JPH09287041A

JPH09287041A - 点火プラグ用合金

Info

Publication number: JPH09287041A
Application number: JP9996296A
Authority: JP
Inventors: Kagehiro Kageyama; 景弘影山; Takehiro Oono; 丈博大野
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1996-04-22
Filing date: 1996-04-22
Publication date: 1997-11-04

Abstract

(57)【要約】【課題】内燃機関の高負荷化、高性能化に対応して、
耐酸化性、耐食性に優れ、かつ熱伝導性に優れた特性を
有する点火プラグ用合金を提供する。【解決手段】本発明は、重量比でＣ０．１％以下、
Ｓｉ０．５〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ｃｒ３％を超
え６％以下を含み、３％以下のＮｂと３％以下のＭｏの
１種または２種を合計で０．５％以上含有し、残部がＮ
ｉからなる組成を基本とし、望ましくは上記組成にＹと
希土類元素の１種または２種を合計で０．００５〜０．
１％、およびまたはＡｌ１％以下を添加することがで
きる点火プラグ用合金。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の点火プラ
グ用電極に用いられる合金材料に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の内燃機関に用いられる点火プ
ラグ用電極材としては、従来種々の材料が用いられてお
り、耐酸化性、加工性に優れたＮｉ基合金が広く使用さ
れている。上記のＮｉ基合金には、例えば特開昭６２−
５０４３０号のように、特に耐食性を高めるために、Ｃ
ｒを１４％以上含有する高Ｃｒ系プラグ用電極材料が提
案されている。一方、特開昭６３−１８０３３号、特開
昭６３−８９６３８号、特開平２−１６３３３５号など
のように、Ｃｒを５％以下の範囲で含有させた低Ｃｒ系
プラグ用電極材料等が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記高Ｃｒ系Ｎｉ基の
プラグ用電極材料は、耐食性と高温強度の優れたＮｉ−
１６％Ｃｒ−８％Ｆｅ合金（ＪＩＳＮＣＦ６００，商
標名Ｉｎｃｏｎｅｌ６００相当）やその改良合金であ
るが、Ｃｒの含有量が多く熱伝導性が劣るため、点火プ
ラグ先端部の耐熱性および火花消耗の点で必ずしも十分
とはいえない問題がある。他方Ｃｒを５％以下の範囲で
添加したＮｉ基合金は、耐酸化性などの低下を補うため
にＳｉ、Ｍｎ、Ａｌ等の元素を１種または２種以上添加
し、さらにＹや希土類元素を添加し、耐酸化性をより向
上させた合金で、通常の点火プラグ使用条件においては
良好な特性を示す。

【０００４】しかし、最近の内燃機関の高性能化および
燃焼効率向上による高負荷化により、点火プラグ用合金
に対する環境は更に苛酷になっており、必ずしも満足で
きる特性が得られなくなってきた。本発明の目的は、上
記事情に鑑みて内燃機関の高負荷化、高性能化に対応し
て、耐酸化性、耐食性に優れ、かつ熱伝導性に優れた特
性を有する点火プラグ用合金を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、点火プラグ
用合金の耐酸化性を向上させるためには、Ｓｉ、Ｍｎ、
Ｃｒ、Ａｌ等の元素が有効であるが、逆にこれら元素の
添加は一般に熱伝導率を大きく低下させるので、この相
反する耐酸化性と高い熱伝導率とを同時に両立させる組
成の組合せについて検討した。その結果、Ａｌを低く抑
えてＣｒを適量添加したＮｉ基合金を基本組成とし、こ
の基本組成に適量のＮｂとＭｏを単独または複合して添
加することにより、耐酸化性を著しく向上させることが
でき、しかも熱伝導率の低下はわずかであることを見出
した。

【０００６】すなわち本発明は、重量比でＣ０．１％
以下、Ｓｉ０．５〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ｃｒ
３％を超え６％以下を含み、かつ３％以下のＮｂ、３％
以下のＭｏの１種または２種を合計で０．５％以上含有
し、残部がＮｉおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする点火プラグ用合金である。第２発明および第３
発明は上記点火プラグ用合金の耐酸化性をより向上させ
る組成であり、重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５
〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ｃｒ３％を超え６％以下
を含み、３％以下のＮｂと３％以下のＭｏの１種または
２種を合計で０．５％以上含み、さらにＹと希土類元素
の１種または２種を合計で０．００５〜０．１％含有
し、残部がＮｉおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする点火プラグ用合金、および重量比でＣ０．１
％以下、Ｓｉ０．５〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ａｌ
１％以下、Ｃｒ３％を超え６％以下を含み、３％以下
のＮｂと３％以下のＭｏの１種または２種を合計で０．
５％以上含有し、残部がＮｉおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする点火プラグ用合金である。

