JP2003252680A - Mn−Zn系フェライト、フェライト磁心及び通信機器用電子部品 - Google Patents

Mn−Zn系フェライト、フェライト磁心及び通信機器用電子部品

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JP2003252680A
JP2003252680A JP2002057367A JP2002057367A JP2003252680A JP 2003252680 A JP2003252680 A JP 2003252680A JP 2002057367 A JP2002057367 A JP 2002057367A JP 2002057367 A JP2002057367 A JP 2002057367A JP 2003252680 A JP2003252680 A JP 2003252680A
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JP
Japan
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thd
ferrite
terms
mol
communication equipment
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Application number
JP2002057367A
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English (en)
Inventor
Masahiro Takahashi
昌弘 高橋
Tokukazu Koyuhara
徳和 小湯原
Katsuyuki Kiguchi
勝之 城口
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入力波に対する出力波形の歪が小さく、広温
度範囲でTHD特性に優れたMn−Zn系フェライト、
フェライト磁心と、これを用いた通信機器用電子部品を
提供することを目的とする。 【解決手段】 Fe換算で52.0〜54.0モ
ル%、ZnO換算で22.0〜25.0モル%、残部酸
化マンガンを主成分とし、副成分としてCaO換算で0
〜0.15wt%(0を含まず)のCaと、Bi、S
i、Nbからなる群から選ばれる少なくとも一つを、B
換算で0〜0.015wt%(0を含む)、S
iO換算で0〜0.01wt%(0を含む)、Nb
換算で0〜0.03wt%(0を含む)の範囲で含
有することを特徴とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、xDSL用通信機
器の伝送トランス、フィルタに使用されるMn−Zn系
フェライト、フェライト磁心、通信機器用電子部品であ
って、特に信号が磁心を通過する際に発生する波形歪の
少ない、広温度範囲でTHD特性に優れたMn−Zn系
フェライト、フェライト磁心、通信機器用電子部品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来高透磁率を有するMn−Zn系フェ
ライトは各種トランス、フィルタ、xDSLモデム等の
通信機器用電子部品に使用されているが、通信機器用電
子部品の磁心として用いられるフェライトには高透磁率
であることに加えて、通信信号が通信機器用電子部品を
通過する際に発生する波形歪が少ないことが要求され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特に高速・大容量の通
信に対応したADSL(Asymmetric Dig
ital Subscriber Line)に代表され
るxDSL用通信機器に使用される磁心においては、信
号が通過する際に発生する信号波形の歪が、情報伝送の
際にエラーレートの増加を招くため、信号が出力する際
の波形歪のよりいっそうの低減が要求され、その主要部
材であるフェライト磁心の特性の改善が求められてい
る。
【0004】例えば、信号が磁心を通過する際に発生す
る出力波形の歪は、入力する基本波に対する三次高調波
を中心とした高調波成分が出力基本波に含まれることに
より生じる。それは磁界Hと磁束密度Bの非線形性・ヒ
ステリシスカーブ特性に起因すると考えられる。実用的
には、かかる出力波形の歪に対して磁心にギャップを設
けて、実効透磁率を下げることにより線形性を改善し、
通信用トランスなどとして用いているのが現状である。
しかし、かかる方法では保磁力低減等のBHループの線
形性の本質的な改善には至っておらず、また必要なイン
ダクタンスを得るためには巻線数の増加という負荷を伴
うといった問題があった。そのためxDSL用通信機器
に使用されるフェライト磁心そのものの改善によるさら
なる低歪化が必要とされていた。
【0005】本発明は上記問題を解決するために鋭意検
討した結果見いだされたものであり、入力波に対する出
力波形の歪の小さい、広温度範囲でTHD特性に優れた
Mn−Zn系フェライト、フェライト磁心と、これを用
いた通信機器用電子部品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、Fe
換算で52.0〜54.0モル%、ZnO換算で2
2.0〜25.0モル%、残部酸化マンガンを主成分と
し、副成分としてCaO換算で0〜0.15wt%(0
を含まず)のCaと、Bi、Si、Nbからなる群から
選ばれる少なくとも一つを、Bi換算で0〜0.
