JP2003247039A - 耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金 - Google Patents
耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金Info
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Abstract
を兼備する点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスター
ビンノズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及
び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用
される部品及び部材を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.003〜0.1%、Si:1.0%以下、M
n:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Mg:0.001〜0.04
%を必須で含み、選択元素として(Nb、Ta及びV)から選ば
れる一種または二種以上を2.5%以下、不純物であるSは
0.01%以下(但しMg/S≧1)、Ti0.02%以下(0を含む)であ
り、残部はNi及び上記以外の不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優
れたNi基合金である。
Description
等の自動車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の
部品、熱処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で
酸化雰囲気に曝されて使用される部品及び部材に適した
耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金に
関するものである。
部材には、耐酸化性に優れるNi-18Cr-7Fe(Alloy600)合
金が用いられている。耐酸化性は高温大気またはガス雰
囲気中で使用される時に、酸化による滅失や脆化を防ぐ
ために必要であり、Alloy600は高温でCr2O3被膜が生成
して母材を保護することにより耐酸化性を保持してい
る。近年では様々な部品で、従来の使用環境よりも高い
温度における耐酸化性が要求されるようになり、Alloy6
00を改良した合金について検討がなされている。Alloy6
00の耐酸化性を改善したものとしては特開昭63-153236
号(特許文献1参照)及び特開2000-336446号(特許文献2
参照)が提案されている。また、高温において強度を要
求される部材もあり、Alloy600の高温強度を改善した合
金として特開平7-268522号(特許文献3参照)及び特開平
11-12670号(特許文献4参照)が提案されている。
6号ではAlloy600にY、Ce、Zr、Sc及び/又はLaを添加
し、耐酸化性を改善させている。しかし、この合金は熱
間加工性に問題があり熱間加工中に割れが発生した。そ
こで本発明者等の提案による特開2000-336446号ではAll
oy600にMgを添加して熱間加工性を改善し、更にTiを無
添加として耐酸化性を改善した合金をベースとして、希
土類元素、Y、Hf及び/又はZrを添加することにより、良
好な耐酸化性を得ている。これらの特開昭63-153236号
や特開2000-336446号に記載される合金は高温において
も基本的に良好な耐酸化性を示していた。しかしながら
これらの合金は高温強度の点では不十分であった。
量以上添加することにより高温強度を改善した提案がな
されている。しかし、熱間加工性に問題があり熱間加工
中に割れが発生した。特開平11-12670号ではNb、Mo、W
を少量添加することにより高温強度が改善されている
が、同じくこの合金も熱間加工性に問題があり熱間加工
中に割れが発生した。これら高温強度と熱間加工性の問
題は点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスタービンノ
ズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及び燃料
電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用される
部品及び部材を実用化する上で大きな問題となる。本発
明の目的は、耐酸化性、高温強度を向上し、さらに良好
な熱間加工性を兼備する点火プラグ用電極等の自動車部
品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱処理
炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に
