JP2003247454A - 内燃機関のシリンダブロック構造およびその製造方法 - Google Patents

内燃機関のシリンダブロック構造およびその製造方法

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JP2003247454A
JP2003247454A JP2002046716A JP2002046716A JP2003247454A JP 2003247454 A JP2003247454 A JP 2003247454A JP 2002046716 A JP2002046716 A JP 2002046716A JP 2002046716 A JP2002046716 A JP 2002046716A JP 2003247454 A JP2003247454 A JP 2003247454A
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combustion engine
cylinder block
flat surface
internal combustion
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Juichi Yamaoka
寿一 山岡
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連通穴形成の自由度を有効かつ効果的に拡大
する内燃機関のシリンダブロック構造およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 複数の気筒を並列に配置する内燃機関に
おけるシリンダブロック構造において、隣り合う気筒の
シリンダ内壁の下部近傍を気筒配列方向に凹ますことに
より凹部を形成するとともに、凹部内に気筒配列方向と
直交方向に平坦面2を形成し、平坦面2に連通穴3を形
成して、隣り合う気筒同士を連通させる。各気筒に形成
した連通穴3は、気筒配列方向と平行に同一直線上に配
列される。連通穴3は平坦面2に複数形成され、略円形
であり、ピストンが下死点にあるときのピストンリング
の位置よりも下方で、かつピストンのスカート最下端よ
りも上方の位置に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば自動二輪
車あるいは乗用車等の車両に搭載されるエンジンのシリ
ンダブロック構造およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来たとえば、自動二輪車等のエンジン
において特に複数の気筒を並列に配置する4サイクルエ
ンジンでは、ピストン下降行程でクランク室の空気が圧
縮されることにより生じる所謂ポンピングロスを低減す
るための対策がとられている。その典型的な例は、隣接
する気筒のクランク室同士を連通させる連通穴を開設し
て、クランク室の圧縮空気を該連通穴を介して、隣接の
クランク室に流入させるというものである。
【0003】たとえば図9に示すようにクランクケース
(の一部)201が一体化されたシリンダブロック構造
において、シリンダスリーブ200下部付近に連通穴2
02が設けられる。シリンダスリーブ200は、図10
に示すように円形である。連通穴202は大きいものほ
ど、ポンピングロス低減効果も大きく、また通常シリン
ダブロックにドリルによる追加工で形成されるため円形
穴となっている。この場合連通穴202を大きくする
と、シリンダスリーブ200の領域にかかって形成され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
シリンダブロック構造において、ドリルによる追加工時
にドリル逃げを防ぐために、シリンダスリーブ200の
シリンダ軸中心線L上に加工位置が設定される。そのた
めシリンダ上下方向に規制がある場合には、連通穴20
2の大きさ(開口面積)が制限され、連通穴202を大
きくしたいという要請を実質的に満たすことができなく
なる。
【0005】本発明はかかる実情に鑑み、連通穴形成の
自由度を有効かつ効果的に拡大する内燃機関のシリンダ
ブロック構造およびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の内燃機関のシリ
ンダブロック構造は、複数の気筒を並列に配置する内燃
機関におけるシリンダブロック構造であって、隣り合う
気筒のシリンダ内壁の下部近傍を気筒配列方向に凹ます
ことにより凹部を形成するとともに、前記凹部内に前記
気筒配列方向と直交方向に平坦面を形成し、前記平坦面
に連通穴を形成して、隣り合う気筒同士を連通させるこ
とを特徴とする。
【0007】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、各気筒に形成した前記連通穴は、前記
気筒配列方向と平行に同一直線上に配列されることを特
徴とする。
