JP3472880B2 - 低損失酸化物磁性材料 - Google Patents
低損失酸化物磁性材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は，低損失酸化物磁性材料
に関し，特に主成分として一酸化マンガン（ＭｎＯ），
酸化亜鉛（ＺｎＯ），及び残部として酸化第二鉄を含
み，副成分として酸化カルシウム（ＣａＯ），酸化ケイ
素（ＳｉＯ2 ）を含む低損失酸化物磁性材料の改良に関
するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来，スイッチング電源用の変圧器にお
いては，スイッチング周波数として専ら５０〜２００ｋ
Ｈｚ程度のものが使用されており，これに対応すべき低
損失酸化物磁性材料として，主成分として３０〜４０モ
ル％の一酸化マンガン（ＭｎＯ），５〜１５モル％の酸
化亜鉛（ＺｎＯ），及び残部として酸化第二鉄を含み，
副成分として０．０２〜０．１５重量％の酸化カルシウ
ム（ＣａＯ）と，０．００５〜０．１００重量％の酸化
ケイ素（ＳｉＯ2 ）とを含む低損失酸化物磁性材料がす
でに開発されている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】スイッチング電源は装
置の小型・軽量化の要求から益々，スイッチング周波数
が高くなり，ＭＨｚ帯での低損失化が要求されている。
ところが従来の成分を有する低損失酸化物磁性材料をＭ
Ｈｚ帯のスイッチング周波数を用いる電源用変圧器の磁
芯材料として使用すると鉄損が大きく発熱するという欠
点があった。 【０００４】そこで，本発明の技術的課題は，ＭＨｚ帯
のスイッチング周波数で使用しても，鉄損を小さくでき
る酸化物磁性材料を提供することにある。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明の低損失酸化物磁
性材料は，主成分として３０〜４０モル％の一酸化マン
ガン（ＭｎＯ），５〜１５モル％の酸化亜鉛（Ｚｎ
Ｏ），及び残部として酸化第二鉄（Ｆｅ２Ｏ３）を含
み，副成分として０．０２〜０．１５重量％の酸化カル
シウム（ＣａＯ），及び０．００５〜０．１重量％の酸
化ケイ素（ＳｉＯ２）を含む酸化物磁性材料において，
副成分として，更に０．１〜０．２重量％の三酸化クロ
ム（Ｃｒ２Ｏ３ ）、０．１〜０．３重量％の五酸化ニオ
ブ（Ｎｂ２Ｏ５），０．１〜０．２重量％の五酸化バナ
ジウム（Ｖ２Ｏ５），及び０．０３〜０．０５重量％の
五酸化リン（Ｐ２Ｏ５）の全部を添加してなることを特
徴とする。 【０００６】 【作用】本発明の低損失酸化物磁性材料は，ＭｎＯ，Ｚ
ｎＯ，及びＦｅ2 Ｏ3 を主成分とし，副成分としてＣａ
Ｏ，ＳｉＯ2 ，Ｃｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2 Ｏ5 ，及
びＰ2 Ｏ5 を適量複合添加含有したもので，Ｎｂ2 Ｏ5
及びＶ2 Ｏ5 等の各副成分を結晶粒界に析出し粒界の比
抵抗を著しく高め，うず電流損失を大きく低減でき，ま
たＣｒ2 Ｏ3 及びＰ2 Ｏ5 等により結晶粒の成長が均一
となりうず電流損失を大きく低減でき，特にＭＨｚ帯で
の周波数領域でも充分な低損失特性を実現する。また，
本発明の低損失酸化物磁性材料においては，室温から約
１００℃の温度範囲で鉄損が最も低くなる様設定でき，
実際に高周波電源用の鉄芯として使用時の鉄損を少なく
し得る。 【０００７】 【実施例】以下，本発明の実施例について説明する。 【０００８】主成分として５３．０モル％のＦｅ
2 Ｏ3 ，３９．０モル％のＭｎＯ，及び８．０モル％の
ＺｎＯを含有する原料に副成分として，総量に対して
０．０３０重量％のＳｉＯ2 ，０．１００重量％のＣａ
Ｏを含有し，副成分としてさらにＣｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ
5 ，Ｖ2 Ｏ5 及びＰ2 Ｏ5 を夫々表１に示すような割合
で添加し，これらを混合造粒し，成形プレスした後，
５．０ｖｏｌ％酸素を含む窒素ガス雰囲気中で，焼結温
度１１００〜１３００℃の範囲の最適温度で焼結し，酸
化物磁性材料を得た。表１に，得られた酸化物磁性材料
の各副成分の添加量と周波数１ＭＨｚ，磁束密度５００
ガウス（Ｇ），温度８０℃における電力損失（鉄損）の
値を示す。 【０００９】 【表１】【００１０】表１から，Ｃｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2
Ｏ5 ，及びＰ2 Ｏ5 の複合添加によって電力損失は従来
材（Ｎｏ．１）に比べて低い値を示し，最適複合添加量
（Ｎｏ．１２）においては，従来材に対し約７０％電力
損失を低減可能である。一方，Ｃｒ2 Ｏ3 を０．３０重
量％添加（Ｎｏ．１５），Ｎｂ2 Ｏ5 を０．４０重量％
添加（Ｎｏ．１７），Ｖ2 Ｏ5 を０．３０重量％添加
（Ｎｏ．１９），Ｐ2 Ｏ5 を０．１０重量％添加（Ｎ
ｏ．２１）においては結晶粒に異常粒成長が認められ，