曝されて使用される部品及び部材を提供することであ
る。
温強度の問題を検討した結果、Nb、Ta及びVの一種また
は二種以上を少量添加することで熱間加工及び熱処理時
の結晶粒粗大化を防ぎ、微細な結晶粒とすることにより
高温使用中での強度低下を抑制できることを知見した。
しかし、Nb、Ta及びVを一種または二種以上含むことに
よって、これらを含まないNi基合金よりマトリックスの
変形抵抗が増すため、粒界の強度が低下すると容易にキ
ズ・割れが発生しやすくなる。そこで熱間加工性の問題
について検討したところ、キズ・割れ等の欠陥のない合
金をつくるためには粒界強化作用によって熱間加工材改
善に効果のあるMg添加が必須であることを見出した。更
に、高温強度を維持するためには析出強化機構を利用す
ることも考えられる。そこでNb、Ta及びVを一種または
二種以上含み、Mgを添加した合金に対し、Al添加を行な
ったところ、耐酸化性を更に改善することができた。
i:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、M
g:0.001〜0.04%を必須で含み、選択元素として(Nb、Ta
及びV)から選ばれる一種または二種以上を2.5%以下、不
純物であるSは0.01%以下(但しMg/S≧1)、Ti0.02%以下
(0を含む)であり、残部はNi及び上記以外の不可避的不
純物からなる耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れ
たNi基合金である。
性を高めるためには、質量%でAl:2.0%未満の範囲で含有
させることができる。また耐酸化性を特に重視する場合
には、質量%でAl:2.0〜5.0%の範囲で含有させることが
できる。また本発明においては、MoとWの一種または二
種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含有させることがで
きる。更に本発明においては、質量%でHf:1.5%以下及び
Zr:1.0%以下のうち一種または二種を含み、且つそれら
の合計が2.0%以下の範囲で含有させることができる。
素:0.2%以下、Y:0.5%以下、Sc:0.2%以下のうち一種また
は二種以上を含み、且つ希土類元素、Y、Scの合計が0.6
%以下含有させることができる。更に本発明において
は、Nb、Ta及びVの選択元素のうち、Nbを質量%で0.01〜
1.5%含むことができる。本発明において特に好ましく
は、Nb、Ta及びVの化合物の平均円相当径が2.0μm以下
である耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基
合金である。
の化学組成をベースに、少量のNb、Ta及びVを添加し、
更にMgを微量添加必須としてSを固定し、優れた耐酸化
性、高温強度と優れた熱間加工性を兼備することが可能
な最適化学組成にある。以下に各元素の作用について説
明する。CはNb、Ta及びV等と結びついて炭化物を形成
し、結晶粒粗大化を防止することにより高温強度を向上
させる作用があり、少量添加が必要である。しかし、過
度の添加は多量の炭化物形成により冷間加工性を低下さ
せ、またマトリックス中のCrと結びついて炭化物を形成
し、Crの欠乏を招くため耐酸化性をも低下させる。従っ
て、Cは0.003〜0.1%に限定する。
るほか、鋳造性を向上させる作用がある。また、SiO2は
酸化被膜と母材の中間に形成され、酸化被膜の剥離を阻
止する。これらの理由でSiを添加するが、過度の添加は
耐酸化性の低下を招くためSiの上限は1.0%である。な
お、上述するSiの効果を得るための望ましい下限は0.1%
である。MnはSiと同じく脱酸作用を発揮する他、鋳造性
を向上させる作用があるが、過度の添加は耐酸化性の低
下を招くためMnの上限は2.0%である。なお、上述するMn
の効果を得るための望ましい下限は0.1%である。
高温において材料表面にCr酸化被膜を形成し耐酸化性を
向上させる。700℃〜1100℃程度の高温での十分な耐酸
化性を付与させるためには、下限を12%以上とすること
が必要である。しかし、過度の添加は熱間加工性を低下
させ、かつ高温酸化雰囲気においてCr2O3被膜の剥離を
引き起こし、耐酸化性を低下させることから、Crの上限
は32%とする。望ましくは12〜20%の範囲である。
を有する元素である一方で、Feは本発明鋼の優れた熱間
加工性に寄与する元素でもあり、製造上必要な元素であ
る。そのため過度の添加は高温での強度を低下させ、ま
た耐酸化性もやや低下させるが、熱間加工性をも考慮す
ると、Feの添加量は20%以下に制限することが必要であ
る。望ましくは12%以下である。また、好ましいFeの下
限としては、2%以上の添加であれば、優れた熱間加工性
を維持することができる。
酸化層が生成し、酸化膜の成長が促進され、その結果耐
酸化性を悪くするので無添加が望まれ、0%としても良
い。この結果耐酸化性を悪くする傾向はTiの含有量が0.
