JP2003261687A - 水回り部材 - Google Patents

水回り部材

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JP2003261687A
JP2003261687A JP2002064307A JP2002064307A JP2003261687A JP 2003261687 A JP2003261687 A JP 2003261687A JP 2002064307 A JP2002064307 A JP 2002064307A JP 2002064307 A JP2002064307 A JP 2002064307A JP 2003261687 A JP2003261687 A JP 2003261687A
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polyamide resin
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water supply
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JP2002064307A
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Koji Kawakami
弘二 川上
Shoichi Wakatake
昌一 若竹
Kazuhiko Kominami
一彦 小南
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温水やエチレングリコールやプロピレングリコ
ール等の多価アルコールを不凍液として含む水溶液との
接触下において良好な耐久性、強度を有する水回り部材
を提供する。 【解決手段】(a)ポリアミド樹脂5〜85重量%
(b)ポリフェニレンスルファイド樹脂95〜15重量
%(c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分の
ポリフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量部に
対して無機充填材0.5〜200重量部からなるポリア
ミド樹脂組成物により構成される水回り部材であって、
前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が(b)ポ
リフェニレンスルファイド樹脂が連続相、(a)ポリア
ミド樹脂が分散相となる相構造を形成しており、ロング
ライフクーラント50%水溶液中で130℃/1000
時間処理した後の引張強度保持率が25%以上であるこ
とを特徴とする水回り部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリフェニレンスル
ファイド樹脂、ポリアミド樹脂および無機質充填材から
なり、特にポリアミド樹脂とポリフェニレンスルファイ
ド樹脂を特定の相構造を形成させることによって、温水
やエチレングリコールやプロピレングリコール等の多価
アルコールを不凍液として含む水溶液(以下「不凍液」
と称す。)との接触下において良好な耐久性、強度を有
する水回り部材に関する。特にパイプ並びにこれを用い
た温水循環装置に好適に使用できる水回り部材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、引張、曲げ等の強
度、弾性率などの機械的性質に優れ、しかも耐熱性、耐
薬品性が良好で精密機械部品、構造材料などの多くの分
野で利用されている。自動車分野や建築、土木分野では
軽量化、組み立て合理化等から、金属部品を樹脂化する
ことが進んでいる。中でもガラス繊維強化ポリアミド6
6樹脂に代表されるポリアミド樹脂は耐熱性、耐油性、
強靱性に優れた特徴を有し、床暖房を行うフロアーヒー
ティングシステムや寒冷地での路面の凍結を防止するロ
ードヒーティングシステム等のいわゆる「ヒートシステ
ム法」に用いられるパイプ状配管に代表される不凍液と
接触する部品の素材として注目され、相当の使用実績が
ある。しかしながら、従来のガラス繊維強化ポリアミド
66樹脂は、高温雰囲気下での不凍液との長時間接触
後、強度が低下する傾向があり、さらなる性能向上が望
まれていた。この解決を目的としてポリアミド66より
もアミド基濃度の低いポリアミドをブレンドした組成物
を用いる方法(特公昭61−40262号公報など)、
分子鎖中に芳香族成分を有するポリアミドをブレンドし
た組成物を用いる方法(特開昭58−53949号公報
など)などが開示されている。しかし、これらの技術は
依然として本質的に吸水性があり、耐不凍液の低いポリ
アミドを主成分としているため、十分な改良効果が得ら
れているとはいえない。
【0003】このようなポリアミド樹脂の物性を補完す
るために、耐熱性、耐不凍液性、成形性に優れる反面、
靭性や成形加工性などに問題を有するポリフェニレンス
ルファイド樹脂(以下PPS樹脂と略す)とを組み合わ
せた樹脂組成物および成形体(特開平5−248237
号公報など)が従来より提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法では確かにポリアミド樹脂単体に比較し、吸水時
の寸法安定性および耐熱性は向上するものの、脆く割れ
やすいなどの欠点があるため、耐不凍液性が必要な部材
に用いる場合には十分とはいえず、これらのポリアミド
樹脂の有する特性とPPS樹脂の有する特性を兼ね備え
ている、高度に特性バランスに優れた水回り部材がさら
に求められている。
【0005】本発明は、ポリアミド樹脂の有する機械的
強度および靭性と、PPS樹脂の有する低吸水性との高
度なバランスの実現を課題とし、更にポリアミド樹脂の
長時間に亘る不凍液との接触による機械的性質の低下を
できるだけ抑制した水回り部材を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂
とPPS樹脂を特定量配合し、さらに無機充填材を配合
して得られる樹脂組成物において、その樹脂相分離構造
がPPS樹脂相が構造体中で連続した相を形成するよう
分散構造を制御することにより上記課題が解決されるこ
とを見出し本発明に到達した。
【0007】本発明は、 (1)(a)ポリアミド樹脂5〜85重量%(b)ポリ
フェニレンスルファイド樹脂95〜15重量%(c)
(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分のポリフェ
ニレンスルファイド樹脂の合計100重量部に対して無
機充填材0.5〜200重量部からなるポリアミド樹脂
組成物により構成される水回り部材であって、前記ポリ
アミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が(b)ポリフェニ
レンスルファイド樹脂が連続相、(a)ポリアミド樹脂
が分散相となる相構造を形成しており、ロングライフク
ーラント50%水溶液中で130℃/1000時間処理
した後の引張強度保持率が25%以上であることを特徴
とする水回り部材。
【0008】(2)(a)ポリアミド樹脂と(b)ポリ
フェニレンスルファイド樹脂の混合比率が、各々50〜
85重量%および50〜15重量%であることを特徴と
する(1)記載の水回り部材。
【0009】(3)(a)ポリアミド樹脂15〜90重
量%(b)ポリフェニレンスルファイド樹脂85〜10
重量%(c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成
分のポリフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量
部に対して無機充填材0.5〜200重量部からなるポ
リアミド樹脂組成物により構成される水回り部材であっ
て、前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が
(b)ポリフェニレンスルファイド樹脂からなる相も
(a)ポリアミド樹脂からなる相もともに実質的な連続
相である相構造を形成しており、ロングライフクーラン
ト50%水溶液中で130℃/1000時間処理した後
の引張強度保持率が20%以上であることを特徴とする
水回り部材。
【0010】(4)(a)ポリアミド樹脂50〜95重
量%(b)ポリフェニレンスルファイド樹脂50〜5重
