JP2002129268A - 高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料 - Google Patents
高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料Info
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- JP2002129268A JP2002129268A JP2000319694A JP2000319694A JP2002129268A JP 2002129268 A JP2002129268 A JP 2002129268A JP 2000319694 A JP2000319694 A JP 2000319694A JP 2000319694 A JP2000319694 A JP 2000319694A JP 2002129268 A JP2002129268 A JP 2002129268A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高温強度を向上し、さらに良好な冷間加工性
兼備する点火プラグ用電極材料を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.1%以下、Si:1.0%以下、M
n:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Ti:1.0%以
下(0を含む)、Al:5.0%以下(0を含む)、MoとWの一種ま
たは二種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含み、残部
は実質的にNiからなる高温強度および冷間加工性に優れ
た点火プラグ用電極材料。
兼備する点火プラグ用電極材料を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.1%以下、Si:1.0%以下、M
n:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Ti:1.0%以
下(0を含む)、Al:5.0%以下(0を含む)、MoとWの一種ま
たは二種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含み、残部
は実質的にNiからなる高温強度および冷間加工性に優れ
た点火プラグ用電極材料。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関に用いら
れる点火プラグ用電極材料の中で、特に高温強度および
冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料に関するもの
である。
れる点火プラグ用電極材料の中で、特に高温強度および
冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】高温における耐酸化性が良好で、高温強
度が大きく、かつ冷間加工性の良い材料が要求される点
火プラグ用電極材料としては、熱伝導率の高い高Ni合金
が多く使用されており、一部ではより高温での強度・耐
酸化性に優れたNi-16Cr-8Fe(Alloy600)合金が用いられ
てきた。さらにAlloy600を改良した合金についても種々
の検討がなされており、Alloy600の合金を耐酸化性改善
(特開昭63-153236号、特公平5-14781号)、加工性改善
(特開昭62-270740号、登録番号2085959号、特公平5-408
07号)、高温強度を改善(特開平7-268522号)および耐食
性改善(特開昭63-118040号)したものが提案されてい
る。
度が大きく、かつ冷間加工性の良い材料が要求される点
火プラグ用電極材料としては、熱伝導率の高い高Ni合金
が多く使用されており、一部ではより高温での強度・耐
酸化性に優れたNi-16Cr-8Fe(Alloy600)合金が用いられ
てきた。さらにAlloy600を改良した合金についても種々
の検討がなされており、Alloy600の合金を耐酸化性改善
(特開昭63-153236号、特公平5-14781号)、加工性改善
(特開昭62-270740号、登録番号2085959号、特公平5-408
07号)、高温強度を改善(特開平7-268522号)および耐食
性改善(特開昭63-118040号)したものが提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年のエンジンの高性
能化に伴い、より高い高温強度を有する点火プラグ用電
極材料が求められている。一般的には高温強度を改善す
ると、プラグ製造時に行なわれる曲げ加工に必要な冷間
加工性が悪くなるため、これまでに提案されてきた、Al
loy600やその改良合金等の点火プラグ用電極材料では、