015wt%(0を含む)、SiO換算で0〜0.0
1wt%(0を含む)、Nb換算で0〜0.03
wt%(0を含む)の範囲で含有するTHD特性に優れ
たMn−Zn系フェライトである。本発明のMn−Zn
系フェライトは、THD値と振幅透磁率μaとの比で表
されるTHD/μaが、印加磁束密度30mT、周波数
5KHz、0℃〜85℃の温度範囲において−125d
B以下である。そして、初透磁率μiが3000以上で
あるのが好ましい。また、初透磁率μiのキュリー温度
(Tc)が90℃以上140℃以下であり、セカンダリ
ーピーク温度(Ts)が0℃以上40℃以下であること
が望ましい。
【0007】第2の発明は、Fe,Mn,Znを主成分
とし、副成分としてCaを必須とし、THD値と振幅透
磁率μaとの比で表されるTHD/μaが、印加磁束密
度30mT、周波数5KHz、0℃〜85℃の温度範囲
において−125dB以下のフェライト磁心である。本
発明においては、初透磁率μiが3000以上であるこ
とが好ましい。前記フェライト磁心は、Fe換算
で52.0〜54.0モル%、ZnO換算で22.0〜
25.0モル%、残部酸化マンガンを主成分とし、副成
分としてCaO換算で0〜0.15wt%(0を含ま
ず)のCaと、Bi、Si、Nbからなる群から選ばれ
る少なくとも一つを、Bi換算で0〜0.015
wt%(0を含む)、SiO換算で0〜0.01wt
%(0を含む)、Nb換算で0〜0.03wt%
(0を含む)の範囲で含有する組成を選択するのが好ま
しい。
【0008】第3の発明は、第2の発明のフェライト磁
心を用いて通信機器用トランスやxDSL用モデムとし
た通信機器用電子部品である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施例によって具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。
【0010】本発明において出力波形の歪量を示す指標
として用いているTHD/μaについて説明する。TH
D(Total HarmonicDistortio
n 総高調波歪)は基本波Vb(V)に対する高調波成
分Vh(V)の比であり、次式で与えられ、 THD=20×LOG10(Vh/Vb) [dB] また、THD/μaは次式で与えられる。 THD/μa=20×LOG10((Vh/Vb)/μa) [dB] ここで、μaは振幅透磁率である。高調波成分の割合を
μaで除した値を歪の指標としているのは、例えばPr
oceedingsof The Eighth Int
ernational Conferenceon Fe
rrite、509、2000にあるように、ギャップ
形成等によるμa変化がTHDへ与える影響を除いて材
料固有の評価をするためである。このTHD/μaを指
標とすることによって、材料評価に用いるトロイダル形
状における評価と実製品の形状における評価に相関関係
を持たせることができる。ここで、かかるTHD/μa
は小さいほど出力波形の歪量が少ないことを示す。なお
ADSLの使用周波数は20kHz〜1.1MHzであ
るが、THDの測定に使用するオーディオアナライザー
はその周波数範囲の低周波数側の一部しかカバーしてい
ないうえ、かかる範囲でも十分な精度が得られない場合
があるため、本発明においてはTHD/μaの測定の便
宜上周波数を5kHzとした。
【0011】また、THD/μaの値は印加磁束密度が
増加するにつれて大きくなるが、実用される際の水準か
ら本発明では30mTとした。すなわち、THD/μa
の値は測定周波数、磁束密度によって異なり一義的でな
いため、本発明におけるTHD/μa値は上記測定条件
における値を用い、材料評価の基準とした。また、本発
明におけるTHD/μaの評価は、ADSLモデムの使
用環境温度から0℃〜85℃とした。周波数5kHz、
印加磁束密度30mTの測定条件で−125dB以下と
することにより実機での情報伝送のエラーレートが改善
され実用上十分な水準とすることができる。より好まし
くは0℃〜85℃での温度範囲において、周波数5kH
z、印加磁束密度30mTの測定条件で−130dB以
下とすることにより、より高い伝送特性を提供すること
ができる。
【0012】本発明における初透磁率μiは3000以
上である。初透磁率が3000未満であると巻線数増加
に起因する損失が増加するからである。
【0013】本発明におけるMn−Zn系フェライトの
主成分組成はFe換算で52.0〜54.0モル
%、より好ましくは52.0〜53.0モル%、ZnO
換算で22.0〜25.0モル%、残部酸化マンガンと
した。主成分をかかる範囲に限定したのは以下の理由に
よる。主成分であるFe、ZnOおよび酸化マン
ガンの比を変化させることによってキュリー温度(T
c)および初透磁率μiが極大を示すいわゆるセカンダ
リーピーク温度(Ts)を制御することができるが、本
発明において波形歪の指標としているTHD/μa値も
上記主成分比によってその温度変化を制御することがで
きる。すなわちTHD/μaの温度変化は図1に示すよ
うにμiの温度変化と連動し、μiのセカンダリーピー
ク温度(Ts)で極小となる。THD/μaはセカンダ
リーピーク温度を超えると温度上昇に伴って増加した
後、キュリー温度(Tc)に向かって再び減少する。こ
のTsとTcの温度差が大きくなればなるほど、Tsと
Tc間でのTHD/μaの増加が大きくなることが確認
できた。したがって0℃〜85℃の範囲にいおいて安定
したTHD/μaを得るためにはこれらTsおよびTc
を一定の範囲に制御する必要がある。かかる目的を達成
するためには、好ましくはTsは−20℃〜50℃かつ
Tcは90〜140℃、より好ましくはTsは0℃〜4
0℃かつTcは100℃〜130℃である。
【0014】次に主成分組成の限定理由について説明す
る。本発明において主成分組成は主に初透磁率μiとT
HD/μaの温度依存性を制御する目的から限定する。
Fe が52.0モル%未満であるとTsが高温側
にシフトする結果低温でのTHD/μaの増加が顕著と
なり、54.0モル%を超えるとTsが低温側にシフト
する結果TsおよびTc間でのTHD/μaの増加が大
きくなるからである。より好ましくは52.0〜53.
