JP2003253585A - 炭素短繊維2次元ランダム配向シート及びその製造方法 - Google Patents

炭素短繊維2次元ランダム配向シート及びその製造方法

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JP2003253585A
JP2003253585A JP2002056122A JP2002056122A JP2003253585A JP 2003253585 A JP2003253585 A JP 2003253585A JP 2002056122 A JP2002056122 A JP 2002056122A JP 2002056122 A JP2002056122 A JP 2002056122A JP 2003253585 A JP2003253585 A JP 2003253585A
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carbon fiber
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dimensional random
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Yoshinobu Suzuki
慶宜 鈴木
Yasuhisa Nagata
康久 永田
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Teijin Ltd
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Toho Tenax Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本来炭素繊維が持つ特徴である耐熱性、耐食
性を十分発揮する、実質的に炭素短繊維及び熱分解炭素
質のみからなる炭素短繊維2次元ランダム配向シート及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 硫酸煮沸による質量減少が5%以下であ
り、炭素短繊維及び熱分解炭素質を含み、且つ、炭素短
繊維含有量が80質量%以上の炭素短繊維2次元ランダ
ム配向シート。炭素繊維の前駆体繊維をカットし、炭化
した時にバインダー由来の炭素量が20質量%以下とな
るバインダーを加えて抄紙し、次いで得られる前駆体繊
維2次元ランダム配向シートを熱処理することを特徴と
する炭素短繊維2次元ランダム配向シートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素短繊維及び熱
分解炭素質を含む炭素短繊維2次元ランダム配向シート
及びその製造方法に関し、詳しくは高温下若しくは腐食
性雰囲気下での使用に好適な、すなわち耐熱性、耐食性
が高い炭素短繊維及び熱分解炭素質のみからなる炭素短
繊維2次元ランダム配向シート及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】炭素短繊維を含む炭素短繊維2次元ラン
ダム配向シートは、湿式抄紙法や乾式抄紙法で製造され
ている。しかし、抄紙法による場合は繊維同士の接着に
有機バインダーを用いることから、有機バインダーが紙
中に残り、その耐熱性、耐食性が低いので、炭素繊維本
来の耐熱性、耐食性が生かせない欠点がある。
【0003】また、炭素繊維のみからなる炭素繊維不織
布は、炭素繊維の製造上の前駆体である耐炎繊維や不融
化繊維をカード処理により開繊後、ニードルパンチ処
理、ウォータージェット処理等の方法により繊維を交絡
させた不織布を不活性雰囲気中で熱処理する方法などで
製造することができる。しかし、ウェブを形成後に針や
水でウェブを貫くことによって交絡させるため、不織布
を貫く細かな穴があきやすく欠陥を生ずる欠点がある。
【0004】また、特開平10−314519に炭素繊
維とバインダー繊維からなる不織布を燃焼させてバイン
ダー繊維を除去する方法が開示されている。しかし、バ
インダー繊維は、燃焼収縮による変形から不織布の目を
詰めてしまいやすい欠点がある。
【0005】このように、耐熱性、耐食性が高く且つ細
かな穴による欠陥がなく均一で実質的に炭素短繊維及び
熱分解炭素質のみからなる炭素短繊維2次元ランダム配
向シートを得ることは一般に困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記問