高温強度または冷間加工性の何れかが不十分であった。
具体的には、先ずAlloy600では冷間での加工性は良好で
あるものの、800℃以上の高温強度の点において、点火
プラグ用電極材料として求められる特性を満足できるも
のではなく、また、上述した特開昭63-153236号および
特公平5-14781号では耐酸化性の改善が行なわれている
が、高温強度を向上させる元素の添加はなく、高温強度
の点では不十分である。
能化に伴い、より高い高温強度を有する点火プラグ用電
極材料が求められている。一般的には高温強度を改善す
ると、プラグ製造時に行なわれる曲げ加工に必要な冷間
加工性が悪くなるため、これまでに提案されてきた、Al
loy600やその改良合金等の点火プラグ用電極材料では、
高温強度または冷間加工性の何れかが不十分であった。
具体的には、先ずAlloy600では冷間での加工性は良好で
あるものの、800℃以上の高温強度の点において、点火
プラグ用電極材料として求められる特性を満足できるも
のではなく、また、上述した特開昭63-153236号および
特公平5-14781号では耐酸化性の改善が行なわれている
が、高温強度を向上させる元素の添加はなく、高温強度
の点では不十分である。
【0004】また、特開昭62-270740号、登録番号20859
59号および特公平5-40807号では加工性の改善がなされ
ているが、これも高温強度を向上させる元素の添加はな
く、高温強度の点では不十分である。特開平7-268522号
では高温強度を改善した提案がなされているが、これは
高温強度を高めるためにWまたはMoを過度に添加してい
るため常温強度が高くなり、冷間加工性が悪くなってい
る。特開昭63-118040号に開示される合金は耐食性およ
び高温強度の点では改善されるもののNbを含有している
ためNiとNbの硬い化合物が析出し、常温強度が高くな
り、冷間加工性の点では不十分であった。これらは点火
プラグ用電極材料として実用化する上で大きな問題とな
る。本発明の目的は、高温強度を向上し、さらに良好な
冷間加工性を兼備する点火プラグ用電極材料を提供する
ことである。
59号および特公平5-40807号では加工性の改善がなされ
ているが、これも高温強度を向上させる元素の添加はな
く、高温強度の点では不十分である。特開平7-268522号
では高温強度を改善した提案がなされているが、これは
高温強度を高めるためにWまたはMoを過度に添加してい
るため常温強度が高くなり、冷間加工性が悪くなってい
る。特開昭63-118040号に開示される合金は耐食性およ
び高温強度の点では改善されるもののNbを含有している
ためNiとNbの硬い化合物が析出し、常温強度が高くな
り、冷間加工性の点では不十分であった。これらは点火
プラグ用電極材料として実用化する上で大きな問題とな
る。本発明の目的は、高温強度を向上し、さらに良好な
冷間加工性を兼備する点火プラグ用電極材料を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述した高温
強度と冷間加工性の両立を目的に、上述したAlloy600が
有する優れた冷間加工性を維持しながら、更に高温強度
を改善することができる化学組成として、種々の元素
と、その添加量について詳細に検討を行なった結果、適
量のMoとWを添加することが最も有効であることを見出
し本発明に到達した。即ち本発明は、質量%でC:0.1%
以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:
20%以下、Ti:1.0%以下(0を含む)、Al:5.0%以下(0を
含む)、MoとWの一種または二種をMo+1/2Wで0.5を超え4.
0未満含み、残部は実質的にNiからなる高温強度および
冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料である。
強度と冷間加工性の両立を目的に、上述したAlloy600が
有する優れた冷間加工性を維持しながら、更に高温強度
を改善することができる化学組成として、種々の元素
と、その添加量について詳細に検討を行なった結果、適
量のMoとWを添加することが最も有効であることを見出
し本発明に到達した。即ち本発明は、質量%でC:0.1%
以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:
20%以下、Ti:1.0%以下(0を含む)、Al:5.0%以下(0を
含む)、MoとWの一種または二種をMo+1/2Wで0.5を超え4.
0未満含み、残部は実質的にNiからなる高温強度および
冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料である。
【0006】好ましくは質量%でMg:0.001〜0.04%、S:
0.01%以下を含有し、且つMg/S≧1を満足する高温強度