量%(c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分
のポリフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量部
に対して無機充填材0.5〜200重量部からなるポリ
アミド樹脂組成物により構成される水回り部材であっ
て、前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が
(a)ポリアミド樹脂からなる連続相と(b)ポリフェ
ニレンスルファイド樹脂からなる帯状分散相とからなる
相構造を形成しており、ロングライフクーラント50%
水溶液中で130℃/1000時間処理した後の引張強
度保持率が20%以上であることを特徴とする水回り部
材。
【0011】(5)射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形
の内から選ばれる少なくとも一種の方法で成形された
(1)〜(4)のいずれかに記載の水回り部材 (6)前記水回り部材がパイプであることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかに記載の水回り部材。
【0012】(7)(6)のパイプにて構成される管路
に、水もしくは多価アルコールを含む水溶液が通されて
いることを特徴とする温水循環装置。を提供するもので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において「重量」とは「質量」を意味す
る。
【0014】本発明で用いられる(a)ポリアミド樹脂
とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボ
ン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主
要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、
11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、
パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロ
ラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチ
ルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウ
ンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシ
レンジアミン、パラキシレンジアミン、1,3−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメ
チル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス
(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチ
ル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス
(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノ
プロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの
脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン
酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフ
タル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘ
キサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族
のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これら
の原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポ
リマーを各々単独または混合物の形で用いることができ
る。
【0015】本発明において、特に有用なポリアミド樹
脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れ
たポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプ
ロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミ
ド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド
(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナ
イロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイ
ロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプ
ロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー
(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサ
メチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6
T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチ
レンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6
I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキ
サメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T
/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ
ドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポ
リヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレ
フタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコ
ポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレ
ンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレン
テレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテ
レフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、
ポリノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およ
びこれらの混合物などが挙げられる。
【0016】とりわけ好ましいポリアミド樹脂としては
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン
6/66コポリマーまたはナイロン6T/66コポリマ
ー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/1
2およびナイロン6T/6コポリマーなどのヘキサメチ
レンテレフタルアミド単位を有する共重合体を挙げるこ
とができ、更にこれらのポリアミド樹脂を耐衝撃性、成
形加工性、相溶性などの必要特性に応じて混合物として
用いることも実用上好適である。
【0017】これらポリアミド樹脂の重合度には特に制
限がないが、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃
硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度としては、1.
