JP2003241331A - ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料、ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料、ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び画像形成方法

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JP2003241331A JP2002041580A JP2002041580A JP2003241331A JP 2003241331 A JP2003241331 A JP 2003241331A JP 2002041580 A JP2002041580 A JP 2002041580A JP 2002041580 A JP2002041580 A JP 2002041580A JP 2003241331 A JP2003241331 A JP 2003241331A
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halide emulsion
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silver
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Koichiro Kuroda
浩一郎 黒田
Shuji Murakami
修二 村上
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、デジタル露光で高感度、低
カブリで、かつ潜像安定性、圧力耐性に優れたハロゲン
化銀乳剤、その製造方法、ハロゲン化銀カラー写真感光
材料及び画像形成方法を提供することである。 【解決手段】 銀に対し吸着能を有する化合物Aの存在
下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率90%以
上のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン
化銀乳剤が、該化合物A含有濃度が異なる2相以上の領
域を有し、最も表面側の領域に含有される該化合物Aの
濃度が、それより内側の領域に含有される該化合物Aの
濃度より低くなる条件で製造することを特徴とするハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光方式に関わら
ず、常に安定した高品質のプリントが得られ、特に高照
度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度
で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に
優れたハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀乳剤の製造方
法、ハロゲン化銀写真感光材料、ハロゲン化銀カラー写
真感光材料及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の急速なデジタル化指向の中にあっ
て、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料と
もいう)においてはレーザー光などによるデジタル方式
の露光が行われる機会が増えてきた。これに伴い特にカ
ラープリント用の感光材料であるカラーペーパーにおい
ては、高照度の光でのミリ秒からナノ秒程度の極短時間
での露光適性や、走査露光に対する適性も求められるよ
うになって来た。同時に、インクジェット方式を初めと
する他の非銀塩の出力メディアの急速な進歩に対して、
画質、コスト、大量生産性で有利な感光材料の更なる進
化が強く求められている。
【0003】従来から、カラーペーパーにおいては、よ
り迅速な現像処理を達成する手段として、使用するハロ
ゲン化銀乳剤に塩化銀乳剤又は塩化銀含有率の高いハロ
ゲン化銀乳剤が用いられている。一方、ハロゲン化銀乳
剤の問題点の一つである相反則不軌特性の改良には、イ
リジウム化合物をドープすることが有効であることが一
般的に知られている。例えば、特開昭64−26837
号には、ハロゲン化銀粒子の頂点近傍に臭化銀含有率の
高い領域を有する高塩化銀乳剤が、また特開平1−10
5940号には臭化銀の局在領域に選択的にイリジウム
化合物をドープさせることにより潜像安定性と相反則不
軌特性に優れた高塩化銀乳剤を提供できることが開示さ
れている。また、米国特許第5,627,020号に
は、イリジウム化合物をドープした臭化銀微粒子を用い
て臭化銀の局在領域を形成する方法が開示されている
が、いずれの方法も露光後初期の潜像安定性の改良に対
しては、決して十分なものではなかった。
【0004】さらに、最近話題になっているデジタル露
光方式で、高照度光による極短時間での露光適性におい
ては、既存の潜像安定性改良技術だけでは、充分な実用
品質を得ることができないことが明らかになってきた。
この様なデジタル露光方式への適応技術としては、例え
ば、米国特許第5,601,513号に記載の臭化銀局
在相形成に適した化学増感及び色増感方法、更には、欧
州特許第750,222号や同第772,079号等に
記載の沃塩化銀乳剤を用いる方法等がある。
【0005】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、上述の技術によりデジタル露光適性を改良した場
合、潜像安定性の改良が不十分であるばかりでなく、感
光材料の圧力耐性や露光時の温度変化に対する安定性が
著しく劣化することが判明したため、早急な改良技術の
開発が望まれているのが現状である。
【0006】また、特開平2001−188311に
は、ハロゲン化銀粒子の表面近傍に臭化銀、ヨウ化銀の
富有相を有し、この富有相の導入がカブリ防止剤化合物
の添加前及び後で2回に分けて行われ、相反則不軌、塗
布液停滞性を改良する方法が記載されているが、この方
法ではハロゲン化銀乳剤の保存性が不十分であることが
判明した。
【0007】一方、ハロゲン化銀乳剤の粒子形成時に、
メルカプト化合物をはじめとする銀イオンとの吸着性を
有する化合物の存在下で粒子形成させる方法が知られて
いる。特に、メルカプト基を有する、いわゆるカブリ抑
制剤を粒子形成時に存在させることにより、カブリが少
ないハロゲン化銀乳剤が得られるが、同時に乳剤の圧力
耐性が著しく劣化する為に、低カブリと圧力耐性を両立
した乳剤粒子を得ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、高照度短時間の露光がなされるデジタル露光におい
て高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像
安定性に優れ、かつ圧力耐性に優れたハロゲン化銀乳
剤、ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感
光材料、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供し、更
に走査露光することで細線の再現性が良好な画像形成方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0010】1.銀に対し吸着能を有する化合物Aの存
在下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率90%
以上のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲ
ン化銀乳剤が、該化合物A含有濃度が異なる2相以上の
領域を有し、最も表面側の領域に含有される該化合物A
の濃度が、それより内側の領域に含有される該化合物A
の濃度より低くなる条件で製造することを特徴とするハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0011】2.前記最も表面側の領域に含有される化
合物Aの濃度が、ハロゲン化銀1モルあたり1.5×1
-4モル未満であることを特徴とする前記1項記載のハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0012】3.前記化合物Aが、メルカプトテトラゾ
ール基を有する化合物であることを特徴とする前記1又
は2項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0013】4.前記最も表面側の領域の体積が、ハロ
ゲン化銀粒子の全体積の50体積%以下であることを特
徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のハロゲン
化銀乳剤の製造方法。
【0014】5.塩化銀含有率が90%以上のハロゲン
化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀乳剤の化
学増感工程で、前記一般式(I)で表されるポリカルコ
ゲン構造を有する化合物B及びメルカプト化合物Cをこ
の順で添加して化学増感することを特徴とするハロゲン
化銀乳剤の製造方法。
【0015】6.前記ハロゲン化銀乳剤の化学増感工程
で、化学増感剤と前記一般式(I)で表されるポリカル
コゲン構造を有する化合物Bとの添加間隔が、120分
以上であることを特徴とする前記5項記載のハロゲン化
銀乳剤の製造方法。
【0016】7.前記化合物Bと前記メルカプト化合物
Cとの添加間隔が10秒以上、30分以下であることを
特徴とする前記5又は6項に記載のハロゲン化銀乳剤の
製造方法。
【0017】8.前記一般式(I)におけるX及びY
が、いずれも硫黄元素であることを特徴とする前記5〜
7項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方
法。
【0018】9.前記化合物Bが、環状構造を有するこ
とを特徴とする前記5〜8項のいずれか1項に記載のハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0019】10.化学増感剤として金増感剤を用いる
ことを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0020】11.銀に対し吸着能を有する化合物Aの
存在下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率90
%以上のハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀乳
剤が、化合物A含有濃度が異なる2相以上の領域を有
し、最も表面側の領域に含有される該化合物Aの濃度
が、それより内側の領域に含有される該化合物Aの濃度
より低いことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0021】12.前記2〜4項のいずれか1項に記載
のハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られたことを特
徴とする前記11項記載のハロゲン化銀乳剤。
【0022】13.塩化銀含有率が90%以上のハロゲ
ン化銀乳剤において、前記一般式(I)で表されるポリ
カルコゲン構造を有する化合物Bとメルカプト化合物C
とをこの順で添加して化学増感が施されたことを特徴と
するハロゲン化銀乳剤。
【0023】14.前記6〜9項のいずれか1項に記載
のハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られたことを特
徴とする前記13項記載のハロゲン化銀乳剤。
【0024】15.化学増感剤として金増感剤を用いる
ことを特徴とする前記11〜14項のいずれか1項に記
載のハロゲン化銀乳剤。
【0025】16.ハロゲン化銀粒子の全投影面積の5
0%以上が、アスペクト比2以上の平板粒子であること
を特徴とする前記11〜15項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤。
【0026】17.支持体上に少なくとも1層の画像形
成層を有し、該画像形成層が前記1〜10項のいずれか
1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られ
たハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲ
ン化銀写真感光材料。
【0027】18.前記17項に記載のハロゲン化銀写
真感光材料を走査露光して画像を形成することを特徴と
する画像形成方法。
【0028】19.支持体上に少なくとも感光性ハロゲ
ン化銀を含有して成るイエロー色画像形成層、マゼンタ
色画像形成層、シアン色画像形成層を各々少なくとも1
層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該
色画像形成層の少なくとも1層が前記11〜16項のい
ずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有し、1画素
当たり10-10秒以上10-3秒以下の露光時間で露光し
た後、発色現像処理して得られた色画像の有効階調領域
(VE)が、各色画像形成層で各々0.65以上0.8
4以下であり、かつ有効階調領域(VE)が最大となる
色画像形成層のVE値と、最小となる色画像形成層のV
E値との差(ΔVE)が、0以上0.08以下であるこ
とを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0029】20.前記19項に記載のハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料に、1画素当たり10-10秒以上10
-3秒以下の露光時間で露光した後、発色現像処理するこ
とを特徴とする画像形成方法。