および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料であ
り、更に好ましくは質量%でAl:1.0%以下を含む高温強
度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料であ
る。また更に好ましくは質量%で希土類元素0.2%以
下、Y0.5%以下、Hf0.5%以下、Zr1%以下のうち一種ま
たは二種以上を含み、且つそれらの合計が1.0%以下で
ある高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電
極材料である。
0.01%以下を含有し、且つMg/S≧1を満足する高温強度
および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料であ
り、更に好ましくは質量%でAl:1.0%以下を含む高温強
度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料であ
る。また更に好ましくは質量%で希土類元素0.2%以
下、Y0.5%以下、Hf0.5%以下、Zr1%以下のうち一種ま
たは二種以上を含み、且つそれらの合計が1.0%以下で
ある高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電
極材料である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の重要な特徴は、Alloy600
の化学組成をベースに、適量のMoとWを添加すること
で、優れた高温強度と優れた冷間加工性を兼備すること
が可能な最適化学組成にある。以下に各元素の作用につ
いて説明する。CはCr等と結びついて炭化物を形成し、
結晶粒粗大化を防止する作用があり、少量添加が必要で
ある。しかし、過度の添加は多量の炭化物形成により冷
間加工性を低下させ、また基地中のCrの欠乏を招くため
耐酸化性をも低下させる。従って、Cは0.1%以下に限定
する。なお、好ましいCの下限としては、少量の炭化物
を形成するに必要な添加量であれば良く、0.005%を下
限とすると良い。
の化学組成をベースに、適量のMoとWを添加すること
で、優れた高温強度と優れた冷間加工性を兼備すること
が可能な最適化学組成にある。以下に各元素の作用につ
いて説明する。CはCr等と結びついて炭化物を形成し、
結晶粒粗大化を防止する作用があり、少量添加が必要で
ある。しかし、過度の添加は多量の炭化物形成により冷
間加工性を低下させ、また基地中のCrの欠乏を招くため
耐酸化性をも低下させる。従って、Cは0.1%以下に限定
する。なお、好ましいCの下限としては、少量の炭化物
を形成するに必要な添加量であれば良く、0.005%を下
限とすると良い。
【0008】Siは溶湯に対して強力な脱酸作用を発揮す
るほか、鋳造性を向上させる作用がある。また、SiO2は
酸化被膜と母材の中間に形成され、酸化被膜の剥離を阻
止する。これらの理由でSiを添加するが、過度の添加は
耐酸化性の低下を招くためSiの上限は1.0%である。Mn
はSiと同じく脱酸作用を発揮する他、鋳造性を向上させ
る作用があるが、過度の添加は耐酸化性の低下を招くた
めMnの上限は2.0%である。
るほか、鋳造性を向上させる作用がある。また、SiO2は
酸化被膜と母材の中間に形成され、酸化被膜の剥離を阻
止する。これらの理由でSiを添加するが、過度の添加は
耐酸化性の低下を招くためSiの上限は1.0%である。Mn
はSiと同じく脱酸作用を発揮する他、鋳造性を向上させ
る作用があるが、過度の添加は耐酸化性の低下を招くた
めMnの上限は2.0%である。
【0009】Crは基地(マトリックス)中に存在すること
により高温において材料表面にCr酸化被膜を形成し耐酸
化性を向上させる。高温での十分な耐酸化性を付与させ
るためには、下限を12%以上とすることが必要である。
しかし、過度の添加は熱間加工性を低下させ、かつ点火
プラグ用電極がさらされる高温においてCr2O3被膜の剥
離を引き起こし、耐酸化性を低下させる。従って、Crの
添加量は12〜32%、望ましくは12〜20%である。
により高温において材料表面にCr酸化被膜を形成し耐酸
化性を向上させる。高温での十分な耐酸化性を付与させ
るためには、下限を12%以上とすることが必要である。
しかし、過度の添加は熱間加工性を低下させ、かつ点火
プラグ用電極がさらされる高温においてCr2O3被膜の剥
離を引き起こし、耐酸化性を低下させる。従って、Crの
添加量は12〜32%、望ましくは12〜20%である。
【0010】Feは高温強度を低下させるマイナスの作用
を有する元素である一方で、Feは本発明鋼の優れた熱間
加工性に寄与する元素でもあり、製造上必要な元素であ
る。そのため過度の添加は点火プラグ用電極材料を使用
する高温での強度を低下させ、また耐酸化性もやや低下
させるが、熱間加工性をも考慮すると、Feの添加量は20
