JPH103145A - ハロゲン化銀写真感光材料及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料及びそれを用いた画像形成方法

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JPH103145A
JPH103145A JP15682896A JP15682896A JPH103145A JP H103145 A JPH103145 A JP H103145A JP 15682896 A JP15682896 A JP 15682896A JP 15682896 A JP15682896 A JP 15682896A JP H103145 A JPH103145 A JP H103145A
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JP
Japan
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silver halide
image forming
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silver
dye
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JP15682896A
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Kazuhiro Miyazawa
一宏 宮澤
Shigeo Tanaka
重雄 田中
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 増幅現像処理時間の変動に対して、階調バラ
ンスの再現性が改良されたハロゲン化銀写真感光材料及
びそれを用いた画像形成方法の提供。 【解決手段】 支持体上に各々少なくとも1層のイエロ
ー画像形成ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形成ハロ
ゲン化銀乳剤層、シアン画像形成ハロゲン化銀乳剤層を
有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記数1で
表される各色画像形成層のR値の中で、最も支持体から
遠い色画像形成層のR値(Ro)が1以上であり、かつ
最も支持体に近い色画像形成層のR値(Ru)が各色画
像形成層のR値の中で最も小さいことを特徴とするハロ
ゲン化銀写真感光材料。 【数1】 式中、nは、色素供与物質から1モルの画像色素を形成
するのに必要なハロゲン化銀の化学量論的なモル数の1
/2である。但し、同一色画像形成層に色素供与物質が
2種類以上含有される場合には、R値を示す分数の分子
は各色素供与物質毎に決められる(色素供与物質塗布量
×n)の値の総和とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、増幅現像処理時間
の変動に対して、階調バランスの再現性が改良されたハ
ロゲン化銀写真感光材料及びそれを用いた画像形成方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料は、高感度で
あること、階調性に優れていること等、他の感光材料に
比べて非常に優れた特性を有しているため、今日盛んに
用いられている。これらハロゲン化銀写真感光材料の特
長を有し、さらに感材中のハロゲン化銀量が少なくてす
み、漂白・定着工程の迅速化あるいは省略、さらには資
源の有効利用の観点から好ましい手段として、ハロゲン
化銀写真感光材料を増幅現像処理して画像形成する方法
が古くから知られている。このような増幅現像の例とし
て、現像銀を触媒として過酸化水素・コバルト(III)
錯体等の酸化剤によりカラー現像主薬酸化体を生成させ
た後、カプラーとの反応により画像色素を形成させる方
法が知られている。しかし、増幅現像処理においては、
増幅現像を行わない通常の処理に比べて、処理時間の変
動が生じた場合に各画像形成層において階調バランスが
崩れ易く、安定した階調再現を行うことが困難であっ
た。
【0003】通常の処理では、一定の現像時間を経過し
て十分な最大濃度が得られてからしばらくの間は、特性
曲線が平行移動的に僅かに変化する挙動を示し、最小濃
度の上昇も極僅かに抑えられる領域が存在しており、処
理時間の若干の変動があっても極僅かの濃度変化は生じ
るものの、プリント材料にとって重要な最小濃度の上昇
や、階調及び階調バランスの変動が殆どない特性を安定
して得ることが可能であった。
【0004】一方、増幅現像処理においては階調の変化
が大きく、十分な最大濃度に達した後も、特に高濃度部
の階調の変化が引き続いて生じ、やがて最小濃度の上昇
が目立ってくる。
【0005】そのため、従来の増幅現像用感光材料を用
いると、増幅現像処理時間の変動に対して階調バランス
の変動が大きくなっていた。その結果、仕上がりプリン
トの色バランスを安定して再現させることが難しく、こ
の現象に対する改良技術の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、増幅現像処
理時間の変動に対して、階調バランスの再現性が改良さ
れたハロゲン化銀写真感光材料及びそれを用いた画像形
成方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0008】(1) 支持体上に各々少なくとも1層の
イエロー画像形成ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形
成ハロゲン化銀乳剤層、シアン画像形成ハロゲン化銀乳
剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記
数1で表される各色画像形成層のR値の中で、最も支持
体から遠い色画像形成層のR値(Ro)が1以上であ
り、かつ最も支持体に近い色画像形成層のR値(Ru)
が各色画像形成層のR値の中で最も小さいことを特徴と
するハロゲン化銀写真感光材料。
【0009】
【数2】
【0010】式中、nは、色素供与物質から1モルの画
像色素を形成するのに必要なハロゲン化銀の化学量論的
なモル数の1/2である。但し、同一色画像形成層に色
素供与物質が2種類以上含有される場合には、R値を示
す分数式の分子は各色素供与物質毎に決められる(色素
供与物質量×n)の値の総和とする。
【0011】(2) 各色画像形成層のR値の中で、最
も支持体に近い色画像形成層のR値(Ru)と、他の色
画像形成層における最大のR値(Rm)の比(Ru/R
m)が0.5以上1.0未満であることを特徴とする前
記1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】(3) 各色画像形成層が有する感光性ハ
ロゲン化銀乳剤が、塩化銀含有率80モル%以上の高塩
化銀乳剤であることを特徴とする前記1または2に記載
のハロゲン化銀写真感光材料。
【0013】(4) 前記1記載のハロゲン化銀写真感
光材料を増幅現像処理することを特徴とする画像形成方
法。
【0014】(5) 前記2または3に記載のハロゲン
化銀写真感光材料を増幅現像処理することを特徴とする
画像形成方法。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
感光材料は、支持体上に各々少なくとも1層のイエロー
画像形成ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形成ハロゲ
ン化銀乳剤層、シアン画像形成ハロゲン化銀乳剤層を有
しており、各色画像形成層に対して、それぞれ前記数1
で定義されるR値を求めることができる。
【0016】R値を示す分数式の分子は、各色画像形成
層における単位面積当たりの色素供与物質量(mol/
2)と、該色画像形成層の色素供与物質から1モルの
画像色素を形成するのに必要なハロゲン化銀の化学量論
的なモル数を2で割った値の積の総和から成り、分母は
該色画像形成層における単位面積当たりのハロゲン化銀
量(mol/m2)から成る。同一の色画像形成層が複
数存在する場合には、それらの層における、色素供与物
質と色素供与物質から1モルの画像色素を形成するのに
必要なハロゲン化銀の化学量論的なモル数を2で割った
値の積の総和及びハロゲン化銀量の総和を求めてR値を
求める。
【0017】nを代表的な色素供与物質であるカプラー
で説明すると、画像形成色素を1モル形成するのにハロ