【0030】本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意研究
を重ねた結果、ハロゲン化銀乳剤の製造時にカルコゲン
化合物やメルカプト化合物を用い、かつ各化合物の添加
時期を最適化することにより、本発明の目的が達成され
ることが判明した。カルコゲン化合物やメルカプト化合
物としては、従来からハロゲン化銀乳剤の製造時におい
て、増感剤やカブリ抑制剤、現像抑制剤等として広く使
用されているが、添加方法や添加量を工夫した本発明で
示す実施形態において、本発明の目的が達成されること
は、前述した従来技術からは全く予想できず驚くべき事
である。
【0031】本発明者らは、前記の課題の解決を目指し
て鋭意研究を重ねているうちに、この目的が以下の構成
の実施により達成されることを見い出した。
【0032】すなわち、銀に対し吸着能を有する化合物
Aの存在下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率
90%以上のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該
ハロゲン化銀乳剤が、該化合物A含有濃度が異なる2相
以上の領域を有し、最も表面側の領域(以下、シェル部
ともいう)に含有される該化合物Aの濃度が、それより
内側の領域(以下、コア部ともいう)に含有される該化
合物Aの濃度より低くなる条件で製造することが特徴で
あり、特にシェル部に含有される化合物Aの平均濃度
が、ハロゲン化銀1モルあたり1.5×10-4モル未満
であることが好ましい。
【0033】更に、もう一つの構成としては、塩化銀含
有率が90%以上のハロゲン化銀乳剤の製造方法におい
て、該ハロゲン化銀乳剤の化学増感工程で、前記一般式
(I)で表されるポリカルコゲン構造を有する化合物B
及びメルカプト化合物Cをこの順で添加して化学増感す
ることが特徴である。
【0034】特に、化学増感工程において、化学増感剤
の添加から120分以上経過した後に化合物Bの添加が
なされ、それよりも後にメルカプト化合物Cの添加がな
されることを特徴とする製造方法が好ましい。更には、
化合物Bとメルカプト化合物C添加との添加間隔が、1
0秒以上30分以下であることが好ましい。また、化合
物Bが含硫黄環状構造を有することが最も好ましい。
【0035】これらの製造方法により、とりわけデジタ
ル露光時において高感度、低カブリで潜像安定性に優
れ、かつ圧力耐性が向上したハロゲン化銀乳剤を得るこ
とができる。
【0036】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明に係るハロゲン化銀乳剤(以下、本発明の乳剤とも
称す)は、塩化銀含有率の高い、いわゆる高塩化銀乳剤
であることを特徴とする。とりわけ90モル%以上が塩
化銀である高塩化銀乳剤が好ましく、この場合、塩化
銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等、任意のハロゲ
ン組成を有するものであってもよいが、塩化銀を97モ
ル%以上含有する塩臭化銀及び塩沃化銀が特に好まし
い。迅速処理性、処理安定性からは、より好ましくは9
8〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳
剤である。
【0037】また、臭化銀を高濃度に含有する部分を有
するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられ、この場合、
高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒
子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェ
ル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分
的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。
また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化し
てもよい。また極微量の沃化銀を結晶粒子中に含有する
塩沃化銀乳剤も好ましく用いることができ、この場合の
沃化銀の含有領域は、粒子表面近傍の極狭い領域である
ことが好ましい。
【0038】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法は、
銀に吸着する特性を有する化合物Aの存在下でハロゲン
化銀粒子形成することを特徴とする。本発明に係る銀に
吸着する特性をもつ化合物Aとは、例えば、銀イオンと
適度な難溶性の塩を形成しうる化合物であり、この銀塩
の溶解度積は一般にpKsp値で示されることが多い
が、本発明に係る化合物Aの特性としては、pKsp値
で10〜18を示す化合物が好ましい。このような特性
を示す化合物として、具体的にはメルカプト基を有する
化合物や、含窒素ヘテロ環化合物、例えば、テトラザイ
ンデン類、テトラゾール類、ベンゾイミダゾール類、ベ
ンゾトリアゾール類、イミダゾール類などが挙げられる
が、メルカプト基を有する化合物が好ましく、より好ま
しくはメルカプトテトラゾール構造を有する化合物であ
る。
【0039】この目的に用いることのできる好ましい化
合物の例として、特開平2−146036号公報明細書
7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合
物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物
としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜
(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物
や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテ
トラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メル
カプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法は、
少なくとも2相以上の上記化合物Aの含有濃度が異なる
領域を形成する工程からなり、その最も表面側領域(シ
ェル部)の化合物Aの含有濃度が、それより内側領域
(コア部)における化合物Aの含有濃度未満であること
を特徴とする。ここでシェル部とは、粒子成長による粒
子形成における最終的な領域で、粒子の表面を含む最も
粒子の外側の領域を示す。本発明においては、このシェ
ル部より粒子内部の領域は全てコア部と定義される。化
合物Aの含有濃度が異なる領域は何相であっても良く、
また所望の粒子が形成される限りにおいて、含有濃度に
制限はないが、本発明においてはシェル部の化合物Aの
含有濃度が、コア部の含有濃度未満であることを特徴と
する。
【0041】また、本発明のハロゲン化銀乳剤のシェル
部に含有される化合物Aの平均濃度は、ハロゲン化銀1
モルあたり1.5×10-4モル未満であることが好まし
い。シェル部におけるに化合物Aの含有濃度は、0でも
良く、好ましくはハロゲン化銀1モルあたり0.1〜1
×10-4モルであり、より好ましくはハロゲン化銀1モ
ルあたり0.1〜0.5×10-4モルである。
【0042】コア部に含有される化合物Aの濃度は、シ
ェル部に含有される濃度よりも大きい限りにおいて制限
はないが、ハロゲン化銀1モルあたり0.5〜3×10
-4モルであることが好ましい。
【0043】また、化合物Aに該当する化合物である限
り、添加される化合物は複数の化合物を組み合わせて添
加しても良いし、コア部とシェル部でその化合物の種類
や、組合せの構成が異なっても良い。添加された化合物
の合計の量が、本発明で規定する条件である限りにおい
て、本発明の効果が十分に得られる。これらの化合物
は、如何なる方法を用いて粒子の形成される系に存在さ
せても良いが、予めハライド溶液に含有させて添加され
るのが好ましい。
【0044】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法にお
いて、シェル部の体積は、ハロゲン化銀粒子の全体積の
50%以内であることが好ましく、より好ましいシェル
部の体積はハロゲン化銀粒子の全体積の30%以内であ
る。また、シェル部の体積がハロゲン化銀粒子の全体積
の10%以内であるような、表面近傍の極狭い亜表面領
域をシェル領域とした形態においても、本発明を好まし
く実施することができる。
【0045】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法にお
いては、前記一般式(I)で示されるようなポリカルコ
ゲン構造を含む化合物Bの添加がなされ、それよりも後
に更にメルカプト化合物Cの添加がなされることを特徴
とする。
【0046】前記一般式(I)において、X及びYは、
硫黄、セレン、テルルから選ばれる元素、m及びnは1
以上の整数を示す。X及びYの原子は、単結合で連結さ
れても不飽和結合で連結されても良い。
【0047】本発明に係る化合物Bとしては、上記構造
を含む化合物であればそれに該当するが、X及びYが共
に硫黄原子であるようなポリスルフィド構造を有する化
合物が好ましい。その様な好ましい化合物の一つはジス
ルフィド化合物である。
【0048】また、化合物Bとして更に好ましくは、前
述のポリスルフィド構造が環状構造の中に組み入れた様
な構造を有する化合物である。その最も好ましい化合物
の一つには単体硫黄が挙げられる。
【0049】以下に、本発明で用いることのできる化合
物Bで表される具体的化合物を例示するが、本発明はこ
れに限定されるものではない。また、化合物Bに該当す
る化合物である限り、添加される化合物は複数の化合物
を組み合わせて添加しても良い。
【0050】
【化1】
【0051】本発明に係るメルカプト化合物Cは、一般
的にカブリ防止剤として用いられる代表的な化合物が該
当する。この目的に用いることのできる好ましい化合物
の例として、特開平2−146036号公報明細書7ペ
ージ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を
挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物とし
ては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa
−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−
(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾー
ル、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテ
トラゾール等の化合物を挙げることができるが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0052】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造方法で
は、化学増感工程において、前述の化合物Bの添加がな
され、それよりも後に前述のメルカプト化合物Cの添加
がなされることを特徴とする。上記各化合物を同時に添
加したり、予め混合して添加したり、化合物Bをメルカ
プト化合物C添加の後に添加した場合においては本発明
の効果が得られない。
【0053】本発明に係る前記各化合物の添加は、ハロ
ゲン化銀乳剤の化学増感工程のいずれの時期で行われて
も良いが、化学増感が充分に進行した段階が好ましい。
具体的には、化学増感剤が添加されてから120分以上
経過してから、前述の化合物の添加がなされるのが好ま
しい。また、化合物Bとメルカプト化合物Cとの添加間
隔は10秒以上30分以内が好ましい。特に、化合物B
の添加後5分〜20分の間でメルカプト化合物Cが添加
されるのが好ましい。この場合、化合物Bの添加量は、
ハロゲン化銀1モル当たり5×10-8〜1×10-6モル
が好ましい。またメルカプト化合物Cの添加量は、ハロ
ゲン化銀1モル当たり1×10-5〜5×10-3モルが好
ましい。
【0054】請求項19に係る発明では、支持体上に少
なくとも感光性ハロゲン化銀を含有して成るイエロー色
画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成
層を各々少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真
感光材料において、該色画像形成層の少なくとも1層が
本発明のハロゲン化銀乳剤を含有し、1画素当たり10
-10秒以上10-3秒以下の露光時間で露光した後、発色
現像処理して得られた色画像の有効階調領域(VE)
が、各色画像形成層で各々0.65以上0.84以下で
あり、かつ有効階調領域(VE)が最大となる色画像形
成層のVE値と、最小となる色画像形成層のVE値との
差(ΔVE)が、0以上0.08以下であることが特徴
である。
【0055】本発明における有効階調領域(VE)と
は、グレースケール出力時のポイントガンマの値が1.
0以上となる露光量領域として定義する。本発明者らは
鋭意検討を進めた結果、この露光領域はデジタル露光時
のプリント画質に対する影響が大きく、特に、露光から
現像までの処理時間が変化した場合において、文字画像
の滲み及び走査露光スジの出易さに対する影響が大きい
ことが分かった。
【0056】なお、本発明でいうポイントガンマについ
ては、T.H.James編「The Theory
of the Photographic Proce
ss」第4版、502頁に記されているように、 ポイントガンマ=dD/dLogE(Dは濃度、Eは露
光量を表す) で定義され、縦軸−濃度D、横軸−露光量からなる特性
曲線(D−LogE curve)上の任意の点の微分
値を表す。
【0057】本発明においては、1画素当たりの露光時