%以下に制限する。望ましくは12%以下である。また、
好ましいFeの下限としては、2%以上の添加であれば、
優れた熱間加工性を維持・向上に十分寄与することがで
きる。
を有する元素である一方で、Feは本発明鋼の優れた熱間
加工性に寄与する元素でもあり、製造上必要な元素であ
る。そのため過度の添加は点火プラグ用電極材料を使用
する高温での強度を低下させ、また耐酸化性もやや低下
させるが、熱間加工性をも考慮すると、Feの添加量は20
%以下に制限する。望ましくは12%以下である。また、
好ましいFeの下限としては、2%以上の添加であれば、
優れた熱間加工性を維持・向上に十分寄与することがで
きる。
【0011】Ti添加によりCr酸化膜の内側にTiを含んだ
酸化層が生成し、酸化膜の成長が促進され、その結果耐
酸化性が悪くなる。また、点火プラグの電極は溶接によ
り点火プラグ本体に取り付けられるが、Tiはその際の溶
接性を低下させる元素である。この傾向はTiの含有量が
1.0%を超えると顕著になるため、Tiの上限を1.0%以下
とし、望ましくは0.02%以下であり、無添加(0%)でも
良い。
酸化層が生成し、酸化膜の成長が促進され、その結果耐
酸化性が悪くなる。また、点火プラグの電極は溶接によ
り点火プラグ本体に取り付けられるが、Tiはその際の溶
接性を低下させる元素である。この傾向はTiの含有量が
1.0%を超えると顕著になるため、Tiの上限を1.0%以下
とし、望ましくは0.02%以下であり、無添加(0%)でも
良い。
【0012】MoとWは基地(マトリックス)に固溶するこ
とにより高温強度を向上させる元素であり、本発明鋼に
おいて最も重要な元素である。その効果はMo+1/2Wで整
理することができ、高温強度を向上させるためにはその
値は0.5%を超えることが必要であり、0.5%を超えて含
有すれば、800℃の高温引張で200MPa以上の優れた高温
強度が実現できる。しかしながら、過度の添加は冷間加
工性が劣化する。例えば、MoとWとを過剰に添加する
と、冷間でのプラグの曲げ加工が容易ではなくなる場合
がある。この冷間加工性を阻害するのは常温引張で740M
Paを超える範囲であり、この冷間加工性を確実に確保す
るためにMoとWとの上限をMo+1/2Wは4.0%未満とした。
とにより高温強度を向上させる元素であり、本発明鋼に
おいて最も重要な元素である。その効果はMo+1/2Wで整
理することができ、高温強度を向上させるためにはその
値は0.5%を超えることが必要であり、0.5%を超えて含
有すれば、800℃の高温引張で200MPa以上の優れた高温
強度が実現できる。しかしながら、過度の添加は冷間加
工性が劣化する。例えば、MoとWとを過剰に添加する
と、冷間でのプラグの曲げ加工が容易ではなくなる場合
がある。この冷間加工性を阻害するのは常温引張で740M
Paを超える範囲であり、この冷間加工性を確実に確保す
るためにMoとWとの上限をMo+1/2Wは4.0%未満とした。
【0013】SはNi中の固溶限が非常に小さいため微量
含有するだけで結晶粒界にNi3S2が偏析し、NiとNi3S2の
共晶が発生する。この共晶の融点は非常に低く、熱間加
工の温度範囲において非常に脆弱になる。それゆえSは
熱間加工時に粒界を脆弱にし、割れなどを引起こし、熱
間加工性を低下させる元素である。従って、Sの含有量
は0.01%以下である。
含有するだけで結晶粒界にNi3S2が偏析し、NiとNi3S2の
共晶が発生する。この共晶の融点は非常に低く、熱間加
工の温度範囲において非常に脆弱になる。それゆえSは
熱間加工時に粒界を脆弱にし、割れなどを引起こし、熱
間加工性を低下させる元素である。従って、Sの含有量
は0.01%以下である。
【0014】MgはSと結びついて化合物を形成し、Sを除
去または固定する元素である。しかしながら、MgはNi中
の固溶限が小さいため過度に添加すると粒界にNi2Mgを
形成する。このためNiとNi2Mgの共晶が粒界において発
生し、熱間加工時には粒界が脆弱になり、熱間加工性が
低下する。従って、Mgの添加は0.001〜0.04%である。
去または固定する元素である。しかしながら、MgはNi中
の固溶限が小さいため過度に添加すると粒界にNi2Mgを
形成する。このためNiとNi2Mgの共晶が粒界において発
生し、熱間加工時には粒界が脆弱になり、熱間加工性が
低下する。従って、Mgの添加は0.001〜0.04%である。
【0015】また、本発明においては、単にSとMgを上
述の範囲内に調整するのみでは、Sを起因とした割れの
発生を抑制できない場合がある。そこで、Sを確実に除
去または固定するためには、SとMgの比率を特定の範囲
内に制御すると良く、Mg/Sの値が1以上であれば、Mgに
よってSを除去・固定を行うことができ、Sを起因とした
割れの発生を抑制することができる。
述の範囲内に調整するのみでは、Sを起因とした割れの
発生を抑制できない場合がある。そこで、Sを確実に除
