JP2004090352A - トウプリプレグの製造方法及びその製造装置 - Google Patents

トウプリプレグの製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Atsushi Ozaki
尾崎 篤
Hitoshi Kikuchi
菊池 仁志
Masabumi Kondo
近藤 正文
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Abstract

【課題】端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを幅精度良く長時間安定して製造するトウプリプレグの製造方法及びその為の製造装置の提供。
【解決手段】トウプリプレグの製造方法は、強化繊維ストランド2にマトリックス樹脂を含浸した後、得られたトウプリプレグのライン速度より周速が遅い溝付き加熱駆動ロール4の溝通過により、該トウプリプレグに付着しているマトリックス樹脂を加熱低粘度化して、該トウプリプレグの幅を所定幅に調整した後、少なくとも1つの溝付き引き取りロール5により、引き取りながら、同時に該加熱低粘度化したマトリックス樹脂を冷却して増粘し、該トウプリプレグの幅を固定することを特徴とする。また、製造装置は、トウプリプレグを巻き取るトウプリプレグの製造装置において、加熱機構を有する溝付き駆動ロール4と溝付き引き取りロール5が連続して配設されてなる幅規制部を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強化繊維ストランド一本一本に、個別に、所定量のマトリックス樹脂を賦与して含浸させ、かつ、幅精度の良好なトウプリプレグを得るためのトウプリプレグの製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック製部品は、通常、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた、いわゆるプリプレグと呼ばれるシート状中間基材をツール上に積層し、さらに加熱・加圧して賦形・硬化させることにより製造される。従来、プリプレグとしては、複数本の強化繊維ストランドを一方向に並行して配列させたものにマトリックス樹脂を含浸させたシート状一方向プリプレグが主流であったが、近年、強化繊維ストランドの幅程度の細幅のいわゆる、トウプリプレグが、土木建築用の補強材、ワイヤーや、航空機の機体用材料として注目されている。特に、航空機の機体部品には、軽量で高強度を求められることから、トウプリプレグを用いた繊維強化プラスチックの適用が進んでいる。たとえば、トウプリプレグを用いて、その多数本を同時に積層する装置(自動トウプレースメントマシン)を利用して、より複雑な形状の部品や大型部品への適用が試みられている。
【0003】
トウプリプレグの製法には、一般に、シート状一方向プリプレグをその繊維軸方向に規定幅にスリットする方法や、強化繊維ストランド一本一本に個別に所定量のマトリックス樹脂を賦与して含浸させる方法などがある。前者の製法によるトウプリプレグは、特にスリットトウプリプレグと呼び、後者と区別して扱われる。これは、スリットにより作製されたトウプリプレグは幅精度には優れる反面、端部の繊維の切断による物性低下や、スリット前のプリプレグに存在する繋ぎが混入するといった問題を有するためである。また、後者の製法すなわち、強化繊維ストランド一本一本に個別に所定量のマトリックス樹脂を賦与して含浸させる方法により作製されたトウプリプレグは端部の繊維の切断による物性低下がないこと、繋ぎのない長い製品が得られる反面、幅精度の良いものを得るのが容易でないと言った問題があった。
【0004】
トウプリプレグは、複雑な形状を有する成形体や、厚物の成形体を製造する際のフィラメントワインド用としても好適に使用される。また、近年、ファイバープレスメントと呼ばれる複数本のトウプリプレグを引き揃えてテープ状とし、複雑な形状のマンドレル面に配置し、成形体を得る方法が開発された。
【0005】
フィラメントワインドやファイバープレスメントに使用されるトウプリプレグは、複数本の糸条を揃えてマンドレル上に配列する必要があるため、その幅精度が悪い場合、成形体中の補強繊維の配列が影響を受ける。すなわち、幅の広い部分では、積層して成形とする際に、隣接するトウプリプレグの端部同士が重なることにより、厚みのバラツキが発生する。また、交差させて積層する際に、厚みのバラツキが大きな層を交差させて積層した場合、その後加熱加圧して含浸マトリックス樹脂を硬化させるときにマトリックス樹脂が流動することにより、補強繊維の配列に乱れが生じやすい。