間が10-10秒以上10-3秒以下となる露光条件で、本
発明で規定する要件を満たすことにより、本発明の目的
とする効果を得ることができるが、本発明の効果をより
明確とするためには、以下のような評価方法を好ましく
用いることができる。
【0058】すなわち、光ビームのラスター間重なりが
5〜30%の範囲内となるように調整したレーザー走査
露光装置を用いて、露光量を変化させながら1cm四方
のパッチを感光材料上に露光し、下記発色現像液(CD
C−1)を用いて、37±0.5℃で45秒間の発色現
像(なお、発色現像後には、通常の漂白定着及び水洗ま
たは安定化処理を施す)を行って得られた試料のグレー
のパッチ部の反射濃度を測定し、横軸:露光量(Log
E)、縦軸:反射濃度(D)から構成される特性曲線を
作成し、ステップ毎に露光量に対する濃度の微分値を計
算してポイントガンマを求めることができる。なお、本
発明においては、露光終了から現像開始までの時間は1
時間とする。
【0059】 〔発色現像液(CDC−1)〕 純水 800ml トリエチレンジアミン 2g ジエチレングリコール 10g 臭化カリウム 0.02g 塩化カリウム 4.5g 亜硫酸カリウム 0.25g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4− アミノアニリン硫酸塩 4.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 5.6g トリエタノールアミン 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 炭酸カリウム 30g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸または水酸化カ
リウムによりpHを10.1に調整する。
【0060】本発明においては、光ビームの直径(ビー
ム径)をラスターの幅とする。ここでいう光ビーム径と
は、光ビーム強度が最大強度(ビームの中心)のe-2
となるところを取り出してできる円の径と定義でき、例
えば、スリットとパワーメーターを組み合わせたビーム
モニター等によって求めることができる。
【0061】次いで、上記説明した以外のハロゲン化銀
乳剤の構成及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の構成
因子について詳細に説明する。
【0062】本発明のハロゲン化銀乳剤においては、重
金属イオンを含有させるのが好ましい。このような目的
に用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリ
ジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オス
ミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属
や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属
や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウ
ム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも
鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミ
ウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、
塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することがで
きる。
【0063】前記重金属イオンが錯体を形成する場合に
は、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン
化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩
化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオ
ン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。
中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソ
チオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオンが好
ましい。
【0064】本発明のハロゲン化銀乳剤に重金属イオン
を含有させるには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子
の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒
子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加す
ればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得る
には、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して
粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加
することができる。
【0065】前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に
添加するときの量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10
-9モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に
1×10-8モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
【0066】本発明のハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中
性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよ
い。また、ハロゲン化銀粒子は、一度で成長させたもの
であってもよいし、種粒子を調製した後、粒子成長させ
てもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方
法は同じであっても、異なってもよい。
【0067】また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩
とを反応させる形式としては、正混合法、逆混合法、同
時混合法、あるいはそれらの組合せなど、いずれでもよ
いが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同
時混合法の一形式として、例えば、特開昭54−485
21号等に記載されているpAgコントロールド・ダブ
ルジェット法を用いることもできる。
【0068】また、特開昭57−92523号、同57
−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加
装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を
供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号
等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水
溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56
−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り
出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒
子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置な
どを用いてもよい。更に必要であれば、チオエーテル等
のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。
【0069】本発明の感光材料において、ハロゲン化銀
粒子の形状は任意のものを用いることができる。好まし
い一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立
方体である。また、米国特許第4,183,756号、
同第4,225,666号、特開昭55−26589
号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オ
ブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photo
gr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記
載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等
の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもで
き、さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0070】請求項16に係る発明においては、ハロゲ
ン化銀乳剤が、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%
以上が、アスペクト比2以上の平板粒子であることが好
ましい。
【0071】本発明の感光材料において、ハロゲン化銀
粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられる
が、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加
することが、特に好ましい。
【0072】本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、
特に制限はないが、迅速処理性、感度、他の写真性能な
どを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に
好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径
は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定
することができる。粒子が実質的に均一形状である場合
は、粒径分布は直径又は投影面積として、これを表すこ
とができる。
【0073】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以
下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀
粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単
分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここ
でいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であ
り、下記式によって定義される。
【0074】変動係数=S/R (ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表
す。) ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合は
その直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子におい
ては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径
を表す。
【0075】請求項10及び15に係る発明では、ハロ
ゲン化銀粒子が、金増感されていることが特徴であり、
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各
種の金錯体として添加することができる。用いられる配
位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チ
オシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリ
アゾール等を挙げることができる。さらにイオウあるい
はセレン等の増感成分を含有させた金増感剤及び硫化銀
あるいはセレン銀を形成する基を含有する金増感剤もよ
り好ましい。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の
種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一
様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×1
-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ま
しくは1×10-5〜1×10-8モルである。
【0076】また、本発明では、金増感法と共にカルコ
ゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが
できる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤
としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テル
ル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増
感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ
硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチ
アシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸
塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増
感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の
種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好
ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10
〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×
10-5モルの範囲が好ましい。また、本発明に係るハロ
ゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用い
てもよい。
【0077】本発明の感光材料に用いるハロゲン化銀乳
剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止し
たり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じ
るカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定
剤を用いることができる。この様な目的に用いることの
できる好ましい化合物の例として、特開平2−1460
36号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(I
I)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ま
しい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載
の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb
−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニ
ル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げる
ことができる。これらの化合物は、本発明の効果を損な
わない限りにおいて、その目的に応じて、ハロゲン化銀
乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終
了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これら
の化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン
化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で
好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合に
は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2
ル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10 -3モルが
より好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀
乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1
×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×1
-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン
化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜
中の量が、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度
の量が好ましい。
【0078】本発明の感光材料には、イラジエーション
防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を
有する染料を用いることができる。この目的で、公知の
化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域
に吸収を有する染料としては、特開平3−251840
号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、お
よび特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さら
に特開平11−119379号公報明細書に記載の染料
が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平
1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般
式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好まし
い分光特性を有し、ハロゲン化銀乳剤の写真特性への影
響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好まし
い化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ペ
ージ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を
挙げることができる。これらの染料を添加する量とし
て、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の
680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量
が好ましくさらには0.8以上にすることがより好まし
い。
【0079】本発明の感光材料中に、蛍光増白剤を添加
することが白地性を改良でき好ましい。好ましく用いら
れる化合物としては、特開平2−232652号公報記
載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0080】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
においては、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シ
アンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長
域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む
層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種又は、二種以上
の増感色素を組み合わせて含有する。
【0081】本発明のハロゲン化銀乳剤に用いる分光増
感色素としては、公知の化合物を用いることができる
が、青感光性増感色素としては、特開平3−25184
0号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独で又は
組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増
感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜
GS−5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素とし
ては同公報29ページに記載のRS−1〜RS−8が好
ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなど
して赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性
増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素と
しては、特開平4−285950号公報6〜8ページに
記載のIRS−1〜IRS−11の色素が好ましく用い
られる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色
素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載
の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−6651
5号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−
17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの各増
感色素の添加時期は、ハロゲン化銀粒子形成から化学増
感終了までの任意の時期でよい。
【0082】増感色素の添加方法としては、例えば、メ
タノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセト
ン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に
溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物とし
て添加してもよい。
【0083】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体
とカップリング反応して、340nmより長波長域に分
光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得
るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表
的な化合物としては、波長域350〜500nmに分光
吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長
域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼ
ンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分
光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして
知られているものが代表的である。
【0084】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
に好ましく用いることのできるシアンカプラーとして
は、特開平4−114154号公報明細書5ページ左下
欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカ
プラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公
報明細書5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜
CC−9として記載されているものを挙げることができ
る。
【0085】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとして
は、特開平4−114154号公報明細書4ページ右上
欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカ
プラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公
報明細書4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜
MC−11として記載されているものを挙げることがで
きる。上記マゼンタカプラーのうち、より好ましいの
は、同号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M
−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般
式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが
耐光性に優れ、特に好ましい。同公報明細書5ページ上
欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、
赤に到る色の再現性に優れ、さらにディテールの描写力
にも優れており好ましい。
【0086】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
に好ましく用いることのできるイエローカプラーとして
は、特開平4−114154号公報明細書3ページ右上
欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げ
ることができる。具体的な化合物は、同公報明細書3ペ
ージ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されて
いるものを挙げることができる。中でも同公報明細書の
一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラ
ー、又は特開平6−67388号公報明細書記載の一般
式[I]で示されるカプラーは、好ましい色調の黄色を
再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例とし
ては、特開平4−114154号公報明細書4ページ左
下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開
平6−67388号公報明細書13〜14ページに記載
のNo(1)〜(47)で示される化合物を挙げること