【０００７】第４発明は、さらに耐酸化性に優れた組成
であり、重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５〜３
％、Ｍｎ０．５〜３％、Ａｌ１％以下、Ｃｒ３％を
超え６％以下を含み、３％以下のＮｂと３％以下のＭｏ
の１種または２種を合計で０．５％以上含み、さらにＹ
と希土類元素の１種または２種を合計で０．００５〜
０．１％含有し、残部がＮｉおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする点火プラグ用合金である。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に各元素の作用について説明
する。Ｃは、加工性を良好にするには低い方が良く、重
量比で０．１％を超えると焼鈍後の硬さが上昇し、冷間
加工性が低下するため０．１％以下に限定する。Ｃの望
ましい範囲は０．０５％以下である。Ｓｉは、耐酸化性
向上に有効な元素であり、その効果を発揮させるには
０．５％以上含有させる。しかし、３％を超えて添加す
ると加工性、熱伝導性が低下するためＳｉの範囲を０．
５〜３％とする。Ｓｉの望ましい範囲は１〜２．５％で
ある。

【０００９】Ｍｎも、適量添加により耐酸化性を向上さ
せる元素であり、０．５％未満ではその効果がないので
０．５％以上含有させることが必要である。しかし、３
％を超えると逆に耐酸化性が低下するのでＭｎの範囲を
０．５〜３％とする。Ｍｎの望ましい範囲は１〜２．５
％である。Ｃｒは、耐食性、耐酸化性を高めるために必
要な元素であり、３％以下ではその効果が乏しく、また
６％を超えると熱伝導性が低下し、さらに加工性が低下
するので、その範囲を３％を超え６％以下とする。Ｃｒ
の望ましい範囲は３．３〜５％である。

【００１０】Ｎｂ、Ｍｏの１種または２種の添加は、本
発明合金に必須の元素であり、いずれの元素ともに熱伝
導率をあまり低下させないで耐酸化性を大きく向上させ
る効果があり、本発明合金の特徴の一つである。特にＮ
ｂは耐酸化性向上の効果が大きく、またＭｏはＮｂほど
の効果は少ないが、いずれも本合金系の母材表面にＳｉ
やＣｒとともに緻密な酸化物を形成して、これが保護皮
膜となって耐酸化性向上に寄与する。なお、ＮｂとＭｏ
は、共に添加することにより、さらに耐酸化性を向上さ
せることができる。上記の効果を得るには、ＮｂとＭｏ
の１種または２種を合計で０．５％以上含有させること
が必要である。しかし、ＮｂとＭｏのうちのいずれかが
３％を超えると加工性が低下するだけでなく、熱伝導性
も低下するので３％以下のＮｂと３％以下のＭｏの１種
または２種を合計で０．５％以上とする。望ましくは２
％以下のＮｂと２％以下のＭｏの１種または２種を合計
で１％を超えて添加するのがよい。

【００１１】前述したように、点火プラグ用の低Ｃｒ系
Ｎｉ基合金の場合、耐酸化性を高めるために従来合金に
は通常５％以下のＡｌを添加しているが、点火プラグ電
極材は溶接を必要とし、Ａｌはその溶接性を低下させる
ために、またＡｌは適量以上含有することによって内部
組織の粒界酸化を促進するために、本発明の点火プラグ
用合金においては必ずしも添加する必要はない。しか
し、上記の耐酸化性をより高める目的でＡｌを添加する
場合においても１％以下であることが望ましい。さらに
Ａｌは少量含有しても熱伝導率が著しく低下するため
に、脱酸元素として添加する場合でも、その上限は１％
に留める必要がある。また、上記の本発明合金組成に必
要に応じてＹと、例えばＬａ、Ｃｅなどの希土類元素の
１種または２種を添加することが望ましい。Ｙと希土類
元素は耐酸化性を向上させるために添加するが、その効
果を引き出すためには０．００５％以上添加することが
望ましい。しかし、Ｙと希土類元素の１種または２種を
添加する場合においても、合計で０．１％を超えると溶
接性が低下するために好ましくない。