【0008】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、前記連通穴の中心は、シリンダ軸中心
線とオフセットして配置され、そのオフセット方向がピ
ストン下降時のスラストを受ける側に設定されることを
特徴とする。
【0009】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、前記連通穴は、前記平坦面に複数形成
されることを特徴とする。
【0010】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、前記連通穴は、略円形であることを特
徴とする。
【0011】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、前記連通穴は、ピストンが下死点にあ
るときのピストンリングの位置よりも下方で、かつピス
トンのスカート最下端よりも上方の位置に配置されるこ
とを特徴とする。
【0012】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
ク構造において、前記平坦面および前記連通穴は、シリ
ンダ下端とクランクケースの隔壁とに亘って形成される
ことを特徴とする。
【0013】また、本発明による内燃機関のシリンダブ
ロックの製造方法は、複数の気筒を並列に配置する内燃
機関におけるシリンダブロックの加工方法であって、前
記シリンダブロックを鋳型により鋳造する際に、隣り合
う気筒のシリンダ内壁の下部近傍に気筒配列方向と直交
方向に平坦面を形成し、該平坦面に気筒配列方向からキ
リ加工によって連通穴を形成して、隣り合う気筒同士を
連通させることを特徴とする。
【0014】また、本発明の内燃機関のシリンダブロッ
クの製造方法において、前記シリンダブロックの鋳造時
に前記平坦面の一部もしくは全部をシリンダボア中心に
向って該シリンダボアより突出させてシリンダ内壁に設
け、前記連通穴を加工形成し、その後前記シリンダボア
をその軸方向に加工形成する同時に、前記平坦面の突出
部の一部もしくは全部を削除することを特徴とする。
【0015】本発明によれば、隣り合う気筒同士を連通
する連通穴を形成する際、連通穴形成部位を平坦面状に
したことで、連通穴を形成するためのドリルによる追加
工時にドリルが逃げるのを有効に防止することができ
る。この場合ドリル加工を行なう際のドリルセンタは、
平坦面領域内で自由に設定することができ、設計上の制
約を受けない。
【0016】このように連通穴を形成することによりド
リル加工の作業性が向上し、作業効率を大幅に高めるこ
とができる。さらに、連通穴を有効に大きくすることが
でき、ポンピングロスの低減効果を向上させる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明によ
る内燃機関のシリンダブロック構造およびその製造方法
の好適な実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る
自動二輪車の全体構成を示している。なお、この実施形
態では本発明のシリンダブロック構造を有するエンジン
が自動二輪車に搭載される例とするが、乗用車等の四輪
車や船外機等をはじめとする種々の機械装置類に搭載さ
れる内燃機関を対象とする。
【0018】ここで先ず、本実施形態に係る自動二輪車
100の全体構成を説明する。図1において、鋼製ある
いはアルミニウム合金材でなる車体フレーム101の前
部には、ステアリングヘッドパイプ102に内挿された
ステアリングステムによって左右に回動可能に支持され
た2本のフロントフォーク103が設けられる。ステア
リングステムの上端にはハンドルバー104が固定さ
れ、ハンドルバー104の端部にグリップ105を有す
る。
【0019】フロントフォーク103の下部には前輪1
06が回転可能に支持されるとともに、前輪106の上
部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。
前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディ
スク108と、フロントフォーク103によって支持さ
れるブレーキパッド109を有している。
【0020】前輪106の上方の車体フレーム101の
前部から両側部にかけて、ステアリングまわりや後述す
るエンジンユニット等を覆うようにフェアリング110
が被着する。フェアリング110には上部のスクリーン
111や左右一対のサイドミラー112あるいは前端部
のヘッドライト113等が配設され、また左右両外側に
一対の方向指示灯(ウィンカ)114が突設される。フ
ェアリング110の内側におけるフロントフォーク10
3の上部付近には、スピードメータ、タコメータあるい
は各種インジケータランプ等を含むメータユニットが搭
載される。
【0021】車体フレーム101の後部には、スイング