0モル%とすることで0℃〜85℃の常用温度域でより
小さいTHD/μa値を得ることができる。
【0015】また、ZnOを上記範囲に限定したのは、
ZnOが22.0モル%未満であるとTcが高温側にシ
フトする結果TsおよびTc間でのTHD/μaの増加
が大きくなるからであり、25.0モル%を超えるとT
cが低温側にシフトし実用温度の上限以下となり、実用
に耐えないからである。
【0016】また、本発明におけるMn−Zn系フェラ
イトは副成分としてCaO換算で0〜0.15wt%
(0を含まず)のCaを含有する。なお、CaOは一般
にはSiOとの複合添加によって粒界の電気抵抗を上
げ、損失を低減する効果を有する。一方、十分な磁界を
印加して測定したメジャ−ル−プでの保磁力は増加し、
かかる保磁力の増加はBHル−プの線形性の低下、ヒス
テリシス損の増加を招くことになる。しかし、xDSL
用通信機器、例えばADSL用モデムでは、印加磁界の
小さいいわゆるレ−リ−範囲で使用されるが、かかるマ
イナ−ル−プの範囲であると考えられる30mTではC
aOの添加によって逆にHcは減少し、BHル−プの線
形性が向上することが見出されたのである。すなわち本
発明においてCaOの添加によって特にTHD/μaの
値の低下に効果があることが見出されたものである。C
aOを上記範囲に限定したのは、CaOを添加すること
によってTHD/μaの値が低下し、波形の歪を低減す
ることができるが、CaOの含有量が多くなるにしたが
い、CaOの効果が徐々に飽和し、特に0.15wt%
を超えると焼結体の組織が不均一になり、初透磁率の低
下が大きくなるとともに、THD/μaの値も劣化する
からである。したがってCaOは0〜0.15wt%
(0を含まず)が好ましく、さらに好ましくは0.00
5wt%〜0.07wt%である。
【0017】また、本発明においては初透磁率の向上、
磁心損失の低減の観点からBi 換算で0〜0.0
15wt%、SiO換算で0〜0.01wt%、Nb
換算で0〜0.03wt%のBi、Si、Nbを
含有することが好ましい。Biをかかる範囲に限
定したのは、Biは粒成長を促進し、初透磁率の
向上に寄与するが、0.015wt%を超えると粒成長
が著しくなり、THD/μaの値が大きくなるためであ
る。したがってBiは0〜0.015wt%とす
るのが好ましく、より好ましくは0〜0.012wt%
である。
【0018】また、SiOを上記範囲に限定したの
は、SiOは粒界の電気抵抗を上げ損失低減・相対損
失係数tanδ/μiの改善に寄与するが、添加量が
0.01wt%を超えると焼結時に異常粒成長が生じT
HD/μaが大きくなるからである。したがってSiO
は0〜0.01wt%が好ましく、より好ましくは0
〜0.005wt%である。
【0019】また、Nbを上記範囲に限定したの
は、Nbは焼結性向上・相対損失係数tanδ/
μi改善の効果を有するが0.03wt%を超えると異
常粒成長し、その結果THD/μaが著しく大きくなる
ためである。したがってNb は0〜0.03wt
%が好ましく、より好ましくは0〜0.015wt%で
ある。上述のとおり本発明においては、上記の副成分は
主にTHD/μa、初透磁率μi、相対損失係数等の特
性値の絶対値を向上する目的でその含有量を制御され
る。
【0020】なお、本発明においては上記主成分、副成
分以外の成分の含有を否定するものではなく、必要に応
じて上記主成分、副成分以外の成分も含むことができ