ができる。さらに最も好ましい化合物は、特開平4−8
1847号公報明細書1ページおよび同号公報明細書1
1ページ〜17ページに記載の一般式[Y−1]で示さ
れる化合物である。
【0087】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する
方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通
常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必
要に応じて低沸点及び/又は水溶性有機溶媒を併用して
溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界
面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹
拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェット
ミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散
後、又は、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程
を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用
いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジ
オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチ
ルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホ
スフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステ
ル類、アルコール類が好ましく用いられる。また、高沸
点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であること
が好ましい。また、二種以上の高沸点有機溶媒を併用す
ることもできる。
【0088】一方、高沸点有機溶媒を用いる上記方法に
代えて、又は高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ
有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸
点及び/又は水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液
などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて、種々
の分散手段により乳化分散する方法をとることもでき
る。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリ
マーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)
等を挙げることができる。
【0089】写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調
整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物と
しては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホ
ン酸基又はその塩を含有するものが挙げられる。具体的
には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−
1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原
子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これら
の分散液は、通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に
添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、
および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよ
く、各々10時間以内が好ましく、3時間以内がより好
ましく、20分以内であることが更に好ましい。
【0090】上記各カプラーには、形成された色素画像
の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤
を併用することが好ましい。特に好ましい化合物として
は、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の
一般式Iおよび一般式IIで示されるフェニルエーテル系
化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式II
IBで示されるフェノール系化合物特開平64−904
45号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、
特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XII
I、XIV及びXVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素
用として好ましい。また、特開平1−196049号公
報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−
11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が、
特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0091】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下
欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ペ
ージ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用
いることができる。また、これら以外にも、米国特許第
4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用
いることもできる。
【0092】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
は、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層
の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン
化銀含有層に添加してカブリ等を改良することが好まし
い。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が
好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチル
ハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンであ
る。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号
公報に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公
報明細書13〜14ページに記載の化合物II−1〜II−
14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0093】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防
止したり、色素画像の耐光性を改良することが好まし
い。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール
類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1
−250944号公報に記載の一般式III−3で示され
る化合物、特開昭64−66646号公報に記載の一般
式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号
公報に記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1
633号公報に記載の一般式Iで示される化合物、特開
平5−165144号公報に記載の一般式(I)、(I
I)で示される化合物が挙げられる。
【0094】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利で
あるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼ
ラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導
体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物
質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0095】これらバインダーの硬膜剤としては、ビニ
ルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独
又は併用して使用することが好ましい。特開昭61−2
49054号、同61−245153号公報に記載の化
合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像
保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイ
ド層中に特開平3−157646号公報に記載のような
防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。ま
た、感光材料又は処理後の試料の表面の物性を改良する
ため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平
2−73250号公報明細書に記載の滑り剤やマット剤
を添加することが好ましい。
【0096】本発明の感光材料に用いる支持体として
は、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポ
リエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや
合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色
顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート支持体、バライタ紙などを用いることがで
きる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有す
る支持体が好ましい。耐水性樹脂としては、ポリエチレ
ンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリ
マーが好ましい。
【0097】支持体に用いられる白色顔料としては、無
機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好
ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バ
リウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム
等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ
酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アル
ミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等
があげられる。白色顔料において好ましくは硫酸バリウ
ム、酸化チタンである。
【0098】支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有され
る白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%
以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0099】本発明の感光材料に用いる紙支持体におい
て、耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−
28640号公報に記載の方法で測定することができ
る。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が上
記公報に記載の変動係数として0.20以下であること
が好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0100】また、支持体の中心面平均粗さ(SRa)
の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下で
ある場合、光沢性がよいという効果が得られより好まし
い。また、反射支持体の白色顔料を含有した耐水性樹脂
中や塗布された親水性コロイド層中に、処理後の白地部
の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するた
め、例えば、群青、油溶性染料等の微量の青味付け剤や
赤味付け剤、あるいは蛍光増白剤を添加することが好ま
しい。
【0101】本発明の感光材料は、必要に応じて支持体
表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した
