JP2019160537A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】中心電極の耐消耗性を向上できるスパークプラグを提供すること。【解決手段】スパークプラグの中心電極は、絶縁体の先端よりも先端側に位置する先端部と、溶融部を介して先端部に溶接されるチップと、を備え、先端部は、Mn,Si,Al,Ti,希土類元素,Hf,Zrから選ばれるB群、Ni及びCrを含有する。Niの含有率が最も高く、Crの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群のいずれか1種以上を合計して0.1質量%以上含有する。Feの含有率をfとし、Cr,Si及びAlの含有率の合計をeとし、Moの含有率をmとして、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たす。先端部と溶融部との境界のうち最も先端側に位置する第1点から、主体金具または他部材と絶縁体とが接触する部位のうち最も先端側に位置する第2点までの軸線方向における距離Dは22mm以下である。【選択図】図2

Description

本発明はスパークプラグに関し、特に中心電極にチップが溶接されたスパークプラグに関するものである。
スパークプラグにおいて、特許文献1には、Niを主成分としCr及びFeを含有する電極にチップを溶接する技術が開示されている。特許文献1に開示される技術では、主にCrが作る酸化皮膜により電極の耐酸化性を確保し、Feはチップとの熱膨張率の違いに起因する電極の応力を抑制する。
特許第5662622号公報
しかし、上記従来の技術では、スパークプラグの熱価を高くすると中心電極の温度変化が大きくなり、中心電極の熱膨張によって酸化皮膜が剥離し易くなるので、燃料に残留する硫黄により中心電極の腐食が進み、中心電極の消耗が早まるおそれがある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、中心電極の耐消耗性を向上できるスパークプラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のスパークプラグは、先端側から後端側へと軸線の方向に延びる軸孔が形成され、径方向の外側に張り出した係止部を備える絶縁体と、絶縁体の外周に配置されると共に、径方向の内側に突出し係止部を先端側から直接または他部材を介して係止する棚部を備える主体金具と、軸孔に配置される中心電極と、を備える。中心電極は、絶縁体の先端よりも先端側に位置する先端部と、溶融部を介して先端部に溶接されるチップと、を備える。
先端部は、Mn,Si,Al,Ti,希土類元素,Hf,Zrから選ばれるB群、Ni及びCrを含有する。Niの含有率が最も高く、Crの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群のいずれか1種以上を合計して0.1質量%以上含有する。Feの含有率をfとし、Cr,Si及びAlの含有率の合計をeとし、Moの含有率をmとして、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たす。先端部の外表面と溶融部の外表面との境界のうち最も先端側に位置する第1点から、棚部または他部材と係止部とが接触する部位のうち最も先端側に位置する第2点までの軸線方向における距離Dは22mm以下である。
請求項1記載のスパークプラグによれば、中心電極の先端部の外表面と溶融部の外表面との境界のうち最も先端側に位置する第1点から、主体金具の棚部または他部材と絶縁体の係止部とが接触する部位のうち最も先端側に位置する第2点までの軸線方向における距離Dは22mm以下なので、冷却時における先端部の温度変化が大きくなり易い。そのため先端部の熱膨張率と酸化皮膜の熱膨張率との差によって、先端部に形成された酸化皮膜は剥離し易い。
しかし、先端部はMn,Si,Al,Ti,希土類元素,Hf,Zrから選ばれるB群、Ni及びCrを含有する。Niの含有率が最も高く、Crの含有率が2番目に高く12質量%以上なので、先端部の酸化皮膜が剥離しても酸化皮膜を再生させ易くできる。また、B群の含有率が0.1質量%以上なので、酸化皮膜の下に、B群の酸化物や窒化物の皮膜を形成させ易くできる。よって、酸化皮膜が剥離したときの先端部の酸化や硫黄による腐食を抑制できる。
先端部は、Feの含有率f、Cr,Si及びAlの含有率の合計e、Moの含有率mのときに、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たすので、腐食し易いFeやMoの含有率を相対的に少なくできる。その結果、緻密な酸化皮膜を連続的に形成し易くできる。また、硫化クロムが生成される速度は他の硫化物が生成される速度よりも遅いので、Crの含有率を12質量%以上にすることで、硫化クロムによって、先端部の硫黄による腐食を抑制できる。よって、中心電極の耐消耗性を向上できる。