【００１２】なお、本発明におけるＮｉ基合金には重量
比で以下に示す範囲の元素を添加することができる。Ｂ：０．０１５％以下Ｚｒ：０．１％以下Ｃａ：０．２％以下Ｍｇ：０．０２％以下

【００１３】ここで各元素の効果は以下の通りである。
すなわち、ＢおよびＺｒは粒界強化元素として高温の強
度、延性を高め、ＭｇおよびＣａは脱酸、脱硫元素とし
て合金の清浄度を高め、高温の延性を高める。また３％
以下のＦｅは合金の性質に特に影響を与えないので共有
してもよい。

【００１４】

【実施例】本発明におけるＮｉ基合金の実施例を具体的
に説明する。表１に示す組成合金を真空溶解炉によって
溶製し、ついで熱間圧延を行った。その後、７９０℃×
１Ｈｒの条件で焼鈍を行い、以下に示す各試験の試料と
した。このうち、本発明合金はＮｏ．１〜１６であり、
比較合金をＮｏ．２１〜２４に示す。また、Ｎｏ．３１
は従来合金のＩｎｃｏｎｅｌ６００相当、Ｎｏ．３２は
特開昭６３−１８０３３号に記載の従来合金、Ｎｏ．３
３は特開平２−１６３３３５号に記載の従来合金であ
る。

【００１５】

【表１】

【００１６】表２に焼鈍後の硬さ、熱伝導率、耐酸化試
験後の酸化増量，減量を示す。耐酸化試験は試料を８０
０℃および９００℃の大気中に１００ｈｒ暴露して行っ
た。また、熱伝導率は常温における値を示したものであ
る。表２より、比較合金Ｎｏ．２１、２２はＳｉ、Ｍ
ｎ、Ｃｒのみを少量含有した合金であり、耐酸化性に劣
る。Ｎｏ．２３はＡｌを含有するため良好な耐酸化性を
示すがＡｌが１％を超えているために粒界酸化が起こり
好ましくない。Ｎｏ．２４はＮｂは含むもののＣｒが低
いために耐酸化性に劣る。従来合金Ｎｏ．３１(Inco60
0)はＣｒを多く含有し、耐酸化性に優れるものの熱伝導
率が低い。Ｎｏ．３２、３３は熱伝導率は高い値を示す
もののＮｂおよびまたはＭｏを含まないために耐酸化性
が悪い。このように本発明合金は比較合金、従来合金と
比較して、熱伝導率の低下が少なく、耐酸化性に優れて
おり、点火プラグ用電極材として優れた特性を有してい
ることがわかる。

【００１７】

【表２】

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明合金は熱伝導率に
優れ、合わせて耐酸化性が良好なことから点火プラグ用
電極材として優れた特性を有し、また従来合金と比較し
ても焼鈍後の硬さがほぼ同等であることから、冷間加工
性も遜色はなく、エンジンの高性能化に大きく寄与する
ものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５
〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ｃｒ３％を超え６％以下
を含み、３％以下のＮｂと３％以下のＭｏの１種または
２種を合計で０．５％以上含有し、残部がＮｉおよび不
可避的不純物からなることを特徴とする点火プラグ用合
金。
【請求項２】重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５
〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ｃｒ３％を超え６％以下
を含み、３％以下のＮｂと３％以下のＭｏの１種または
２種を合計で０．５％以上含み、さらにＹと希土類元素
の１種または２種を合計で０．００５〜０．１％含有
し、残部がＮｉおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする点火プラグ用合金。
【請求項３】重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５
〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ａｌ１％以下、Ｃｒ３
％を超え６％以下を含み、３％以下のＮｂと３％以下の
Ｍｏの１種または２種を合計で０．５％以上含有し、残
部がＮｉおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る点火プラグ用合金。
【請求項４】重量比でＣ０．１％以下、Ｓｉ０．５
〜３％、Ｍｎ０．５〜３％、Ａｌ１％以下、Ｃｒ３
％を超え６％以下を含み、３％以下のＮｂと３％以下の
Ｍｏの１種または２種を合計で０．５％以上含み、さら
にＹと希土類元素の１種または２種を合計で０．００５
〜０．１％含有し、残部がＮｉおよび不可避的不純物か
らなることを特徴とする点火プラグ用合金。