後、各写真構成層を直接または下塗層(支持体表面の接
着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレ
ーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を
向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布
されていてもよい。
【0102】ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の
塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用い
てもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布す
ることのできるエクストルージョンコーティング及びカ
ーテンコーティングが特に有用である。
【0103】本発明の感光材料を用いて写真画像を形成
するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしよう
とする感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよ
いし、画像を一旦デジタル情報に変換した後、その画像
をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリント
しようとする感光材料上に結像させて焼き付けてもよい
し、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化さ
せて走査することにより焼き付けてもよい。
【0104】本発明においては、現像主薬を内蔵してい
ない感光材料に適用することが好ましく、特に、直接鑑
賞用の画像を形成する感光材料に適用することが好まし
く、例えば、カラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポ
ジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、
カラープルーフ用感光材料を挙げることができる。特
に、反射支持体を有する感光材料に適用することが好ま
しい。
【0105】本発明において用いられる芳香族一級アミ
ン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができ
る。これらの化合物の例として、下記の化合物を挙げる
ことができる。
【0106】 CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリ
ルアミノ)トルエン CD−4:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエ
チル)アミノ)アニリン CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−
ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−(メタンスルホンアミド)エチル)アニリン CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェ
ニルエチル)メタンスルホンアミド CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
メトキシエチルアニリン CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(β−エトキシエチル)アニリン CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン 本発明においては、上記発色現像液を任意のpH域で使
用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0
であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜1
2.0の範囲である。
【0107】発色現像の処理温度は、35℃以上、70
℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能
であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くな
い方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理すること
が好ましい。
【0108】発色現像時間は、一般には3分30秒程度
で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、
さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0109】発色現像液には、前記の発色現像主薬に加
えて、既知の現像液成分化合物を添加することができ
る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イ
オン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、
キレート剤などが用いられる。
【0110】本発明の感光材料は、発色現像後、漂白処
理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時
に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が
行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理
を行なってもよい。本発明の感光材料の現像処理に用い
る現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラー
に感光材料をはさんで搬送するローラートランスポート
タイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送す
るエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をス
リット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると
ともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にする
スプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触による
ウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いること
ができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用い
てランニング処理されるのが通常だが、この際、補充液
の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ま
しい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を
添加することであり、公開技報94−16935に記載
の方法が最も好ましい。
【0111】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明の実施態様はこれらに限定されることはない。
【0112】実施例1 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 〔青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〕 (ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃に保温した2%ゼラ
チン水溶液1リットル中に下記(A1液)及び(B1
液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ3
0分かけて同時添加した。続いて下記(A2液)及び
(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御し
つつ150分かけて同時添加した。更に、下記(A3
液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に
制御しつつ30分かけて同時添加した。この時、pAg
の制御は特開昭59−45437号記載の方法により行
い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用
いて行った。
【0113】 (A1液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (A2液) 塩化ナトリウム 71.9g K2IrCl6 4×10-8モル/モルAg K4Fe(CN)6 2×10-5モル/モルAg 臭化カリウム 0.7g 水を加えて 420ml (A3液) 塩化ナトリウム 30.8g 臭化カリウム 0.3g 水を加えて 180ml (B1液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (B2液) 硝酸銀 210g 水を加えて 420ml (B3液) 硝酸銀 90g 水を加えて 180ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.64μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
5モル%の単分散立方体のハロゲン化銀乳剤B−1を調
製した。
【0114】ハロゲン化銀乳剤B−1では、(A3液)
および(B3液)により粒子成長した部分が、本発明に
係るシェル部に相当し、このシェル部のハロゲン化銀粒
子の占める体積比率は30%である。
【0115】上記ハロゲン化銀乳剤B−1の調製におい
て、あらかじめ(A2液)および(A3液)にSTAB
−1を2×10-4モル/モルAgXずつ添加したこと以
外は同様にしてハロゲン化銀乳剤B−2を調製した。
【0116】更に上記ハロゲン化銀乳剤B−2の調製に
おいて、(A2液)、(A3液)、(B2液)及び(B
3液)の添加量、および含有される化合物の種類や量を
適宜調整、あるいは組み合わせて、表1に記載された構
成となるハロゲン化銀乳剤B−3〜B−15を調製し
た。
【0117】
【表1】
【0118】STAB−1:1−(3−アセトアミドフ
ェニル)−5−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール (青感性ハロゲン化銀乳剤B−101〜B−115の調
製)次に、上記ハロゲン化銀乳剤B−1に対し、65℃
にて下記化合物をこの順番で1分間隔で添加し、そのま
ま65℃で保持して熟成することで化学増感を行った。
この熟成時間は、カブリ−感度の関係が最適となるよう
に求めた結果、1:チオ硫酸ナトリウムの添加から15
0分が適当であった。この熟成時間経過後、STAB−
2を5×10-4モル/モルAgX添加して冷却すること
で、最適に化学増感された青感性ハロゲン化銀乳剤B−
101を得た。
【0119】 1:チオ硫酸ナトリウム 5×10-6モル/モルAgX 2:塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX 3:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 4:増感色素(BS−1) 4×10-4モル/モルAgX 5:増感色素(BS−2) 1×10-4モル/モルAgX 次いで上記青感性ハロゲン化銀乳剤B−101の調製に
おいて、ハロゲン化銀乳剤B−1を順次ハロゲン化銀乳
剤B−2〜B−15に置き換え、各乳剤についてカブリ
−感度の関係が最適となるような熟成時間に変更した以
外は同様にして、青感性ハロゲン化銀乳剤B−102〜
B−115を得た。
【0120】〔緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〕 (ハロゲン化銀乳剤の調製)前記ハロゲン化銀乳剤B−
1の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2
液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時
間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径0.40
μm、粒径分布の変動係数0.08、塩化銀含有率9
9.5モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳
剤G−1を得た。
【0121】また前記ハロゲン化銀乳剤B−2〜B−1
5の調製と同様に、(A2液)、(A3液)、(B2
液)及び(B3液)の添加量、および含有される化合物
の種類や量を適宜調整、あるいは組み合わせて、表1と
同様の構成となるハロゲン化銀乳剤G−2〜G−15を
調製した。
【0122】(緑感性ハロゲン化銀乳剤G−101〜G
−115の調製)上記調製したハロゲン化銀乳剤G−1
〜G−15に対し、65℃にて下記化合物をこの順番で
1分間隔で添加し、そのまま65℃で保持して熟成する
ことで化学増感を行った。この熟成時間は、カブリ−感
度の関係が最適となるように各々の乳剤について適宜時
間を設定した。この熟成時間経過後、STAB−2を8
×10-4モル/モルAgX添加して冷却することで、最
適に化学増感された緑感性ハロゲン化銀乳剤G−101
〜G−115を得た。
【0123】 1:増感色素(GS−1) 4×10-4モル/モルAgX 2:塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX 3:STAB−1 1.2×10-4モル/モルAgX 4:チオ硫酸ナトリウム 塩化金酸をに対して30モル% 〔赤感性ハロゲン化銀乳剤R−101〜R−115の調