【0006】
また、幅の狭い部分では、隣接する糸条との間に空隙を生じた場合には、積層したときに空隙部分を生じ易い。このような空隙部分を有する積層体を加熱加圧して硬化すると、空隙部周辺が十分に加圧されず、加圧ムラにより、ボイドが発生しやすい。このボイドが欠陥となるため欠陥支配の特性である引張強度が低下する。
【0007】
幅精度の良好なトウプリプレグを製造する方法としては、例えば、特開平11−130882号公報に、マトリックス樹脂を含浸した後、巻き取り前に繊維束を規制する固定または回転するガイドに接続する方法が示唆されているが、固定ガイドにおいては擦過毛羽の蓄積による長時間にわたっての安定性の点で問題があり、また回転ガイドでは糸の張力変動による微妙な糸幅方向のふれの影響を受けやすく、幅精度の不良が不規則に混入するという問題があり、幅精度不良部が混入せず長尺のトウプリプレグを得ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術に鑑み、端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを幅精度良く長時間安定して製造するトウプリプレグの製造方法およびそのための製造装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のトウプリプレグの製造方法は、強化繊維ストランドにマトリックス樹脂を含浸した後、得られたトウプリプレグのライン速度より周速が遅い溝付き加熱駆動ロールの溝通過により、該トウプリプレグに付着しているマトリックス樹脂を加熱低粘度化して、該トウプリプレグの幅を所定幅に調整した後、少なくとも1つの溝付き引き取りロールにより、引き取りながら、同時に該加熱低粘度化したマトリックス樹脂を冷却して増粘し、該トウプリプレグの幅を固定することを特徴とするものである。また、かかるトウプリプレグの製造装置は、強化繊維ストランドにマトリックス樹脂を含浸した後、得られたトウプリプレグを巻き取るトウプリプレグの製造装置において、加熱機構を有する溝付き駆動ロールと溝付き引き取りロールが連続して配設されてなる幅規制部を有することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、トウプリプレグの幅のバラツキを低減する操作を、幅規制と定義する。すなわち、本発明の幅規制は、幅調整と幅固定からなるものである。
【0011】
本発明者らは、端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを幅精度良く長時間安定して製造することができるトウプリプレグの製造方法について、鋭意検討し、強化繊維ストランドへのマトリックス樹脂含浸後において、ライン速度(トウプリプレグのライン速度)より周速の遅い溝付き加熱駆動ロールを通過させて、該溝付き駆動ロールの溝内で擦過することによって、幅調整を行い、また、溝付き引き取りロール上での冷却によって、幅固定を行う手段によって、幅規制を行う方法を採用してみたとろ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0012】
なお、ライン速度とは、工程でのトウプリプレグの速度を指し、溝付き駆動ロールの周速とは、トウプリプレグの接触する溝底部の速度を指すものとする。
【0013】
すなわち、本発明のトウプリプレグの製造方法は、強化繊維ストランドへのマトリックス樹脂を含浸した後、トウプリプレグのライン速度より周速が遅い溝付き加熱駆動ロールの溝通過により、マトリックス樹脂を加熱低粘度化することで、強化繊維を移動し易くすると共に、溝内で擦過することにより、トウプリプレグの幅を所定幅(溝幅)に調整し、直後に設置した溝付き引き取りロールにより引き取ると同時にマトリックス樹脂を冷却増粘し、トウプリプレグの幅を固定するものである。
【0014】
なお、溝付き加熱ロールの周速がライン速度より遅いことにより、加熱ロールの溝内でトウプリプレグが擦過する。かかる擦過により、該駆動ロールの接触部全域で所定の溝幅への幅調整効果が生じるため、本発明の高い幅調整効果が得られるのである。溝付き加熱駆動ロールの周速がライン速度と等しい場合、溝内で擦過が生じないことから、幅を変化させるドライビングフォースはロール入り口での幅変化に限定されるため、十分な幅調整効果が得られない。
【0015】
かかる幅調整の後、溝付き引き取りロール上で幅を固定することで、原料強の化繊維の幅の不均一さに起因する幅のバラツキを低減することができるものである。
【0016】