アーム115がピボット116を介して揺動可能に設け
られるとともに、車体フレーム101とスイングアーム
115の間にリヤサスペンションが装架される。スイン
グアーム115の後端には後輪117が回転可能に支持
され、後輪117はチェーン118が巻回されたドリブ
ンスプロケット119を介して、回転駆動されるように
なっている。また、後輪117の上部を覆うように、リ
ヤフェンダ120が固定される。
【0022】車両の略中央部において、複数のエンジン
ハンガを介して車体フレーム101に搭載されたエンジ
ンユニット10には、エアクリーナから空気が供給され
る。エンジンユニット10での燃焼後の排気ガスは、エ
キゾーストパイプおよびこれに接続するマフラ121を
介して、車両後部より排気される。
【0023】また、エンジンユニット10の上方には、
燃料タンク122が搭載され、燃料タンク122の後方
にシート123あるいはタンデムシート124およびサ
イドカバー125等が連設される。リヤフェンダ120
の左右両外側に、一対の方向指示灯(ウィンカ)126
が突設される。シート123あるいはタンデムシート1
24はシートレール上に支持され、シートレールと車体
フレーム101の間にピラーチューブ127が結合す
る。
【0024】図2は、本発明のシリンダブロック構造を
有するエンジンユニット10の例を示している。エンジ
ンユニット10は、カムシャフトやバルブなどが組み込
まれるシリンダヘッド11と、ピストンなどが組み込ま
れるシリンダ部13およびクランクケースなどが組み込
まれるクランクケース部14等を含むシリンダブロック
12と、潤滑用オイルが溜められるオイルパン15とを
有し、シリンダヘッド11の上部にはシリンダヘッドカ
バー16が取り付けられる。エンジンユニット10(シ
リンダヘッド11)には、インテークマニホールド12
9を介してエアクリーナ128から空気が供給されると
ともに、燃料タンク122からインジェクタ130を介
して燃料が供給(噴射)されるようになっている。
【0025】図3は、本発明に係るエンジンユニット1
0の要部構成例を示している。この例では、たとえば4
サイクル水冷4気筒エンジンとする。シリンダヘッド1
1には気筒の配列方向に沿って、吸気側と排気側のそれ
ぞれにカムシャフト17が回転可能に支持され、カムシ
ャフト17はその一端に固着したスプロケット18を介
して、カムチェーン19により回転駆動されるようにな
っている。各カムシャフト17には気筒ごとに2つのカ
ム20が付設され、各カム20によってバルブ21が駆
動される。すなわち、この例では気筒ごとに合計4つの
吸排気バルブを有する。また、各気筒には点火プラグ2
2が装着される。
【0026】シリンダブロック12において、シリンダ
部13のシリンダボアにピストン24が所定ストローク
上下動可能に内嵌する。シリンダ部13にはシリンダス
リーブ23を圧入してもしくは鋳包みして設けてもよ
い。ピストン24はピストンピン25を介して、コンロ
ッド26の一端と連結する。コンロッド26の他端(大
端部)は、後述するクランクシャフト27と連結する。
クランクケース部14はその一部(上部側)がシリンダ
部13と一体に鋳造されるが、気筒の配列方向に沿って
クランクシャフト27を回転可能に支持する。
【0027】この場合、クランクケース部14の両端部
と各気筒相互間の部位に複数(この例では5つ)のクラ
ンクシャフトジャーナル28を設け、これらによりクラ
ンクシャフト27が支持される。クランクシャフト27
には、クランクシャフトジャーナル28あるいはコンロ
ッド26の大端部等に注油するための複数のオイル穴も
しくは孔29が形成されている。オイルパン15に溜め
られた潤滑用オイルは油路30を通って、オイル穴29
に給油されるようになっている。
【0028】さて、本発明のシリンダブロック構造にお
いて、図4および図5に示すように隣り合う気筒のシリ
ンダ内壁(シリンダスリーブ23)の下部近傍を気筒配
列方向に凹ますことにより凹部1を形成する、換言して
シリンダボア径を拡大する方向に凹部1を形成するとと
もに、凹部1内に気筒配列方向と直交方向に平坦面2を
形成する。この平坦面2には連通穴3を形成して、隣り
合う気筒同士を連通させる。
【0029】この実施形態では図4の図示例のように略
円形の連通穴3が、平坦面2に複数(2つ)形成され
る。また連通穴3の中心は、シリンダ軸中心線Lに対し
てセンタ振分けで設定される。ここで、図6(a)に模
式的に示すようにシリンダスリーブ23は、シリンダ軸
中心線Lを通る気筒配列方向に、隣接する気筒側へ凹ま
され凹部1が形成される。なお、凹部1に形成される平
坦面2は、鋳抜き状態のままでもよく、鋳造後に機械加
工されたものであってもよい。
【0030】また、各気筒に形成した連通穴3は、図3
に示されるように気筒配列方向と平行に同一直線上に配
列される。各連通穴3は、ピストン24が下死点にある
