JP2014035942A - 電極材料、スパークプラグ用電極及びスパークプラグ - Google Patents

電極材料、スパークプラグ用電極及びスパークプラグ Download PDF

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Abstract

【課題】耐高温酸化性、耐火花消耗性、及び耐発汗性に優れるスパークプラグ用電極の構成材料に適した電極材料、スパークプラグ用電極、及びスパークプラグを提供する。
【解決手段】スパークプラグ用電極に利用される電極材料であり、質量%で、Al及びSiの少なくとも一方を0.01〜0.4%、かつ合計で0.5%未満、Crを0.05〜0.8%及びMnを0.05〜0.8%、かつ合計で1.5%以下、Yを0.3〜1.0%含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。この電極材料は、(1)Yを含む金属間化合物が存在したり、Siなどの酸化物層が形成されることで、電極の酸化を抑制して耐酸化性に優れる、(2)SiやAlと共にCr,Mnを特定の範囲で含有することで、Siなどの過剰添加による上記酸化物層の膨張などを抑制すると共に耐発汗性に優れる、(3)添加元素を特定の範囲で含むことで、比抵抗の増大を抑制して耐火花消耗性に優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、内燃機関のスパークプラグ(点火プラグ)の電極の構成材料に利用される電極材料、この電極材料からなる電極、及びこの電極を具えるスパークプラグに関するものである。特に、高温での耐酸化性、耐火花消耗性、及び耐発汗性に優れるスパークプラグ用電極が得られる電極材料に関するものである。
従来、自動車のガソリンエンジンなどの内燃機関の点火には、スパークプラグが用いられている。スパークプラグは、代表的には、棒状の中心電極と、中心電極の端面に対向するように離間して配置された接地電極とを具え、中心電極と接地電極との間で火花放電を行い、この放電により両電極間に流入する燃料混合気体に点火する。
上記電極材料として、特許文献1では、Ndを含有するニッケル合金を開示している。
特開2009-016278号公報
近年、環境保全対策などのために自動車などの燃費を向上することが望まれている。燃費を向上するために、例えば、内燃機関における燃焼温度を高めることが挙げられる。しかし、燃焼温度を更に高めることで、スパークプラグの電極は、従来よりも更に高温環境(例えば、従来の一般的な自動車のガソリンエンジンにおいて、使用時の最高到達温度(900〜1000℃程度)+100℃程度といった高温環境)で使用されることになる。従って、スパークプラグの電極には、更なる高温環境であっても、十分に使用可能な特性、具体的には、耐酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性を具えることが望まれる。
特許文献1に開示されるスパークプラグの電極は、添加元素としてNdやYを含み、NdやYとNiとの金属間化合物を存在させることで、酸化による内部腐食を生じ難くしたり、添加元素としてTiやSiなどの第二元素を含み、電極の表層に第二元素の酸化物を生成させることで、耐酸化性を高めている。また、上記第二元素の含有量を1重量%未満として比抵抗を低くし電極の熱伝導率を向上することで、耐火花消耗性を高めている。しかし、本発明者らが調べたところ、上述のように更なる高温環境での使用に対しては、この電極でも耐酸化性、耐火花消耗性が十分であるとは言えない。
また、特許文献1に記載されるスパークプラグの電極のように、Niの含有量が非常に高いニッケル合金からなる電極では、電極表面にNiを含む粒が形成される、所謂発汗という現象が生じ得る。特許文献1では、この発汗現象に対して十分に検討されていない。
上記発汗粒は、母相のNiと、ガソリンなどの雰囲気中の元素(Ca,Pなど)とが反応して形成されたNi化合物が電極表面、特に、電極において火花放電が行われる部分(主として中心電極及び接地電極において互いに対向する面)の周囲に付着し、この付着箇所の融点が部分的に低下して母相が溶融することで更に大きくなると考えられる。このような発汗粒が形成され続けると、エンジンの点火状態が不安定になったり、最悪の場合、発汗粒が脱落してエンジンを破損させる恐れがある。上述のように更なる高温環境下では、母相が溶融し易くなることから、従来の電極よりも耐発汗性を向上することが望まれる。