ゲン化銀を2モル必要とする2当量カプラーや、画像色
素を1モル形成するのにハロゲン化銀を4モル必要とす
る4当量カプラーなどが良く知られており、各々n=1
及び2となる。
【0018】各色画像形成層において、色素供与物質は
1種類でも、複数種類を組み合わせて用いても良く、複
数を組み合わせて用いる場合には、各色素供与物質毎
に、単位面積当たりの色素供与物質量と、該色素供与物
質の当量数を2で割った値の積を求め、その総和をR値
の分子とする。
【0019】各色画像形成層の単位面積当たりの色素供
与物質量及びハロゲン化銀量は、一定面積の感材の各層
を薄層剥離した後、色素供与物質については抽出操作後
に例えば高速液体クロマトグラフィー等で、ハロゲン化
銀については、溶解操作後に原子吸光分析等で定量する
ことができる。
【0020】本発明において、支持体から最も遠い色画
像形成層のR値(Ro)が1以上であることを特徴とす
る。R値が1未満の場合、色素供与物質に比べてハロゲ
ン化銀の量が相対的に多く、発色速度が向上するが、下
層へ現像主薬、酸化剤、アルカリ等の拡散量が相対的に
減少するためか、特に支持体に最も近い色画像形成層の
発色速度が他層に比べて低下し、本発明の効果である安
定した階調バランスの再現が難しくなり、また増幅現像
の利点の一つであるある漂白・定着工程の迅速化あるい
は省略が難しくなる。最も支持体から遠い色画像形成層
のR値が2以上の場合、本発明の効果が特に顕著に現
れ、好ましい。
【0021】各色画像形成層のR値に上限はないが、R
値が大きくなるほど粒状性が劣化しやすくなるため、8
以下が好ましい。
【0022】本発明の感光材料は、支持体に最も近い色
画像形成層のR値が最も小さいことを特徴とするが、最
も支持体に近い色画像形成層のR値(Ru)と他の色画
像形成層における最大のR値(Rm)の比(Ru/R
m)は0.5以上1未満である態様が好ましい。例え
ば、感光性層が3層あった場合には、最も支持体に近い
層のR値(Ru)と、残り2層の各々のR値(Ra、R
b)のうち値の大きな方のR値(Rm)の比をとる。R
u/Rmの値が0.5以下の場合、最も支持体に近い層
の色素供与物質に対するハロゲン化銀量が他層に比べて
相対的に多くなり、カブリ濃度上昇が生じやすく好まし
くない。特にRu/Rmの値が0.6以上0.8以下の
場合、カブリ濃度の上昇も殆どなく、安定した階調バラ
ンスを得る本発明の効果が顕著に得られる。
【0023】本発明において、増幅現像処理とは、感光
材料の露光により生じた潜像をカラーあるいは黒白現像
剤で現像することにより現像銀を形成させ、該現像銀を
触媒とした化学反応を利用して画像色素を形成ないし放
出する方法として定義され、例えば現像銀を触媒とした
現像主薬と酸化剤のレドックス反応により生成した現像
主薬酸化体とカプラーのカップリング反応により画像色
素を形成する方法等があげられる。
【0024】酸化剤としては、過酸化水素、及び過酸化
水素の付加化合物等の過酸化水素を与える化合物、ペル
オキソほう酸塩、ペルオキソ炭酸塩等のペルオキソ化合
物、コバルトヘキサアンミン錯体等のコバルト(III)
錯体、亜塩素酸等の亜ハロゲン酸類、及び過ヨウ素酸等
を用いることができる。中でも酸化剤として過酸化水素
を用いる方法が増幅効果が高く、また環境への負荷が低
減されるために有利である。
【0025】本発明に係る増幅現像処理においては、芳
香族一級アミン現像主薬と過酸化水素の組み合わせが好
ましく用いられ、芳香族一級アミン現像主薬としては、
下記のような公知の化合物を用いることができる。
【0026】CD−1)N,N−ジエチル−p−フェニ
レンジアミン CD−2)2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン CD−3)2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリ
ルアミノ)トルエン CD−4)4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエ
チル)アミノ)アニリン CD−5)2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−
ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン CD−6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン CD−7)N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェ
ニルエチル)メタンスルホンアミド CD−8)N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン CD−9)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
メトキシエチルアニリン CD−10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(β−エトキシエチル)アニリン CD−11)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン 本発明においては、上記発色現像主薬と増幅現像用の酸
化剤を共存させた処理液として感光材料へ供給すること
も可能であり、また現像主薬を含む処理液と増幅現像用
の酸化剤を含む液を別々に調製し、感光材料へ供給する
ことも可能である。
【0027】本発明に係る増幅現像方法としては、例え
ば特開昭52−13335号、同55−127555
号、同61−77851号等に記載されるように現像主
薬と酸化剤を同一の処理浴中に存在させて(現像/増幅
液)、触媒となる現像銀の生成とそれに続く増幅現像処
理を同一浴中で行う方法、特開平5−216192号、
同5−346647号等に記載されるように現像主薬を
含む現像浴と酸化剤を含む増幅浴を分離して、現像浴で
現像銀を形成するとともに現像主薬を増幅浴へ持ち込み
増幅現像する方法、あるいは特開昭61−88259
号、特開平7−077788号等に記載されるように現
像主薬を含む現像浴で処理して現像銀を形成した後、現
像主薬と酸化剤を含む処理浴で増幅現像処理する方法等
があげられる。また、処理浴を用いない処理方法とし
て、例えば特開昭61−80150号等に記載されるよ
うに現像液又は増幅液をハロゲン化銀感光材料に霧状に
吹き付ける方法などを用いることができる。
【0028】現像浴と増幅浴を分離する場合、現像液中
の好ましい現像主薬量は0.2〜10g/l、特に好ま
しくは1〜5g/lである。また、増幅液中の過酸化水
素(30%溶液)の量は0.1〜100ml/lであ
る。
【0029】現像浴と増幅浴を併せた一浴で処理を行う
場合、現像/増幅液中の好ましい現像主薬量は0.5〜
15g/l、さらに好ましくは1〜7g/lであり、過
酸化水素(30%溶液)の好ましい量は0.1〜30m
l/l、より好ましくは1〜5ml/lである。
【0030】本発明においては、上記現像液、増幅液、
現像/増幅液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理
の観点からpH9.5〜13.0であることが好まし
く、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用い
られる。
【0031】本発明に係る増幅現像の処理温度は、20
℃以上、60℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間
の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは
あまり高くない方が好ましく、25℃以上55℃以下で
処理することが好ましい。
【0032】増幅現像時間は、処理温度、処理液の活性
等によって異なるが、本発明では180秒以内が好まし
く、90秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0033】現像液、増幅液、現像/増幅液には、前記
の現像主薬や酸化剤に加えて、既知の現像液成分化合物
を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有する
アルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の
現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0034】本発明の感光材料は、発色現像後、必要に