ときのピストンリングの位置よりも下方で、かつピスト
ン24のスカート最下端よりも上方の位置に配置され
る。ピストン24のスカート部の下端は、切欠が設けら
れる等複雑な形状のものがある。このためポンピングロ
スに関わる効果を得るためには、連通穴3を設ける位置
として、上下に変動しているピストン24(のストロー
ク)に可能な限り近い方がよい。また、ピストン24、
特にスカートと干渉(連通穴3をスカートが塞ぐこと)
しないように、連通穴3は下死点時におけるピストン2
4のスカート最下端よりも上方でかつスカートがない部
分(切欠)に構成することが理想的である。ここでは、
シリンダ部13の軸方向寸法をコンパクトにし、下死点
時のピストン24のスカートが連通穴3の開口に対し
て、その一部のみを覆い、全体を覆わないように設定す
る。なお、連通穴3の形成方法としてはたとえば、カム
チェーンカバー31における連通穴3の対応位置に、穴
加工用ドリルの挿入用穴31aを開設し、連通穴3のド
リル加工後に挿入用穴31aにめくら栓32を装着する
というものである。
【0031】上記の場合、平坦面2に形成される連通穴
3は、たとえば図7のように3つ、あるいはそれ以上の
複数個を形成してもよい。図7の例ではシリンダ軸中心
線Lに対してセンタ位置に形成される連通穴3と、その
両側にセンタ振分けで形成される2つの連通穴3を持
ち、その他の構成については上述したものと実質的に同
様である。
【0032】上記構成において、図3の例のように左右
両端の気筒のピストン24が下降する際、それらの間の
2つの気筒のピストン24が上昇する。この場合、隣り
合う気筒同士を連通する連通穴3を有する。下降側のク
ランク室の圧縮空気を連通穴3を介して、隣接のクラン
ク室に流入させることでポンピングロスを低減すること
ができる。
【0033】特に本発明によれば、かかる連通穴3を形
成する際、平坦面2に対してドリル加工を行なう。この
ように連通穴3の形成部位を平坦面状にしたことで、連
通穴3を形成するためのドリルによる追加工時にドリル
が逃げるのを有効に防止することができる。この場合ド
リル加工を行なう際のドリルセンタは、平坦面領域内で
自由に設定することができ、設計上の制約を受けないよ
うにする等の利点がある。
【0034】このように連通穴3を形成することにより
ドリル加工の作業性が向上し、作業効率を大幅に高める
ことができる。また、連通穴3は2つあるいは3つ以上
の複数個形成されるため、連通穴3全体での開口面積を
有効に大きくすることができ、ポンピングロスの低減効
果をさらに向上させる。この場合、連通穴3は円形であ
るためドリル加工により簡単に形成することができる
上、複数の連通穴3であってもドリル加工のみで形成す
ることができる。
【0035】また、各連通穴3は、下死点にあるピスト
ン24のピストンリングの位置よりも下方で、かつピス
トン24のスカート最下端よりも上方の位置に配置され
る。このように各連通穴3を配置構成することで、ピス
トン24の往復動時に、連通穴3および平坦面2の週縁
部にピストン24が当たってピストン24の外周面を損
傷するのを防止している。したがって、ピストン24の
安全かつ適正作動を保証する。
【0036】つぎに、本発明の内燃機関のシリンダブロ
ック構造における第2の実施形態を説明する。図8は、
本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態で
は連通穴3の中心は、シリンダ軸中心線Lとオフセット
して配置され、そのオフセット方向がピストン24の下
降時のスラストを受ける側に設定される。すなわち、こ
の例において2つの連通穴3が開設され、それらの中心
Cがシリンダ軸中心線Lに対してdだけオフセットされ
ている。
【0037】ここで、ピストン24の下降時(爆発行
程)においてはシリンダ内の混合気の爆発によりピスト
ン24に爆発圧力Fが作用する。このときコンロッド2
6は図示のようにシリンダ軸中心線Lよりも左側に偏倚
しているものとし、この場合ピストン24は図において
右方向のスラストfを受ける。
【0038】ピストン24のピストンリング24bはそ
の装着溝において径方向に僅かに拡縮可能に装着されて
おり、このためスラストfを受けることで、ピストン2
4はシリンダスリーブ23の一側面(この図8の例では
右側)に押し付けられる。そこで、この一面側寄りの平
坦面2に連通穴3を設ける、つまり図示例のようなオフ
セットdを設定することにより、ポンピングロスをさら
に効果的に低減することができる。
【0039】さらに、本発明の別の実施形態によれば、
たとえば図6(b)のように平坦面2に長穴もしくは長
円形の連通穴3を設けることができる。この場合、上記
実施形態と同様に隣り合う気筒のシリンダ内壁の下部近
傍を気筒配列方向に凹ますことにより凹部1を形成する
とともに、凹部1内に気筒配列方向と直交方向に平坦面
2を形成する。
【0040】さらにまた、平坦面2および連通穴3は、