請求項2記載のスパークプラグによれば、チップはIrを最も多く含有し、Pt,Ru,Rh,Niから選ばれるA群を4質量%以上含有するので、チップとの熱膨張率の違いに起因する先端部の応力を抑制できる。その結果、先端部の酸化皮膜が破壊され難くできるので、請求項1の効果に加え、耐消耗性をさらに向上できる。
請求項3記載のスパークプラグによれば、先端部は、軸線を含む断面において複数の結晶粒が現出する領域を有する。Ar雰囲気中900℃でその領域を50時間加熱する処理後の断面のビッカース硬度をHa、処理前の断面のビッカース硬度をHbとするときに、Ha/Hb≧0.36を満たすので、高温下での再結晶化や粒成長を抑制できる。結晶粒は軸線方向の長さ(Xと称す)が軸線に垂直な方向の長さ(Yと称す)よりも長いので、X≦Yの場合に比べ、軸線に垂直な方向へ繋がる粒界の長さを長くできる。その結果、軸線に垂直な方向への粒界腐食の進行を遅らせることができる。よって、請求項1又は2の効果に加え、高温下での粒界腐食による先端部の破壊を抑制できる。
請求項4記載のスパークプラグによれば距離Dは18mm以下であり、請求項5記載のスパークプラグによれば距離Dは14mm以下である。これらの場合、先端部の温度変化はさらに大きくなり易く、先端部の酸化皮膜はより剥離し易くなる。よって、本発明の適用がより効果的である。
請求項6記載のスパークプラグよればf/e≦0.04であり、請求項7記載のスパークプラグによればm/e≦0.004であり、請求項8記載のスパークプラグによればf/e≦0.001である。これにより、酸化皮膜の緻密化を図り、酸化皮膜の連続性をより向上できる。よって、先端部の耐消耗性をより向上できる。
一実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 図1の一部を拡大したスパークプラグの片側断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態におけるスパークプラグ10の軸線Oを境にした片側断面図であり、図2は図1の一部を拡大したスパークプラグ10の片側断面図である。図1及び図2では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という。図2では接地電極37の図示が省略されている。
図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11及び中心電極20を備えている。絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された略円筒状の部材である。絶縁体11は、軸線Oに沿って軸孔12が貫通する。軸孔12の先端側には、後端側を向く後端向き面13が全周に亘って形成されている。絶縁体11は、軸線方向の中央に外径が最も大きい大径部14が形成されている。絶縁体11は、大径部14よりも先端側に、径方向の外側に張り出した係止部15が形成されている。係止部15は先端側へ向かうにつれて縮径している。
中心電極20は、軸孔12に配置される棒状の部材である。中心電極20は、後端向き面13よりも軸孔12の先端側に配置される軸部21と、後端向き面13に係止される頭部22と、を備えている。軸部21の一部は軸孔12から突出する。
図2に示すように、中心電極20は熱伝導性に優れる芯材24が母材23に埋設されている。本実施形態では、母材23はNiを主体とする合金からなり、芯材24は銅または銅を主体とする合金からなる。なお、芯材24を省略することは可能である。
中心電極20は、軸部21の一部が軸孔12から突出することにより、絶縁体11の先端16よりも先端側に先端部25が位置する。先端部25は母材23の一部である。先端部25の先端に溶融部26が形成され、チップ27が接合されている。溶融部26は抵抗溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接等により形成され、先端部25とチップ27とが溶け合ってなる。本実施形態では、溶融部26はレーザ溶接によって先端部25の全周に形成されている。
チップ27は、母材23よりも耐火花消耗性の高いPt,Ir,Ru,Rh等の貴金属を主体とする合金または貴金属からなる部材である。本実施形態では、チップ27はIrを主体とする合金からなる円柱状の部材である。
本実施形態では、チップ27と先端部25とを突き合わせた端面の中央が残存し、その周囲に溶融部26が形成された状態が図示されているが、これに限られるものではない。チップ27と先端部25とを突き合わせた端面が全て溶融部26に溶融して消失していても良い。溶融部26は、チップ27の熱膨張率と先端部25の熱膨張率との違いに起因する先端部25やチップ27の応力を緩和する。
図1に戻って説明する。端子金具28は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼)で形成されている。端子金具28は絶縁体11の後端に固定されており、先端側が軸孔12内に配置される。端子金具28は軸孔12内で中心電極20と電気的に接続されている。
