JP2008222920A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
温水やエチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコールを不凍液として含む水溶液との接触下において良好な耐久性と、強度、耐熱性を兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(a)と(b)の合計を100重量%として、(a)粘度数が120〜200ml/gかつアミノ末端基量が1.0〜5.0×10−5mol/gであるポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂50〜95重量%、(b)数平均繊維長が0.2〜1.0mmのガラス繊維5〜50重量%を配合してなる(c)ポリアミド樹脂組成物であって、流動直角方向の130℃引張強度が43MPa以上であり、かつ130℃、750時間の条件でロングライフクーラント(LLC)50%水溶液にて処理した後の流動直角方向の引張強度が55MPa以上であるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂、とガラス繊維からなるポリアミド樹脂組成物であって、特にポリアミド樹脂について、粘度数、アミノ末端基量を規定することで、エチレングリコールまたはプロピレングリコール等の多価アルコールを不凍液として含む水溶液(以下「不凍液」と称す。)との高温接触下において良好な耐久性を得られる技術に関する。
ポリアミド樹脂は、引張、曲げ等の強度、弾性率などの機械的性質に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性が良好で精密機械部品、構造材料などの多くの分野で利用されている。自動車分野や建築、土木分野では軽量化、組み立て合理化等から、金属部品を樹脂化することが進んでいる。中でもガラス繊維強化ポリアミド66樹脂に代表されるポリアミド樹脂は耐熱性、耐油性、強靱性に優れた特徴を有し、床暖房を行うフロアーヒーティングシステムや寒冷地での路面の凍結を防止するロードヒーティングシステム等のいわゆる「ヒートシステム法」に用いられるパイプ状配管に代表される不凍液と接触する部品の素材として注目され、相当の使用実績がある。しかしながら、従来のガラス繊維強化ポリアミド66樹脂は、高温雰囲気下での不凍液との長時間接触後、強度が低下する傾向があり、さらなる性能向上が望まれていた。この解決を目的としてポリアミド66よりもアミド基濃度の低いポリアミド610、ポリアミド612等の長鎖脂肪族ポリアミドをそのまま、あるいはポリアミド66とブレンドした組成物を用いる方法(例えば、特許文献1など)が開示されている。しかしながら、これらの方法は耐不凍液性が向上するものの、耐熱性がポリアミド66よりも劣るという欠点がある。
また、ポリアミド66の物性を補完するために、耐熱性、耐不凍液性、成形性に優れる反面、靭性や成形加工性などに問題を有するポリフェニレンスルファイド樹脂(以下PPS樹脂と略す)とを組み合わせた樹脂組成物および成形体(例えば、特許文献2など)が従来から提案されている。
しかしながら、これらの方法では確かにポリアミド樹脂単体に比較し、吸水時の耐熱性は向上するものの、脆く割れやすいなどの欠点があるため、耐不凍液性が必要な部材に用いる場合には十分とはいえず、良好な靭性と低吸水性および耐熱性を兼ね備えたポリアミド樹脂が求められている。
特公平3−2392号公報(特許請求の範囲) 特開平5−248237号公報(特許請求の範囲)
本発明は、機械的強度および靭性、耐熱性を有し、かつ長時間に亘る不凍液との接触による機械的性質の低下をできるたけ抑制したポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、低吸水性に優れたポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂とガラス繊維からなるポリアミド樹脂組成物において、特にポリアミド樹脂について、粘度数、アミノ末端基量を規定することで、ポリアミドとガラスの密着性の向上、ガラスの残存繊維長を維持することが可能となり、上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
本発明は、以下のとおりである。
1.(a)と(b)の合計を100重量%として、(a)粘度数が120〜200ml/gかつアミノ末端基量が1.0〜5.0×10−5mol/gであるポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂50〜95重量%、(b)数平均繊維長が0.2〜1.0mmのガラス繊維5〜50重量%を配合してなる(c)ポリアミド樹脂組成物であって、(c)ポリアミド樹脂組成物からなる成形品の流動直角方向の130℃引張強度が43MPa以上であり、かつ(c)ポリアミド樹脂組成物からなる成形品を130℃、750時間の条件でロングライフクーラント(LLC)50%水溶液にて処理した後の流動直角方向の引張強度が55MPa以上であるポリアミド樹脂組成物。