応じて漂白処理及び定着処理を施してもよい。漂白処理
は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、
通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替と
して、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン
化銀写真感光材料の処理に用いる処理装置としては、処
理浴に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送す
るローラートランスポートタイプであっても、ベルトに
感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であ
ってもよいが、処理浴をスリット状に形成して、この処
理浴に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方
式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸
させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液に
よる方式なども用いることができる。大量に処理する場
合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが
通常だが、この際、補充液の補充量は少ない程好まし
い。
【0035】本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成
は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化
銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであっ
てもよい。中でも、塩化銀を80モル%以上含有する高
塩化銀乳剤は、増幅現像抑制による最高濃度の低下を生
ずることなく、本発明の効果を得ることができるため好
ましく、特に好ましくは90モル%以上、より好ましく
は95〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化
銀乳剤が好ましい。
【0036】本発明に係るハロゲン化銀乳剤として、臭
化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤
も好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭
化銀を含有する部分は、完全な層を形成したいわゆるコ
ア/シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず
単に部分的に組成の異なる領域が存在する、いわゆるエ
ピタキシー接合をしているものであってもよい。また、
組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよ
い。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒
子の頂点に存在する事が特に好ましい。
【0037】本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには
重金属イオンを含有させるのが有利である。このような
目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、
イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、
オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金
属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属
や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウ
ム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも
鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミ
ウムの金属イオンが好ましい。
【0038】これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形で
ハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0039】前記重金属イオンが錯体を形成する場合に
は、その配位子としてはシアン化物イオン、チオシアン
酸イオン、イソチオシアン酸イオン、シアン酸イオン、
塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニ
ル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シア
ン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸
イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0040】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イ
オンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン
化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲ
ン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所
で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳
剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に
溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続
的に添加する事ができる。
【0041】前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に
添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9
モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1
×10-8モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
【0042】本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任
意のものを用いることが出来る。好ましい一つの例は、
{100}面を結晶表面として有する立方体である。ま
た、米国特許4,183,756号、同4,225,6
66号、特開昭55−26589号、特公昭55−42
737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィッ
ク・サイエンス(J.Photogr.Sci.)2
1、39(1973)等の文献に記載された方法等によ
り、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子
をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面
を有する粒子を用いてもよい。
【0043】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の
形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハ
ロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事も好まし
い。
【0044】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒
径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他
の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.