5〜7.0の範囲のものが好ましく、特に2.0〜6.
0の範囲のポリアミド樹脂が好ましい。
【0018】また、本発明のポリアミド樹脂には、長期
耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられ
る。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化
第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ
化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第
一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第
二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキ
シリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられ
る。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢
酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物とし
て例示できる。銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹
脂100重量部に対して0.01〜2重量部であること
が好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲である
ことが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属
銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずること
になる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化
アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化
アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチ
ウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、
ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウ
ムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリ
ウムが特に好ましい。
【0019】本発明で用いられる(b)PPS樹脂は、
下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であ
り、
【0020】
【化1】
【0021】耐熱性の観点からは上記構造式で示される
繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には9
0モル%以上含む重合体が好ましい。また、PPS樹脂
はその繰り返し単位の30モル%未満が、下記の構造を
有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
【0022】
【化2】
【0023】かかる構造を一部有するPPS重合体は、
融点が低くなるため、熱可塑性樹脂の融点が低い場合に
は成形性の点で有利となる。
【0024】本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度
は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常5
0〜20000poise(320℃、剪断速度100
0sec-1)のものが好ましく使用され、100〜50
00poiseの範囲がより好ましい。
【0025】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特
公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の
小さい重合体を得る方法あるいは特公昭52−1224
0号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比
較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造
できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂
を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活
性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、
熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イ
ソシアネート、官能基含有化合物による活性化など種々
の処理を施した上で使用することももちろん可能であ
る。
【0026】PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化
する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化
性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴ
ンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器
中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるま
で加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、
170〜280℃が選択され、好ましくは200〜27
0℃である。また、加熱処理時間は通常0.5〜100
時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、こ
の両者をコントロールすることのより目標とする粘度レ
ベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風
乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であ
ってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するため
には回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがよ
り好ましい。
【0027】PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気
下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として
は、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、
加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜2
70℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2
〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の
装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌
翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより
均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱
装置を用いるのがより好ましい。
【0028】本発明に用いるPPS樹脂は脱イオン処理
を施されたPPS樹脂であることが好ましい。かかる脱
イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱
水洗浄処理および有機溶媒洗浄処理などが例示でき、こ
れらの処理は2種以上の方法を組み合わせても良い。
【0029】PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具
体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、
洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する
作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例
えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド、ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、
トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコールなどのアルコール、フェノール系溶媒、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶
媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ク
ロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機
溶媒は1種類または2種類以上を混合して使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPP
S樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適
宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でP
PS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限は
なく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。
洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向がある
が、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得ら
れる。また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留し
ている有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗
浄することが好ましい。
【0030】PPS樹脂を熱水で洗浄処理する場合の具
体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱
水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を
発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水
であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定
量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは
圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PP
S樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通
常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴
比が選択される。
【0031】PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法
としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または
酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があ
り、必要により適宜撹拌または加熱することも可能であ
る。用いられる酸はPPS樹脂を分解する作用を有しな
いものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢
酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン
酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸など
のジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸など
の無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸
がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹
脂を残留している酸または塩などを除去するために、水
または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄
に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学
的変性の効果を損なわない意味で蒸留水あるいは脱イオ
ン水であることが好ましい。
【0032】本発明において、(a)成分のポリアミド
樹脂と(b)成分のPPS樹脂の相溶性の向上を目的と
して従来公知の相溶化剤を配合することもできる。これ
ら相溶化剤の具体的な例としては、エポキシ基、アミノ
基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイ
ド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する
アルコキシシランなどの有機シラン化合物、エチレン、
プロピレンなどのα−オレフィンとアクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、クロトン酸などのα,β−不飽和
カルボン酸、これらのエステル、無水物、ハロゲン化
物、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛などと
の塩などの誘導体から選ばれた少なくとも1種の化合物
とのランダム、ブロック、グラフト共重合体などの変性
ポリオレフィン類、α−オレフィンおよびα,β−不飽
和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィ
ン系共重合体などのエポキシ基含有オレフィン系共重合
体および多官能エポキシ化合物などが挙げられ、これら
は2種以上同時に使用することもできる。
【0033】本発明で言う水回り部材とは、(a)ポリ
アミド成分、(b)ポリフェニレンサルファイド樹脂、
(c)無機充填材からなるポリアミド樹脂組成物により
構成されており、前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分
離構造が(1)PPS樹脂成分が連続相を形成し、ポリ
アミド樹脂成分が分散相を形成する相構造(例えば海島