シリンダ部13の下端とクランクケース部14の隔壁と
に亘って形成してもよい。このように平坦面2あるいは
連通穴3を配置構成することで、シリンダ部13のみに
形成する場合に比べて連通穴3の径を大きくすることが
でき、ポンピングロスの低減効果をさらに向上させる。
【0041】ここで、本発明に係るシリンダブロックの
製造方法を説明する。上述したような複数の気筒を並列
に配置する内燃機関において、シリンダブロックを鋳型
により鋳造する際に、隣り合う気筒のシリンダ内壁の下
部近傍に気筒配列方向と直交方向に平坦面を形成し、該
平坦面に気筒配列方向からキリ加工によって連通穴を形
成して、隣り合う気筒同士を連通させるというものであ
る。
【0042】具体的には、シリンダブロックの鋳造時に
図11に示すように、シリンダボア中心(シリンダ中心
線L)に向って該シリンダボアより突出する形状の突出
部33を設けて鋳造する。その際シリンダ内壁23′
に、突出部33の気筒配列方向に面した位置に平坦面
2′を設ける。シリンダをその軸方向に加工(ボアリン
グ35)する前に、気筒配列方向から平坦面2′にたと
えばキリ加工34によって連通穴3を形成する。つぎ
に、シリンダボアをボアリングすると同時に、図12の
ように突出部33を削除する。
【0043】このシリンダブロックの製造方法によれ
ば、連通穴3を加工する際にドリルの刃先が逃げること
がないため、ドリル加工のみで簡単かつ適正に形成する
ことができる。特にシリンダブロックの寸法的あるいは
強度的制約から、前述した実施形態にような凹部1を形
成することが実質的に困難な場合、そのようなシリンダ
ブロックに対して極めて有効な方法である。
【0044】なお、平坦面2′は必ずしもシリンダボア
よりボア中心側に突出する必要はなく、すなわち平坦面
2′の中央一部のみがシリンダボア中心側に突出し、か
つ平坦面2′の両端がシリンダボア径より外方に食み出
ている形状であってもよい。この場合シリンダボアをボ
アリングすると同時に削除する平坦面2′の突出部が、
平坦面の中央部のみになる。
【0045】以上、本発明を種々の実施形態とともに説
明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定される
ものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
たとえば凹部1もしくは平坦面2は図示例のような矩形
(長方形)の場合に限らず、円弧をおびた形状であって
もよい。また、連通穴3は上下2段で複数個形成しても
よく、あるいは円形穴を2つ、3つ連ねた2連穴、3連
穴でもよい。この場合、キリ加工のみで済むので加工が
容易である。
【0046】また、シリンダスリーブ23を圧入しても
しくは鋳包みして設ける場合、シリンダスリーブ23に
も凹部を設けたり、凹部が対応する部位を全周に亘って
切り落としたり、その一部に切欠きを設けたりすること
ができ、これらいずれの場合も上記実施形態と同様な作
用効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、こ
の種のシリンダブロック構造においてシリンダ内壁の凹
部内に平坦面を形成し、この平坦面に連通穴を形成し
て、隣り合う気筒同士を連通させることで連通穴形成の
自由度を有効かつ効果的に拡大する。そして連通穴を形
成するための加工作業性を向上させ、作業効率を大幅に
高めることができるとともに、連通穴を有効に大きくす
ることができ、ポンピングロスの低減効果を大幅に向上
させることができる。また、連通穴を加工する際にドリ
ルの刃先が逃げることがないため、簡単かつ適正に形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
に係る自動二輪車の全体構成を示す側面図である。
【図2】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
を有するエンジンユニットの例を示す側面図である。
【図3】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
を有するエンジンユニットの要部構成例を示す図であ
る。
【図4】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
を気筒配列方向に見た断面図である。
【図5】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
を示す(a)は図4のA矢視図および(b)は(a)の
B−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
を示す(a)は模式的平面図および(b)は連通穴の変
形例を示す図である。
【図7】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
の変形例を示す図である。