題点の克服のため鋭意研究を行った結果、硫酸煮沸によ
る質量減少が所定量以下であり、炭素短繊維及び熱分解
炭素質を含み、且つ、炭素短繊維含有量が所定量以上の
炭素短繊維2次元ランダム配向シートは、耐熱性、耐食
性が高く且つ細かな穴による欠陥がなく均一で実質的に
炭素短繊維及び熱分解炭素質のみからなる炭素短繊維2
次元ランダム配向シートであることを知得した。
【0007】また、炭素繊維の前駆体を含む繊維を湿式
抄紙したシートを不活性雰囲気中で熱処理することによ
り、耐熱性、耐食性の高い炭素短繊維2次元ランダム配
向シートを安価に製造できることを知得し、本発明を完
成するに至った。
【0008】よって、本発明の目的とするところは、本
来炭素繊維が持つ特徴である耐熱性、耐食性を十分発揮
させた、実質的に炭素短繊維及び熱分解炭素質のみから
なる炭素短繊維2次元ランダム配向シート及びその製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、以下に記載するものである。
【0010】〔1〕 硫酸煮沸による質量減少が5%以
下であり、炭素短繊維及び熱分解炭素質を含み、且つ、
炭素短繊維含有量が80質量%以上の炭素短繊維2次元
ランダム配向シート。
【0011】〔2〕 しなやかさが30°以上である
〔1〕に記載の炭素短繊維2次元ランダム配向シート。
【0012】〔3〕 炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートを構成する炭素短繊維の長さが1〜30mmである
〔1〕又は〔2〕に記載の炭素短繊維2次元ランダム配
向シート。
【0013】〔4〕 炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートを構成する炭素短繊維の直径が3.5〜20μmで
ある〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の炭素短繊維2次
元ランダム配向シート。
【0014】〔5〕 炭素繊維の前駆体繊維をカット
し、炭化した時にバインダー由来の炭素量が20質量%
以下となるバインダーを加えて抄紙し、次いで得られる
前駆体繊維2次元ランダム配向シートを熱処理すること
を特徴とする〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の炭素短
繊維2次元ランダム配向シートの製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明において、2次元ランダム配向シー
トとは実質的に2次元に繊維がランダムに配置されたシ
ートのことを言う。
【0017】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートは、硫酸煮沸による質量減少が5%以下であり、炭
素短繊維及び熱分解炭素質を含み、且つ、炭素短繊維含
有量が80質量%以上である。
【0018】硫酸煮沸による質量減少が5%を超える場
合は、炭素短繊維2次元ランダム配向シートの耐熱性、
耐食性が低下する。具体的には炭素繊維間を接着する成
分の耐熱性、耐食性が炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートの耐熱性、耐食性を決定してしまうが、硫酸煮沸に
よる質量減少が5%を超える場合は、耐熱性、耐食性の
低い未炭化有機化合物を含むことになり、本来炭素繊維
が有する耐熱性、耐食性を発揮することが不可能となる
ので好ましくない。
【0019】炭素短繊維含有量が80質量%未満の場合
は、炭素短繊維2次元ランダム配向シートのしなやかさ
が低下して巻回時の強度が低下し、管状物への巻付け加
工性に支障を来すなどの不具合を生ずるので好ましくな
い。
【0020】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートのしなやかさは、素材としての加工性の観点から、
後述する測定方法により測定して得られるしなやかさで
30°以上が好ましく、45°以上が更に好ましく、6
0°以上が特に好ましい。
【0021】炭素短繊維2次元ランダム配向シートのし
なやかさが30°未満の場合は、炭素短繊維2次元ラン
ダム配向シートの巻回時の強度が低下し、管状物への巻
付け加工性に支障を来すので好ましくない。