2.(a)と(b)の合計を100重量部として、(c)シラン系カップリング剤0.1〜1.0重量部を配合してなる1記載のポリアミド樹脂組成物。
3.前記(a)ポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂の粘度数が150〜170ml/gであることを特徴とする1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
4.前記(a)ポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂が、ポリアミド610樹脂である1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
5.(b)溶融混練後のガラス繊維が、重量平均繊維長/数平均繊維長の比率が1.7以下であることを特徴とする1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
6.1〜5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂と、ガラス繊維からなり、特にポリアミド樹脂について、粘度数、アミノ末端基量を規定することで、ポリアミド樹脂とガラス繊維の密着性の向上、ガラス繊維の残存繊維長を維持することが可能となり、温水やエチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコールを不凍液として含む水溶液(以下「不凍液」と称す。)と長期間の接触下においても、良好な耐久性、強度を有する。従って、特にフロアーヒーティングシステムやロードヒーティングシステムに代表される温水循環装置の管路として用いられるパイプとして好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で用いられる(a)ポリアミド樹脂は、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸としてセバシン酸及びドデカン二酸を主たる原料としたポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂である。高温特性の観点からポリアミド610樹脂であることがより好ましい。
本発明において用いるポリアミド610樹脂及びポリアミド612樹脂は粘度数が120〜200ml/gであることが必要とされ、好ましくは150〜170ml/gのものである。120ml/g未満では機械強度が低下し、200ml/gを超えると成形の加工性が著しく低下するためである。
また、本発明において用いるポリアミド610樹脂及びポリアミド612樹脂のアミノ末端基量が1.0〜5.0×10−5mol/gであることが必要である。1.0×10−5mol/g未満では、ポリアミドとガラス繊維の密着性が低下し、5.0×10−5mol/gを超えると十分な重合度が得られず、機械強度が低下するため好ましくない。
ポリアミド樹脂の割合は本発明のポリアミド樹脂組成物100重量%に対して、50〜95重量%であることが必要とされる。50重量%未満では成形加工時の表面外観が悪化する問題があり、また95重量%を超えると十分な機械強度得られないためである。
本発明で用いられる(a)ポリアミド610樹脂、ポリアミド612樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられる。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹脂100重量%に対して0.01〜2重量%であることが好ましく、さらに0.015〜1重量%の範囲であることが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
本発明で用いられる(b)ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填材は2種以上を併用して使用することもできる。長さの制限は無いが0.1〜6.0mmのチョップドストランドが好ましく、繊維径は5〜20μmのものが好ましい。
また、公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤を用いて表面処理することで、より優れた機械的強度、耐不凍液性を得ることが出来る。ポリアミドとガラス繊維を溶融混練する際に、作業性を向上させる意図で、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。
本発明においてガラス繊維の割合は本発明のポリアミド樹脂組成物100重量%に対して、5〜50重量%であることが必要とされる。5重量%未満では十分な機械強度得られない問題があり、50重量%を超えると成形加工時の表面外観が悪化するためである。
また、ガラス繊維の数平均繊維長は、ポリアミド樹脂と溶融混練しペレタイズした後で0.2〜1.0mmであることが必要とされる。0.2mm未満では十分な機械強度が得られず、1.0mm超えると成形加工時の流動性や表面外観が悪化するためである。