溝付き加熱駆動ロールに続く、引き取りロールに溝がない場合、溝付き加熱駆動ロールの溝を出た後も、トウプリプレグのマトリックス樹脂が低粘度な状態で引き取られるため、張力により、トウプリプレグ中の強化繊維が移動し、溝付き加熱駆動ロールの溝で調整した幅が、元の状態へ戻るため、この変化の過程で幅のバラツキが増加する。また、溝付き加熱駆動ロールを設置せず溝付き引き取りロールにより引き取るのみの場合では、マトリックス樹脂が低粘度化されていないため、繊維が移動し難いため、原料強化繊維の幅の不均一さに起因する幅のバラツキが残存することとなる。
【0017】
ここで、トウプリプレグの幅のバラツキは、工程中に光学的に非接触で幅を測定する装置を設置し、製造時に通過するトウプリプレグの幅を、測定精度10μmで連続して測定した幅(単位:mm)の標準偏差σをもって表す。かかる測定に採用する装置の例としては、センサー部にキーエンス(株)製、型番:LXー132、信号取り込み装置(アナログ−デジタル変換器)としては、同社製、型番NR−250を用いることができる。サンプリング頻度は、トウプリプレグの製造速度が、例えば10m/分の場合は、2回/秒とするのが好ましく、また、幅の全測定点数は、1000点以上とするのが好ましい。
【0018】
溝付き加熱駆動ロールの温度は、マトリックス樹脂粘度が、好ましくは5〜60Pa・s(50〜600ポアズ)、さらに好ましくは6〜30Pa・sとなる温度であることが、強化繊維を移動し易くし幅調整が効果的に行えると共にマトリックス樹脂が潤滑剤として作用し、擦過時の摩擦による単糸切断の発生を防止することができるので好ましい。5Pa・s未満では、マトリックス樹脂が低粘度となり過ぎ、冷却固定部に到達する前に調整した幅が元の状態へ戻るためこの変化の過程で幅のバラツキが増加するため好ましくなく、60Pa・sを越える場合は、マトリックス樹脂の粘着性による溝付き加熱駆動ロールとの擦過時の抵抗により単糸切れが発生し、溝中に巻つきを生じることにより、経時的にバラツキが増加するため好ましくない。
【0019】
溝付き加熱駆動ロールのかかる温度コントロールは、ヒーターの内蔵、熱媒循環等の方法を採用することができ、また、溝上面から熱風を吹き付けることも均一に加熱できるので好ましい態様である。
【0020】
マトリックス樹脂の粘度をコントロールする温度は、予め既知の方法で測定した温度−粘度曲線より、必要な温度を読みとることができる。かかる温度−粘度曲線は、B型粘度計又はE型粘度計などを用いて必要な領域数点の温度で測定したマトリックス樹脂の粘度をプロットしても得られるし、粘弾性測定装置を用いて温度を昇温しながら、一定間隔で粘度測定をする方法でより精度良く求めることもできる。粘弾性測定装置を用いた温度−粘度曲線測定の一例として、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー製、粘弾性測定装置 型番:ARESにて1〜5℃/分昇温、測定周波数0.5Hz、データ取り込み間隔15秒の測定条件が挙げられる。
【0021】
溝付き加熱駆動ロールのトウプリプレグとの接触長は、好ましくは50〜200mm、さらに好ましくは60〜150mmである。50mmに満たない場合は、マトリックス樹脂が十分に低粘度化しないため幅調整が不十分となり、200mmを越えると、擦過による単糸の切断が増加するため好ましくない。なお、該接触長は、一本のロールで実現してもよいし、より小径の複数本のロールにより実現してもよい。
【0022】
また、該接触長を得るためのロール径は、特に限定されるものではないが、好ましくは直径40〜500mm、より好ましくは80〜250mmである。かかるロール径が40mmに満たない場合、必要な接触長を確保するために必要なロール接触角が大きくなり、単糸切れが増加するため好ましくなく、また、500mmを越えると、ロール製造時の加工を高精度にすることが困難であり、また、回転軸が振れた場合、トウプリプレグの幅方向のずれ量が大きくなるので好ましくない。
【0023】
溝付き加熱駆動ロールとトウプリプレグの接触角(加熱駆動ロールが複数本ある場合の接触角は、各ロールの接触角の合計を指すものとする)は、好ましくは60°〜300°、より好ましい範囲は70°から200°であるのが、トウプリプレグの幅方向のふれを抑制し、幅の調整を安定して行えるのでよい。該角度が60°に満たない場合は、トウプリプレグが張力変動等で幅方向に振れた場合、溝側面とトウプリプレグ端部の当たり方に、左右で差が生じ、端部の厚みに差が生じることがある。また、300°あれば、十分に幅方向のふれは吸収できるため、300°を越える接触角は実質的に不要である。
