浸ストランドが切断した。
【0045】実施例2 補強繊維として、東レ(株)製、”トレカ”型番T80
0H(引張強さ:5.6GPa、引張弾性率:294G
Pa、破壊歪みエネルギー:53000KJ/m3 、密
度:1.81g/cm3 )の12000フィラメントの
炭素繊維(目付0.445g/m)を使用した他は、実
施例1と同様に、図1の装置(Uロール形状:溝底部の
直径25mm、溝の曲率半径R4.0mm、曲率部の幅
A7.8mm)を用いて、樹脂含浸ストランドを作製し
た(強化繊維目付、密度から算出される溝の曲率半径
R、及び曲率部の幅Aの範囲は、それぞれ2.0≦R≦
9.9、3.2≦A≦15.9)。
【0046】樹脂含浸ストランドは、含浸性良く、ボビ
ンから10m/分の速度で500m以上切断することな
く引き出すことが可能であった。また斜行糸の混入もな
く、実施例1と同様にして作製した成形板は厚みむらの
ない良好なものであった。
【0047】比較例2 図1の平ロール4及びU溝ロール5の代わりに図4の平
ロールの組み合わせを用いた他は実施例1と同様の方法
で、実施例1と同一の樹脂CFを用いて樹脂含浸ストラ
ンドを作製した。
【0048】10m/分で引き出す解舒テストを実施し
たところ、200m引き出したところで樹脂含浸ストラ
ンドが切断した。
【0049】また、この樹脂含浸ストランドには、斜行
糸の混入多く、実施例1と同様にして作製した成形板の
厚みむらがあるものであった。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法および装置により、樹脂の
含浸が良好でかつ強化繊維に斜行糸がない樹脂含浸スト
ランドを無溶媒で製造するすることが可能となった。
【0051】本発明は、樹脂の含浸が良好で、かつ、強
化繊維に斜行糸がない無溶媒で製造することができる樹
脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置を提供
せんとするものである。
【0052】本発明の樹脂含浸ストランドの製造方法
は、強化繊維ストランドの片面に溶融樹脂を付与した
後、この溶融樹脂付与面をU溝ロールに押し当てて、該
溶融樹脂の含浸を促進することを特徴とするものであ
る。
【0053】また、かかる樹脂含浸ストランドの製造す
るための樹脂含浸装置は、強化繊維ストランドの片面に
樹脂を付与して含浸する装置であって、樹脂付与部に続
く含浸部が、各ロールの軸が平行な平ロールとU溝ロー
ルからなり、かつ、含浸部最上流のU溝ロールと樹脂被
付与部の間に、少なくとも1本の平ロールを前後のロー
ル軸中心を結んだ線より樹脂付与面側の位置に設けたこ
とを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂含浸ストランドの作製装置の1実
施例を示す概略正面図である。
【図2】 樹脂付与部および、含浸部の概略正面図であ
る。
【図3】 U溝ロールの概略平面図である。
【図4】 U溝ロールの代わりに傾斜ロールを用いた例
(比較例2)の図である。
【符号の説明】
1:クリール 2:強化繊維ストランド 3:溝付きロール 4:平ロール 5:U溝ロール 5A:U溝ロール(鍔なし) 5B、5B−B:U溝ロール(鍔あり) 6:駆動ロール 7:ワインダ 8:平ロール(回転軸が、平行) 9:平ロール(回転軸が、傾斜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F205 AB11 AD16 AG14 AH34 AP05 AR17 HA06 HA29 HA37 HA39 HA47 HB02 HC02 HG01 HK19 HK25 HM02 HM06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強化繊維ストランドの片面に溶融樹脂を付
    与した後、この溶融樹脂付与面をU溝ロールに押し当て
    て、該溶融樹脂の含浸を促進することを特徴とする樹脂
    含浸ストランドの製造方法。
  2. 【請求項2】該U溝ロールの径が、溝底部で10mm以
    上50mm以下で、かつ、溝断面の曲率半径R(mm)
    が下記式で表されるU溝ロールを使用することを特徴と
    する請求項1記載の樹脂含浸ストランドの製造方法。 4.0×(w/d)1/2 ≦R≦20.0×(w/d)
    1/2 ここで、w(g/m):強化繊維目付 d(g/cm3 ):強化繊維の密度を表す。
  3. 【請求項3】該U溝ロールが、曲率を有する部分の幅A
    (mm)が下記式を満たすロールであることを特徴とす
    る請求項1または2記載の樹脂含浸ストランドの製造方
    法。 6.4×(w/d)1/2 ≦A≦32.0×(w/d)
    1/2
  4. 【請求項4】該溶融樹脂の付着量が、繊維目付の0.3
    から0.7倍量であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の樹脂含浸ストランドの製造方法。
  5. 【請求項5】該U溝ロールを含む樹脂含浸部のすべての
    ロール軸が平行であって、該ストランドを該ロール軸と
    直交する基準面と常に平行に走行させることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂含浸ストランド
    の製造方法。
  6. 【請求項6】溶融樹脂の粘度が1から5Pa・s(10
    から50ポアズ)となる温度に溶融樹脂付与後最初に通
    過するのU溝ロールの温度をコントロールする、請求項
    1〜5のいずれかに記載の樹脂含浸ストランドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】該溶融樹脂の粘度調整が、該U溝ロールで
    の樹脂温度をコントロールすることであることを特徴と
    する請求項6記載の樹脂含浸ストランドの製造方法。
  8. 【請求項8】該樹脂を付与する際に、ブレードとのクリ
    アランスで樹脂付着量を制御する溝付きキスロールを用
    いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    樹脂含浸ストランドの製造方法。
  9. 【請求項9】強化繊維ストランドの片面に樹脂を付与し
    て含浸する装置であって、樹脂付与部に続く含浸部が、
    各ロールの軸が平行な平ロールとU溝ロールからなり、
    かつ、含浸部最上流のU溝ロールと樹脂被付与部の間
    に、少なくとも1本の平ロールを前後のロール軸中心を
    結んだ線より樹脂付与面側の位置に設けたことを特徴と
    する樹脂含浸装置。
JP2002073793A 2002-03-18 2002-03-18 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置 Pending JP2003266551A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002073793A JP2003266551A (ja) 2002-03-18 2002-03-18 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002073793A JP2003266551A (ja) 2002-03-18 2002-03-18 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003266551A true JP2003266551A (ja) 2003-09-24

