JP3543242B2 - ハロゲン化銀写真感光材料およびその処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料およびその処理方法に関し、更に詳しくは、ハロゲン化銀写真感光材料の明所および暗所での保存性を改良し、かつ製造安定性に優れかつ安価なハロゲン化銀写真感光材料、およびその処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料(以下、感光材料あるいは感材と称する場合もある)は、一般的にハロゲン化銀と発色カプラーを含有し現像処理時に処理液中の現像主薬の酸化体と発色カプラーが反応することにより発色色素を形成するハロゲン化銀乳剤層と、前記ハロゲン化銀乳剤層が2層以上存在するとき、ハロゲン化銀乳剤層が互いに混じり合わないようにするために非親水性コロイド層の中間層が設けられている。中間層には、現像時にハロゲン化銀乳剤層より染みでた現像主薬の酸化体が別のハロゲン化銀乳剤層に行き反応することを防ぐ目的で現像主薬の酸化体を捕捉する機能を有する化合物が添加されている。前記、現像主薬の酸化体を捕捉する化合物として、は米国特許2,336,327号等によりハイドロキノン化合物が有効であることが示されており、実際的にもハイドロキノン化合物を使用することが一般的である。
【0003】
ハイドロキノン化合物は製造原価が安く安価に供給できる事が利点の1つであるが、原料の点から、1級もしくは3級のアルキル基を置換基として有する物に比べて2級アルキル基を置換基として有する物が有利である事が知られている。
【0004】
一方、近年、ハロゲン化銀写真感光材料により形成される色素形成画像の堅牢性の向上に関する要求が日に日に高まってきている。特にアルバム保存時における色素画像の堅牢性はコニカ社製QAA6ペーパー(通称100年プリント)等により非常に高性能な物となってきている。一方、未発色部分が黄変色(以下、Yステインと称する)あるいは、マゼンタ変色(以下、Mステインと称する)するという問題の要因についても我々は、鋭意研究を行った結果、これらYステインあるいはMステインの発生要因は、主に感材中に含有される前記ハイドロキノン化合物の2級のアルキル部分の保存時の劣化に起因するものと、ハイドロキノンがキノンになるものと、マゼンタカプラーの分解に起因するもの、とがあるということを発見した。このうち、マゼンタカプラーの分解に起因するYステインあるいはMステインの改良については、ピラゾロアゾール型のマゼンタカプラーを使用した場合、YステインあるいはMステインの発生が大きく改良されることが判明した。従って、マゼンタカプラーにピラゾロアゾール型の化合物を使用した場合、益々、ハイドロキノン化合物起因のYステインあるいはMステインの改良の要請の比重が高まるようになってきた。
【0005】
ハイドロキノン化合物の安定性を高める方法に付いては、特開昭51−6024号にアルカリ性処理液中で拡散性の酸化防止剤あるいは1つ以上の水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の酸化防止剤を使用する方法が提示されている。しかしながら、特開昭51−6024号で述べられている保存性とは特開昭51−6024号163頁左上4行目〜12行目にかけて記述されているように分散液状態における保存安定性を指しており、本発明の請求の範囲である塗布後のハロゲン化銀写真感光材料中におけるハドロキノン化合物の安定性とは異なる主旨を表す物である。また、特開昭54−70036号、特開昭54−25823号、特開昭53−10430号等において、フェノールあるいはトコフェロール誘導体を使用してハイドロキノン誘導体の保存性を高め、白地等の改良を行っているが、いずれも特開昭51−6024号と同様、分散液の安定性を高めた結果として白地等を改良した物であり、感材中に含まれるハイドロキノン化合物の経時安定性について述べられたものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、ハロゲン化銀感光材料中のハイドロキノン化合物の安定性を高める事により暗所でのYステインおよびMステインの発生を改良したハロゲン化銀写真感光材料を提供する事にある。本発明の第2の目的は形成される色素の明所での保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を提供する事にある。本発明の第3の目的は副吸収がなく、色再現性が改良されたハロゲン化銀写真感光材料を提供する事にある。本発明の第4の目的は製造安定性に優れ安価なハロゲン化銀写真感光材料を提供する事にある。本発明の第5の目的は現像処理時間を大幅に短縮した処理を行っても形成される画像に問題のないハロゲン化銀写真感光材料とその処理方法を提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【0008】
先ず、本発明に係る化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体を包含する一般式(HQ−1)及び一般式(I)について説明する。
【0009】
【化6】
【0010】
(式中、R11は2級のアルキル基を表し、R12は置換基を表す。)
【0011】
【化7】
【0012】
(式中、RI1,RI2,RI3およびRI4はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表し、RI5およびRI6はそれぞれ水素原子または置換基を表す。)
(1).支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層と該乳剤層に隣接する非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該非感光性親水性コロイド層に下記化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体の少なくとも1種と下記一般式(II)で表される化合物を含有し、更に下記化学式(HQ−2−1〜−5)で表される化合物の少なくとも1種を含有する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0013】
【化8】
【0014】
(式中、RII1〜RII4は、それぞれ水素原子または置換基を表す。)
(2).前記感光性ハロゲン化銀乳剤層中に下記一般式(M−1)で表される化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0015】
【化9】
【0016】
(式中、Zは含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該Zにより形成される環は置換基を有してもよい。Xは水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。)
【0017】
【化10】
【0018】
(式中R21は3級のアルキル基を表し、R22は置換基を表す。)
(3).前記非感光性親水性コロイド層中に前記化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体の少なくとも2種を含有する事を特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0019】
(4).前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料を発色現像処理時間が30秒以下で処理する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体を包含する一般式(HQ−1)で表されるハイドロキノン誘導体について説明する。
【0022】
前記一般式(HQ−1)において、R11で表される2級のアルキル基としては、下記一般式(HQ−A)で表されるものである。
【0023】
【化11】
【0024】
(式中、RA1,RA2は、それぞれ置換基を表す。)
一般式(HQ−A)において、RA1,RA2は置換基ならならば何でも良く、RA1,RA2で表される置換基としては、それぞれ、後述のRI5およびRI6で表される置換基と同義のもの等があげられる。