【0024】
溝付き駆動ロールの溝の深さは、製造するトウプリプレグの幅やマトリックス樹脂粘度とは無関係に決められ、およそ好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜8mmの範囲にあるのが適当である。2mm未満では、スタート時の糸かけ作業が難しくなり、10mmを越えても実質的に意味がなくなり、洗浄時の作業性が低下するため好ましくない。
【0025】
溝付き加熱駆動ロールの溝形状は、ロール外周から溝底面に向かって狭まるテーパーを有し、底部1〜5mmが平行な溝となった形状が好ましい。また、テーパー部を有することは、トウプリプレグが幅方向で振れたときにロール外周の溝の縁で擦過し、毛羽が発生することを抑制できることから好ましい。該テーパー部角度(R)は5°から40°であることが好ましい。さらに好ましいテーパー部角度は15°から30°である。テーパー部の角度が5°に満たない場合、実質的にテーパー部がないに等しく、40°以上としても、工程中でのトウプリプレグの幅方向の振れ以上に開口部を広げることになり実質的に意味がない。
【0026】
かかる溝付き加熱駆動ロールの後半の平行部の溝の幅は、得ようとするトウプリプレグの幅およびマトリックス樹脂粘度に応じて決められるが、目的とする製品幅の0.75倍から0.85倍とすることが好ましい。また、溝幅が調節できる構造となっていれば、様々な幅のトウプリプレグ製造に適用可能となるため好ましい。
【0027】
溝付き加熱駆動ロール前のトウプリプレグの張力は、好ましくは14〜40Nであるのが、安定して幅調整ができる。トウプリプレグの張力が14Nに満たない場合、トウプリプレグの振動による溝壁面との接圧の左右バラツキなどが生じ、40Nを越える場合、幅調整の安定性は良好となるが、毛羽の発生が生じる場合があることから好ましくない。かかるトウプリプレグの張力は、予め張力計で実測した張力が該範囲となるようクリールの巻出し張力で調整しても良いし、キスロール方式で樹脂を付与している場合にはライン速度とキスロールの周速の比を調整することによって調整しても良い。
【0028】
溝付き引き取りロールのトウプリプレグとの接触長は500〜2000mmであることが好ましく、700〜1500mmがさらに好ましい。500mmに満たない場合は、マトリックス樹脂が十分に冷却高粘度化するための冷却条件を強める必要があり条件範囲が狭くなることから好ましくなく、2000mmあれば引き取りや幅固定は十分に機能することから、2000mm以上であっても実質的に意味はなく、通糸作業性が低下するため好ましくない。
【0029】
また、該接触長を得るためのロール径やロール数は、特に限定されるものではないが、径の大きなロール1本よりは、より径の小さな複数のロールにより構成した方が、精度の高い装置とすることが容易となるため好ましい。すなわち引き取りロールの径としては、直径50〜500mmが好ましく、80〜250mmであればさらに好ましい。直径50mmに満たない場合、必要な接触長を確保するために必要なロール本数が多数となり、溝の並びの直線性を確保することが困難となるため好ましくなく、500mmを越えるとではロール製造時の加工を高精度にすることが困難であることおよび、回転軸が振れた場合トウプリプレグの幅方向のずれ量が大きくなることから好ましくない。
【0030】
溝付き引き取りロールの溝の深さは、製造するトウプリプレグの幅やマトリックス樹脂粘度とは無関係に決められ、およそ2〜10mmが好ましく、さらに好ましくは3〜8mmの範囲である。2mm未満では、スタート時の糸かけ作業が難しくなり、10mmを越えても実質的に意味がなくなり、洗浄時の作業性が低下するため好ましくない。
【0031】
溝付き引き取りロールの溝形状は、ロール外周と溝側面の角が面取りされていれば、特にテーパー部を有する必要はない。これは直前に溝付き加熱駆動ロールがあるため、トウプリプレグの幅方向の振れが殆ど生じないためである。溝の幅は、得ようとするトウプリプレグの幅およびマトリックス樹脂粘度に応じて決められるが、目的とする製品幅の0.75〜0.85倍とすることが好ましい。また、溝幅が調節できる構造となっていれば、様々な幅のトウプリプレグ製造に適用可能となるため好ましい。
【0032】
溝付き引き取りロールを室温以下に冷却する場合、該引き取りロールに乾燥空気或いは窒素ガスなどの乾燥ガスを吹き付ければ、溝付き引き取りロールの結露水のトウプリプレグへの付着を抑えることが可能であるため好ましい。
【0033】