2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲で
ある。
【0045】ハロゲン化銀粒子の粒径は当該技術分野に
おいて一般に用いられる各種の方法によって測定するこ
とが出来る。代表的な方法としては、ラブランドの「粒
子径分析法」(A.S.T.M. シンポジウム・オン
・ライト・マイクロスコピー、94〜122頁、195
5)または、「写真プロセスの理論 第3版」(ミース
及びジェームス共著、第2章、マクミラン社刊、196
6)に記載されている方法を挙げることができる。
【0046】ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法として
は、当業界において公知の種々の方法を用いることがで
きる。
【0047】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性
法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであっ
てもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよ
いし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を
作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なって
もよい。
【0048】また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩
を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時
混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時
混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一
形式として特開昭54−48521号等に記載されてい
るpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いるこ
ともできる。
【0049】また、特開昭57−92523号、同57
−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加
装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を
供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等
に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶
液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−
501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出
し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子
間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置など
を用いてもよい。
【0050】更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲ
ン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有す
る化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のよう
な化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形
成終了の後に添加して用いてもよい。
【0051】本発明に係るハロゲン化銀粒子としては、
階調バランスをコントロールするために、いわゆる平板
状のハロゲン化銀も好ましく用いられる。高濃度に塩化
銀を含有する平板状粒子としては{111}主平面を有
する粒子と、{100}主平面を有する粒子が知られて
いるが、粒子形状の安定性の点から{100}主平面を
有する粒子が特に好ましく用いられる。
【0052】このうち、{111}主平面を有する平板
状粒子の形成法としては、例えば、アミノアザインデ
ン、ピリミジン、アミノアジン、チオ尿素、キサンチノ
イド等の晶癖制御剤の存在下で粒子形成を行うことがで
きる。
【0053】{100}主平面を有するハロゲン化銀乳
剤の調製過程は、ハロゲン化銀結晶の核を形成する過程
と、核の物理熟成過程、粒子成長過程に分けることが出
来る。
【0054】ハロゲン化銀結晶の核の形成段階は、ゼラ
チン水溶液のような分散媒中に銀塩水溶液とハロゲン化
物塩水溶液を撹拌しながら添加、混合することにより行
われる。この時、イミダゾール、3,5−ジアミノトリ
アゾールのような{100}面形成促進剤を添加する方
法、ヨウ化銀、臭化銀を存在させ塩化銀との結晶格子の
大きさの違いから核に歪を生じさせ、らせん転移を導入
させる方法等を用いることができる。核形成に用いられ
るゼラチンなどの保護コロイドの量は、0.1〜5%が
好ましく、0.2〜3%がより好ましい。ゼラチンとし
ては、ハロゲン化銀粒子に対する吸着の弱い低メチオニ
ンゼラチンが好ましく用いられる。
【0055】核形成時に用いるヨウ化銀の含有量として
は、全体の平均値として0.5モル%以下が好ましく、
0.1モル%以下がより好ましい。また、ヨウ化銀が含
有される部分の局所的な濃度としては2モル%以下が好
ましく、1モル%以下がより好ましい。ヨウ化銀の量が
多すぎると漂白定着の阻害などの現象が顕著になること
の他に、核形成工程に引き続く熟成工程での分布の広が
りなどの問題があるため、種々の条件に即して実験的に
決めるのがよい。
【0056】核形成時に臭化銀を用いてらせん転移を導
入する方法については、特開平6−337489号など
に記載されている方法を用いることが出来るが、例え
ば、銀量で全体の3〜5%の塩化銀を形成した後全体の
1〜5%の臭化銀を形成し、さらに全体の20〜30%
まで塩化銀を生成して核形成過程を終了するといったよ
うにして、ハロゲン組成のギャップ面を形成させること
ができる。
【0057】{100}面形成促進剤の写真性能への影
響を無視しきれないためヨウ化銀、臭化銀によるハロゲ
ン組成ギャップ面を利用する方法が好ましく用いられ
る。
【0058】核形成過程においてらせん転移を有するハ
ロゲン化銀粒子だけを調製することが不可能なため、ら
せん転移を有する粒子とこれをもたない粒子の成長速度
の差を利用してらせん転移をもたない粒子を消滅させる
ため、核形成過程に引き続いて物理熟成を行う。熟成温
度は、核形成温度よりも高めに設定するのが好ましく、
50〜90℃が好ましく、60〜80℃が好ましい。p
Cl等の条件によっても熟成の進行速度が異なるため実
験的に決めることが好ましい。熟成を過剰に行うと粒径
分布に広がりを生じて好ましくない。
【0059】熟成過程で残った平板状粒子の核を成長さ
せるには、通常用いられる同時混合法等の方法を好まし
く用いることが出来るが、銀塩の供給速度が早すぎると
成長の異方性が小さくなり結果としてアスペクト比が小
さくなり、また銀塩の供給速度が小さいと、平板粒子で
は比表面積が大きいため、エッジが不明瞭になったりア
スペクト比が小さくなるなどの現象を引き起こし、結果
として粒径や形状の単分散性が劣化するという問題が起
きる。適正な添加条件は、実験的に求めることが可能で
あるが、微粒子ハロゲン化銀乳剤を用いて銀塩を供給す
る方式を用いると適正な添加条件を保持し易く有利であ
る。
【0060】アスペクト比を高く保つには、結晶成長時
の温度は高めに設定するのが好ましく、60〜80℃、
あるいは65〜75℃の範囲が好ましく用いられる。
【0061】本発明において、アスペクト比は、粒径を
粒子の厚さで割った値として定義される。
【0062】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合
物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を
組み合わせて用いることが出来る。
【0063】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用する
カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感
剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ
増感剤が好ましい。
【0064】本発明に係るハロゲン化銀乳剤には、ハロ
ゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防
止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に
生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安
定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いること
のできる好ましい化合物の例として、特開平2−146
036号公報7ページ下欄に記載された一般式(II)で
表される化合物を挙げることができる。これらの化合物
は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工
程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製
工程などの工程で添加される。
【0065】本発明の感光材料において、ハロゲン化銀
粒子は後述する増幅現像時の触媒となる現像銀を生成す
るのに必要な量だけ存在していればよく、例えばカプラ
ーとのカップリングに必要なカラー現像主薬の酸化体を
ハロゲン化銀と現像主薬のレドックス反応によって生成
する通常のカラー発色現像法に比べてハロゲン化銀量を
大幅に減らすことができる。この場合のハロゲン化銀量
は、ハロゲン化銀乳剤層一層当たりについては、銀量換
算で0.05g/m2以下が好ましく、さらに好ましく
は0.03g/m2以下である。ハロゲン化銀量が少な
いほど階調バランスの安定性は劣化し易いため、本発明
の効果がより有用になる。
【0066】本発明の感光材料には、イラジエーション
防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を
有する染料を用いることができる。この目的で、公知の
化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域
に吸収を有する染料としては、特開平3−251840
号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料およ
び特開平6−3770号公報記載の染料が好ましく用い
られ、赤外線吸収染料としては、特開平1−28075
0号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(I
I)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有
し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、