02%を超えると顕著になるため、Tiの上限を0.02%以下と
し、望ましいTiの上限は0.01%以下である。
して、熱間加工及び熱処理中に結晶粒粗大化を防止する
ことにより製品の結晶粒を微細化し、高温強度を上昇さ
せる本発明における最も重要な元素である。特にNb、Ta
及びVを添加した場合にはマトリックスの変形抵抗が高
くなるため必須である。しかし、過度の添加は熱間加工
性及び冷間加工性を阻害するため、添加量はNb、Ta及び
Vの一種または二種で2.5%以下である。好ましくは2.0%
以下である。また、添加による効果を得るために好まし
い下限としては0.01%である。
及びV)のうち、特に結晶粒微細化に効果があるのはNbで
ある。そのため、Nb、Ta、Vのうち、Nbを必須として添
加するのが最も好ましい。但し、過度の添加は熱間加工
性及び冷間加工性を阻害する。一方で、少な過ぎると、
Nbによる結晶粒微細化の効果が期待できない。そのた
め、Nb含有量を0.01〜1.5%の範囲とした。好ましくは0.
03〜1.0%の範囲とすると良い。
含有するだけで結晶粒界にNi3S2が偏析し、NiとNi3S2の
共晶が発生する。この共晶の融点は非常に低く、熱間加
工の温度範囲において非常に脆弱になる。それゆえSは
熱間加工時に粒界を脆弱にし、割れなどを引起こし、熱
間加工性を低下させる不純物元素であるため、Sの含有
量を0.01%以下に制限する。
除去または固定する効果があるので、本発明では添加す
べき必須元素としている。しかしながら、MgはNi中の固
溶限が小さいため過度に添加すると粒界にNi2Mgを形成
する。このためNiとNi2Mgの共晶が粒界において発生
し、熱間加工時には粒界が脆弱になり、熱間加工性が低
下するため、Mgの添加は0.001〜0.04%とする。
述の範囲内に調整するのみでは、Sを起因とした割れの
発生を防ぐことが出来ない場合がある。そこで、Sを確
実に除去または固定するために、SとMgの比率を特定の
範囲内に制御する手法をとると良い。具体的には、Mg/S
の値が1以上であれば、MgによってSを除去・固定が可能
であり、Sを起因とした割れの発生を防ぐことができ
る。
に耐酸化性向上に有効な元素であり、また、脱酸剤とし
ての効果もある一方で、過度の添加は冷間加工性を低下
させる元素であり、必要に応じて添加する。そのため、
Alの添加量は二つの場合を想定して、添加量を調整する
ことが重要である。その第一は、例えばCr酸化物のみに
よって、耐酸化性が十分に確保できる場合は、冷間加工
性を阻害するAlの積極添加は制限すべきであり、また、
Alの多量添加はマトリックス中にNi3Alの微細析出物を
形成させ、高温強度を高める一方、延性を大きく低下さ
せるので高い延性が必要とされる場合にはAl添加量を低
く制限すべきである。このような場合には、Alは2.0%未
満の範囲に調整すると良く、さらに望ましくは0.5%以
下が良く、無添加レベルに制限しても良い。一方、第二
として、より過酷な環境に曝される場合はCr酸化物より
保護被膜としての効果が大きいAl酸化物を形成させて、
耐酸化性を確保しなければならない。そのため、積極的
なAl添加は下限を2.0%とし、上限を5.0%迄の範囲とする
と良く、特に好ましい範囲は2.0〜4.0%の範囲である。
り高温強度を向上させる元素であり、その効果はMo+1/2
Wで整理することができる。高温強度を向上させるため
にはその値は0.5%を超えると効果がある。しかしなが
ら、過度の添加は冷間加工性を低下させる。この冷間加
工性を確実に確保するためにMoとWとの上限をMo+1/2Wの
値で4.0%未満とした。なお、冷間加工性を低下させるMo
とWを添加する場合には、同じく冷間加工性を低下させ
るAlについては、2.0%未満(好ましくは0.5%未満)の範囲
の添加とすることが望ましいが、2.0〜5.0%のAlを添加
して耐酸化性を確保した上で、更に高温強度を得ようと
すると、冷間加工性を著しく低下させないようにMoとW
の添加をMo+1/2Wの値で上限2.0%以下(好ましくは1.0%以
下)とすることができる。
し、熱間加工及び熱処理中に結晶粒の粗大化を防止す
る。つまり製品の結晶粒を微細に保持し、高温強度を維
持させる元素である。また、一部マトリックス中に固溶
することで、酸化膜の密着性を向上させて膜の剥離を防
止し、結果的に耐酸化性を向上させる効果もある。しか
し、過度の添加は熱間加工性及び冷間加工性を阻害する
ため、Hfの上限は1.0%以下とし、Zrの上限は0.5%以下と
した。
により耐酸化性が向上する。本発明で添加できる種々の
希土類元素のうち、好ましい希土類元素はLa、Ceであ
り、これは主に酸化膜の密着性を向上させることによる
と考えられる。しかしながら、過度の添加は熱間加工性
を低下させる。従って、添加量は希土類元素0.2%以下、
Y0.5%以下、Sc0.2%以下のうち一種または二種の合計を
0.6%以下とする。なお、保護被膜としての効果が大きい
Al酸化物を形成するAlを併用して添加することにより、
さらに耐酸化性を向上させることが出来る。
で本発明鋼に含まれても良い。 P≦0.04、Cu≦0.30、Ca≦0.02、Co≦2、N≦0.03、O≦0.