構造)、(2)PPS樹脂成分とポリアミド樹脂成分が
共に実質的な連続相を形成する相構造(例えば海海構
造)、または(3)ポリアミド樹脂成分が連続相を形成
し、PPS樹脂成分が多数の薄い二次元的に重なった帯
(層)状として分散相を形成する相構造(ラミナー構
造)、を一部もしくは全部に有する相構造を形成してい
る、温水やエチレングリコールやプロピレングリコール
等の多価アルコールを不凍液として含む水溶液との接触
下に配置される部材である。構造体の形状については特
に制限はない。また、構造体の種々の場所で上記相構造
(1)、(2)または(3)が共存したり、、複数回出
現したりする場合もある。この相構造(1)、(2)ま
たは(3)は、走査型または透過型電子顕微鏡を用いて
観察し、確認する。
【0034】本発明の水回り部材における(a)成分の
ポリアミド樹脂および(b)成分のPPS樹脂の配合割
合は、PPS樹脂成分が連続相を形成し、ポリアミド樹
脂成分が分散相を形成する相構造(例えば海島構造、図
1)の場合には、ポリアミド樹脂5〜85重量%、PP
S樹脂95〜15重量%である。好ましくは、ポリアミ
ド樹脂50〜85重量%、PPS樹脂50〜15重量%
である。このようなPPS樹脂成分が少量成分である場
合、例えばポリアミド樹脂/PPS樹脂の溶融粘度比を
適切に制御することによってPPS樹脂が連続相をとる
相構造を形成することができる。この相構造の成形体は
耐不凍液性と経済性のバランスが優れたものであり特に
好ましい。更には、両成分配合比がポリアミド樹脂60
〜80重量%、PPS樹脂40〜20重量%であること
が好ましい。(a)成分のポリアミド樹脂が85重量%
を越えると、本発明の樹脂成形体の特徴であるPPS樹
脂成分が連続相を形成することが困難となり、本発明の
目的を達成することができない。また、(a)成分のポ
リアミド樹脂が5重量未満になると樹脂成形体の靭性低
下をきたすので好ましくない。この相構造の成形体は、
ロングライフクーラント50%水溶液中で130℃/1
000時間処理した後の強度保持率が25%以上であ
る。好ましくは、強度保持率が30%以上である。強度
保持率が25%未満になると、不凍液との接触下におい
て良好な耐久性が得られず、水回り部材として好ましく
ない。
【0035】PPS樹脂成分とポリアミド樹脂成分が共
に連続相を形成する相構造(例えば海海構造、図2)を
得る場合は、ポリアミド樹脂15〜90重量%、PPS
樹脂85〜10重量%の組成範囲において、ポリアミド
樹脂およびPPS樹脂の溶融粘度および相溶性を制御す
ることが重要である。この相分離構造を具現化する上
で、ポリアミド樹脂30〜80重量%、PPS樹脂70
〜20重量%の組成が好ましく、ポリアミド樹脂35〜
80重量%、PPS樹脂65〜20重量%が更に好まし
い。(a)成分のポリアミド樹脂が90重量%を越える
場合、PPS樹脂成分が連続相を形成することが困難と
なり、本発明の目的を達成する構造体を得ることができ
ない。この相構造の成形体は、ロングライフクーラント
50%水溶液中で130℃/1000時間処理した後の
強度保持率が20%以上である。好ましくは、強度保持
率が25%以上である。強度保持率が20%未満になる
と、不凍液との接触下において良好な耐久性が得られ
ず、水回り部材として好ましくない。
【0036】次に、ポリアミド樹脂成分が連続相を形成
し、PPS樹脂成分が多数の薄い2次元的な重なった帯
(層)状として分散相(ラミナー構造、図3)を形成す
る相構造を得る場合には、ポリアミド樹脂55〜95重
量%、PPS樹脂45〜5重量%である。好ましくはポ
リアミド樹脂60〜95重量%、PPS樹脂40〜5重
量%、更に好ましくはポリアミド樹脂65〜95重量
%、PPS樹脂35〜5重量%である。(a)成分のポ
リアミド樹脂が95重量%を超えると、PPS樹脂成分
の帯状分散相を十分な長さ、量とすることが困難とな
り、本発明の目的を達成することができない。また、
(a)成分のポリアミド樹脂が55重量%未満になると
PPS成分が帯状分散相を形成することが困難となる。
この相構造の成形体は、ロングライフクーラント50%
水溶液中で130℃/1000時間処理した後の強度保
持率が20%以上である。好ましくは、強度保持率が2
5%以上である。強度保持率が20%未満になると、不
凍液との接触下において良好な耐久性が得られず、水回
り部材として好ましくない。
【0037】本発明に用いる(c)無機充填材として
は、特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉
末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体
的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、
ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金
属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊
維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化
ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカ
ー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状
充填材、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイ
カ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アル
ミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成
雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、
酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸
化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸
カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビー
ズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カ
ルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ
る。上記充填材中、ガラス繊維および導電性が必要な場
合にはPAN系の炭素繊維が好ましく使用される。ガラ
ス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら
特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプの
チョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択
して用いることができる。また、上記の充填材は2種以
上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使
用する上記の充填材はその表面を公知のカップリング剤
(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カッ
プリング剤など)、その他の表面処理剤および膨潤性の
層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理するこ
とは、より優れた機械的強度、耐不凍液性を得る意味に
おいて好ましい。