主体金具30は、絶縁体11の外周に配置される円筒状の部材である。主体金具30は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。絶縁体11の先端側の一部を取り囲む胴部31と、胴部31の後端側に連接される座部34と、座部34の後端側に連接される工具係合部35と、工具係合部35の後端側に連接される後端部36と、を備えている。胴部31は、エンジン(図示せず)のねじ穴に螺合するおねじ32が外周に形成されており、絶縁体11の係止部15を先端側から係止する棚部33が内周に形成されている。
座部34は、エンジンのねじ穴とおねじ32との隙間を塞ぐための部位であり、胴部31の外径よりも外径が大きく形成されている。工具係合部35は、エンジンのねじ穴におねじ32を締め付けるときに、レンチ等の工具を係合させる部位である。後端部36は径方向の内側へ向けて屈曲し、絶縁体11の大径部14よりも後端側に位置する。主体金具30は、棚部33及び後端部36によって、絶縁体11の大径部14及び係止部15を保持する。
接地電極37は主体金具30の胴部31に接続される金属製(例えばニッケル基合金製)の部材である。接地電極37は、中心電極20との間に火花ギャップを形成する。中心電極20と同様に、貴金属を主体とする合金または貴金属からなるチップが接地電極37に接合されている場合には、接地電極37のチップと中心電極20のチップ27との間に火花ギャップが形成される。
図2に示すように、絶縁体11の係止部15と主体金具30の棚部33との間にパッキン38(主体金具30とは異なる他部材)が介在する。パッキン38は、主体金具30のヤング率よりもヤング率が小さい金属製の円環状の部材である。パッキン38は係止部15と棚部33との間に挟まれるので、絶縁体11や中心電極20の熱はパッキン38を通って主体金具30へ移動する。
スパークプラグ10は、先端部25の外表面40と溶融部26の外表面41との境界42のうち最も先端側に位置する第1点43から、パッキン38と係止部15とが接触する部位44のうち最も先端側に位置する第2点45までの距離Dが22mm以下である。この距離Dが短いほどスパークプラグ10の熱価が高く、先端部25の熱が主体金具30からエンジン(図示せず)へ逃げ易くなるので、エンジンに吸入された混合気で先端部25が冷却されるときの温度変化が大きくなり易い。
先端部25は、Mn,Si,Al,Ti,希土類元素,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素(以下「B群」と称す)、Ni及びCrを含有する。希土類元素としては、Y,La,Ce,Nd,Sm,Dy,Er及びYbが挙げられる。先端部25は、これらの元素のうちNiの含有率が最も高く、Crの含有率が2番目に高く12質量%以上なので、先端部25の外表面40に酸化皮膜を形成させ易くでき、さらに先端部25(母材23)の加工性を確保できる。また、熱価の高いスパークプラグ10の先端部25の温度変化に伴い、先端部25の熱膨張率と酸化皮膜の熱膨張率との違いによって酸化皮膜が剥離しても、先端部25の外表面40に酸化皮膜を再生させ易くできる。先端部25の酸化皮膜により、先端部25のそれ以上の酸化を抑制し、燃料に残留する硫黄による先端部25の腐食を抑制できる。
先端部25はB群から選ばれる1種以上の元素を合計0.1質量%以上含有するので、その酸化皮膜の下に、B群の酸化物や窒化物の皮膜を形成させ易くできる。その結果、酸化皮膜が剥離したときも、B群の皮膜によって、先端部25の酸化や燃料に残留する硫黄による腐食を抑制できる。
さらに、先端部25に含まれるFeの含有率をf(wt%)とし、Cr,Si及びAlの含有率の合計をe(wt%)とし、Moの含有率をm(wt%)とすると、f/e≦0.15(f=0wt%を含む)、且つ、m/e≦0.015(m=0wt%を含む)を満たす。腐食し易いFeやMoの含有率をCr,Si及びAlの含有率に対して少なくすることで、FeやMo等が作る硫化物を先端部25に生成させ難くでき、主にCrが先端部25に作る酸化皮膜を連続的かつ緻密にできる。また、Crが硫黄と反応して硫化クロムが生成される速度は、他の硫化物(例えばFeS等)が生成される速度よりも遅いので、先端部25の硫化クロムの層によって、先端部25の硫黄による腐食を抑制できる。よって、先端部25の耐消耗性を向上できる。
溶融部26を介して先端部25に接合されたチップ27はIrを最も多く含有する。Irを多く含有するチップ27は、チップ27と先端部25との間に溶融部26が介在しても、チップ27との熱膨張率の差に起因する先端部25の応力が大きくなり易いので、先端部25の酸化皮膜や硫化クロムの層が破壊され易い。そこで、先端部25の応力を緩和するために、チップ27はPt,Ru,Rh,Niから選ばれる1種以上の元素(以下「A群」と称す)を4質量%以上含有する。これにより、チップ27との熱膨張率の違いに起因する先端部25の応力を抑制できるので、先端部25の酸化皮膜や硫化クロムの層が破壊され難くできる。よって、先端部25の耐消耗性をさらに向上できる。