005
あるNb、Ta及びVの化合物(化合物とは炭化物、窒化物、
酸化物、金属間化合物を意味する。)の平均円相当径が
2.0μm以下と規定した。理由は以下の通りである。Nb、
Ta及びVの化合物は、微細に材料内部に分散させること
で、本発明合金を例えば1050℃程度に加熱した際に結晶
粒の粗大化をピン止め効果により抑制し、結果として結
晶粒微細化の効果を発揮する。そのための望ましいNb、
Ta及びVの化合物のサイズは平均円相当径で2.0μm以下
である。この範囲であれば、Nb、Ta及びVの化合物が微
細に分散した形態となり、結晶粒微細化の効果を十分に
得ることができる。なお、平均円相当径が2.0μmを超え
てしまうと、ピン止めするNb、Ta及びVの化合物の量が
少なくなる場合があり、ピン止めの効果が不十分となり
易く、高温の加熱時に結晶粒が一部で粗大化してしま
う。そのため、本発明ではNb、Ta及びVの化合物のサイ
ズは平均円相当径で2.0μm以下と規定した。また、上述
のピン止め効果を最大限に発揮するための好ましい下限
は平均円相当径で1.0μmである。なお、本発明で言う平
均円相当径とは、化合物の面積を円の面積に換算し、そ
の円の直径を指す。化合物の平均円相当径を調べるに
は、例えば材料の断面を走査型電子顕微鏡を用いて、倍
率3000で少なくとも10視野以上の観察を行い、画像解析
にて平均円相当径を求めることができる。
の化合物の平均円相当径が2.0μm以下とするための方法
としては、例えば、塑性加工によってNb、Ta及びV化合
物を破砕、分散させ、Nb、Ta及びV化合物の数量を増や
し、さらに材料内部における均一分散化を行なうと良
い。より具体的に説明すると、鍛造比9以上(=加工前断
面積/加工後断面積 ただし断面積は加工によって材料
が伸びてゆく方向の横断面)の加工を施すことで、確実
に塑性加工によってNb、Ta及びV化合物を破砕、分散さ
せることが可能である。
る。真空溶解により、10kgインゴット(W:90mm×L:90m
m×H)を溶製し、このインゴットをW:26mm×T:26mm×L
(No.3)、W:29mm×T:29mm×L(No.4)、W:30mm×T:30m
m×L(No.1,2,5〜33,35,36,38)、W:40mm×T:40mm×L(N
o.34)、W:52mm×T:52mm×L(No.37)の棒材に熱間鍛造
し、鍛造した棒材に950℃×1hr空冷なる溶体化処理を施
した。この時、熱間加工性の評価として、鍛造した棒材
における割れの有無を確認した。また、結晶粒が成長す
る高温環境下(1050℃、50時間)で熱処理した後、結晶粒
度番号(ASTM)を調べた。後述する表3にその結果を示
す。
3が本発明合金であり、表2のNo.30〜No.38は比較合金で
ある。なお、特開昭63-153236号、特開2000-336446号、
特開平7-268522号及び特開平11-12670号で示されるAllo
y600の改良合金をそれぞれNo.27,28,29及び30として示
す。
片及び耐酸化試験片を切出し、それぞれ試験に供した。
高温強度の評価として、800℃の高温引張試験をASTM:E
21に定められた試験法により行い、高温引張強度を求め
た。高温強度は、800℃の高温引張強さで200MPa以上で
あれば良好と言える。また、耐酸化試験は直径10×20mm
の試験片を用いて1050℃×100h加熱後の平均酸化増量に
より耐酸化性を評価した。単位表面積あたりの酸化増量
が25g/m2以下であれば耐酸化性が良好である。またこの
耐酸化試験片の、耐酸化試験前後の結晶粒度番号をAST
M:E112に定められた試験法により観察し、結晶粒度番
号の変化を調べた。結晶粒度番号の変化=耐酸化試験前
結晶粒度番号−耐酸化試験後結晶粒度番号であり、値が
プラス側に大きいほど結晶粒が成長していることを表し
ている。更に耐酸化試験後の試験片を、鍛伸方向の縦断
面に相当する面について電子顕微鏡を使い、Nb、Ta及び
V化合物の10視野分を3000倍にて観察し、平均円相当径
を求めた。
材料については、割れの無い部分を切出し、溶体化処理
して試験片を採取した。これら、高温引張試験結果、耐