【0038】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。
【0039】上記の(c)無機充填材の添加量は、
(a)ポリアミド樹脂および(b)PPS樹脂の合計量
100重量部に対し、0.5〜200重量部であること
が好ましい。より好ましくは5〜200重量部、特に好
ましくは10〜150重量部である。
【0040】本発明における組成物中には本発明の効果
を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱
安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホ
スファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾ
ルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型
剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエス
テル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ス
テアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチ
レンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシア
ニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、
結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可
塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼ
ンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェ
ート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止
剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、
赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水
酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウ
ム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテ
ル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂ある
いはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み
合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0041】本発明の水回り部材を得る方法としては、
本発明が要件とする相構造が得られれば、特に制限はな
いが、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混
練する場合にメインフィーダーからポリアミド樹脂とP
PS樹脂を供給し、無機充填材を押出機の先端部分のサ
イドフィーダーから供給する方法や事前にポリアミド樹
脂とPPS樹脂を溶融混練した後、無機充填材と溶融混
練する方法などが挙げられる。
【0042】本発明の水回り部材は公知の方法で賦形で
き、その成形方法に関しても制限はなく射出成形、押出
成形、吹込成形、プレス成形等を利用することができ
る。中でも射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形から選ば
れる一方法を採用することが生産性に優れ工業的に本発
明を実施する上で好ましい。また、成形温度について
は、通常、PPS樹脂の融点より5〜50℃高い温度範
囲から選択され、一般的には、単層であるが、2色成形
法により多層にしてもかまわない。
【0043】本発明の水回り部材は、その優れた耐不凍
液性から共押出成形法を用いて成形されたパイプやポン
プ筐体、バルブ、フランジなどに好ましく用いることが
でき、その中でも特に、パイプとして好適に用いること
ができる。
【0044】本発明により製造されたパイプは、例え
ば、フロアーテーチィングやロードヒーティング等の温
水循環装置の管路には、温水もしくはエチレングリコー
ルなどの多価アルコールを含む水溶液を循環させるもの
であるが、本発明においては、30℃〜120℃に調整
された多価アルコールを含む水溶液、または30℃〜9
0℃に調整された水が通されていることが好ましい。多
価アルコールを含む水溶液は、不凍液としての効果を有
するため寒冷地で使用する温水循環装置として好適に使
用できる。
【0045】このような多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、へキシレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、グリセリン等があげられ、いずれも効果が認めら
れる、エチレングリコールやプロピレングリコールが好
適に使用できる。
【0046】さらに、本発明における温水循環装置は、
上記のように作成されたパイプが地中に埋設されるとと
もに、その埋設部の地表面がアスファルト処理されたロ
ードヒーティングシステムに好適に使用できるものであ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0048】(1)材料強度 以下の標準方法に従って測定した。 引張強度 :ASTM D638 曲げ弾性率 :ASTM D790 Izod衝撃強度 :ASTM D256。
【0049】(2)耐不凍液性 ロングライフクーラント(LLC)50%水溶液中でA
STM1号ダンベル片を130℃/1000時間処理し
た後の引張強度および強度保持率を測定し、耐不凍液性
の目安とした。
【0050】(3)溶融粘度比 プランジャー式キャピラリーレオメーターを用いて、溶
融混練温度でのせん断速度10sec-1の溶融粘度(p
oise)を測定し求めた。
【0051】溶融粘度比=(ポリアミド樹脂の溶融粘
度)/(PPS樹脂の溶融粘度)。
【0052】(4)水回り部材の外観 水回り部材として、外径17mm、肉厚2mm、長さ5
00mmのパイプを押出加工にて成形し、その長手方向
に沿う外観を目視観察した。
【0053】(5)水回り部材の耐熱性 路盤上に溶接金網(ワイヤーメッシュ:4mmφ、15
cm×15cm)を埋設し、その上に、水回り部材とし
て押出成形にて成形された外形17mm、肉厚2mmの
パイプを設置後、160℃に加熱したアスファルト〔密
粒度(13)〕を厚さ50mmとなるように打設した。
その後、アスファルト舗装を掘り起こし、パイプの外観
(変形、破損の有無)にて耐熱性を評価した。
【0054】(6)水回り部材の耐不凍液性 水回り部材として成形された、外形17mm、肉厚2m
m、長さ300mmのパイプをロングライフクーラント
(LLC)50%水溶液中に浸漬させ130℃/100
0時間処理し、パイプ表面のクラック発生の有無によ
り、耐不凍液性の評価を行った。
【0055】実施例および比較例で使用したポリアミド
樹脂およびPPSは以下のとおり。なお、特に断らない
限りはいずれも常法に従い重合を行い、調整した。
【0056】<ポリアミド樹脂> (N66−1):融点265℃、相対粘度2.70のナ
イロン66樹脂。 (N66−2):融点265℃、相対粘度2.95のナ
イロン66樹脂。 (N6) :融点225℃、相対粘度3.30のナ
イロン6樹脂。 (N6/66):融点217℃、相対粘度2.85のナ