去または固定するためには、SとMgの比率を特定の範囲
内に制御すると良く、Mg/Sの値が1以上であれば、Mgに
よってSを除去・固定を行うことができ、Sを起因とした
割れの発生を抑制することができる。
【0016】Alは材料表面に酸化被膜を生成するため主
に耐酸化性向上に有効な元素であり、また、脱酸剤とし
ての効果もある一方で、過度の添加は冷間加工性を低下
させる元素である。そのため、Alの添加量は二つの場合
を想定して、添加量を調整する必要がある。その第一
は、より過酷な環境に曝される点火プラグの場合はCr酸
化物より保護被膜としての効果が大きいAl酸化物を形成
させて、耐酸化性を確保しなければならないため、上限
を5.0%迄の範囲で積極的に添加すると良く、特に好まし
い範囲は2.0〜4.0%の範囲である。一方、第二として、
例えばCr酸化物のみによって、耐酸化性が十分に確保で
きる場合は、冷間加工性を阻害するAlの積極添加は制限
すべきで、1.0%以下の範囲に調整すると良く、無添加(0
%)としても良い。
に耐酸化性向上に有効な元素であり、また、脱酸剤とし
ての効果もある一方で、過度の添加は冷間加工性を低下
させる元素である。そのため、Alの添加量は二つの場合
を想定して、添加量を調整する必要がある。その第一
は、より過酷な環境に曝される点火プラグの場合はCr酸
化物より保護被膜としての効果が大きいAl酸化物を形成
させて、耐酸化性を確保しなければならないため、上限
を5.0%迄の範囲で積極的に添加すると良く、特に好まし
い範囲は2.0〜4.0%の範囲である。一方、第二として、
例えばCr酸化物のみによって、耐酸化性が十分に確保で
きる場合は、冷間加工性を阻害するAlの積極添加は制限
すべきで、1.0%以下の範囲に調整すると良く、無添加(0
%)としても良い。
【0017】希土類元素、Y、Hf及びZrは微量添加する
ことにより耐酸化性が著しく向上する。本発明で添加で
きる種々の希土類元素のうち、好ましい希土類元素はL
a、Ceであり、これは主に酸化膜の密着性を向上させる
ことによると考えられる。しかしながら、過度の添加は
熱間加工性を低下させる。従って、添加量は希土類元素
0.2%以下、Y0.5%以下、Hf0.5%以下、Zr1%以下のう
ち一種または二種の合計を1.0%以下とする。
ことにより耐酸化性が著しく向上する。本発明で添加で
きる種々の希土類元素のうち、好ましい希土類元素はL
a、Ceであり、これは主に酸化膜の密着性を向上させる
ことによると考えられる。しかしながら、過度の添加は
熱間加工性を低下させる。従って、添加量は希土類元素
0.2%以下、Y0.5%以下、Hf0.5%以下、Zr1%以下のう
ち一種または二種の合計を1.0%以下とする。
【0018】なお、以下の元素は下記の範囲内で本発明
鋼に含まれても良い。 Nb≦1.5、P≦0.04、Cu≦0.30、V≦0.5、Ta≦0.5、Ca≦
0.02、Co≦2
鋼に含まれても良い。 Nb≦1.5、P≦0.04、Cu≦0.30、V≦0.5、Ta≦0.5、Ca≦
0.02、Co≦2
【0019】
【実施例】以下に実施例として本発明を詳しく説明す
る。真空溶解により、点火プラグ用電極材料の10kgイン
ゴットを溶製し、このインゴットを30mm角の棒材に鍛
造し、鍛造した棒材に1000℃×1hr 空冷なる溶体化処理
を施した。この時、熱間加工性の評価として、鍛造した
棒材に割れの有無を確認し、後述する表3にその結果を
示す。点火プラグ用電極材料の化学組成を表1に示す。
表1のNo.1〜No.20が本発明鋼であり、表2のNo.21
〜No.29は比較鋼である。なお、特開平7-268522号で示
されるAlloy600の改良材料をNo.27〜29として示す。ま
た、Alloy600相当材料をNo.30として示す。
る。真空溶解により、点火プラグ用電極材料の10kgイン
ゴットを溶製し、このインゴットを30mm角の棒材に鍛
造し、鍛造した棒材に1000℃×1hr 空冷なる溶体化処理
を施した。この時、熱間加工性の評価として、鍛造した
棒材に割れの有無を確認し、後述する表3にその結果を
示す。点火プラグ用電極材料の化学組成を表1に示す。
表1のNo.1〜No.20が本発明鋼であり、表2のNo.21
〜No.29は比較鋼である。なお、特開平7-268522号で示
されるAlloy600の改良材料をNo.27〜29として示す。ま
た、Alloy600相当材料をNo.30として示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】次に、表1及び2に示す材料から常温およ
び800℃における引張試験片と耐酸化試験片を切出しそ
れぞれ試験に供した。冷間加工性の評価として、常温の
引張試験を、ASTM:E8に定められた試験法により引張強
度を求めた。点火プラグ用電極材料としは常温の引張強
さが740MPa以下であれば冷間加工性は良好である。ま