比抵抗が劣化し，電力損失の値が大きくなっている。 【００１１】表２には，本発明の実施例における試料番
号１２と従来材の試料Ｎｏ．１について初透磁率μｉ，
飽和磁束密度Ｂ15，残留磁束密度Ｂｒ，保持力Ｈｃ，比
抵抗ρの値を示す。本発明の実施例による材料の比抵抗
は従来材の約２０倍と高い値となっている。 【００１２】 【表２】 【００１３】 【発明の効果】以上の説明で明らかな様に，本発明によ
れば，酸化物磁性材料に副成分として更にＣｒ2 Ｏ3 ，
Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2 Ｏ5 ，Ｐ2 Ｏ5 を適量複合添加するこ
とにより，スイッチング電源材料として求められる諸特
性を十分に満足するとともに，周波数１ＭＨｚの高周波
において従来のものより電力損失を低減できる低損失酸
化物磁性材料を提供でき高周波磁芯材料として好適であ
り，変圧器の小型化，軽量化を計る事ができる低損失酸
化物磁性材料を提供することができる。
に関し，特に主成分として一酸化マンガン（ＭｎＯ），
酸化亜鉛（ＺｎＯ），及び残部として酸化第二鉄を含
み，副成分として酸化カルシウム（ＣａＯ），酸化ケイ
素（ＳｉＯ2 ）を含む低損失酸化物磁性材料の改良に関
するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来，スイッチング電源用の変圧器にお
いては，スイッチング周波数として専ら５０〜２００ｋ
Ｈｚ程度のものが使用されており，これに対応すべき低
損失酸化物磁性材料として，主成分として３０〜４０モ
ル％の一酸化マンガン（ＭｎＯ），５〜１５モル％の酸
化亜鉛（ＺｎＯ），及び残部として酸化第二鉄を含み，
副成分として０．０２〜０．１５重量％の酸化カルシウ
ム（ＣａＯ）と，０．００５〜０．１００重量％の酸化
ケイ素（ＳｉＯ2 ）とを含む低損失酸化物磁性材料がす
でに開発されている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】スイッチング電源は装
置の小型・軽量化の要求から益々，スイッチング周波数
が高くなり，ＭＨｚ帯での低損失化が要求されている。
ところが従来の成分を有する低損失酸化物磁性材料をＭ
Ｈｚ帯のスイッチング周波数を用いる電源用変圧器の磁
芯材料として使用すると鉄損が大きく発熱するという欠
点があった。 【０００４】そこで，本発明の技術的課題は，ＭＨｚ帯
のスイッチング周波数で使用しても，鉄損を小さくでき
る酸化物磁性材料を提供することにある。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明の低損失酸化物磁
性材料は，主成分として３０〜４０モル％の一酸化マン
ガン（ＭｎＯ），５〜１５モル％の酸化亜鉛（Ｚｎ
Ｏ），及び残部として酸化第二鉄（Ｆｅ２Ｏ３）を含
み，副成分として０．０２〜０．１５重量％の酸化カル
シウム（ＣａＯ），及び０．００５〜０．１重量％の酸
化ケイ素（ＳｉＯ２）を含む酸化物磁性材料において，
副成分として，更に０．１〜０．２重量％の三酸化クロ
ム（Ｃｒ２Ｏ３ ）、０．１〜０．３重量％の五酸化ニオ
ブ（Ｎｂ２Ｏ５），０．１〜０．２重量％の五酸化バナ
ジウム（Ｖ２Ｏ５），及び０．０３〜０．０５重量％の
五酸化リン（Ｐ２Ｏ５）の全部を添加してなることを特
徴とする。 【０００６】 【作用】本発明の低損失酸化物磁性材料は，ＭｎＯ，Ｚ
ｎＯ，及びＦｅ2 Ｏ3 を主成分とし，副成分としてＣａ
Ｏ，ＳｉＯ2 ，Ｃｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2 Ｏ5 ，及
びＰ2 Ｏ5 を適量複合添加含有したもので，Ｎｂ2 Ｏ5
及びＶ2 Ｏ5 等の各副成分を結晶粒界に析出し粒界の比
抵抗を著しく高め，うず電流損失を大きく低減でき，ま
たＣｒ2 Ｏ3 及びＰ2 Ｏ5 等により結晶粒の成長が均一
となりうず電流損失を大きく低減でき，特にＭＨｚ帯で
の周波数領域でも充分な低損失特性を実現する。また，
本発明の低損失酸化物磁性材料においては，室温から約
１００℃の温度範囲で鉄損が最も低くなる様設定でき，
実際に高周波電源用の鉄芯として使用時の鉄損を少なく
し得る。 【０００７】 【実施例】以下，本発明の実施例について説明する。 【０００８】主成分として５３．０モル％のＦｅ
2 Ｏ3 ，３９．０モル％のＭｎＯ，及び８．０モル％の
ＺｎＯを含有する原料に副成分として，総量に対して
０．０３０重量％のＳｉＯ2 ，０．１００重量％のＣａ
Ｏを含有し，副成分としてさらにＣｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ
5 ，Ｖ2 Ｏ5 及びＰ2 Ｏ5 を夫々表１に示すような割合
で添加し，これらを混合造粒し，成形プレスした後，
５．０ｖｏｌ％酸素を含む窒素ガス雰囲気中で，焼結温
度１１００〜１３００℃の範囲の最適温度で焼結し，酸
化物磁性材料を得た。表１に，得られた酸化物磁性材料