次に図2の部分拡大図を参照して先端部25の組織について説明する。図2に示すように先端部25は、軸線Oを含む断面に複数の結晶粒46が現出する。結晶粒46は、軸線方向の長さ(X)が軸線Oと垂直な方向の長さ(Y)よりも長い。結晶粒46の長さはJIS G0551:2013年に準拠して測定する。結晶粒46の長さ(X,Y)の測定方法の一例を以下に説明する。
チップ27が接合された先端部25(溶融部26を形成するときの熱影響を受けたもの)について、軸線O(中心線)を含む平面で先端部25を切断し、先端部25を2つに分ける。2つに分けた一方について、平らな断面が現れるように先端部25を研磨し、金属顕微鏡またはSEMによる組成像による顕微鏡写真を得る。結晶粒46が判別し難いときは、腐食液による電解または無電解エッチング、クロスセクションポリッシャ加工(例えばSM−09010、日本電子株式会社製)、イオンミリング加工(例えばIM−4000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)若しくはEBSD(Electron Backscatter Diffraction電子後方散乱回折)法などを用いて組織観察を行っても良い。
得られた顕微鏡写真に、先端部25の軸線Oに平行な直線からなる試験線Aを3本引く。3本の試験線Aは0.1mm以上の間隔をあける。試験線Aの端は溶融部26から0.1mm以上離す。
次いで、3本の試験線Aがそれぞれ通過または捕捉した結晶粒46の数(N,N,N)を計数する。結晶粒46の計数は、試験線Aと結晶粒46の交差の形態によって、試験線Aが結晶粒46を通過する場合はN,N,N=1、試験線Aが結晶粒46内で終了する場合はN,N,N=0.5、試験線Aが粒界に接している場合はN,N,N=0.5とする。試験線Aのうち結晶粒46と交差した部分の長さをそれぞれX,X,Xとしたとき、(X+X+X)/(N+N+N)を、軸線方向の結晶粒46の長さ(X)とする。
次に、試験線Aと垂直に、直線からなる試験線Bを顕微鏡写真の上に3本引く。3本の試験線Bは0.1mm以上の間隔をあける。溶融部26に最も近い試験線Bは溶融部26から0.1mm以上離す。次いで、3本の試験線Bがそれぞれ通過または捕捉した結晶粒46の数(M,M,M)を計数する。結晶粒46の計数は、試験線Bと結晶粒46の交差の形態によって、試験線Bが結晶粒46を通過する場合はM,M,M=1、試験線Bが結晶粒46内で終了する場合はM,M,M=0.5、試験線Bが粒界に接している場合はM,M,M=0.5とする。試験線Bのうち結晶粒46と交差した部分の長さをそれぞれY,Y,Yとしたとき、(Y+Y+Y)/(M+M+M)を、軸線Oと垂直な方向の結晶粒46の長さ(Y)とする。
先端部25の組織は、先端部25をAr雰囲気中900℃で50時間加熱した処理後の先端部25の断面のビッカース硬度をHa、その処理前の先端部25の断面のビッカース硬度をHbとするときに、Ha/Hb≧0.36を満たすように設定される。なお、先端部25の組織や硬さは、先端部25の成分、溶接方法、溶接時の雰囲気、溶接に用いるレーザビームや電子ビームの照射条件、先端部25の材質や形状等(先端部25の軸線方向の長さや断面積)、中心電極20を製造する際の加工条件などにより制御できる。
先端部25のビッカース硬度は、JIS Z2244(2009年)に準拠して測定される。結晶粒46の長さ(X,Y)を測定した先端部25の切断面を鏡面研磨して、ビッカース硬度Hbを測定する試験片とする。軸線Oを含む平面で先端部25を切断して2つに分けたもう一方は、切断面を鏡面研磨して、ビッカース硬度Haを測定する試験片とする。
なお、先端部25を切断して2つに分けた試験片を作ることができない場合には、同じ条件で製造したスパークプラグ10を2つ用意し、そのうちの1つを用いてビッカース硬度Hbを測定する試験片を作り、もう1つを用いてビッカース硬度Haを測定する試験片を作っても良い。
ビッカース硬度Haを測定する試験片には、切断面を鏡面研磨する前に熱処理を施す。熱処理は、溶融部26を形成するときの熱影響を受けた先端部25(チップ27や溶融部26を含んでいても良い)を雰囲気炉に入れ、Arを2L/分の流量で流しながら900℃まで10℃/分の速度で昇温し、900℃で50時間の加熱を維持した後に加熱を止め、Arを2L/分の流量で流しながら自然冷却する処理である。熱処理を施す理由は、先端部25の残留応力を除去すると共に、加工や溶接熱等の影響で変化した先端部25の結晶組織を調整するためである。
ビッカース硬度Ha,Hbの測定点(圧子を押し込む点)は、先端部25のうち試験線Bを引いたところに相当する領域内の任意の位置である。但し、測定点は先端部25の外表面40から0.1mm以上離れた位置とする。圧子が押し込まれてできる圧痕が互いに0.4mm以上離れる測定点を4点選ぶ。なお、圧痕が溶融部26に含まれる場合、又は、溶融部26と先端部25との境界から0.1mm以内の領域に圧痕が含まれる場合には、その圧痕は測定値から除く。測定値が溶融部26の影響を受けるのを防ぐためである。圧子に加える試験力は4.9N、試験力の保持時間は10秒とする。4点の測定点における測定値の算術平均値を算出し、ビッカース硬度Ha,Hbとする。