た、高温強度の評価として、800℃の引張試験を、AST
M:E21に定められた試験法により高温引張強度を求め
た。高温強度は、高温引張強さで200MPa以上であれば良
好と言える。
び800℃における引張試験片と耐酸化試験片を切出しそ
れぞれ試験に供した。冷間加工性の評価として、常温の
引張試験を、ASTM:E8に定められた試験法により引張強
度を求めた。点火プラグ用電極材料としは常温の引張強
さが740MPa以下であれば冷間加工性は良好である。ま
た、高温強度の評価として、800℃の引張試験を、AST
M:E21に定められた試験法により高温引張強度を求め
た。高温強度は、高温引張強さで200MPa以上であれば良
好と言える。
【0023】更に、耐酸化試験も実施した。1050℃×10
0h加熱後の平均酸化増量により耐酸化性を評価した。単
位表面積あたりの酸化増量が20g/m2以下であれば耐酸化
性が良好である。一部鍛造割れが発生した材料もあった
が、その材料については、割れの無い部分から各試験片
を採取した。これら、常温、高温引張試験結果、酸化増
量及び上述の熱間加工性(割れ)の結果を表3に纏めて示
す。
0h加熱後の平均酸化増量により耐酸化性を評価した。単
位表面積あたりの酸化増量が20g/m2以下であれば耐酸化
性が良好である。一部鍛造割れが発生した材料もあった
が、その材料については、割れの無い部分から各試験片
を採取した。これら、常温、高温引張試験結果、酸化増
量及び上述の熱間加工性(割れ)の結果を表3に纏めて示
す。
【0024】
【表3】
【0025】表3から、本発明鋼は常温における引張強
さが低く(740MPa以下)冷間加工性が良好であることが分
かる。また、高温(800℃)における引張強さも高く(200M
Pa以上)、高温強度も優れており、優れた冷間加工性
と、優れた熱間強度を兼備する合金であることが分か
る。また、耐酸化性においても本発明材は酸化増量が20
g/m2以下で、良好な特性を示している。
さが低く(740MPa以下)冷間加工性が良好であることが分
かる。また、高温(800℃)における引張強さも高く(200M
Pa以上)、高温強度も優れており、優れた冷間加工性
と、優れた熱間強度を兼備する合金であることが分か
る。また、耐酸化性においても本発明材は酸化増量が20
g/m2以下で、良好な特性を示している。
【0026】一方、比較材において、Cが0.1%より多く
なると(No.21)常温での引張強さが高くなり、冷間加工
性が低下し、また、耐酸化性も劣化させる。Crが12%よ
り少なくなると(No.22)、酸化増量が増加し、耐酸化性
が著しく悪くなる。Crが32%より多くても(No.23)、酸
化膜が剥離し易くなるため酸化増量が増加し、耐酸化性
が悪くなる。Feが20%より多くなると(No.24)、常温引
張強さは低くなるが、800℃での引張強さも著しく低下
してしまい、高温強度が低くなる。耐酸化性もやや落ち
る。Tiが1.0%より多くなると(No.25)、酸化膜の成長を
促進するため酸化増量が多くなり、耐酸化性が悪くな
る。Alが5.0%より多くなると(No.26)常温での引張強さ
が高くなり、冷間加工性が低下する。MoとWが多い特開
平7-268522号で示されるAlloy600の改良材料(No.27〜2
9)は800℃での引張強さが良好なものの常温引張強さが
高くなり、冷間加工性が悪くなっている。Alloy600相当
材料(No.30)は800℃での引張強さが低く、高温強度が不
足している。
なると(No.21)常温での引張強さが高くなり、冷間加工
性が低下し、また、耐酸化性も劣化させる。Crが12%よ
り少なくなると(No.22)、酸化増量が増加し、耐酸化性
が著しく悪くなる。Crが32%より多くても(No.23)、酸
化膜が剥離し易くなるため酸化増量が増加し、耐酸化性
が悪くなる。Feが20%より多くなると(No.24)、常温引
張強さは低くなるが、800℃での引張強さも著しく低下
してしまい、高温強度が低くなる。耐酸化性もやや落ち
る。Tiが1.0%より多くなると(No.25)、酸化膜の成長を
促進するため酸化増量が多くなり、耐酸化性が悪くな
る。Alが5.0%より多くなると(No.26)常温での引張強さ
が高くなり、冷間加工性が低下する。MoとWが多い特開
平7-268522号で示されるAlloy600の改良材料(No.27〜2
9)は800℃での引張強さが良好なものの常温引張強さが
高くなり、冷間加工性が悪くなっている。Alloy600相当
材料(No.30)は800℃での引張強さが低く、高温強度が不
足している。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば点火プラグ用電極材料の
高温強度と冷間加工性を改善することができ、例えば自
動車エンジンのための点火プラグ用電極材料として用い
たときその性能を向上させることができる。
高温強度と冷間加工性を改善することができ、例えば自