【0022】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートを構成する炭素短繊維の長さは1〜30mmである
ことが好ましい。
【0023】炭素短繊維の長さが1mm未満の場合は、
シート形状を保持するためには繊維間の接着力が不足し
て巻回時の強度が低下し、管状物への巻付け加工性に支
障を来すので好ましくない。
【0024】炭素短繊維の長さが30mmを超える場合
は、上記シートを構成する繊維が絡みやすくなり、2次
元に繊維がランダムに配置された状態が得られなくなる
ので好ましくない。
【0025】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートを構成する炭素短繊維の直径は3.5〜20μmで
あることが好ましい。
【0026】炭素短繊維の長さが3.5μm未満の場合
は、上記シートを構成する繊維が絡みやすくなり、2次
元に繊維がランダムに配置された状態が得られなくなる
ので好ましくない。
【0027】炭素短繊維の長さが20μmを超える場合
は、シート形状を保持するためには繊維間の接着力が不
足して巻回時の強度が低下し、管状物への巻付け加工性
に支障を来すので好ましくない。
【0028】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートは、種々の方法で製造でき、特に制限がない。
【0029】以下に好ましい製造方法の一例を示す。す
なわち本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、先ず炭素繊維の前駆体繊維をカットし、炭化した時
にバインダー由来の炭素(熱分解炭素質)量が20質量
%以下となるバインダーを加えて抄紙し、次いで得られ
る前駆体繊維2次元ランダム配向シートを熱処理するこ
とによって製造することができる。
【0030】上記炭素繊維の前駆体繊維は、不活性雰囲
気中で熱処理することにより炭素繊維に変換できる繊維
であり、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、リグニン系ピッ
チ及び芳香族系合成ピッチからなる群より選ばれる等方
性ピッチを常法に従い紡糸して得られた繊維、ポリアク
リロニトリル繊維やレーヨン繊維等を耐炎化(不融化)
して得られた繊維(耐炎繊維)、並びに、硬化後のフェ
ノール樹脂繊維などの有機繊維が例示できる。
【0031】上記炭素繊維の前駆体のなかでも、ポリア
クリロニトリル繊維の耐炎繊維は、ポリアクリロニトリ
ル繊維を酸素含有雰囲気中、200〜400℃で熱処理
した耐炎繊維が市販されており、入手が容易に可能であ
ることから特に好ましいものである。
【0032】炭素繊維の前駆体には加撚したもの、無撚
りのものがある。この撚りの有無は、炭素短繊維2次元
ランダム配向シートの用途において適宜選択できるもの
であって、本発明の製造方法に用いる炭素繊維の前駆体
における撚りの有無を限定するものではない。
【0033】炭素繊維の前駆体はシート化するのに先立
ちカットする。そのカット長さは1〜33mmが望まし
い。
【0034】カット長さが1mm未満の場合は、シート
形状を保持するには繊維間の接着力が不足するため熱処
理後の炭素短繊維シートの巻回時強度が低下し、管状物
への巻付け加工性に支障を来すので好ましくない。
【0035】カット長さが33mmを超える場合は、前
駆体繊維のシート化において繊維が絡みやすくなり、2
次元に繊維がランダムに配置された状態が得られなくな
るので好ましくない。
【0036】前駆体繊維のシート化においては、前駆体
繊維の熱分解により発生するタール分が繊維間に付着
し、それが熱分解して繊維間を架橋することにより繊維
同士が接着する。
【0037】より均一な2次元ランダム配向シートを得
るためには、前駆体繊維の長さは3〜15mmであるこ
とがより好ましい。
【0038】また、前駆体繊維のシート化の際には炭素
繊維の前駆体繊維のほかに、有機バインダーや二成分目
の有機繊維を用いることができる。
【0039】有機バインダーは、前駆体繊維のシート化
の際に炭素繊維の前駆体同士の接着を補助する効果があ
る。
【0040】有機バインダーとしては例えばエポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性
樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリオレフィ
ン樹脂、ポリビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いること
ができる。
【0041】しかし、これらの樹脂は後の熱処理により
炭化(炭素化)し、繊維間を強く接着するため、多量に
添加すると熱処理後の炭素短繊維シートを構成する炭素
繊維はその本来のしなやかさが失われる。そのため、有
機バインダーは、添加量を少量に抑えることが好まし
く、且つ、熱分解炭素収率が低いものが好ましい。
【0042】有機バインダー添加量としては、有機バイ
ンダーの種類によって異なるが、一般的には30〜40
質量%以下の場合は、炭素化で生成する有機バインダー
由来の炭素(熱分解炭素質)成分が20質量%以下にな
る。
【0043】二成分目の有機繊維としてはポリエステル
繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、レ
ーヨン繊維、綿、麻、パルプ等を用いることができる。
【0044】これらの有機繊維は、後工程の不活性雰囲
気中での熱処理によっても繊維形状を保持し、繊維状の
熱分解炭素、すなわち炭素繊維に転換される。
【0045】一般に合成繊維や再生繊維は、表面艶を抑
えるために二酸化チタン、タルク等の無機化合物の粉末
と共に紡出されるため無機系の不純物が含まれることが
多い。これに対し、本発明の炭素短繊維2次元ランダム
配向シートの製造に用いる有機繊維及び有機バインダー
は、上記無機化合物が含まれていないものが望ましい。
【0046】繊維状材料等のシート化方法すなわち抄紙
法には湿式法と乾式法がある。乾式法で上記前駆体繊維
をシート化する際には、有機バインダー及び/又は二成
分目の有機繊維として熱可塑性樹脂を用いて繊維同士の
熱融着を行うことが好ましい。
【0047】この乾式法に対し、湿式法では液中で撹拌
されることにより前駆体繊維の開繊と交絡が起こるた
め、有機バインダー及び/又は二成分目の有機繊維の使
用量を少なくすることができるので、抄紙法としては湿
式法を用いる方がより好ましい。
【0048】このような抄紙法により得られた主に炭素
繊維の前駆体繊維からなる2次元ランダム配向シートす
なわち炭素繊維の前駆体繊維及び必要に応じ有機バイン
ダー及び/又は二成分目の有機繊維からなる2次元ラン
ダム配向シートは、不活性雰囲気中で熱処理する。
【0049】不活性雰囲気中、例えば窒素を満たした焼
成炉中に、連続的に上記炭素繊維の前駆体繊維等からな
る2次元ランダム配向シートを供給することで前駆体繊
維等を、炭素短繊維及び熱分解炭素質に転換する。
【0050】熱処理温度は、通常の炭素化、黒鉛化処理
の温度範囲であるが、800℃より低いと転換された炭
素短繊維が脆く、取扱いが困難となるため、800℃以
上であることが望ましい。
【0051】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により具体
的に説明する。
【0052】以下の実施例及び比較例の条件により、実
質的に炭素短繊維のみからなる2次元ランダム配向シー
ト、並びに、実質的に炭素短繊維及び熱分解炭素質のみ
からなる2次元ランダム配向シートを作製し、それらシ
ートの諸物性値を、以下の方法により測定した。
【0053】硫酸煮沸による質量減少:得られた2次元
ランダム配向シートを10cm角で切り出し、質量(W
1)を測定後、濃硫酸100cm3中250℃で2時間加
熱する。100℃に冷却後35%過酸化水素水30cm
3を加えてガラス濾過器(目の粗さ:G3)でろ過、乾
燥後の質量(W2)を測定し、(W1−W2)/W1×10
0(%)で質量減少率を算出する。
【0054】しなやかさ:得られた2次元ランダム配向
シートを2cm×15cmに切り出し、片側を半径10
mmで面取りをした台に試料の片側半分を固定し、固定
していない方の半分を押し下げる。折り目が付いたり、
破壊に至った時の角度を「しなやかさ」とする。
【0055】(実施例1)松本油脂製薬株式会社製ポリ
オキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル(商品
名:アクチノール F−5)0.05質量%を溶かした
水溶液中に、前駆体繊維として長さ5mmにカットした
東邦テナックス株式会社製ポリアクリロニトリル系耐炎
繊維(商品名:パイロメックス A2d×5mm)を
0.4質量%投入し、更にバインダーとしてポリビニル
アルコールを加えて湿式抄紙を行い、坪量48g/m2