また残色による汚染もなく好ましい。
【0067】これらの染料を添加する量として、鮮鋭性
を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nm
における分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましく
さらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0068】本発明の感光材料中に、蛍光増白剤を添加
する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられ
る化合物としては、特開平2−232652号公報記載
の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0069】本発明の感光材料をカラー写真感光材料と
して用いる場合には、イエロー色素供与物質、マゼンタ
色素供与物質、シアン色素供与物質に組み合わせて40
0〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハ
ロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤
は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有
する。
【0070】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分
光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いるこ
とができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−
251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を
単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができ
る。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記
載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感
色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が
好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるな
どして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光
性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素
としては、特開平4−285950号公報6〜8ページ
に記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられ
る。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に
特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強
色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号
公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17
を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0071】これらの増感色素の添加時期としては、ハ
ロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期
でよい。
【0072】増感色素の添加方法としては、メタノー
ル、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメ
チルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して
溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加し
てもよい。
【0073】本発明の感光材料の色素供与物質としてカ
プラーが用いられる場合には、発色現像主薬の酸化体と
カップリング反応して340nmより長波長域に分光吸
収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るい
かなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な
物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大
波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500
〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素
形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極
大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られて
いるものが代表的である。
【0074】本発明の感光材料に好ましく用いることの
できるシアンカプラーとしては、特開平4−11415
4号公報5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、
(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。
【0075】本発明の感光材料に好ましく用いることの
できるマゼンタカプラーとしては、特開平4−1141
54号公報4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、
(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。
上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同公報
4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカ
プラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRM
が3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好
ましい。
【0076】本発明の感光材料に好ましく用いることの
できるイエローカプラーとしては、特開平4−1141
54号公報3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で
表されるカプラーを挙げることができる。中でも同公報
の一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプ
ラーまたは特開平6−67388号公報記載の一般式
[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現
でき好ましい。さらに最も好ましい化合物は特開平4−
81847号公報1ページおよび同公報11ページ〜1
7ページに記載の一般式[Y−1]で示される化合物で
ある。
【0077】本発明の感光材料に用いられる色素供与物
質やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化
分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水
不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/ま
たは水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液
などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分
散する。色素供与物質を溶解して分散するために用いる
ことの出来る高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜
7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機
溶媒を併用することもできる。
【0078】また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代え
て、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有
機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点
及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液
などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の
分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。
【0079】写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調
整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物と
しては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホ
ン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。また
アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく
用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を
含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加さ
れるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間
は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間
以内、20分以内がより好ましい。
【0080】色素供与物質には、形成された色素画像の
光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を
併用することが好ましい。特に好ましい化合物として
は、特開平2−66541号公報3ページ記載の一般式
IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開
平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示され
るフェノール系化合物、特開昭64−90445号公報
記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62
−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XV