このようにして測定された熱処理前後のビッカース硬度Ha,Hbの比率がHa/Hb≧0.36を満たすようにすることで、高温下での結晶粒46の再結晶化や粒成長を抑制できる。その結果、高温下において、軸線方向の結晶粒46の長さ(X)が軸線Oに垂直な方向の結晶粒46の長さ(Y)よりも長い先端部25の組織(X>Y)を維持できる。従って、X≦Yの場合に比べ、粒界腐食が軸線Oに垂直な方向へ進行して先端部25が破壊するために必要な粒界の腐食長さを長くできる。よって、高温下での粒界腐食による先端部25の破壊やチップ27の脱落を抑制できる。
特に、軸線方向の結晶粒46の長さ(X)を軸線Oと垂直な方向の結晶粒46の長さ(Y)の1.5倍以上にすることにより、粒界腐食によって先端部25が破壊するために必要な粒界の腐食長さがより長くなるので、高温下での粒界腐食による先端部25の破壊やチップ27の脱落の抑制効果を向上できる。
また、Ha/Hb≧0.36のときは、高温下での結晶粒46の再結晶化や粒成長が抑制されるので、それに伴う先端部25の形状の変化(歪みの回復)を抑制できる。その結果、先端部25の表面の酸化皮膜の破壊を抑制できるので、酸化皮膜が先端部25と硫黄との接触を抑制し、硫黄による先端部25の腐食を抑制できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(サンプル1〜51の作成)
試験者は、同一寸法の種々の母材23と、同一寸法の円柱状の種々のチップ27とを準備した。母材23及びチップ27の端面同士をそれぞれ突き合わせた後、ファイバレーザ溶接機により、全周に亘って母材23とチップ27との境界にレーザビームを照射して溶融部26を形成し、種々の中心電極20を得た。なお、チップ27の組成が異なっても、溶融部26の外表面41とチップ27との境界からチップ27の先端までの軸線方向の長さが同一となるように、ファイバレーザ溶接機が母材23及びチップ27に入力するエネルギーを調整した。
得られた種々の中心電極20を絶縁体11に固定し、絶縁体11に主体金具30を組み付けてサンプル1〜51におけるスパークプラグ10を得た。各サンプルについて複数の評価を行うので、各サンプルは、同一の条件で作成したものを複数準備した。
Figure 2019160537
表1は、サンプル1〜51におけるスパークプラグ10の中心電極20の母材23(先端部25)の組成、チップ27の組成の一覧表である。
中心電極20の母材23の組成は、母材23のうち絶縁体11の先端16よりも先端側の先端部25を切り出して試料を採取し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて測定した。1つの先端部25から分析に必要な試料を採取できない場合は、複数の先端部25から採取した試料を集めて分析に供した。表1に示す数値が0(ゼロ)の元素は、含有量が検出限界以下であり、実質的に含有されていないことを示す。なお、先端部25の組成分析は、原子吸光光度計や波長分散形X線分光器(WDS)等を用いて行うこともできる。
チップ27は、EPMA(JXA−8500F、日本電子株式会社製)のWDS分析(加速電圧20kV、測定領域のスポット径100μm)により質量組成を測定した。軸線Oを含む平面でチップ27を切断し、その切断面の5点の測定点の測定値の算術平均値を算出した。表1に示す数値が0(ゼロ)の元素は、含有量が検出限界以下であることを示す。なお、スポット径を考慮した各測定点の測定領域が溶融部26に含まれる場合には、その測定点の結果を除いた。組成分析の精度低下を防ぐためである。
試験者は、後述する腐食試験前に、予めX線透視装置を用いてスパークプラグ10のうちパッキン38よりも先端側の部分を撮像して、先端部25の外表面40の寸法および距離Dの情報を取得した。
(腐食試験)
試験者は、スパークプラグの各サンプルをエンジンに取り付け、5ppmの硫黄を含むガソリンを燃料としてエンジンを始動した後、フルスロットル1分間、アイドル回転数1分間を1サイクルとして3000サイクルを各サンプルに加えた。なお、フルスロットルのときは、中心電極20のうちチップ27の先端から後端側に1mm離れた部分の温度が850℃に到達した。
(先端部の耐消耗性の判定)
試験者は、腐食試験後のサンプルをエンジンから取り外した後、軸線Oを含む平面で先端部25を切断し、その切断面を顕微鏡で観察して、予め取得した先端部25の外表面40の寸法に基づき、試験によって腐食した先端部25の外表面40からの厚さT(軸線Oに垂直な方向の寸法)の最大値を測定した。なお、溶融部26と先端部25との境界は先端部25の一部として厚さTを測定した。顕微鏡観察では腐食した領域が不明な場合は、EPMAによって先端部25に侵入した硫黄の位置を特定し、厚さTを測定した。