酸化試験結果、結晶粒度番号の変化、鍛造比、Nb、Ta及
びV化合物の平均円相当径及び上述の熱間加工性(割れ)
の結果を表3に纏めて示す。
00℃)における引張強さも高く(200MPa以上)、高温強度
が優れており、1050℃×100hにおける耐酸化試験の酸化
増量が25g/m2以下と耐酸化性が良好であり、鍛伸による
割れもないことから優れた熱間加工性をも兼備する合金
であることが分かる。特に、Alを積極添加したNo.18合
金、21及び22合金は、耐酸化性が5g/m2以下であり、他
の本発明合金と比べて優れた耐酸化性を有することが分
かり、高いAlとLaとを添加したNo.21、22合金では酸化
増量が4g/m2と、最も優れた耐酸化性を有していること
も分かる。また、本発明No.7合金の断面電子顕微鏡写真
を図1に示す。図1に示すように、顕微鏡写真のほぼ中
央部で見られるように、Nb炭化物(Nb化合物)が塑性加工
により破砕されているのが分かる。なお、この破砕され
た炭化物(化合物)は、本発明合金の全てで観察すること
ができた。結晶粒度番号の変化と高温強度の間には相関
関係を見つけることができ、つまり、この分散したNb炭
化物が、高温における結晶粒の成長を抑止して、高温強
度の低下を防ぐ効果を現していると考えられる。
なると(No.30)Crの欠乏を招き、耐酸化性が劣化する。C
rが12%より少なくなると(No.31)、酸化増量が増加し、
耐酸化性が著しく悪くなる。Crが32%より多くても(No.3
2)、酸化膜が剥離し易くなるため酸化増量が増加し、耐
酸化性が悪くなる。Feが20%より多くなると(No.33)、80
0℃での引張強さが著しく低下してしまい、高温強度が
低くなる。耐酸化性もやや低下する。Tiが1.0%より多く
なると(No.34)、酸化膜の成長を促進するため酸化増量
が多くなり、耐酸化性が悪くなる。
a及びVとMgが添加されていない合金(No.35)は800℃にお
ける引張強さが200MPa未満と高温強度が低く、また熱間
加工時に割れが発生している。特開2000-336446号に開
示されているNb、Ta及びVが添加されていない合金(No.3
6)も結晶粒度番号の変化が大きく800℃における引張強
さが200MPa未満と鍛造比が高いにもかかわらず高温強度
がきわめて低い。特開平7-268522号に開示されているMo
+1/2Wが4%以上でMgが添加されていない合金(No.37)は熱
間加工時に著しい割れが発生した。特開平11-12670号に
開示されているMgが添加されていない合金(No.38)も熱
間加工時に割れが発生した。
問題を改善することができ、点火プラグ用電極等の自動
車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱
処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲
気に曝されて使用される部品及び部材として用いたとき
にその寿命向上に大きく寄与することができる。特に
は、点火プラグ用電極用材料及び燃料電池のカプセル用
材料として最適である。
13)
あるNb、Ta及びVの化合物(化合物とは炭化物、窒化物を
意味する。)の平均円相当径が2.0μm以下と規定した。
理由は以下の通りである。Nb、Ta及びVの化合物は、微
細に材料内部に分散させることで、本発明合金を例えば
1050℃程度に加熱した際に結晶粒の粗大化をピン止め効
果により抑制し、結果として結晶粒微細化の効果を発揮
する。そのための望ましいNb、Ta及びVの化合物のサイ
ズは平均円相当径で2.0μm以下である。この範囲であれ
ば、Nb、Ta及びVの化合物が微細に分散した形態とな
り、結晶粒微細化の効果を十分に得ることができる。な
お、平均円相当径が2.0μmを超えてしまうと、ピン止め
するNb、Ta及びVの化合物の量が少なくなる場合があ
り、ピン止めの効果が不十分となり易く、高温の加熱時
に結晶粒が一部で粗大化してしまう。そのため、本発明
ではNb、Ta及びVの化合物のサイズは平均円相当径で2.0
μm以下と規定した。また、上述のピン止め効果を最大
限に発揮するための好ましい下限は平均円相当径で1.0