また、このようにして製造したトウプリプレグは、ボビン上に巻き取り製品とすることが好ましい。ボビンへの巻き取り時は、ガイドがボビンの軸方向にトラバースする、いわゆるガイドトラバースによる巻き取り機構を有するワインダーや、ガイドの位置は固定したまま、ボビンが軸方向にトラバースして巻き取る、いわゆるボビントラバースワインダーがあるが、先の幅規制機構により規制した幅を良好に保ちながら巻き取ることができる点から、ボビントラバースワインダーを使用することが好ましい。
【0034】
さらに、巻き取り前に、冷風を吹き付けるなどの手段により、トウプリプレグを冷却し、トウプリプレグの実温がマトリックス樹脂のTg以下とした後、巻き取れば、巻き取り張力による、いわゆる巻き締まりによる幅精度への悪影響を減ずることができるため好ましい。
【0035】
また、本発明のトウプリプレグ製造装置は、加熱機構を有する溝付き駆動ロールと溝付き引き取りロールが連続して配設されなる幅規制部を有するものである。このような装置の構成とすることにより、幅調整を効果的に実施することができ、かつ、調整した幅が悪化するまでに固定することができることから、端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを、幅精度良く、長時間安定して製造することが可能となるものである。
【0036】
また、本発明の製造装置は、各ロールに等しい間隔で、平行に、溝を設置することにより、個別ライン毎の調整の必要なく、複数ライン同時に端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを幅精度良く長時間安定して製造することが可能となるものである。
【0037】
図1は、本発明のトウプリプレグの製造装置の一例を示す概略正面図である。図1に示すように、クリール1に仕掛けられた強化繊維ストランド2は引き出されて樹脂付与・含浸部3、溝付き加熱駆動ロール4、溝付き引き取りロール5により引き取ると同時に幅規制した後、ワインダ7に導かれ巻き取られる。幅規制後の幅評価には、光学的に非接触で幅を測定する幅測定センサ6を使用する。
【0038】
図2、図3は、それぞれ本発明のトウプリプレグの製造装置の幅規制部の一例を示す概略正面図である。図2は、溝付き加熱駆動ロール4が1本の場合、図3は、溝付き加熱駆動ロール4が2本の場合を例示している。
【0039】
図4は、溝付き加熱駆動ロールの概略平面図である。図4に示すように、テーパーを有し、該テーパー部角度は、図中にRで表す部分を指す。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
【0041】
実施例1
補強繊維として、東レ(株)製、”トレカ”型番T800H(引張強さ:5.6GPa、引張弾性率:294GPa、破壊歪みエネルギー:53000KJ/m3、密度:1.81g/cm3)の12000フィラメントの炭素繊維を使用した。
【0042】
図1の装置を用いて、ガラス転移点(Tg)が5℃であるエポキシ樹脂を、樹脂含有率が35重量%になるよう付与して、トウプリプレグを製造した。
【0043】
すなわち、エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンタイプのエポキシ樹脂と、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、さらに硬化剤として4、4’ジフェニルジアミノスルフォンを使用し、熱可塑性ポリマーとしてポリエーテルスルフォンを添加し、原料樹脂の配合比を調整することにより樹脂の粘度を80℃で9Pa・s(90ポアズ)、ガラス転移点を上述の値に合わせた。
【0044】
この樹脂の粘度をレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー製粘弾性測定装置ARES等を用い、2℃/分昇温で測定周波数0.5Hz、データ取り込み間隔15秒で測定した。30℃で5000Pa・s(50000ポアズ)、50℃で400Pa・s(4000ポアズ)、60℃で120Pa・s(1200ポアズ)、80℃で9Pa・s(90ポアズ)、110℃で4Pa・s(40ポアズ)であった。
【0045】
樹脂付与・含浸部3で上記樹脂を炭素繊維に80℃にて付与した後、110℃まで加熱含浸しトウプリプレグとし、溝付き加熱駆動ロール4および溝付き引き取りロール5により幅規制を実施した。溝付き加熱駆動ロール4は熱媒を循環することにより、80℃に温度を保ち、溝付き引き取りロール5は室温(25℃)下空冷した。
【0046】
使用した溝付き加熱駆動ロールおよび溝付き引き取りロールの形状等は、表1の通りである。また、トウプリプレグは、糸速10m/minで走行させた。
【0047】