判定は、厚さT(最大値)に基づき、AからGの7ランクに分けた。判定基準は以下のとおり。A:T<100μm,B:100μm≦T<150μm,C:150μm≦T<200μm,D:200μm≦T<350μm,E:350μm≦T<500μm,F:T≧500μmだがチップは脱落していない,G:チップが脱落した。
Figure 2019160537
表2は、サンプル1〜51におけるスパークプラグのA群の含有率、B群の含有率、含有率f,m,e、その比率f/e,m/e、ビッカース硬度の比率Ha/Hb、結晶粒の長さの情報、距離D及び耐消耗性の判定の一覧表である。
表2のfは先端部のFeの含有率であり、mは先端部のMoの含有率であり、eは先端部のCr,Si及びAlの含有率の合計である。f/e及びm/eの数値は小数点第4位以下を四捨五入した。表2の結晶粒の欄の「F」(サンプル1〜9,11〜51)は結晶粒46の軸線方向の長さ(X)が軸線Oに垂直な方向の長さ(Y)よりも長いこと(X>Y)を意味し、「N」(サンプル10)はYがXよりも長いこと(X<Y)を意味する。なお、サンプル1〜9,11〜51はX/Y>1.5であった。サンプル1〜51の先端部はNiの含有率が最も高かった。
表2に示すとおり、サンプル7,8,11〜13,15,17,26〜28はA判定であった。これらA判定のサンプルは、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.001且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。A判定のサンプルは、硫化クロム及び酸化皮膜によって先端部25の硫黄による腐食を抑制できたと推察される。
サンプル7,8,12,17,26〜28はD=22mm、サンプル11はD=21mm、サンプル13はD=20mm、サンプル15はD=19mmであった。サンプル7,8,11〜13,15,17,26〜28はD=19〜22mmにおいてA判定であることが確認された。
サンプル9,10,14,16,18,19,24,25はB判定であった。サンプル9,18,19は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.04且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。これらはf/eの値がA判定のサンプルに比べて大きいので、A判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル24,25は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.001且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。これらはm/eの値がA判定のサンプルに比べて大きいので、A判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル10は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.001且つm/e≦0.004を満たしていた。Ha/Hb≧0.36であり、チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、先端部の結晶粒はX<Yなので、A判定のサンプルよりも粒界腐食が進行したと推察される。
サンプル14は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.001且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、Ha/Hb<0.36なので、腐食試験中に粒成長等が生じ、A判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル16は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.001且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。しかし、チップはA群の含有率が4質量%未満なので、先端部の応力によって腐食試験中に酸化皮膜が剥がれ易く、A判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル20,21はC判定であった。これらは、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、f/eの値がB判定のサンプルに比べて大きいので、B判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル6,29〜41はD判定であった。サンプル6は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、Ha/Hb<0.36なので、腐食試験中に粒成長等が生じ、酸化皮膜の剥離や粒界腐食によって、C判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル29〜31,33〜41は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、m/eの値がC判定のサンプルに比べて大きいので、C判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。なお、サンプル33〜41はB群元素の種類や含有率が異なるが(但し含有率は0.1質量%以上)、腐食の判定は同じであった。