製〕上記調製したハロゲン化銀乳剤G−1〜G−15を
用いて、65℃にて下記化合物をこの順番で1分間隔で
添加し、そのまま65℃で保持して熟成することで化学
増感を行った。この熟成時間は、カブリ−感度の関係が
最適となるように各々の乳剤について適宜設定した。こ
の熟成時間経過後、STAB−2を8×10 -4モル/モ
ルAgX添加して冷却することで、最適に化学増感され
た赤感性ハロゲン化銀乳剤R−101〜R−115を得
た。
【0124】 1:チオ硫酸ナトリウム 1.2×10-5モル/モルAgX 2:塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX 3:STAB−1 1.2×10-4モル/モルAgX 4:増感色素(RS−1) 1×10-4モル/モルAgX 5:増感色素(RS−2) 1×10-4モル/モルAgX また、赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製では、SS−1
をハロゲン化銀1モル当たり2.0×10-3g添加し
た。
【0125】
【化2】
【0126】《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作
製》 (試料101の作製)坪量180g/m2の紙パルプの
感光層塗布面に、表面処理を施したアナターゼ型酸化チ
タンを15質量%の含有量で分散して含む高密度溶融ポ
リエチレンをラミネートし、裏面には高密度ポリエチレ
ンをラミネートした反射支持体をコロナ放電処理した
後、ゼラチン下塗層を設け、さらに表2、表3に記載の
構成からなる各写真構成層を塗設して、ハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料である試料1を作製した。
【0127】なお、第2層、第4層及び第7層には、硬
膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。また、
各層には、表面張力調整用の塗布助剤として、界面活性
剤(SU−2)、(SU−3)を添加した。また、各層
に防黴剤(F−1)を全量が0.04g/m2となるよ
うに添加した。尚、表中に記載のハロゲン化銀乳剤は、
銀に換算した値で示した。
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】試料101の作製に用いた各添加剤の詳細
は、以下の通りである。 SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム DBP:ジブチルフタレート DNP:ジノニルフタレート DOP:ジオクチルフタレート DIDP:ジ−i−デシルフタレート H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリ
アジン・ナトリウム HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノ
ン HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロ
キノン HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラ
デシルハイドロキノン HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキ
シルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン 画像安定剤A:P−t−オクチルフェノール 画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0131】
【化3】
【0132】
【化4】
【0133】
【化5】
【0134】
【化6】
【0135】
【化7】
【0136】(試料102〜115の作製)上記試料1
01の作製において、青感性ハロゲン化銀乳剤B−10
1を順次B−102〜B−115に、緑感性ハロゲン化
銀乳剤G−101を順次G−102〜G−115に、赤
感性ハロゲン化銀乳剤R−101を順次R−102〜R
−115に変更した以外は同様にして、試料102〜1
15を作製した。
【0137】《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評
価》上記作製した試料101〜115について、下記に
記載の方法に従って、感度、カブリ、潜像安定性および
耐圧性の評価を行った。
【0138】(評価1:高照度露光における感度・カブ
リ評価、および露光後潜像安定性評価)各試料に対し、
10-6秒露光のキセノンフラッシュ高照度露光用感光計
(山下電装(株)製SX−20型)を用いてウエッジ露
光し、露光後5分間放置した後、下記の処理工程に従っ
て発色現像処理を行った。これを処理Aとする。一方、
上記方法において、露光した後5秒間経過してから同様
に発色現像処理を行い、これを処理Bとする。
【0139】以上のようにして現像処理を行った各試料
のイエロー画像反射濃度を、光学濃度計(コニカ製PD
A−65型)を用いて測定し、縦軸−反射濃度(D)、
横軸−露光量(LogE)からなるイエロー画像の特性
曲線を作成して、以下のようにして各特性値を算出し
た。
【0140】処理Aにおける試料の感度を下式1に従っ
て計算した。ここで感度は、試料101の処理Aにおけ
る感度を100として表記した。また、各々の特性曲線
における最低濃度値を、カブリ濃度として表記した。
【0141】次に、下式2に従って処理Aでの階調γ
(γa)と処理Bでの階調γ(γb)を計算し、続いて
各々の階調γ値より下式3に従って、変動値Δγを計算
した。なお、Δγは、数値が100に近いほど潜像安定
性に優れていることを表す。
【0142】式1 感度=1/(カブリ+1.0の濃度を示す露光量) 式2 階調γ=1/〔Log(カブリ+0.1の濃度を示す露
光量)−Log(カブリ+0.4の濃度を示す露光
量)〕 式3 Δγ=(γb/γa)×100 (評価2:感材の耐圧性評価)各試料に対し、10-6
露光のキセノンフラッシュ高照度露光用感光計(山下電
装(株)製SX−20型)を用いて、ブルーフィルター
を介して青色光によりウエッジ露光した。露光後の各試
料を、38℃の純水に45秒間浸析させた後、下記の加
圧方法に従って試料に圧力を加え、その後、下記の処理
工程に従って発色現像処理を行った。
【0143】〈加圧方法〉試料を水平な台に固定し、露
光のウエッジの段と垂直方向に、荷重を加えた針を一定
速度で移動されることにより試料に圧力を加えた。この
時、針は試料への接触部が0.3mmのサファイヤ針を
使用し、針の走査速度は1cm/秒、荷重は10g〜1
00gまで順次変化させた。
【0144】以上のようにして現像処理を行った各試料
を目視で観察して、加圧による未露光部および露光部で
の濃度変化と荷重の相関の観点から試料の耐圧性を評価
した。なお、試料の優劣の評価はA〜Eの5段階とし、
加圧による濃度変化が観察されず最も優れた試料をA、
加圧による濃度変化が低荷重から発生して最も耐圧性が
劣る試料をEと表記し、AとEの間のレベルを等分にし
て、ランクB〜Dとした。
【0145】 〔発色現像処理〕 処理工程 処理温度 時間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml 安定化 30〜34℃ 60秒 150ml 乾燥 60〜80℃ 30秒 (発色現像処理の各現像処理液の組成) 〈発色現像液タンク液及び補充液〉 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml トリエチレンジアミン 2g 3g ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4− アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g それぞれ、水を加えて全量を1リットルとし、タンク液
はpHを10.10に、補充液はpHを10.60に調
整した。
【0146】 〈漂白定着液タンク液及び補充液〉 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷
酢酸でpHを5.0に調整した。
【0147】 〈安定化液タンク液及び補充液〉 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア
水でpHを7.5に調整した。
【0148】以上より得られた各評価結果を表4に示
す。
【0149】
【表4】
【0150】試料102〜110では化合物Aに該当す
る化合物としてSTAB−1を添加した。試料102お
よび103では、本発明で規定するところのシェル部と
コア部に含有されているSTAB−1の濃度が同一であ
るために、本発明の効果が得られず、特に耐圧性に問題
があることが明らかである。STAB−1の濃度がコア
部よりシェル部が大きい試料104についても同様であ
る。ところが、本発明で規定するSTAB−1の濃度が
コア部よりシェル部が小さい試料105においては、耐
圧性が改良され、かつ高感度、低カブリであり本発明の
効果が得られていることが分かる。
【0151】この構成を取りうる限りにおいては、本発
明の効果が得られていることが試料105〜115によ
って示されているが、その中でも、特にシェル部のST
AB−1の濃度が1.5×10-4未満のとき、より詳細
にはシェル部のSTAB−1の濃度が0.1〜0.5×
10-4である場合に、改良効果が大きいことが試料10
9〜110より確認することができた。
【0152】また、試料111〜112で示されるよう
に、化合物Aの範疇にあるSTAB−2をSTAB−1
と組合せ、あるいは置換して使用しても同様な改良効果
が得られることを確認することができた。
【0153】更に、ハロゲン化銀粒子の全体積に占める
シェル部の体積は、30%以下である時に本発明の効果
が大きく、特に、シェル部の体積が10%や5%の様な
粒子表面近傍に非常に薄いシェル部を有するハロゲン化
銀乳剤は、潜像安定性の改良が大きく好ましいことが試
料113〜115の結果から判断することができる。
【0154】以上のように、表4より明らかなように、
本発明で規定する方法により製造された乳剤で、かつ本
発明で規定した構成を有するハロゲン化銀乳剤を用いた
各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ
低カブリで、潜像安定性も良好で、かつ耐圧性にも問題
がない結果が得られた。
【0155】なお、上記の評価1において、マゼンダ画
像、シアン画像についても同様に測定計算して、高照度
露光における感度・カブリ評価、および露光後潜像安定
性評価を行った。また、評価2においても、露光する際
のフィルターをグリーンおよびレッドフィルターに変更
して、緑色光および赤色光によりウエッジ露光すること
で、マゼンダ画像、シアン画像についても同様に耐圧性
を評価した。
【0156】その結果、青感性乳剤と同様に、緑感性お
よび赤感性乳剤においても、本発明の構成を満たす場合
に同様な改良効果が得られることが確認できた。
【0157】実施例2 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (青感性ハロゲン化銀乳剤B−201〜B−215の調
製)実施例1に記載の青感性ハロゲン化銀乳剤B−10
1の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から15
0分経過した後に、化合物Bに相当する化合物であるB
B−4を0.5×10-6モル/モルAgX添加し、その
後20分経過してからSTAB−2を5×10-4モル/
モルAgX添加してから冷却したこと以外は同様にして
青感性ハロゲン化銀乳剤B−201を得た。
【0158】上記において、添加する化合物Bの種類、
チオ硫酸ナトリウム添加から各々の化合物B添加までの
時間、化合物Bの添加からSTAB−2添加までの添加
間隔を、表5に記載の様に変更した以外は同様にして、
青感性ハロゲン化銀乳剤B−202〜B−213を調製
した。
【0159】なお、青感性ハロゲン化銀乳剤B−210
の調製においては、化合物BB−15とSTAB−2は
同時に添加した。また、青感性ハロゲン化銀乳剤B−2
11の調製においては、両化合物の添加順を本発明で規
定する条件とは逆にして、チオ硫酸ナトリウム添加から
140分経過したときにSTAB−2を添加して、その
後10分経過してから化合物BB−15を添加すること
で調製した。
【0160】青感性ハロゲン化銀乳剤B−205の調製
において、ハロゲン化銀乳剤B−1の代わりに、B−1
0およびB−14を使用すること以外は同様にして、青
感性ハロゲン化銀乳剤B−214およびB−215を調
製した。
【0161】
【表5】
【0162】(緑感性ハロゲン化銀乳剤G−201〜G
−215の調製)実施例1に記載の緑感性ハロゲン化銀
乳剤G−101の調製において、前述の青感性ハロゲン
化銀乳剤B−201〜B−215の調製と同様の条件、
組み合わせで、添加する化合物Bの種類、チオ硫酸ナト
リウム添加から各々の化合物B添加までの時間、化合物
Bの添加からSTAB−2添加までの添加間隔を、表5
のごとく変更した以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀
乳剤G−201〜G−215を調製した。なお、緑感性
ハロゲン化銀乳剤G−214およびG−215の調製で
は、ハロゲン化銀乳剤G−1の代わりにG−10および
G−14を使用していること以外は、緑感性ハロゲン化
銀乳剤G−205の調製と同様である。
【0163】(赤感性ハロゲン化銀乳剤R−201〜R
−215の調製)実施例1に記載の赤感性ハロゲン化銀
乳剤R−101の調製において、前述の青感性ハロゲン
化銀乳剤B−201〜B−215の調製と同様の条件、
組み合わせに、添加する化合物Bの種類、チオ硫酸ナト
リウム添加から各々の化合物B添加までの時間、化合物
Bの添加からSTAB−2添加までの添加間隔を、表5