【0025】
一般式(HQ−A)に含まれる炭素数としては8以上のものが現像処理時に流れ出さない事から好ましい。また、さらに好ましくは炭素数が10以上20未満のものである。炭素数が20以上の物は製造上、精製等が困難でありハイドロキノン誘導体の製造コストもかかる上にハロゲン化銀写真感光材料の製造安定性や性能安定性も大きく損なう事から好ましくない。
【0026】
本発明に使用される一般式(HQ−1)で表されるハイドロキノン誘導体は特公昭46−42890号、同51−12250号、特開平4−103550号などに記載の方法によって合成される。
【0027】
一般式(HQ−1)において、R12で表される置換基としては、それぞれ、後述のRI5およびRI6で表される置換基と同義のもの等があげられる。
【0028】
次に本発明に係る化学式(HQ−2−1〜−5)で表される化合物を包含する一般式(HQ−2)で表される化合物について説明する。
【0029】
本発明において、一般式(HQ−2)で表される化合物は置換基として3級のアルキル基を置換した化合物であり、3級のアルキル基とは具体的には下記一般式(HQ−B)で表されるものである。即ち、前記一般式(HQ−2)において、R21で表される3級のアルキル基としては、下記一般式(HQ−B)で表されるものである。
【0030】
【化12】
【0031】
(式中、RB1、RB2、RB3は、それぞれ置換基を表す。)
一般式(HQ−B)において、RB1、RB2、RB3は置換基ならば何でも良く、RB1、RB2、RB3で表される置換基としては、それぞれ、後述のRI5およびRI6で表される置換基と同義のもの等があげられる。
【0032】
一般式(HQ−2)において、R22で表される置換基としては、置換基ならば何でも良く、後述のRI5およびRI6で表される置換基と同義のもの等があげられる。
【0033】
本発明において、一般式(HQ−1)で表されるハイドロキノン誘導体はハロゲン化銀写真感光材料の製造性の面から一般式(HQ−2)で表される化合物や一般式(HQ−1)で表されるハイドロキノン誘導体で表される化合物のうちの2種以上の化合物を併用して使用する事が好ましい。
【0034】
以下に、本発明で使用される化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体、および化学式(HQ−2−1〜−5)で表される化合物を示す。
【0035】
【化C】
【0039】
【化D】
【0042】
本発明では一般式(I)で表される化合物を用いてもよく、これについて説明する。
【0043】
前記一般式(I)において、RI1,RI2,RI3およびRI4がそれぞれ表す水素原子またはアルキル基のうち、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられ、これらのアルキル基は置換されていてもよい。
【0044】
RI5およびRI6で表される水素原子または置換基のうち、置換基としては、置換できるものならば何でもよく、例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基など、理化学辞典(第3版 岩波書店発行)1626〜1628頁記載の置換基などが挙げられる。
【0045】
本発明で使用される一般式(I)で表される化合物は既知の合成法によって簡単に合成する事が可能である。本発明において、一般式(I)で表される化合物は常温で固体でも液体でもかまわない。また、常温で液体のとき、その誘電率は本発明の効果とは一切無関係である。
【0046】
一般式(I)で表される化合物の具体的な例示化合物を下記に示すが、これに限定されるものではない。
【0047】
【化20】
【0048】
【化21】
【0049】
一般式(II)で表される化合物について説明する。
【0050】
前記一般式(II)において、RII1〜RII4で表される水素原子または置換基のうち、置換基としては、置換できるものならば何でもよく、例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基など、理化学辞典(第3版 岩波書店発行)1626〜1628頁記載の置換基などが挙げられる。
【0051】
本発明で使用される一般式(II)で表される化合物は既知の合成法によって簡単に合成する事が可能である。本発明において、一般式(II)で表される化合物は常温で固体でも液体でもかまわない。また、常温で液体のとき、その誘電率は本発明の効果とは一切無関係である。
【0052】
一般式(II)で表される化合物の具体的な例示化合物を下記に示すが、これに限定されるものではない。
【0053】
【化22】
【0054】
【化23】
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
【化26】
【0058】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、前記一般式(M−1)で表される化合物が挙げられるが、更に詳しくは特開平4−114154号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報明細書5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0059】
本発明において、一般式(I)あるいは(II)で表される化合物は紫外線防止剤と同一層にて使用しない事が好ましい。
【0060】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は一般的なハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法によって現像処理する事が可能であるが、近年の人件費、光熱費の削減のために処理時間を短くすることが望まれており、処理時間を短くするには現像処理液の活性化が必要であるが、本発明のハロゲン化銀写真感光材料はそのような処理を行っても劣化のないカラー画像が得られる。本発明において、現像処理時間は30秒以下であることが好ましいが、さらに好ましくは20秒以内であり、さらに好ましくは10秒以下にて処理される事である。また処理時間は処理液の活性の問題から5秒以上であることが好ましい。
【0061】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、塩化銀を95モル%以上含有する実質的に沃化銀を含有しない塩臭化銀が好ましい。迅速処理性、処理安定性からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0062】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が特に好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点である事が特に好ましい。
【0063】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには重金属イオンを含有させるのが有利である。このような目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。
【0064】
これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0065】
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしてはシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加する事ができる。
【0067】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
【0068】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることが出来る。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21,39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0069】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好ましい。