サンプル32は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、m/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、f/e>0.15なので、C判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル43,46,47,49〜51はE判定であった。サンプル43,49は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。しかし、チップはA群の含有率が4質量%未満なので、先端部の応力によって腐食試験中に酸化皮膜が剥がれ易く、D判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル46,47,50,51は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、Ha/Hb<0.36なので、腐食試験中に粒成長等が生じ、酸化皮膜の剥離や粒界腐食によって、D判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル42,48はF判定であった。サンプル42,48は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであった。しかし、Ha/Hb<0.36であり、チップはA群の含有率が4質量%未満なので、腐食試験中に粒成長等が生じ易く、さらに先端部の応力によって酸化皮膜の剥離が生じ、E判定のサンプルよりも腐食が進行したと推察される。
サンプル1〜5,22,23,44,45(比較例)はG判定であった。サンプル1〜3は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であり、m/e≦0.004を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率は4質量%以上であった。しかし、f/e>0.15なので、酸化皮膜の緻密性が乏しく、腐食によって先端部が破壊したと推察される。
サンプル4,5は、先端部はf/e≦0.04且つm/e≦0.004を満たし、B群の含有率は0.1質量%であった。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。しかし、先端部はCrの含有率が12質量%未満なので、十分な酸化皮膜を形成できず、腐食によって先端部が破壊したと推察される。
サンプル22,23は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、B群の含有率は0.1質量%であった。先端部の結晶粒はX>Yであり、Ha/Hb≧0.36であった。チップはA群の含有率が4質量%以上であった。サンプル22はm/e≦0.004を満たしていたが、f/e>0.15であった。サンプル23はf/e≦0.001を満たしていたが、m/e>0.015であった。サンプル22,23は酸化皮膜の緻密性や連続性が乏しく、腐食によって先端部が破壊したと推察される。
サンプル44,45は、先端部はCrの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たしていた。先端部の結晶粒はX>Yであった。しかし、Ha/Hb<0.36であり、チップはA群の含有率が4質量%未満であった。さらに、先端部にB群の元素が実質的に含まれていなかった。これにより、サンプル44,45はB群の酸化物や窒化物の皮膜が作られないので、腐食によって先端部が破壊したと推察される。
(実施例2)
試験者は、距離Dを異ならせた以外は、サンプル42,48と同じ種々のサンプルを作成した。各サンプルの距離Dは23,22,19,18,15,14,7mmとした。比較のため、サンプル2と組成が同じD=23mmのサンプルも作成した。実施例1で説明した腐食試験の1000サイクルを各サンプルに加えた後、実施例1と同様にして、先端部の腐食厚さを測定した。