また、ガラス繊維の重量平均繊維長(Lw)/数平均繊維長(Ln)の値は、ナイロン樹脂と溶融混練しペレタイズした後で1.7以下であることが好ましい。ここで示す数平均繊維長、重量平均繊維長とは本発明で得られたポリアミド樹脂組成物を電気炉にて灰化させ、灰分を光学顕微鏡観察し、ガラス繊維2000本の長さを測定し、それぞれ式(1)、(2)に示す計算式にて算出した値である。
Ln(数平均繊維長)=ΣLi/n・・。・・・・・・・(1)
Lw(重量平均繊維長)=ΣLi/ΣLi・・・・・・(2)
ここで、Liとはガラス繊維1本の繊維長であり、nとはガラス繊維の測定個数である。Lw/Lnが大きいことは繊維長分布がブロードで、長いガラス繊維が多いことを意味する。このLw/Lnの値が1.7を超えると成形加工時の流動性や表面外観が悪化するため好ましくない。
ポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂とガラス繊維を溶融混練して得られたポリアミド樹脂組成物の流動直角方向の130℃引張強度は43MPa以上であることが必要である。流動直角方向とは、成形時加工時において溶融した樹脂の流れ方向に対する直角方向のことである。樹脂の流れ方向では、ガラス繊維の補強効果が高く、高い機械強度を得やすい。一方、流動直角方向では、ガラス繊維の補強効果が小さい。複雑な形状の成形品は、樹脂の流動方向が多方向になることから、成形品の箇所によっては、ガラス繊維の補強効果が得られていない場合がある。従って、流動直角方向の強度が高いこということは、非常に重要な特性である。流動直角方向の130℃引張強度が43MPa未満であると、耐熱性が不足し、温水循環装置とした時の製品寿命が短くなる問題がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は130℃、750時間の条件でロングライフクーラント(LLC)50%水溶液にて処理した後の流動直角方向の引張強度が55MPa以上であることが必要である。55MPa未満であると、耐不凍液性が不足し、温水循環装置とした時の製品寿命が短くなる問題がある。
本発明において、ポリアミド樹脂とその他充填材との密着性を向上させるためにシラン系カップリング剤を使用してもよい。シラン系カップリング剤であれば、特に限定されるものではないが、東レ・ダウコーティング製シラン系カップリング剤“SH6026”を好適に使用できる。
シラン系カップリング剤の割合は本発明のポリアミド樹脂組成物100重量%に対して0.1〜1.0重量%を含むことが好ましい。0.1%未満では十分な補強効果が得られず、1.0%を超えると成形加工時にガスが発生し表面外観が悪化するため好ましくない。
本発明における組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混練する場合にメインフィーダーからポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂を供給し、ガラス繊維を押出機のサイドフィーダーから供給する方法が挙げられる。
温水循環装置とは不凍液を30℃〜60℃に調整し、パイプを通して循環させる装置のことをいう。本発明の温水循環装置は熱源により加熱される熱交換器と温水を貯溜する貯溜タンクと温水を強制循環させる循環ポンプからなり、それぞれがパイプにより接続されることにより、温水を循環させ、これにより、床下や道路下を一定の温度に保つことができる。
また、例えば、フロアーテーチィングやロードヒーティング等の温水循環装置の管路には、温水もしくはエチレングリコールなどの多価アルコールを含む水溶液を循環させるものであるが、本発明の温水循環装置は、30℃〜120℃に調整された多価アルコールを含む水溶液、または30℃〜90℃に調整された水が通されていることが好ましい。多価アルコールを含む水溶液は、不凍液としての効果を有するため寒冷地で使用する温水循環装置として好適に使用できる。
このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等があげられ、いずれも効果が認められる、エチレングリコールやプロピレングリコールが好適に使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(1)粘度数
ポリアミド樹脂について、ISO307に準拠し、96%濃硫酸溶液を用いて測定した。
(2)ガラス繊維の平均繊維長
本発明で得られたポリアミド樹脂組成物を電気炉にて灰化させ、灰分を光学顕微鏡観察し、ガラス繊維2000本の長さを測定し算出した。
(3)アミノ末端基量
被測定物0.5gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5、体積比)25ccに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した。
(4)流動直角方向の引張特性
以下の方法に従って測定した。
試験片:射出成形にて得られた80×80×3mmの角板を、ASTM:D638タイプIの1/2サイズ(全長:80mm、平行部長さ:30mm、平行部幅:5mm、厚み3mm)に切削加工することで流動直角方向の試験片を得た。