イロン6/66共重合体。
【0057】<PPS樹脂> (PPS−1):融点280℃、メルトフローレート
(MFR)1000g/10分(315℃、5000g
荷重)、重量平均分子量(Mw)30000のPPS樹
脂。 (PPS−2):融点280℃、MFR600g/10
分、Mw38000のPPS樹脂。 (PPS−3):融点280℃、MFR2000g/1
0分、Mw18000のPPS樹脂。 (PPS−4):融点280℃、MFR100g/10
分、Mw70000のPPS樹脂。 (PPS−5):上記PPSー1 100重量部と無水
マレイン酸1重量部の混合物をシリンダー温度300℃
に設定した2軸押出機で溶融混練/ペレタイズした、M
FR1100g/10分の変性PPS樹脂。
【0058】実施例1〜8、比較例1〜2 表1に示すようにポリアミド樹脂、PPS樹脂を混合
し、2軸押出機のメインフィーダーから供給し、無機充
填材はシリンダー途中のサイドフィーダーを用いて供給
する方法で混練温度300℃、スクリュー回転数200
rpmで溶融混練を行った。得られたペレットを乾燥後
射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温
度80℃の条件で射出成形することにより試験片を調製
した。そして、上記方法で得られたペレットをパイプ状
に溶融押出し成形することによりパイプを得た。得られ
たパイプは外径17mm、肉厚2mmであった。得られ
た試験片を用いて、各材料の材料強度、耐不凍液性を測
定した。そして、得られたパイプを上記試験法に適した
長さに切断して、外観、アスファルト施工時の耐熱性、
パイプの耐熱性を評価した。評価結果は表1に示すとお
りであった。
【0059】なお、ここで表中のGFはガラス繊維(繊
維径13μm、3mmチョップドストランド、日本板ガ
ラス社製)、MFはミドルファイバー(平均繊維長14
0μm、平均繊維径9μm、日本電気ガラス社製)、P
Aはポリアミド樹脂をそれぞれ示す。
【0060】
【表1】
【0061】実施例1〜8および比較例1〜2より特定
の相分離構造を規定した本発明の樹脂成形体は、高い機
械的強度、耐熱性等の優れた特性と、良好な耐不凍液性
を備えたものであり、水回り部材用として好適なもので
あった。
【0062】
【発明の効果】本発明の水回り部材は、温水やエチレン
グリコールやプロピレングリコール等の多価アルコール
を不凍液として含む水溶液との接触下において、良好な
耐久性、強度を有する。従って、特にフロアーヒーティ
ングシステムやロードヒーティングシステムに代表され
る温水循環装置の管路として用いられるパイプとして好
適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PPS樹脂成分(PPS)が連続相を形成し、
ポリアミド樹脂成分(PA)が分散相を形成する相構造
モデル図。
【図2】PPS樹脂成分とポリアミド樹脂成分が共に実
質的な連続相を形成する相構造モデル図
【図3】ポリアミド樹脂成分が連続相を形成し、PPS
樹脂成分が多数の薄い2次元的に重なった帯(層)状と
して分散相を形成する相構造モデル図。
【符号の説明】
1:樹脂相分離構造中のポリアミド樹脂成分 2:樹脂相分離構造中のPPS樹脂成分 3:樹脂相分離構造中のガラス繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3L070 AA02 AA07 BD07 BD11 4F071 AA54 AA55 AA62 AB26 AB28 AD01 AE17 AF15 AF17 AF23 AF45 AF46 AH03 BA01 BB05 BB06 BC05 4J002 CL01X CL03X CL05X CN01W DJ016 DJ036 DJ046 DL006 FA046 FD016 GL00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリアミド樹脂5〜85重量%
    (b)ポリフェニレンスルファイド樹脂95〜15重量
    %(c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分の
    ポリフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量部に
    対して無機充填材0.5〜200重量部からなるポリア
    ミド樹脂組成物により構成される水回り部材であって、
    前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が(b)ポ
    リフェニレンスルファイド樹脂が連続相、(a)ポリア
    ミド樹脂が分散相となる相構造を形成しており、ロング
    ライフクーラント50%水溶液中で130℃/1000
    時間処理した後の引張強度保持率が25%以上であるこ
    とを特徴とする水回り部材。
  2. 【請求項2】(a)ポリアミド樹脂と(b)ポリフェニ
    レンスルファイド樹脂の混合比率が、各々50〜85重
    量%および50〜15重量%であることを特徴とする請
    求項1記載の水回り部材。
  3. 【請求項3】(a)ポリアミド樹脂15〜90重量%
    (b)ポリフェニレンスルファイド樹脂85〜10重量
    %(c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分の
    ポリフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量部に
    対して無機充填材0.5〜200重量部からなるポリア
    ミド樹脂組成物により構成される水回り部材であって、
    前記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が(b)ポ
    リフェニレンスルファイド樹脂からなる相も(a)ポリ
    アミド樹脂からなる相もともに連続相である相構造を形
    成しており、ロングライフクーラント50%水溶液中で
    130℃/1000時間処理した後の引張強度保持率が
    20%以上であることを特徴とする水回り部材。
  4. 【請求項4】(a)ポリアミド樹脂50〜95重量%
    (b)ポリフェニレンスルファイド樹脂50〜5重量%
    (c)(a)成分のポリアミド樹脂及び(b)成分のポ
    リフェニレンスルファイド樹脂の合計100重量部に対
    して無機充填材0.5〜200重量部からなるポリアミ
    ド樹脂組成物により構成される水回り部材であって、前
    記ポリアミド樹脂組成物の樹脂相分離構造が(a)ポリ
    アミド樹脂からなる連続相と(b)ポリフェニレンスル
    ファイド樹脂からなる帯状分散相とからなる相構造を形
    成しており、ロングライフクーラント50%水溶液中で
    130℃/1000時間処理した後の引張強度保持率が
    20%以上であることを特徴とする水回り部材。
  5. 【請求項5】射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形の内か
    ら選ばれる少なくとも一種の方法で成形された請求項1
    〜4のいずれかに記載の水回り部材。
  6. 【請求項6】前記水回り部材がパイプであることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の水回り部材
  7. 【請求項7】請求項6記載のパイプにて構成される管路
    に、水もしくは多価アルコールを含む水溶液が通されて
    いることを特徴とする温水循環装置。
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