のごとく変更した以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀
乳剤R−201〜R−215を調製した。なお、赤感性
ハロゲン化銀乳剤R−214およびR−215の調製で
は、ハロゲン化銀乳剤G−1の代わりにG−10および
G−14を使用していること以外は、赤感性ハロゲン化
銀乳剤R−205の調製と同様である。
【0164】《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作
製》 (試料201〜215の作製)実施例1の試料101の
作製において、青感性ハロゲン化銀乳剤B−101を順
次青感性ハロゲン化銀乳剤B−201〜B−215に、
緑感性ハロゲン化銀乳剤G−101を順次緑感性ハロゲ
ン化銀乳剤G−201〜G−215に、赤感性ハロゲン
化銀乳剤R−101を順次赤感性ハロゲン化銀乳剤R−
201〜R−215に変更した以外は同様にして、試料
201〜215を作製した。
【0165】《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評
価》実施例1に記載の方法に従って、青感性ハロゲン化
銀乳剤の高照度露光における感度、カブリ評価、露光後
潜像安定性評価及び耐圧性評価を行い、得られた結果を
表6に示す。
【0166】
【表6】
【0167】実施例2においては、化合物Bに該当する
化合物として、先に例示したポリカルコゲン化合物を、
メルカプト化合物CとしてSTAB−2を用いた。試料
201〜205では、化学増感が充分に進行した後に、
ポリカルコゲン化合物を添加し、その20分後にSTA
B−2を添加している。ここで添加したポリカルコゲン
化合物は何れも先に例示した化合物Bに該当する化合物
であり、本発明の構成要件を満たすことで改良効果が得
られていることが分る。化合物Bに該当する限り何れの
化合物でも改良効果が得られているが、特に、ジスルフ
ィド、ポリスルフィド化合物がその効果が大きく、最も
高感度でカブリが低く好ましいのは単体硫黄(BB−1
5)である。
【0168】また、本発明の構成要件である化合物Bと
化合物Cの添加順番および添加時間の効果を示すのが、
試料205〜211である。化合物Bが、化合物C(こ
こではSTAB−2)より先に添加されていれば、本発
明の効果が得られているが、潜像安定性やカブリ低減の
改良効果は両者の添加間隔が30分以内であるのが好ま
しく、特に10分および20分の時に大きな効果が得ら
れることが試料205〜209より明らかである。これ
に対して、両化合物を同時に添加した試料210及び化
合物Bの添加10分前にSTAB−2を添加した試料2
11では効果が全く得られないが明白である。
【0169】一方、化学増感工程で化合物Bを添加する
時期は、化学増感剤(ここではチオ硫酸ナトリウム)が
添加されてから120分以上経過した後が、高感度で潜
像安定性が良く好ましいことが、試料205及び21
2、213の評価結果より分かる。更に、本発明で規定
する条件を満たすハロゲン化銀乳剤B−10及びB−1
4に対し、本発明を組み合わせ実施した場合、さらに大
きな改良効果が得れることが、試料214及び215の
結果より明らかである。
【0170】また、上記評価について、マゼンダ画像及
びシアン画像についても同様に行ったが、青感性乳剤と
同様に、緑感性および赤感性乳剤においても、本発明の
構成を満たす場合に同様な改良効果が得られることが確
認できた。
【0171】実施例3 前記実施例1及び2で作製した試料101〜115およ
び201〜215を用いて、光源として、半導体レーザ
ー(発振波長650nm)、He−Neガスレーザー
(発振波長544nm)、Arガスレーザー(発振波長
458nm)を用い、光ビームのラスター間重なりが2
5%となるように調整した走査露光装置を用いて、画像
データに基づき各々のレーザービームに対してAOMに
より光量を変調しながら、ポリゴンに反射させて、感光
材料上に主走査を行うと同時に、主走査方向に対して垂
直方向に感光材料を搬送(副走査)して、1cm×1c
mのパッチ画像で、最大濃度から最小濃度まで段階的に
グレーが再現できるように各色の露光量を調整しながら
走査露光を行った。露光終了してから1時間後に前述の
現像処理工程により処理を行った。このようにして得ら
れたグレーパッチ画像の各ステップに対して濃度計PD
A−65(コニカ社製)を用いて反射濃度を測定し、赤
色レーザーの露光量に対する赤色光反射濃度のプロット
(特性曲線)、緑色レーザーの露光量に対する緑色光反
射濃度のプロット、青色レーザーの露光量に対する青色
光反射濃度のプロットを作成した。次いで、各色画像に
対して、ステップ毎に露光量に対する濃度の微分値を計
算してポイントガンマを求め、ポイントガンマが1.0
以上となる露光量領域(有効階調領域)を求めた。ま
た、反射濃度0.8から1.8までの平均階調を同時に
求めた。
【0172】本発明の構成を満たす試料は、比較試料に
対して、潜像安定性、耐圧性に優れ、かつ各色画像形成
層における有効階調領域(VE)は、いずれも0.65
以上0.84以下であり、有効階調領域(VE)が最大
となる色画像形成層のVE値と、最小となる色画像形成
層のVE値の差(ΔVE)が0以上0.08以下を安定
に再現でき、その結果、細線の再現性が安定に得られる
ことが分かった。特に試料214および215が最も良
い結果となった。
【0173】
【発明の効果】本発明により、ハロゲン化銀カラーペー
パーに適した、高照度露光時に高感度で低カブリで、露
光後から現像処理までの潜像安定性に優れ、かつ圧力耐
性に優れたハロゲン化銀乳剤及びその製造方法が提供で
き、更にこの乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料
を走査露光することで細線の再現性が良好なハロゲン化
銀写真感光材料および画像形成方法を提供することがで
きた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 5/02 G03C 5/02 5/08 5/08

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀に対し吸着能を有する化合物Aの存在
    下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率90%以
    上のハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン
    化銀乳剤が、該化合物A含有濃度が異なる2相以上の領
    域を有し、最も表面側の領域に含有される該化合物Aの
    濃度が、それより内側の領域に含有される該化合物Aの
    濃度より低くなる条件で製造することを特徴とするハロ
    ゲン化銀乳剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記最も表面側の領域に含有される化合
    物Aの濃度が、ハロゲン化銀1モルあたり1.5×10
    -4モル未満であることを特徴とする請求項1記載のハロ
    ゲン化銀乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記化合物Aが、メルカプトテトラゾー
    ル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又
    は2に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記最も表面側の領域の体積が、ハロゲ
    ン化銀粒子の全体積の50体積%以下であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化
    銀乳剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 塩化銀含有率が90%以上のハロゲン化
    銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀乳剤の化学
    増感工程で、下記一般式(I)で表されるポリカルコゲ
    ン構造を有する化合物B及びメルカプト化合物Cをこの
    順で添加して化学増感することを特徴とするハロゲン化
    銀乳剤の製造方法。 一般式(I) −(X)m−(Y)n− 〔式中、X及びYはそれぞれ硫黄、セレン、テルルから
    選ばれる元素、m及びnは1以上の整数を表す。〕
  6. 【請求項6】 前記ハロゲン化銀乳剤の化学増感工程
    で、化学増感剤と前記一般式(I)で表されるポリカル
    コゲン構造を有する化合物Bとの添加間隔が、120分
    以上であることを特徴とする請求項5記載のハロゲン化
    銀乳剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記化合物Bと前記メルカプト化合物C
    との添加間隔が10秒以上、30分以下であることを特
    徴とする請求項5又は6に記載のハロゲン化銀乳剤の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記一般式(I)におけるX及びYが、
    いずれも硫黄元素であることを特徴とする請求項5〜7
    のいずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記化合物Bが、環状構造を有すること
    を特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 化学増感剤として金増感剤を用いるこ
    とを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤の製造方法。
  11. 【請求項11】 銀に対し吸着能を有する化合物Aの存
    在下でハロゲン化銀粒子を形成する塩化銀含有率90%
    以上のハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀乳剤
    が、化合物A含有濃度が異なる2相以上の領域を有し、
    最も表面側の領域に含有される該化合物Aの濃度が、そ
    れより内側の領域に含有される該化合物Aの濃度より低
    いことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  12. 【請求項12】 請求項2〜4のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られたことを特徴
    とする請求項11記載のハロゲン化銀乳剤。
  13. 【請求項13】 塩化銀含有率が90%以上のハロゲン
    化銀乳剤において、前記一般式(I)で表されるポリカ
    ルコゲン構造を有する化合物Bとメルカプト化合物Cと
    をこの順で添加して化学増感が施されたことを特徴とす
    るハロゲン化銀乳剤。
  14. 【請求項14】 請求項6〜9のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られたことを特徴
    とする請求項13記載のハロゲン化銀乳剤。
  15. 【請求項15】 化学増感剤として金増感剤を用いるこ
    とを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載
    のハロゲン化銀乳剤。
  16. 【請求項16】 ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50
    %以上が、アスペクト比2以上の平板粒子であることを
    特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤。
  17. 【請求項17】 支持体上に少なくとも1層の画像形成
    層を有し、該画像形成層が請求項1〜10のいずれか1
    項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法により得られた
    ハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン
    化銀写真感光材料。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のハロゲン化銀写真
    感光材料を走査露光して画像を形成することを特徴とす
    る画像形成方法。
  19. 【請求項19】 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン
    化銀を含有して成るイエロー色画像形成層、マゼンタ色
    画像形成層、シアン色画像形成層を各々少なくとも1層
    有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該色
    画像形成層の少なくとも1層が請求項11〜16のいず
    れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有し、1画素当
    たり10-10秒以上10-3秒以下の露光時間で露光した
    後、発色現像処理して得られた色画像の有効階調領域
    (VE)が、各色画像形成層で各々0.65以上0.8
    4以下であり、かつ有効階調領域(VE)が最大となる
    色画像形成層のVE値と、最小となる色画像形成層のV
    E値との差(ΔVE)が、0以上0.08以下であるこ
    とを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のハロゲン化銀カラ
    ー写真感光材料に、1画素当たり10-10秒以上10-3
    秒以下の露光時間で露光した後、発色現像処理すること
    を特徴とする画像形成方法。
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