る。
【0021】
【実施例】以下本発明に係るMn−Zn系フェライトに
ついて以下具体的に説明する。
【0022】表1に示す組成比にFe、ZnO、
酸化マンガン(Mnを使用)を計量・混合しこれ
を850℃で2時間仮焼した。これに、CaO(CaC
を使用)、Bi、SiO、Nbを、
フェライト磁心中の含有量が、Bi換算で0.0
12wt%、SiO換算で0.002wt%、Nb
換算で0.01wt%、CaO(なお本発明ではC
aCOを用いた)換算で0.005wt%となるよう
に添加し、湿式ボールミルにて5時間粉砕した。これら
にバインダーを添加し、スプレイドライヤーで造粒後リ
ング形状、EP−13形状(AL=160nH/N
に圧縮成形した後、1300℃にて5時間、酸素濃度を
制御した窒素雰囲気中で焼結した。得られた外形25m
m、内径15mm、高さ5mmのリング状焼結体の25
℃における初透磁率および初透磁率とTHD/μaの温
度依存性を測定した。リング形状の巻線数は、インダク
タンスが3mHとなるよう調整した。THDの測定は図
8に示すオーディオプレシジョン社製オーディオアナラ
イザー(SystemTwo)を使用し、測定周波数は
5kHz、測定磁束密度は30mTとした。
【0023】リング形状の試料の評価結果を図1〜図7
および表1および表2に示す。表中、本発明の範囲内の
ものを実施例とし、範囲外のものを比較例とした。表2
に0℃〜85℃までの温度範囲における初透磁率μiと
THD/μaの最小値および最大値を測定温度とともに
示すが、実施例に該当するものは0℃〜85℃までの温
度範囲においてTHD/μaが−125dB以下であ
り、Fe、ZnO、酸化マンガンを本発明の範囲
とすることによって0℃〜85℃における温度範囲でT
HD/μaが良好なMn−Zn系フェライトを得ること
ができる。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】次に、Feを52.40wt%、Z
nOを25.00wt%、残部酸化マンガン(Mn
を使用)を計量・混合し、これを850℃で2時間仮
焼した。これにCaO(CaCOを使用)、Bi
、SiO、Nbを、フェライト磁心中の含有
量が表3に示した組成量となるように、適量添加した。
表3においてSiOの組成量に括弧を付した実施例、
比較例があるが、これは主成分中に不純物として混入し
てフェライト磁心に含まれるSiO量を示したもので
あり、素原料中に添加してフェライト磁心に含まれるS
iO量と区別するようにした。なお、一般に不純物と
してフェライト磁心には、V,Co,Ti,Sn,N
i,Zrなどの金属元素が含有される場合がある。そし
て、湿式ボールミルにて5時間粉砕した後、これらにバ
インダーを添加し、スプレイドライヤーで造粒後リング
状に圧縮成形した後、1300℃にて5時間、酸素濃度
を制御した窒素雰囲気中で焼結した。得られた外形25
mm、内径15mm、高さ5mmのリング状焼結体の2
0℃における初透磁率および初透磁率とTHD/μaの
温度依存性を測定した。リング形状の巻線数、THDの
測定条件は実施例1と同様の条件とした。また、相対品
質係数tanδ/μiは25℃において10kHzの条
件で測定した。
【0027】リング形状の試料の評価結果を表3に示
す。表中、本発明の範囲内のものを実施例とし、範囲外
のものを比較例とした。なお、表中には明記されていな
いが、0.2wt%のCaOを含有する比較例5、0.