そこで、本発明の目的は、耐高温酸化性、耐火花消耗性、及び耐発汗性に優れるスパークプラグの電極が得られる電極材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、耐高温酸化性、耐火花消耗性、及び耐発汗性に優れるスパークプラグ用電極、及びこの電極を具えるスパークプラグを提供することにある。
本発明者らが検討した結果、Yを特定の範囲で含有すると共に、SiやAlを比較的少なく含有し、かつCr及びMnを若干量含有することで、耐高温酸化性、耐火花消耗性、及び耐発汗性に優れる電極材料が得られる、との知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明の電極材料は、スパークプラグの電極に用いられるものであり、質量%で、Al及びSiの少なくとも一方を0.01%以上0.4%以下、かつ合計で0.5%未満、Crを0.05%以上0.8%以下、Mnを0.05%以上0.8%以下、かつCrとMnとを合計で1.5%以下、Yを0.3%以上1.0%以下含有し、残部がNi及び不可避不純物からなるニッケル合金により構成されている。
本発明電極材料は、上述のように特定の元素を特定の範囲で含有するニッケル合金から構成されることで、従来の電極材料に比較して、更なる高温環境で使用される電極に用いられた場合であっても、酸化腐食され難く、また、火花による消耗を抑制することができる。かつ、本発明電極材料は、上記電極に用いられた場合であっても、従来の電極材料と比較して、発汗粒が生じ難く、耐発汗性にも優れる。
以下、本発明をより詳しく説明する。なお、元素の含有量は、断りが無い限り質量%とする。
[電極材料]
(組成)
《主成分》
本発明電極材料は、Yに加え、Al及びSiの少なくとも一方、そして、Cr及びMnを添加元素とし、Niの含有量が97質量%以上のニッケル合金から構成される。Niを主成分とすることで、塑性加工性に優れる上に、比抵抗を小さくでき、火花による消耗を低減することができる。
《Y》
本発明電極材料に含有するYは、主として、母相のNiとの金属間化合物として存在し、極一部は、Niに固溶して存在する。ここで、スパークプラグの電極は、900〜1000℃程度といった高温環境で使用されることから、使用時、当該電極を構成する結晶粒が粒成長して粗大になる場合がある。これに対し、本発明電極材料は、上記金属間化合物の所謂ピン止め効果により、結晶粒の粒成長を抑制することができ、当該電極材料からなる電極が高温環境下で使用されても、結晶粒が微細な状態を維持することができる。そのため、外部からの酸素が結晶粒界を伝って電極の内部に侵入しようとしても、粒界が長いことで、その侵入度合い(深度)が深くなることを抑制することができる。従って、本発明電極材料は、特に、その内部まで酸化して腐食することを低減でき、耐酸化性に優れる。この耐酸化性の効果を十分に得るためには、Yを0.3%以上含有する必要がある。Yが多いほど、結晶粒を微細に維持することができ、耐酸化性に優れる傾向にあるが、多過ぎると、比抵抗が大きくなったり、塑性加工性の低下を招き、所定の形状の電極に加工し難くなったりするため、Yの上限を1.0%以下とする。また、Yは、Ndと比較して水素を吸蔵し難い。従って、製造工程において水素を含有する雰囲気で熱処理を行った場合であっても、本発明電極材料は、水素脆化が生じ難い。Yのより好ましい含有量は、0.3%以上0.6%以下である。
《Al,Si》
本発明電極材料は、Al及びSiの少なくとも一方の元素を含有することで、電極材料の表面において、AlやSiが酸化物を形成して、電極材料の内部に酸素が侵入することを低減することができ、上述のように内部酸化を抑制して、耐酸化性を高められる。また、AlやSiを後述するCr及びMnと同時に含有することで、電極材料は、耐発汗性を高められる。このような効果を十分に得るためには、Al及びSiの少なくとも一方を0.01%以上含有する必要があり、特に、0.1%以上、更に0.2%以上含有することが好ましい。AlやSiが多いほど、上記酸化物が形成され易く、耐酸化性を高められたり、耐発汗性を高められるが、多過ぎると、形成された酸化物層が膨張して亀裂(クラック)が入ったり破裂したり、酸化物層が剥離したりするため、一つの元素の上限を0.4%以下とし、合計を0.5%未満とする。また、AlとSiとは、ほぼ同等の酸化抑制効果が得られるが、AlよりもSiの方が酸化抑制効果が若干高い傾向にある。従って、少量の添加で酸化抑制効果を発揮させる場合には、AlやSi及びAlの双方を含有するよりも、Siのみを含有する方がより好ましい。また、Siの含有量は、0.1%以上0.4%以下が好ましい。