で示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好まし
い。また特開平1−196049号公報記載の一般式
I′で示される化合物および特開平5−11417号公
報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シ
アン色素用として好ましい。
【0081】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号公報9ページ左下欄に記
載の化合物(d−11)、同公報10ページ左下欄に記
載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができ
る。また、これ以外にも米国特許4,774,187号
に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0082】本発明の感光材料には、現像主薬酸化体と
反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色
濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカ
ブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物とし
てはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましく
は2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジ
アルキルハイドロキノンである。
【0083】本発明に係る感光材料中には紫外線吸収剤
を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐
光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤と
してはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい
化合物としては特開平1−250944号公報記載の一
般式III−3で示される化合物、特開昭64−6664
6号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭6
3−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27
L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示され
る化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式
(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0084】本発明に係る感光材料には、バインダーと
してゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じ
て他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分
子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖
誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のご
とき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いる
ことができる。
【0085】これらバインダーの硬膜剤としてはビニル
スルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独ま
たは併用して使用する事が好ましい。特開昭61−24
9054号、同61−245153号公報記載の化合物
を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に
悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に
特開平3−157646号公報記載のような防腐剤およ
び抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料また
は処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特
開平6−118543号公報や特開平2−73250号
公報記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0086】本発明に係る感光材料に用いる支持体とし
ては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンや
ポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプ
や合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白
色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることが
できる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有
する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレ
ンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリ
マーが好ましい。
【0087】支持体に用いられる白色顔料としては、無
機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好
ましくは無機の白色顔料が用いられる。
【0088】また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の
値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であ
るほうが光沢性がよいという効果が得られより好まし
い。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布
された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射
濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶
性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好
ましい。
【0089】本発明に係る感光材料は、必要に応じて支
持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施し
た後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防
止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止
性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するため
の1または2以上の下塗層)を介して塗布されていても
よい。
【0090】本発明に係る感光材料の塗布に際して、塗
布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法
としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエ
クストルージョンコーティング及びカーテンコーティン
グが特に有用である。
【0091】本発明に係る感光材料を用いて、写真画像
を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリント
しようとする感光材料上に光学的に結像させて焼き付け
てもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その
画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリ
ントしようとする感光材料上に結像させて焼き付けても
よいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変
化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0092】本発明は特に直接鑑賞用の画像を形成する
感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパ
ー、カラー反転ペーパー、直接ポジ画像を形成する感光
材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光
材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光
材料に適用する事が好ましい。
【0093】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明するが、本
発明の実施態様はこれに限定されない。
【0094】実施例1 (青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃に保温した2
%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A1液)及び
(B1液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつ
つ同時添加し、更に下記(C1液)及び(D1液)をp
Ag=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加し
た。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号
記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナ
トリウム水溶液を用いて行った。
【0095】 (A1液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B1液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C1液) 塩化ナトリウム 102.7g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D1液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1Aを得た。次に
EMP−1Aの調製において(A1液)と(B1液)の
添加時間および(C1液)と(D1液)の添加時間を変
更した以外は同様にして平均粒径0.64μm、粒径分
布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の
単分散立方体乳剤EMP−1Bを得た。
【0096】上記EMP−1Aに対し、下記化合物を用
い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−1
Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感された