02wt%のBiを含有する比較例6、0.01
5wt%のSiOを含有した比較例7、および0.0
4wt%のNbを含有した比較例8の試料の焼結
体組織においては、いずれも異常粒成長が確認された。
表3に示すようにBi、SiO、Nb
CaOを本発明の範囲とすることで、THD/μaの小
さいかつ初透磁率の高いMn−Zn系フェライトを得る
ことができ、特にCaOはTHD/μaの改善に著効を
示すことがわかる。
【0028】
【表3】
【0029】また、実施例1、比較例2、比較例3の条
件で作製した図9に示すJIS規格C2561に規定す
るEP−13形状の磁心を2つ突き合わせ、内脚に巻線
を配置して、ケース7に配置固定して、図10に示す斜
視図として示す通信機機器用トランスとした。図11
は、この通信機機器用トランスの等価回路であり、NP
1:NP2:NS1:NS2=1:1:1:1で、NP
1+NP2、NS1+NS2の巻線数はともに140タ
ーンである。
【0030】これらのフェライト磁心を使用した通信機
機器用トランスを用いて、図14に回路ブロック図とし
て示すxDSL用モデムを構成した。このxDSL用モ
デムは、図13に示すxDSLのデータ伝送線路におい
て、例えば音声信号とデジタル信号をとを分離するスプ
リッタとコンピュータ(PC)との間に配置されるもの
である。前記トランスはデジタル変復調や制御回路を含
むLSIと電話線との間のラインカップリングに使用さ
れる。通信機機器用トランスを図12に示す測定回路で
THDを評価した結果、実施例1のものは、周波数5K
Hz、0℃〜85℃の温度範囲において−125dB以
下のTHD/μaであり、xDSLモデムも前記温度範
囲で安定動作したが、比較例のものは例えば、0℃での
THD/μaが、それぞれ−122.6dB、−11
5.5dBであり、この通信機機器用トランスを組み込
んだxDSLモデムのエラーレートが大きくなるため実
用に供することはできなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、0℃〜85℃の広温度
範囲で入力波に対する出力波形歪の小さいTHD特性に
優れたMn−Zn系フェライト、フェライト磁心と、こ
れを用いた通信機器用電子部品を提供することが出来
る。また、フェライト材料として、特に、CaOを本発
明の範囲含有させることで出力波形歪を大幅に改善する
ことができる。本発明のMn−Zn系フェライト磁心を
使用することにより、高品質の通信機器用トランス、x
DSL用モデムなどの通信機機器用電子部品の製造が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例のμiとTHD/μaの温度特性図で
ある。
【図2】 本発明に係る一実施例のμiとTHD/μa
の温度特性図である。
【図3】 本発明に係る他の実施例のμiとTHD/μ
aの温度特性図である。
【図4】 本発明に係る他の実施例のμiとTHD/μ
aの温度特性図である。
【図5】 他の比較例のμiとTHD/μaの温度特性
図である。
【図6】 他の比較例のμiとTHD/μaの温度特性
図である。
【図7】 本発明に係る他の実施例のμiとTHD/μ
aの温度特性図である。
【図8】 THD特性の測定回路図である。
【図9】 EP−13形状の磁心形状を示す外観斜視図
である。
【図10】 通信機機器用トランスの形状の一例を示す
外観斜視図である。
【図11】 通信機機器用トランスの回路の一例を示す
等価回路である。
【図12】 THD特性の他の測定回路図である。
【図13】 xDSLのデータ伝送線路の説明図であ
る。
【図14】 本発明のフェライト磁心を用いて構成した
xDSL用モデムの回路の一例を示す回路ブロック図で
ある。
【手続補正書】
【提出日】平成15年3月12日(2003.3.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、Fe
換算で52.0〜54.0モル%、ZnO換算で2
2.0〜25.0モル%、残部酸化マンガンを主成分と
し、副成分としてCaO換算で0〜0.15wt%(0
を含まず)のCaと、Bi、Si、Nbからなる群から
選ばれる少なくとも一つを、Bi換算で0〜0.