《Cr,Mn》
そして、本発明電極材料では、上記AlやSiと共にCr及びMnの双方を含有していることを特徴の一つとする。本発明者らが調べたところ、AlやSiと共にCr及びMnを含有することで、発汗粒が生じ難い、との知見を得た。この理由は、AlやSiと共にCrやMnがガソリン中に含まれるCaやPなどといった雰囲気中の元素と反応することで、母相のNiとCaやPなどとが反応することを抑制し、NiとCaなどとの化合物が電極材料に付着することを低減できるため、と考えられる。特に、Crは、Mnよりも発汗粒の発生を抑制する効果が高い傾向にある。また、AlやSiを多く添加すると、上述のように発汗を抑制できるものの、酸化物層にクラックが生じたり、酸化物層が剥離したりし易くなるのに対し、AlやSiを少なめにしてCrやMnを若干含有すると上記酸化物層の膨張などの問題が生じ難く、耐発汗性に優れる、との知見を得た。更に、CrやMnも耐酸化性を高める効果がある。これらのことから、本発明電極材料は、Cr及びMnを含有する。上記効果を十分に得るためには、Cr及びMnのいずれも0.05%以上含有する必要があり、CrやMnの含有量が多いほど、耐発汗性の向上に効果がある。しかし、CrやMnが多過ぎると、比抵抗が大きくなり過ぎるため、いずれも上限を0.8%以下、かつ合計を1.5%以下とする。特に、Crの含有量は、0.2%以上0.8%以下、Mnの含有量は0.1%以上0.3%以下が好ましい。また、Mnを0.2%程度含有すると、内部酸化を効果的に抑制することができて好ましい。
特に、Crが多いほど、発汗を抑制する効果が高い。従って、MnよりもCrを多く含むと、耐酸化性を向上できると共に、更に優れた耐発汗性を有することができる。即ち、Cr及びMnの含有量がCr>Mnを満たし、特に、Mnに対するCrの質量割合Cr/Mnが2以上を満たすことが好ましい。
上記電極材料の添加元素の含有量は、原料として添加する元素の量を調整することで、上記特定の範囲にすることができる。なお、上記添加元素の他、高温強度が望まれる場合、Cを微量に含有することを許容する。但し、Cが多過ぎると、加工性が悪くなる傾向にあるため、Cの含有量は0.05質量%以下が好ましい。
[比抵抗]
本発明電極材料は、上記特定の範囲で特定の元素を含有することで、比抵抗が小さく、火花による消耗が少ない。上記添加元素の含有量にもよるが、本発明電極材料は、常温(代表的には20℃)での比抵抗が20μΩ・cm以下を満たすことができる。比抵抗は、上述のように主として添加元素の含有量により変化し、添加元素の含有量が小さいほど、比抵抗が小さくなる傾向にある。
[耐酸化性]
本発明電極材料は、高温環境下に長時間曝した場合であっても、結晶粒が微細な組織を維持することができる。具体的には、上記電極材料を1000℃×72時間加熱した後、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下を満たすことができる。「1000℃×72時間」との条件は、従来の一般的な自動車のガソリンエンジンにおける使用時の最高到達温度と同等程度の温度条件であり、かつ加熱時間が長いため、非常に厳しい条件を模したものである。このような厳しい条件の加熱を行っても電極材料を構成する結晶粒が小さければ小さいほど、上述のように電極材料の内部への酸素の侵入を抑制することができ、優れた耐酸化性を有する、と評価することができる。そこで、本発明では、耐酸化性の評価の指標として、「1000℃×72時間加熱後の平均結晶粒径」を採用する。上記添加元素の含有量により上記平均結晶粒径を変化させることができ、例えば、200μm以下、特に100μm以下を満たす電極材料とすることができる。
[形状]
本発明電極材料は、代表的には、伸線加工により形成された線材が挙げられる。断面形状は、矩形状、円形状など、種々の形状とすることができる。
[製造方法]
本発明電極材料は、代表的には、溶解→鋳造→熱間圧延→冷間伸線及び熱処理により得られる。また、上述のようにYを含有する金属間化合物を電極材料中に存在させるには、例えば、溶解時や鋳造時の雰囲気を酸素濃度が低くなるように制御することが挙げられる。
冷間伸線後、最終熱処理(軟化処理)を行う場合、非酸化性雰囲気(例えば、水素雰囲気、窒素雰囲気)下で700〜1000℃、特に、800〜950℃程度で行うことが好ましい。このような軟化処理を行うことで、電極材料を所定の電極形状に加工し易かったり、当該軟化処理以前の加工による加工歪みを除去して、電極材料の比抵抗を小さくすることができる。