上記の条件で装置を運転し、クリールのブレーキを調整して、溝付き加熱駆動ロール前の張力が24±4Nとなるように設定し、該条件でトウプリプレグを作製した。
【0048】
幅バラツキは、溝付き引き取りロールの下流側150mmの位置にキーエンス(株)製、型番:LXー132(レーザー式測長センサー)を設置し、該センサーの出力を、同社製、型番NR−250(アナログ−デジタル変換器)に接続して、2回/秒のサンプリング頻度で信号を取り込み統計処理することで算出したところ、スタート直後の1000点のσ=0.05mmと非常に幅バラツキの少ないトウプリプレグを得ることができた。
【0049】
また、同一条件で連続運転し、30分後および1時間後に、同サンプリング条件で、1000点の幅データを取り込み評価したところ、何れもσ=0.05mmとバラツキのレベルは変化していないことを確認することができた。
【0050】
実施例2
補強繊維として、東レ(株)製、”トレカ”型番T700S(引張強さ:4.9GPa、引張弾性率:230GPa、破壊歪みエネルギー:52000KJ/m3、密度:1.80g/cm3)の12000フィラメントの炭素繊維(目付0.80g/m)を使用し、溝付き加熱駆動ロールの平行部の溝幅を3.6mm、溝付き引き取りロールの溝幅を3.6mmのものを使用した以外は、実施例1と同一条件でトウプリプレグを作製した。
【0051】
実施例1と同一条件で幅バラツキを評価したところ、スタート直後〜1時間後まで、何れもσ=0.06mmと非常に幅バラツキの少ないトウプリプレグが得られた。
比較例1
溝付き加熱駆動ロールがない他は実施例2と同一の条件でトウプリプレグを作製した。
【0052】
加熱による樹脂の低粘度化が不十分であるため、強化繊維の移動が不十分となり、溝付き引き取りロールの溝内でトウプリプレグの端部の折れ畳まれが観察された。
【0053】
また、実施例2と同様のバラツキ評価を行ったところ、スタート直後からσ=0.2とバラツキの大きいものであった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、高品質の、つまり端部の繊維が切断されておらず、繋ぎの混入のないトウプリプレグを幅精度良く長時間安定して、かつ複数ライン同時に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトウプリプレグの製造装置の一例を示す概略正面図である。
【図2】本発明のトウプリプレグの製造装置の幅規制部の一例を示す概略正面図である。
【図3】本発明のトウプリプレグの製造装置の幅規制部の他の一例を示す概略正面図である。
【図4】溝付き加熱駆動ロールの一例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1:クリール
2:強化繊維ストランド
3:樹脂付与・含浸部
4:溝付き加熱駆動ロール
5:溝付き引き取りロール
6:幅測定センサ
7:ワインダ

Claims (5)

  1. 強化繊維ストランドにマトリックス樹脂を含浸した後、得られたトウプリプレグのライン速度より周速が遅い溝付き加熱駆動ロールの溝通過により、該トウプリプレグに付着しているマトリックス樹脂を加熱低粘度化して、該トウプリプレグの幅を所定幅に調整した後、少なくとも1つの溝付き引き取りロールにより、引き取りながら、同時に該加熱低粘度化したマトリックス樹脂を冷却して増粘し、該トウプリプレグの幅を固定することを特徴とするトウプリプレグの製造方法。
  2. 該溝付き加熱駆動ロールが、該マトリックス樹脂の粘度を5〜60Pa・s(50〜600ポアズ)となる温度にコントロールされていることを特徴とする、請求項1に記載のトウプリプレグの製造方法。
  3. 該溝付き引き取りロールが、複数存在し、かつ、該トウプリプレグと該溝付き引き取りロールとの接触長の合計が500〜2000mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のトウプリプレグの製造方法。
  4. 強化繊維ストランドにマトリックス樹脂を含浸してた後、得られたトウプリプレグを巻き取るトウプリプレグの製造装置において、加熱機構を有する溝付き駆動ロールと溝付き引き取りロールが連続して配設されてなる幅規制部を有することを特徴とするトウプリプレグの製造装置。
  5. 該溝付き引き取りロール、および、該溝付き駆動ロールの溝が、それぞれ複数本、平行に設置されていることを特徴とする請求項4に記載のトウプリプレグの製造装置。
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