μmである。なお、本発明で言う平均円相当径とは、化
合物の面積を円の面積に換算し、その円の直径を指す。
化合物の平均円相当径を調べるには、例えば材料の断面
を走査型電子顕微鏡を用いて、倍率3000で少なくとも10
視野以上の観察を行い、画像解析にて平均円相当径を求
めることができる。
3が本発明合金であり、表2のNo.30〜No.38は比較合金で
ある。なお、特開昭63-153236号、特開2000-336446号、
特開平7-268522号及び特開平11-12670号で示されるAllo
y600の改良合金をそれぞれNo.35,36,37及び38として示
す。
Claims (8)
- 【請求項1】 質量%でC:0.003〜0.1%、Si:1.0%以下、M
n:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Mg:0.001〜0.04
%を必須で含み、選択元素として(Nb、Ta及びV)から選ば
れる一種または二種以上を2.5%以下、不純物であるSは
0.01%以下(但しMg/S≧1)、Ti0.02%以下(0を含む)であ
り、残部はNi及び上記以外の不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優
れたNi基合金。 - 【請求項2】 質量%でAl:2.0%未満の範囲で含有するこ
とを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性、高温強度及
び熱間加工性に優れたNi基合金。 - 【請求項3】 質量%でAl:2.0〜5.0%の範囲で含有す
ることを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性、高温強
度及び熱間加工性に優れたNi基合金。 - 【請求項4】 MoとWの一種または二種をMo+1/2Wで0.5%
を超え4.0%未満含むことを特徴とする請求項1乃至3の
何れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優
れたNi基合金。 - 【請求項5】 質量%でHf:1.5%以下及びZr:1.0%以下の
うち一種または二種を含み、且つそれらの合計が2.0%以
下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記
載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合
金。 - 【請求項6】 質量%で希土類元素:0.2%以下、Y:0.5%以
下、Sc:0.2%以下のうち一種または二種以上を含み、且
つ希土類元素、Y、Scの合計が0.6%以下であることを特
徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の耐酸化性、高
温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。 - 【請求項7】 Nb、Ta及びVの選択元素のうち、Nbを質
量%で0.01〜1.5%含むことを特徴とする請求項1乃至6
の何れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に
優れたNi基合金。 - 【請求項8】 Nb、Ta及びVの化合物の平均円相当径が
2.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何
れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れ
たNi基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002356469A JP4172011B2 (ja) | 2001-12-21 | 2002-12-09 | 耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金 |
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