[スパークプラグ用電極]
本発明電極材料は、スパークプラグに具える中心電極及び接地電極のいずれの構成材料にも好適に利用することができる。上記接地電極は、中心電極と比較して、自動車のエンジンなどの内燃機関において、燃焼室の中心に近い位置に配置される傾向にある。本発明電極材料は、上述のように高温での特性に優れることから、特に、上記接地電極の構成材料に好適に利用することができる。本発明電極は、上記電極材料を適宜な長さに切断したり、更に所定の形状に成形したりすることで製造することができる。
[スパークプラグ]
本発明電極は、自動車のエンジンといった内燃機関において、点火に利用するスパークプラグの構成部材として好適に利用することができる。本発明スパークプラグは、代表的には、絶縁碍子と、この絶縁碍子を保持する主体金具と、上記絶縁碍子内に保持され、当該絶縁碍子の先端から一部が突出された中心電極と、上記主体金具の先端側の面に一端を溶接され、他端が中心電極の端面に対向するように設けられた接地電極と、上記絶縁碍子の後端に設けられた端子金具とを具えるものが挙げられる。公知のスパークプラグの電極に代えて、本発明電極を利用することができる。
本発明電極材料により構成される本発明電極、及び電極を具える本発明スパークプラグは、耐高温酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性に優れる。
図1は、酸化物層の形成状態を説明するための電極材料の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
ニッケル合金からなる線材を複数作製し、各線材から一般的な自動車のガソリンエンジンの点火に利用されるスパークプラグ用電極を作製して、その特性を評価した。
各線材は、以下のように作製した。通常の真空溶解炉を用いて、表1に示す組成(単位は質量%)のニッケル合金の溶湯を作製した。溶湯の原料には、市販の純Ni(99.0質量%以上Ni)、各添加元素の粒を用いた。また、不純物や介在物などを低減、除去するために溶湯の精錬を行った。溶湯温度を適宜調整して真空鋳造により鋳塊(2ton)を得た。試料No.120,127は、上記精錬具合を調整することで、C(炭素)の含有量が表1に示す量となるようにし、その他の試料は、実質的にCが含有されないように上記精錬具合を調整した。また、酸素濃度が低くなるように雰囲気を管理して、上記溶解、鋳造を行った。
得られた鋳塊を再加熱して鍛造加工を施し、約150mm角のビレットを得た。このビレットに熱間圧延を施し、線径5.5mmΦの圧延線材を得た。この圧延線材に冷間伸線及び熱処理を組み合わせて施し、線径2.5mmΦ、線径4.2mmΦの冷間伸線材を得た。線径2.5mmΦの冷間伸線材には、圧延加工を施して、1.5mm2.8mm平角線状となるように変形し、平角線材を得た。得られた平角線材、及び線径4.2mmΦの冷間伸線材に最終熱処理(軟化処理、温度:800〜1000℃、非酸化性雰囲気(窒素雰囲気または水素雰囲気)、連続軟化炉使用)を施して、軟材(電極材料)を得た。得られた各軟材を適宜な長さに切断した後、所定の形状に適宜成形して、一般的な普通乗用車に用いられているスパークプラグ用接地電極(1.5mm2.8mmの平角線を使用)、スパークプラグ用中心電極(線径4.2mmΦを使用)を作製し、試料とした。
得られた各試料の電極の組成をICP発光分光分析装置を用いて調べたところ、表1に示す組成と同様であり、残部は、Ni及び不可避不純物であった。また、いずれの試料の電極もNiの含有量が95質量%以上であった(試料No.1〜8は97質量%以上Ni)。組成の分析は、上記ICP発光分光分析法による他、原子吸光光度法などでも行える。また、各試料の電極の炭素量を高周波燃焼赤外線吸収法により測定したところ、表1に示す組成と同様であった。表1において「-(ハイフン)」は、検出限界未満であり、実質的に含有されていないことを示す。更に、Yを含む各試料をSEM及びEDXによる元素分析、又はEPMAを用いて調べたところ、YとNiとの金属間化合物が存在していることが確認できた。
Figure 2014035942
《比抵抗》
上記電極の作製に利用した各軟材の比抵抗を測定した。その結果を表2に示す。比抵抗(常温)は、電気抵抗測定装置を用いて、四端子法により測定した(評点間距離GL=100mm)。
《耐酸化性》