Family

ID=29203360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002073793A Pending JP2003266551A (ja) 2002-03-18 2002-03-18 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003266551A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214785A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Kyocera Corp 繊維束整列装置
US10399114B2 (en) 2015-10-14 2019-09-03 Mizuno Corporation Apparatus and method for manufacturing tow prepreg

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214785A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Kyocera Corp 繊維束整列装置
US10399114B2 (en) 2015-10-14 2019-09-03 Mizuno Corporation Apparatus and method for manufacturing tow prepreg
US10933441B2 (en) 2015-10-14 2021-03-02 Mizuno Corporation Method for manufacturing tow prepreg

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8490253B2 (en) Apparatus and methods for spreading fiber bundles for the continuous production of prepreg
JP7001997B2 (ja) 部分分繊繊維束とその製造方法、および部分分繊繊維束を用いた繊維強化樹脂成形材料とその製造方法
JP6083377B2 (ja) 炭素繊維複合材料
JP7001995B2 (ja) 部分分繊繊維束とその製造方法、および部分分繊繊維束を用いた繊維強化樹脂成形材料とその製造方法
WO2008149615A9 (ja) チョップド繊維束、成形材料、および、繊維強化プラスチック、ならびに、これらの製造方法
US10626235B2 (en) Flexible composite prepreg materials
JPH10292238A (ja) 炭素繊維束の開繊装置および開繊方法およびプリプレグの製造方法
KR101198256B1 (ko) 섬유 광폭화 장치 및 이를 갖는 연속 섬유 강화 플라스틱 복합소재 제조시스템
JP6619789B2 (ja) トウプリプレグの製造装置及びその製造方法
JP7001998B2 (ja) 部分分繊繊維束の製造方法と部分分繊繊維束、および部分分繊繊維束を用いた繊維強化樹脂成形材料とその製造方法
JP2005163223A (ja) 強化繊維束の開繊方法および開繊装置
JP3635773B2 (ja) ヤーンプリプレグの製造方法および装置
JP3575718B2 (ja) トウプリプレグの製造方法
JP2005335296A (ja) トウプリプレグの製造方法
JPH11130882A (ja) ヤーンプリプレグおよびその製造方法
JP2005161797A (ja) プリプレグの製造方法および製造装置
JP2003266551A (ja) 樹脂含浸ストランドの製造方法および樹脂含浸装置
JP2006063173A (ja) 繊維強化複合材料の製造法及び繊維強化複合材料の製造装置
EP3700848B1 (en) Unwinding of materials
JP2004090352A (ja) トウプリプレグの製造方法及びその製造装置
JP2006257593A (ja) 熱硬化性プリプレグ用の強化繊維束の開繊装置および開繊方法およびプリプレグの製造方法
JP2004058593A (ja) トウプリプレグの製造方法及びその製造装置
JPH0550434A (ja) ロツド状繊維補強樹脂材の連続製造方法及びその装置
JP2004027078A (ja) トウプリプレグの製造方法及び製造装置
JP2005264146A (ja) 強化繊維プリプレグ製造用樹脂フィルム、強化繊維プリプレグおよび強化繊維プリプレグ製造用樹脂フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070410