の各副成分の添加量と周波数１ＭＨｚ，磁束密度５００
ガウス（Ｇ），温度８０℃における電力損失（鉄損）の
値を示す。 【０００９】 【表１】【００１０】表１から，Ｃｒ2 Ｏ3 ，Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2
Ｏ5 ，及びＰ2 Ｏ5 の複合添加によって電力損失は従来
材（Ｎｏ．１）に比べて低い値を示し，最適複合添加量
（Ｎｏ．１２）においては，従来材に対し約７０％電力
損失を低減可能である。一方，Ｃｒ2 Ｏ3 を０．３０重
量％添加（Ｎｏ．１５），Ｎｂ2 Ｏ5 を０．４０重量％
添加（Ｎｏ．１７），Ｖ2 Ｏ5 を０．３０重量％添加
（Ｎｏ．１９），Ｐ2 Ｏ5 を０．１０重量％添加（Ｎ
ｏ．２１）においては結晶粒に異常粒成長が認められ，
比抵抗が劣化し，電力損失の値が大きくなっている。 【００１１】表２には，本発明の実施例における試料番
号１２と従来材の試料Ｎｏ．１について初透磁率μｉ，
飽和磁束密度Ｂ15，残留磁束密度Ｂｒ，保持力Ｈｃ，比
抵抗ρの値を示す。本発明の実施例による材料の比抵抗
は従来材の約２０倍と高い値となっている。 【００１２】 【表２】 【００１３】 【発明の効果】以上の説明で明らかな様に，本発明によ
れば，酸化物磁性材料に副成分として更にＣｒ2 Ｏ3 ，
Ｎｂ2 Ｏ5 ，Ｖ2 Ｏ5 ，Ｐ2 Ｏ5 を適量複合添加するこ
とにより，スイッチング電源材料として求められる諸特
性を十分に満足するとともに，周波数１ＭＨｚの高周波
において従来のものより電力損失を低減できる低損失酸
化物磁性材料を提供でき高周波磁芯材料として好適であ
り，変圧器の小型化，軽量化を計る事ができる低損失酸
化物磁性材料を提供することができる。
フロントページの続き
(72)発明者 庄司 潔
宮城県仙台市太白区郡山六丁目７番１号
株式会社トーキン内
(72)発明者 千葉 哲義
宮城県仙台市太白区郡山六丁目７番１号
株式会社トーキン内
(56)参考文献 特開 平３−223119（ＪＰ，Ａ)
特開 平３−163802（ＪＰ，Ａ)
特開 平２−30660（ＪＰ，Ａ)
特開 平２−54901（ＪＰ，Ａ)
特開 昭60−132301（ＪＰ，Ａ)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 主成分として３０〜４０モル％の一酸化
マンガン（ＭｎＯ），５〜１５モル％の酸化亜鉛（Ｚｎ
Ｏ），及び残部として酸化第二鉄（Ｆｅ２Ｏ３）を含
み，副成分として０．０２〜０．１５重量％の酸化カル
シウム（ＣａＯ），及び０．００５〜０．１重量％の酸
化ケイ素（ＳｉＯ２）を含む酸化物磁性材料において，
副成分として，更に０．１〜０．２重量％の三酸化クロ
ム（Ｃｒ２Ｏ３ ）、０．１〜０．３重量％の五酸化ニオ
ブ（Ｎｂ２Ｏ５），０．１〜０．２重量％の五酸化バナ
ジウム（Ｖ２Ｏ５），及び０．０３〜０．０５重量％の
五酸化リン（Ｐ２Ｏ５）の全部を添加してなることを特
徴とする低損失酸化物磁性材料。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04092392A JP3472880B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 低損失酸化物磁性材料 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04092392A JP3472880B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 低損失酸化物磁性材料 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05243027A JPH05243027A (ja) | 1993-09-21 |
| JP3472880B2 true JP3472880B2 (ja) | 2003-12-02 |
Family
ID=12594023
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP04092392A Expired - Lifetime JP3472880B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 低損失酸化物磁性材料 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3472880B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-27 JP JP04092392A patent/JP3472880B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05243027A (ja) | 1993-09-21 |
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