作製した上記各試料について、耐酸化性を評価した。その結果を表2に示す。耐酸化性は、上述した1.5mm×2.8mmの平角の軟材により作製した接地電極と、線径4.2mmΦの軟材により作製した中心電極とを具えるスパークプラグを試験用のエンジン(排気量2000cc、6気筒)に取り付け、スロットル全開で1分間、アイドル状態で1分間の運転を100時間繰り返す耐久試験を行った。上記耐久試験後、接地電極の断面写真を撮影し、当該電極の酸化している領域(酸化物層)の厚さを測定した。
酸化物層は、図1に示すように、最表面に形成されて、添加元素の含有量が高く、Niが少ない外側酸化物層と、その内部に形成されて、Niが多い内部酸化物層との二層構造に形成される。そこで、内部酸化物層は、上記電極の表面から内部酸化物層と外側酸化物層との境界までの平均厚さ、外側酸化物層は、上記境界から電極の最表面までの平均厚さを測定した。電極内部への酸素の侵入度合いが少ないほど、内部酸化物層が薄くなり、内部酸化し難いと言える。なお、図1に示す光学顕微鏡写真は、試料No.2の電極の作製に利用した軟材に、1000℃×72時間の熱処理を施して作製した、説明用のサンプルである。
そして、耐酸化性は、上記外側酸化物層及び内部酸化物層の合計厚さが200μm以上の場合、或いは酸化物層の膨張により、酸化物層が内部破裂したり、酸化物層にクラックが顕著に発生した場合、耐高温酸化性が従来品と同等程度であったとして×、上記合計厚さが200μm未満であり、かつ上記内部破裂やクラックが軽微であったり、上記内部破裂やクラックがほとんど無い場合は良好であるとして○、上記合計厚さが180μm未満で、上記内部破裂やクラックがほとんど無い場合を特に良好であるとして◎と評価した。
《耐火花消耗性、耐発汗性》
作製した上記各試料について、耐火花消耗性、耐発汗性を評価した。その結果を表2に示す。耐火花消耗性及び耐発汗性は、上述した1.5mm×2.8mmの平角の軟材により作製した接地電極と、線径4.2mmΦの軟材により作製した中心電極とを具えるスパークプラグを用意し、通常の燃焼温度(900〜1000℃程度)よりも100℃程度燃焼温度が高くなるように調整された過酷試験用のエンジン(排気量2800cc、6気筒)に上記スパープラグを取り付け、400時間の耐久走行試験(150km/hで約6万kmの走行)を行った。上記耐久走行試験後、電極の表面状態を拡大鏡で観察して、発汗粒の発生状態を観察すると共に、中心電極と接地電極とにおいて火花放電に利用されている部分の間隙(以下、火花放電間隙と呼ぶ)の大きさの増加量(設計初期値からの増加量)を測定した。
耐火花消耗性は、上記火花放電間隙の大きさの増加量が0.5mm以上の場合を×、0.2mm以上0.5mm未満の場合を○、0.2mm未満の場合を◎と評価した。上記火花放電間隙は、間隙ゲージなどを利用することで測定することができる。
耐発汗性は、発汗粒が著しく発生しているもの、即ち、大きな粒が存在して、電極が大きく膨れていたり、全面的に発汗粒が発生している場合を×、発汗粒が発生し、電極表面の凹凸が大きな場合を従来材並みとして△、発汗粒の発生が軽微である場合を○、発汗粒の発生がほとんど見られない場合を◎と評価した。
《結晶粒径》
上記電極の作製に利用した各軟材を大気炉で1000℃×72時間加熱した後、この加熱後の各軟材の断面写真を光学顕微鏡で撮影し(倍率:50〜200倍)、この顕微鏡像に対して、交線法(ライン法)を利用して平均結晶粒径を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2014035942
表2に示すように、Y,Al及びSiの少なくとも一方,Cr及びMnを特定の範囲で含有する電極材料(ここでは軟材)から製造した電極を具える試料No.1〜8は、高温であっても耐酸化性に優れることが分かる。具体的には、試料No.1〜8は、電極の表面側及び内部の双方において概ね同程度の厚さの酸化物層が存在しており、内部酸化物層が極端に厚くなっていない。この理由の一つは、AlやSiを少なめに含有すると共に、Cr及びMnを適量含有することで、内部酸化が抑制できたためであると考えられる。特に、試料No.1〜8のうち、Crを多めに含む試料は、内部酸化を抑制する効果が高い傾向にあり、AlよりもSiを含有する試料の方が耐酸化性に優れる傾向にあることが分かる。また、試料No.1〜8は、高温に曝されても結晶粒が微細な組織を維持することができ、このことからも優れた耐酸化性を有することができたと考えられる。