【0070】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0071】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0072】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0073】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0074】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0075】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0076】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0077】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0078】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0079】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
【0080】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0081】
本発明に係るイオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0082】
本発明に係る金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0083】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0084】
本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5モル〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜1×10−2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9モル〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0085】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報明細書記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ページ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0086】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましくさらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0087】
本発明において、感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0088】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料をカラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0089】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0090】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0091】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0092】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0093】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0094】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書3ページ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも同公報明細書の一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−67388号公報明細書記載の一般式[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例としては特開平4−114154号公報明細書4ページ左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開平6ー67388号公報明細書13〜14ページに記載のNo(1)〜(47)で示される化合物をあげることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報明細書1ページおよび同号公報明細書11ページ〜17ページに記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0095】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0096】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0097】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0098】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0099】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0100】
本発明において、感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0101】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0102】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報明細書記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0103】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0104】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0105】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13重量%以上が好ましく、さらには15重量%が好ましい。
【0106】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0107】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好ましい。
【0108】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0109】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0110】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0111】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用するこのが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材料に適用する事が好ましい。
【0112】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を上げることができる。
【0113】
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエンCD−4) 4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−(N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γーヒドロキシプロピル)アニリン
本発明において、上記発色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0114】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0115】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0116】
また、一般に像様露光されたハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理してカラー画像を得るには、発色現像工程の後に生成した金属銀を脱銀し、その後水洗、安定化等の処理工程が設けられる。脱銀については漂白と定着工程、あるいはこれらを一体化した一浴漂白定着工程からなっている。漂白定着工程液は発色現像処理されたハロゲン化銀写真感材が直接入ってくることが一般的であり、その結果漂白定着液中にはハロゲン化銀写真感材より持ち込まれた現像主薬が含まれる。近年、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理時間の短縮が現像所の生産性を向上するために切望されているが、処理時間を短縮するためには発色現像処理中の現像主薬濃度を上げることが必須であり、従って漂白定着液中の現像主薬濃度も高くなっていく傾向にある。従って、漂白定着液中の発色現像主薬の濃度は2〜5g/lの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは4〜5g/lの範囲にあることが好ましい。
【0117】
また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが、通常だがこの際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0118】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0119】
実施例1
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0120】
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定化剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34g、(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶媒(DBP)3.33gおよび高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製した。
【0121】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1および表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
【0122】
又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP :ポリビニルピロリドン
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
【0126】
【化27】
【0127】
【化28】
【0128】
【化29】
【0129】
【化30】
【0130】
【化31】
【0131】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0132】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10−8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10−5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。次に(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1Bを得た。
【0133】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−1Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の割合で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0134】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX
塩化金酸 0.5mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モル AgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−2Bを得た。
【0135】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の割合で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0136】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX
塩化金酸 1.0mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モル AgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モル AgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−3Bを得た。
【0137】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の割合で混合し赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0138】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX
塩化金酸 2.0mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モル AgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モル AgX
増感色素 RS−2 1×10−4モル/モル AgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当たり2.0×10−3添加した。
【0139】
【化32】
【0140】
【化33】
【0141】
以上のようにして作成したハロゲン化銀写真感光材料(試料No.101)の第2層に、ステイン防止剤(本発明の一般式(HQ−1)、(HQ−2)で表される化合物)を総量が0.60mmol/m2になるように表3に示したような比率で添加した。さらに表3に示した添加剤(本発明の一般式(I)、(II)で表される化合物)を0.10mmol/m2添加して下記の評価を行った。
【0142】
(混色の評価)
作成した試料を常法により青色および緑色単色露光した後、下記現像処理工程により現像処理を行いイエローおよびマゼンタの単色発色試料を作成した。
【0143】
作成したイエロー単色発色試料の反射濃度1.8におけるマゼンタ反射濃度とマゼンタ単色発色試料の反射濃度1.8におけるイエロー反射濃度を測定した。
【0144】
(温熱経時後の白地の評価(Yステイン、Mステイン))
作成した試料を未露光のまま、下記現像処理工程により現像処理を行い、白地試料を作成した。この作成した白地試料を85℃、60%RH下に21日間放置し白地の着色の評価(差)を行った。
【0145】