【図8】本発明による内燃機関のシリンダブロック構造
の第2の実施形態における気筒配列方向に見た断面図で
ある。
【図9】従来の内燃機関のシリンダブロック構造を気筒
配列方向に見た断面図である。
【図10】従来のシリンダブロック構造を示す(a)は
図9のA矢視図および(b)は(a)のB−B線に沿う
断面図である。
【図11】本発明に係るシリンダブロックの製造方法を
示す(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う
断面図である。
【図12】本発明に係るシリンダブロックの製造方法を
示す(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線に沿う
断面図である。
【符号の説明】
1 凹部 2,2′ 平坦面 3 連通穴 10 エンジンユニット 11 シリンダヘッド 12 シリンダブロック 13 シリンダ部 14 クランクケース部 15 オイルパン 16 シリンダヘッドカバー 17 カムシャフト 20 カム 21 バルブ 22 点火プラグ 23 シリンダスリーブ 24 ピストン 24a ピストンスカート 24b ピストンリング 25 ピストンピン 26 コンロッド 27 クランクシャフト 28 クランクシャフトジャーナル 100 自動二輪車 101 車体フレーム 103 フロントフォーク 106 前輪 110 フェアリング 115 スイングアーム 117 後輪 122 燃料タンク 123 シート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の気筒を並列に配置する内燃機関に
    おけるシリンダブロック構造であって、 隣り合う気筒のシリンダ内壁の下部近傍を気筒配列方向
    に凹ますことにより凹部を形成するとともに、前記凹部
    内に前記気筒配列方向と直交方向に平坦面を形成し、 前記平坦面に連通穴を形成して、隣り合う気筒同士を連
    通させることを特徴とする内燃機関のシリンダブロック
    構造。
  2. 【請求項2】 各気筒に形成した前記連通穴は、前記気
    筒配列方向と平行に同一直線上に配列されることを特徴
    とする請求項1に記載の内燃機関のシリンダブロック構
    造。
  3. 【請求項3】 前記連通穴の中心は、シリンダ軸中心線
    とオフセットして配置され、そのオフセット方向がピス
    トン下降時のスラストを受ける側に設定されることを特
    徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のシリンダ
    ブロック構造。
  4. 【請求項4】 前記連通穴は、前記平坦面に複数形成さ
    れることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の内燃機関のシリンダブロック構造。
  5. 【請求項5】 前記連通穴は、略円形であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の
    シリンダブロック構造。
  6. 【請求項6】 前記連通穴は、ピストンが下死点にある
    ときのピストンリングの位置よりも下方で、かつピスト
    ンのスカート最下端よりも上方の位置に配置されること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃
    機関のシリンダブロック構造。
  7. 【請求項7】 前記平坦面および前記連通穴は、シリン
    ダ下端とクランクケースの隔壁とに亘って形成されるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の内
    燃機関のシリンダブロック構造。
  8. 【請求項8】 複数の気筒を並列に配置する内燃機関に
    おけるシリンダブロックの加工方法であって、 前記シリンダブロックを鋳型により鋳造する際に、隣り
    合う気筒のシリンダ内壁の下部近傍に気筒配列方向と直
    交方向に平坦面を形成し、該平坦面に気筒配列方向から
    キリ加工によって連通穴を形成して、隣り合う気筒同士
    を連通させることを特徴とする内燃機関のシリンダブロ
    ックの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記シリンダブロックの鋳造時に前記平
    坦面の一部もしくは全部をシリンダボア中心に向って該
    シリンダボアより突出させてシリンダ内壁に設け、前記
    連通穴を加工形成し、その後前記シリンダボアをその軸
    方向に加工形成する同時に、前記平坦面の突出部の一部
    もしくは全部を削除することを特徴とする請求項8に記
    載の内燃機関のシリンダブロックの製造方法。
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