の前駆体繊維2次元ランダム配向シートを得た。
【0056】この前駆体繊維2次元ランダム配向シート
は、耐炎繊維含有量が83質量%、バインダー含有量が
17質量%であった。
【0057】次に、上記前駆体繊維2次元ランダム配向
シートを窒素中、1500℃で熱処理することにより坪
量27g/m2の実質的に炭素短繊維と熱分解炭素質の
みからなる炭素短繊維2次元ランダム配向シートを得
た。
【0058】この炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、硫酸煮沸による質量減少が0.8%、炭素短繊維含
有量が86質量%、熱分解炭素質含有量が14質量%、
しなやかさが70°、シートを構成する炭素短繊維の、
長さが4.5mm、直径が11μmであった。
【0059】上記炭素短繊維2次元ランダム配向シート
を巻回積層してエレメントにセットし、500℃の排ガ
スの浄化フィルタとして使用したところ、繰り返しの使
用に耐えた。
【0060】(実施例2)松本油脂製薬株式会社製ポリ
オキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル(商品
名:アクチノール F−5)0.05質量%を溶かした
水溶液中に、前駆体繊維として長さ5mmにカットした
東邦テナックス株式会社製ポリアクリロニトリル系耐炎
繊維(商品名:パイロメックス A2d×5mm)を
0.4質量%投入し、更にバインダーとしてフェノール
樹脂エマルジョンを加えて湿式抄紙を行い、坪量44g
/m2の前駆体繊維2次元ランダム配向シートを得た。
【0061】この前駆体繊維2次元ランダム配向シート
は、耐炎繊維含有量が91質量%、バインダー含有量が
9質量%であった。
【0062】次に、上記前駆体繊維2次元ランダム配向
シートを窒素中、1500℃で熱処理することにより坪
量28g/m2の実質的に炭素短繊維と熱分解炭素質の
みからなる炭素短繊維2次元ランダム配向シートを得
た。
【0063】この炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、硫酸煮沸による質量減少が0.9%、炭素短繊維含
有量が93質量%、熱分解炭素質含有量が7質量%、し
なやかさが40°、シートを構成する炭素短繊維の、長
さが4.5mm、直径が11μmであった。
【0064】上記炭素短繊維2次元ランダム配向シート
を巻回積層してエレメントにセットし、500℃の排ガ
スの浄化フィルタとして使用したところ、繰り返しの使
用に耐えた。
【0065】(実施例3)松本油脂製薬株式会社製ポリ
オキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル(商品
名:アクチノール F−5)0.05質量%を溶かした
水溶液中に、前駆体繊維として長さ5mmにカットした
東邦テナックス株式会社製ポリアクリロニトリル系耐炎
繊維(商品名:パイロメックス A2d×5mm)、及
び、もう1つの前駆体繊維として長さ5mmにカットし
た東邦レーヨン徳島株式会社製レーヨン繊維(商品名:
トービス AC−RB 1.5d×5mm)を、それぞ
れ0.4質量%、及び、0.1質量%投入した後、湿式
抄紙を行い、坪量50g/m2の前駆体繊維2次元ラン
ダム配向シートを得た。
【0066】この前駆体繊維2次元ランダム配向シート
は、耐炎繊維含有量が80質量%、レーヨン繊維含有量
が20質量%であった。
【0067】次に、上記前駆体繊維2次元ランダム配向
シートを窒素中、1500℃で熱処理することにより坪
量28g/m2の実質的に炭素短繊維と熱分解炭素質の
みからなる炭素短繊維2次元ランダム配向シートを得
た。
【0068】この炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、硫酸煮沸による質量減少が0.7%、炭素短繊維含
有量が質量97%、熱分解炭素質含有量が3質量%、し
なやかさが85°、シートを構成する炭素短繊維の、長
さが4.5mm、直径が11μmであった。
【0069】上記炭素短繊維2次元ランダム配向シート
を巻回積層してエレメントにセットし、500℃の排ガ
スの浄化フィルタとして使用したところ、繰り返しの使
用に耐えた。
【0070】(比較例1)松本油脂製薬株式会社製ポリ
オキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル(商品
名:アクチノール F−5)0.05質量%を溶かした