動車エンジンのための点火プラグ用電極材料として用い
たときその性能を向上させることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%でC:0.1%以下、Si:1.0%以下、M
n:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Ti:1.0%以
下(0を含む)、Al:5.0%以下(0を含む)、MoとWの一種ま
たは二種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含み、残部
は実質的にNiからなることを特徴とする高温強度および
冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料。 - 【請求項2】 質量%でMg:0.001〜0.04%、S:0.01%以
下を含有し、且つMg/S≧1を満足することを特徴とする
請求項1に記載の高温強度および冷間加工性に優れた点
火プラグ用電極材料。 - 【請求項3】 質量%でAl:1.0%以下を含むことを特徴
とする請求項1または2に記載の高温強度および冷間加
工性に優れた点火プラグ用電極材料。 - 【請求項4】 質量%で希土類元素0.2%以下、Y:0.5%
以下、Hf:0.5%以下、Zr:1%以下のうち一種または二種
以上を含み、且つそれらの合計が1.0%以下であること
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の高温強度
および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000319694A JP2002129268A (ja) | 2000-10-19 | 2000-10-19 | 高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000319694A JP2002129268A (ja) | 2000-10-19 | 2000-10-19 | 高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002129268A true JP2002129268A (ja) | 2002-05-09 |
Family
ID=18798110
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000319694A Pending JP2002129268A (ja) | 2000-10-19 | 2000-10-19 | 高温強度および冷間加工性に優れた点火プラグ用電極材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002129268A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1710878A1 (en) * | 2004-01-27 | 2006-10-11 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Spark plug |
JP2007165291A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-28 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 内燃機関用スパークプラグ |
US7859177B2 (en) | 2005-11-16 | 2010-12-28 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Spark plug for internal-combustion engines |
JP2014035942A (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-24 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 電極材料、スパークプラグ用電極及びスパークプラグ |
US9077158B2 (en) | 2012-09-28 | 2015-07-07 | Denso Corporation | Spark plug for internal combustion engine |
JP2018010819A (ja) * | 2016-07-15 | 2018-01-18 | 日本特殊陶業株式会社 | 点火プラグ |
-
2000
- 2000-10-19 JP JP2000319694A patent/JP2002129268A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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