測定機器:インストロンジャパン株式会社製 万能試験機5581
試験条件:引張速度2mm/sec、チャック間距離50mm
試験雰囲気:気温23℃および130℃、湿度50%
(5)耐不凍液性
ロングライフクーラント(LLC)50%水溶液中で(4)の試験と同様の試験片を130℃/750時間処理した後の引張強度を測定し、耐不凍液性の目安とした。
(6)高温時引張りクリープラプチャ
試験機にて、(4)の試験と同様の試験片を用いて、130℃雰囲気下にて試験片が100hrで破断する応力を評価した。
(7)成形品表面外観
日精樹脂工業射出成形機PS60E9ASEを用いて、樹脂溶融温度を270℃、金型温度80℃にて80×80×3mmの角板を射出成形し、表面外観を目視観察した。
実施例および比較例で使用したナイロン樹脂、ガラス繊維、シラン系カップリング剤は以下のとおりである。
<ポリアミド樹脂>
(N610−a):融点215℃、相対粘度170ml/g、アミノ末端基量
3.0×10−5mg/gのポリアミド610樹脂。
(N610−b1):融点215℃、相対粘度100ml/g、アミノ末端基量
3.0×10−5mg/gのポリアミド610樹脂。
(N610−b2):融点215℃、相対粘度250ml/g、アミノ末端基量
3.0×10−5mg/gのポリアミド610樹脂。
(N610−c1):融点215℃、相対粘度170ml/g、アミノ末端基量
0.1×10−5mg/gのポリアミド610樹脂。
(N610−c2):融点215℃、相対粘度170ml/g、アミノ末端基量
6.0×10−5mg/gのポリアミド610樹脂。
(N612):融点210℃、相対粘度170ml/g、アミノ末端基量
3.0×10−5mg/gのポリアミド612樹脂。
(N66):融点265℃、相対粘度170ml/g、アミノ末端基量
3.0×10−5mg/gのポリアミド66樹脂。
<ガラス繊維>
(ガラス繊維):日本電気硝子株式会社製“T292H”
<シラン系カップリング剤>
(シラン系カップリング剤):東レ・ダウコーティング株式会社製“SH6026”。
実施例1〜7、比較例1〜5
以下に示す各材料を表1に示す割合で、東芝機械株式会社社製二軸押出機TEM−58を用いて、上流側の供給口からポリアミド樹脂を供給し、下流側の供給口からガラス繊維を供給し、樹脂溶融温度を270℃、スクリュー回転を200rpmにて溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業射出成形機PS60E9ASEで、シリンダ温度を270℃、金型温度を80℃にて30×30×3mmの角板を成形し、該角板を切削加工することで流動直角方向のASTM法準拠の試験片を得た。その試験片にて引張特性、130℃引張クリープラプチャ、耐不凍液性評価を行った。評価結果は表1に示すとおりであった。
Figure 2008222920
実施例1〜5および比較例1〜7との比較より明らかなとおり、ポリアミド610およびポリアミド612とガラス繊維とシラン系カップリング剤からなるポリアミド樹脂で、特にポリアミドについて、特定の粘度数、アミノ末端基量のものを使用することで、機械強度、耐熱性の優れた特性と良好な耐不凍液性を兼ね備えたものが得られることがわかる。

Claims (6)

  1. (a)と(b)の合計を100重量%として、(a)粘度数が120〜200ml/gかつアミノ末端基量が1.0〜5.0×10−5mol/gであるポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂50〜95重量%、(b)数平均繊維長が0.2〜1.0mmのガラス繊維5〜50重量%を配合してなる(c)ポリアミド樹脂組成物であって、(c)ポリアミド樹脂組成物からなる成形品の流動直角方向の130℃引張強度が43MPa以上であり、かつ(c)ポリアミド樹脂組成物からなる成形品を130℃、750時間の条件でロングライフクーラント(LLC)50%水溶液にて処理した後の流動直角方向の引張強度が55MPa以上であるポリアミド樹脂組成物。
  2. (a)と(b)の合計を100重量部として、(c)シラン系カップリング剤0.1〜1.0重量部を配合してなる請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(a)ポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂の粘度数が150〜170ml/gであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(a)ポリアミド610樹脂および/またはポリアミド612樹脂が、ポリアミド610樹脂である請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. (b)溶融混練後のガラス繊維が、重量平均繊維長/数平均繊維長の比率が1.7以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
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