水溶液中に、前駆体繊維として長さ5mmにカットした
東邦テナックス株式会社製ポリアクリロニトリル系耐炎
繊維(商品名:パイロメックス A2d×5mm)を
0.4質量%投入し、更にバインダーとしてフェノール
樹脂エマルジョンを加えて湿式抄紙を行い、坪量55g
/m2の前駆体繊維2次元ランダム配向シートを得た。
【0071】この前駆体繊維2次元ランダム配向シート
は、耐炎繊維含有量が72質量%、バインダー含有量が
28質量%であった。
【0072】次に、上記前駆体繊維2次元ランダム配向
シートを窒素中、1500℃で熱処理することにより坪
量34g/m2の実質的に炭素短繊維と熱分解炭素質の
みからなる炭素短繊維2次元ランダム配向シートを得
た。
【0073】この炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、硫酸煮沸による質量減少が1.2%、炭素短繊維含
有量が75質量%、熱分解炭素質含有量が25質量%、
しなやかさが20°、シートを構成する炭素短繊維の、
長さが4.5mm、直径が11μmであった。
【0074】上記炭素短繊維2次元ランダム配向シート
は、巻回積層する際に割れてしまい、排ガスの浄化フィ
ルタエレメントとして使用出来なかった。
【0075】(比較例2)使用する繊維を長さ6mmの
東邦テナックス株式会社製炭素繊維(HTA−C6−0
W)に変え、バインダーにエポキシ樹脂エマルジョンを
用いて湿式抄紙することにより坪量35g/m2、炭素
繊維目付28g/m2の炭素短繊維2次元ランダム配向
シートを得た。
【0076】得られた炭素短繊維2次元ランダム配向シ
ートは、硫酸煮沸による質量減少率が20.2%、炭素
短繊維含有量が80質量%、しなやかさが45°、シー
トを構成する炭素短繊維の、長さが6.0mm、直径が
7.0μmであった。
【0077】実施例1及び2と同様に500℃の排ガス
の浄化フィルタとしてを上記炭素短繊維2次元ランダム
配向シート使用したところ、バインダーの熱分解により
約2分で繊維がバラバラになり、それ以後は使用出来な
くなった。
【0078】
【発明の効果】本発明の炭素短繊維2次元ランダム配向
シートは、硫酸煮沸による質量減少が所定量以下であ
り、炭素短繊維及び熱分解炭素質を含み、且つ、炭素短
繊維含有量が所定量以上であるので、耐熱性、耐食性が
高く且つ細かな穴による欠陥がない。更に、シートを構
成する炭素短繊維は2次元のランダムな配向を均一に形
成しているので、本発明の炭素短繊維2次元ランダム配
向シートは、高温下若しくは腐食性雰囲気下で使用する
材料として好適である。
【0079】また、炭素繊維の前駆体を含む繊維を湿式
抄紙したシートを不活性雰囲気中で熱処理することによ
り、上記炭素短繊維2次元ランダム配向シートを容易に
製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L055 AF03 AG34 AG64 AH33 AH37 EA07 EA16 EA32 FA19 GA38 GA39

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸煮沸による質量減少が5%以下であ
    り、炭素短繊維及び熱分解炭素質を含み、且つ、炭素短
    繊維含有量が80質量%以上の炭素短繊維2次元ランダ
    ム配向シート。
  2. 【請求項2】 しなやかさが30°以上である請求項1
    に記載の炭素短繊維2次元ランダム配向シート。
  3. 【請求項3】 炭素短繊維2次元ランダム配向シートを
    構成する炭素短繊維の長さが1〜30mmである請求項
    1又は2に記載の炭素短繊維2次元ランダム配向シー
    ト。
  4. 【請求項4】 炭素短繊維2次元ランダム配向シートを
    構成する炭素短繊維の直径が3.5〜20μmである請
    求項1乃至3の何れかに記載の炭素短繊維2次元ランダ
    ム配向シート。
  5. 【請求項5】 炭素繊維の前駆体繊維をカットし、炭化
    した時にバインダー由来の炭素量が20質量%以下とな
    るバインダーを加えて抄紙し、次いで得られる前駆体繊
    維2次元ランダム配向シートを熱処理することを特徴と
    する請求項1乃至4の何れかに記載の炭素短繊維2次元
    ランダム配向シートの製造方法。
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