(明所での色素画像の安定性)
作成した試料を緑色単色露光し、下記現像処理工程により現像処理を行い、マゼンタ単色試料を作成した。この作成したマゼンタ単色試料をキセノンウェザーメター(10万ルクス)にて光照射し1.0の反射濃度の点における濃度が30%減少するまでの時間を評価した。
【0146】
(現像処理工程)
処理工程 処 理 温 度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml
安定化 30〜34℃ 60秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
【0147】
(発色現像液タンク液及び補充液) タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミ
ドエチル)−3−メチル−4−アミノア
ニリン硫酸塩 6.0g 10.0g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン
ジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0148】
(漂白定着液タンク液及び補充液)
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0149】
(安定化液タンク液及び補充液)
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0150】
以上の結果を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
表3から明らかなように、本発明のステイン防止剤を使用した場合、混色の上で有利な上に明所での保存性でも有利な事がわかる。また、本発明の添加剤を添加すると本発明のステイン防止剤の大きな欠点である暗所での白地の変色(特にMステイン)の改良が見られた。また、2級アルキル基を置換したステイン防止剤と3級アルキル基を置換したステイン防止剤を併用した場合、2級アルキル基置換のステイン防止剤単独と3級アルキル基置換のステイン防止剤単独との暗所での白地の変色より予想される変色度よりも変色(ステイン)が明らかに少ない事が分かった。
【0153】
実施例2
実施例1において下記の様に現像時間を短縮し処理液を高活性化した処理を行った。
【0154】
処理工程 処 理 温 度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54ml
安定化 30〜34℃ 25秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
【0155】
(発色現像液タンク液及び補充液) タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミ
ドエチル)−3−メチル−4−アミノア
ニリン硫酸塩 8.0g 12.5g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 3.5g 6.0g
N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロ
キシルアミン 3.5g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン
ジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルlとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0156】
(漂白定着液タンク液及び補充液) タンク液 補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニ
ウム2水塩 100g 50g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 200ml 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール 2.0g 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 50ml 25ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でタンク液はpH=7.0に、補充液はpH=6.5に調整する。
【0157】
(安定化液タンク液及び補充液)
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0158】
実施例1と同様な評価を行い下記表4に示す結果が得られた。
【0159】
【表4】
【0160】
表4から明らかなように、処理時間を短縮し、現像処理液を活性化した処理では混色の発生が大きくなる事がわかる。しかし、本発明の混色防止剤を使用すると混色が改良されることがわかる。さらに驚くべき事に本発明の添加剤を使用すると、このような高活性の処理において発生する混色も改良された。また、実施例1の場合と同様、暗所での保存性と明所での保存性も改良された。
【0161】
実施例3
実施例2において、自動現像機としてコニカ(株)製NPS−868J、処理ケミカルとしてECOJET−Pを使用し、プロセス名CPK−2−J1に従ってランニング処理した。実施例1と同様に評価し本発明の効果が得られる事を確認した。
【0162】
実施例4
ステイン防止剤(HQ−1)を268.5gと高沸点溶媒(DIDP)を48.0gを酢酸エチル200mlを加えて溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)55mlを含有する8%ゼラチン水溶液に加えて超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させて分散液1を作成した。作成した分散液は24時間、40℃で保存した後、フィルターろ過をし、ろ過性評価した。
【0163】
さらに混色防止剤と添加剤を表5に示すように変化させてろ過性の評価を行った。
【0164】
【表5】
【0165】
【化34】
【0166】
表5から明らかなように、2級のアルキル基を置換したステイン防止剤は1級や3級のアルキル基を置換したステイン防止剤に比べてろ過性に優れ感光材料製造上有利なことが分かった。さらに2級のアルキル基を置換したステイン防止剤を2種以上併用した場合、ろ過性がさらに向上する事がわかった。さらに3級のアルキル基を置換したステイン防止剤を併用した場合も、ろ過性の向上が見られる事がわかった。
【0167】
【発明の効果】
本発明により、第1には、ハロゲン化銀感光材料中のハイドロキノン化合物の安定性を高める事により暗所でのYステインおよびMステインの発生を改良したハロゲン化銀写真感光材料を提供する事。第2には形成される色素の明所での保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を提供する事。第3には副吸収がなく、色再現性が改良されたハロゲン化銀写真感光材料を提供する事。第4には製造安定性に優れ安価なハロゲン化銀写真感光材料を提供する事。第5には現像処理時間を大幅に短縮した処理を行っても形成される画像に問題のないハロゲン化銀写真感光材料とその処理方法を提供する事ができた。
Claims (4)
- 前記非感光性親水性コロイド層中に前記化学式(HQ−1−1〜−6、−17及び−18)で表されるハイドロキノン誘導体の少なくとも2種を含有する事を特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料を発色現像処理時間が30秒以下で処理する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
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JP29996195A JP3543242B2 (ja) | 1995-11-17 | 1995-11-17 | ハロゲン化銀写真感光材料およびその処理方法 |
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