その結果、サンプル42(実施例)では、サンプル2(比較例)のD=23mmのときの腐食厚さを1とすると、D=22mmの腐食厚さは1.3、D=19mmの腐食厚さは1.4、D=18mmの腐食厚さは1.6、D=15mmの腐食厚さは2.0、D=14mmの腐食厚さは2.3、D=7mmの腐食厚さは3.9であった。サンプル48(実施例)も同じ結果であった。いずれのサンプルも距離Dが短くなるにつれて腐食厚さが増加することが確認された。距離Dが短くなるにつれて先端部の温度変化は大きくなるので、先端部の酸化皮膜はより剥離し易くなる。よって、距離Dが短くなると、本発明の適用がより効果的なことが明らかである。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施例では、希土類元素としてY,Laを用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。先端部が他の希土類元素を含有することは当然可能である。
実施形態では、チップ27の形状が円柱の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。他のチップ27の形状としては、例えば円錐台状、楕円柱状、三角柱や四角柱等の多角柱状などが挙げられる。
実施形態では、主体金具30の棚部33と絶縁体11の係止部15との間にパッキン38が介在する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。パッキン38を省略して、主体金具30の棚部33と絶縁体11の係止部15とを直接に接触させることは当然可能である。
実施形態では、中心電極20の母材23の先端にチップ27を接合する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。母材23とチップ27との間に、Ni基合金からなる中間材を介在させることは当然可能である。この場合、中間材や母材のうち絶縁体11の先端16よりも先端側に位置する部分が、先端部に該当する。中間材の組成と母材の組成とが異なっていても良い。
10 スパークプラグ
11 絶縁体
12 軸孔
15 係止部
16 絶縁体の先端
20 中心電極
25 先端部
26 溶融部
27 チップ
30 主体金具
33 棚部
38 パッキン(他部材)
40 先端部の外表面
41 溶融部の外表面
42 境界
43 第1点
45 第2点
46 結晶粒
D 距離
O 軸線

Claims (8)

  1. 先端側から後端側へと軸線の方向に延びる軸孔が形成され、径方向の外側に張り出した係止部を備える絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置されると共に、径方向の内側に突出し前記係止部を先端側から直接または他部材を介して係止する棚部を備える主体金具と、
    前記軸孔に配置される中心電極と、を備え、
    前記中心電極は、前記絶縁体の先端よりも先端側に位置する先端部と、溶融部を介して前記先端部に溶接されるチップと、を備えるスパークプラグであって、
    前記先端部は、Mn,Si,Al,Ti,希土類元素,Hf,Zrから選ばれるB群、Ni及びCrを含有し、
    Niの含有率が最も高く、Crの含有率が2番目に高く12質量%以上であり、
    前記B群のいずれか1種以上を合計して0.1質量%以上含有し、
    Feの含有率をfとし、Cr,Si及びAlの含有率の合計をeとし、Moの含有率をmとして、f/e≦0.15且つm/e≦0.015を満たし、
    前記先端部の外表面と前記溶融部の外表面との境界のうち最も先端側に位置する第1点から、前記棚部または前記他部材と前記係止部とが接触する部位のうち最も先端側に位置する第2点までの軸線方向における距離Dは22mm以下であるスパークプラグ。
  2. 前記チップは、Irを最も多く含有し、Pt,Ru,Rh,Niから選ばれるA群を4質量%以上含有する請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 前記先端部は、前記軸線を含む断面において複数の結晶粒が現出する領域を有し、
    前記領域における前記複数の結晶粒は、前記軸線方向の前記結晶粒の長さが前記軸線に垂直な方向の前記結晶粒の長さよりも長く、
    Ar雰囲気中900℃で前記領域を50時間加熱する処理後の前記領域の断面のビッカース硬度をHa、前記処理前の前記領域の断面のビッカース硬度をHbとするときに、Ha/Hb≧0.36を満たす請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記距離Dは18mm以下である請求項1から3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 前記距離Dは14mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のスパークプラグ。
  6. 前記f/e≦0.04である請求項1から5のいずれかに記載のスパークプラグ。
  7. 前記m/e≦0.004である請求項1から6のいずれかに記載のスパークプラグ。
  8. 前記f/e≦0.001である請求項1から7のいずれかに記載のスパークプラグ。
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