EMP−1AとEMP−1Bを銀量で1:1の割合で混
合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B1)を得た。
【0097】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX 塩化金酸 0.5mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モル AgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)ハロゲン化銀乳剤E
MP−1Aの調製において、(A1液)と(B1液)の
添加時間及び(C1液)と(D1液)の添加時間を変更
する以外は同様にして平均粒径0.25μm、塩化銀含
有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−11A
及び、平均粒径0.30μm、塩化銀含有率99.5モ
ル%の単分散立方体乳剤EMP−11Bを得た。
【0098】上記EMP−11Aに対し、下記化合物を
用い55℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−
11Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感さ
れたEMP−11AとEMP−11Bを銀量で1:1の
割合で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G1)
を得た。
【0099】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX 塩化金酸 1.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モル AgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)ハロゲン化銀乳剤E
MP−1Aの調製において、(A1液)と(B1液)の
添加時間及び(C1液)と(D1液)の添加時間を変更
する以外は同様にして平均粒径0.30μm、塩化銀含
有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−21A
及び、平均粒径0.40μm、塩化銀含有率99.5モ
ル%の単分散立方体乳剤EMP−21Bを得た。
【0100】上記EMP−21Aに対し、下記化合物を
用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−
21Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感さ
れたEMP−21AとEMP−21Bを銀量で1:1の
割合で混合し赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1)を
得た。
【0101】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX 塩化金酸 2.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モル AgX 増感色素 RS−2 1×10-4モル/モル AgX STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メ
ルカプトテトラゾール
【0102】
【化1】
【0103】(ハロゲン化銀写真感光材料の作成)坪量
180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレン
をラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を
塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チ
タンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチ
レンをラミネートした。この反射支持体をコロナ放電処
理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構
成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料101〜
112を作成した。各層の塗布量を以下に示す。
【0104】 層 構 成 添加量(/m2) 第7層(保護層) ゼラチン 1.00g DIDP 0.002g DBP 0.002g 二酸化珪素 0.003g 第6層(紫外線吸収層)ゼラチン 0.40g AI−1 0.01g 紫外線吸収剤(UV−1) 0.12g 紫外線吸収剤(UV−2) 0.04g 紫外線吸収剤(UV−3) 0.16g ステイン防止剤(HQ−5) 0.04g PVP 0.03g 第5層(赤感光性層) ゼラチン 1.30g 赤感光性乳剤(Em−R1) 表1に記載 シアンカプラー(C−1) 0.49mmol シアンカプラー(C−2) 0.12mmol 色素画像安定化剤(ST−1) 0.10g ステイン防止剤(HQ−1) 0.004g DBP 0.10g DOP 0.20g 第4層(紫外線吸収層)ゼラチン 0.94g 紫外線吸収剤(UV−1) 0.28g 紫外線吸収剤(UV−2) 0.09g 紫外線吸収剤(UV−3) 0.38g AI−1 0.02g ステイン防止剤(HQ−5) 0.10g 第3層(緑感光性層) ゼラチン 1.30g AI−2 0.01g 緑感光性乳剤(Em−G1) 表1に記載 マゼンタカプラー(M−1) 0.42mmol 色素画像安定化剤(ST−3) 0.20g 色素画像安定化剤(ST−4) 0.17g DIDP 0.13g DBP 0.13g 第2層(中間層) ゼラチン 1.20g AI−3 0.01g ステイン防止剤(HQ−2) 0.03g ステイン防止剤(HQ−3) 0.03g ステイン防止剤(HQ−4) 0.05g ステイン防止剤(HQ−5) 0.23g DIDP 0.04g DBP 0.02g 蛍光増白剤(W−1) 0.10g 第1層(青感光性層) ゼラチン 1.20g 青感光性乳剤(Em−B1) 表1に記載 イエローカプラー(Y−1) 1.07mmol 色素画像安定化剤(ST−1) 0.10g 色素画像安定化剤(ST−2) 0.10g 色素画像安定化剤(ST−5) 0.10g ステイン防止剤(HQ−1) 0.01g 画像安定剤A 0.15g DBP 0.10g DNP 0.05g 支持体 ポリエチレンラミネート紙 又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。
カプラーの分散助剤としては、界面活性剤(SU−1)
を用い、塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、
(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層
に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添
加した。
【0105】SU−1:トリ−i−プロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム塩 SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩 H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタ
ン H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−ト
リアジン・ナトリウム DBP :ジブチルフタレート DIDP:ジイソデシルフタレート DOP :ジオクチルフタレート DNP :ジノニルフタレート PVP :ポリビニルピロリドン HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノ
ン HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロ
キノン HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラ
デシルハイドロキノン HQ−5:2,5−ジ(1,1−ジメチル−4−ヘキシ
ルオキシカルボニル)ブチルヒドロキノン 画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
【0106】
【化2】
【0107】
【化3】
【0108】
【化4】
【0109】
【化5】
【0110】
【表1】
【0111】表1において、ハロゲン化銀乳剤の塗布量
は銀に換算して示した。
【0112】(感光材料の評価)このようにして作成し
た感光材料(101)〜(112)に対して、白色光に
て、0.5秒で各々光楔露光し、下記増幅現像処理工程
による処理を行った後、濃度計PDA−65(コニカ
(株)製)を用いて青色光、緑色光、赤色光による反射
濃度を測定し、反射濃度0.75と反射濃度1.75の
間における平均勾配を階調として定義し、各感光材料に
おいて、60秒で増幅現像したときの階調と、増幅現像
時間を70秒とした時の階調をそれぞれ求めた。60秒
における青色光で測定した階調を、緑色光で測定した階
調で除した価をY/M60とし、70秒のそれをY/M70
とした。同様に、60秒における赤色光で測定した階調
を、緑色光で測定した階調で除した価をC/M60とし、
70秒のそれをC/M70とした。60秒で増幅現像した
時の階調を基準と考え、 Y/M=|Y/M60−Y/M70| C/M=|C/M60−C/M70| をそれぞれ、処理時間の変動に対する階調バランス再現
の安定性として評価した。この数値が小さい程、階調バ
ランス再現が安定している。
【0113】また増幅現像時間60秒と70秒でのイエ
ロー画像の最低濃度の差を求めてカブリに対する安定性
の評価をした。結果を表2に示す。
【0114】 処理工程 処 理 処理温度 時 間 増幅現像液(CDA−1) 33.0±0.5℃ 60秒、70秒 漂白・定着液(BF−1) 35.0±0.5℃ 20秒 安定化液 30〜34℃ 60秒 乾 燥 60〜80℃ 30秒 処理液の組成を以下に示す。
【0115】 増幅現像液(CDA−1) 純水 800ml 臭化カリウム 0.001g 塩化カリウム 0.35g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩 4.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 4.7g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1′−ジホスホン酸 0.35g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン ジスルホン酸誘導体) 2.0g 炭酸カリウム 20g 過酸化水素水(30%) 5.0g 水を加えて全量を1リットルとし、pH=10.3に調
整する。
【0116】 漂白定着液(BF−1) 純水 700ml ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷
酢酸でpH=5.0に調整する。