更に、試料No.1〜8はいずれも、比抵抗が20μΩ・cm以下と小さいことから、火花による消耗も少ないことが分かる。この理由の一つは、AlやSiを過剰に含有していないためであると考えられる。そして、試料No.1〜8はいずれも、耐発汗性に優れており、その中でもCrを多めに含有してCr/Mnが2以上を満たす試料は、耐発汗性に特に優れる傾向にあることが分かる。この理由の一つは、CrやMnを含有することで、使用環境の雰囲気中の元素と、電極の母相のNiとが低融点の化合物を生成することを抑制することができたためであると考えられる。
これに対して、上記特定の元素を特定の範囲で含有していない試料No.100,120〜127は、耐発汗性に劣ることが分かる。また、試料No.100,120〜127のうち、耐発汗性がよい試料でも、比抵抗が大きく、耐火花消耗性に劣っていたり、酸化物層にクラックが生じるなどして、耐酸化性に劣っていたりすることが分かる。即ち、上記特定の元素を特定の範囲で含有していないスパークプラグ用電極では、従来よりも高温環境下で使用される場合、耐高温酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性をバランスよく具えることが難しいと言える。
上述のように、Y,Al及びSiの少なくとも一方,Cr及びMnを特定の範囲で含有する電極材料から作製したスパークプラグ用電極は、耐高温酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性に優れており、従来よりも更に温度が高い環境(例えば、+100℃程度の超高温環境)であっても、十分に使用することができると期待される。また、上記電極は、酸化による酸化物層の膨張が少なく、この膨張に伴う酸化物層の内部破裂やクラックが生じ難い上に、比抵抗が小さくて火花による消耗が少なく、かつ発汗粒が生じ難いことから、長寿命であると期待される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、電極材料の組成、形状、大きさなどを適宜変更することができる。また、接地電極と中心電極とで組成を異ならせることもできる。
本発明電極材料は、自動車のエンジンといった内燃機関のスパークプラグ用電極の構成材料に好適に利用することができる。本発明電極は、上記スパークプラグの構成部品に好適に利用することができる。また、本発明スパークプラグは、上記内燃機関の点火用部材に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. スパークプラグの電極に用いられる電極材料であって、
    質量%で、
    Al及びSiの少なくとも一方を0.01%以上0.4%以下、かつ合計で0.5%未満、
    Crを0.05%以上0.8%以下、及びMnを0.05%以上0.8%以下、かつCrとMnとを合計で1.5%以下、
    Yを0.3%以上1.0%以下含有し、残部がNi及び不可避不純物からなることを特徴とする電極材料。
  2. 質量%で、
    Crの含有量が0.2%以上0.8%以下、
    Mnの含有量が0.1%以上0.3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極材料。
  3. Cr及びMnの含有量は、Cr>Mnを満たし、
    かつ、Mnに対するCrの質量割合Cr/Mnが2以上を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 質量%で、Siの含有量が0.1%以上0.4%以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の電極材料。
  5. 前記電極材料の常温での比抵抗が20μΩ・cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極材料。
  6. 前記電極材料を1000℃×72時間加熱した後、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極材料から構成されたことを特徴とするスパークプラグ用電極。
  8. 請求項7に記載のスパークプラグ用電極を具えることを特徴とするスパークプラグ。
JP2012177309A 2012-08-09 2012-08-09 電極材料、スパークプラグ用電極及びスパークプラグ Active JP5912986B2 (ja)

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