015wt%(0を含む)、SiO換算で0〜0.0
1wt%(0を含む)、Nb換算で0〜0.03
wt%(0を含む)の範囲で含有するTHD特性に優れ
たMn−Zn系フェライトである。本発明のMn−Zn
系フェライトは、THD値と振幅透磁率μaとの比で表
されるTHD/μaが、印加磁束密度30mT、周波数
Hz、0℃〜85℃の温度範囲において−125d
B以下である。そして、初透磁率μiが3000以上で
あるのが好ましい。また、初透磁率μiのキュリー温度
(Tc)が90℃以上140℃以下であり、セカンダリ
ーピーク温度(Ts)が−20℃以上50℃以下である
ことが望ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】第2の発明は、Fe,Mn,Znを主成分
とし、副成分としてCaを必須とし、THD値と振幅透
磁率μaとの比で表されるTHD/μaが、印加磁束密
度30mT、周波数5Hz、0℃〜85℃の温度範囲
において−125dB以下のフェライト磁心である。本
発明においては、初透磁率μiが3000以上であるこ
とが好ましい。前記フェライト磁心は、Fe換算
で52.0〜54.0モル%、ZnO換算で22.0〜
25.0モル%、残部酸化マンガンを主成分とし、副成
分としてCaO換算で0〜0.15wt%(0を含ま
ず)のCaと、Bi、Si、Nbからなる群から選ばれ
る少なくとも一つを、Bi換算で0〜0.015
wt%(0を含む)、SiO換算で0〜0.01wt
%(0を含む)、Nb換算で0〜0.03wt%
(0を含む)の範囲で含有する組成を選択するのが好ま
しい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】これらのフェライト磁心を使用した通信機
機器用トランスを用いて、図14に回路ブロック図とし
て示すxDSL用モデムを構成した。このxDSL用モ
デムは、図13に示すxDSLのデータ伝送線路におい
て、例えば音声信号とデジタル信号とを分離するスプリ
ッタとコンピュータ(PC)との間に配置されるもので
ある。前記トランスはデジタル変復調や制御回路を含む
LSIと電話線との間のラインカップリングに使用され
る。通信機機器用トランスを図12に示す測定回路でT
HDを評価した結果、実施例1のものは、周波数5
z、0℃〜85℃の温度範囲において−125dB以下
のTHD/μaであり、xDSLモデムも前記温度範囲
で安定動作したが、比較例のものは例えば、0℃でのT
HD/μaが、それぞれ−122.6dB、−115.
5dBであり、この通信機機器用トランスを組み込んだ
xDSLモデムのエラーレートが大きくなるため実用に
供することはできなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G018 AA08 AA18 AA21 AA25 AA31 AA37 5E041 AB02 CA02 NN02 NN14 NN18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe換算で52.0〜54.0モ
    ル%、ZnO換算で22.0〜25.0モル%、残部酸
    化マンガンを主成分とし、副成分としてCaO換算で0
    〜0.15wt%(0を含まず)のCaと、Bi、S
    i、Nbからなる群から選ばれる少なくとも一つを、B
    換算で0〜0.015wt%(0を含む)、S
    iO換算で0〜0.01wt%(0を含む)、Nb
    換算で0〜0.03wt%(0を含む)の範囲で含
    有することを特徴とするTHD特性に優れたMn−Zn
    系フェライト。
  2. 【請求項2】 THD値と振幅透磁率μaとの比で表さ
    れるTHD/μaが、印加磁束密度30mT、周波数k
    KHz、0℃〜85℃の温度範囲において−125dB
    以下であることを特徴とする請求項1に記載のTHD特
    性に優れたMn−Zn系フェライト。
  3. 【請求項3】 初透磁率μiが3000以上であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のTHD特性に優れ
    たMn−Zn系フェライト。
  4. 【請求項4】 初透磁率μiのキュリー温度(Tc)が
    90℃以上140℃以下であり、セカンダリーピーク温
    度(Ts)が0℃以上40℃以下であることを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれかに記載のTHD特性に優れ
    たMn−Zn系フェライト。
  5. 【請求項5】 Fe,Mn,Znを主成分とし、副成分
    としてCaを必須とし、THD値と振幅透磁率μaとの
    比で表されるTHD/μaが、印加磁束密度30mT、
    周波数5kHz、0℃〜85℃の温度範囲において−1
    25dB以下であることを特徴とするフェライト磁心。
  6. 【請求項6】 初透磁率μiが3000以上であること
    を特徴とする請求項5に記載のフェライト磁心。
  7. 【請求項7】 Fe換算で52.0〜54.0モ
    ル%、ZnO換算で22.0〜25.0モル%、残部酸
    化マンガンを主成分とし、副成分としてCaO換算で0
    〜0.15wt%(0を含まず)のCaと、Bi、S
    i、Nbからなる群から選ばれる少なくとも一つを、B
    換算で0〜0.015wt%(0を含む)、S
    iO換算で0〜0.01wt%(0を含む)、Nb
    換算で0〜0.03wt%(0を含む)の範囲で含
    有することを特徴とする請求項5又は6に記載のフェラ
    イト磁心。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7に記載のフェライト磁心
    を用いて通信機器用トランスとしたことを特徴とする通
    信機器用電子部品。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至7に記載のフェライト磁心
    を用いてxDSL用モデムとしたことを特徴とする通信
    機器用電子部品。
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