【0117】 安定化液 純水 800ml o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア
水でpH=7.5に調整する。
【0118】
【表2】
【0119】表2の結果より、支持体より最も遠い色画
像形成層のR値が1より大きいという本発明の条件を満
たしていない感光材料(111)においては、増幅現像
時間の変動に対して、支持体に最も近い色画像形成層が
他層に比べて軟調なため、階調バランスの再現性が悪い
ことがわかる。また、支持体に最も近い色画像形成層の
R値が最小であるという本発明の条件を満たしていない
感光材料(101)、(102)、(106)は、本発
明の感光材料に比べて、特に支持体に最も近い色画像形
成層の階調が、他の色画像形成層の階調に比べて乖離し
やすく、その結果階調バランスの再現性に劣っているこ
とがわかる。
【0120】感光材料(112)は本発明の条件を満た
しているものの、支持体から最も遠い色画像形成層のR
値が2以下であり、他の本発明の感光材料に比べて、階
調バランスの再現性の改良効果は小さなものとなってい
る。また、Ro値が8以上の感光材料(110)におい
ては、本発明の条件を満たし階調バランスの再現性の改
良効果は見られるものの、画像を鑑賞したときに他の感
光材料に比べ、ややザラツキ感が感じられた。感光材料
(103)、(104)、(107)、(108)は、
本発明の好ましい条件を全て満たしており、カブリの上
昇も殆どなく、階調バランスの再現性の改良効果が特に
高いことがわかる。
【0121】実施例2 (青感性ハロゲン化銀乳剤Em−B2の調製)ハロゲン
化銀乳剤EMP−1Aの調製において(A1液)及び
(C1液)を下記(A2液)及び(C2液)に変更した
以外は同様にして、平均粒径0.71μm、粒径分布の
変動係数0.07、塩化銀含有率85モル%の単分散立
方体乳剤EMP−2Aを得た。次に(A2液)と(B1
液)の添加時間および(C2液)と(D1液)の添加時
間を変更した以外はEMP−2Aと同様にして平均粒径
0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含
有率85モル%の単分散立方体乳剤EMP−2Bを得
た。
【0122】 (A2液) 塩化ナトリウム 2.92g 臭化カリウム 1.05g 水を加えて 200ml (C2液) 塩化ナトリウム 87.7g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル 臭化カリウム 31.5g 水を加えて 600ml 上記EMP−2A及びEMP−2Bに対して、前述のE
MP−1A及びEMP−1B同様に最適に化学増感した
後、増感されたEMP−2AとEMP−2Bを銀量で
1:1の割合で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤Em−
B2を得た。
【0123】(青感性ハロゲン化銀乳剤Em−B3の調
製)ハロゲン化銀乳剤EMP−1Aの調製において(A
1液)及び(C1液)を下記(A3液)及び(C3液)
に変更した以外は同様にして、平均粒径0.71μm、
粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率75モル%
の単分散立方体乳剤EMP−3Aを得た。次に(A3
液)と(B1液)の添加時間および(C3液)と(D1
液)の添加時間を変更した以外はEMP−3Aと同様に
して平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.0
7、塩化銀含有率75モル%の単分散立方体乳剤EMP
−3Bを得た。
【0124】 (A3液) 塩化ナトリウム 2.58g 臭化カリウム 1.75g 水を加えて 200ml (C3液) 塩化ナトリウム 77.4g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル 臭化カリウム 52.4g 水を加えて 600ml 上記EMP−3A及びEMP−3Bに対して、前述のE
MP−1A及びEMP−1B同様に最適に化学増感した
後、増感されたEMP−3AとEMP−3Bを銀量で
1:1の割合で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em
−B3)を得た。
【0125】(青感性ハロゲン化銀乳剤Em−B4の調
製)40℃に保温した3.5%ゼラチン水溶液(塩化ナ
トリウム0.654g、ヨウ化カリウム0.050gを
含有)2リットル中に下記(A4液)及び(B4液)を
30秒で同時添加し、10分間熟成した後、さらに下記
(C4液)及び(D4液)をpCl=2.32に制御し
つつ170分かけて同時添加した。
【0126】 (A4液) 塩化ナトリウム 3.49g ヨウ化カリウム 0.05g 水を加えて 30ml (B4液) 硝酸銀 10.2g 水を加えて 30ml (C4液) 塩化ナトリウム 54.9g 水を加えて 1880ml (D4液) 硝酸銀 159.7g 水を加えて 1880ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して再分散した。こうし
て、平均粒径1.53μm、平均厚さ0.11μm(ア
スペクト比13.9)の{100}面を主平面としても
ち、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影
面積で75%含まれる塩沃化銀乳剤EMP−4を得た。
【0127】上記EMP−4に対して、前述のEMP−
1A同様に最適に化学増感し青感性ハロゲン化銀乳剤E
m−B4を得た。
【0128】(感光材料(201)〜(209)の作
成)感光材料(101)の作成において、青感光性層の
ハロゲン化銀乳剤を(Em−B2)〜(Em−B4)に
変えた以外は同様にして、感光材料(201)〜(20
3)を作成した。また感光材料(104)の作成におい
ても青感光性層のハロゲン化銀乳剤を(Em−B2)〜
(Em−B4)に変えた以外は同様にして、感光材料
(204)〜(206)を作成した。さらに感光材料
(108)の作成においても青感光性層のハロゲン化銀
乳剤を(Em−B2)〜(Em−B4)に変えた以外は
同様にして、感光材料(207)〜(209)を作成し
た。このようにして作成した感光材料に対して実施例1
と同様の評価を行った。また、増幅現像時間60秒にお
けるイエロー画像の最高濃度を求めた。用いた青感光性
ハロゲン化銀乳剤の種類及び評価の結果を合わせて表3
に示す。
【0129】
【表3】
【0130】表3において、感光材料(104)、(2
04)〜(206)及び感光材料(108)、(20
7)〜(209)はいずれも本発明の条件を満たしてお
り、階調バランスの再現性改良の効果が現れているが、
塩化銀含有率80モル%以上の高塩化銀乳剤である場合
には、本発明の効果が特に顕著であり、また最高濃度の
低下も生じないことがわかる。また、平板状のハロゲン
化銀粒子を用いた感光材料(206)、(209)にお
いては、特に階調バランスの再現性が改良されているこ
とがわかる。なお、平板状ハロゲン化銀粒子を用いても
本発明の条件を満たさない感光材料(203)は、階調
バランスの再現性改良の効果は見られるものの満足でき
るレベルでないことがわかる。
【0131】実施例3 感光材料(101)〜(112)の作成において、緑感
光性層のマゼンタカプラーを(M−2)に変更し、各色
画像形成層のR値が表4に示す値となるようにハロゲン
化銀の塗布量を適宜変更した以外は同様にして、感光材
料(301)〜(312)を作成し、実施例1と同様の
評価を行った。その結果を表5に示す。
【0132】
【化6】
【0133】
【表4】
【0134】ハロゲン化銀乳剤の塗布量は銀に換算して
示した。
【0135】感光材料(301)〜(312)におい
て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示
す。
【0136】
【表5】
【0137】表5より、いわゆる4当量カプラーを用い
た場合においても、本発明の関係を満たす感光材料は、
増幅現像時間変動に対して階調バランスが安定して再現
できることがわかる。
【0138】実施例4 感光材料(101)及び(104)の作成において、各
色画像形成層を表6に示すように入れ換えた以外は同様
にして、感光材料(401)〜(410)を作成し、実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0139】
【表6】
【0140】
【表7】
【0141】表7の結果より、各色画像形成層を入れ換
えて作成した感光材料の中で、最も支持体に近い画像形
成層のR値(Ru)が最も小さいという本発明の条件を
満たす感光材料(402)、(403)、(104)、
(406)のみが階調バランスの再現性の改良効果が大
きいことがわかる。
【0142】
【発明の効果】本発明により、増幅現像処理時間の変動
に対して、階調バランスの再現性が改良されたハロゲン
化銀写真感光材料及びそれを用いた画像形成方法を提供
することができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に各々少なくとも1層のイエロ
    ー画像形成ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形成ハロ
    ゲン化銀乳剤層、シアン画像形成ハロゲン化銀乳剤層を
    有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記数1で
    表される各色画像形成層のR値の中で、最も支持体から
    遠い色画像形成層のR値(Ro)が1以上であり、かつ
    最も支持体に近い色画像形成層のR値(Ru)が各色画
    像形成層のR値の中で最も小さいことを特徴とするハロ
    ゲン化銀写真感光材料。 【数1】 式中、nは、色素供与物質から1モルの画像色素を形成
    するのに必要なハロゲン化銀の化学量論的なモル数の1
    /2である。但し、同一色画像形成層に色素供与物質が
    2種類以上含有される場合には、R値を示す分数式の分
    子は各色素供与物質毎に決められる(色素供与物質量×
    n)の値の総和とする。
  2. 【請求項2】 各色画像形成層のR値の中で、最も支持
    体に近い色画像形成層のR値(Ru)と、他の色画像形
    成層における最大のR値(Rm)の比(Ru/Rm)が
    0.5以上1.0未満であることを特徴とする請求項1
    に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 各色画像形成層が有する感光性ハロゲン
    化銀乳剤が、塩化銀含有率80モル%以上の高塩化銀乳
    剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のハ
    ロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材
    料を増幅現像処理することを特徴とする画像形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項2または3に記載のハロゲン化銀
    写真感光材料を増幅現像処理することを特徴とする画像
    形成方法。
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